パッチワークハロウィン~スイーツの化物と遊ぼう

作者:香住あおい

 数時間前までは活気に溢れていたハロウィン会場。
 ここは地方都市の住宅街にあるちょっと大きめのおうちの離れだった。
 パーティーが終わった今、ここには誰もいない。
 料理こそはないものの、ハロウィンらしい飾り付けなどは残されていた。パーティーに浮かれ過ぎた家主が疲れすぎてしまったために当日中の片付けを放棄して明日に順延したからである。
 そんな場所に現れるのはパッチワークの魔女。
「魔女の力が最も高まる今宵、ユグドラシルにおられるあの方の為、第十一の魔女・ヘスペリデスが役目を果たす時がきた」
 名残の残る会場の中心でヘスペリデスは黄金の林檎を掲げた。
「ハロウィンの魔力を集めろ、そして私に捧げよ。他でもない、『カンギ様』のために」
 ヘスペリデスが黄金の林檎を投げる。するとそれは床へ落ちた。
 林檎が割れて中から出てきたのは緑色のもの。それはみるみる間に成長して攻性植物となったが、外見はどこかスイーツっぽい。
 この攻性植物が生まれた時、既にヘスペリデスの姿はなかった。

「皆様、ハロウィンパーティーの後にお呼び立てして申し訳ありません」
 ヘリオライダーの御村・やなぎは深々と頭を下げる。
「パーティーが終わった直後ですが、新たな敵の動きが見つかりました」
 どうやら辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)が調べた結果、ハロウィンパーティーが終わった直後にパッチワークの魔女の一体、第十一の魔女・ヘスペリデスが動き出すことがわかった。
「彼女は日本各地のパーティーが行われた会場に現れて会場に残ったハロウィンパーティーの残滓と黄金の林檎の力で、強力な攻性植物を生み出すようです。このままですとパーティーを楽しんで家路につこうとする方々が襲われてしまうかもしれません」
 思い出は楽しいままに。楽しい夜を惨劇で終わらせないため、ケルベロス達には会場へ向かって現れた攻性植物を速やかに撃破してほしいとやなぎは言う。
「戦場となるのはパーティーが行われた会場である離れとなりますが、母屋とは離れておりますので誰かが来る心配はございません」
 今回の攻性植物は、3mほどの攻性植物ではあるが見た目はどこかプリンアラモードを思わせる。もこもこした丸い形の植木にまるで手足のように枝が生えている。緑色の植木に、まるでトッピングされているかのようにキウイやオレンジや桃っぽい実がなっており、上部には生クリームを思わせる白いものが巻き付いている。その上には赤い巨大サクランボがちょこんと乗っかる。
「この攻性植物は「蔓触手形態」「捕食形態」「収穫形態」のようなグラビティを使用してきます。見た目は若干異なりますが、性能などは同じでございます」
 一通りの説明を終え、やなぎはケルベロス達をじっと見る。
「皆様の楽しい思い出を汚さぬよう、どうか皆様、よろしくお願いいたします」
 そう言ってやなぎは深々と頭を下げた。


参加者
ニーナ・トゥリナーツァチ(追憶の死神・e01156)
滝川・左文字(食肉系男子・e07099)
ユイ・オルテンシア(紫陽花の歌姫・e08163)
レグルス・ノーデント(黒賢の魔術師・e14273)
黒神・狼無(サファイアブルー・e18699)
レギンヒルド・カスマティシア(輝盾の極光騎・e24821)
葉桐・雪乃(蛙の子は蛙・e28093)
猫屋敷・子猫(ねこにん・e33569)

■リプレイ

●祭りの後
 ハロウィンパーティーが行われていた会場に現れたプリンアラモード風(以下、抹茶プリン)の攻性植物。
 抹茶プリンが会場から外へ出ようとしたとき、それを阻止するが如くタイミングでケルベロス達が到着した。
「美味しそうなプリンアラモードではなく攻性植物なんて……」
 心底残念そうに呟くとユイ・オルテンシア(紫陽花の歌姫・e08163)は霊力を帯びた紙兵を散布して前衛の仲間を守護する。
「あなたの魂は私が食べてあげるけれど……ハロウィンの夜に事件を起こすなんて無粋ね」
 耳を隠すようにローブを引っ張り、ニーナ・トゥリナーツァチ(追憶の死神・e01156)は死神の大鎌を握り直す。
 彼女が放つは座標転移呪術。攻性植物の魂に座標を固定すると、そこへ死神を転位させて内側から食い破らん勢いで攻撃をすると同時に、ニーナ自身も背後へ移動して鎌を振り下ろす攻撃、陽炎に揺らぐ死神の舞踏会(スメルト・バール・ミラージ・ナド・ダローゴイ)。これによってよって生クリームぽいものが少しだけ削ぎ落される。
 凝った衣装でハロウィンぽく仮装して登場した滝川・左文字(食肉系男子・e07099)は吸血鬼っぽいマントをばさりと翻したかと思えば、それを抹茶プリンへと投げつける。この衣装の正体はブラックスライム。
「ちょっと悪戯の域を超えてるな。お菓子の代わりに拳骨をくれてやるぜ、呑み込め!」
 ブラックスライムは抹茶プリンを丸呑みにすべく広がった。全てを飲み込むが、抹茶プリンは無理やりに脱出する。だが、思惑故に左文字は飛び散るブラックスライムをそのままに残す。それは戦闘終了後に備えてのこと。
 ブラックスライムに丸呑みにされている抹茶プリンを、顔をしかめてじっと見るのはレグルス・ノーデント(黒賢の魔術師・e14273)。
「うーわー、強烈なもんが出てきたな。でも、悪戯も度が過ぎると死に繋がるって事、体験させてやるぜ」
 冗談は顔だけにしておけと軽口を叩きつつカンギは歓喜か? などとも考えながらエレキブーストで左文字の攻撃力を高める。
 無事に脱出した抹茶プリンは生クリームぽいものを鞭のように伸ばしてお返しとばかりに左文字へと伸ばす。しかし、その攻撃は彼には届かない。
「っつ……でも、輝盾隊の力、舐めないでよね!」
 身を呈してレギンヒルド・カスマティシア(輝盾の極光騎・e24821)が受ける。そして彼女はライトニングウォールで雷の壁を構築させた。それは自らの傷を癒すと同時に彼女を含めて前衛にいるユイと左文字の耐性をも高める。
 抹茶プリンの攻撃を見て表情を変えた猫屋敷・子猫(ねこにん・e33569)。それは怒りと悲しみに満ちたものだった。
「にゃにゃにゃっ、プリンアラモードじゃにゃい!? 騙しスイーツは嫌いにゃ! 目一杯叩きのめすにゃ!」
 可食部位を探しだそうと密かに決意した子猫は掌からドラゴンの幻影を放った。抹茶プリンは一瞬だけ燃え上がる。
 片手でゲシュタルトグレイブを構えて強烈な殺気を放つ黒神・狼無(サファイアブルー・e18699)は炎に包まれた抹茶プリンをタイミングをうかがうようにじっと見据える。そして炎が消えるなり殺神ウイルスを投げつけた。対デウスエクス用のウイルスカプセルは抹茶プリンへと確実に刺さり、治癒を阻害させるウイルスを注ぎ込む。
 葉桐・雪乃(蛙の子は蛙・e28093)が抹茶プリンの周辺に出現させるは多数の魔方陣。
「少しだけ本気を見せてあげるわ」
 魔方陣から打ち出された先端に楔型の刃物がついた鎖は彼女の思う通りに動く。食べられるのか、そして彼女もまたカンギ様なる存在を気に掛けつつも鎖を動かせば、それは抹茶プリンへと巻きつく。神罰の鎖は抹茶プリンの動きを阻害させる。
「伝えたように頼む!」
「わかったわ。……もう、ハロウィンくらい静かに過ごしなさいよね」
 レグルスから声を掛けられた小野寺・蜜姫(ウェアライダーのミュージックファイター・en0025)はレギンヒルドへルナティックヒールを掛けて受けた傷を癒すと同時に攻撃力を向上させる。
 雪乃の鎖を引きちぎった抹茶プリンは桃っぽい実のひとつをハエトリグサの如く変形させるとケルベロスへと射出した。それを率先して受けるのはユイ。実はがじがじとユイにかじりつく。
 ユイは自分へかじりつく実を叩き落とし、歌いながらバトルオーラを溜めて体力を回復させる。
 実を射出して油断している抹茶プリンの背後に回るとニーナはスターゲイザーで蹴り付けた。流星の煌めきと重力を宿した彼女の蹴りはポジション効果もあって抹茶プリンの機動力を強く奪う。
 怯む抹茶プリンへ左文字が獣撃拳で重い一撃を与え、子猫は螺旋氷縛波で氷結の螺旋を放つ。
 2人が攻撃を仕掛けている間にレグルスがレギンヒルドへとエレキブーストを掛けて回復と戦闘能力の向上をさせる。
「遥か最果ての天旗よ! 戦火に彩られる幾千の星よ! 我等に戦神の加護を授け給え!」
 レギンヒルドの放つ蚩尤の御旗(オーロラフォース)は天から赤く輝く光の奔流を降注がせ、前衛の傷を癒すとともに敵に宿る加護を打ち破る力を与える。
 拳にオーラを溜めた狼無はユイへ向けてそれを飛ばした。オーラを受けたユイは体力を回復させる。
 後衛から一気に距離を詰めた雪乃が絶空斬で傷を広げるように斬りつければ抹茶プリンは怯む。
 蜜姫の奏でる「ブラッドスター」が戦場に響く中、抹茶プリンはケルベロス達へと殺意を剥き出しにして襲いかかる。

●ケルベロスと抹茶プリン
 抹茶プリンは生クリームぽいものを鞭の如く操る。しかしそこまで長くは伸びないそれをレギンヒルドが受け、そして戻ろうとするそれを彼女は掴む。
 動きを封じられた形となってばたばたとあがく抹茶プリン。
「トリックオアトリート♪ お菓子をくれないと悪戯しちゃいますよ」
 ユイが歌うはLa foret errant(ラ・フォレ・エラン)。聞こえない歌声は無意識に抹茶プリンの方向感覚を狂わせる。それはそれはかつて時空を司る天使が聖域の護りとして施した秘術の再現。抹茶プリンは永久の牢獄――迷いの森へと招待されるが如く感覚に陥ってしまう。
「影は揺らぎ、死は踊る」
 ニーナの詠唱によって呼び出される死神。抹茶プリンは内側と外側の双方から攻撃を受ける。
「ヘッ! 捕えたぜ……こっちだってただ逃げ回ってたわけじゃないんだぜ? 調子に乗って暴れすぎたな!」
 体勢を立て直そうと跳んだ抹茶プリンを捕える霞網はたちまち刃のように鋭く硬質化する。それは左文字の織り上げたもの。鎧装忍術・糸織千刃が抹茶プリンを切り刻む。
 抹茶プリンが刻まれている傍らでレグルスはユイへとエレキブーストを掛ける。生命を賦活する電気ショックはユイの傷を癒すと同時に攻撃力を向上させた。
 続けて生クリームぽいものを離したレギンヒルドもライトニングウォールを構築し、前衛の体力を回復させる。
 狼無はレギンヒルドへと拳に溜めたオーラを飛ばして回復させた。
「にゃにゃん! 手裏剣しゅしゅしゅーっ!」
 子猫の放つ毒手裏剣は抹茶プリンに刺さる。ざくざくざく、と3つ刺さった手裏剣はそれぞれ抹茶プリンへ毒を与えた。
 ルーンアックスを持つ雪乃はルーンを発動させて光り輝く呪力とともに振り下ろす。
 いい感じに胴体の植木を削ぎ落された抹茶プリンを尻目に蜜姫はルナティックヒールでレギンヒルドを癒す。
 抹茶プリンも自らの体力を回復させるべく頭の巨大サクランボを黄金の果実へ変化させるとそれを体内に取り込む。それによって抹茶プリンは聖なる光を放ち体力が回復するが、ウイルスの影響で回復量は抑えられているようだ。
 ユイは歌う。歌をオーラに乗せ、それを纏って振るうのは音速を超える拳。
 吹き飛ばされた抹茶プリンはニーナの方へ。ニーナは死神の大鎌を回転させながら投げつける。
 鎌に斬り刻まれた抹茶プリンをさらにズタズタに斬るのは左文字。チェーンソー剣で刈り込むように動かせば抹茶プリンの丸い胴体は部分的に平面となる。
「恐怖するなかれ 振り向くことなかれ 見つめる事なかれ、其は全てを閉ざす力を持ち 死を供なす永劫の呪縛とならん!」
 レグルスは『深海祭祀書』を開いて力ある言葉を紡いだ。詠唱とともに放たれる魔法の光線は抹茶プリンを穿つ。
 続けざまにレギンヒルドはカブトゥワ・ケンダを振り上げた。それからほとばしる雷を抹茶プリンへと放つ。
「ねねこの掌が真っ赤に燃える!」
 雷に打たれる抹茶プリンを焼くべく子猫はドラゴニックミラージュを放った。しかし炎はトッピングのオレンジを焼くだけ。
 ゲシュタルトグレイブを手にした狼無は薬入りの瓶を上空へと投げた。それを突けば瓶は破壊され、降り注ぐのは薬品の雨。癒しの雨は傷を塞いでいく。
 ずれ落ちそうな赤縁眼鏡を押し上げ、雪乃は絶空斬を繰り出すべく抹茶プリンの背後に回ってゾディアックソードで斬り付けた。

●プリンの最期
 蜜姫の奏でる「ブラッドスター」が流れる戦場。
 抹茶プリンは度重なる攻撃のせいで動くことができずにいた。
「めくるめく 世界は廻る 永久に♪」
 ユイはLa foret errantを歌う。迷いの森に誘われた抹茶プリンは方向感覚を狂わせてさらなる足止めを与える。
 鎌をチェーンソー剣に持ちかえてニーナは斬る。それは胴体の緑色が半分以上剥げるほどに。
 左文字も負けじと鎧装忍術・糸織千刃でみすぼらしくありつつある抹茶プリンをフィルムスーツを形成している繊維状演算回路を解いて織り上げた霞網でさらに切り刻む。
 狙撃するかのように鋭い槍のように伸ばしたブラックスライムでレグルスは抹茶プリンの胴体に風穴をあけた。
 その横っ面を破鎧衝でレギンヒルドが穿つ。痛烈な一撃で吹っ飛ばされる最中に子猫の放った螺旋氷縛波に絡め取られ、壁に打ち付けられる抹茶プリン。
「行っておいで、影狼。全てをかみ砕いてこい!」
 狼無が詠唱すれば足元の影が蠢き、そこから出現するのは赤目の黒狼の頭。首を伸ばしながら抹茶プリンを噛みつきに行く、影狼。凶暴な歯で手のような枝を噛み砕く。
 ぽきんと折れてしまった枝に火が灯る。それは雪乃の放ったドラゴニックミラージュ。掌から放たれたドラゴンの幻影は枝を燃やした。
 蜜姫の演奏が一転して激しいものに変わる。「殲剣の理」はまるで抹茶プリンを挑発するかの如く。
 しかし抹茶プリンは攻撃よりも自らの回復を選ぶ。胴体に辛うじて残っていたキウイを黄金の果実に変化させて取り込み、体力を回復させるがその回復量では焼け石に水。
 歌声を力に変えてユイがバトルオーラで攻撃を与え、ニーナは死神とともに魂を刈り取らんと鎌を振るう。
 左文字が高速かつ重量のある一撃で殴りつけた後に飛び退けばレギンヒルドは抹茶プリンへと雷を放った。
「目覚めよ母なる大地 我 伏して願う!大いなる地脈 新たなる門を開きて 地より沸き上がり 憤怒の槍をもって敵を貫け!」
 レグルスが詠唱するは精霊魔法のVulcan Lance(ヴァルカンランス)。槍の様に隆起した床は、抹茶プリンを血の通わぬ塊に変えんと串刺しにする。
 そこに子猫がしゅぱっと放った毒手裏剣が刺さり、次いで当てられるのは石礫。
 それは狼無が手近な壁を裏拳で壊して出来たものを一つ一つ足で蹴ったものだった。頭部にも礫を飛ばされた抹茶プリンの視界は一時的に悪くなる。
 狼無は雪乃へと行け、とハンドサインを送った。雪乃はうなずき、ゾディアックソードを握る。
 生まれ持った牡牛座の重力を剣に宿して放つ重い斬撃。ゾディアックブレイクは抹茶プリンを叩き斬るように放たれ、そして結果として抹茶プリンはぐらり、とぱっと消えてしまった。

●ハロウィンの夜
 死神の種子もしくはオーズの種のように倒した直後に誰かが何らかの目的で回収することを危惧していた左文字は最期の瞬間まで殊更気を抜かない。そのために初手で撒いたブラックスライムを回収しなかった。
 しかし回収はおろか死体の一部が残ることもない。これ以上は何も起こらないと判断して左文字は速やかにそれを回収した。
 ガリ、と何かを噛み砕く音。それはニーナの発したもの。
「………あぁ、甘ったるい」
 口に合わないと少々顔をしかめつつもご馳走様、と呟く。
「次はないけれどもう少しうまくやる事ね」
 誰にとでもなく、彼女は言う。
 全員へヒールを掛け終えて自身が壊した壁の修復も終えた狼無の首に揺れるのはヘリオンの中で首に掛けたサファイアの付いたネックレス。
 彼の視線は残念そうに抹茶プリンが消えた場所を見つめる雪乃へと向けられている。
「パッチワークは何のために動いているんだ? それになぜあいつらが攻性植物を? 考えなければいけないことがまだたくさんあったのに……」
 そう言って雪乃は糖度計と袖から取り出していたスプーンを握りしめながらどこか残念そう。明らかに有害ではなければ食べるつもり満々だったらしい。
 子猫もせっかくの可食部位が消えてしまってしょんぼりとしている。
「まって。もしかしてそれ喰うつもりだった? ……腹壊すんじゃねえの?」
 しょげている2人にレグルスは驚き半分呆れ半分でそんな感想を告げた。
 ユイは抹茶プリンが消えてしまって食べることができなくなったことに心底安堵したように胸をなでおろしている。
 今回は写真に収めるようなものは見受けられず、レギンヒルドはスイーツに想いを馳せる。どうやら今回のせいでプリンアラモードにトラウマのようなものを植え付けられてしまったらしい
「口直し、じゃなくて目直しになるのかしら? 普通サイズのスイーツ食べに行きたいけどこんな時間じゃ太るかしら……」
 などと年頃の乙女らしいジレンマに陥っていると蜜姫の耳がぴくりと動く。
「いいじゃないスイーツ。太ることは明日のあたし達に任せましょう」
 責任を明日以降の自分に丸投げするつもりの蜜姫は目を輝かせる。
 そんな彼女の視界がとたんに暗くなった。
「ハッピーハロウィン!」
 それは左文字の仕業。大きめのウィッチハットを蜜姫の頭に被せたのだった。
「ちょっと、いきなり……きゃっ!」
 文句を言おうとハットを持ち上げた蜜姫へと左文字はラッピングされたマカロンの袋を投げて渡した。
「お菓子をあげたら悪戯しないんだろ?」
「……ありがと。これ、今食べてもいいわよね?」
 肯定するようにひらひらと手を振る左文字に軽く頭を下げ、蜜姫は一緒に食すべくレギンヒルドの元へと駆け寄る。
 こうしてケルベロス達は無事に攻性植物を倒すことに成功し、そして思い思いの楽しい夜は更けていく。

作者:香住あおい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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