狙われた、いちごパンツ!

作者:ゆうきつかさ

●予知
 魔空回廊を通ってオークチャピオン達が姿を現したのは、アイドルグループ『いちごパンツ愛好会』の控室であった。
 彼女達はいちごパンツを普及させるため、日夜活動を続けているアイドルグループで、栃木県某所のご当地アイドル……らしい。
 デビュー当初からマニアックな層に支持されているせいか、活動できる場所もかなり限定されているマイナーアイドルだが、それでも『いちごパンツを愛する心は誰にも負けれない!』と言う意気込みで、頑張っていたようだ。
 しかし、魔空回廊を通ってオークチャンピオン達が姿を現した事で、事態は一変。
 薄汚いオーク達の触手で、彼女達の夢は潰えてしまうのであった。
●都内某所
「オークチャンピオンとオーク達が、魔空回廊から現れて、多くの女性達を略奪していく事件が発生するのが予知されました。触手などでとらえた女性達を魔空回廊を通って何処かに連れ去って行こうとしています。連れ去られる場所は不明ですが、オークに連れ去られた後は、おそらく悲惨な未来が待っている事でしょう。この悲劇を防ぐことができるのは、ケルベロスだけなのです。オークチャンピオンが出現するのは、栃木県某所にあるライブ会場の控室。ただし、襲われる予定の女性達を避難させてしまうと、別の場所に出現してしまい、被害を防げなくなるので、女性の避難はオーク達が出現してから行う必要があります」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「その代わり、女性が増える分には問題ないので、女性のケルベロスが事前に潜入することは可能です。ただし、女性のケルベロスが事前に潜入する事で、本来その場にいるはずだった女性が居なくならないようにする必要があります。また、一般人にばれないレベルの高度な女装を行った場合、男性ケルベロスも事前に潜入する事が可能です」
 そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「どちらにしても、オークチャンピオン達の略奪を許す事は出来ません。皆さんで必ず女性達を救ってください」
 セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げる。
「おう、任せておけ。この程度の奴等、俺達が片付けてやるぜ!」
 そう言って一条・雄太(一条ノックダウン・e02180)が、自信満々で答えを返すのであった。


参加者
ジーノ・カミーザ(月のスペランツァ・e00332)
ベルトーシカ・ランケ(失踪愛の放浪ロード・e00482)
クレス・ダーミット(ドワーフの鎧装騎兵・e01606)
一条・雄太(一条ノックダウン・e02180)
ディアス・シャドウキャット(蒼き月の夜に佇む山猫・e02887)
高天原・さくら(なんでも屋やおよろず・e05403)
百目木・飛鳥(自称世界一の名探偵見習い・e10548)

■リプレイ

●栃木県某所
「なんというか、随分とニッチな内容だね。……オークにしても、アイドルにしても……」
 百目木・飛鳥(自称世界一の名探偵見習い・e10548)は深い溜息をもらしながら、仲間達と共に栃木県某所にあるライブ会場の控室にやってきた。
 ご当地アイドルグループ『いちごパンツ愛好会』は、いちごを普及させるため、寝る間も惜しんで頑張っているようだ。
「とりあえず、いちごぱんつをはいてきたよ! よくわからんけど、これでなんとかなるだろ」
 クレス・ダーミット(ドワーフの鎧装騎兵・e01606)が、元気よくにぱっと笑う。
 いまいち、よく分かっていないのだが、これでオークを引きつけられるのなら安いものである。
「ま、まさか、いちごパンツにしか興味を示さないオークだったなんて……。でも、見えなければいいだけですからね」
 高天原・さくら(なんでも屋やおよろず・e05403)が、恥ずかしそうに頬を染めた。
 流石にこの状況で、いちごパンツを穿かない訳にもいかなかったので、覚悟を決めて穿いてきたものの、まわりの視線が気になって仕方がないようである。
「いちごパンツねぇ、私も皆くらい若ければ考えたけど……」
 ベルトーシカ・ランケ(失踪愛の放浪ロード・e00482)が、深い溜息をつく。
 事前に配られた資料を見る限り、オークはいちごパンツさえ穿いていれば、相手が誰であろうとかまわないようである。
 おそらく、オークにとっていちごパンツ以外のものは、オマケでしかないのだろう。
「このオークはいちごパンツなら、なんでもいいのかな……? 何はともあれ、地道に頑張ってる人の夢を邪魔するのはいただけないな」
 ジーノ・カミーザ(月のスペランツァ・e00332)が、険しい表情を浮かべた。
 オークだから仕方がないという気持ちが強いため、色々な意味で諦めているようだが、内心物凄く動揺しているようである。
「……実際、いちごパンツって価値あるにゃん?」
 ディアス・シャドウキャット(蒼き月の夜に佇む山猫・e02887)が、不思議そうに首を傾げた。
 念のため、いちごパンツ(新中古品)を20枚ほど持ってきたため、仲間達にもお裾分け。
「まあ、イチゴパンツは、可愛いですもんね。オークが夢中になるのもわかります。……けど、女の子を犯すのはいけないことなので、止めなければいけませんね」
 オリヴィエ・デュルケーム(癒姫・e04149)がエイティーンを使った後、アイドル衣装を身に着けて女装し、上機嫌な様子で控室の前に立つ。
 アイドル達は部屋の中で、ライブに向けて準備中。
 既にファン達にはライブの延期が告知されているが、彼女達にはまだ真実が知らされていない。
「あんまりあたってほしくなかったんだがな、色んな意味で……」
 一条・雄太(一条ノックダウン・e02180)が複雑な気持ちになりながら、控室の前に陣取った。
 一応、プラチナチケットで関係者を装っているため、控室の中に入る事も出来るのだが、オークに警戒されても面倒なので、外で待機する事になったようである。

●控室
「キミ達が噂のアイドルだよね? 僕はキミ達のファンでね。サインとか貰えないかな?」
 飛鳥が控室に足を踏み入れ、ラブフェロモンを使う。
 普通であれば、怪訝そうな表情を浮かべられ、控室から追い出されてしまうところだが、ラブフェロモンのおかげで、アイドル達の瞳にハートマークが浮かんでいた。
「ひょっとして、先代の方々ですかっ!?」
 リーダーと思しきアイドルが、尊敬の眼差しを向ける。
 先代『いちごパンツ愛好会』は、ファンを獲得するためなら、パンモロも覚悟していた斬り込み部隊!
 知名度が高まるにつれて、パンモロからチラリへと移り変わり、『見えそうで見えている』から、『見えそうで見えない』ご当地アイドルに転身を遂げ、昨今に至っているようだ。
 そう言った意味でも、先代は尊敬すべき存在。
 文字通り、レジェンド的な存在のようである。
 そんなレジェンド達と飛鳥を見間違えたらしく、まわりにいたアイドル達も『この人達が私達の憧れ!』と言わんばかりに、尊敬の眼差しを送っていた。
 もちろん、それは勘違いであるのだが、リーダーの思しきアイドルの言葉は絶対と言わんばかりに、みんな信じ込んでいるようだ。
「これ、差し入れですっ!」
 さくらが隣人力で好印象を与えつつ、アイドル達に大量のいちごパンツを渡す。
「あ、ありがとうございますっ!」
 アイドル達はそれを受け取ると、この上なく笑顔を浮かべた。
 おそらく、彼女達の中でレジェンド達から貰った伝説のアイテム的な扱いになっているのだろう。
 あまりにも喜んでいたため、逆に申し訳ない気持ちになった。
「ブヒィィィィィィィィィ! オ前ラ、美味ソウダナ!」
 次の瞬間、魔空回廊を通ってオークチャンピオン達が姿を現し、興奮した様子で涎を垂らす。
 既にヤル気満々なのか、オークチャンピオン達の股間が、危険な状態。
 一緒に姿を現したオーク達も、ヤル気満々な様子で、欲望の化身である触手を妖しくヌラつかせた。
「きゃあああああああああ!」
 それを目の当たりにしたアイドル達が、全身を強張らせて悲鳴を上げる。
「ケルベロスだ。早く逃げろ! ここは俺達が抑える!」
 すぐさま、雄太が扉を蹴破り、オークチャンピオン達の前に陣取った。
「変態オークは、この魔法少女の私が相手ですっ! 皆さんは、今のうちに避難してくださいっ!」
 さくらもプリンセスモードでニート魔法少女に変身し、オークチャンピオン達の行く手を阻む。
 その間にアイドル達が後ろを振り向く事無く、一目散に逃げていく。
「ナンダ、オ前ラハ……」
 オークチャンピオンが不機嫌な表情を浮かべて、勢いよくフンと鼻を鳴らす。
 まわりにいたオーク達も欲望のはけ口を逃がす訳にはいかないとばかりに後を追う。
(「女の子を悲しませるのは許すまじにゃん」)
 その行く手を阻むようにして、猫変身をしたディアスがオークの顔を引っ掻いた。
「ウガアアアアアアアアアアア! ナニヲシヤガル!」
 顔を引っ掻かれオークが悲鳴を上げて、激しくよろめいた。
「いちごぱんつが欲しければかかってくるがいい!」
 その間にクレスがテーブルの上に飛び乗り、いちごパンツを高々と掲げる。
「ソ、ソレハ……イチゴパンツ!」
 途端にオークチャンピオン達の瞳が、キラキラと輝いた。
「エンテ、誰がなんと言おうと今のお前は女の子よ」
 ベルトーシカもミミックのエンテにいちごパンツを穿かせて、オーク達に大胆アピール!
 エンテも複雑な気持ちになりつつ、ピョンピョンと飛び跳ね、オーク達の気を引いた。
「グヘヘヘッ! アイツトヤッタラ、新世界ガ見レソウダナ!」
 しかも、オークチャンピオンが、がっつり食いつき、下半身を剥き出しにしたまま後を追う。
 これにはベルトーシカもドン引きしたが、今はエンテの無事を祈る方が大事である。
「兄貴ガ、ソッチヲ襲ウノナラ、俺達ハコッチノ奴等デ我慢シヤスッ!」
 そのため、まわりにいたオーク達が空気を読んで、オリヴィエをジロリと睨んで触手を伸ばす。
「……ひゃあ!?」
 これにはオリヴィエも驚き、スカートを押さえて、恥ずかしそうに頬を染める。
 しかし、オーク達はいちごパンツを愛でるべく、オリヴィエの服を引き裂いた。

●オーク達
「グヘヘッ……、タマランナァ。……ン、コイツ、オトコ……ナノカ? マァ、イイ。サイズモ、ピッタリダ」
 オークが淫らな触手でオリヴィエを攻めつつ、自らの欲望を思う存分に解き放つ。
「わ、私だけ……気持ち良くなるのも、不公平ですし……」
 オリヴィエもまんざらではない様子で、オークの触手を優しく掴む。
「オオッ、新感覚ッ!」
 その途端、オークが恍惚とした表情を浮かべて、これでもかとばかりに体液をドップリと撒き散らす。
「きゃ、きゃあああっ、なんですか、このドロドロはっ?!」
 さくらがオークの体液をモロに被り、青ざめた表情を浮かべた。
 何だかよく分からないが、物凄くベトベトしていて、生臭い。
 すぐに拭い取ろうとしたのだが、ネットリと糸を引いて、無駄に伸びるばかりである。
「オイ、オレニモ寄越セ!」
 その間にオーク達が、興奮気味にオリヴィエを襲う。
 最早、オリヴィエが男である事は、二の次、三の次。
 恍惚とした表情を浮かべて果てたオークと同じ感覚を味わうため、掴み合いの喧嘩になっている。
 だが、オークチャンピオンは、エンテに夢中!
 オーク達が仲間割れをしている事にも気づかず、エンテにあんな事やこんな事をしているようだ。
「ダッタラ、コイツデイイヤ」
 その戦いに敗北したオーク達が、傍にいた飛鳥に襲い掛かる。
「ちょ、ちょっと、待っ……や、やめ……ひゃっ!?」
 それに気づいた飛鳥が身の危険を感じて、オークを押し退けようとしたものの、あまりにも力が強過ぎるせいで、為すがまま。
 あっという間に、いちごパンツを脱がされ、絶体絶命の大ピンチ!
「だ、だめっ、見ないでくださいっ!」
 さくらもいちごパンツを脱がされ、色々な意味で大変な状態。
「あ、あの……そんなに大きいのは……っ!」
 オリヴィエも規格外の何かを突っ込まれそうになったらしく、青ざめた表情を浮かべる。
「さすがにやり過ぎだっ! これ以上は別料金だ!」
 雄太がオリヴィエを助け出すため、オークの股間に降魔真拳を放つ。
「グオオオオオオオオオオオオオオン」
 次の瞬間、オークがブクブクと泡を吐いて白目を剥く。
 完全に無防備な状態だったせいか、一撃必殺クリティカル。
 まるで糸の切れた人形のように、突っ伏したまま動かなくなった。
「オオ、コレハ大変ダ! アイツラヲ殺セ!」
 それに気づいたオークチャンピオンが、まわりにいたオーク達に指示を出す。
 だが、他のオーク達は既に倒され、床に突っ伏したまま、動かない。
「いまさら気づいたところで、手遅れだよっ! グラビティフレームオープン!」
 クレスがハイテンションで格好よくポーズを決め、オークチャンピオンにグラインドファイアを放つ。
「グワアアアア、イツノ間ニ……!」
 オークチャンピオンには信じられない事だったようだが、下半身を丸出しにしたまま行為に励むオークを倒すのに時間はいらない。
 背後からコッソリと忍び寄って、ズンバラリンである。
「さて……、覚悟は出来ているかな? まあ、出来ていなくても倒すけどね」
 それに合わせて、ジーノがドラゴニックミラージュを使い、オークチャンピオンを炎に包む。
 その一撃を食らったオークチャンピオンが、『ぶひぃぃぃぃぃぃ!』と悲鳴を上げ、真っ黒な煙を上げて崩れ落ちた。
「……貴様らを産んでくれた存在に、もっと敬意を払うべきだったにゃ」
 ディアスが猫変身を解除して、深い溜息をもらす。
 次の瞬間、悪夢のような出来事から解放されたエンテが、逃げるようにしてベルトーシカの胸に飛び込んだ。
「よくやったわね、大活躍だったじゃない」
 ベルトーシカが苦笑いを浮かべて、エンテの頭っぽいところを撫でた。
 しかし、エンテの気持ちは複雑。
 そんなエンテの気持ちをスルーしつつ、ベルトーシカ達がその場を後にするのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年9月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 8
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