パッチワークハロウィン~ぷるぷるぷるぷる

作者:高峰ヨル

 所狭しと並べられた大小さまざまな南瓜のランタンに、飛び回る蝙蝠とお化けのガーランド。ウェルカムボードには、クラウンの仮面が不気味な微笑で大きな口を開けている。
 夕刻、都内にあるパーティースペースが売り物のカフェ。今日はハロウィンということで、直前まで賑やかな立食パーティーが行われていた。
 客もスタッフもほとんどが友達同士の内輪のパーティーで、彼らは今は別会場に繰り出している。パーティー後に特有の物寂しさの漂う店内は、今は無人だ。
 置き去りにされたディスプレイの間に、一人の魔女が煙のように現れる。
 魔女――第十一の魔女・ヘスペリデスは恍惚の表情で、両手を広げて天を仰いだ。
「私が失っていた『服従』の心は満たされた。あぁ、誰かに服従し、その為に働く事の、なんと甘美なる事か」
 誰に聞かせるでもなく呟きながら、細い腕にかけた籠の中身を淫靡な手つきで撫でまわす。籠の中には、モザイクのかかった黄金の林檎がたっぷり盛られている。
「ユグドラシルにおられる、『カンギ様』の為に、私の黄金の林檎からハロウィンの日に相応しい植物を生み出そう。――さぁ、お前達、ハロウィンの魔力を集めて私に捧げよ。全ては、『カンギ様』の為に」
 魔女の手に取り出された黄金の林檎の一つが見る間に巨大化し、異形へと変化する。
「さぁ、人間共の夢の残滓と黄金の林檎より生まれし、攻性植物ぷりん・あら・もーどよ。人間どもを喰い散らかすがいい」


「プリンが、巨大なプリンがあああああ」
 弥生・九子(ウェアライダーのヘリオライダー・en0238)は猫耳をぴこぴこ忙しなく震わせながら、珍しく取り乱していた。
「……こほん、すまない。私の愛するプリンがあんな姿になるなんて……はろうぃんとは恐ろしい祭りだな!」
 まだ少し混乱しているようだが、説明を続ける。
「辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)が新たな敵の動きを察知してくれた。彼の調べによると、ハロウィンパーティーの終わった直後だというのにパッチワークの魔女の一人が動き出したようだ。いや、むしろハロウィン直後という機会に乗じて、だな」
 動き出したパッチワークの魔女は、第十一の魔女・ヘスペリデス。彼女は日本各地のハロウィンパーティーが行われた会場に現れ、会場に残ったハロウィンパーティーの残滓と自身が持つ黄金の林檎の力で、強力な攻性植物を生み出すらしい。
「このままではパーティーを楽しんで帰宅する人々が襲われる。楽しいハロウィンを惨劇で終わらせないために、これを阻止してほしいのだ」
 敵は一体、名称はぷりん・あら・もーど。一言でいえば巨大なプリン・アラ・モードの外見をしている。
「ぷるぷるしていてとてもおいしそうだが、残念なことに食べられない。こいつは攻性植物の一種らしいが……なんともったいないことだ」
 九子の所感はともかく、この攻性植物は体長約3m。そこそこの強敵だ。
「攻撃方法は体当たり、捕食、広範囲の爆発とわりと多彩だ。まず体当たり。プリンのプールに飛び込みたいという願望を持つ者は多いと思うが、柔らかいくせにけっこうダメージが来る。水面も勢いよくぶつかればコンクリートと同様の硬さになる原理と同様と思われるが、詳細は不明だ。さらにこいつはプリンのくせに捕食してくる。喰られる前に喰るということかな。爆発はそのまま、プリンが中心から爆発して飛び散る。攻撃後はすぐに元に戻ってしまうので、バラバラになった隙を狙うというのは無理のようだな」
 パッチワークの魔女――『魔女』がハロウィンにことを起こすのは自然ではあるが、現れる敵が攻性植物であることには疑問の余地が残るかもしれない。
「せっかくの楽しいハロウィンだ、皆が笑顔で締めくくりたい。頼んだぞ! ……ああ、私のプリンが~」
 未だ巨大プリンの幻影にとらわれているらしい九子は、ケルベロスたちを激励して送り出した。


参加者
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)
リノ・ツァイディン(旅の魔法蹴士・e00833)
草火部・あぽろ(超太陽砲・e01028)
スヴァルト・アール(エリカの巫女・e05162)
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)
工藤・千寛(勇者いざなう戦旗の乙女・e24608)
仙道・風(しゃべくり鎌鼬・e31694)

■リプレイ


 万聖節の夜はふけて、祭りの後のパーティー会場。
 ケルベロス達が現場のカフェに踏み込むと、巨大なプリン・アラ・モードが放置されたままのハロウィングッズに囲まれてぷるんぷるんと身を震わせていた。カラメルの上にちょこんと乗ったチェリーがくるりと回転し、巨大な目玉がぎょろりとこちらを睨んだ。
 リノ・ツァイディン(旅の魔法蹴士・e00833)は悩んでいた。
「……なんだろ。ものすっごく見覚えがあるんだけど……う、うにうにってこんなにあちこちにいるものだったっけ……」
「うん……何だかあのプリン、見たことがある気がするの……」
 円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)もバツが悪そうに下を向く。
 ぷりん・あら・もーど。リノとキアリの所属旅団、幻想武装博物館でそんな名前のナニカを見たり聞いたりなんかしたような。そのせいか、キアリは何となく今回の事件に責任を感じていたりする。
「……ハッ! もしかして幻想武装博物館から逃げ出したのが野生化してデウスエクス化したとか……って、ヘスペリデスが作り出したんだからそんな訳ないよね……」
 リノは乾いた笑いを漏らし、おそらく偶然なのだろうと思い直すことにした。
「けど、なんでよりにもよってうにうに……とりあえず、お仕置きだね」
 そうだ、倒してしまおう。倒しちゃえば問題ないよね。
 平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)は怒っていた。
「せっかくハロウィンで楽しくしてたのにこんな騒ぎ起こすなんて水を差された気分だよ、もう! ゆるさないぞ! ぷんすか!」
 ぷんすかする21歳男性。女児のような容姿と言動、和は正真正銘の男の娘である。本人は気にしているが、生まれ持った声・顔立ち・低身長のトリプルコンボは如何ともし難い。
 怒っているのは工藤・千寛(勇者いざなう戦旗の乙女・e24608)も同じだった。
「ハロウィン……楽しいイベントでした。ただし、その余韻を壊す行いは捨てておけません。絶対に阻止いたします」
 千寛は凛とした眼差しを凶悪ヅラしたぷりんに向ける。そう、悪いのは全て夢食いの魔女である。
「へぇ、ハロウィンにデカいお菓子の差し入れかよ……気が利いてるじゃねえか。パーティ終了後を狙ってくるのも高評価だぜ」
 太陽の化身を思わせる、光を放つ金の髪。紅い瞳を滾らせて、草火部・あぽろ(超太陽砲・e01028)はあえて笑んでみせる。
「そっちがその気なら、笑顔のままスッキリ終わらせてやるよ」
 ここなら一般人を巻き込む恐れはない。撃ち漏らせば外に被害が及ぶことに変わりはないが、そうはさせない。
「ええい紛らわしいフォルムですねっ! 功性植物といっても見た目は様々なのでしょうけど、こう、その姿で植物とかおかしくないですかね?!」
 思わず突っ込んでしまうスヴァルト・アール(エリカの巫女・e05162)。
「……どこまでが植物なのかしら」
 キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)も無表情に素朴な疑問を呟く。キリクライシャが気になるのは林檎である。彼女の好物であり、このプリンの化け物も元は黄金の林檎であったのならば、関係があるのだろうか。
「兵站と看取りを司る種族として、食べ物に関する戦いも避けては通れないものですが……プリンは植物だったでしょうか?」
 千尋も真面目に考え込んでしまう。
「ドリームイーターは何でもありでござるなあ。とにかく食べられないプリンには何の価値も無いでござるな」
 仙道・風(しゃべくり鎌鼬・e31694)はのんびりと言いながら結論付けた。心の下に隠した刃は、いかに効率よく敵を倒すか計算を始めている。
 ケルベロス達の様々な思いを他所に、およそ知性などなさそうな巨大プリンはゆらゆらと揺れ続けていた。 


 最初に異変に気付いたのは和だった。
「! みんな! 気を付けて!」
 こいつは一体どう動くのかと思ったら、プリン部分を揺らす反動でガラスの器ごと飛び上がったのだ。
 プリンの横っ腹がぱっくりと割れ、和を飲み込もうと突進してきた。
「プリンのくせに人を食べようとは小癪なー! 食べられてたまるかー! とおー!」
 和は惨殺ナイフで払い、初撃を外したプリンはたたらを踏む。
「危なかったでござる。意外と素早いでござるな」
 風は天井に引っ掛けた鎖鎌の鎖を手繰って飛び上がり、壁を蹴って逆さに宙を舞う。上から見下せば、ぷりんの図体のデカさを実感する。
「たぁ!」
 風はぷりんの進行方向にクナイを投げる。グラビティを帯びた刃は蒼いリボンを後に引き、ぷりんの足元に四つの楔を打ち込み足止めした。
 ぷるるん!
 急ブレーキをかけたぷりんは天井にぶら下がる風を睨む。
「焼きプリンにしてあげる!」
 ガガガガ!
 キアリのブレイジングバーストでばら撒かれた大量の弾丸が柔らかいぷりんにめり込んでいく。
 硬質の音――キアリのオルトロス・アロンの咥えた刀がガラスの器に当たり、刃鳴りが甲高く響いた。
「ハロウィンを邪魔された恨みを喰らえー! てややー!」
 どおおおん
 和のサイコフォースの爆風でカラメル部分が少し吹き飛んだ。
 ぷるるる――
 ぷりんの単眼がすっ、と細まる。餌だと思ったモノが反撃してきたので機嫌を損ねたようだ。
「ネギ、シソ。チアモードシフト――! Go for it!」
 リノの号令で、二本のファミリアロッドがフェレットのネギとスピックスコノハズクのシソに変化する。代わりにリノの手には幻影のステッキとシルクハット。ステップを踏めば、二匹の眷属が己の幻影を従えたラインダンスを踊り出す。
「オロシ、みんなを守ってね」
 最後にシルクハットが落ちた時、消えた幻影と入れ替わるように、ふわもこの綿菓子――ボクスドラゴンのオロシが飛び出してきた。飛び回り、属性を振りまくオロシ。
「おう、プリンのお返しは、とびっきりのトリックで構わねえな?」
 この場にはいない魔女――黒幕に向かって、あぽろは低く呟く。爛々とした紅瞳に炎の如き灼熱が揺れる。
「ハロウィンの締めに、デウスエクスからド級のトリートだ! 全力のトリックで迎えてやろうぜ! じっくり調理して、美味しく消し飛ばしてやるよ」
 あぽろの刃のような蹴りがぷりんの横っ腹にめり込んだ。
 ――ぷるるん
 手応えの薄い弾力。ぷるぷる感で受け流すのがこいつの防御方法らしい。一見弱そうなお菓子の体は、意外と手ごわい。
「見た目はゆるゆるであれですが、油断は禁物……!」
 スヴァルトはルーンを発動させ、呪力と共に斧を振り下ろす。動きも何もかもがおいしそうなプリンなのだが、やはり危険物だ。はじけ飛んだクリームを返り血のように浴びながら、スヴァルトはツインテールの頭を振り払う。
 ぶるるるる!
 再び突進してきたぷりんを、キリクライシャが全身で受けとめる。プルプルひんやりした感触が頬を撫でれば、甘い香りがまとわりついてくる。
「これでたべられないなんて……うう」
 誘惑を振り切るように、キリクライシャのグランドファイア。炎で糖分が焦げ、カラメルの甘い香りが漂う。
「……今よ、リオン!」
 キリクライシャの呼び声にテレビウムのバーミリオンが飛び出し、主が止めている敵を背後から殴りつける。
 ぐしゃっ
 きしゃああ
 プリンの横っ腹がパカリと裂け、バーミリオンが飲み込まれた。
 ぷるぷるぷる――べちゃっ
 ぷりんの単眼は取り込んだ獲物を味わうように瞬きすると、プリン塗れでフラフラになったバーミリオンが吐き出された。
 千尋は戦慄する。
「なるほど、大きなプリンというのは厄介ですね」
 人一人、中に取り込めるほどの大きさだ。喰われれば丸のみにされる。
 勇気と、加護を――千寛のゲシュタルトグレイブに掲げられた戦旗が翻り、ぷりんの柔らかい表面が凍り付いて裂傷が走る。
「冷凍プリンになりなさい!」
 キアリの手から放たれた黒い液体もまた、螺旋の冷気を纏いながらプリンに絡みつき、冷気で脆くなった組織を砕く。
 上から落下の勢いを乗せて、風はドラゴニックハンマーを叩きつけ、超重の氷攻めを畳みかける。
 スヴァルトは宿した御業を炎弾に変え、放つ。
 凍らされたり、焼かれたり。いいようにされながらも、プリンはしつこくケルベロス達に喰らいついてくる。
「ハロウィンを邪魔された恨みを喰らえー! てややー!」
 和が惨劇の鏡像をくりだすと、ぷりんは身もだえし始めた。
 ぷるんぷるん……
「プリンのトラウマってなんでしょうか?」
「食べられること、ですかね……」
 思わず千寛が呟くと、スヴァルトがなんとなく答える。
「よーし、そんなら喰ってやるよ!」
 あぽろの月光斬が低く弧の斬撃で足元を掬い上げ、倒れそうになるぷりん。
 ぷるん!
 だが本体は器用に重心を移動し、転倒する前にバランスをとって立ち上がった。落ちそうになったリンゴもぴしりと元の位置に戻る。


「ねぇ、君はどんな味するのかな?」
 リノはワクワクしていた。うにうには食べる気にはならないが、狙いは目玉のついたチェリー部分だ。よりによって最も食べ物らしくない部位を狙う不思議。
「僕、知ってるよ。こういう時は『オレ、オマエ、マルカジリ』っていうんだよね。それじゃ、行くよ。『オレ、オマエ、マルカジリ』!」
 がぶり
 口いっぱいに広がる奇妙な味わいに、リノは微妙な顔をする。
「……んー、不味くはないけど……ちょっと僕には合わないや」
 ヘリポートで九子は『食べられない』と言っていたが、確かに食べ物ではない味と食感だった。
 キリクライシャがじーっと見つめていたのはプリンの横に添えられた林檎だ。プリン同様、林檎もでかい。
「(トッピングの林檎の飾り切り部分が林檎なのか、それとも擬態なのか……」)
 だがここで喰らいつくのは理性で抑えた。
 ぷるるるる!!!
 喰われた分回復しようというのか、プリンはスヴァルトに向かってダイブ――一気に飲み込もうとする。
 続いて次々と飲まれるケルベロス達。時には二人一緒にまとめて飲まれた。
「みんな、立て直すよ!」
 和から発生した『真に自由なる者のオーラ』が仲間を包み込む。
 キリクライシャが大小二対の翼をはためかせると、オラトリオヴェールの光がさらに包み込む。
 ワイヤーアクションで空間を三次元に飛び回っていた風は勝機を見る。空の霊力を帯びた鎖鎌でダメージの重なった傷跡を狙った。
 ぴしり
 ガラスの器に大きなひびが入った。ついに限界が近づいたのだ。
「もう少しです……ね!」
 千尋が瞳を閉じると、光の翼に包まれる。光の粒子の集合体となったその身は細長い紡錘状の槍となり、敵を貫く。再び千寛が顕現した時、ぷりんに大きな穴が開いていた。周りの組織が埋め戻そうとするが、増殖には勢いがない。
 それでもぷりんはケルベロス達に食いつこうとする。足りない部分を埋め合わせようとするかのように。
 あぽろが切り裂くような蹴りで退けると、のしかかろうとしていた巨体はぶるんと身を震わせて飛び退いた。あぽろは口笛を吹く。
「3m、流石にデケぇな。こんな見た目なのに食えねーとか、それこそ冗談だろ。しかも逆にこっちを食おうとしてきやがって……プリンのくせに、生意気だ!」
 右手にバチバチとチャージされる力――烈火の巫女は、その身に太陽を背負い立つ。黄金の髪はその力に満ちて、光と熱とに変換される。
「陽の深奥を見せてやるよ。テメェがどれだけデカくても、コイツで丸呑みだぜ……! ハッピーハロウィンッ!『超太陽砲』!!」
 極太の焼却光線の轟音に店内の床が揺れた。至近からのエネルギーをぶち込まれたぷりんは中までこんがり火が通る。もはや炭に近い。
 それでもなお、動く。
 トリックオアトリート――植物なのか、お菓子なのか。今やそのどちらでもない様相で。
「ここで止まってください! あなたの行く先はここで終わりです」
 千寛の凛とした声に、戦旗が舞う。長槍が円を描く軌道で振り抜かれ、竜殺しの英雄を降ろしたその姿は、竜退治の逸話をもつ聖剣の召喚。
「竜をも屠る一撃、その身に受けなさい!」
 そして、スヴァルトは古き言葉を静かに告げる。
「世界は新たに構築される」
 血煙のような霧が湧き出し、意思を以って動き出す。血の赤はやがて濃く、闇へと高まり、生み出された地獄の幻影たる昏い炎がぷりんを飲み込んだ。
 焼かれ、切り裂かれ、また焼かれ――もはや原型を失ったぷりん・あら・もーどは、最後の悪あがきとばかりに爆発した。
 炭化した本体は黒い粉をばら撒きながら、とびちった破片は二度と元には戻らず、消えていった。
「各地のチーム、祝砲は見えたか? こっちは終わったぜ!」
 あぽろの堂々たる勝利宣言に、この夜最後のパーティーは終わりを告げたのだった。


 戦闘もさることながら、最後の爆発で店内はめちゃくちゃだった。
 ケルベロス達は仲間を癒し、傷ついた店内にもヒールをかけていく。色々混じってしまったのか、店内は着た時よりハロウィンムードが増している。
「明日も元気に開店してくれるといいな」
 店内を眺め、あぽろは軽くうなずく。ハロウィンは終わってしまったが、明日からのこの店の営業形態はどうなるのだろうか。
「ふえーん、プリンでべとべとー。気持ちわるーい。クリーニングクリーニング……あ、みんなもクリーニングいるー?」
 全員が一度はぷりんに飲み込まれ、無理矢理プリンプールを堪能させられていた。甘い香りとベトベトに塗れ、しかも味はおいしくないという罰ゲーム。和の申し出に、ケルベロス達は好意を受けた。
 キリクライシャは食器類をヒールして棚に戻しながら、ずっと林檎の事を考えていた。ヘスペリデスが林檎を扱う魔女で、スイーツの姿をした敵を林檎から生み出したらしい点が興味深かった。
 風もパッチワーク――第十一の魔女の手がかりを求めて現場を調べていた。
 だが、ぷりん・あら・もーどの残骸はプリン本体もリンゴもクリームもガラスの器も、全て跡形もなく消えてしまっていた。
「今後も気の抜けない状況かもしれませんが、今は一息つきましょう。よろしかったら、いかがですか?」
 千尋はにっこりして、南瓜お化け型のキャンディをケルベロス達に手渡す。疲れた体にハロウィンの余韻と甘味が染みわたるようだった。
「何処かで美味しい、そして動かないプリンを買いたいわね……旅団の皆と食べるの」
「そうだね……ハロウィンだし、きっとおいしいプリンがあるよね」
 リノとキアリは互いを労う。疲れた顔の二人と対照的に、スヴァルトは元気に大きく伸びをした。
「あーお腹空いた! 甘いもの食べたくなっちゃいますね! あー、食べられないプリンアラモードを見たせいか、本物食べたくなりましたね。どこかパフェ系の美味しいお店探しますかぁ」
 ハロウィンの甘い夜はまだまだ続きそうだった。

作者:高峰ヨル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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