肌寒い夜空に、奇術師のような姿をした女が操るカードが舞う。それが青白く光る蝶に変わった瞬間、彼女の足元に跪く影が2つ。
「あなた達に使命を与えます」
「何なりとお申し付け下さい、ミス・バタフライ!」
「えぇ、何なりと!」
配下である双子の姉妹、水色の髪をしたミズネと赤色の髪をしたアカネの声にミス・バタフライの口元が笑みを形作る。
「この街に布絵本を作る事を生業としている人間が居るようです。その者と接触し、仕事内容を確認、可能ならば習得した後、殺害しなさい。グラビティ・チェインは略奪してもしなくても構わないわ」
「お任せ下さい、ミス・バタフライ! このささやかな出来事から巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのですね!」
「なるのですね!」
「そうです、理解したならお行きなさい」
その声にミズネとアカネが立ち上がる。どことなくミス・バタフライの衣装に似た、可愛らしいミニスカートの道化服を翻すと2人は姿を消したのだった。
●
「ちょっと本屋で見掛けただけだったんだけど、それから何か気になってね?」
「なるほどなぁ、布絵本作家ってあんまり聞いた事あらへんしな」
水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393)の言葉に、信濃・撫子(撫子繚乱のヘリオライダー・en0223)が手にした分厚い手帳を覗きながら頷くと、顔を上げる。
「そんな訳でな、今回ミス・バタフライが狙ってるんは布絵本作家の女性みたいやわ」
ミス・バタフライが起こそうとしている事件は、どうやら直接的には大事になるような事件ではないのだが、巡り巡って大きな影響が出るかもしれないという厄介な事件なのだと撫子はケルベロス達に向かって説明を始めた。
「布絵本作家さん……アキナさんのとこに、ミス・バタフライの配下が2名やってきてその仕事の情報を得たり、習得した後に殺そうとするんやて」
風変わりな話ではあるが、それを阻止しなければいつかケルベロス達にとって不利な状況が発生する可能性が非常に高いのだと撫子は言う。
それでなくとも被害に合うであろう一般人を見逃す事はできない。
「でも、事前に避難はさせてあげられないんだよね?」
蒼月が言うと、撫子が頷く。
「せやね、方法は2つ。狙われるアキナさんを警護して現れた螺旋忍軍と戦うか、事前に話を通して仕事を教えてもらって、やってくる螺旋忍軍の狙いを自分達に逸らすか……つまりは囮作戦やね」
螺旋忍軍の2人が来るのはケルベロス達が到着してから三日後という予知が出ている、つまりは三日間は布絵本製作の技術を教えてもらえるという事なのだ。
囮になるにはそれなりの技術を習得しなければならない為、三日間しっかりと修行しなければならない。
「アキナさんにはもう連絡してあるよってな、快く教えてもらえると思うわ」
デキル女は仕事も早いやろ? と茶目っ気たっぷりに撫子が笑う。
「あとは敵の情報やね、螺旋忍軍が2体、双子の少女で1人は赤い服、1人は水色の服を好んで着てる。水色の方は日本刀を、赤い方は手裏剣を得意としてるみたいやわ」
まともに相手をすればそれなりの強敵だけれど、上手く囮になれる者がいれば技術を教える為と称して自分達に有利なように戦闘を始められるだろう。
「アキナさんの工房は郊外の一軒家で、裏は山に繋がる庭になっとるそうや。戦うんやったら庭の方がええやろね」
敵の誘い方は色々あるだろうが、その辺りも踏まえて考える必要があるだろう。
「布絵本の作り方やなんて、滅多に教われるもんやないしな。興味ある子はしっかり教えてもらってくるとええよ」
もちろん、アキナを守って敵を倒す事も忘れたらあかんよ、と撫子が微笑んだ。
参加者 | |
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トレイシス・トレイズ(未明の徒・e00027) |
水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393) |
ギル・ガーランド(義憤の竜人・e00606) |
日生・遥彼(日より生まれ出で遥か彼方まで・e03843) |
シルヴィア・アルバ(真冬の太陽・e03875) |
屋川・標(声を聴くもの・e05796) |
チェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614) |
ノヴァ・ナハトムジーク(紫紺の闇夜に響く唄の音・e32898) |
●布絵本の作り方
「いらっしゃい、待ってたわ」
そう言ってケルベロス達を迎えてくれた女性は優しげな笑みを浮かべた。ケルベロス達が来ると連絡を受けていた布絵本作家の女性……アキナは訪れたケルベロス達を早速自分の作業場でもある場所へと通す。
「3日間、お世話になるね!」
水守・蒼月(四ツ辻ノ黒猫・e00393)の黒い尻尾がぴょこんと跳ねる。その後ろをノヴァ・ナハトムジーク(紫紺の闇夜に響く唄の音・e32898)が静かに頭を下げながら通り、どうぞと席を勧められて腰を落ち着けた。
「あんまり器用じゃねえが、よろしく頼むぜ」
ボクスドラゴンのリウを腕に乗せたギル・ガーランド(義憤の竜人・e00606)がアキナへ言うと、リウが邪魔にならないようにギルの膝へと移動する。
「お裁縫が初めての方もいらっしゃるのね。ふふ、技術ももちろん大切だけれど、何よりも気持ちが大事だと私は思うの。真剣に作る……習うお気持ちがあるなら大丈夫よ」
そう言って、アキナは布絵本を作る為の材料を机の上へと出していく。様々な色や模様の布にフェルト、刺繍糸やボタンに綿……それはとても魅力的で布絵本がどんな物かよく知らないと言うシルヴィア・アルバ(真冬の太陽・e03875)も、隣に座っている屋川・標(声を聴くもの・e05796)に視線を遣りながら、すごいなと言葉を漏らした。
「まずはどんな布絵本が作りたいのか考えて欲しいの。ページ数は全部で8ページ……表紙も入れた数よ」
ケルベロス達の前に、それぞれ四枚ずつ白い紙が配られる。アキナはそれを重ねて半分に折るように指示し、鉛筆と消しゴムを全員に渡すと、中央に鉛筆立てに入れた色鉛筆を置いた。
「これを使って、どんな布絵本にするか描いてみてね。色や素材も書き込むとわかりやすいと思うわ、もしも色や素材に迷ったら目の前にあるものを組み合わせて考えてみるのもいいと思うわよ」
できた人は私に見せてね、と言うとアキナはお茶の用意をしてくるわとキッチンへ移動した。
「どんな物を作りたいか、か……」
シャドウエルフ特有の尖った耳に飾られたピアスに触れながらトレイシス・トレイズ(未明の徒・e00027)が鉛筆を手にし紙へと線を走らせた。
ハンカチに刺繍を施す程度にしか針には触らないけれど、と日生・遥彼(日より生まれ出で遥か彼方まで・e03843)が刺繍糸を眺めながら思案する。考えるのは自分の旅団にいる子達の事。絵本を喜ぶ年齢ではないけれど、それでも珍しい物だし喜んでくれるかもしれないと仕掛けを考えながら鉛筆を手に取る。
「子どもに、初めて読み聞かせる布絵本……」
それはとても素敵な絵本だと今冬に婚約者との結婚を控えているチェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614)は微笑む。まだ子どもの予定はないけれど、それでもいつか授かるのだと思えば自分の子どもへのファーストブックに、自身が作った布絵本を贈るというのは素晴らしい事なのではないかと思う。それなら、と彼女はいつか出会うであろう子どもの為にと図案を考え出した。
口数は少なく、人付き合いも不器用だと言うノヴァは花の図鑑を眺めつつ、紙に様々な花を描いていた。それはとても繊細な美しい絵で、お茶の用意を終えて戻ってきたアキナが上から覗き込んで褒めたほどだ。
「お花が好きなのかしら? とても上手だしよく見ていると思うわ」
「……あ、えっと……そうだね、花は好きだよ……」
それじゃあ、花の布絵本ねと笑ってアキナはケルベロス達へお茶を振舞う。
「どうかしら? 作りたい布絵本のイメージは固まった?」
「僕はカラフルなのが作りたい! フカフカ、つるつる、もこもこの布、色々使ってみたいんだよね」
蒼月がアキナへイメージして描いた紙を見せる。それは色鉛筆も使ってカラフルに仕上げられた丸や三角等の図形を用いた図案だった。
「俺のはこんな感じだな」
「仕掛けが多いのね、触って楽しめるのも布絵本の特徴のひとつだからいいと思うわ」
ギルから渡された紙にはマジックテープやファスナーを使った図案が描かれている。他にも、シルヴィアは自身の相棒であるテレビウムのカルピィの形をした図案、標はスチームパンク風の物語をあしらった図案だ。
「標はスチームパンクか、らしいな」
「シルヴィも……カルピィがモチーフなのはとてもらしいね」
足元のカルピィを標が撫でると、カルピィの液晶テレビが笑顔を映し出す。それを見てトレイシスがアキナが出してくれたお茶を飲みながら微笑んだ。そんなトレイシスの図案は猫をモチーフにしたもので、三毛や黒猫などが尻尾を出していて可愛らしい……はずなのだが、絵心が壊滅的なのはご愛嬌といったところだろうか。
「私のはこんな感じです」
チェレスタが差し出したのは子犬やうさぎ、ひよこに羊、そして花や落ち葉を図案に落としこめたもので、優しさが溢れているよう。遥彼は星と花がちりばめられた図案に、どんな素材を使うのか、刺繍にするのかといった細かい指定を入れている。
「図案は出来たみたいね? それじゃあ、まずは――――」
アキナの布絵本製作講座が始まった。
●手縫いの温もり
アキナの教える布絵本の作り方は基本のシンプルなものだった。台紙となる部分は全てフェルトとし、縫い付けたり貼り付けたりするパーツは型紙を取って作る。まずはパーツの型紙を作り、それに合わせて選んだ布やフェルトを切り取る作業が行われた。
作った型紙通りに切るだけの作業なのだけれど、どこか楽しいと思えるのは目の前に広がるカラフルな布のせいだろうか。型紙通りに綺麗に切り抜いたものを、ページ毎に仕分ける。それが終われば切り抜いたものを縫い合わせてパーツを作る作業だ。
初めての針と糸に苦戦する者もいれば、すいすいと縫い合わせていく者と様々。
「いてぇ!? ま、まぁしゃぁねぇやな……リウ、あんま指舐めるなよ」
大きくて無骨な手には針は少し扱いづらいのか、ギルの控え目な悲鳴にリウがぷくりと指先から出た血を舐め取る。
「僕も~、絆創膏いっぱい持ってくればよかったね」
同じよう針を指先に何度か刺している蒼月も、アキナからもらった絆創膏を何枚か貼った指を見せて笑っている。笑みが浮かぶのは、痛くても初めての作業が楽しいからなのだろう。
「水玉模様はフェルトを使って手触りをよくしたいな。あとは画面のところをめくれるようにして絵とか表情とかを切り替えられるようにしてー……」
シルヴィアがパーツを縫い合わせながら、どうすればいいか考える。その膝上ではカルピィがこの布がいいと言うように手で布を触っている。
「煙は中にバネを仕込んで飛び出るようにしたいね」
アキナにどうすればいいか相談しつつ、縫い合わせたパーツの中にバネと綿を入れ、口を閉じる。自前の道具を用意してきただけあって、標の針には迷いがなかった。
手先が器用なノヴァも、綺麗に切り取った様々な色や質感の布を丁寧に縫い合わせていく。
「……意外と、楽しいね……」
「そうですね、なんていうか……心穏やかな気持ちになるというのでしょうか」
ノヴァの呟きにチェレスタが頷いて手元にある縫い上がったパーツを眺めて微笑む。
「作り出す喜びとはこういう事なのだな」
猫の尻尾を縫い合わせ、満足気にトレイシスが言えば、遥彼も星と花のパーツにキラリと光るビーズを縫い付けて、
「誰かを思って作る、それも関係しているのかもしれないわね」
自分の為、誰かの為、作った物を誰かが喜んでくれるかもしれない……そう思えば慣れない作業もまた楽しいのだと遥彼が笑った。そうやって作り出す喜びを再確認しつつ、ケルベロス達の布絵本修行は終わりの日を迎えたのだった。
そして三日後、アキナを訪ねて2人組みがやって来た。
「こんにちは、ここに布絵本作家さんがいるって聞いたのだけど」
「聞いたのだけど! ぜひ教えて欲しいなって思ってきたの」
赤と水色の服、そして双子。間違いなく撫子の予知した螺旋忍軍だと、囮役となったチェレスタは中へと招き入れた。その様子を確認した、2階でアキナを護衛する為に残っていたトレイシスが庭から山の方へ待ち伏せする為に移動した仲間へと連絡を入れる。
「そうなんですか、お2人は布絵本に興味があって?」
「ええ! とっても」
「そう! とっても」
チェレスタの問い掛けにアカネとミズネはチェレスタの作った布絵本や机の上に置かれた材料を眺め、含みのある笑顔を見せて答える。なら、とチェレスタは立ち上がった。
「自然豊かな環境でインスピレーションを得る為に、外へ行きましょうか」
「それは必要な事なのです?」
2人の言葉に、ええと頷いて外へ出るように促せば、そういうものなのだろうと2人もチェレスタの後に続いた。
「アキナ、何があっても自分達が戻るまでこの部屋からは出ないようにな」
アキナが頷くのを確認すると、トレイシスもチェレスタ達を追い掛けるように庭から山へ向かう。待ち伏せしているケルベロス達も、連絡を受けていつでも飛び出せるように構えていた。
「さあ、ここで自然の空気を一杯に吸い込んで……何か気になるモチーフを探してみるといいと思います。お2人とも同じ物ではなく、違う方が布絵本を作る楽しさが広がるでしょう」
「モチーフ……じゃあ、ミズネはこっちに」
「じゃあ、アカネはこっちに」
2人が別方向に向いて歩き出すと、そっとチェレスタが下がる。そしてアカネの後ろから退いたその時、動物変身を解いていた蒼月がアカネの背後を狙って惨殺ナイフを構えると、ナイフの刀身にアカネの持つトラウマを映しそれをぶつけた。
「きゃあ!?」
響いたアカネの声にミズネが振り返るけれど、遅い。アカネの背に標が放った礫が飛び、ミズネを牽制する為に遥彼が古代語の詠唱と共に魔力の籠もった光を放つ。アカネが睨むように振り向けば、チェレスタの歌声が前衛へと響いた。
「お前達、ケルベロスだね!?」
「騙したね!?」
「お前らの企みなんざ、お見通しって事だ!」
ギルが叫んで自慢の1本角から独特のプレッシャーを放ちアカネへと突進する。それは通常目にするよりも大きく見えてアカネは攻撃を受けると共に小さく叫び声を上げた。
「どうだ! 俺はデカくて、硬くて、痛いだろうが!!!」
勝ち誇った笑みを浮かべるギルの横から、リウがボクスブレスをアカネへ放つ。その後ろから、シルヴィアがカルピィを掴んで構えた。
「カルピィ、頼んだ!」
勢いよくカルピィをアカネに投げ付ければ、カルピィが液晶画面にビックリ画像を映してアカネに体当たりし、着地と同時に手に持った凶器で滅多打ちにしていく。
「……戦うの……好きじゃない、けど……がんばる……」
そう呟いたノヴァは集中攻撃を受けて膝を突いたアカネに掌を突き出し、歌うように囁くとドラゴンの幻影を放ち跡形もなく焼き捨てたのだった。
●守る為に
「おのれ、よくもアカネを!」
「技術は盗めても、込める心までは学べない……虚しいことだな」
後から駆け付けたトレイシスがその勢いのまま細身の刀を抜き去ると、ミズネへ弧を描く斬撃を繰り出す。その残光はまるで光に揺れる陽炎のようにも見えた。それに続くように蒼月がその手に氷結した螺旋を浮かべる。
「残念、此処で君達……もう君だけかな? 御終いだよ、好きになんてさせないんだからっ!」
蒼月が気迫と共に、手にしたそれを撃ち放つ。
「行くよ、相棒!」
手にした機械式のジャイロで威力を増したブリキの小型ハンマー『ハート・ノッカー』を握り締め、標が耳を澄ます様に心を静める。武器の声を聞き心を通わせた瞬間、『シンクロナイズド・ファイター』を発動して驚異的な一撃をミズネに叩き付けた。
「嗚呼、睨む顔を可愛らしいわ。頭を撫でてあげたいくらい……さあ、私の総てを込めて貴女に届けましょう――♪」
遥彼が歪んだ愛情を覗かせながら微笑むと、『盲信狂愛(コイスルオトメノモウモク)』を発動した。
「――私ほどあなたを愛しているものはいない。これほど愛することは、誰にもできない――♪」
その妄執と言っていいほどの遥彼の想いはミズネを縛り上げると、ライトニングロッドを掲げたチェレステが杖の先から迸る雷をミズネへと向けて放つ。
「こ、の――!」
激昂したミズネが日本刀を構え、自分達を騙しここまで連れてきたチェレステに向かって抜刀する。
「逆恨み、なんてのはスマートじゃねえな!」
それを庇うように前へ出たギルが、ミズネの斬撃を受け止め、にやりと笑う。そのまま竜の腕を模した巨大な祭壇『竜霊剛腕』から相手の魂を喰らう降魔の一撃を放ち、その生命力を奪うとリウがひと声鳴いて、属性インストールをギルに施した。
「一般人を狙うなら、私達はお前達デウスエクスの前に何度だって立ち塞がる。覚えておくことだな!」
アイスブルーの瞳を煌かせ、白銀の髪を靡かせながらシルヴィアが夜空を駆ける星のようにミズネに飛び蹴りを喰らわせると、カルピィがそれを追い掛けるように凶器攻撃を仕掛ける。
「……とどきますように……」
後方から優しく静かに響く歌声は天使のようにも思えた。ノヴァが響かせる『Gesangstimme der Engel(イヤシノウタ)』はギルの傷を跡形もなく消し去っていく。
「見えるは天地の獄、苦死の斬」
トレイシスの持つ『陽炎』から放たれた『九天四斬(キュウテンシザン)』はミズネの生を断つべく振り降ろされる重い斬撃。その時、ミズネは初めて死への恐怖を感じながら絶命した。
●絵本の続き
戦闘の被害は少な目だったけれど、それでも目立つ箇所にはヒールをしてケルベロス達がアキナの元へと戻ると、アキナを狙う者はもういないと告げた。
せめてものお礼にと、淹れて貰ったお茶を飲みながら自分達が作った布絵本を眺める。不恰好な物、カラフルな物、楽しませる仕掛けが詰まった物、優しさに溢れた物……どれ1つとして同じ物はない自分だけのオリジナルだ。それぞれ大事そうに自分の作った布絵本を手にし、アキナの家を出る。
「ありがとう、とっても楽しかったよ。これからのアキナさんのいい絵本、期待してるね」
「アキナ先生、ありがとう!」
標とシルヴィアがそう言えば、アキナの顔に笑顔が浮かぶ。
「……今度ゆっくり……習いに来ても、大丈夫……?」
「ええ、いつでも」
ノヴァがアキナの答えに微笑んで頭を下げた。蒼月が尻尾を揺らしながら歩く横で、ギルは螺旋忍軍が何を企んでいるのだろうかと思案しつつ歩き、トレイシスは自作の布絵本に触れ柔らかな笑みを浮かべる。遥彼とチェレスタはお互いが作った物を見て笑いあっていた。
穏やかな日差しの中、ケルベロス達はアキナの家を後にするのだった。
作者:波多蜜花 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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