光明神域攻略戦～産まれ呼ばれし水辺の力

■リプレイ

●緑に浮かぶ
　本州と四国を繋ぐ、瀬戸内海に浮かぶ淡路島。
　のんびりとした風景は今となってはその影も無く、全土を覆う緑の影。
「ここですね。本当に緑に覆われてしまっていますね……」
　と、大原・大地（元守兵のずんぐり型竜派男子・e12427）が見上げながら言葉を呟くと、それにティオ・ウエインシュート（静かに暮らしたい村娘・e03129）と星喰・九尾（星海の放浪者・e00158）が。
「観光地が自然の迷宮に……島全体を覆っているとなると、相当な大きさになりますよね」
「うむ、そうじゃの。ここだけでなく、琵琶湖と並行して現れるとは、大規模な事になっているものじゃのぅ」
「ええ。無事にバルドルさんを倒せたらゆっくり観光を……とか思ってましたが、これは相当復興に時間が掛かりますね。これはバルドルさん達にはきっちり責任を取って貰わないといけませんね！」
　と頷く。そして、寺本・蓮（眼鏡が本体疑惑・e00154）が。
「しかし今回はミドガルズオルムですか……確かヨルムンがルドの別称だったかな？　神話の情報と似た感じだとしたら厄介極まりないよね。戦わずに済むならそれに越した事はないけど、この一件が終わったらいろいろと考えて見るか」
　と言うと、萃・楼芳（枯れ井戸・e01298）も。燦射院・亞狼（日輪の魔壊機士・e02184）も。
「そうだな。この依頼が終われば、色々と分るかも知れない。その為にも、確実にバルドルは倒しておきたい所だ」
「んだな。まぁ何にせよ勝たねえと意味ねえしな。とは言えダンジョン探索しなきゃならねえとは、本当面倒くせえ……」
　溜息を吐く亞狼。それに武田・克己（雷凰・e02613）が。
「迷路だったか。真っ直ぐ進めれば楽なんだが、爆発されるのもなぁ……取りあえず挟み撃ちに注意して、慎重に進まねえとな」
　と言うと共に、水無月・香織（地球人の鹵獲術士・e30250）が。
「ええ。さぁ、迷宮探険の始まりですね！　皆さん気合い入れて行きましょうね！！」
　と拳を振り上げて、ケルベロス達は仲間達と分散して、侵入作戦を開始するのであった。

●深き木々の中に
　そして、緑に覆われし淡路島へ、西方から侵入するケルベロス達。
　左右を覆う、繁茂した植物。そして中の高い所は10階建ての建物がすっぽりと入ってしまいそうな所もあれば、低い所もあって、思った以上に中の高低差は激しい。
　でも生い茂る木々は、外からの灯を８割型遮断しており、薄暗闇が包み込んでいる。
　それが何処か自然と不安を抱かせる……そして、そんな森の中においては、予測はしていた通り、アイズフォンの通信は遮断されている。
「……やはり、な。連絡を取り合えれば楽になったのだが、やはり難しかったか」
「んだな。まーしゃーねぇだろ。さっさとデウスエクス達をぶっ倒さねえとなぁ」
　と楼芳に頷く亞狼。
　そして暫し奥へと進むと、見えてくるは分かれ道。
「っと、分かれ道か。さて、どっちに行くかな？」
　と亞狼が言うと、香織が。
「深く考えても仕方ないですよ！　ガンガン先に進みましょうよ！　そうですね、こっちです！　私の女の勘がコチラだと告げています！　さあ、行きましょう！！」
　と、前に積極的に進み出て進路を取る香織。
　そんな彼女の何処から出てくるか分らない自信に、一瞬は驚いた表情をした亞狼だが、九尾が。
「ふむ……まぁ、いいのではないかの？」
　と苦笑する九尾に、亞狼、そして楼芳が。
「んー……ま、んだな。複雑に考えといてもしゃーないだろ」
「そうだな。一応打ち合わせた時には、私達の担当方面は北西方向……つまり瀬戸内海側だ。そっちに向かう方向なら問題は無いだろう」
　と頷き、そしてケルベロス達は西から北方の方向に向けて移動していく。
　そして更に進んで行くと……段々と狭まる通路。
　少し昇り気味の坂を歩いたり、逆に下へと下るような道を歩く。
「うーん……」
　と、大地が悩み声を呟くと、蓮が。
「ん、どうしました？」
「いや、体型の所為かなぁ……横腹が壁に当たって歩きにくいなぁ……ダイエットした方がいいかな……」
　ぽつり呟く大地……蓮はちょっと苦笑しつつ。
「まぁ……そう思うなら頑張ってみないと。応援してますよ」
「うーん……まぁ、頑張ってみるよ」
　と大地は蓮に頷く。そして更にティオが左、右とぐるぐる見回しながら。
「暗い所も探索しますね。何か手がかりになるか分りませんし」
　と。克己が。
「ああ、宜しく頼む。ん……」
　……侵入して、大体１時間くらいしたその瞬間、遠くの方からウォォォ、という叫び声が聞こえてくる。
「どうやら、どっかで戦いが始まった様だな。となると、そろそろ俺達の所にも現れるかもな」
　改めて気合いを入れるケルベロス達……。
　すると……前方から声を上げて、突撃してくるドラグナー数体。
「……良し、来た様だぜ」
「全く、しゃーねぇなぁ……」
　克己、亞狼が相互に頷き合い、少し下がり、戦闘に都合の良い、広いところまで移動。
　そして対峙するよう、半扇陣で対峙する。
　ドラグナーは。
『ハハハ……！　邪魔するお前達を、さっさと倒してやろう！！』
　何処か自身あり気に笑い、そして攻撃を始めるドラグナー。
　巨大な剣の様なモノをふりかざして、左から、右からと一撃を叩き込んでくる。
　そんな強力な打撃を、即、ボクスドラゴンのジンと大地がカバーリング。
「っ……！！」
　どうにか耐えきるものの、大幅に減少した体力。
　……即座に香織が。
「回復は任せて下さい！　皆さんは攻撃を優先して下さい！」
　と、すぐさまサークリットチェインで盾アップと共に回復。
　そして、ドラグナー達の攻撃一巡し、次々とケルベロス達が反撃開始。
「おぅヤロー共、殺っちまえ」
　と亞狼が『Burning BlackSun 波』の強烈な一閃を叩き込む一方、大地、ジンは、それぞれシャウトと属性インストールで、体力を回復。
　そして、続くジャマーの蓮が、バッドステータス付与を優先する為、ドラゴニックミラージュの一撃で炎を付与する一方、九尾、ティオの二人は。
「さて、喰らって貰うとしようかの？」
「そうですね。相対したからにはお互い引けないです。覚悟して下さい！」
　と、降魔真拳、気咬弾を叩き込み、更に克己、楼芳のクラッシャー二人が。
「挟まれたら厄介だしな。前方だけでなく、背後の方にも気をつけないとな」
「ああ。そうだな」
　と頷き合い、速攻で倒すために全開で攻撃。
「伊達や酔狂でこいつを持って居る訳じゃない！」
「深き心淵より出でて、我が身に纏え」
　と『心淵より来たる真掩【渇】』で連続攻撃。
　確実に攻撃のターゲットを一体に集中させ、数を減らす事を優先しての攻防。
　勿論、ドラグナーは勢いと共に、決して退く事無い猛攻を仕掛けてくる。
　しかし回復をディフェンダー陣と共に、香織が注力することで、体力を維持。
　そして。
「踏み込みの速さなら負けんぞ！！」
「そうです、貴方達のミドガルズオルム召喚は私達が止めます！！」
　克己、ティオがそれぞれドラグナーに言葉を堂々と吐き捨てつつ、攻撃。
　そして……十分程が経過し、残るはボロボロの一体になる。
「さて、そろそろトドメといくとするかの」
　と九尾が、百鬼夜行絵巻物を展開し……最後の一匹を包み込み、滅す。
「……ふぅ。まずは一陣目の討伐完了か」
「んだな。だがまだまだ居るみたいだぜ？」
　楼芳に肩を竦める亞狼、そして克己、大地も。
「終わりが見えないってのも、中々にストレスがたまるもんだな」
「そうですね。でも、ミドガルズオルムを復活させる訳にもいきませんし……誰が見つけるかもわかりませんから、気は抜けません」
「ああ。そうだな」
　と頷き合い、そしてケルベロス達は更に奧へと向かうのであった。

●切っ掛けは
　そして、幾度と無く、カンギ軍の襲撃を受けるケルベロス達。
　かなり強敵ではあるのだが、戦闘後、早急に心霊手術を行うことで、体力を維持していく。
　そして……。
「風雅流1000年、神名雷鳳。この名を継いだ者に、敗北は許されていないんだよ！」
　と、克己が渾身の一撃を叩き込み、ドラグナーを倒した、その瞬間。
『……グ、ゴゴゴ……』
　と、突如震動が其の場を包み……そして、次の瞬間、植物迷宮の崩壊が始まっていく。
「……？　これは……もしかして」
「そうですね……恐らくバルドルが撃破されたのでしょう。バルドルが撃破された結果、植物迷宮がその状況を維持出来なくなり、崩壊が始まった、と……」
　ティオに頷く蓮、そして九尾、香織が。
「そうじゃな。他の班が倒せたのじゃろう。となると、これに巻き込まれる前に急ぎ脱出せねばなるまい」
「そうですね。皆さん、急いで！　こっちです！！」
　来た方角を元にし、脱出路にある、崩壊しつつある壁を破壊し、進む。
　幸いな事に、崩壊しつつある壁は反発の爆発をしてくる事は無く、スムーズに退路を進む事になる。
　そして……十分程度で、やっとの事で、外に到着。
「ふぅ、やっと脱出出来たか」
　と汗を拭いながらほっと一息白克己、そして亞狼が。
「んだなぁ……確かこのへん穴子やタコが獲れる地域だと思ったんだが……今はどーかな」
　と海を見る。それに蓮が。
「んー……と、確かにそうだったとは思いますが、でも、植物迷宮によって生態系がぐっちゃぐちゃにされてしまってるかもしれませんよね」
「そっか。んじゃー、しゃーねえか。折角ここまで来たんだし、食べてみてー所だったけどな。んじゃ、皆、そろそろ行こーぜ？」
　と亞狼の言葉に、ティオが。
「そうですね。皆さんお疲れ様でした。この後どうなるかは分りませんが……取りあえず火急の緊急事態は防げたと思いますし、ね」
　と安堵の笑みを浮かべて、そしてケルベロス達は、淡路島を後にするのであった。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2016年12月9日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 4
あなたが購入した「複数ピンナップ（複数バトルピンナップ）」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。