もえもえ(?)メイド純喫茶

作者:小茄


「あぁ、何てことだ……やっぱり中年男がメイドをやるメイド喫茶なんて流行るはずがなかったんだ……」
 いわゆるエプロンドレス。メイド服を完着したナイスミドルの紳士が一人、客の居ない喫茶店のカウンターで肩を落としていた。
 店の入り口には「閉店のお知らせ」と書かれた紙が貼られているのだから、客が居るはずも無いが、開店していた頃もこんな感じで閑古鳥が鳴いていたのである。
「いや、或いは……私の中に、どこか照れや羞恥心の様なものが有ったのかも知れない……もっとこう、萌え萌えなメイドになりきってやると言う強い意思が足りなかったのかも……クソっ! こんな筈じゃ無かっただろうがっ……脱サラして、女房子供に家を出て行かれてまで、俺が実現したかった夢はっ……!」
 やり場の無い怒り、後悔の言葉が絶え間なく口を突いて出る。無人の店内に、相槌も慰めも有ろうはずもないと言うのに。
「……」
 いや、いつからそこに居たのか、ハロウィンも過ぎたと言うのに仮装めいた魔女風の出で立ちの女。
 彼女こそドリームイーターの魔女集団『パッチワーク』の一人、第十の魔女・ゲリュオン。
 ――ズンッ!
「っ?!」
 ゲリュオンは、唐突に手にした鍵で店主の胸を一突き。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 外傷も無く、意識を失ってカウンター内に崩れ落ちるメイド店長。
「……お帰りなさいませ、ご主人様」
 そんな彼の代理を務めるかの様に、メイド姿をした中年男性――ドリームイーターが姿を現したのだった。
 

「脱サラして自分の店を持ちたい……そんな夢を叶えた男性が居たのだけれど、店はあえなく潰れてしまってね。酷く後悔して沈んでる店長さんが、第十の魔女・ゲリュオンにその『後悔』を奪われてしまったの」
 ヘリオライダーの説明によると、その奪われた後悔を元に、新たなドリームイーターが現実化してしまっている。
 放置すれば、人命に関わる事件を引き起こしてしまうだろう。
「このドリームイーターを撃破してくれれば、店長さんも眼を醒ますわ」
 新たな悲劇が起こってしまう前に、手を打ちたい所だ。
 
「戦う場所は、そのお店……えっと、メイド純喫茶店ね。喫茶店だから、テーブルや椅子などは並んでるけど、あなた達なら戦いの妨げにはならないでしょ」
 敵は先述のドリームイーターが1体のみ。
 カウンターの中で意識を失っている店主の他に一般人が来る可能性は無く、彼が攻撃されると言う事も無いので、戦闘となれば敵を倒すことだけに集中出来る。
 ドリームイータ―もまた、メイド服を着た中年男性で、トレイで殴ったり、メイド喫茶には付き物の萌え萌えなポーズやセリフで攻撃してくるらしい。
「あ、そうそう……店に乗り込んでいきなり攻撃する事も出来るけれど、このドリームイーターはあくまで客をもてなす事を考えて居るわ。客として入店し、サービスを楽しんであげると、敵の戦闘力が下がったり、店主が意識を取り戻した後に、前向きな気持ちになれたりって言う利点があるわね」
 中年男のメイド喫茶でどう楽しめと言うのかは不明だが、まぁそう言う手もあるとヘリオライダーは説明した。
 
「ちょっと変わり者の店長さんの為にも、そして何よりドリームイーターによって人命が奪われる事が無い様に、宜しくお願いね!」


参加者
ラトウィッジ・ザクサー(悪夢喰らい・e00136)
アウィス・ノクテ(ノクトゥルナムーシカ・e03311)
熊谷・まりる(地獄の墓守・e04843)
ステラ・ハート(桃色夜咲睡蓮・e11757)
安藤・洋(エクストラオーディナリィラブ・e24041)
日御碕・鼎(楔石・e29369)
夜吉・タピリ(夢糖・e30198)
峯樹・杏(もふもふぺちか・e31014)

■リプレイ


「単なるメイド『喫茶』ではなく、『純喫茶』という所が奥深い気がする……」
 裏道にひっそりと存在するメイド純喫茶。その店構えを見て、呟く熊谷・まりる(地獄の墓守・e04843)。
 奥深すぎて、閉店のやむなきに至ったと言う見方も出来るが。
「世の中いろんなお店があって楽しいのじゃ!」
 こちらはマイペースに笑顔のステラ・ハート(桃色夜咲睡蓮・e11757)。
 メイド喫茶は初という事もあり、服装もお嬢様らしく清楚におめかしをして万全の構え。
「わしも実は、入るの初めてゆえドキドキしますのう!」
 こちらもテンション高めで初メイド喫茶に挑む夜吉・タピリ(夢糖・e30198)。
 客を満足させる事がドリームイーターの目的であり、それを果たさせてやる事が任務にとってプラスになると言う。彼女達の様に、自然体で楽しめるのであればこれ以上の適役も無いだろう。
「喫茶店と思えば、まあ。何て事の無いお店、ですよね……」
 一方、自分に言い聞かせるように呟く日御碕・鼎(楔石・e29369)。
 接客に不満を覗かせればドリームイーターは全力で襲いかかって来るとか。
「女の方が大好きだがよォ、こう言うのも面白ェ。行くとするか」
 女好きを自認しつつも、面白ければ何でも良い。安藤・洋(エクストラオーディナリィラブ・e24041)は豪快に言い放つと、ドアノブに手を掛ける。
 ――カランカラン。
 来客を告げる鐘もどこかノスタルジックな響き。
 店内もやはり、外観を裏切る事なく昭和モダンな雰囲気。店が開かれたのはつい最近の筈だが、まるで何十年も前からこの場所で営まれていた様に錯覚させる程だ。
 花柄のカバーが掛けられた黒電話。年代物ながらよく手入れされているらしい蓄音機。並ぶレコードも店主のこだわりを感じさせる名盤。全ての物がそこに有るべくして有る様な、調和の取れた喫茶店と言って良い。
 唯一場違いと言うか、間違えて混ざってしまった異物の様な違和感を感じさせる物が有るとすれば――
「お帰りなさいませっ、ご主人様っ! お嬢様っ!」
 駆けない程度に足早に近づいて来るエプロンドレス。可愛らしく胸にトレイを抱え、主達の帰宅を喜ぶ満面の笑顔。
「うわぁ、生メイドさんだ!」
 目を輝かせて、思わず歓声を上げる峯樹・杏(もふもふぺちか・e31014)。
 心の準備をしていたとは言え、現物の圧倒的存在感を目にして言葉を失う者も居る中、全力の笑顔で反応するのはさすがだ。
「さぁどうぞお掛けになって下さい。あ、すぐにおしぼりをお持ちしますねっ」
 にっこりスマイルのままテーブル席へ一行を通したメイドは、無駄に可愛らしい仕草を交えつつカウンターへと戻って行く。
「立ち振る舞い、すてき。とても見習いたい」
 無理に褒めようとしている訳ではなく、たどたどしい口調は普段通り。アウィス・ノクテ(ノクトゥルナムーシカ・e03311)も、興味津々の様子でメイドの仕草に注目する。
 彼女の様に小柄で可愛らしい女性が同じ振るまいをしたならば、さぞかし殺傷力の高いメイドさんになるのだろうけれど。
「お待たせしましたっ。あつつっ! 熱いので気をつけて下さいねっ」
 バスケットに入った熱いおしぼりを、一人一人に手渡してゆく。
 エプロンドレスに身を包み、あざとい振る舞いと口調で甲斐甲斐しく主達の世話を焼くメイドは、何度見直してもやはり4,50代と思しき中年の男性である。
 世の中には男性がばっちり女装をして客をもてなす店も存在する。しかしこの店では、中年男性が中年男性のままメイドと化している。
 その、どう受け止めれば良いか解らない感じもまた、店が流行らなかった原因の一つだったのかも知れない。
(「アタシ……分かるわ。分かるのよ。メイドさんへのあこがれ・トキメキは万人共通……そう、性別も年齢も、何もかも関係ないのよっ!」)
 否、おしぼりを受け取りながら、強く頷く者が居た。ラトウィッジ・ザクサー(悪夢喰らい・e00136)、その人である。
 身長190cmを超える美丈夫の彼――いや、彼女と言うべきだろうか。彼女もまた、男でありながら性別はお姉さん。
 ならばこそ、おじさんのメイドが居たとして何の不都合があろうか。この近辺に住む人々が、皆ラトウィッジの様な度量を持っていれば、きっとこの店も繁盛していたのかも知れない。
「お嬢様、ご主人様っ。ご注文が御座いましたら、なーんでも仰って下さいねっ!」
 ともかくも、無事入店を果たした一行はメイドに促される様にしてメニューを開くのだった。


「私はオムライス、ペチカにはホットケーキを」
「畏まりましたっ。お嬢様はお決まりですか?」
「わわ、お嬢様って呼ばれると何だか照れてしまいますじゃ……っ。では、わしは紅茶を頂けますじゃろか?」
「では僕は、も、萌えカフェオレを……」
「はーい。腕によりを掛けて作ってきますから、少々お待ち下さいねっ!」
 メイド喫茶初体験のメンバーも多い中、何とかオーダーまで終える事が出来た。
「この、美味しくなるおまじない付きとは何なのじゃ……?」
「オムライスには、ケチャップで好きな絵を描いて貰えるそうですよ」
「えっと、猫のラテアートお願いしたい」
「そりゃ良い。ああいう小洒落たテクニックとか見るの好きなんだよなァ」
 一同が談義に華を咲かせていると、今度はトレイにティーカップやお皿を載せてメイドが戻ってくる。
 8人分のオーダーにしては脅威的な速度だ。
「お待たせしましたっ」
「……ミルクと砂糖をまぜまぜして頂けるなら、是非に!」
「畏まりました、お嬢様っ。ミルクとお砂糖はどれくらいで? はいっ、宜しければお嬢様もご一緒に」
「「まぜまぜ♪ くるくる♪」」
 タピリの紅茶に砂糖とミルクを入れ、まぜまぜするメイド。
(「ああこの渋さと甘さが融合したメイドさんの動作、滲み出る大人の魅力……これが萌えというもの……!」)
 萌えの数は無限。タピリもまた、独自の萌えを見出した様だ。
「はなまるケチャップが良いわ。それに魔法も掛けて貰わなくっちゃ」
「畏まりましたっ。では……」
 洋食店で出てきそうな大きなオムライスに、ラトウィッジのリクエストを受けてケチャップを手にするメイド。
 ベテラン小学生教諭よろしく、迷いの無いラインで花丸を描き上げる。
「さぁ、お嬢様もご一緒に」
「「おいしくなぁれ♪」」
 指でハートマークを作り、美味しくなるおまじないを掛けるメイドとお姉さん。謎の一体感である。
「自分は猫をお願いします。あと……渋く何か一句詠んで下さい!」
「ええっ!? 俳句ですかぁ……私、俳句なんて詠んだこと……そぞろ寒此処にも一つ松実かな……なんてどうでしょう」
 まりるのリクエストで猫の顔を描きつつ、句を詠むメイド。
「なるほど。落葉と共に転がる松の実、松ぼっくりと、ひたすらに主を待つ身であるメイドの心を表現しているわけですね。イラストもお見事です」
 俳句を考えつつ描いたとは思えない、完成度の高い猫の顔。肌の露出を控えたヴィクトリアンタイプのエプロンドレスを着こなすだけあって、卒の無いメイドっぷりに、まりるも納得の表情。
「えっと、アウィスも猫を」
「畏まりました、お嬢様っ」
 ケチャップより更に難度が高いのが、飲み物の上に絵を描くラテアート。
 厳密には、ミルクを流し入れる以外の作業を含む物はデザインカプチーノと呼ばれるが、こちらも見事な手さばきで猫を描き上げて行く。
「もこもこにライン引かれてくの楽しい。だんだん猫ができてくるのすごい。すごい、すてき」
「おぉ、イイじゃねェの。大したもんだぜ」
 目を輝かせ、賛辞を惜しまないアウィス。洋もまた、予想を上回るメイドの手並みに感心の様子。
「うむ、なんとスキルの高いメイドじゃ!」
 正しい方向にスキルを活かしていればさぞかし繁盛しただろうに。とは言わず、素直に感動するステラ。
「お嬢様は本当に猫がお好きなんですねっ。はい、出来ましたっ♪」
「見て見てペチカ! かわいいーっ♪」
 こちらも猫の描かれたオムライスを前に、パチリと写メを撮る杏。一方、ウイングキャットのペチカも自身の前に運ばれたホットケーキにかぶり付く。
 この店では食べ物も飲み物も、十分主役になり得るだけのクオリティを備えている様だ。
「ご主人様、ご一緒にー」
「は、はい……こうで大丈夫、ですか?」
「「もえもえー、きゅんっ♪」」
 メイドと二人で、指でハートを作りポーズを取る鼎。
 顔を赤らめて恥ずかしそうにはしているが、彼なりに楽しんで居そうな雰囲気は伝わってくる。
 メイド喫茶では、そんな気恥ずかしさを楽しむ事もまた醍醐味なのだ。


「わあわあありがとう! お部屋に大事に飾っときますっ♪」
 ボリューミーなオムライスや、薫り高いコーヒーや紅茶に舌鼓を打った後、希望者はメイドとの記念撮影を行っていた。
 満腹になって少し眠そうなペチカ、萌えポーズを決める自分とメイドの3ショット写真(メッセージ入り)を大事そうに仕舞い込む杏。
「良く撮れてるじゃねェか」
 洋もメイドとの記念撮影をしたが、こちらはなんだか威圧感有る強そうな2ショットに見える。
「さて、お腹も心も満たされたところで……」
 何だかんだで、おやじメイド喫茶を満喫した一行。ラトウィッジの言葉にコクリと頷く。
「お出かけですか? お嬢様、ご主人様……もえ、寂しいな。待ってますから、早く帰ってきて下さいねっ!」
 席を立つ一同に、寂しそうな表情でお別れの言葉を口にするメイド。今更ながら、胸の名札には「もえ」と描かれている。彼のメイドネームらしい。
「本題! 全力でぶん殴ってさしあげるわ!」
「後悔は大事。これ取られると、悲しい」
 アウィスの透き通る声が、旋律を紡ぎ出す。それを合図に、一斉に行動を開始するケルベロス。
 そわそわと右腕に蠢くオウガメタル「瞬く進貢」が、ラトウィッジの意思に従って鋼鉄の拳を叩き込む。
「がはっ!?」
 強烈な一撃を受けて吹き飛ぶメイド。
「累次せよ 再来せよ 偶然という名の希望よ」
 カウンターの奥に寝ているであろう店主に心を配りつつ、追撃を掛けるまりる。
 彼女独自のグラビティ、望的畳句(キボウテキリフレイン)が起き上がろうとするメイドを撃ち抜く。
「……お嬢様、ご注文が御座いましたら……何でも仰って下さい」
 メイドもすぐさま立ち上がり、戦闘モードに移行しつつも口調や表情は変わらず。
「お好みの世界はどんなかえ?」
 メイドの攻撃に備える様に、幻想的な癒やし――睡蓮鉢の世界(スイレンバチノセカイ)を展開して仲間の耐性を高めるステラ。
「店があんまグチャらねェように、とは思ってっけども……がんがん行くしかねェよなァ」
 巨大な鉄塊剣を振り上げ、力任せに振り下ろす洋。下手に配慮して長引かせるより、速攻で片付ける方がかえって被害が少なく済む物だ。
「援護する」
 実を纏う闘気を弾丸に変え、放つ鼎。
 メイド喫茶の雰囲気に飲まれ気味だった青年はどこへやら、正確な援護射撃でメイドに立ち直る暇を与えない。
「い、言っておくけど……」
 波状攻撃の前に、劣勢に立たされ続けるメイドだが、ここに来て何やら口を開く。
「お嬢様やご主人様の事なんて、好きじゃないんだからねっ! ……ただ、大好き……なだけなんだから」
「これが……ツンデレ! 何と手強い……」
 思わずよろめくタピリ。彼女のツボはやや特殊な様だ。
「くっ……そんな可愛い顔で見つめてもダメなのですじゃ! 余所見、ご注意くだされませっ」
 頬を赤く染めつつ上目遣いで言うメイドの魅了を拒みつつ、放つのは白き流星雨。
「戦うメイドさんもいいよね! でも、行くよペチカ!」
 杏の腕から伸びるのは、ブラックスライムにより形成された鋭利な槍。ペチカも呼びかけに応えて爪を伸ばすと、メイドへ飛びかかる。
「っ?! ご主人様、お嬢様……お早い……お帰りを」
 一行を心ゆくまでもてなしたメイドは、相当に弱体化もしていたのだろう。笑顔のまま突っ伏すと跡形も無く消えていった。
「殆ど大丈夫の様ですが、一応ヒールしておきましょう」
「そうね。あわよくば可愛くなぁれっ、萌え萌えきゅーん★」
 早期決着も実現し、殆ど被害を出す事も無かった店内。鼎とラトウィッジが念のため、テーブルや椅子を直してゆく。
「これ、メイドよ、大丈夫かえ?」
「う……あれ? えっと、私……居眠りしちゃってました!?」
 一方カウンターの中、ステラに揺さぶられて目を醒ます店長。
 寝起きですぐにメイドとしてのスイッチを入れられるのは驚愕だが、こちらも大事無さそうだ。


「なかなか楽しいお店じゃったよ」
「僕も、貴重な経験が出来ました……」
 ステラの言葉に頷きながら、控えめな表現の鼎。
「最後にお嬢様やご主人様をおもてなし出来て、私も嬉しかったです!」
 夢の中でも一行をもてなしていたのだろうか、笑顔で店長は応える。
「とてもすてきな時間だった。あんなサービスある執事喫茶も楽しそう」
 アウィスも微笑んで言うが、最初から執事喫茶にしていれば丸く収っていたのでは……と言う説もある。
「アタシはこのままでも素敵だと思うけどね」
 食後の一杯とばかり、店主謹製のラテアートを飲むラトウィッジ。
「じゃーん! どうかな?」
 と、店の奥から出てきた杏は、エプロンドレス姿。
「わぁ! とてもお似合いです、お嬢様っ」
「有難うございますっ。でも、良いんですか?」
「勿論です。私は着られませんから。ここも閉じちゃうと、置き場所にも困っちゃうし」
 サイズを間違えて購入したまま、取ってあったらしいエプロンドレス。
 着てみたいと言う杏のリクエストに応えたばかりか、くれるという。
「夢を叶えるのは大変なことですけど、でも、困難の先に成功があると思いますじゃ」
「仰る通りです、お嬢様。今回の事も、メイドとして成長する良い機会だと受け止めて、前向きにやって行く勇気が持てました!」
 励ましの言葉を掛けるタピリに、力強く頷くメイド。
 店が潰れても、メイドとしての生き様は続けていくらしい。
「っつーか、店のコンセプトは悪くねェンだよなァ。まだ夢が燻ってンなら、またやりゃイイんだぜ」
「はい、まずはご主人様やお嬢様が何を望まれているのか、それを考えるべきでした」
 洋の言葉にも頷きながら、後悔とは異なる反省点をしっかり見据えた様子のメイド。
「では我々もそろそろ帰……いえ、お出かけするとしましょうか」
 店主が再び前を向いて歩み出せる事を確認した以上、任務は完遂されたと言えるだろう。まりるの言葉に頷いて、店を後にする一行。
「行ってらっしゃいませ、お嬢様、ご主人様っ。お早いお帰りをお待ちしてますっ!」
 かくして、風変わりなメイド喫茶の事件を無事解決した一行。
 笑顔で手を振る中年男性メイドに見送られつつ、帰途へ着いたのだった。

作者:小茄 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 2
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。