●結実
とある地方の料理店。照明は落ち、片付けられたその場所に、一人の女性が姿を見せた。
「私が失っていた『服従』の心は満たされた。あぁ、誰かに服従し、その為に働く事の、なんと甘美なる事か」
忽然と現れたその女性は、誰に聞かせるでもなくうっとりとそう歌い上げる。
「魔女の力が最も高まる今夜、第十一の魔女・ヘスペリデスが、その役目を果たすとしよう」
魔女。
そう名乗った彼女は、無人の館を踊るように練り歩き、テーブルを、床を、壁を、順繰りに指先でなぞっていく。
昼の間は、地元の人達を集めて盛り上がっていたのだろう、軽く片付けられてはいるが、そこかしこにパーティーの名残は色濃く残っていた。
やがて館の中央、大きなテーブルに辿り着いた魔女は、その真中へと手を伸ばす。
「さぁ、お前達、ハロウィンの魔力を集めて私に捧げよ。全てはユグドラシルにおられる、『カンギ様』の為に」
置かれたのは、黄金色に輝くモザイク柄の果実。
しかし館の中央に実ったそれはすぐさま形を変えてしまう。
大きく、そして色鮮やかに。ハート型の白い土台に赤のソース、そして苺の絡み付いたその姿は、まるでお菓子のようで――。
「さぁ、人間共の夢の残滓と黄金の林檎より生まれし、ぱんな・こったよ。人間どもを喰い散らかすがいい」
苺の果実に目と口が生じる。
第十一の魔女・ヘスペリデスの呼び声に応え、攻性植物『ぱんな・こった』が産声を上げた。
●でもさ、それっておいしいの?
「楽しいパーティーでしたね、本当に」
ケルベロス達を集めたヘリオライダー、セリカが余韻に浸るように遠くを見る。騒がしくも長い一日。だがその終わりに待っていた状況へと思考を移し、すぐに彼女は真剣な目を一同へと向けた。
「早速ですが、辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)さんが、新たな敵の動きを見つけてくださいました」
彼の調べでは、ハロウィンパーティーが終わった直後に、パッチワークの魔女の一人が動き出した事が分かっている。
パッチワークの魔女の一体、第十一の魔女・ヘスペリデス。彼女は、日本各地のハロウィンパーティーが行われた会場に現れ、会場に残ったハロウィンパーティーの残滓と、彼女が持つ黄金の林檎の力で、強力な攻性植物を生み出しているという。
「このままでは、パーティーを楽しんで家路につこうという人達が襲われて、殺されてしまうかもしれません。
楽しいハロウィンを、惨劇で終わらせない為に、パーティー会場に向かい、現れた攻性植物を撃破して欲しいのです」
今回の現場は地方のとある料理店。常連客をはじめとした地元、近所の人達でパ-ティーが行われていた場所である。翌日は休みするつもりだったのか、とりあえずの片付けをしただけのその場所に、攻性植物が鎮座している。
「二次会……とかに移ったのでしょうか、幸いにも、店も周りも無人の状態です。一般の方を巻き込む心配はしなくても良いでしょう」
そして肝心の攻性植物だが……体長4mほどの、巨大なパンナ・コッタの形をしている。絡み付いたイチゴのような部分からして、攻性植物のような攻撃をしてくる事が予想される。
「それに、何と言うかその……眠そう? ですよね? うまくすれば奇襲できるかも知れません」
最後の情報は少々頼りないが、工夫次第では生かせるかも知れない。
「パーティーが終わって間も無いのに、申し訳ありません。ですが、これを見過ごすわけにもいきません」
締めくくるようにそう言って、セリカは一同に向かって頭を下げた。
「どうか、対処をお願いいたします」
参加者 | |
---|---|
白神・楓(魔術管理人・e01132) |
シィ・ブラントネール(美少女・e03575) |
リィ・ディドルディドル(ナキリ・e03674) |
翼龍・ヒール(ドクトルドラゴン・e04106) |
黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856) |
天那・摘木(ビハインドとお姉さん・e05696) |
ラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050) |
イヴァン・ドラクリヤ(聖夜までに恋人を作れるのか・e27997) |
●開幕
「せっかくの楽しいハロウィンを台無しにされたら堪らないわ! 急いで駆除しないとね!」
扉を開けたシィ・ブラントネール(美少女・e03575)達を、テーブルに鎮座した攻性植物が迎える。白い身体に赤いソース、そしてそれに絡みついた蔓の先には、目と口を持った瑞々しい果実。
「パンナコッタとは、また面妖なものを……」
着ぐるみを身に纏ったイヴァン・ドラクリヤ(聖夜までに恋人を作れるのか・e27997)の呆れるような言葉に、ラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050)が頷く。
「(何故、こんな見た目に……)」
彼女をはじめとする何名かにも、それと同じ思いが去来していた。
「(食べたら美味いのかな?)」
「(味見するくらいならバレないかしら……)」
迫りくる戦いの緊張に、白神・楓(魔術管理人・e01132)とリィ・ディドルディドル(ナキリ・e03674)の喉がゴクリと鳴った。
●擬態
ケルベロス達の存在を察した攻性植物が、果実についた目をゆっくりと開ける。単眼のそれはどこかぼんやりとしており、一言で表すなら眠たげである。
敵の視線を前に、それぞれ戦闘態勢をとる中、黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)とイヴァンはあえて身動きを抑える方に気を回す。
「……?」
ディフェンダーとして前に出たサーヴァント達……ボクスドラゴンのイドとミミックのメディカルボックスが不思議そうにそれを横目にする。
緑の塊と着ぐるみが床に放置されているように見えるわけだが。
「何と言うか、面白い光景ですね?」
にこやかに微笑んで、翼龍・ヒール(ドクトルドラゴン・e04106)が手にしたスイッチを押す。グラビティによるカラフルな爆発が味方の背景を彩り、戦いの幕が上がった。
ぱんな・こったに絡んでいた蔓草が蠢き、先端が歯のような形状に変化する。本来禍々しいはずのそれらにも赤いソースは絡みつき、動くたびに白い身体がぷるぷると震える。
「目の毒……目の毒です、これは」
「にゃっ!」
悩まし気にしつつもしっかりと狙いを定め、ラズリアが時空凍結弾を放つ。そして天那・摘木(ビハインドとお姉さん・e05696)のビハインド、『彼』の起こしたポルターガイスト現象によって飛んだスプーンが、その氷の上からぱんな・こったのボディに突き刺さった。
「命中ね。上手上手」
自慢気に胸を張る『彼』の頭を撫でつつ、摘木が雷の壁を展開する。彼女とヒールの二名が今回の癒し手。彼女等の仕事は徐々に忙しくなっていく事だろう。
戦端は開かれたばかり、序盤の攻防の中でシィが一歩前に踏み出し、仕掛ける。
「アナタとってもおおきいのね? でもワタシも同じくらいかしら? ほら」
グラビティ、gigantesque。限定的に全盛の力を発揮したシィの体が巨大化、ぱんな・こったの同じ身長に至る。人間にはあるまじき大きさに、ぱんな・こったは驚いた様子で目を見開いた。
「これならおあいこね! お友達同士握手しましょう!」
そう言って伸ばされた腕に、戸惑ったままぱんな・こったが蔓草を伸ばす。だが次の瞬間、シィの強烈な蹴りがその身に炸裂した。
「かかったわね!」
「ひっかかった!? スゲェっすシィおねーさん!」
大分強引に行ったような気がしたが、それはともかく。体勢を立て直したぱんな・こったはすぐに反撃の構えに入る。
不幸にも狙われたのは前列で歓声を挙げた人物。歯を生やした蔓草が物九郎へと迫る。が、そこであえて、もさっと音を立てて彼はその場に伏せた。
「……?」
蔓が勢いを失い、止まる。物九郎の身を包む森林迷彩に、アクセサリである白黒の薔薇。その様子を探るようにしばし蠢き――。
「……(二酸化炭素を抑えめに! 光合成、光合成っすよ!)」
物九郎の植物なりきりは一定の成果を上げている。だが迷った挙句、「とりあえず噛んでみる」という結論に至ったらしき攻性植物が口を開き、迫る。
「待ちなさい」
その時、翼を広げた『赤』がその身を盾に割り込んだ。
さらに『白』が上空からの一撃を加え、『赤』から蔓草を引きはがす。まだどこか眠たげなぱんな・こったの目が、自然とその二人へと向けられた。
これを好機と見て取り、飛来した白い物体、楓がその両腕を見せつけるように広げてみせた。
「攻撃の前によく見てみな、この白さ!」
ばさりと音を立ててはためく白衣。そして今回はその下のワンピースに手袋、リボンからネックレスまでまとめて白で染め上げている。髪の色に肌の色、それらも併せて『白』神・楓は宣言した。
「今の私は全てが白で構成されている言っても過言じゃないよ! ……もちろん、心もね」
冗談めかした言葉はともかく、怯んだ様子のぱんな・こったにさらなる追撃がかかる。
「そう、そして見てみなさい、この赤さを」
楓と同じく前に出たのは、赤一色のコーディネイトのリィである。
「赤いってことはつまり、あなたの仲間。思い出して、あの日誓った赤き友情を――」
ドレスから武装、さらにはグラビティまで赤く染めた彼女に文句を付ける者はいないだろう。
「誕生花は柘榴。ついでに家計簿も真っ赤よ。もはや赤さだけで言えばあなたを軽く凌駕する、言わば先輩ね」
台所事情まで晒した謎の説得力に、ぱんな・こったが一層たじろぐ。そんな様子を察し、物九郎はここぞとばかりに自らの攻性植物をうねうねと蠢かせた。
「……!」
『白い』土台に『赤い』ソースと果実、そして絡みつく『植物』。これはつまり『ぱんな・こった』なのではないか。
そんな思考が敵の中で展開されたかは定かでないが、ぱんな・こったはこの三人を「やっべぇ先輩じゃね?」くらいのテンションで素通り。その後ろのケルベロス達へ攻撃の手を向けた。
「ウラーッ! 待ちんさいやこンのボンクラ攻性植物ェ!」
だが先輩に向かってその態度は無い。怒りの声と共に、薔薇の茂みの間から大きな猫の手が現れる。
「先輩を無視するもんじゃないよ?」
「さぁ、頭を垂れなさい。業界の厳しさってものを教えてあげる」
楓がタバコを深く吸い込み、リィはその右手に漆黒を纏わせ、混沌の鉤爪で以って斬りつける。
「フゥー……、さあ行きな。私の可愛い蛇よ」
「ブチ壊してやりまさァ! ブチネコだけに!」
そして、楓の吐き出した紫煙の大蛇が敵を絡め取り、物九郎の振り下ろした獣化した腕が、ぱんな・こったをテーブルに叩き伏せた。
鎌首をもたげる蛇のように、攻性植物がその身を起こす。
「体が全然崩れないのはどういう仕組みなのかしらね?」
「食べたくなっちゃうくらいです……!」
スイーツにあるまじき耐久性。感触は柔らかいのに、とヒールとラズリアも感想を漏らす。しかし攻撃のダメージ、そしてエフェクトは確実に積み重なってきているはずだ。
「これで通用するのか……」
物九郎と同様、息を潜めて着ぐるみ……蜘蛛の巣かっぷけーきの「くもっぷん」になりきっていたイヴァンもまた、身振り手振りで仲間と誤認させ、敵に追い打ちをかける。
龍血伝・豪炎纏う流星の巨竜によって降り注ぐ炎の流星。身を焼くそれを振り払うように体を震わせ、ぱんな・こったは体から甘いソースを溢れさせた。瞬間的に発生した液体が、衝撃波となって前衛を襲う。
「これは……!」
身を挺して味方を庇ったリィに走る衝撃。ガクリと揺れる膝が、その大きさを物語っていた。
●食らい方
「大丈夫? すぐに回復するわね」
転んでしまったビハインドと一緒に、摘木の癒しの慈雨が味方を癒す。続く攻防に散らかっていく店内には、急速に甘い香りが広がっていた。
続けてイヴァンの炎の弾丸が飛び、シィと同じ形に変化したオウガメタルが拳を放つ。それに対し、ぱんな・こったはもはや騙されないとばかりにビームで応戦。
そう、積み重なっているのはダメージばかりではない。ここまでの経験から、これ以上『見た目』でぱんな・こったを騙すのは難しいと言えるだろう。
「こう、血を噴出して「赤いソース」、とか」
「エキセントリックすぎやすよ!?」
過激な方向に走るのも一つの手か。気力を溜めながらのリィの言葉に、植物で攻撃を続ける物九郎が懸念を伝える。何となく負傷で退場させられる未来しか見えない。
だがそこへ、パジャマ姿のヒールが挑みかかった。仲間を庇ってビームを受けたイド達をスターサンクチュアリで回復しつつ、前へ。
接触により敵の蔓草に伝わる感触、それは『柔らかさ』。服の素材は言うまでもなく、素肌のしっとり感も抜群。美白、保湿、ピーリング。美肌は一日にしてならず、秘訣は日々のスキンケアだ。
「柔軟も私、実は得意なんですよ、ふふっ」
ついでに口調も柔らかく。くっついた状態で柔和に微笑むヒールを、攻性植物が見過ごす。ビームの対象を彼女以外に向け――。
「オーッホッホッホッホ!」
そこに突如響く高笑い。先程までと態度を一変させたヒールがぱんな・こったに指先を突きつける。
「パンナコッタだか、ピーナッツバターだか知りませんが、ワタクシに楯突くものは滅してさしあげますわ!」
本来、戦闘時の彼女は基本この調子である。グラビティにより顕現したブラックローズの老婆が敵を闇へと誘う。より一層眠たげになったぱんな・こったに、続けて追い打ちにかかったのはラズリアだった。
甘い香りの中に紛れ込むバニラのそれ。自らにバニラエッセンスを振り掛け、香りという方向性で敵の警戒を突破したラズリアが、北十字星を振りかざす。
「始原の楽園より生まれし剣たちよ。我が求めるは力なり。蒼き輝きを放つ星となりて敵を討て!」
現れた幾つもの刃が流星群となり、敵を貫いた。
メディカルボックスが目くらましの財宝をばらまく後ろから、着ぐるみを着たままのイヴァンがガトリング弾を叩き込む。激化する戦闘の中、『彼』が摘木の袖を引いた。
「前に行きたい? ダメよ、危ないわ」
視線を合わせて窘める摘木に、むいむいと『彼』が主張する。その内容を聞き取った彼女は、「まぁ」と目を丸くした。
「なんていい子なのかしら! いいわいいわ行きましょう。ぱんなこったちゃんにご挨拶ね!」
別に攻撃するわけじゃないんだからいきなり噛みつかれたりはしないだろう。そんな無防備な姿勢で戦場を横切り、『彼』の手を引いた摘木はぱんな・こったの前に至った。
「ぱんな・こったちゃん、うちの子を紹介するわね」
一礼するビハインドと、かわいいでしょうと言外に言い続ける彼女。戦闘の中から突き落とされたその温度差に、ぼんやりとしたぱんな・こったもあからさまに戸惑いを見せる。
繰り返されるケルベロス達の『奇襲』に、敵もまた学習している。そんな中で摘木が推す要素は『甘さ』だった。
しかもただの甘さ、味覚の話ではない。態度が甘い、見通しが甘い、など強いて言うなら『雰囲気』だろうか。それを伝えるのは至難の業だが、こうして戦闘の開始から繰り返せば、甘い空気に流されることは攻性植物にも多分ある。
「思い切ったことするわね」
「素じゃないかな、案外?」
シィと楓がそんな言葉を交わす内に、判断に困ったぱんな・こったはとりあえず他の者に攻撃する事で戦闘続行を図ろうとする。何しろケルベロス達の猛攻に押され、ぱんな・こったとしては危機的状況なのだ。
「あら、お邪魔だったかしら」
そんな状況を察したような台詞と共に、摘木が軽く両手を上げる。
「ちょっと悪戯好きな子達なんだけど、遊んであげてね、ぱんなこったちゃん」
それはさながら、指揮者のように。『彼』と彼女と、恐らくはその遊び仲間達が一斉にポルターガイスト現象を引き起こし、スプーンの行列がぱんな・こったを切り裂いていった。
戦闘も最早佳境に至り、積み重ねられたBSにより動きの鈍ったぱんな・こったが、全力を振り絞るようにしてグラビティを放つ。
「させないわ……!」
溢れ出るイチゴソースの波。後衛を狙ったその攻撃に、リィが飛び出す。味方を守るのが今回の彼女の役割、全身を以って彼女はその攻撃に身を晒した。
その眼が輝いて見えたのは、恐らくヒールの勘違いではないだろう。
「濃厚なコク、とろけるような舌触り、ああ、程良い酸味が甘さにとけ込み夢のようなハーモニーを――」
「待ってどこへ行くの落ち着きなさーい」
連続で庇いながら、口と全身でそれを味わう。攻撃に伴う催眠効果……と思われる何かでトリップしかけたリィに、ヒールが気力を送り込んだ。
「美味しそう……」
羨まし気に指を咥えるラズリアと『彼』。その一方で愉快気に笑いつつ、楓が絶空斬でぱんな・こったの傷口を広げていく。ここまで来れば、敵はほとんどまともに動けないだろう。
「ははは、お腹壊すんじゃないよ」
そう、食べて大丈夫かの保証はない。というか攻撃を食らったリィにダメージはしっかり入っている。
「はっ……これは敵の巧妙な罠ではっ」
そんな結論に至ったか、ラズリアがいつもの戦闘と同じように、表情を引き締めた。
「アイギス!」
凛とした声に応え、隆起したオウガメタルが鋼の拳を繰り出す。流体金属による重い一撃は、ぱんな・こったが防御のために束ねた蔓草を打ち破った。
そこに走り込んだ物九郎が放ったのは、降魔の力を宿した一撃。
「えっ」
自分に連携して放たれたそれに、ラズリアが驚きの声を上げる。振り下ろされたのは拳ではなく、歯。
「ぱんなこったウメー!」
魂を喰らうその力で、物九郎がぱんな・こったを咀嚼する。
「一緒に食べたいの? 仕方ないわね、今日だけよ」
「にゃーい」
そんな様子に乗せられたか、摘木の『彼』もまたぱんな・こったの背後に出現。敵に向かってかじりついた。
「そ、そんな……!」
食べていいの? やっぱり美味しいの? そんな疑問がラズリアの脳裏を過るその内に、致命傷を負ったぱんな・こったは跡形も残さず消滅していった。
●大満足?
「こんなに甘やかすの今日だけよ。明日からはいつも通りだからね?」
そう言って、摘木がビハインドを抱き上げる。戦いはケルベロス達の勝利に終わった。この場所での魔女の狙いは挫かれ、悲劇が起こる事ももうないだろう。
「やりましたね……!」
少々複雑な表情で、ラズリアが勝利の味を噛み締める。できればぱんな・こったの味も少しくらいは確かめたかったところだが。残っているのは濃厚な甘い香りと、派手に散らかった部屋ばかり。
「まったく、後始末ぐらい自分達で済ませて欲しいものだな」
ようやく着ぐるみを脱いだイヴァンがため息をつき、ケルベロス達は片付けと、そして建物のヒールに取り掛かっていった。
「さようなら、ぱんな・こった。今度会う時は無害になって、リィのおうちのお庭に生えてね」
「あ、それは素敵ね」
「私のところにも欲しいです……」
様々な思いをケルベロス達の心に残し、ハロウィンの夜は更けていく。
作者:つじ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 2
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