血のクリスマス事件~悪夢のジングルベル

作者:さわま


「貴殿らはVR型のダモクレスの事件を知っているだろうか?」
 何人かのケルベロスがその問いに頷くのを見て、山田・ゴロウ(ドワーフのヘリオライダー・en0072)は今回の任務についての説明を始めた。
「あの事件の真相がリヴァーレ・トレッツァー(通りすがりのおにいさん・e22026)殿らの調査により判明した。大侵略期の地球で『血のクリスマス』と呼ばれる大虐殺を引き起こした侵略型超巨大ダモクレス『ゴッドサンタ』、その配下が引き起こした事件だったのだ」
 さらにゴロウは言葉を続ける。
「そしてその『ゴッドサンタ』がクリスマスを楽しみにする人々からグラビティ・チェインを強奪し、完全復活を企んでいるという情報を入手できた」
 『ゴッドサンタ』の完全復活。
 そんな事が現実となれば『血のクリスマス』の再来となってしまうに違いない。
「12月24日の早朝、『ゴッドサンタ』の配下が全国各地に一斉襲撃をかける。この襲撃が成功すればクリスマスの夜に『ゴッドサンタ』が完全復活する事になる。どうかこの襲撃を阻止してもらいたい」
 
 ゴロウが一斉襲撃について更に詳しく説明を始める。
「襲撃は『ヴィクトリーサンタ』と『ヴァンガードレイン』という2体ひと組の量産型ダモクレスが行う。量産型とはいえ装備や攻撃方法に個体差があり一筋縄ではいかない相手だ」
 サンタとトナカイ。2体同時の運用でその真価を発揮する。
 その戦闘能力は決して侮っていいものではないとゴロウは警告する。
「貴殿らには、デウスエクスによって身寄りを失った少年少女が暮らす児童養護施設を襲撃するダモクレスの撃退をお願いしたい。24日の早朝、2体のダモクレスが襲撃地点へ向かう途上で迎撃を行う事になる」
 戦場の避難誘導などは警察や消防が協力してくれるので、ダモクレスを撃破する事に注力して欲しいとゴロウが続ける。
「この襲撃地点の『ヴィクトリーサンタ』は赤と緑の2色のヴィクトリーサンタビームとロケットサンタナックルを用いた攻撃を、『ヴァンガードレイン』は角からの電撃とスピードを生かした体当たり攻撃を仕掛けてくる」
 ヴァンガードレインは接近戦をヴィクトリーサンタが遠距離攻撃を行うタイプのようだ。
 2体の連携も脅威である。散漫な攻撃では苦戦は免れないだろう。
 
「人々が楽しみにしているクリスマスを無事に迎えられるかどうかは、貴殿らの両肩にかかっている。……どうかよろしくお願いしますだよ」


参加者
鉋原・ヒノト(駆炎陣・e00023)
喜屋武・波琉那(蜂淫魔の歌姫・e00313)
八千沢・こはる(ローリングわんこ・e01105)
一条・雄太(一条ノックダウン・e02180)
ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)
アリス・リデル(急製救世主・e09007)
黄檗・瓔珞(斬鬼の幻影・e13568)
塩谷・翔子(放浪ドクター・e25598)

■リプレイ


 12月24日クリスマスイブ早朝。
 襲撃を阻止すべくケルベロスたちは迎撃地点へと集まっていた。
 冬至を過ぎたばかりの冬の夜明けは遅い。
 空はまだ暗く地上には肌を刺すような冷たい空気が満ちていた。
 彼らは暖を取るべく火を焚いていた。
 黄檗・瓔珞(斬鬼の幻影・e13568)がその火の中に枯れ枝を投げ入れる。
 パチパチと音を立てゆらめく炎が彫りの深い瓔珞の顔をオレンジ色に照らす。
 顔には人の歩んできた人生が刻まれるという。
 瓔珞の顔はいつもの和かな表情だ。
 しかし明るい太陽の下では隠れてしまう陰のようなものが垣間見えた。
 アリス・リデル(急製救世主・e09007)が棒を手に火の中から何やらを取り出した
「やっぱ焚き火といえばこれっしょ♪」
 ムフフと含み笑いを浮かべるアリスの手にアルミホイルに包まれたサツマイモがあった。
 火が通りホクホクになったイモをアリスは幸せそうに口に運んでいく。
「イブに焼き芋ってのは色気もへったくれもないもんだね」
 塩谷・翔子(放浪ドクター・e25598)がフウとタバコの煙を吐き出す。
「こいつは朝のオヤツみてーなモンじゃん? この後ケーキにターキー、色んなモンを食べまくるのはXmasだし当然っしょ!」
「あー、そういう意味じゃなくってさ……」
 翔子の苦笑にアリスが丸い瞳をパチクリさせる。
 どうやら翔子のいう『色気』の意味はアリスに通じていないようだった。
「しっかしよー、せっかくのイブによりによってガキどもがいるとこを狙うなんてわかってねぇぜ。こーいうの『ぶすい』っつーんだっけ?」
 全くアリスの言う通りだが、色気より食い気な少女の口から飛び出た『ぶすい』に翔子は堪らず噴き出してしまう。
「ハハッ、そうだね。敵の復活やら虐殺がプレゼントなんてノーサンキューだ」
 敵への憤りで頬を膨らませたアリスに翔子が笑顔を見せた。

 八千沢・こはる(ローリングわんこ・e01105)が両手のひらをこすり合わせハァと白い息を吹きかけた。
「おはようございます、こはるさん。今日は赤のコートなのですね」
 背中からの聞き覚えのある声。こはるは元気いっぱいの笑顔で振り返る。
 そこにロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)の姿があった。
「おはようございます! へへへー。クリスマスカラーですよー」
 クルリと1回転してコートをはためかせるこはるにロベリアも自然と微笑んでしまう。
「人々の安寧を守るために共に戦いましょう」
「ハイッ! 今日はロベリアさんと一緒でこはるもすっごく心強いです!」
 真っ直ぐな瞳を向けてくる3歳年下のこはる。
 本当は人一倍臆病なロベリア。戦うよりも畑仕事の方が性に合うと自分でも感じている。
 だが願う、可愛い後輩の信頼に応えられる騎士でありたいと。

「孤児院を守るヒーローか。虎のマスクでも持ってくればよかったかな」
 そう呟いた一条・雄太(一条ノックダウン・e02180)の手に拙い文字の手紙があった。
「虎のマスク?」
 喜屋武・波琉那(蜂淫魔の歌姫・e00313)が雄太に不思議そうな顔を向ける。
 波琉那の手にもまた雄太と同じような手紙があった。
『ケルベロスのみなさん。わるいデウスエクスをたくさんやっつけてください』
 そう書かれた手紙に、鉋原・ヒノト(駆炎陣・e00023)はじっと目を落としていた。
「施設の子どもたちが書いてくれたんだって。職員さんがいってたんだよ」
 彼らが読んでいる手紙は波琉那が児童養護施設に挨拶に行った時に関係者から渡されたものだった。
「身寄りを失った子どもたちって……なんか他人事じゃないんだよねー」
 ヘヘヘとはにかむ波琉那。
 ふとヒノトの脳裏によぎるものがあった。
 それは両親を亡くしてからヒノトを引き取ってくれた叔父の顔であった。
 会話も少なくぎこちない関係であるが彼が居なければ自分はどうなっていたか。
「クリスマス……プレゼント、か」
 ヒノトがポツリと漏らした言葉。
 クリスマスは家族への感謝を示す日でもある。
(「でも神社の神職の叔父さんにクリスマスは怒られちまうかな?」)


 薄っすらと明らみ始めた空に聖なる日には不似合いな駆動音が轟く。
 こはるの視線の先。
 うす明かりの地平から接近する機械仕掛けのサンタとトナカイがいた。
「来ました! 覚悟しやがれです!」
 こはるが刀の柄を握りぐっと腰を落とす。
 刹那。地面を蹴り一直線に敵へと飛び出す。
 その後を追うように他の仲間たちも敵へと向かっていった。
 ケルベロスの動きに反応するようにトナカイも加速する。
 こはるが地を這うような前のめりな姿勢でトナカイと接敵。
「研ぎ澄ませ…………ッ、一閃!」
 全身のバネをもって抜刀一閃。
 弧を描く刃が空気を切り裂き、金属と金属が擦れ合う甲高い音が鳴る。
 直後。トナカイの足下の地面にフワリと刃の軌跡が浮かび上がった。
「『抜刀術“風蝕“』!」
 こはるの鋭い声と共に吹き上がった斬風が敵を包み込んだ。
 次いでロベリアがトナカイへと接近してみせる。
 斬風に包まれた敵へと果敢に突っ込み、大きな戦鎚を勢い良く振り下ろす。
「渾身の一撃を……くらえッ!」
 鈍色の槌頭が金色の装甲へと叩き込まれ後方へと吹き飛ぶトナカイ。
「やりましたか……ッ!?」
 しかし蹄からのジェット噴射で敵は無理矢理体勢を立て直すと、こちらの前衛陣へと頭の角を向けた。
 角から放たれる電撃。
 トナカイへと追撃を仕掛けていた雄太と瓔珞の視界が紫電に包まれる。
「チッ、近づかせないつもりかよ」
「なんとも厄介だねぇ」
 こちらの接近を拒むような電撃に2人は舌打ちする。
 その時、後方からヒノトの声が。
「目映い賦活の閃耀よ――」
 ヒノトが構えた杖から光の奔流が湧き上がり、橙色の瞳を無数の光芒が通り過ぎていく。
「『レイシアイベイション』!」
 掲げた杖の先から奔流が天へと駆け昇ると、頂点に達した光は輝く賦活の雨となって地へと降り注いでいった。
「これならやれる……連携プレイで切り抜けて、男の根性見せてやる!」
 賦活の雨に背中を押されるように電撃を潜りぬけた雄太の拳が一撃、二撃とトナカイに打ち込まれていく。
「目には目を、雷には雷をってねぇ」
 さらに間髪入れず瓔珞が手にした刀で雷を帯びた突きを繰り出していく。
 2人の連携攻撃にトナカイがたじろぎを見せる。
 そしてさらに追い込もうとした瞬間。
 トナカイの後ろから飛んできた赤熱の光線が2人の眼前に迫っていた。
 ――ドゴォオオン!
「みんな大丈夫!?」
 サンタが放った光線が前衛陣を一閃し爆炎が噴き上がる光景を目の当たりにし、波琉那が心配そうな表情を浮かべた。
「まだまだやれるはずさ。手分けして回復にあたるよ」
 愛用の『金針』を手に取った翔子が前衛の状況を確認しヒールへとあたっていく。
「うん……みんな、精一杯支援するからね!」
 戦いは始まったばかり。攻撃を再開した頼もしい仲間たちに波琉那も決意を新たにした。


 雄太が後方のサンタ目掛けがむしゃらにグラビティを放った。
 元よりダメージなど期待していない牽制の一撃である。
 一旦距離を置くようにサンタが動きだすのを見て雄太は仲間へと声を掛けた。
「今のうちだ。とっととトナカイから潰すぞ」
 ケルベロスは先に前衛のトナカイへと集中攻撃を仕掛け各個撃破する作戦を採った。
 さらに今回は攻撃的な布陣で挑んでおり、長期戦は期待できない。
 その為、作戦の成否は如何に素早く前衛を撃破できるかにかかっていた。
 かなり損傷の大きくなったトナカイがそれでもなお突進を仕掛けていく。
 切迫した状況だ。ケルベロス側の攻撃手が1人でも倒れれば戦況は大きく傾く事になる。
「Hey、させねーよ!」
 その一撃に割り込んだアリスが大きく吹き飛び地面を転がっていった。
「アリスちゃん!?」
 倒れたアリスの側に波琉那が駆けつける。小さなアリスの身体はかなり疲弊して見えた。
 事実、数少ない盾役のアリスへのダメージは大きかった。
「まだまだやれるっしょ……痛ッ!?」
 上半身を起き上がらせ波琉那に向き直るアリスだったが突然走った痛みに顔をしかめる。
「ちょっと待ってな、すぐに応急処置をしてやるからね」
 同じく駆けつけた翔子が手際よくアリスへと処置を施していく。
「この娘が前線に戻るまで持ち堪えておくれよ、シロ……」
 もどかしそうなアリスと翔子。
 彼女たちの見つめる先で相棒であるミミックのミミ君とボクスドラゴンのシロが残った盾役として前線を支えていた。
「あのね、アリスちゃん」
 辛そうなアリスへ波琉那が声をかける。
「アリスちゃんが一緒にライブしてくれるって言ってくれて私すごく嬉しかったんだよ。施設の子たちには『何も起きなかった良い思い出の日』をプレゼントしてあげたいの」
「Yeah! ツマラナイクリスマスなんてクソ喰らえだもんな。ガキどもにサイコーに楽しいクリスマスを届けてやろうじゃん♪」
 治療が終わりアリスが立ち上がる。その顔には新たな闘志が浮かんでいた。
「んじゃ、前座のサンタ退治はサッサと終わらせちまおーぜ――『まるで恋する生娘のように(レット・ヒート・イット)』!」
「うん! 命の翅音よ……舞て、汝に癒しの息吹を――『癒しの翅音』」
 アリスの燃え上がるビートと、波琉那の癒しの旋律が戦場へと響き渡った。
 トナカイの足元へと滑り込んだ瓔珞が地を薙ぐように刀を振るう。
 その刃を敵は間一髪で跳び上がり避ける。
 しかしそれは獲物を誘い込む瓔珞の罠であった。
「脳天、直撃!」
 すでに上空へと跳んでいたこはる。
 上段に構えた刀を袈裟懸けにトナカイへと振り下ろす。
 さらに地上の瓔珞が刀を切り返し、上へと飛び上がる。
 上下から疾風のような刃閃が敵へと吸い込まれる。
 そして、こはると瓔珞は同時にトナカイを蹴りつけ、その反動で一気に離脱してみせる。
 直後、2人がいた空間をサンタの放った光線が空しく通り過ぎていった。
 ガシャンと地面に落ちたトナカイが力なく首を上げる。
 その頭に自慢の二本の角は無い。先ほどの攻撃で2人に叩き斬られていた。
 トナカイの視線の先には戦鎚を振り上げるロベリアの姿があった。
「お前たちが惨禍を撒き散らし続ける限り、私はこの翼でお前たちに災厄を届けましょう」
 ロベリアの戦鎚に装飾された翼の飾りが空気を切り裂きヒュウと音を立てる。
 そしてグシャッと金属のひしゃげる鈍い音にそれは変わった。


 前衛が撃破された事により戦況は一気に動いた。
 残るサンタをケルベロスは果敢に攻め、そして追い込んでいった。
「いくぜ、アカッ!」
 ヒノトの持つ杖の先端の赤晶が光を放ち、ネズミのアカへとその姿を変える。
「ファミリアシュート!」
 アカがサンタへと突撃。全身の傷を広げてみせた。
 損傷激しいサンタが距離をとろうと下がっていくが、雄太が追いすがる。
「逃がすかよッ!」
 距離を取るのを諦めたサンタが雄太を迎撃しようと動きを止める。
 と、目の前で接敵した雄太の姿がかき消えた。
 直後、サンタの頭が雄太の両脚でホールドされる。
 敵の目の前で倒立してみせた雄太がその両脚を相手に絡みつけたのだ。
 流れるような動作で雄太が身体を捻る。
 見事な首投げが炸裂し、サンタは頭から地面に叩きつけられる。
「もらったよ」
 地面に倒れたサンタの視界に刀を突き出す瓔珞の姿が。
 瓔珞の刃の切っ先は狙い外さずサンタの首へと向かっていた。
 咄嗟にサンタが瓔珞へと右腕を向ける。
 瓔珞へと撃ち出された右腕がその刀を弾き飛ばした。
 しかし瓔珞は空中を『蹴り』体勢を立て直すと、手を突き出しサンタへと飛び込む。
「こっちが本命さ。喰らい、奪う―――『靈食み(タマハミ)』」
 サンタの首を絞め付けた瓔珞の両手が漆黒の霊気に包まれていく。
 すると瓔珞の手の触れた部分の金属がじわじわと腐食し崩れていくのが見えた。
 慌ててサンタは力任せに瓔珞を振りほどき、起き上がった。
 長い助走でサンタへと駆け出した雄太がケルベロスコートの胸ポケットに手を当てる。
 そこには戦闘前に読んだ子どもたちの手紙が入っていた。
「子どもたちに! 男の姿を!」
 雄太が跳躍する。
 いつもよりも高く、長く、華麗に空中を滑空する。
「伝説になった虎の一撃、見せてやる!」
 大きく旋回した雄太の背中をサンタが捉える。その背中は一際大きく映った。
「『虎尾脚(サヤマスペシャル)』!」
 強烈な回し蹴りがサンタの胴体へと叩き込まれる。
 ドンっとのけ反ったサンタはゆっくりと地面に倒れ伏し、その機能を完全に停止した。


 気がつけば朝日が昇り、周囲には清々しい朝の風景が広がっていた。
「こはるたちの完全勝利です! ざまぁみろです!!」
 喜びを露わにするこはる。
 と、こはるのお腹がグウゥと盛大な音を立てた。
「ふぇっ!? そういえば朝ごはんがまだでしたー」
 恥ずかしそうにお腹を押さえたこはるに、傍のロベリアがクスッと笑みを浮かべる。
「それではご飯でも食べに行きましょう。クリスマスらしいものを食べたいですね」
 無事に戦いが終わった事にロベリアは安堵する。
 もしもサンタがいるのならば、ロベリアは仲間たちの無事を願わずにはいられなかった。

「この後なんだけど、みんな時間あるかな?」
「ヒマだったらよー。ガキどもにクリスマスプレゼント配りに行くっしょ!」
 波琉那とアリスが仲間たちに声を掛ける。
「手紙のお礼とかもしたいし、俺は構わないぜ!」
 ヒノトがいうと、他の仲間たちも2人の提案にうなずいてみせた。
「そんじゃーコイツに着替えてくれよ♪」
 アリスの手にはサンタ服と白い付け髭があった。
「そんなものまで用意していたのかよ」
 雄太が苦笑する。
「そういう役目はおじさんがやりますよ」
 瓔珞の顔には穏やかな笑みが浮かんでいた。
「アカ、お前もサンタをやりたいっていうのか?」
 肩に乗ったネズミのアカにヒノトが驚いた顔を向ける。
「沢山サンタがいても賑やかでいいんじゃないか? 若い連中もサンタをやったらどうだ?」
 翔子がニヤニヤと笑みを浮かべる。
「みんなでサンタとか楽しいよね。翔子ちゃんにも、ほらっ!」
 波琉那の持ったセクシーサンタ服に翔子の顔が引きつった。

「アリスさんよろしいでしょうか?」
 戦場から移動を始めたケルベロスたち。
 ロベリアに背中から声をかけられアリスが振り向く。
「これ、1日早いけど誕生日おめでとうっ!」
 ヒノトが小さな包みをアリスに手渡す。
「中身はコンビニのお菓子だけどねぇ」
「アリスとは何だかんだで一緒に戦ってきたから一応な」
 そう言うのは瓔珞と雄太だ。
 ポカンとした顔をしたアリスであったが、すぐに満面の笑みを浮かべた。
「サンキュー、チョー嬉しいぜ!」
 聖なる日。彼らケルベロスに幸せなクリスマスが訪れん事を。

作者:さわま 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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