海風は夕暮れと共に

作者:犬塚ひなこ

●其れは海から来る
 或る日の夕刻。海辺は夕陽に染まり、空には薄紅色の雲が流れていた。
 小さな漁港の仕事は既に終わり、辺りには明日の準備を行う人々がちらほらと見えるのみ。普段ならばこのままいつもと変わらぬ夕暮れ時が過ぎるはずだった。
 だが、海から吹く風と共に『それ』は現れる。
「何だあれは……化け物!?」
「逃げろ、巨大な何かが迫って来るぞ!」
 漁港に居た人々は夕陽の色を背負って近付いて来る異形の存在に気付き、言い知れぬ恐怖を覚えた。巨大な影は多数の死体を融合させたような醜くおどろおどろしい姿をしており、人々を狙って迫って来る。
 その巨人の名は屍隷兵――ヘカトンケイレス。
 十体ほどの群れを成した屍隷兵は逃げ惑う人々を追いかけ、知性の欠片もない唸り声をあげながら襲い掛かる。そのうちの一体が力任せに振るった腕は或る男性の背を抉り、一瞬で血の匂いが辺りに満ちた。
 続けて響いたのは絶叫。血が滴る音。何かが潰れる音。そして――。
 
●破壊と暴虐
 予知されたのは屍隷兵による虐殺。
 少し先の未来、日本海側の或る漁港で凄惨な事件が起こると話し、雨森・リルリカ(花雫のヘリオライダー・en0030)は瞳を伏せた。襲われた人々がどのような最期を遂げたかまでは詳しく語られなかったが、想像に難くない。
「いま現れている敵は冥龍ハーデスが進軍させていたものみたいです。冥龍ハーデスはもう撃破されましたが、そのせいで屍隷兵の統率がとれないでいるようです」
 それ故に屍隷兵達は海辺に現れて人を無差別に襲う。
 失敗作である屍隷兵はそれほど強力な敵ではないが、人間を見かけると虐殺して回る性質がある為、迎撃に失敗すると大きな被害が出る危険性がある。
「幸いなのは場所も現れる時間も予知できたことです。皆様、例の漁港に行って敵さんをおもいっきり倒して来てくださいませ!」
 あのような悲惨で無慈悲な虐殺は絶対に起こさせてはいけない。リルリカはケルベロス達に真っ直ぐな眼差しを向け、事件の解決を願った。
 今回、戦うのは十体の屍隷兵だ。
 大人の背をゆうに超える巨体は幾つもの死体を繋ぎ合わせたような見た目だ。しかし、それらは失敗作でもある為に一体ずつの力は弱い。
「敵が連携を取ろうとする様子はみられませんでした。相手の数は多いですが、皆さまが連携して戦えば互角以上に戦えますです!」
 敵は殴打や蹴りで戦う他、屍隷の魔力を有している。上手く立ち回れば一対一でも戦えるので周囲の一般人への攻撃を防ぐために敢えて各自が別の敵に向かうのも良いだろう。
 そして、必要な情報を全て伝えたリルリカは改めて仲間を見つめる。
「屍隷兵は不気味ですが、罪のない人達が襲われるのは見過ごせません。皆さま、どうかよろしくおねがいします」
 


参加者
リリア・カサブランカ(春告げのカンパネラ・e00241)
長谷地・智十瀬(ワイルドウェジー・e02352)
ルース・ボルドウィン(クラスファイブ・e03829)
ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)
黒木・市邨(蔓に歯俥・e13181)
灰縞・沙慈(小さな光・e24024)
リュリュ・リュリュ(リタリ・e24445)
ヨハネ・メルキオール(マギ・e31816)

■リプレイ

●海辺の異変
 夕闇が宵の色に変わる少し前。
 海から吹く風は良からぬものまで連れて来てしまったのか、不穏な空気が満ちる。それらはただ、残された衝動の儘に陸に上がり、襲うべき対象を探していた。
 主がいない、友もいない。それでも群れる存在。
「何かに似ているな」
 ルース・ボルドウィン(クラスファイブ・e03829)は独り言ち、髪を軽くかきあげた。
 仲間と共に駆ける先には屍隷兵、ヘカトンケイレス達が現れ始めている。ルースは逃げ惑う人々を庇う形で布陣し、進路を塞ぐ形で割り込んだリリア・カサブランカ(春告げのカンパネラ・e00241)も敵を見据えた。
「屍隷兵の話は聞いていたけど、実物を見るとこんなに悍ましい敵なんて……」
 彼らは死者を冒涜する恐ろしい姿をしている。
 長谷地・智十瀬(ワイルドウェジー・e02352)はリリアの言葉に同意し、ヨハネ・メルキオール(マギ・e31816)もしかと頷く。
「冥龍ハーデスを倒しても解決ってわけにはいかないもんだな」
「ああ、それに一方的な虐殺なんざ見過ごせるわけがない。己が持つ力を正しく使うこと……それが持てる者の責務だからな」
 一人たりとも犠牲者を出すものかと意気込むヨハネの瞳は真っ直ぐに敵に向けられていた。リュリュ・リュリュ(リタリ・e24445)も黒木・市邨(蔓に歯俥・e13181)達と共に一般人の避難を促しながら、迫り来る敵を見遣る。
「まるでパニックホラーだね」
 現状を一言で表したリュリュに続き、灰縞・沙慈(小さな光・e24024)はびくりと一瞬だけ体を震わせる。だが、傍らのウイングキャット、トパーズを見て心を奮い立たせた。
「あんなに大きいのが暴れたら大変、だね。ちょっとだけ、ね……怖いけど……」
 自分の怖さよりも、誰かが怪我をしたり痛い思いはしたりする方が嫌い。ケルベロス達を標的だと認識したヘカトンケイレスは此方に向かい、無茶苦茶に腕を振るってくる。
 ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)はその姿に憐れみめいた感情を覚え、首を横に振った。
「くぁ、何と言うか~やり切れない奴等のオチね」
 しかし、これも何かの縁。自分達が彼らを還してやるのだと心に決め、ヒナタは号令をかける。その途端、ペンギン達が現れて敵を攻撃していった。
 それが本格的な戦いの合図となり、ルースが敵陣へバールを投げつけてゆく。リリアは雷壁を張り巡らせて仲間の防護を強め、智十瀬は念鎖を射出して敵を牽制した。
「知性もないようじゃ、ただの野良犬と一緒だな」
 されど、敵は犬なんかよりも戦い甲斐がありそうだと感じた智十瀬は気を抜くまいと己を律する。市邨は仲間から感じた気概を頼もしく感じ、周囲を見渡した。
 既に一般人は逃げ果せ、辺りには敵と自分達しか居ない。
「命は散らない。惨劇は予見の侭で消えるんだ」
 市邨は冷淡な眼差しを向け、竜語魔法を紡いだ。現れた幻影竜の焔は戦場に拡がり、夕暮れよりも赤々とした色を宿していく。
 その焔には戦いへの意志や、決して揺らがぬ思いが込められているかのようだった。

●哀れな人形
 近付いてきた屍隷兵の体が炎に包まれれば、くぐもった声が漏れる。
 その見た目は世辞にも良いとは言えず、リリアは僅かに眉をしかめた。だが、今は憐れみも憎しみも余所へやるべきときだ。
「抵抗せず、やられてたまるもんですか! 迎え撃ちましょう!」
 再び、次は中衛へと雷の防壁陣を張り巡らせたリリアは仲間に呼びかけた。
 漲る力を感じ取り、リュリュは旋刃の一閃を敵に見舞いに駆ける。目の前まで迫った敵の姿はまさに作り物めいていた。
 リュリュは次の一手を放つ為に身を翻し、一瞬で敵から距離を取る。
 続いた智十瀬も仲間と同じ相手に攻撃を放とうとしたが、ふと一体が別の方へ進行している事に気付いた。
「屍隷兵……こっちだ、俺が相手になってやるよ!」
 敵を引き付けようと狙い、魔鎖を解き放った智十瀬はその向こうに一般人が隠れているのだと悟っている。鎖は猟犬の如く敵に喰らいつき、動きを一時的に止める。
「テメェの相手はコッチだポンコツ」
 その一瞬を狙ったルースが地面を蹴り、跳躍と共に敵の前に降り立った。次の瞬間、黒色の魔力弾が零距離から撃ち放たれる。
 その威力は絶大。散る衝撃から避けるように半歩下がったルースが頭を振った時には既に、未完成の異形はその場に伏していた。
 出足は上々だが、敵は未だ多く残っている。
 ヒナタは此方に屍隷念が迫ってくると察して狙われたヨハネの前に立ちはだかる。腕組みをしたまま、堂々と真正面で念を受け止めたヒナタは敢えて派手に叫んだ。
「くぁ! まだまだ! どんどん撃ち込んで来~い!」
 こうして目立つことによって敵の狙いを自分に向ける狙いだ。ヒナタは敵の知能が低いからこそ出来る戦法を見事に行おうとしている。
 沙慈も自分に出来ることをやると強く近い、戦闘小型機を舞飛ばした。
「ヘカトンケイレスから私の大切な仲間の人達を守れるように全力で頑張る、ね」
 みんなを守って、と解き放たれたドローン達は守護の力を与えてゆく。其処に合わせてトパーズが翼を広げ、尻尾の輪を素早く投げ飛ばした。
 鋭く回転しながら飛ぶキャットリングをその目で捉えながら、市邨も追撃に走る。
「覚悟は良いか。――俺は外さないよ」
 蔓を触手形態に変化させた市邨は二体目の敵を屠ろうと狙った。そのとき、真剣な表情がほんの僅かだけ緩む。それは本人以外には分からぬ程度の変化だった。
 悪い、と小さく零れた言葉は市邨が敵に告げられる精一杯の情。
 二体目が倒れ、ヨハネは手応えを感じた。
 しかし、その間にも屍隷兵は次々と攻撃を放ってくる。殴打がヒナタや沙慈を襲い、念や蹴りは仲間達を傷付けていった。
 一撃は弱くとも数が重ねればそれなりの衝撃にはなる。ヨハネは蛇めいた魔鎖を操り、確実に一体ずつ落とす手筈を整えた。
「デカいだけで見掛け倒しか? 次は俺様が相手になってやろう」
 迸る鎖は見る間に敵に巻き付き、捕縛の力が巡った。ヨハネが上手く不利益を付与している様を見遣り、リリアは癒しに移る。
 ――私は誓約を謳う。
「我ら主の敵に鉄槌を下す者。汝、怒りを放ち、戦場に嵐を起こす脅威になれ」
 闇の中の光、正義の英雄よ。祝福あれ、と呼びかけたリリアは更なる加護を仲間達に施していった。邪悪なる者の罪を血で清める為に。造り出されることで生を、死すら奪われた彼らを照らす光となるように。
 加護を受けたルースとリュリュはひといきに戦場を駆け抜け、左右から敵を挟撃する。
「パニックホラーの中でも……悪いけど誰かが死ぬ秀作よりも、誰も死なない駄作の方が好きなんだ。駄作に堕とさせてもらうよ」
 リュリュが降魔の拳を振るえば、敵の体勢が少し揺らいだ。
 再び敵を倒す好機が訪れたと感じたルースは、おどろおどろしい敵の姿を真横から見つめる。このような物は見慣れてはいるが、目の前にすると溜息が零れた。
「ああ……しかし、ツクリモノとはこうも醜いものか」
 そのまま流星めいた蹴りを放ったルースは、三体目の敵を屠る。
 更に智十瀬が敵と仲間の合間を風のように駆け抜け、しなやかな身のこなしで以て擦り抜けてゆく。狙いは未だ前衛に位置する三体の敵。
「一気に終わらせてやる!」
 鋭く放たれた鎖は三方に拡散し、刺し貫かれた敵は神殺しの毒の毒に冒される。
 ヨハネは白銀の槌に魔力を籠めながら、蒼く輝く一閃が敵を押し潰した。これで四体目、と数えたヨハネが視線を横に向けると市邨が五体目以降を倒さんと片腕を掲げる。
「――これで、」
 その次に続く句は紡がれず、市邨は敵群に大量の弾丸を解き放った。躍るようにして翻弄される屍隷兵には幽かな慈悲を。
 沙慈はトパーズと一緒に攻撃に移り、敵の巨体を振り仰ぐ。
「ワンちゃんと違うけど……やっぱり、大きいのは怖い、ね。夜になる前に、ばいばい」
 恐怖は押し隠し、なかったことにした沙慈。匣竜と少女の放った一閃はそれぞれの弱った屍隷兵を打ち貫き、敵をひといきに伏せさせた。

●命の原理
 残るは三体となり、戦いも大詰めを迎えた。
 一体ずつが幾ら弱かろうと油断は禁物。リリアは最後まで仲間を支えると誓い、攻撃を受け付けていたヒナタ達へと祝福を宿した。
「みんなのこと、頼りにしてるわ。援護は任せてね!」
「くぁ! 助かるのオチ!」
 ヒナタはリリアに礼を告げ、まだ戦えると身構える。これまでの反撃として、超加速の突撃で敵群に突っ込んだヒナタはこれまた派手に相手を散らした。
 其処へルースがバールを投げることで牽制を入れ、市邨と共に敵の退路を塞ぐ。
 リュリュも合わせて列攻撃を叩き込もうとしたが、敵は攻撃を避けてしまう。
「まだまだ! 最後まで全力で行こう!」
 しかし、リュリュは挫けずに前を見つめ続けた。彼女は騎士を目指す勝利至上主義のヴァルキュリア。勝利以外は何も見ず、終わりまで戦い続けるのみ。
 更にはヨハネが槌を振るいあげ、轟竜砲を撃ち放つ。
「不気味な見た目をしているが、残念ながらハロウィンは終わっているんだ。招かれざる客はさっさと海に帰ってもらうぞ!」
 それが最善だと示すようにヨハネの一撃が敵を穿った。
 敵の一体が傾いだ隙を見逃さず、智十瀬も腰の刀に手をかける。
「ツギハギだらけのデカい図体じゃ、俺の早さには追い付けねぇだろ。身軽になるように綺麗に捌いてやるよ、その頃には倒れちまってるだろうけどな」
 瞬間、白刃の斬撃が屍隷兵の一体を斬り伏せた。蛇のような鋭い牙が喰らい付く様はまだに瞬間技。智十瀬の宣言通り、八体目の敵がその場に崩れ落ちる。
 沙慈はもう少しだと自分に活を入れ、炎の吐息をはいてゆく。
「がおーっ、焼き払っちゃう、よ」
 めいっぱいの虚勢とたくさんの勇気を込め、沙慈は敵を弱らせていった。今は頼もしい仲間や、後方には支え続けてくれるリリアもいる。だから平気だと顔をあげた少女の横、トパーズも懸命に力を揮っていた。
 ヒナタは間もなく戦いが終わると感じ、海岸を一度だけ眺める。葬送の言葉を送るにはまだ少し早いが、ヒナタは深い慈悲と思いを込めて呟いた。
「さあ、ソラに還るが良いのオチ……」
 そして、呼び出された小型赤ペンギンの群れが戦場を駆け抜ける。重火器から放たれる衝撃はすぐさま敵を捉え、九体目の敵の体力を大きく削った。
 ヨハネは音色を奏でるかが如く魔力を紡ぎ、歌うようにして感情を乗せる。
「彷徨うお前らに俺様が道を示してやろう。冥府行きのな」
 ――凶れ、受け入れろ。
 因果律へと干渉し、捻じ曲げるのは対象の運命。逃れられぬ魔力の鎖で絡め取られた敵は足掻きながらも力を失い、朽ち果てた。
 これであと一体だ、とヨハネが呼び掛ければリリアが確りと頷く。最後だけでも一閃を、と決めたリリアは仲間に呼びかけた。
「沙慈ちゃん、合わせて行きましょう!」
「頑張る、ね……!」
 刹那に重なる視線。二人が踏み出した次の瞬間にはリリアが放った氷撃と沙慈の竜爪が重なり、多大な衝撃を作り出していた。
 市邨は静かに呼吸を整え、白の勿忘草を咲かせる緑蔓に囁く。
「さあ、蔓、出番だよ。往っておいで。不格好な継ぎ接ぎの屍に安寧を」
 さようなら、在るべき場所へお還り。
 その声に応えるように蔓が迸り、棘と葉刃が敵を切り刻む。散り咲く花は葬送花。それはただひとつ、命の成れの果てに捧ぐ彩。
 ルースは市邨が咲かせた花をちらりと見遣った後、最後の敵に視線を戻す。
 彼らは哀れな迷子の失敗作。治す余地を求めるかと聞いても無駄なことは分かりきっていた。それゆえにルースは鋭く細めた青の双眸で目標を捉える。
「葬いもまた俺の生業……心して逝け」
 命の行動原理はふたつ。『愛』と『恐怖』だという。感情すら失くし、刻まれた命令のままに動く人形。彼の存在はそのどちらを覚えるのか。そんなもの、聞くまでもない。
 そして、ルースはその一撃で以て終焉を与えた。

●海風と宵
 最後の屍隷兵が倒れ、叫びの如き声が木霊する。
 重々しい悲痛な声はまるで犠牲になった人々のものだったように聴こえ、リリアはそと瞼を閉じた。両手を重ね、最後の祈りを捧げたリリアは暫くして顔をあげる。見渡した一帯には僅かな戦いの後が残るのみ。
「心のケアが必要な人はいないようね。良かったわ」
 そうして、リリアは荒れた周辺を癒す為にリュリュをはじめとした仲間達と一緒にヒールを施していく。智十瀬も明日からも漁港の仕事が通常通り行えるように、と細部まで見て回って行った。
 その間にヒナタは静かに願う。
 ――次の生は、人としての生を全う出来るように、と。
 彼らは最早、治せぬものであり、この世界の理を外れた存在だった。
 ルースは仲間から零れた思いを聞き、ふと夕空を見上げる。その瞳が夜に移り変わる彩の中に何を映したのかは、彼しか知らない。
「……まぁ、どうでもいいんだが」
 吹き抜けた海風はもう不穏なものではない。それでも、天を仰ぐルースの髪が微かに揺れる様を見上げ、沙慈はトパーズを抱き締めた。ほんの少し冬に近付く風が冷たい気がしたが、仲間と共に護った場所は不思議とああたたかい気がする。
 市邨は海風に靡かれながら、蔓と一緒に夕暮れを見つめた。
 潮の香り、夕暮れの紅。其処から薄蒼になった空は美しいと感じ、市邨は小さく頷く。
「少しでも、護れるものがあったなら、何より」
「もうすっかり夜か。月も綺麗に出ているな」
 ヨハネは普段は仕舞っている光翼を出し、軽く羽搏いた。
 いつしか強く吹いていた海風は凪ぐ。穏やかな月は海辺を照らし、波打つ水面は深い夜の色を湛えていた。
 死の色に染まった夕暮れはもう何処にもない。
 此処に在るのは静かな漣の音色と、平穏な明日に続く夜のひとときのみ。

作者:犬塚ひなこ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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