辺境の町で宿屋の依頼を受けた勇者の少女は、革袋を肩に抱え、片手の大きなメモ帳を読み上げながら歩いていた。
「えーと……『銀の木の実』よしと。『ハフハッフの肉』オッケー。あと『奪われた薬草12個』か」
何かのクエストの途中なのだろう、その少女を呼び止めたのは、ガラの悪い盗賊たち。
「薬草を取り戻しにきたのか。いいカモだぜ。ついでにその荷物、置いてきな」
「アンタらね! 町の人から盗んだ薬草、返してもらうわよ!」
少女は背中の大剣を抜いたと同時、盗賊に斬りかかる。
「ギャッ!」
VRギア型ダモクレスを装着したとも知らず、現実で自らが起こしてしまった惨事を少女は気づいていない。
現実世界では、逃げ惑う人々が追い掛けられながら背中を切られ、頭を割られ、地獄絵図が繰り広げられていた。
モニター向こうで盗賊が全て地に沈んだ後、軽快なジングルと共にクエストクリア。
少女は嬉しそうに大はしゃぎ。
「爽っ快! このバーチャルゲームすっごい面白い! 本当にゲームの中で生活してるみたい!」
笑う少女が通った道は血まみれ。店は荒らされ、死んだ現実世界の人々が横たわっていた。
言之葉・万寿(高齢ヘリオライダー・en0207)が説明を始める。
「中野区の商店街に、VRギア型のダモクレスを装着した少女が現れ、人々を虐殺する事件が予知されました」
そのVRギア型ダモクレスを装備した少女は、現実をゲームのように感じてしまうようで、その場にいる一般人達を盗賊や野獣などと錯覚し、殺しまわるという。
「少女のすぐ近くには、VRギアが実体化した少女のアバターが現れておるようです。実際に攻撃を行うのは、このアバターのようですな」
アバターは一定のダメージを与えると消失するが、少女のゲームを続ける意志が尽きない限り、すぐに新たなアバターが戦闘開始時と同じ状態で現れてしまうという。
少女とそのVR機部分を攻撃した場合、少女は身を守るためにアバターと合体して戦闘力を強化し、戦い始めてしまう。この状態時に倒せば少女と共にアバターは消滅して復活することはないが、少女も助からない。
だが、別の方法をとれば、少女を救出することは可能だ。
「こちらについてですが、少女のゲームを続ける意志を折るような形でアバターを撃破する事ができれば、VR型ダモクレスは撃破され、少女を救出してあげることが可能です」
少女は、ケルベロスやデウスエクスと同様、通常ダメージは無効となっているようなので、少女に対してグラビティによる攻撃を行わない限りは、アバターと合体する事はない。
「グラビティによる攻撃を1度でも行えば合体してしまいますぞ、ご注意下され」
救出方法は以下の通り。
VRゲーム機型ダモクレスは、ゲーム世界に相応しく無い現実を、ゲームの設定に合わせて修整して認識させているようだ。
「どうやら、ケルベロスについては『倒さなければならない強敵』であるように認識させる為、優しい言葉や、ケルベロスとしての説得の言葉は、ダモクレスによって都合の良い敵のセリフに変換されてしまうようなのです」
しかし、ケルベロスが最初から、ゲーム世界の設定に相応しい『倒さなければならない強敵』のような格好や演出をした場合、その言葉や行動をそのまま伝える事ができるようだ。
「これを利用すれば、少女のゲームを続けようとする意志を折る事ができるかもしれません。この子は、特にも収集癖が強いようですから、そのあたりを利用してやるのがよろしいかと」
『ゲームを続けようとする意志を折る』という事は、『このゲームつまんない、やーめた』と思わせることだ。少女の性格なども踏まえて考えると、うまくいく可能性が高くなるだろう。
「現場には、たまたま居合わせた吟醸がおります。少女はすでにVRギア型ダモクレスを装着してゲーム内に浸っているようですが、事を起こしてしまわぬよう、見張りながら待機しているようなので、いち早く駆けつけ、合流してやって下さい」
敵はチェーンソー剣を仕込んでおり、険技を得意としてるので注意されたし。
「うーむ……要するに、設定的には、世界を救う勇者様の……ジャマ? といった形にはなりますが、まあ、裏の裏は表になりますし、胸をはって勇者のジャマをして、人助けでございます!」
万寿は小さくガッツポーズをした。
参加者 | |
---|---|
難駄芭・ナナコ(バナナだバナナを食べるんだ・e02032) |
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036) |
カリーナ・ブラック(黒豚カリー・e07985) |
ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816) |
山田・太郎(が眠たそうにこちらを見ている・e10100) |
茶野・市松(ワズライ・e12278) |
神山・太一(かたる狼少年・e18779) |
夢乃・ねこ(ネコリュウ・e34446) |
●商店街はファンタジー
到着するなり目に飛び込んだのは、中野特有の風景。
VRギアを通した少女の目には、ここがどのようなファンタジー風景となっているのか、非常に興味がある。マニアックな店も多々あるので、ある意味ファンタスティックな町とは言えるが。
「勇者のジャマかぁ、胸が躍るな!」
黒いフードを被った悪い魔法使い風な風貌、難駄芭・ナナコ(バナナだバナナを食べるんだ・e02032)が清々しく言い放ち、それからグフフとゲス笑顔に移り変わる。
今回の任務は特殊なだけあり、他のメンバーも奇妙な格好をしていた。
カリーナ・ブラック(黒豚カリー・e07985)は、RPGゲームでよく見かける盗賊風の衣装……に黒いフリルが満載についたゴスロリ風衣装で、同じ格好をさせられて隣を歩くウイングキャットのかまぼこに言った。
「こんなの、遊んでいるときは楽しくても、終わったとき大変なの。早く止めないとなの」
言っていることは正論であるが、男子のかまぼこからしてみれば、このフリルは何とかならんものかといった面持ちで主人を見つめていた。
そう。少女を救うための小芝居。
勇者のジャマをしつつ、ゲームに対する気持ちを剥ぐ。
まずはその用意をしなくてはならない。
ここは商店街で、人通りは激しい。しかも、来場者数は人気テーマパーク並のビルがある。市民の避難が最優先だ。
「ねこちゃんとカリーナちゃんで、先回って市民の人達に事情を話してくるにゃあ」
ボクスドラゴンのねこどらちゃんを連れた夢乃・ねこ(ネコリュウ・e34446)が、カリーナと共に小走りで商店街に突入。
それを見送りつつ、神山・太一(かたる狼少年・e18779)がテレビウムのてっくんに言う。
「テレビフラッシュは使ったらダメだよ。攻撃対象はアバターのみ。いいね?」
てっくんはコクコクと頷く。
赤いペンギンの着ぐるみを着たヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)が、ヒラヒラしたヒレで商店街の奥を見渡した。
「くぁ、少女はどこにいるオチね~」
盗賊衣装の茶野・市松(ワズライ・e12278)とウイングキャット『つゆ』、そして山田・太郎(が眠たそうにこちらを見ている・e10100)も周囲を見回す。
それぞれコスプレにあたる格好で参上している訳であるが、中野という土地柄、周囲の一般市民はあまり違和感を覚えていないらしい。何かイベントでもあるのかな? 程度でスルーしてくれているのはありがたい。
「まあ、肉対策はパニックテレパスで……」
市松が作戦に移ろうとした時だ、どこからか悲鳴が聞こえ、周囲がどよめいた。
奥の青果店の方だ。
慌てて一同がその方向に走り出し、青果店前で見た光景に、思わずアッ! と声を上げる。
問題の少女がVRギアを装着し、布団叩きを手に暴れ回っている。
隣にはアバターがファンタジックな格好をし、青果店の店先を破壊しまくっていた。
そして……どうやらそれを阻止しようとして、やられたらしき日之出・吟醸(レプリカントの螺旋忍者・en0221)が床に転がっている。
一同すっかり忘れていた。ヘリオライダーからの指示で、現場の吟醸と合流してくれと言われていたのだった。
「わー!! 吟醸悪ィ! 合流するの、すっかり忘れてた!!」
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)がその場に入り込み、彼の安否を確認。
「う、うう……よ、良かった……吟ちゃん一人では、どうにもこうに……も」
ハデに暴れるアバターに、店はどんどん破壊されていく。
「ヤッター! こんなにたくさん実が生ってる! でも届かないー……えいっ、えいっ!!」
ブンと振り下ろされるアバターの剣に、周囲の市民はパニック状態。台や壁が壊される度に破片が飛び散り、それに当たった数名がケガをしてしまう。
「マズイでござるよ……! ど、どうするでござるか、作戦は?」
狼狽える吟醸に、太郎が言い放つ。
「少女を助ける!」
●銀の木の実
「ちょっと出しゃばり過ぎるようだな、お嬢ちゃん」
背後から声をかけられ、少女が振り返る。視線の先にいる太郎が、バンダナを巻いて両手にナイフを持つ盗賊に見えた。
太郎の後ろから、ナナコ、アバン、市松、太一も現れる。当然VRギアをつけた少女には、彼らが盗賊団の一味に見えている訳で。
「何よアンタら。ジャマする気なら……はっ倒すけど?」
「個人的な恨みはないが、邪魔させてもらうぜ」
ゲームはプレイヤーに優しいものだ。少女は自分が負けるハズがないとタカをくくって対応をしている。
こちらは、ヘリオライダーの指示から外れてしまったため、若干作戦が狂ってはいたが、がんばればこれから持ち直せる程度のズレだ。事前に果物が収集できないのであれば、その場ですれば良い。
ナナコが台の上に散乱したバナナの房を手に取り、その1本を口に放り込む。
「ウホッ! これは高いヤツ!」
質の良いバナナの風味に目がハートになると、それを見た少女が怒り始めた。
「ちょっと! それはアタシのアイテム! 返しなさいよ!」
飛びかかるアバターをひらりと避け、ナナコは目につく果物を拾い集めてアイテムポケットに投げ込んだ。
「残念だな! 銀の木の実はアタイが美味しく頂いていくぜぇ!」
それに続き、アバンと市松も、散乱した果物をアイテムポケットに詰め込んでいく。
「返しなさいよ!!」
「だーめ、これは僕達のなんだから! くれって言ってもあげないよー!」
太一の挑発にアバターが剣を振り回してきたが、その足下に座っていたてっくんに躓いた。
「えへへっ、流石僕の相棒! いい仕事するね!」
腰で果実の表面を拭き、シャリッといい音を立てて林檎をかじった後、雨音トートに入れられるだけ果物を入れていく。
転んだ少女が身体を上げると、目の前にいたねこと目が合った。やはりその場で果物をほおばられ、アイテムポケットに隠される。
「し、信じらんない! 何これ!? 次のフラグ!?」
目につく範囲に果物は落ちていない。アバンがこれ見よがしにアイテムポケットから取り出した果物にかじりついた。
「探し物は……これですかぁ?」
斜め35度あたりに小首を傾げられ、裏声で挑発された少女はカチーン。
「チョームカツクー!!」
ブンブンと音が鳴るほど剣を振り回され、ケルベロス達は猛ダッシュで青果店から飛び出した。
返せ返せと大騒ぎをしながら追い掛ける少女を見送り、吟醸がふらふらと起き上がる。
「よ、よし! いいでござるぞ! そのまま人通りの少ない方向に陽動できれば……! でも、商店街の中は人がいっぱいでござるよ!」
「くぁ、任せるのオチ! 流れ弾は全部受け止めてみせるのオチよ!」
ぺたぺたと猛烈なスピードでヒナタが後を追い掛ける。
●ハフハッフの肉
銀の木の実を持ち逃げしている盗賊団のケルベロスを追い掛けているうち、VRギアの指令が次を表示したようだ。
少女の見ている風景が岩の多い坂道へと変わり、点々と生物が現れ始める。
「あっ! あれハフハッフじゃない? 向こうに沢山いる!?」
きっと薬を追っていけば盗賊に辿り着く。そんな思いもあってか、少女の追い掛ける足が止まった。そして進路をハフハッフ……要するに、リアル一般市民に向けてきたのだ。
ニコニコ笑顔の少女が、アバターと共に剣を構えてこちらに向かってくる様に、市民は大騒ぎ。市松がパニックテレパスで対処しようとしたが、何をどうしていいかの指示が思い浮かばない。
「キャハハ! ハフハフ鳴いてる! おもしろい!」
現実世界のこちらは悲鳴が飛び交っているというに、少女はバーチャル世界で大爆笑。逃げ遅れた同じくらいの子供を壁に追い詰め、泣いてるその子の頭に向けて剣を振るおうとしたその時、ヒナタがヒラヒラのヒレでその剣を受け流した。
「あ! やせいのあかぺんが とびだしてきた!」
自分で言った。
「えっ!? 何? クエスト? ペンギン出て来た、よ……?」
「くぁ! そこな少女! ワ~タシの縄張りで何してるのオチ!」
「えー。アンタのナワバリなの? 私は勇者ぷりんって言うんだけど、ハフハッフの肉、とらせてくれない?」
「何? 勇者ぁ?? ファ~~冗談は格好だけにしとくのオチね~」
「何ぃ? アンタもジャマすんの!? そうはいかないんだから!」
追い掛けるのをやめた少女に気がついた太郎が急ブレーキ。反動で勢いよく少女の近くまでジャンプした。
「あっ!? またアンタ……!? もお、向こう行ってよ! ジャマしないで! 肉ならそこら中にあんじゃん! 自分でとれよ!」
当然こちらはそんな話に乗る訳もなく、ただひたすらジャマに徹する。
「なにも命を奪おうってんじゃない。ただこの辺で好き勝手するのは諦めてもらおうか」
太郎の台詞にヒナタも『そうそう』と合いの手を入れる。
そうこうしているうち、銀の木の実を持って逃げていたメンバー達も集まり始めた。
皆が意識をそらしてくれているうち、カリーナとねこ、吟醸が一般市民の誘導に入る。
少女が再び現れた盗賊団に剣を構えた。
「もお、めんどくさい! やるなら相手になるから、かかってくればいいじゃん!」
そこで一斉にワッと逃亡。
気がつけば、周囲にいたはずのハフハッフは見当たらず。銀の木の実も持ち逃げされ……。遠くの柱の陰から、太一が木の実をかじっているのが見えた。
「チョ……チョームカツク!! 待てーーー!!!」
真っ赤な顔をした勇者ぷりんが、再び追い掛けてきた。
●奪われた薬草12個
薬局まで辿り着いた少女の見る光景は、盗賊小屋の前。やっと奴らを追い詰めたと意気揚々としていた。
少女が中に入ると、盗賊団が勢揃いで待機している姿が。
「もお逃げられないわよ。盗んだアイテムも含めて、アンタたち全員ぶっ倒して全部もらうし!」
「怖い怖い。正義のために盗賊は皆殺しってか?」
太郎の横でアバンが笑っている。
「惚れ惚れしたなぁ……敵を全て斬り殺そうとするお前の姿」
時間が足りず、薬局の一般市民を逃がすことはできなかった。バックルームに避難させているので、背後に攻撃を流すわけにはいかない。
「勇者ぷりんめ、我々は盗賊の用心棒だ! 薬草は渡さない! ……の」
「僕達の邪魔をする子は、食べちゃうぞー!」
カリーナが気合いを入れ、太一が威嚇する。
「薬草ばかり気にしていると、そろそろ銀の木の実がなくなるぞ~コンプリートできないぞ~なの」
少女のガマンもここがピークだ。キーッとヒステリーを起こすと、こちらに攻撃を仕掛けてきた。
戦闘開始だ。
「ククク、じわじわと蝕んでやるぜぇ!」
本気なのか演技なのか、ギリギリなナナコの攻撃。
アバターに禁縄禁縛呪がからみつく。身体を拘束され、クッと動きが鈍くなった。
アバンの補助が味方を覆うと、ヒナタは安心して前に出た。
タイミングよくステップした後、高い位置からドラゴニックスマッシュをくらわせる。
「キャー!!」
少女から悲鳴があがったが、攻撃を受けているのはアバターだ。
それを横目に、市松が気力溜めを吟醸に施す。
「つゆ! 女の子に当てんじゃねぇぞ!」
言われなくともやらないよといった様子でキャットリングを放ち、軽く着地する。
アバターがそれを喰らい、バランスを崩した所に太郎がつけ込んだ。血襖斬りがクリティカルすると、少女はたまらず悲鳴を上げた。
「何なの!? すごい強いよコイツら! そんなハズないよ! だって初期クエじゃん! のっけからこんな強い収集クエストとか、ありえな……」
そこで太郎が笑い、更にヒナタが追い打ちをかける。
「単なる収集クエだと思ったか? 残念、中ボスイベントでしたぁー!」
「やっぱ、おつかいクエスト『しか』やらないヤツは、駄目駄目の弱弱のオチね~」
少女はショックで地面の中にめり込みそうな気持ちになり、それを代弁するかのようにアバターが大声を上げてメチャギリで踏み込んだ。
太郎に仕掛けたが、それをヒナタに阻まれるという、流れ的にも最悪な形。
「あ~なたの攻撃は『力』が足りない『技量』が足りない、つまりは総じて『強さ』が足りな~い!」
大口を開けてよろめいたアバターに、カリーナのグラインドファイアが炸裂。炎が巻き起こる中、太一のクイックドロウが大きくアバターの体力を奪った。
その隙にかまぼことてっくん、ねこどらちゃんが後衛の強化も兼ね、吟醸にヒールを。
吟醸がやっと普通に動けるようになると、ねこがその前に立ちはだかった。
「人の楽しみを利用して悪さをするなんて、許せないにゃあ」
アバターが振り返りざまに剣を振ったのを寸で受け止め、お返しに降魔真拳を腹にめり込ませる。
「よく聞けにゃ! ねこちゃん含むケルベロスがいる限り、このゲームは、誰一人倒れない、突破不能のクソゲーなのにゃ!」
ケルベロス的言葉を口にしたねこが何を言ったのか、VRギアをつけた少女には理解できなかったが、ただ一つだけ、その響きは少女の鼓膜に痛い程振動を伝えてきた。
クソゲー。
「ぎゃああ!! ヤダ! もおヤダ! さっきからおかしい、このゲーム! 全然アイテム集まんないじゃん! つまんない!! もおやめる!」
怒りに任せて少女がVRギアを自らハズした時だ。
ナナコが渾身の一撃で放ったファミリアシュートがアバターの顔面を貫き、その周辺の現実を歪ませた後、画面がブレたような錯覚を見せてから、少女の分身は跡形もなく消え去った。
キョトンと目を丸くする少女が見た光景は、所々破壊されて荒れた中野の商店街。
吟醸が慌ててフォローに入る。
「大丈夫でござるか? どこか痛んだりしてない? 主に、頭とか」
「な、何が……あった、んですか?」
とりあえず、周辺状況も含め、確認しながらゆっくり少女に説明してやらねばなるまい。
大きなショックを受けることがないよう、仲間達のサポートが必要になるだろう。
そんな少女を気遣ったアバンが、流石にはっちゃけ過ぎたと反省して頭を下げる。
「ごめんな。色々酷い事言ってさ……」
太一も我に返り、てっくんに聞いた。
「……てっくん。大丈夫かな。僕、ヒコーショウネンになってないかな」
カリーナが周囲を見回し、ふうと息をつく。
「あと建物のヒールと……果物は、ケルベロスカードで補填に……なるかな?」
少々序盤でバタバタし、商店街の損害が大きくなってしまったが、負傷者少々で死亡者がでなかったのは幸い。
よくよく考えればこの依頼自体、クソゲが世界を救う手助けになっている。事実は小説よりも奇なりとどこかの誰かが言っていたが、まことにそのような事件であった。
本日の任務はこれにて終了。
お疲れ様でした。
作者:荒雲ニンザ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年12月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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