宮崎県の自然公園広場、深夜。
盛大なパーティーが催されたのであろうその場所も、パーティーが終わった今は閑散として物寂しいものだった。
料理は一通り片付けられているが、テーブルや飾り付けはそのまま残されている。片付けは明朝行う予定なのだろう。
そこらじゅうに飾られたカボチャや魔女、おばけに蝙蝠のオーナメント。
明かりのすっかり落ちた広場では、それらはいかにも寂しげだった。
「私が失っていた『服従』の心は満たされた。あぁ、誰かに服従し、その為に働く事の、なんと甘美なる事か!」
――その寂しげな場所で、恍惚と楽しそうに踊る女が一人。
虚空へ手を延べ、女は歌うように喜びを口ずさむ。
「魔女の力が最も高まる今夜。第十一の魔女・ヘスペリデスが、その役目を果たすとしよう」
踊る女――ヘスペリデスは、手にした籠から黄金の林檎を取り出すと、それをパーティー会場へ向け無造作に投げる。
放られた林檎は宙空でむくりと膨れ上がったかと思うと、瞬く間に姿を変えていく。巨大なグラスに盛り付けられた、プリン・ア・ラ・モードの如き異形へと。
巨大なフルーツとクリーム、カラメルソースに彩られたプリン。その上に乗った黒い目玉のような何かの瞳の奥では、何かに魅了されたかのような情熱が灯る。
その変貌を見て、ヘスペリデスは満足そうに両手を広げた。
「さぁ、ぷりん・あら・もーど。人間どもを喰い散らかし、ハロウィンの魔力を集め私に捧げよ。
――全ては、ユグドラシルにおられる『カンギ様』の為に!」
「ハロウィンパーティーが終わったばかりだが、新たな敵の動きだ。
辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)の調べで、パッチワークの魔女に動き出す者がいることが分かった」
ロロ・ヴィクトリア(レプリカントのヘリオライダー・en0213)が、集まったケルベロス達へ説明を始める。
動き出すのは、パッチワークの魔女の一体、「第十一の魔女・ヘスペリデス」。
ヘスペリデスは日本各地のハロウィンパーティーが行われた会場に現れる。そして、会場に残ったハロウィンパーティーの残滓と、彼女が持つ黄金の林檎の力で、強力な攻性植物を生み出すというのだ。
「このままではパーティーから帰ろうとする人々が攻性植物に狙われ、犠牲となるだろう。
折角のハロウィンの思い出を、惨劇で終わらせてはならない。君らには至急現場へ向かい、現れた攻性植物を撃破してほしい」
ケルベロス達が向かうのは、自然公園広場のハロウィンパーティー会場だ。
既にパーティーは終了しており、周辺に人はいない。辺りに照明もないため現場はかなり暗い。
「敵は体長3~4mほどの、プリン・ア・ラ・モードのような姿をした攻性植物だ。
プリンの上に乗った目玉……? のような何かが放つ触手やカラメルソース、フルーツ等を用いた攻撃をしてくる。
あとは、そうだな。このプリン、自分の持てるカラメルソースやフルーツ、クリームを駆使して、ケルベロスを好き放題デコレーションするようだ。
攻撃ついでにケルベロスが無闇に可愛く彩られるおそれがある。戦闘に何か支障があるわけではないが、心構えはしておいてくれ」
また、面白い姿をした攻性植物だが、その戦闘能力は決して侮れない。油断せずに戦ってほしい、とも添えられた。
「パッチワークの魔女がハロウィンに事件を起こすのは分かる。しかし、何故魔女が攻性植物を呼び出すのかが分からない。
ヘスペリデスが攻性植物を武器にしているのか、その逆か。……今考えても分かることではないな。
ともかく今は、最後の最後にハロウィンを台無しにしようとしている攻性植物を倒し、ハロウィンの平和を守ってほしい。今回も頼むぞ、ケルベロス」
参加者 | |
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アリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426) |
和泉・紫睡(紫水晶の棘・e01413) |
光宗・睦(上から読んでも下から読んでも・e02124) |
クラム・クロウチ(幻想は響かない・e03458) |
白刀神・ユスト(白刃鏖牙・e22236) |
影渡・リナ(シャドウランナー・e22244) |
桜庭・萌花(キャンディギャル・e22767) |
一瀬・栞里(博学篤志・e27796) |
●
静まり返ったパーティー会場。
宴が終わった後のうら寂しい闇。そこに今、迫り来る異形の気配があった。
人の身の丈を遥かに超えたプリン・ア・ラ・モード。子供達の夢、その威容。
「ゴゴゴゴゴ……」
地響きのような声をあげながら、パーティー会場を蹂躙し、市街地へ向かおうとしたその時だった。
「!?」
何の前触れもなく、異形――ぷりん・あら・もーどの視界を覆う白煙。
その正体はバイオガスだが、今これを放った目的は、人目を避ける目隠しではない。――演出だ。
目玉に驚きを滲ませ進攻を止めたぷりん・あら・もーどの前に、煙の中から次々と姿を現したのは。
「ウェルカム・トゥ・ハロウィン・ホラー・ナイト!」
バイオガスを撃った本日の演出家、白刀神・ユスト(白刃鏖牙・e22236)が両手を広げながら姿を見せる。
青い肌に不健康な目の隈、継ぎ接ぎだらけの体に頭のネジ。スチームパンクなコートに南瓜のランプを引っさげたその姿は、さながらフランケンシュタインの怪物だった。
「パッチワークの魔女さん……攻性植物さんとご関係があったなんて……」
南瓜のランタンを掲げ、異形を睨み呟くのはアリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426)。いつも身に着けている空色のエプロンドレスに加え、色とりどりのリボンにアクセサリ。今宵のアリスの装いは、普段以上にハロウィンに相応しいと言えた。
「あ、やっぱりランタンは、南瓜の方がハロウィンらしいですよね。これで良かったんでしょうか……」
アリスのランタンを見た和泉・紫睡(紫水晶の棘・e01413)が、自分の手にした蕪のランタンを不安そうに眺めながら現れる。
森の黒い魔女とでも呼ぶべき魔女の仮装。モチーフこそ王道だが、ひらひらの衣服や帽子に飾られた繊細なアクセサリにオーダーメイドの職人技が光る。紫睡の生まれ持った紫水晶の角までもが、雰囲気作りに一役買っていた。
「良いんじゃないかな。服の雰囲気に合ってるし、個性も出てるよ」
紫睡のコーディネートを一頻り眺めた影渡・リナ(シャドウランナー・e22244)が、元気づけるように微笑む。
暗所での戦闘に支障がないようにと、明かりの準備は万全だ。念のために周囲を見渡してみたが、人の気配はなかった。
「ところであのプリン、さっき自分でゴゴゴゴゴとか言ッてなかッたか?」
フルーツやクリーム、チョコレート。色とりどりのパフェの材料で自分をピエロ風に彩ったクラム・クロウチ(幻想は響かない・e03458)は、自分の鼻を飾っていた赤いサクランボをかじりながら首を捻った。
「はい、わたしも聞きました。自分で言っていたと思います。……ところで、どうしてせっかくの仮装なのにもう食べちゃうんですか?」
クラムに答える一瀬・栞里(博学篤志・e27796)の注意は既にぷりんの挙動よりもそちらに向けられていた。
栞里の仮装はかぼちゃパフェ。パフェをモチーフにした着ぐるみだ。首から上はフードにして顔を出し、頭の上にはアイスやプリンを乗せていた。
栞里の問いに、クラムはサクランボを飲み込んでから何気なく答える。
「俺の仮装は、くいしんぼうピエロのパフェコスチュームだからな」
「なるほど。くいしんぼうなら仕方ないですね……」
納得する栞里の横で、クラムのボクスドラゴン「クエレ」は、自分を飾ったオレンジやチョコレートを無心で食している真っ最中だった。
「可愛いスイーツ相手だからって容赦しないからね! こっちもハロウィンらしく仮装で行くけど、お遊びだと思ったら大間違いだよっ!!」
繊細な鳥籠細工の真鍮ランプを突き出し、力強く声を張り上げる光宗・睦(上から読んでも下から読んでも・e02124)。闇の中でも、琥珀色の灯りが暖かく灯る。服装は、睦らしくアレンジしたキュートなピエロ衣装だ。
ギャルの志を共にする同士でもある睦の頼もしい姿。元気付けられた気がして、桜庭・萌花(キャンディギャル・e22767)は一瞬だけ微笑んだ。美しくも妖艶な吸血鬼の姿で、鬼火のランプを手に敵へと向き直る。
「ハロウィンは楽しかったで終わってもらうためにも、がんばろっか。
――とんだトリックアンドトリートって感じだけど、食べられないし?」
太腿のナイフホルダーから抜いた惨殺ナイフを手の中で弄び、萌花は首を傾げる。
「ゴゴゴゴゴ……!!」
ぷりんを囲むように布陣するケルベロス達。
再び地響きのごとく唸るぷりんの目玉からは、受けて立つという気迫が滲んでいた。
●
ぷりんのプリン部分から、カスタードの香り漂う触手が鋭く放たれる。捕縛の触手の魔の手がアリスに迫った。
「きゃあ……っ!」
「チッ……。クエレ、頼むぜ!」
悲鳴をあげるアリスの姿に、すかさずクラムが声をあげる。
主の声に応えて飛び出したクラムは、アリスと触手の間に飛び込んで捕縛の一撃を受け止めた。
プリンの鞭にきつく戒められ、クエレは苦しそうな鳴き声を漏らす。触手はクエレを縛り上げたまま、小さな竜を高々と夜空に掲げてみせた。
「そんな……なんてひどい……!」
身を挺して仲間を守った小竜を磔にし、見世物にするかのようなぷりんの行為。アリスは悲しみと怒りを込めぷりんを睨む。
拘束され、為す術もないクエレ。その小さな体に無数の触手が迫り――目にも留まらぬ速さで次々とクエレを蹂躙した。
「クエレさん!!」
残酷なまでのぷりんの猛攻。無事では済まないことは誰の目にも明らかだった。紫睡の叫びも虚しく、触手の雨は止み、クラムはぼろ雑巾のように地へ投げ捨てられ――。
「クエレさん!! ああ、なんて……可愛いんだろう……」
クエレを受け止めたリナは、拳を固め複雑な思いを噛み締める。リナの腕の中で、クエレはまるでリアルなスイーツアクセのマスコットの如き姿へと生まれ変わっていた。
「こ……これって!?
プチシュークリームを洋服に見立てて体を飾り、頭にはデコレーションホイップとチョコレートソースの冠。小さくカットされた苺やオレンジ、バナナをちりばめて、彩り豊かなだけでなく爽やかな酸味も楽しめそう。
まさか……コンセプトは食べたくなる可愛さ!?」
睦のデコレーション眼がキラリと光り、専門家顔負けの考察がすらすら溢れ出す。
「こいつはcuteだぜ……」
テンション高めに皆の仮装へコメントする予定だったユストも、不意を打たれ外国人になりきれない。
突然の出来事に戦慄するケルベロス達を尻目に、クエレは苺にクリームを付けてもくもくと食べ始めている。デコレーション以上に中身が可愛い感はあった。
「ああ、そんなものを食べたらお腹を壊しちゃいますよ。……美味しいんですか?」
小竜を心配そうに見守る栞里。その横で、萌花はライバル心たっぷりにぷりんを振り返ってみせた。
「確かに、甘めコーデも流行りだけど、これはあまりにも文字通りすぎじゃない?」
ポケットからスッと取り出すのは、リボンやラインストーン。スイーツとは趣向の異なるデコレーションアイテムだ。
「あたしならもっとかわいくできるし!」
「はい。萌花さんや睦さんの方が、えっと、ずっと素敵にデコレーションしてくださると思います。やっちゃってください」
紫睡は微笑むと、魔女の杖を一振りして前衛のケルベロス達の前へ雷の壁を展開する。
この魔女の衣装は紫睡の大切なお気に入りだ。後ろに下がっていれば、なるべく謎のプリンのデコレーションを受けずにパーティーへ貢献できるだろう。今日の紫睡の心は比較的穏やかだった。
紫睡の落ち着いた振る舞いをちらりと見て、ユストは僅かに口許を笑ませる。
「(紫睡は随分頼もしくなったなあ。存分に背中を任せられるってもんだぜ)」
ユストは自分達を守護する雷の壁を見上げると、満足そうに一つ頷いてぷりんの懐めがけ飛び出し、流星の蹴撃をカスタードの体へ叩き込む。間髪入れずに後ろの萌花を振り返った。
「後ろのフォローは任せたぜ、萌花!」
「当然でしょ、ユストん」
ユストに先導されるようにして萌花も動く。細い指先が踊らせるリボンやラインストーンや花達は、傷付いたクエレの体を包み、クリームの上から守るかのようにガーリーでカワイイ装飾を施した。
その出来栄えに満足して、萌花は片目を瞑って小竜に尋ねる。
「上出来。もなのデコとプリンのデコ、どっちがかわいい?」
――ぷりんとケルベロス達、両者の攻防が重ねられる。
鋭い一撃とデコレーションにもめげることなく、ケルベロス達は前を見続けていた。
「わあ……♪ とってもかわいいかもですっ……♪ ――って、いけないいけない☆」
胸元に飾られたウサギのアイシングクッキー。重ためのカスタードクリームで接着されて落ちづらくなったそれを見下ろし、思わず華やいだ声をあげてしまったアリスはすぐに自分を諌める。ウエストポーチのデバイスにハートのAのカードをスラッシュすると、エプロンドレスが光を放ち始めた。
「それじゃ、私も……『変身』しますっ……☆ ――プルマージュスタイル……!」
――光が収まった時、そこにいたのは虹の羽衣を纏ったアリス。羽衣と共に舞い踊るアリスが放ったカードは、ぷりんに見切られ避けられてしまったかに見えた。しかし、決して敵を逃すまいとする追尾の力が、カードを届かせぷりんの黄色い体を抉る。
「案外、俊敏な敵なのかも。誰かの悪戯でできたみたいな攻性植物だけど……甘いばっかりじゃないね」
激しい攻防を冷静に見据えながら、リナは構えた槍をぷりんへ叩き込み、その身を貫く。
正確無比な一撃は冷徹そのもの。空色の砂糖菓子と白いメレンゲで彩られ、今やアリスとおそろいと言ってもよい空色のエプロンドレス姿になってもなおリナの集中力は途切れることを知らなかった。
槍を引きながら、攻撃を終えて耐えかねたリナが俯く。
「いや、やっぱりちょっと恥ずかしい……」
「よく似合ってますよ、リナさん!
わたしはハロウィンパーティーでは仮装しなかったので、こういった形で仮装したり、皆さんの仮装をすぐ近くで見られるのは嬉しいんです」
今や銀のアラザンやキャンディリボンで豪奢に彩られたパフェ着ぐるみを纏い、栞里は戦いの中でも楽しげに微笑む。
しかし楽しむのも束の間のこと、すぐに気持ちを切り替えて両手をぷりんの方へと伸ばした。
「大人しくしていてください。――足止めをお願いね、ゴーレム!」
栞里の呼び声に応え、虚空が風を巻いて巨大なゴーレムが栞里に付き従う騎士の如く顕現する。
まっすぐにぷりんへ組みかかり、その動きを封じこめんとした。
――堅実にぷりんの足を鈍らせ、変調を重ねていく。無策のままでは意外に避けられてしまっていたであろう攻撃もかなり当たりやすくなっていた。
「あんたと私のデコ合戦、受けて立つよっ!! くらえっ!」
何度目かも知れぬ睦のキラキラ☆デコレーション。無数のラインストーンやラメは、時が経つにつれどんどん量を増していく。所謂鬼盛りである。
色とりどりのフルーツ形のストーンで、ぷりんの全身はきらきらと輝きを増していく。登場時は謎のプリンだったぷりんも、今や原宿系辺りを名乗れるくらいの方向性を獲得していた。
「ウケる。ちょー可愛くなったじゃん!」
その姿に思わず笑ってしまう萌花。笑われた目玉は瞬きしてから、自らを触手で持ち上げた。浮遊する目玉は、デコレーションされた自分の体を眺める。
目玉はすぐに定位置へ戻り、楽しそうに一回転した。
「い、今のは一体? 満足の表現でしょうか?」
前衛のケルベロス達に癒しの雨を降らせながらも、ぷりんの謎反応に紫睡が困惑する。
「どうせ戦うンだ、お互い楽しめるならそれも良いじゃねェか。
……たまにャ、こういうのも悪くはねェ」
後ろからぷりん目掛け、真っ直ぐにファミリアロッドを向けるクラム。
ロッドは瞬く間に小動物の姿へ収束し、魔力の鎧を帯びてぷりんの元へと飛び出し――その中心を撃ち抜いた。
風穴の開いたプリン部分を目玉が見下ろして、ぷりんは動きを止める。
「ゴゴゴゴゴ……」
戦いは終わった。別れの挨拶のように地響きと土煙を立てぷりんは沈みゆく。
最後まで掲げられていた触手は、パイナップルとリンゴのラインストーンで隙間なく彩られていた。
●
「萌花さんっ、私がんばったよ! 可愛くできてたでしょ!?」
戦いを終えて、元気いっぱいに掌を掲げる睦。振り返った萌花は、勝ち気な笑みを浮かべて躊躇いのないハイタッチを返した。ギャル同士の掌が重なる。
「さいっこーだった!」
傷付いたケルベロス達は仲間に治療を受け(萌花にはデコレーションを施され)る束の間の安息。
皆の仮装に「creepy!」とか「spooky!」とか「cute!」といったテンションの高い感想を告げていたユストの視線が、最後にクラムで止まる。
「クラムのは……何だその、えっと、何だ。……悪魔合体みたいだった」
「俺の時だけ素に戻るのやめねェか?」
自分を飾ったお菓子をあらかた食べ終えていたクラムも素で返さざるを得なかった。
仲間を癒しながら、リナは皆の楽しげな様子を眺めている。
「トリックオアトリート、です」
その背後からひょこりと顔を出したのは魔女の紫睡だった。驚いて振り返ったリナは、掛けられた言葉の意図をすぐに察して自分の持ち物を探った。砂糖細工のドレスを着てはいるが、お菓子というお菓子はない。
「ごめん、紫睡さん。今すぐにお菓子は……」
「良いんですよ。持ってなかったらいたずらですから」
リナの答えに寧ろ満足そうに、紫睡は手にしたクラッカーの紐を引く。ぱーん、と乾いた可愛らしい音と一緒に、鮮やかなカラーテープがリナの頭上に降り注いだ。
一瞬ぽかんとしてから、すぐに肩を揺らして笑うリナ。いたずら成功、とばかりに紫睡も楽しそうに笑った。
「カンギ様って……一体……?」
会場をヒールして回りながら、解けなかった謎をぽつりとアリスは呟く。
「おーい。折角だから皆で写真でも撮ろうぜー」
アリスの思索は、聞こえてきたユストの声で一時中断した。萌花に存分にデコレーションされたのであろうキラキラでラメラメなユストの姿に、アリスは微笑んでそちらへ向かう。
「そうですね……今だけは、素敵なハロウィンの時間を……☆」
「はい、カメラならわたしが持ってきました!」
じゃん、と栞里がカメラを口許の前に持ってきて皆に見せる。
栞里の元に自然と集まってきたケルベロス達が、並び順などをやんややんやと相談する。
カメラをタイマー設定して、皆が持ち寄った灯りを掲げて集合写真を一枚。
宴の後の、寂しそうだったパーティー会場。
今では暖かい光と、賑やかな仮装と、ラインストーンと――九つの笑顔で、彩られていた。
作者:カワセミ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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