光明神域攻略戦~季節外れの新芽

作者:刑部

●淡路島上空
「ここが淡路島、ナンナが担当する琵琶湖と対となる美しい島ですね。さっそく、私の『超召喚能力』を見せるとしましょう」
 光明神バルドルが、手にした頭骨型の魔具を掲げると、淡路島全土を覆う植物の迷宮が生み出されていく。
 それを満足そうに見やったバルドルは、彼の護衛として付き従っていた、カンギ戦士団の面々に信頼の視線を向けると、軽く一礼する。
「では、私はこの中で、『ミドガルズオルム』の召喚を行います。皆さんには、私の身を守る警護をお願いしますね」
 そう言われた、カンギ戦士団の戦士達……ダモクレス、エインヘリアル、シャイターン、竜牙兵、ドラグナー、ドラゴンといった多種多様なデウスエクス達が、その信頼に応えるように胸を叩いた。
「任せて貰おう。我らカンギ戦士団、生まれも種族も違えども、確かな絆があるのだから」
 光明神バルドルが迷宮に入ると、それに続いて、カンギ戦士団の戦士たちも迷宮へと歩を進める。
 全ては、彼らの主たるカンギの為に。

「パッチワークの魔女を支配下に置いて、ハロウィンの攻性植物事件を起こしよった『カンギ』の軍勢が動き出しよった。この軍勢によって『淡路島』と『琵琶湖』が同時に植物に覆われてもたわ」
 いつになく暗い顔をした杠・千尋(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0044)が、関西地方で発生した事案について説明を始める。
「奴さんらの目的は、無敵の樹蛇『ミドガルズオルム』を召喚する事みたいや。
 ミドガルズオルムは、どんな方法でも破壊でけへんちゅー特性を持っとるらしく、地球上での召喚を許してもうたら、攻性植物のゲートを破壊しての侵略の阻止っちゅうのは、限りなく不可能に近い話になってまいよる」
 千尋の話を聞いたケルベロス達の顔も険しいものになる。
「さっきも言うた通り、淡路島と琵琶湖が植物に覆われて迷宮化してもうとるんやけど、中には『侵略寄生されたアスガルド神』が配置されとるみたいで、そのアスガルド神の神力を寄依にして、この大規模術式を展開しとるみたいや」
 絵図面を描きながら説明を続ける千尋。
「で、この迷宮は『カンギ』の配下の精鋭軍が守りを固めとるみたいや。
 『カンギ』配下の精鋭軍は、『これまでの幾多の戦いで、カンギが打ち負かし、配下に加えたデウスエクス』や」
 千尋が迷宮に居るのが攻性植物だけで無い事を説明する。

「植物迷宮は、淡路島と琵琶湖、それぞれ全域を覆い尽くとるわ。
 植物迷宮やから、壊しながら進むっちゅーのも不可能やないけど、植物の壁や床は破壊すると爆発してダメージを受けるみたいやから、ある程度迷宮に沿って移動する必要があるやろ」
 迷宮の構造について注意点を説明する千尋。
「広い迷宮のどこに『アスガルド神』がおんのかわかれへんから、チーム毎に開始地点や探索する地域を決めて、手分けしていくのがえぇかもしれへんな」
 千尋の説明に頷くケルベロス達。
「ほんで、や。敵は広大な迷宮だけやあらへんで。迷宮の中には『カンギ』によって支配された、攻性植物に寄生されたデウスエクスがおって、当然ながら侵入者を排除しようとしてきよるわ。
 迷宮内を巡回しとるやろうし、侵入者を見つけたら当然迎撃しようとしてくるやろうから、迷宮内にやとよっぽど上手い事隠れる事が出来へん限り、何処におっても敵の攻撃を受けてまう事になるわな」
 地の利は奴さんらにあるし、隠れる事が出来るのかも疑問やけどと付け加え、千尋は説明を続ける。
「迷宮を探索してデウスエクスを撃破し、中心におる侵略寄生されたアスガルド神『光明神バルドル』を撃破する事が目的や。撃破に成功したら、力の拠り所を失った植物迷宮は崩壊しよるやろうし、デウスエクス達も残っても意味無いから撤退していくやろ」
 この迷宮の主が侵略寄生された光明神バルドルであり、その討伐が目的である事を認識し、神妙な顔で頷くケルベロス達。

「淡路島と琵琶湖周辺の住民の避難は完了しとる。無敵の樹蛇『ミドガルズオルム』は、攻性植物サイドの切り札的な存在や。せやからこそ、喚ばれてまうと厄介極まりない存在になってまう。この召喚。絶対止めなあんあで!」
 瞳に決意を湛えた千尋は、そう言葉を締め括ったのだった。


参加者
リーファリナ・フラッグス(拳で語るお姉さん・e00877)
ミラン・アレイ(蒼竜・e01993)
物部・帳(お騒がせ警官・e02957)
七星・さくら(桜花の理・e04235)
九条・櫻子(地球人の刀剣士・e05690)
ミリム・ウィアテスト(ブラストトルーパー・e07815)
アーシィ・クリアベル(久遠より響く音色・e24827)
一之瀬・白(魂魄喰いの幼白龍・e31651)

■リプレイ

●迷宮
 淡路島の南東、洲本湾のある辺りから植物迷宮に突入した一行。
 近くから突入した別の班も居たが、時間の経過と共に遠く離れてしまったのか、付近に気配はない。
「……奥の手とか言ってたけど、もうドーンと壁ぶち抜いて進む?」
 最初は植物系の迷宮とはまた面白いな! とテンションが高かったリーファリナ・フラッグス(拳で語るお姉さん・e00877)が、うんざりした表情で振り返ると、
「ほんと、島規模の大迷宮だから平面でも冒険の香りぷんぷんなのに、階層があるなんてねー、ちょっと疲れちゃったよ」
 それに応じて、竜翼をパタパタと動かしたミラン・アレイ(蒼竜・e01993)が唇を尖らせる。
 一行が今居るのは……階層的に言うと、蔦を登り、なだらかなスロープを下ったりしたので正確ではないが、おそらく4階辺りだと思われる。
「案の定、隠された森の小路も効果がないしのう」
「着実に先山には近づいてるんだけどね」
 腕を組み思案気に顎を撫でる一之瀬・白(魂魄喰いの幼白龍・e31651)の前で、地図上にスーパーGPSで表示された自分達の位置を見て、アーシィ・クリアベル(久遠より響く音色・e24827)も嘆息する。
「他の班の目印にも遭遇していませんし、アリアドネの糸も交差してないので、進めているのは確かですから、このまま進んだ方が……」
 既に目印を付けていたスプレー缶もなくなった七星・さくら(桜花の理・e04235)が、控えめに意見を述べる。
 分岐が多すぎ、既に目印をつける行為もおざなりになっており、アーシィのスーパーGPSとさくらのアドリアネの糸だけが、一行が同じ道を通らず先山方向に向かっている証であった。
「敵にも遭遇していない事ですし、もう暫く進んでみるのがよいでしょう」
 耳をそばだてた物部・帳(お騒がせ警官・e02957)は喧噪の音も聞えないのを確認して口を開く。
 確かに隠密気流なども使っていない一行ではあるが、今までデウスエクス等に遭遇していなかった。
「他の班の動きも解らないしね」
 言ったミリム・ウィアテスト(ブラストトルーパー・e07815)が念の為スイッチを押してみるが、無線機からは大きなノイズ音が流れるだけだ。
 予想していた事ではあったが、無線も携帯電話も迷宮突入時から一切使用できなくなっており、多重構造で視界も効かないとあって、他の班と連絡をとるのは、ほぼ絶望的な状況だ。
「では進みましょう。ミドガルズオルムを召喚されてしまっては大変です」
 パンパンと手を叩く九条・櫻子(地球人の刀剣士・e05690)に促され、一行は再び奥に鎮座するであろうバルドル目指し、植物迷宮の中を進んでゆく。

●阻みたる者
「むっ、そこに居るのは何奴!」
 突入して1時間が経とうとした頃、スロープを上がって大きい部屋に出た一行に、誰何の声が飛ぶ。
 見れば侍の様な巨躯の男が、鞘から刀を抜きつつ此方を睨んていた。
「何故ここにペルシカム!?」
 その姿にミリムが声を上げると、ペルシカムと呼ばれた巨躯の男の眉がピクリと動く。
「おぉ、流石アスガルド最高の剣士である拙者の名はこの様な地でも知られているのだな」
 ちょーいい笑顔でうんうん頷き、謎のポーズをとったペルシカムは、
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。拙者はアスガルド最高の剣士にしてカンギ戦士団が一人、ペルシカム。非道の刃は持たねども、貴殿らが儀式を邪魔するケルベロスであるなら……この先、通す訳には参らぬ」
 口上を述べながら3度ポーズを変えたペルシカム。
「お知り合いですか?」
「見ての通り、ウザったい嫌な桃タロー野郎だよ」
 問う櫻子に答えるミリムの獣耳が、その声すら聴くのがイヤだと言う様に伏せられる。
「武器を捨て、大人しく投降せよ」
「hold up!タイホしちゃうぞ☆」
 特科刑部局手帳を突き付けた白とさくらが声を上げ、
「あれ、確かこの辺に……、あれぇ? えぇと、投降しないと酷い目に遭いますよ!」
 ポケットなどを調べまくった帳が、結局少し遅れて人差し指を突き付け声を上げる。
「投降? 投降ですと? フッ……」
 やれやれといった仕草で、めっちゃムカつく顔をして鼻で笑うペルシカム。
「戦士団が出て来るって事は、道順として間違ってないみたいだな。迷宮の奥で待ち構えるボスを撃つ為、ここは罷り通らせてもらうよ」
「私とキミの剣技、どっちが上か勝負だ!」
 その顔を見て、ずーっと緑の壁ばかりでちょっと探索に飽きていたリーファリナが、嬉しそうに腕を鳴らし、アーシィが『星河』を鞘から抜いて構える。
「のんのん。女子供が武装してはいけませんね」
 その様に立てた人差し指を左右に揺らし、ウインクするペルシカム。
「な?」
「……なるほど。ウザったいですね」
 尻尾をいやそうに振り同意の死線を向けるミリムに、大きく頷く櫻子。
「さすがのわたしもノーサンキューですー」
 そう口角を上げたミランも、くるっと回ってスターメイカーを構える。
 因みに登場からここまでの間にペルシカムは8回ポーズを変えていた。
「女子供を嬲るのは趣味ではありませんが、カンギ様の邪魔をするなら容赦はしません。掛って来なさい」
 9度目のポーズをとったペルシカムが啖呵を切ると、その体が桃色のオーラに包まれた。

●相撃
「古の龍の眠りを解き、その力を解放する。桜龍よ、我と共に全てを殲滅せよ」
 先手必勝とばかりに斬り掛ったのは櫻子。振り下ろされる刃に桜龍が踊り、その一撃はペルシカムを穿つに見えたが、澄んだ金属のぶつかる音が響いて、ぎりぎりのところで刃に止められる。
「一の太刀が駄目なら、二の太刀だよ。さっさとそこを通しなさい!」
 その櫻子の後ろから右に躍り出たアーシィが、弧を描いた斬撃を見舞う。
「こんな武装をするなんて、いけない子達だ」
 その一撃を喰らいながらも、カウンターの一撃をアーシィに叩き込んだペルシカムがまたポーズをとろうとするが、紅絆を放った桜に続いた白と帳の連続攻撃を受け、攻撃を捌きながら後退する。
「うざい攻撃なんて効かなくしてあげるんだからー」
 その隙に首元に水宝玉を躍らせたミランが描いた星座の文様が光り、前衛陣を回復すると共に穢れへの耐性を付与する。
 退いたペルシカムに拳を振るうリーファリナを追って、眼鏡をくいっと上げ、
「まだまだ。ポーズを決める余裕すら与えません」
 櫻子が音速の拳を見舞う。
「……まったく無粋なお嬢さん達だ」
 拳を振るう櫻子の下を抜ける形で、脛を削る蹴りを見舞ったミリムに一瞬だけ苛立たしげな表情を見せたペルシカムが、息を吐くと当時に刃を水平に一閃した。
「危ないですー」
 叫んだミランがアーシィを突き飛ばすと、ミランの脇腹が空間ごと裂け鮮血が飛び散る。
「ミラン! 回復お願い。……よくも!」
 アーシィは怒りを雷に変えて刃に宿し、踏鳴を起こしてペルシカムに突き掛った。

「ボクは女子供なんかじゃない。立派な騎士なんだ!」
 女子供と侮るペルシカムに怒りを湛えて言い返したミリムが、十字を描く斬撃を見舞う。
「この程度……所詮は子供ですね」
「なにおー! うっ!」
 その一撃を鼻で笑うペルシカムに眉を吊り上げるミリムだったが、次の瞬間、空間ごと裂かれて吊り上げた眉を苦悶に歪める。
 直ぐに後ろからさくらの回復が飛び、ミリムを庇う様に前に出たリーファリナが、
「人の事を女子供とバカにしている割には、余裕が無さそうだなペルシカム!」
 くるくると回したハンマーの槌頭を叩き付け、櫻子と帳がそれに続く。
「ふっ……口の悪い女子供達だ」
「負けない、ボクは負けない! 倍にして返してあげるんだよ、覚悟はいいですか」
 小馬鹿にしながら刀を振るい、リーファリナと櫻子に終結を強いるペルシカム。傷口を押えてそれを睨み付けたミリムは、拳に光輝のエネルギーを集中させると、ミランに気を取られたペルシカムの横腹にその拳を叩き込んだ。
「ぐおっ……ちょこまかと小賢しい……」
 その一撃にペルシカムの口調が荒々しくなり、尻尾の一撃を振るって下がる白に向かって刀を振るい、白とさくらに衝撃波をぶつける。
「どうした? 口調から余裕が無くなってボロが出てるぞ」
 アーシィの攻撃に合わせ、エンジンで加速したガントレットで殴りつけたリーファリナが、お返しとばかりにペルシカムを鼻で笑った。

 ケルベロス達による波状攻撃を受け、些か余裕の無くなったペルシカムだったが、それでもカンギ戦士団誇りか、巧みに刀を操りケルベロス達に出血を強いている。
「あとで帳くんが好きな物奢ってくれるわよ。踏ん張れ白くん」
 さくらが電気ショックを飛ばして白を鼓舞すると、
「局長殿の奢り……! ならば、淡路島の海の幸フルコースを是非!」
 僅かに口角を上げてそう応じた白の喚ぶ御業が、ペルシカムを掴んでその動きを縛る。
「減給されて懐が寂しいので、缶ジュースとかで良いですか?」
 2人のやり取りにそう返した帳が、素早く構えた『捕鳥部万』が火を吹くと、アーシィと櫻子がそれに合わせて身動きの取れないペルシカムに斬り掛った。
「おのれ……」
 ペルシカムはその連続攻撃に蹈鞴を踏むも、体を回転させて刀を振るう。
 巻き起こった烈風が衝撃波となって叩きつけられるが、ミランとリーファリナが仲間を庇ってその衝撃波を押し留める。
「きゃーっ、か弱いわたしを守ってっ」
 すかさず帳を盾にしたさくらが、オウガ粒子を放出して仲間を癒し、ミリムもヒールドローンを展開させる。
「隙ありじゃ、八卦と八極の合わせ技……その身でとくと味わうがよい!」
 白の踏み込みによる震脚から繰り出された外門頂肘。そこから流れる様に連続攻撃を繰り出す白の後ろ、
「どうでしょう? この頑張りに免じて、私がお二人に奢ってもらうというのは?」
 盾にされた帳も不敵な笑みを一瞬だけさくらに向けてペルシカムに向き直ると、白に反撃を見舞おうとするペルシカムを御業で掴んで縛りに掛った。

●勝利の天秤
 流石の連続攻撃に、片膝をついたペルシカムの肩が大きく上下に揺れている。
「ふっ……貴方達を侮っていた事は謝罪しましょう。ですが、私もカンギ戦士団の端くれ、ここを通す訳にはいかないのです」
 この期におよんで3度ほどポーズを変えながら独白するペルシカム。
「わかりますわかります。立場というものがありますしね。私達の方も、『ここを通らなければならない』のです。さぁ、聞こえるでしょう? 怨嗟の声が。見えるでしょう? 貴方が踏み躙ってきた者の姿、水底に烟るその魂が!」
 うんうんと頷いた帳が、立場という部分でちらりと白とさくらに視線を這わせ、応えるまま詠唱に入り血で陣を描くと、そこから伸びた影がペルシカムの足元で沼に転じ、沼から伸びた腐れ手が引き摺り込もうとペルシカムの足を掴む。
「えぇい、離せ!」
 その手を踏み付け、一瞬ペルシカムの気が下に逸れた瞬間、
「全てを打ち砕く界の怒りよ。力の猛り、轟きをもって我が敵を討ち滅ぼさん」
 リーファリナが描く魔術円から次々と砲門が現れ、這えずり燃え盛る炎を撃ち放ち、轟音と共に辺りが煉獄に染まる中、一気に距離を詰めるケルベロス達。
「解き放った竜の力……見せてあげるんだよ!」
「戦場で私の前に立ちはだかり、その進むを遮ると言うのなら……、いきます!」
 竜翼を覆うミランの蒼き光の翼が、煉獄を裂く蒼き閃光となってペルシカムを裂き、その煉獄をも凍らせ振るわれるアーシィの剣の軌道は目で追えず、凍った炎の砕ける様がその軌道を炙り出す。
「小娘っ!」
 だが、ペルシカムもさる者、その斬り抜け踵を返すアーシィに電光石火の突きを繰り出し、切っ先がアーシィの左太ももを貫く。
「乙女のやわ肌を傷つけた代償は高くつわよ」
 キッとペルカシムを睨んださくらがエレキブーストをアーシィに飛ばす中、
「まだじゃ。八卦と八極の奥義、出し尽しておらんぞ」
 突き刺した刃を抜けないでいるペルカシムに白。
 裡門頂肘……ヒジでアッパーを繰り出す様な動きの一撃を加えると、次々と拳を繰り出す。
「桜龍よ、再びその力を解放し、我と共に全てを殲滅せよ」
 更に逆側から櫻子。振り下ろされた刃は、桜吹雪を散らしながら肩から胸へと斬り裂いた。
「ガハッ……私が、アスガルド最高の剣士たる私が……」
 口から血と共にうわ言を吐くペルシカム。
「弱い女なんて思われたくない。だからボクは男を目指してるんだ! あなたを倒してボクはまた一歩を踏み出す! 覚悟!」
 跳んだミリムの光る拳がペルシカムの胸板を貫いた。
「……すみま……せ……カンギ様……」
 それが虚空を見つめ崩れ落ちたペルシカムの、最後の言葉だった。

 強敵ペルシカムを撃破した一行は、少しの休息を挟み植物迷宮の探索を再開するが、さくらのLa vierge printaniereと、アーシィの懐中時計『示された今』が、迷宮の突入から2時間半が経過した事を示した辺りで、迷宮全体が振動し始めた。
「うわっ、なになにー!?」
「迷宮が崩壊しそうです。誰かがバルドルを倒したのでしょう」
 きょろきょろするミランに帳が応じる。
「あー成程ね。って崩壊するんだったら脱出しないと!」
 うんうん頷いたリーファリナが、近い未来に起こるであろう自分達の姿に慌てると、皆も一斉に踵を返し迷宮からの脱出を図るのだった。

作者:刑部 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年12月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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