パッチワークハロウィン~チョコプリンの甘い罠

作者:天木一

 カボチャ、カボチャ、カボチャ。パーティ会場にはいたるところにくり抜かれたオレンジのカボチャ頭が飾り付けられている。
 並べられたテーブルには使用済みの紙皿やコップが乱雑に並び、お菓子のカスやジュースの飲み残しが置かれていた。
 人の帰った会場には賑やかだった暖かな空気がまだ残っているようだった。そんな場所にまるで仮装したような魔女が現われる。
「私が失っていた『服従』の心は満たされた。あぁ、誰かに服従し、その為に働く事の、なんと甘美なる事か」
 酔いしれたように魔女は手を広げて笑みを浮かべる。
「魔女の力が最も高まるハロウィンの夜、第十一の魔女・ヘスペリデスが、その役目を果たすとしよう」
 芝居がかった調子で黄金の林檎を籠から取り出した。
「ユグドラシルにおられる、『カンギ様』の為に、私の黄金の林檎からハロウィンの日に相応しい植物を生み出そう」
 魔女は黄金の林檎を放り投げる。すると林檎は巨大化し、チョコレートのプリンにナッツを添えたプリン・ア・ラ・モードへと変身する。
「さぁ、人間共の夢の残滓と黄金の林檎より生まれし、攻性植物ブラック☆ぷりん・あら・もーどよ。人間どもを喰らい、集めた魔力を私に捧げよ。全ては『カンギ様』の為に……」
 魔女が姿を消す。するとチョコレートの甘い香りを漂わせ、3mを越える黒いプリン・ア・ラ・モードが人を襲う為に動き出した。
 
「皆さん、今日は楽しいハロウィンパーティーでしたね」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が何事かと集まったケルベロス達に声をかける。
「せっかくの楽しい気分のところですが、辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)さんが新たに動きだす敵を発見してくれたようなのです」
 ハロウィンパーティーの直後に、パッチワークの魔女の一体が動き出すのだという。
「動き出したパッチワークの魔女は、パッチワークの魔女の一体、第十一の魔女・ヘスペリデスです。彼女は日本各地のハロウィンパーティー会場に現われ、パーティーの残滓と彼女が持つ黄金の林檎の力を合わせ、強力な攻性植物を生み出そうとしているようです」
 生まれた攻性植物はパーティー帰りの人々を襲い、大量虐殺が起こされてしまう。
「ハロウィンが楽しいまま終わるように、皆さんの力で攻性植物を撃破して欲しいのです」
 楽しいはずの一日が惨劇の日とならぬように、今ならば止める事が出来る。
「敵が現われるのは茨城県にある、パーティー会場として使われた公民館で、既に人は帰宅した後です」
 従業員も帰っており、周囲に人影は無く一般人を巻き込む心配はない。
「敵は3mを越える巨大なチョコレート味のプリン・ア・ラ・モードの姿をしています。チョコソースやナッツを武器に戦うようです」
 見た目や攻撃方法とは裏腹に、戦闘力は高めのようだ。油断はできない。
「今日はみんなが楽しむハロウィンです。それが最後に事件でかき回されては堪りません。邪魔者を倒し、ハロウィンを楽しいものとして終わらせてください」
 よろしくお願いしますとセリカが一礼してヘリオンの準備に向かう。
 ケルベロス達もハロウィンの最後にケチをつけられては堪らないと、ハロウィンらしくお菓子のお化け退治とばかりにノリ良く戦いの準備を始めるのだった。


参加者
ルリナ・アルファーン(駆け出しアイドル・e00350)
鵺咬・シズク(黒鵺・e00464)
エルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
ルル・キルシュブリューテ(ブルーメヘクセ・e16642)
宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)
葛西・藤次郎(シュヴァルツシルト・e22212)
セデル・ヴァルフリート(秩序の護り手・e24407)

■リプレイ

●仮装パーティー
 既に夜は深まり、ハロウィンパーティーを楽しみ終え、仮装をしたまま浮かれて帰途に就く人々の脇を通り抜ける。さまざまな仮装をしたケルベロス達は静まり返る施錠された公民館にやって来た。
「初めてのハロウィン、とても楽しかったです」
 サイバー風魔法少女の仮装をしたセデル・ヴァルフリート(秩序の護り手・e24407)はまだ学園で行われたハロウィンの余韻を楽しむように笑みを浮かべる。
「ですから、それを壊すのは絶対に許しません! 奇妙な攻性植物ですが、油断なく倒しましょう!」
 今日という日を最後まで楽しい思い出で終わらせる為に、人が襲われる前に倒してしまおうと気合を入れた。
「ハロウィンの仮装行列はなかなか壮観だったなぁ」
 来年は自分も参加してみようかと思いつつ、葛西・藤次郎(シュヴァルツシルト・e22212)は折角の機会だからとミイラ男を模して、包帯をぐるぐる体に巻く仮装をしていた。
「不思議の国のアリスの『三月ウサギ』のつもりだつたのですが、『ウサギの格好』と言ったらコレを渡されまして……ま、プリンを倒す、イカれたお茶会と参りましょうか?]
 手に懐中時計を持ちバニースーツ姿のルリナ・アルファーン(駆け出しアイドル・e00350)は、無表情のまま自分の衣装を見下ろした。
「なんでハロウィンには必ずデウスエクスの誰かの邪魔が入れるかしら、本当に構ってちゃんなの」
 ラグドールのウィングキャットの格好をしたエルス・キャナリー(月啼鳥・e00859)が、ハロウィンを邪魔されて不機嫌そうな声を漏らす。
「狼さん? そんなのこわくないんだから―! むしろ食べちゃうぞ、なーんて」
 赤ずきんの仮装をしたルル・キルシュブリューテ(ブルーメヘクセ・e16642)が、ノリノリで手を獣耳のように頭に立てて仲間に笑いかけた。
 全員用意は出来たとドアを破ると、中はハロウィンパーティー用に、カボチャや小道具で飾り付けられていた。踏み込むと甘い香りが漂い、暗闇の中には蠢くモノの存在を認識した。室内に明かりが灯ると、それが3mにもなる巨大なチョコレートのプリン・ア・ラ・モードだと分かる。
「攻性植物? ずいぶん美味しそうな姿のようだが。まあイイ。他に誰もいないようだし、周囲を気にせず倒せるな」
 シェフのような白衣姿に菜切り包丁を持った目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)は、包丁をキラリと光らせてどう料理してやろうかと考えながら、鈍色をした液体金属の鎖を仲間に纏わせグラビティを活性化させる。
「甘いのが食べたくなる……はっ、我慢!
 甘い香りに惹かれるのを耐え、吸血鬼の仮装をした宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)がドローンを飛ばして仲間を守る。その頭の上でころころと太った虎猫のウイングキャット、ガウェイン・ミコトは羽をふわふわと動かして清浄な空気で部屋を満たす。
「甘ったるそうな見た目だが、文字通り舐めて掛かると危険な相手だな。油断なくいくぜ!」
 忍者らしい、くの一衣装の鵺咬・シズク(黒鵺・e00464)が施設の全ての明かりを点灯し、仲間に合図を送りながら駆け出す。敵の傍を素通りし後ろに回ると、反射的にプリンはそれを目で追って反転した。そこへ仲間が仕掛ける。

●チョコプリン
「ハロウィンらしく派手に!」
 セデルが携帯したボタンを押すと、色とりどりの爆発が起こり仲間の士気を高める。その爆煙の中、ビハインドのイヤーサイレントはテーブルに置いてあるフォークやスプーンを浮かべてプリンにぶつける。するとプリンはチョコソースを飛ばしてそれを弾いた。
「プリンは嫌いじゃないけど、ここまでデカくなってなお暴れるプリンはいらないの、お菓子として失格なの、ぷるんぷるん揺れても許さないの、ごみ箱へお行きなさい」
 エルスが剣を床に突き立て、星座を描きその力で仲間を守護してチョコソースを防いだ。
「冷凍プリンになりやがれ!」
 シズクが手を向けると、放たれた吹雪が螺旋となって渦巻きプリンを凍らせていく。
「プリン・ア・ラ・モード……攻性植物でなければ、歓迎したいところですが、人を襲うのであれば倒すだけですね」
 そこへウサ耳のカチューシャを揺らして接近したルリナが、腕をドリルのように回転させて貫手を放つ。凍ったガラスの器を貫き、中のプリンが震える。
「そこの攻性植物よ、みじん切りにしてやろう。覚悟せよ!」
 真が包丁を向けながらフェイントで反対の手でスイッチを押す。すると見えない爆弾が起爆し、敵の体を爆破した。
 形を崩したプリンが向かってくると、テレビウムのイコがフラッシュを焚いて妨害し、ナノナノの煎兵衛はハートを飛ばして相手の動きを鈍らせた。
 ならばとプリンは立ち止まり、上から掛かった大量のチョコレートのソースを噴出した。雨のようにチョコが降りかかる。
「美味しそうでも、食べちゃダメだよ!」
 ルルが剣をかざし、星座の力で仲間達を包み体を蝕むチョコへの抵抗力を高める。
「なんだか、リッチなお菓子だなぁ。チョコは好きだ、美味しそうだが惑わされないよういく!」
 頭を振って雑念を飛ばし、季由は続けてドローンを展開して仲間達の守りを固めていく。ふわりと浮いたミコトも治療の為の風を起こした。
「ハロウィンパーティはまだ終わらないってところかな? いいよ、少しだけ付き合おうか」
 肩を竦めて構えた藤次郎は、死角に入り込むように間合いを詰め、先のダメージを受けた器へオーラを纏った拳を叩き込み傷を広げる。
 プリンは胡桃やアーモンドといったナッツをばら撒くと、まるで手榴弾のように爆発してナッツの砕けた硬い実が散弾のよう飛び散り、ケルベロス達を吹き飛ばす。
「好きにはさせないんだからー!」
 それに対してルルは剣を振るい、星座を描いて仲間に治療を施す。
「攻撃なのに美味しいみたいですね。本当に甘いのか試しに味わってみましょうか」
 ルリナは手から光の剣を生み出し、横一閃に斬りつける。その時飛び散って頬に付いたチョコソースを指で拭いペロリと舐めると、濃厚な甘さが口に広がる。宿る魔力が加護の力に打ち消され、ただの美味しいチョコレートの味がした。
「ヤツを貫け、汞手拳よ!」
 真は液体金属をプロテクターとして拳を固め、駆け寄りながら殴りつける。
「吹き飛びな!」
 低い姿勢で踏み込んだシズクが、器の足に掌打を叩き込んだ。ひびが入りガラスに穴が空く。
「焼きプリンにしてあげるの」
 バランスを崩したところへ、エルスが手を上げると竜の幻影が現われ、吐き出す炎がプリンを焼き付ける。
 プリンはチョコソースを放射状に撒き散らし、近づくケルベロス達をチョコ塗れにしていく。
「ああ、チョコレート美味しい……はっ!? いかんいかん!」
 季由は口元のチョコを拭い、ドローンを敵との間に割り込ませて更に襲い掛かるソースを防がせる。
 仲間を庇いセデルが受け止める。びちゃっとチョコが体を濡らし、口の中まで侵入する。
「菓子は嫌いではありませんが、カロリー過多はよくありません! 皆様も甘味の取りすぎにはご注意を!」
 セデルがヒールドローンを展開してチョコに宿る魔力を打ち消していく。
「ヴァイス、俺が作る隙を見流さないようにね?」
 そう相方のミミックのヴァイスリッターに呼びかけ、藤次郎は流れるようにチョコソースを躱して近づき、すれ違い際に拳を打ち、背後に回って後ろ蹴りを叩き込んだ。
 そちらにプリンの意識が向かったところで、近づいたヴァイスが大きく口を開いて噛み付いた。
「甘くていい香りがするの。食べられないのは残念なの」
 続いてエルスもそこへ剣を突き入れ注意を引く。
「美味しくても、害があるなら食べられないも同然です。全て廃棄処分にしましょう」
 その間にルリナが腕を突き入れ、回転させてプリンをぐちゃぐちゃに潰していく。
「パーティーだからな、等分に切り分けてやるぜ!」
 二刀の刀を抜いたシズクが跳躍し、頭上から幾重にも斬りつけてプリンを斬り飛ばしていく。
 プリンはチョコソースでシズクの体を吹き飛ばしながら、ぶよぶよとプリンを蠢かして近づいてくる。
「チョコプリンは好きだ。ぷるぷる、ほろ苦く甘い香り……とろりとしたチョコレート……うん、至福。まぁ俺が食べられるのは大体三分の一、残りはミコトに食われるが、ともあれ、至福のチョコプリンが不幸を振りまくのはだめだ」
 器を押さえつけながら季由は紙兵を撒いて周囲の守りを固めると、チョコソースに撃たれた紙兵がチョコ色に染まる。
「一人で受け過ぎる事はないよ、ここは俺が引き受けるからキミは回復を頼む」
 仲間を庇うように前に出た藤次郎も腕でチョコソースを弾く。包帯をチョコで汚しながら、ローラーダッシュで間合いを詰めて火花散らす蹴りを見舞う。
「任せて! みんな元気になーれ!」
 ルルが星座の力でチョコソースの影響を弾き飛ばした。
「食べ物は大人しく食べられるてね」
 エルスの元より現われた御業がプリンの器を掴み、動けぬように押さえ込んだ。
「その甘ったるいプリンも何もかも、炎で薙ぎ払ってくれよう」
 そこへローラーダッシュで加速した真は、火花を散らしながら回し蹴りを叩き込む。プリンはそれを見下ろしずずっと覆うように傾いた。
「魔法少女が訪れる災厄から皆様を守ります!」
 下からセデルが蹴り上げ、敵の傾きを戻して攻撃を逸らした。

●甘くて美味しい
 プリンはナッツをばら撒き、爆発させながら距離を詰めてくる。
「甘いプリンを食べちゃうぞー!」
 その中に鋼を纏ったルルが飛び込み、プリンに腕を突っ込んでもぎ取るように引き抜く。続いてイコが花のようなロッドを叩き付けた。
 プリンはチョコソースを発射しルルとイコの体をチョコ塗れにして吹き飛ばす。そして放水するようにケルベロスに向けて甘いチョコの液体を撒き散らした。
「べたべたしますね」
 ルリナはオーラの塊を撃ち出し、獣が喰い千切ったようにプリンを抉った。
「ああっ、チョコソースが……激オコなの!」
 お気に入りの仮装を汚されたエルスが怒り心頭で、竜の幻影から炎を撒き散らす。チョコレートが焼け甘い香りが充満した。
「固まった方が壊しやすいからな、急速冷凍してやる!」
 シズクが凍てつく冷気の渦でプリンを包み込む。
「まだ料理は終わってない、たっぷりと仕込んでやる!」
 そう言いながら真は、液体金属を纏わせた拳で殴りつけると、凍ったナッツが爆発して器が欠けプリンが飛び散る。
「ミコト、あれは敵だ。食べるなよ!! 俺も我慢する!」
 前に出た季由が気力を高めてソースやプリンの欠片を弾き飛ばす。だが上から覆いかぶさるようにプリンが近づき、パクリと季由の体を内部に取り込んだ。そしてぷよんぷよんとシェイクするようにプリンが揺れ、季由の体中をプリンまみれにして吐き出した。
「チョコプリン美味しい……もっと、もっと……」
 意識を朦朧とさせる季由の顔を、自分だけ食べてずるいとミコトが肉球で叩いた。
 ヴァイスが口を開き中から果物が飛び出る。すると回収しようと気を取られたプリンが攻撃を止めて近づいてきた。
「ナイスアシストだ、背後が隙だらけだよ」
 後ろに回った藤次郎が拳を突き入れガラスの器にひびを入れる。
 それ以上はさせないとチョコソースが飛んでくる。
 前に出て代わりに攻撃を受けたサイレントは、チョコに塗れて悶えていた。
「ハロウィンは楽しむものです。それを邪魔するようなら容赦しません!」
 続けてセデルが蹴りを叩き込み、器のひびを大きくした。
 プリンは傷を回復しようと、ケルベロスに向かって近づいてくる。まずはチョコソースを放ち、その魅力に意識を絡め取って動きを止めようとしてきた。
「Trick For Treat! 悪いお菓子にはイタズラを!」
 エルスが虚無の力を召喚して、黒い炎でチョコを焼き尽くす。その炎はプリンにまで燃え移る。
 それでも歩みを止めずに、上からプリンが覆い被さろうとしてくる。
「来るよ、プリンは片付けてから食べよう!」
 仲間に呼びかけながら藤次郎は散開し、上から迫るプリンを避ける。プリンは落ちていたカボチャの被り物を代わりに呑み込んだ。そこへ藤次郎は拳と蹴りの連撃を叩き込む。
「こちらからシェイクしてさしあげます」
 高速回転させた腕を突き刺し、ルリナはミキサーにかけるようにプリンを崩して液体状にしていく。
 ぐずぐずになったプリンはチョコソースを飛ばして動きを止めようとする。
「たまには忍者らしく動いてみるか」
 分身しながらシズクはソースを躱し、回り込んで掌打を放つ。傷だらけのガラスの器が砕け散り、プリンがべちゃりと地面に落下した。
「食べられないなら、石になっちゃえ!」
 ルルが腕を振るって魔法の光線を放つと、プリンが床ごと石化していく。
「ぷるぷると蕩けるチョコプリンは美味しかった、だが人の命まで吸い上げるのを許しては置けない!」
 季由が手をかざすと、プリンの周囲に妖炎が円を描く。その炎は2つの尾を持つ猫となって襲い掛かり、爆散してプリンを炎に取り込む。
 するとプリンはナッツを爆発させ、炎を弱めて這い出る。
「もうハロウィンの時間は終わりです! 迷惑な参加者はお帰りください!」
「コレで終いだ。オヤスミ」
 勢いをつけたセデルが飛び蹴りを放ってプリンをよろめかせ、壁を蹴り上がり天井を蹴った真は、頭上から流れ星の如く飛び蹴りを浴びせた。
 ぐちゃりとプリンが原型を留めず、ただのクリーム状となり床に垂れ広がった。

●ハロウィンの夜
「オツカレサマ」
「おつかれさまー!」
 真とルルがチョコで汚れ破損した建物にヒールを掛けると、チョコレート色のカボチャっぽい柄のついた建物へと修復していく。
「お菓子みたいに美味しくなぁ~れ!」
 そこへエルスもヒールを掛けると、お菓子の家のように建物が変化した。
「何とも甘いお茶会となりましたね」
 バニーガール衣装をチョコで染めたルリナが、無表情のまま同じような状態の仲間を見渡した。
「ま、今日はハロウィンだし、こんな格好も普通だよな」
 やれやれと後始末をしながらもシズクの口元には楽しげな笑みが浮かんでいた。
「やれやれ、終わったね」
 荒れた室内を見渡し、藤次郎も散乱したパーティーのゴミを集め、仲間達も一斉に後始末をしてしまう。
 作業を終えたケルベロス達は外に出る。もう多くの人々は帰ったのだろう。祭りの後の静けさのように、周囲に人の気配を感じられなかった。
「お腹がすいたな、ミコト! 久しぶりにチョコプリンでも食べに行こう」
 季由の頭にミコトが着地し、重そうに頭を傾けながら歩き出す。
「家に帰るまでがハロウィンですね」
 その後にセデルも続き、ケルベロス達はもう少し残ったハロウィンの時間を楽しむように、仮装したまま並んで歩き出した。

作者:天木一 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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