脱衣麻雀ゲームこそ至高の娯楽!!

作者:質種剰


「脱衣麻雀ゲームこそ世のゲームジャンルの中で最高に面白い!!」
 富山県某所の空き地に現れたビルシャナの主張は何とも即物的なものであった。
「半荘勝てば女の子が1枚脱いでいく達成感! 段階を追う毎に増していく露出度と興奮!! しかも最後まで勝ち越した時には潔くフルヌードになって、恥ずかしがる表情やセリフに反して一糸纏わぬすっぽんぽんとのギャップを拝めるのだ!!!」
 麻雀に勝てば女の子が1枚ずつ服を脱いでいく。
 そんな即物的かつ解り易いご褒美に踊らされた男性は、ゲーマーでなくとも少なくないと思われる。
「ましてや選べる対戦相手は1人ではない。可愛い女子学生からボーイッシュなスポ根少女、大人の色香ムンムンなお姉さんキャラからツボをついた妹属性キャラまで選び放題! 全裸になった後も強気な態度をやめないS女キャラだっているのだ!!」
「おお~っ!」
 ビルシャナの澱みない説明を聞いて、奴の周りに集った聴衆が歓声を上げる。
「脱衣麻雀は大抵2人打ち故にテンポよく遊べる利点がある。それでいて、女の子との真剣勝負の末に勝ち得たという喜びが、より一層、女の子の裸に興奮する素晴らしいエッセンスとなるのだ!!」
 静かな住宅街の一角、真昼間に相応しくない卑猥な演説がいつ終わるとも知れず続くのだった。


「そりゃ脱衣麻雀も良い物でありましょうが、世の中には、脱衣麻雀でなくても女の子の裸が見られるゲーム、いっぱいありますよ? ブロック崩しとかー、クイズゲームとかー」
「落ち着け小檻さん、まだ具体例を出すタイミングじゃない」
 小檻・かけら(鉄球ヘリオライダー・en0031)がぺらぺら喋り出すのへ、真面目にツッコミを入れるのは久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)。
 『脱衣麻雀ゲーム唯一主義ビルシャナ』の出現を察知できたのは、航の調査のおかげである。
「おっと、これは失敬……今回、悟りを開いてビルシャナ化した人間の撃破をお願いしたいのでありますが、その為には取り巻きの一般人信者とも戦って頂かなくてはなりません」
 何分、標的の居場所がはっきりしているため、脱衣麻雀ゲーム唯一主義ビルシャナが周囲の人々へ自分の考えを布教している最中に直接乗り込んで、戦闘を仕掛ける流れとなる。
 ビルシャナ化した人間の言葉には強い説得力があり、そのまま放置すれば一般人達も配下とされてしまう。
「皆さんにはぜひとも、脱衣麻雀ゲーム唯一主義ビルシャナの主張を覆せるぐらいの、インパクトある主張を行って頂いて、周囲の人々が配下になるのを防いで頂きたいであります」
 かけらは続ける。
「ビルシャナの配下となった人達は、ビルシャナが撃破されるまで共に襲いかかってきますが、ビルシャナさえ倒せば元に戻りますので、皆さんならきっと助けられるであります!」
 ビルシャナが教義を語っている場所は住宅街にある空き地で、一般人は既に16名程集っているようだ。
「脱衣麻雀ゲーム唯一主義ビルシャナは、理力に溢れた破壊の光を長い射程で放って、プレッシャーを与えてくるであります。その上、八寒氷輪を遠くまで投げて氷漬けを狙ってもきます。両方とも複数の相手に命中するでありますよ」
 また、孔雀炎を用いて、単体へ火傷を負わせもするようだ。
「配下はハードカバーの本を凶器がわりに投げつけてくるであります。彼らをビルシャナより先に倒してしまうと命を落としかねないので、くれぐれも注意してください」
 ビルシャナのポジションはキャスター。これは配下達も同様である。
「教義を聞いている信者はビルシャナの影響を受けてるでありますから、理屈だけでは説得することは難しいやも……何かインパクトのある演出を考えるのが宜しいかと」
 今回なら、脱衣麻雀ゲーム好きを打ち負かす論理……脱衣麻雀ゲーム以外のお色気ゲームの良さをあらゆる方法で納得させるべく、頑張って欲しい。
「ビルシャナとなってしまった人を救うのは……もう不可能でありますが、せめてこれ以上被害が大きくならないよう、脱衣麻雀ゲーム唯一主義ビルシャナの討伐、宜しくお願いします……」
 かけらはそう締め括って、ぺこりとお辞儀した。


参加者
久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)
ペテス・アイティオ(また笑顔を取りもどすといいな・e01194)
月神・天(ミスめんどくさい・e08382)
ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)
ニルス・カムブラン(暫定メイドさん・e10666)
ヘルメス・メリクリウス(変態執事・e17045)
天霧・愛樹(明日から本気出すわよ・e19865)
二階堂・燐(丘に立つ愚者・e33243)

■リプレイ


 富山県某所。
「脱衣麻雀ゲームこそ最高!」
 ビルシャナと信者の集う空き地へ、8人が降り立つ。
「嘘ついちゃいけないです! ホントに脱衣麻雀が最高だと思ってるんですか!?」
 まずペテス・アイティオ(また笑顔を取りもどすといいな・e01194)が、キッと強い視線を向けて詰問する。
「違うでしょう! 別にお色気ゲームだったら別になんでもいいんでしょう!?」
 烏龍茶飲み飲み捲し立てるは、脱麻の暗黒面だ。
「あなたたち、アーケード脱衣麻雀の厳しさを知らないんですか!? 最初だけちょっと勝たせておいて、大事な場面になったら3順目に国士無双! コイン入れてコンティニューしたら即座に天和! 底のない貯金箱です!」
 ソシャゲだって、爆死しても何らかの成果はデータとして残るのにですよ!?
「コンシューマー版の規制かかったヌルい脱衣麻雀だって、白をカンしたら王牌から5枚目の白がでてきたり、手牌もツモもパターン化してて記憶にある展開ばっかり、つまり麻雀の公平性なんてどこにもないんです!」
 ペテスの語るまさに阿漕な仕様へ、信者達も怯む。
「5枚目の白って何ソレ……」
「こんな完全にプログラムへコントロールされた環境で真剣勝負とか、虚しくないですか!」
 返す言葉もなく信者が沈黙した所で、ペテスは更なる切り札を出した。
「その、わたしも脱がせてみませんか?」
「えっ!?」
 当然、信者皆が目を輝かす。
 そこへ、
「わたくしもお相手しましょう。勿論、負けたら脱ぎますので?」
 ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)も妖艶に微笑んで言い出た。
 しかも色っぽいチャイナドレス姿だ。
 胸の谷間を堪能できるデザインへ、信者達の目はもう釘付け。
「もしかして、1枚脱がせるだけで全部見えるんじゃね?」
 と、否が応でも期待が高まる。
 かくて、信者2人とのコンビ打ち対決が始まった。
「今こそ見せましょう——華麗忍法『1コイン入れたと思ったら即座に終わっていた』の術!」
 かと思ったら、本当に速攻で終わった。
「ツモ、天和ですよ!」
「はぁ!?」
 驚愕する信者達の前でガラムが倒したのは、紛う事なき天和。
 一気に48000点増えるのだ。もはや信者側が巻き返して勝ちにいくのは不可能。
「残念でしたね、貴方たちのゲームは終わってしまいました。すごすごと立ち去るがいいのです」
 ぷるん、と豊かな胸を張って勝ち誇るガラム。
「うふふ、一撃でゲームオーバーのショックは半端ないですよ。金返せ! 脱麻なんてクソゲーだ! と思わせられればいいのです」
 その傍らでは。
「やっぱりイカサマされた事に気づいてないみたいですね。チョロいチョロい」
 ガラムの配牌を密かに操っていたペテスが、内心ほくそ笑んでいる。
 その後も、ペテスはガラムと組んで、
「ロン! 四暗刻単騎待ちです」
 積み込み時のガン牌すり替えやぶっこ抜き燕返しなど、
「ツモりました。九蓮宝燈」
 ありとあらゆるイカサマを駆使して、信者達をあっと言う間にハコテンにした。
「さあ、さあ、男性は脱ぐ代わりに恥ずかしい秘密を喋ってください。まだもっと秘密ありますよね?」
「いや、もう無いもう無い!」
 烏龍茶をがぶ飲みしつつ、信者達を精神的に追い詰めるペテスは楽しそうだ。
「貴方達は脱衣麻雀の闇を知らないのね。きっちり教育してあげるわ」
 一方、冷めた声音で断言するのは天霧・愛樹(明日から本気出すわよ・e19865)。
 ガチニートなゲーマーであらゆるゲームに精通するマニアな愛樹の説得は、慣れもあってか危なげなく、実に頼もしいものだ。
「筐体に百円入れた直後の東一局で天和を和了(あが)られ、何もせずにゲームオーバー喰らった人はいるかしら?」
 最初は、ペテスの言うコンティニュー即天和とほぼ同じ、それでいてアーケードの脱衣麻雀を語る上で外せない指摘で軽いジャブを。
「じゃあ、役無しでも和了れたりとバグが酷くて10回以上もパッチ配布し続けて尚バグが消えなかったゲームはご存知?」
 そして、愛樹の本題はこちら、18禁ゲームやクソゲーに詳しいからこその内容——麻雀プログラムが破綻したゲームの存在を突きつけた。
 9と1の並びも順子と認識。字牌でも一盃口が成立。
 役無しでも和了れる。ドラだけでも和了れる等、深刻なバクが多過ぎるのだ。
「貴方達みたいなのが安易に脱衣につられるから、麻雀部分がクソでも世に出てしまうのよ。これは麻雀という知的遊戯を楽しみたい人にとっては侮辱だわ」
 愛樹が拳を握り締め怒りを露わにするのも尤もだ。
「あとついでに言っておくけど、普通全裸にはならないわよ? パンツ1枚で寸止め喰らってお茶を濁されるだけ」
「なっ」
 最後に投下した脱衣麻雀の闇——下着を脱がない寸止めという現実に、打ち拉がれる信者達。
「そんな……全裸にならないなんて」
「ね? コンティニュー繰り返して積み上げた百円玉の報酬としては、割に合わないと思わない?」
 微かに憐れみの情を込めて語りかける愛樹へ、クソゲーの強過ぎるインパクトもあってか、信者達は我知らず頷いてしまうのだった。
「脱衣麻雀のせいで麻雀のプログラムが崩壊してるのは……怖いな」


「本件の論破にあたり、資料として脱衣麻雀ゲームを初め所謂ギャルゲーのソフトを数種類購入して実践してみましたが……」
 この日のニルス・カムブラン(暫定メイドさん・e10666)は、どこか様子がおかしかった。
「そう……一部の方が仰る『男のロマン』というのは、時にこんな形で表されるのですね。これはただ認識を改めて頂くだけでは足りませんね」
 口調も表情も極めて穏やかな佇まいでありながら、彼女の周りの空気は確かに冷えていた。
「麻雀には疎いですが、これは難易度次第でCPUが有利になりそうです。負けっぱなしではストレスが溜まりますよね?」
 そして、おかしいのは霜が降りそうな空気ばかりではない。
「スマートにやるなら恋愛シミュレーションがイチオシです。博打の知識や勘は要りません、小説を読むようなストーリー展開は登場キャラへの感情移入も容易いでしょう」
 あろう事か、ニルスが信者へ薦めたのは恋愛シミュレーション。
 しかもゲーム性でなく演出部分に拘っている。小説を読むようなストーリー展開が味のゲームとは、恋愛アドベンチャーと侮られても仕方ない。
 小檻の注意が耳に入らぬニルスでは無い筈だが。
「ところで……」
 それでも、こそっと信者へ耳打ちする彼女は、独自の武器を有していた。
「R指定のギャルゲーの中には裸だけでなく、あんな事やこんな事の描写もありますよね? 私なんか足元にも及ばない、綺麗で可愛くて従順な女性達……リアルではそういませんよね?」
「あ、ああ」
「そんなゲームにどっぷり浸って満足出来るのなら……もう一生お一人様でも大丈夫ですね?」
「いっ!?」
 至極穏やかな顔で声色も涼やか、但しキラリと信者を射る眼差しは冷徹そのもの。
「一生お独り様……俺は、もう戻れない所まで脱麻に浸かってしまってるのか」
 ニルスのキツい精神攻撃を喰らった信者が、顔色を失いへたり込む。
 可愛い少女からの一生独り宣告、そのダメージは如何許りか——上手い作戦である。
「ふぉふぉふぉ、脱衣ゲームのことならその道を50年研究してきた、このわしに任せるが良い!」
 ここで、ヘルメス・メリクリウス(変態執事・e17045)が出現。
「ふっ、脱衣麻雀ゲームじゃと? 笑止! これだから小童どもは……よいか、あれは序盤こそ勝ち易くなっておるが、女の子の服が少なくなってくると役満連発する鬼畜難易度になるのじゃぞ?!」
 脱麻ゲームの粗の指摘も、実に澱みない変態紳士だ。
「わしも若い頃は、女の子の最後の一枚を脱がすために、入ったばかりの給料を全部注ぎ込んだものじゃ……」
 それはどうやらヘルメス自身の体験談だったらしく、説得力があるのも頷ける。
「そこで、わしがオススメする脱衣ゲームは、コンピュータによって難易度の操作がされない脱衣ゲーム、野球拳じゃ!」
 これぞ脱衣ゲームの元祖! 完全に運だけで勝敗が決するので、女の子がイカサマする事もできぬ!
 対案としては、野球拳の良さを真剣に語るヘルメスだが。
「というわけで、信者諸君には、実際に野球拳の良さを知って貰うのがよかろう! じゃんけんなら、一般人でもケルベロスの女の子に勝てるからのう」
 その実、自分が女の子の裸を見たいが故の必死さであった。
「さあ、ケルベロス側代表の女子は……」
 勿論、ヘルメスの目論見などお見通しの女性陣は、しらぁっと冷ややかな視線で彼を見返すのみ。
「……こほん。よーし、ケルベロス側代表は、このわしじゃっ!」
 結局、信者に文字通り身包み剥がされて、褌一丁になるヘルメスだった。
 他方。
 ドサァッ!!
 こちらも何故だかパンツ一丁でヘリオンから落下して来た二階堂・燐(丘に立つ愚者・e33243)。
 機内でうっかり『まぁそりゃ僕も男だから女性が脱いでくれるなら嬉しくないわけがない』と口を滑らせたばかりに、女性陣の一部から正座で漬物石を抱かされた。
 そのまま寒さに耐えて反省していたら小檻に早よ行けと蹴落とされたのである。
「くだらないゲームの勝ち負けにコダワッテ低俗なエロスを貪るビルシャナ許すまじダヨネウン」
 ガチガチ歯を鳴らしつつ言っても説得力など無い為、燐は慌てて服を着るや。
「ってかアレ、ゲームバランスクソですよね、冷静に考えて。コインを入れた瞬間に天和とか。積み込みイカサマ前提とか!」
 ようやっと普段の饒舌を発揮、脱麻の欠点を今時の若者らしくボロクソに貶した。
「達成感? 興奮? ……コインを入れた瞬間に、その希望を打ち砕かれたことのない方は?」
 と、巧みな話術で信者達へ語りかける燐。
「積み込み前提のルールで勝ち確のゲームが作業と化した挙句、『めんどくせーなエロ画像はよ』という気持ちが、1ミリたりとも頭を掠めたことのない方は?」
 脱麻をやり込んだゲーマーが必ず陥るストレスをあげつらって問い詰める。
「宜しい、その方だけが、この二階堂に石を抱かせ……いや石を投げ……いや本を投げなさい!」
「……」
 一斉に目を逸らす信者達。
「勝ち確の局が作業と化す、か……」
「反対に負け確でも面倒になるしな」
 麻雀を何度も打つ上で生じる『ダレてくる』感覚、それに抗える者などおらず。
 誰も燐へ向かって石を投げる事など出来なかった——いつから彼が姦通罪に問われたのかはともかく。


「航兄が脱衣麻雀ゲーをやった事が無いのは調査済み。ここは私が頑張って株を上げるチャンスでしょうか……」
 月神・天(ミスめんどくさい・e08382)は兄貴分の為になけなしのやる気を出すも、そこは生粋の超絶面倒臭がり。
「……でもめんどくさいなぁ……」
 1分と持たずにやる気がぷしゅうと抜けていった。
「天、あの変なオーラ使うなよ!」
 久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)はそんな妹分を心配して、後ろから声をかけている。
「天が信者ごとぶっ飛ばさないように対策しないと……うわぁ、めんどくせぇー……」
 己のみならず航まで面倒臭がらせるとは、流石である。
「女の子脱がすのに、何で麻雀なんてルール覚えるのめんどくさいものでやる必要が?」
 それでも今日の天はミニの鉄壁スカートを穿き、服装もスカートへ合わせて蠱惑的に、女の色香を漂わせていた。
「もっと単純な野球拳とかあるじゃないですか。達成感を求めるなら陣取りゲームなり、ブロック崩しなりあるでしょう」
 信者達へもひと際甘い声で色仕掛けに励み、脱衣麻雀以外のゲームを推していく。
「あ、だめ、めんどくさい」
 と思ったら、早速めんどくさいオーラが限界を超えかけ、
「えぇい正気に戻れ!!」
 スパン、と航に神宝・破理扇(レプリカ)でツッコまれた。
「あっぶねぇ! ちょっと油断するとこれだ!」
 頭を押さえつつ天は説得再開。
「麻雀なんてルール覚えるのはめんどくさい、1回に時間がかかる、よっぽどの腕でもない限り運要素も強い」
 ともあれ、麻雀のルールの複雑さを面倒臭がりの天が説くのだから、やたら実感が篭る。
「時間効率的にも、ルール覚える労力的にも、脱衣と麻雀なんてナンセンスです。何ならもっとお手軽、ないし達成感の得られるゲーム一杯知ってるので、ご紹介しますよ……?」
 彼女ならではの含蓄のある理屈で、信者達へ迫る天。
 鉄壁スカートから伸びた白い太ももが目に眩しく、信者の視線が吸い寄せられる。
 気づいた天が軽くジャンプするも、一体どういう構造なのか、鉄壁スカートの中は幾ら空気を孕んでも見えそうで見えないギリギリまでしか浮き上がらない。
「確かに麻雀はローカルルールも多いしなぁ」
 彼女の色気にすっかり惑わされた信者は、惚けた顔をしている。
「……天さん、今いくつだっけ?」
 思わずツッコむ一方で、
「まさか本当にいるとはなぁ……や、いると思ったから調査したんだが、俺脱衣麻雀なんてやった事ないんだよなぁ……困った」
 天の調査通り脱麻未経験な航は、多少腰が引けていたが。
「脱衣麻雀だと? あんな『百円入れたらいきなり天和和了られてゲームオーバー』みたいなのの何が良いんだ!」
 そこは腕の立つ隠れツッコミ、すぐ立て板に水の如くアーケード脱麻へツッコみ出す。
「しかも1台しか無い時後ろに人が並んでたら? コンティニューしたら連コインだろう!? 後1歩の所で席変わらなきゃいけないとかやってらんねーぞ!」
 日頃ゲーセンへ行ってそうな年齢の航が言うから説得力もある。
「家庭用? 今日び3Dのクオリティ高いグラフィックが割とお手軽に弄れるようになってきてるんだから、自分で脱衣アニメ作った方がよっぽど自分好みのもの作れるぞ! わざわざ麻雀なんぞ打たんでもよし!」
 その上で、航が繰り出した論理は、ゲーマーへクリエイションの楽しさを訴えるという、視野の広さから探し得た反則技であった。
 だが、彼らの求めるのがエロであるからには、脱衣アニメ作りの持つ魅力は絶大。
「脱衣アニメを自作か……」
「自作なら、見えそうで見えないもどかしさからも解放されるかな」
 RPG好きが作成ツールへハマるように、脱麻好きも強く興味を引かれたのか。
「俺、脱麻以外の18禁ゲーやってみる!」
「野球拳で勝てるように練習するか」
「俺ももう、脱麻はやる気しない……」
「あんな簡単に負けるんじゃな」
 信者全員が脱麻信仰から脱却、中には顔面蒼白や土気色なのも何人かいるが、とにかく正気に戻った。
 そしてビルシャナも、
「漆黒の夜空に輝く深遠にして深淵の銀よ! 真円の銀よ! 落ちよ!」
「お前が! 裸に! なるんだよ!」
 ペテスのアクセス:真輪太陰による月落としや、燐が鬼門大通天で見舞った神速の居合斬りによって、見事仕留めたのだった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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