パッチワークハロウィン~ハロウィン・ドリーム

作者:baron

 ハロウィンの熱が過ぎ去り、全ては夢に変わろうとしたその晩。
 誰も居ない公民館に、ナニカがやって来た。
「私が失っていた『服従』の心は満たされた。あぁ、誰かに服従し、その為に働く事の、なんと甘美なる事か」
 かしすき、とは菓子が好きな子のことであり。
 仮装とは、その為にハロウィンに行うことである。
 だがここに、かしずく、つまりは服従して働く事が好きな者が居た。
「魔女の力が最も高まる今夜、第十一の魔女・ヘスペリデスが、その役目を果たすとしよう。ユグドラシルにおられる、『カンギ様』の為に、私の黄金の林檎からハロウィンの日に相応しい植物を生み出そう」
 公民館のとある一室、ハロウィンで賑やかに遊んだその場へ、奇妙な格好をした女が現われ、歌うように力を振るったのである。
「さぁ、お前達、ハロウィンの魔力を集めて私に捧げよ。全ては、『カンギ様』の為に。さぁ、人間共の夢の残滓と黄金の林檎より生まれし、『まっちゃ・ぷりん・あら・もーど』よ。人間どもを喰い散らかすがいい」
 そう言ってヘスペリデスと名乗った女が黄金の林檎を投げると、その黄金の林檎が、全長3m程度のお菓子……になった。
 お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ?
 いいや、くれてもくれなくとも、お菓子の化け物は、人々を食い荒らす為に暴れ始めたのである。


「ハロウィンの夜は賑やかどしたなあ。みなさまはいかが? と、言いたい所ですが、事件が起きます」
 ユエ・シャンティエが半紙に筆で書きこんだ、メモを持って話し始めた。
「辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)さんが、新たな敵の動きを見つけてくれたのですけれど、その調べで、ハロウィンパーティーが終わった直後だというのに、パッチワークの魔女の一人が動き出した事が判りました」
 ユエはそう言うと、ハロウィンで貰ったらしい、お菓子の包み紙を取り出した。
 みなが注目した所で、包み紙を元の形に近いようにして結び直すと、林檎の上に置いたのである。
「日本各地のハロウィンパーティーが行われた会場に現れ、会場に残ったハロウィンパーティーの残滓と、彼女が持つ黄金の林檎の力で、強力な攻性植物を生み出すようですえ。このままでしたら、パーティーを楽しんで家路につこうという人達が襲われて、殺されてしまうかもしれませんし、違うとしても、他の人間が殺されてしまう可能性が高いでしょう」
 楽しいハロウィンを、惨劇で終わらせない為に、パーティー会場に向かって、現れた攻性植物を撃破して欲しいとユエは締めくくる。
「さて、今回の場所ですが、公民館周辺に一体ほど徘徊しております」
 都市部では無いことから、ハロウィン好きの方が集まってお祭りをされたようですね。
 ユエはそう言うと、お菓子の包みとリンゴを皿に載せて、となりに抹茶プリンや生クリームに、チョコレートシロップなどを持って来た。
 見た所、プリンアラモードと言う感じだろうか?
「一体とはいえ、かなり強力ですのでご注意ください。攻撃としては、地面を生クリームと融合して引きずり込んだり、熱いチョコレートシロップで焼こうとしてきます」
 攻勢植物なのかモザイクなのかしらないが、随分と美味しそう……じゃやなくて愉快な攻撃である。
 とはいえグラビティによる攻撃であれば、笑って許せる物でもないだろう。
「(なんとまあ奇妙な……。魔女が植物を武器にしたのか、それとも植物が魔女を手駒にしたか。とはいえ、人を襲うと言うのでは放置なぞできまいか)」
 口には出さず、片桐・与市(墨染・e26979)が苦笑して溜息をついた。
 一夜の夢として消えるならいざ知らず、放置しては誰かが殺される。
 ならば放っておけまいと、何人かが頷いたのが見える。
「我らの内、都合の付く者で協力し、斬って捨てる、それでよろしいか?」
「はい、それぞれこの後のスケジュールがあるでしょうし、御都合がつく方で構いません。折角の楽しいハロウィンを台無しにしないためにも、よろしくお願いします」
 与市の確認にユエはそう言うと、頭を下げて皆の相談を邪魔しないようにメモを渡して出発の準備を整えたのである。


参加者
テルル・ライト(クォーツシリーズ・e00524)
マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)
カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)
久遠・征夫(静寂好きな喧嘩囃子・e07214)
神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)
ランジ・シャト(舞い爆ぜる瞬炎・e15793)
筐・恭志郎(白鞘・e19690)
片桐・与市(墨染・e26979)

■リプレイ


「毎年のことっすけど、ハロウィンには変なの沸くっすねぇ……」
 神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)は気だるい表情で町を歩く。
 もし机があれば、頬杖をついて居たか、それとも突っ伏していたか。
 いずれにせよ、フリルでやったらメイドに怒られるので、机が無くて良かったと思わないでも無い。
「こりゃクリスマスもなんかありそうっすねぇ……」
「そういえば、七夕にもドリームイーターが仕掛けてきましたよね」
 結里花の言葉に頷きながら、筐・恭志郎(白鞘・e19690)は顎に指を当てて思い出す。
 魔女っ娘衣装に燕尾服が続くことで、不思議な事に、マジシャンとしての印章が強化されるのが面白い。
「ハロウィンですし、敵も騒ぎたいのでしょうか?」
「やっぱり人の営む行事には、ドリームイーターが引きつけられて来ちゃうんでしょうか……」
 ノーマルサイズ燕尾服の後に、とことこと小さな燕尾服が続くのを、テルル・ライト(クォーツシリーズ・e00524)は愉しそうに見つめた。
 とはいえ、先生の燕尾服は恭志郎のと違ってマジシャンの物ではない。
 ここは違いを示さないとと言って、少しペースを早め、吸血鬼だと主張する、蝙蝠の翼型装飾をひらめかせた。
「人の愉しみに惹き付けられるという点では、ドリムイーターとビルシャナは特徴的ですね。騒ぎたいのであれば、おもてなししてあげましょう……私流ではありますが」
 この時ばかりは、人の祭りを羨ましそうにドリームイーターが狙ったとしても、仕方が無いのかと思えてしまう。
 戦闘に適した場所を探す為、片目をときどき閉じて航空写真と位置情報を照らし合わせているが、その目は決してテレビウムの先生から、目を離さない。
 さっさと片付けて、ハロウィンの余韻に浸りたいものである。

 テルルの誘導に従い、一同は目立つように公民館から直ぐ近くの駐車場に移動する。
 そこは交差点に面した入れ難い場所ではあるが、敵を引き付け、戦うには丁度良かろう。
「一応、周囲には誰も居ないみたいですね……」
「何か来る!? 市民の皆さんの楽しかったハロウィンに水差すようなことするだなんて許さない!」
 道の片隅で揺らぐ影に、久遠・征夫(静寂好きな喧嘩囃子・e07214)とマサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)は向き直りつつ、明滅するライトの灯りに目を細める。
 暗いが見えないことは無い、ただ、ほんのちょっとだけ全体が把握しにくい。
 そこで二人はカボチャ型のランプを向けると、その異様な姿はハッキリと見え始めた。
「聞いた通りの姿。サクッと退治させて貰うからね! 覚悟しろ!」
 その姿こそ巨大パフェ。
 マサムネは魔法使いのローブをはためかせ、星の剣を杖の様にかざして結界を広げ始める。
「……でも、確かにユエさんが説明して下さった通りの見た目ですけど……これ、植物?」
「植、物……か見れば見る程、奇妙なものだな」
 少しだけ懐疑的な恭志郎の呟きを聞きながら、片桐・与市(墨染・e26979)は腰の灯りを確認しつつ、言葉を潜めた。
「(何にしても、悪い夢は早急に終わらせねば……いくぞ)」
 言葉には出さず、与市は紙札を周囲に展開した。
 闘いに臨み偽の兵が前衛に陣を組む、まさしく九字の如く。
 一連の術式は、まさに烏天狗風の格好のままと言えるだろう。


「この攻性植物のお菓子は要らねーっすね。ふざけた見た目でも攻性植物っす。きっちり倒すっすよ」
 結里花は持ち込んだ甘酒を口にすると、一気に飲み干して気合いを入れた。
 それはアルコールではなく、摘んで来た甘草で米を米麹と練り上げた古い作りのモノだ。
「捕らえよ、凛として咲く撫子よ!」
 祭神に勝利を誓い、結里花は気を引き締めると、鋭気を手持ちの攻性植物に流し込んで地を這わせる。
 トリックオアトリート、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞー! とは言うが、こんな奴の菓子など口には出来まい。
 いや、そうでもないか。
「去年に続いて今年も襲撃ですか、襲撃せずとも普通にお祭りに参加すればいいのに……」
 カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)は掌底を当てて激震させると、ショートジャンプで下がりながら手の平をペロリ。
「これが、ツンデレという奴でしょうか? しかし、美味しくもなんともないな」
 軽口叩きながら首を振りながら、次なる攻撃の為に杖を握る。
 彼も鴉天狗のようであるが体術合わせた遊撃系、同じ烏天狗の与市が無口で、どちらかと言えば後衛なのと対照的だ。
「おっかしーな。今年のハロウィンは事件は起きないって聞いてたんですけどー?」
 あ、終わった後だから別に嘘ってワケじゃないか……。
 ランジ・シャト(舞い爆ぜる瞬炎・e15793)は頭をボリボリかきながら、ふと思いついてポンと手を叩く。
 ちょっとばっかり躊躇うというか、腑に落ちなかったようだが、気分の問題なので解決できれば問題ない。
「オーケーオーケー。それじゃあ最後の締め、張り切っていきましょっか!『もう少し気張りなさいな。援護したげるから。』アブラカタブラ~」
 炎の魔神に仮装したランジは、熱圏を創り出して結界の内側を活性化させた。
 赤みがかった陽炎が、星の光を反射しケルベロス達を照らして行く。

 温かな光に見守られながら、一同は攻撃……いや、まずは包囲網を築き始める。
『切れずとも潰すっ! 壱の太刀熨斗紙ッ!』
 征夫はピエロの恰好に相応しい緩慢な歩方から、急転、一気に直線的な軌道で前に出た。
 鱗の形をした刃紋が赤い星の光を照り返し、一撃に込めた思いと共に、全身全霊の唐竹割りを繰り出す。
「やった……か? 違う!」
 初撃にて必殺、征夫のこれで終わらせるという思いが両断に成功したのだろうか?
 いや、敵は最初からその様な作りに違いない。スパリと斬られた物の、即座に反撃に出た!
 あついチョコレートシロップが、火傷を負わせようと浴びせかけられる。
『楽にしてあげましょう。……冗談ですよ?』
 そこへテルルが付け牙を見せながら、拳銃を向ける。
 吸血鬼のコスチュームで楽にしてやろうと言ったら、介錯か、かもなければ眷属化……。
 もっとも冗談なので、銃弾の中は血ではなく薬剤である。
「冗談キツイですよ。まあ人の事は言えませんけど……『真正面から行きます…よく見てた方がいいですよ。』御手を拝借っとね!」
 恭志郎はマジシャンがステッキを振りまわすように、白い拵えの刀を鞘ごと引き抜いた。
 そして居合いの構えを取ると、掠めるように一閃。
 だがそこで止まりはしない、逆手に持った鞘の方で強打すると、クルリと一回転。
 今度こそ本身の刃で斬りつけたのである。


「(子供の悪戯ならばまだしも……洒落にならぬな)」
 与市は言葉には出さないものの、奇妙さとは別に強烈な殺意を持つ敵の姿へただならぬモノを感じていた。
 冗談めかした姿ではあるが、奇襲するにはうってつけだ。
「(まして、一夜の思い出を壊さぬように――貴様には消えて貰うとしよう。このまま深き眠りに就け)」
 与市は忍び寄ると、無造作に敵の死角へと刃を潜り込ませる。
 威力よりも判り難さを追求した一撃、そしてその真価は攻撃力には無い。
『――真髄を』
 体を蝕む毒こそが本命であり……刀を使うメンバーの中にあって、ひときわ異彩を放っている。
 そう、忍ぶことこそ忍者の始まり、基本を持って奥義とするのは剣技の流派にも存在するが、彼の場合は毒を人知れずに忍ばせるツールとしての意味合いが強かった。
『目覚めよ不死なる火の鳥よ、我の名に従い全てを灼き尽くせ』
 ここでマサムネが不死鳥の如き炎を呼びだした。
 パフェを構成するウエハースやコーンが燃え始め、次第に炎、いや豪火と化していく。
 全てを燃やし尽くす炎を使うことで、毒と共に徐々に敵の力を削ごうというのだろう。

 ケルベロス達は、連携攻撃の有用性を見出す。
 既に攻撃も数度を数え、準備段階は終わって居た。
「アレでいかない?」
「あれってアレですか? まあいいですけどね」
 恭志郎は征夫と視線を合わせると、一足早く駆けだした。
 まずは恭志郎が鋭い踏み込みで敵の装甲であるガラスの器に亀裂を作ると、今度は征夫が空間を切り割いて行く。
 そしてガラスが砕かれた瞬間に、その亀裂を大きさを拡げ、二人がハイタッチを決める頃には炎や毒がより早く拡がり始めたのである。
「効いて居る様ですね……。ここは合体攻撃というのはいかがでしょうか?」
「確認したいのですが、先生とですか? 了解です」
 カルナの申し出に、テルルは首を傾げたものの頷いた。
 彼が何回目かの攻撃でファミリア飛ばしていたのを見て、今は治療に回ってもらってる先生のフラッシュと合わせる気かと思ったのだ。
 ここで詳しく説明も、確認もしなかったことが、後ちの悲劇を呼ぼうとは……。
「では行きますよ。そっ……」
「ちょと何を!? 味方を敵に投げ飛ばすのは愚行では? ……しかも、先生を投げるだなんて」
 カルナはジャイアントスイングの良寮で、先生が凶器攻撃し易いように投げ飛ばした。
 だがテルルには意外だったというか、論外だったようで、ダモクレスのように冷たい瞳で睨んだ。
 傷ついた仲間への治療もなんだか適当で、まるでインストールされた魂の入ったハードデスクを抜いたようである。
「だって合体攻撃って言ったじゃないですかー!? トホホ。仕方無い後で謝ろう……」
 カルナは見解のすれ違いにがっくり肩を落としつつ、ファミリアに頑張ってもらうのでした。
 先ほどの征夫が斬り裂いたように、白梟はプリンに飛び込み内側から喰らうことで、被害を拡大させていく。
『くりーむ、クリーム、クレーマー!』
「わっぷっ。こんなことで……逃がしませんよ!」
 結里花は生クリーム地獄から泳ぎ出ながら、羽衣を展開して霊気を通すと、意気を押し固めて解き放った。
 それは途中で炸裂すると、生き物の様に追撃を始める。
 闘気で作られたソレは、まるで鮫のように抹茶パフェに喰らいついたのである。
「このまま行けますでしょうか?」
「こんにゃろ……。ふざけるのは見た目だけにしろっつーの! 厄介だけど特にタフでもなし、多分行けるんじゃない?」
 結里花が確認すると、仲間を庇ったランジはどっぷり漬かった生クリームを落としているところだった。
 後で洗ってもらえる結里花と違って、彼女は自分で洗う分だけ面倒なのだろう、軽く悪態をついてから応える。
 この抹茶パフェ型ドリームイーターは、ジャマー故に負荷が強力だが、逆に言えば強力な攻撃や防御力を持っていないのだ。
「オッケー! このままガンガン畳みかけるわよ!」
 ランジはそう言って不敵な笑顔を浮かべると、父親が使って言たという巨大な剣を抱えて飛び込んで行った。
 暴風のように荒れ狂いながら、暴れ回ったという。


「っしゃ、後ちょっとだから気合い入れてきましょ」
「了解です、えっと……」
「ええ、まあ。問題ありません」
 ランジが背中を叩いて気合いを入れると、恭志郎と征夫は一瞬だけ目線を反らせた。
 ここで思い出して欲しい、彼女はアラビアンな魔神の姿をしているのだ。。
 生クリームまみれというのは、純情な青少年には厳しかったのかもしれない。
「んじゃ、いくわよ」
「手入れもしたい事ですし、気になる事もあるのでさっさと片付けましょう」
 ランジが回し蹴りを浴びせると、征夫は両手に持つ刀の片方を地面に突き刺した。
 そして再び大上段からの全身全霊を込めた一撃を繰り出す。
「さて治療は任せてもいいですかね? そう言えば種が気になるって言ってましたので」
「治療ならやっておきますよ、お気使いなく」
 恭志郎はテルルのドローンに治療を任せ、刀を構えて飛び込んだ。
 空間ごと立ち割るその一撃は、先ほど征夫が仕掛けた物と同じ物だ。
「ゆっくりしたいですし、ここで片付けますか」
「(了解した。先ほど種と言っていたが、不審なモノが無いか調べたいしな)」
 カルナは相手の動きが鈍った事に終局を悟り、威力重視に切り替えた。
 石化の魔力が起動し始めるのに合わせて、与市は軽く頷いた後、最もり良くのある凍結波を放つことにする。
 二人のカラス天狗は左右から押し包み、逃げられぬように追い込んで行った。
「君に悪夢を魅せてあげよう」
 マサムネが指先を向けると、抹茶パフェはぶるりと震えた。
 いかなる悪夢を見せたのか知らないが、トラウマは他人には見えないのが残念である。
 いや、見えないでむしろ世界なのだろうか?
 なにしろ食料が見るトラウマである、くあったり地面に転がったりとろくでもないものだろう。
「これで終わりです!」
 最後に結里花がトドメを刺した。
 撫子の花が咲き誇り、怪しきパフェに終焉をもたらす。

「んじゃ、この後は空いてるメンバーで、調査ついでにパーティと洒落こもっか。良い大人としては御茶の一つも振舞わないとね」
「ヒールと調査終わり次第ですけど、構いませんよ。私はメイン持って来てますが……」
「俺は南瓜サブレだね。急いで修復を始めようか」
「まあ夜遅いのでカロリーが高いのはほどほどにって感じっすね」
 ランジが音頭を取ると、征夫や恭志郎が頷いて調査を始めた。
 彼女らの申し出に結里花は頷きつつ、メイドにどう説明しようか考え始める。
「私はアメやら南瓜クッキですね。あのプリンよりは美味しいと思いますよ? ……まぁ、禍々しい見た目ですしね。味も相応なのでしょう」
「僕もクッキーですけど……だから機嫌を直してくださいよ~。あ、先生とテルルさんはお揃いで吸血鬼ですか? 決まってますよ、僕もファミリアに仮装させれば良かったな」
 テルルがそっけないのでなんとかしようとするカルナであるが、水を求めてもくれない始末。
 どうしたものかと思ってると、マサムネがランジに紅茶を貰ってきてくれた。
「機嫌を直してもらうには、美味しい物が一番だよ。パンプキンタルトとかかぼちゃマフィンとかどうかな?」
「いただこう。しかし――晴れやかに済んで、何よりだ」
 マサヨシが取りなしているのを見ながら、与市は三色団子や綺麗な飴をテーブルに置いた。
 この他愛ない騒動も、笑顔で終われば愉しい思い出の一ページなのだから。
 カメラが無いのを残念に思いながら、ケルベロス達は今日この日を終える事にしたのである。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 5
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