還らずの埠頭

作者:藤宮忍

●Warning
 倉庫街に隣接した早朝の埠頭には、釣りを楽しむ人々が海に糸を垂らしていた。
 小さな一画だがこの辺りの入り江は、釣りのちょっとした人気スポットで、早朝や夕方に釣人が集まっていた。
 静かにのんびりと、遠い街明かりを眺め、海から響く船の汽笛を聞きながら。
 だが穏やかな日常の景色が、一瞬にして崩れた。
「あ? ……ありゃ、何だ」
 呟いた男は、海からザバリと姿を現した巨大な姿に目を見張り、慌てて逃げだそうとするも、ゾンビめいた腕に掴まれる。
 そして、悲鳴を上げる間もなく、ぐしゃりと潰されてしまった。
 飛び散る人間の血が埠頭のコンクリートに、釣った魚を入れたクーラーボックスの上に、無残に飛び散る。
 ――屍隷兵。それが複数現れ、人々を虐殺していく。
 上陸した屍隷兵たちは、その場に居た人間をすべて殺し終えると、倉庫街を目指した。埠頭を蹂躙して進んだ先には、人々の住まう街がある……。

●『予知』
「こんにちは、ケルベロス様。月喰島から出現した冥龍ハーデスは、空中戦で見事に撃破することが出来ました」
 凌霄・イサク(花篝のヘリオライダー・en0186)が何時ものように話し始める。
「事件は決着したかと思われたのですが、冥龍ハーデスは、月喰島から配下の戦力も進軍させていたようで。灰木・殯(釁りの花・e00496)様の予測通り、日本各地に『ヘカトンケイレス』という種類の屍隷兵が次々と上陸して、事件を起こすようなのです」
 冥龍ハーデスは既に死亡している為、敵の統率は取れていない。10体程度の少数で群がって太平洋側の海岸地帯に上陸してくるとのこと。
「ケルベロス様には、このヘカトンケイレスの迎撃に向かって頂きたいのです」
 屍隷兵はそれほど強力な敵では無いが、人間を見かければ無差別に襲いかかり虐殺して回る性質がある。つまり、迎撃に失敗してしまうと、大きな被害が出る危険性があるのだ。
「釣り場に現れるヘカトンケイレスは10体。3~4メートル程の大きさです。場所、時間は判明しておりますので、余裕を持って迎撃にあたれるかと思います」
 事前に周辺住民や釣人の避難を終えることが出来る。
「釣人のかわりにケルベロス様たちが釣人に扮して待ち構えるのが良いかと思われます」
 一般人の避難に関する策は不要で、迎撃方法や戦術、および街に取り逃がさないことなどが重要であるとヘリオライダーは告げる。
「性質として虐殺、殺戮を好む、知性の無い敵です。戦闘方法も力任せで乱暴なものが多いので、一撃が深手となる可能性もございます。しかし、敵は冥龍ハーデスを失い統率に欠いています」
 そこをうまく突けば、撃破は難しくないだろう。
「虐殺を防ぎ人々を守る為、残さず撃破してくださいませ」
 イサクは一礼すると、貴方達をヘリポートへと導く。
「――それでは、ご案内致しましょう」


参加者
シィカ・セィカ(ロックに大志を抱け・e00612)
リスティ・アクアボトル(ファニーロジャー・e00938)
如月・シノブ(蒼の稲妻・e02809)
夜陣・碧人(陽炎と月の影・e05022)
氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)
エフイー・ノワール(遥遠い過去から想いを抱く機人・e07033)
アシュレイ・ヘルブレイン(生まれたばかりの純心・e11722)
アトリ・セトリ(緑迅残影のバラージ・e21602)

■リプレイ

●夜明け前、埠頭にて
 月明かりと外灯と、海の音。
 夜陣・碧人(陽炎と月の影・e05022)が殺界形成を放ち、アトリ・セトリ(緑迅残影のバラージ・e21602)がキープアウトテープを張った。念には念を、である。
 しかし一般人は寄って来られずとも、敵は隙をついて逃走するかもしれない。アトリは事前に周囲を確認して、敵の逃走経路となり得る可能性がある場所を把握する。倉庫街の建物は隙間無く並んでおり、間を抜けることは難しい。だが敵は巨体なのだ。
「乗り越えてしまう……かもしれないな」
「そうですね、でも海側に逃げられても困りますから……」
 碧人は係船柱にロープを結び、海に垂らした。万一戦闘中に海に落ちた時の為だ。
 水着の上にライフジャケットを装着してきたが、それにしても寒い。秋の海風は肌寒く、碧人は羽織ったケルベロスコートの前をかき合わせる。
 シィカ・セィカ(ロックに大志を抱け・e00612)もジャケットを着込み、釣り具を手に釣人に扮する。海はまだ穏やか、敵の気配は無い。
 同様にライフジャケット姿の釣人に扮したエフイー・ノワール(遥遠い過去から想いを抱く機人・e07033)は広い海を見渡した。
「釣れそうですか?」
 釣人らしい言動でシィカに話しかけるエフイーに、シィカは、
「きっと釣れますデスよ!」
 と、明るく答える。
 防寒着を着ても寒いアシュレイ・ヘルブレイン(生まれたばかりの純心・e11722)は、珈琲を飲みながら待機している。垂らした釣り糸に魚はまだ掛からず、指先を温めながら待機する姿は一見すると眠そう。
 だが。
 釣人の傍で魚が釣れるのを見守っていたウイングキャット『キヌサヤ』がぴょこんとその場で跳ねた。アシュレイは緑の目を瞬くと、即座に立ち上がる。
 ザザザザ……! 突如海が割れ、そこから現れた屍隷兵達。
 埠頭へ向かい飛沫を散らしながら、押し寄せてくる大きな体、その数は10。
「来ました……!」
 眠そうな様子から一転して、アシュレイははっきりした声で仲間達に警戒を促す。
「これも元人間かよ……信じられねぇぜ」
 如月・シノブ(蒼の稲妻・e02809)が眉をひそめて思わず呟いたのも仕方が無い。敵の姿はまるで、ホラー映画にでも出てきそうなグロテスクなものだ。
「ったく、島にこもってりゃ良いモンを、自力で出てくるたーね」
 リスティ・アクアボトル(ファニーロジャー・e00938)は海賊風の衣装を風に靡かせ、接近する敵を見据えて目を眇めた。
「船乗りの端くれとしちゃ、こんなけったいなモンを放置するわけにもいかないか」
 リスティは海魔の大鎌を、シノブはルーンアックスを手に、迎撃態勢を取った。
「ま、早いとこあの世に送り返してやるとしよう」
「大元を倒せば終わりだと思ってたけど、そう甘くはなかったわね……」
 氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)は釣り竿を武器に持ち替え、身構える。
「魚じゃないのが釣れないように、ここで倒しちゃいましょう!」

●屍隷兵上陸、陽はまだ昇らない
 海を揺らし飛沫を上げながら、埠頭へと這い上がってくる屍隷兵達。溶け落ちそうな腕や顔、窪んでいる目らしき部分の奥に怪しく光る冷たい色。全身の隙間という隙間から滲み出ている冷気のような怪しい光。全てが醜悪で異様だ。
「……あんまり一般人に見せたくない敵ですよねえ、コレ」
 碧人は小さく呟き、先ずは妖精伝承の一節を模した魔法を発動する。
「カタカタと響く、糸車は回る。老婆は微笑み祝福を織る」
 召喚される妖精は醜い老婆の姿だが、優しいおばあちゃん。祝福された見えない衣を掛け、碧人に治療効果を高める祝福を与えてくれる。
 糸紡精の語り(フェアリーテイル・ハベトロット)――祝福を得た碧人の傍に、ボクスドラゴン『フレア』が並んだ。先程まで海を眺めていたフレアは布一枚羽織っており、その姿は碧人の視線を和らげた。
 かぐらはキャバリアランページの超加速突撃で、敵の前方を一気に蹴散らし隊列を乱していく。元々統率の取れていない動きをしている屍隷兵達は、かぐらの突撃によって散り散りに乱れた。
「さぁ――攻撃を集中させて、各個撃破だよ!」
 最初に埠頭へと這い上がった敵に、リスティが接近する。
 赤いツインテールを弾ませてリスティの刃が敵を刻む、達人の一撃。
 屍隷兵の醜い体に与えられた斬撃の部分が凍りつく。
 敵は呻りながらリスティに屍歯を立てようと、口を裂けるほど開いた。
「させないのデース!」
 攻撃からシィカが守る。そして愛用のギターをぎゅぃぃんと派手にかき鳴らした。
「いてて……今日のゲリラライブは海からお送りするデスよー! イェイ!」
 シィカは敵が市街地へと抜けないよう位置を取り、ドラゴンブレスで炎を放つ。
 夜明け前の埠頭に炎が広がり、周囲を眩しく照らす。
 そこをめがけて後続の屍隷兵達も次々と埠頭に這い上がって来た。
 屍隷兵が腕を伸ばし、分裂させて、周囲に振り回して雄叫びを上げながら暴れ回る。ちょうど上がってきたもう1体も、腕を振り回して暴れ出した。
 シィカ、リスティ、シノブ、碧人は屍隷兵の腕に叩かれる。
 自分勝手に暴れ回っている敵の動き、状況を冷静な目で分析しながら、エフイーは死天剣戟陣を放った。
 天空より召喚された無数の刀剣は、暴れ回る敵よりも後方の、海から姿を現したばかりの敵達へと解き放たれる。
「グォォ……!」
 ギラリと目を光らせた敵が、エフイーに腐手を向けた。
 エフイーの身が、敵のゾンビのような腕に掴まれて捕縛される。
「平気です、この程度……」
「あっ……」
 アシュレイは思わず前に出て戦いそうになる。いつもの癖だ。
「……おっと、いけない。回復は私に任せて、皆さんは攻撃を!」
 アシュレイの攻性植物が黄金の果実を宿して、その聖なる光で前列の仲間達を癒した。
「う……」
 この匂い。屍隷兵から感じる死臭に、アトリは早速吐き気を催しかけていた。
 しかし戦いの最中である。表情はいつもの悠然さを作っているアトリだが、顔色は若干良くない。それでも流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りは、いつもの冴えた動きで敵の顔面に炸裂する。
「数が多いが、順に潰していくぞ」
 シノブのルーンアックスが卓越した技量で振り下ろされる。
 その刃は、敵の不格好な腕を片方、斬り落とした。

●乱戦、朝靄の中で
 碧人の血襖斬りに続いてフレアがボクスブレスを放つ。攻撃を繰り出しては退いて敵を引きつけ、陸側への誘導を狙う。
「グォォ!!」
 屍隷兵達は次々と、両腕を存分に振るって殴打し、爪で斬り裂く。
「ドローン起動。集中モードで展開」
 かぐらはヒールドローンCを発動する。
 対象の警護機能を排した代わりに、状態異常からの回復機能を持たせたヒールドローン。対象1人に集中展開する事で回復能力の強化が図られている。
 リスティは、刃に「虚」の力を纏って敵を激しく斬りつけ、傷口から生命力を簒奪する。
「単純だけど、なにせ敵がこの数だ。一体一体、確実に消し飛ばして行くよ!」
 敵の動きはばらばらでまとまりが無い。だが今は、数の暴力で暴れ回っている。
「どうやら、この個体が一番ダメージを受けているようですね」
 エフイーは暴れ回っている敵のうちの1体に狙いを定めた。
 ロッドを差し向けると、燃え盛る火の玉を放ち、狙った敵を中心にして爆破する。
 炸裂したファイアーボールの炎に包まれて、屍隷兵の1体が倒れる。
 アトリのグラインドファイア、ローラーダッシュの摩擦を利用した激しい蹴りが敵を捉え、更なる炎を纏わせた。
 キヌサヤが清浄の翼で中列の仲間を癒し、サポートする。
 屍隷兵がまた暴れまわる。シィカと碧人、そしてフレアが仲間を庇い合うが、いびつな腕はケルベロスの身体を強打し続ける。
「繋げ、想いに満ち溢れし生命の奇跡……グラッドグリーン!」
 アシュレイは、生命溢れる地球に生きるものへの、喜びと感謝の心をグラビティに変えて散布する。力は数多の鮮やかな花のオーラとなって周囲を包み込み、前方で屍隷兵の攻撃を受けた仲間達を緩やかに癒していく。
 乱戦となった戦場の端に向かう屍隷兵へは、シィカがすかさずグラインドファイアで攻撃する。
「進入禁止デース!」
 頭部に激しい蹴りの直撃を食らった敵は、その場でずしりと倒れた。
「2体目、イェイ!」
「1体も逃がさねぇぜ」
 シノブはルーンを発動させると、光り輝く呪力と共に斧を振り下ろした。
 光の呪力が屍隷兵の体を破壊していく。
 碧人の竜語魔法。掌から放たれた「ドラゴンの幻影」が、敵を焼き捨てた。
 光と炎に包まれながら、3体目の屍隷兵を撃破する。
 集中攻撃で順調に敵を屠ったが、この後ケルベロス達も、再び屍隷兵達の暴れ回る報復を受けた。前衛はディフェンダーの動きで持ちこたえているが、ダメージは徐々に積もる。
 かぐらが敵の中心へとナパームミサイルを撃ち込む。
 ミサイルポッドからばら撒かれた焼夷弾が、屍隷兵数体を炎に包み込んだ。
「こんなやつ、陸にも海にも逃がしちゃ駄目だ」
 正義感などではない。
 リスティにとっては海を愛するが故、屍隷兵は排除しないといけない。
 ただそれだけのことだ。
 血襖斬りの斬撃は、返り血を浴びてリスティ自身を回復する。
 エフイーの死天剣戟陣、アトリのスターゲイザーと攻撃が続く。
 アシュレイはマインドリングをかざして浮遊する光の盾を具現化すると、癒しの発動と共に、前方の仲間を防護させた。
「ガァッ!!」
 屍隷兵の2体が、シィカとシノブに屍歯で食らい付く。
 牙が刺さり毒が回る。
 シィカは大きく息を吸い込むと、全身全霊、全力全開、今の自分のすべてを詰め込んだ渾身の一曲を高らかに歌い、奏でる。
 聖唱-神裏切りし十三竜騎-(ノブレス・トレーズ)の旋律が、シィカを浄化してゆく。
 朝靄の中で響くシィカ渾身の一曲は、疲れかけていた仲間の気分を和らげたようだ。
 東の空に、海と空の境目が、徐々に紅黄色に染まっていく。
 シノブはグラビティ・チェインを集中させると、複数の大蛇へと形を変えた。その禍々しき蛇が獲物と定めた至近距離の屍隷兵1体を貪り、喰らい尽くす。――怪蛇の毒牙(テュポーン・ヴェノム)。
「グガァァ!」
 蛇に喰らわれて、また1体、敵が倒される。
 紅黄色のグラデーションに染まる空に、太陽が昇りはじめた。

●朝焼けの空と海と
 残りは6体。ケルベロス達はディフェンダーの守りで前列を維持しながら各個撃破を狙い、徐々に徐々に敵を追い詰めていった。
 暴れ回る敵の攻撃に仲間の疲労も濃く、数では上回ったものの手は抜けない。
 ケルベロス達は全力の戦闘を続けた。
 碧人の血襖斬りにあわせてフレアがタックルをする。
 陽が昇ったおかげで、フレアも少し活動的になったようだ。
「もう少しです、がんばりましょう」
 溺愛するフレアに癒されて、碧人は気合いを入れ直した。
 屍隷兵が暴れ回り、それを受け止め、癒しを施しながら休まず攻撃を続ける。
 かぐらがガトリングガンから、爆炎の魔力を込めた大量の弾丸を連射する。
 炎が包み込み、敵は悲鳴を上げた。
 リスティの精霊魔法が発動する。
「そらそら、見とれてて良いのかい!」
 潮騒の唄(ラクス・ラヴス・バラディ)――周囲に展開した魔法陣。召喚されし海水は生き物のように操られ、水の刃となって敵を襲う。舞うようなステップに合わせて剣群が乱れ飛び、周囲の敵を切り刻む剣舞は、実利主義者のリスティに似合わず華やかで、小悪魔のような愛嬌に満ちている。
 リスティの水の刃が切り刻んで、また1体、仕留めた。
 元々自分勝手な動きをしていた敵の足並みが、ここで一気に乱れた。
 エフイーは敵に一気に近づく。
「ターゲット補足。セイバー・アクティブ。トリガー・ロックオフ……裂き穿つ!」
 ベイオネットアディション――銃剣の剣撃と銃撃を、流れるような速度で叩き込む。
「ガッ……!」
 更に一体の敵が倒され、攻撃を畳みかける好機にアシュレイが連携して続く。
 ストラグルヴァインの捕縛が屍隷兵を捕らえた。
 ツルクサの茂みの如き蔓触手形態に変形させた攻性植物が、敵に絡みつき締め上げる。
「ガッ……ァァ……」
 ぐったりと力が抜けた敵は、その場に崩れ落ちて動かなくなった。
 残り3体。ケルベロス達が優勢となっても、敵の攻撃は緩まない。
 暴れまわる3体の屍隷兵の攻撃を、碧人とシィカが受け止めて仲間を守る。
 おもむろにケルベロス達の間を抜けようとした敵の前に、アトリが立ち塞がる。街の方向へは行かせない。
 アトリは脚元に赤黒い影を忍ばせ、舞い踊るような動きで敵を翻弄し、空を切る蹴りを幾度と無く与える。――幻影爪舞(ダンシング・オブ・シェイド)。大鎌の如き三層の刃と顕現化した影は、蹴りの軌道に乗って敵をあらゆる方向から引き裂いた。
 陽が昇り、明るい日差しが降り注ぎはじめた空の下、屍隷兵の断末魔が響く。
 斬り裂かれて飛び散った腐肉が散らばった埠頭は、周囲が明るくなり始めたお陰でホラー映画のような凄惨な景色と化していく。
 ケルベロス達の集中攻撃は加速する。
 キヌサヤがキャットリングで攻撃を援護する。
 シィカの流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りが敵の機動力を奪うと、シノブはサイコフォースで敵の腹部を突如爆破させた。
 動きの鈍った屍隷兵を、碧人のジグザグスラッシュが切り刻む。
「屍隷兵に結末を。おとぎ話にピリオドを――」
 フレアのボクスブレスも追い打ちをかけて、屍隷兵は倒れた。
「これで……最後、ね?」
 最後まで暴れまわろうとする敵へと向かって、かぐらはキャバリアランページで突撃し、足止めする。
「終わりにするよ!」
 リスティの戦術超鋼拳。
 全身を覆うオウガメタルを鋼の鬼と化して、その拳で敵を砕く。
「グァァァ……!」
 重い一撃に抉られ破壊された屍隷兵の最後は、朝の光の下、ズシリと倒れた。

 戦いが終わり、ケルベロス達は現場にヒールを施した。
 現場を綺麗に片付ければ死臭も風に流されて消え、元通りの潮の香りが漂う埠頭。アトリは深呼吸して気分を和らげた。
 エフイーは敵の出現方向をレポートしておく。今後の活動に役立つかもしれない情報は全て回収しておきたい。
 海は静けさを取り戻しており、朝の光を受けてきらきらと輝いていた。
「釣りをしていきましょうか」
 海を調べ終えたアシュレイが声をかける。
「良いですね。鯖を釣りましょう」
 碧人が頷くと、フレアも同意するようにぴょんと跳ねた。
 旬の魚が釣れたなら、美味しく料理して食べよう。
 任務を終えたケルベロス達は、海に向かってのんびりと釣り糸を垂らすことにした。


作者:藤宮忍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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