道化師は二度嗤う

作者:紫村雪乃


 黄昏の光に染まる街角。一人の男が辺りをきょろきょろと見回していた。
 二十歳ほどの若者。その瞳は好奇心で輝いていた。
「黄昏時。噂通りならきっと殺人ピエロは現れる」
 若者はつぶやいた。
 殺人ピエロ。それは黄昏時に現れ、ジャグリングしていたナイフで人を殺すという。いわゆる都市伝説というものだ。
 友人は皆信じなかった。が、彼のみは信じた。だからここにいる。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 いきなり背後から声が聞こえた。はじかれたように振り向いた彼は、そこに女の姿を見出した。
 妖しくも美しい娘。フードを被ったそれは『魔女』であった。
 刹那である。魔女が持つ鍵が彼の胸に突き刺さった。声をあげる暇さえなく、若者の意識は途絶えている。
 若者は昏倒した。その傍らでは、白粉をべったりと顔に塗りつけた道化師が笑いながら鞭をしならせていた。


「あらたなドリームイーターが現れました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がいった。そのドリームイーターは道化師の姿をしているという。
「道化師?」
 一人のケルベロスが目を見開いた。天変・地異(リア充許さないドラゴニアン・e30226)という名の若者で竜種――ドラゴニアンであった。
「どうかしたのですか」
 セリカが問うと、地異は首を振った。
 先日のことだ。彼を含む八人のケルベロスは道化師の姿をしたドリームイーターを斃した。地異はそのことを思い出したのだが、これは偶然であろう。同じドリームイーターが現れるはずはない……。
 その地異の思いは知らず、セリカは続けた。
「不思議な物事に強い『興味』を持って、実際に自分で調査を行おうとした人間がドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こりました。『興味』を奪った魔女は既に姿を消しているみたいですけれど、奪われた『興味』を元にして現実化したドリームイーターを使って、事件を起こそうとしているようです。他の被害が出る前にこのドリームイーターを斃してください。このドリームイーターを倒せば、『興味』を奪われた被害者も目を覚ます筈ですから」
 今は昼だ。ドリームイーターは昏倒した若者の近くに現れるだが、時刻は黄昏時。まだ時間の余裕はあった。
「道化師は猛獣使いのように鞭を操ります。その威力は絶大。鞭は自ら意思あるもののごとくに蠢き、打たれれば刃で切られたように肉が爆ぜるでしょう」
 鞭をふりまわし、盾とすることもできるようだ。簡単に斃せる相手ではなかった。
「けれど誰かが斃さなければなりません。皆さん、お願いします」
 セリカはケルベロスたちに懇願した。


参加者
アクセル・グリーンウィンド(緑旋風の強奪者・e02049)
伊上・流(虚構・e03819)
九六九六・七七式(フレンドリーレプリカント・e05886)
メアリベル・マリス(グースハンプス・e05959)
レオン・ヴァーミリオン(リッパーリーパー・e19411)
デンドロビウム・トート(黒骸メランコリー・e26676)
服部・無明丸(オラトリオの鹵獲術士・e30027)
天変・地異(リア充許さないドラゴニアン・e30226)

■リプレイ


 街角を染める黄昏の光は、どこか血が滲んだように赤かった。
「気を付けろよ」
 足をとめ、赤金色の光に包まれた若者は辺りを見回した。
 天変・地異(リア充許さないドラゴニアン・e30226)。ケルベロスである。傷を負った顔は精悍ともいえるものであった。
「この状況……あの時と似てる」
 地異は忠告した。
 黄昏迫る街角。そして、殺人ピエロ。この状況は先日の事件を地異に思い起こさせた。それで地異は前回戦ったケルベロスの一人に声をかけたのであった。
 ハイ、と大げさな仕草でうなずいたのは可愛らしい顔立ちの娘である。
 九六九六・七七式(フレンドリーレプリカント・e05886)。レプリカントの娘である。
 この娘――七七式こそかつて殺人ピエロと戦った八人のケルベロスの一人であった。
「殺人ピエロか」
 地異と同じくデンドロビウム・トート(黒骸メランコリー・e26676)という名の娘もまた辺りを見回した。
 人間の娘ではない。シャドウエルフであった。尖った耳もも、人間離れした美貌も、その証左である。
「物騒なものが実在してしまったな」
 冷然とつぶやいた。すると、好戦的な紅い瞳の少女が快活に笑った。
「あいかわらずドリームイーターのやることは珍奇じゃのお。が」
 少女――服部・無明丸(オラトリオの鹵獲術士・e30027)は笑みをひそめると、
「被害者がおる以上は笑って済ますという訳にもいくまい」
 いった。あまり物事を深く考えないようにみえて、案外そうでもないらしい。と――。
 傍らの少女が顔を嬉しそうに輝かせた。
 華奢で小柄。十歳にも満たぬ少女であった。綺麗な赤毛の持ち主だ。名はメアリベル・マリス(グースハンプス・e05959)という。
「メアリ、サーカスがだぁいすき。ピエロさんもとっても好き。むかし見たピエロさんはとっても滑稽でおかしかったの。みんなピエロの芸に抱腹絶倒拍手喝采よ。でもこのピエロさんはどうかしら?」
 メアリベルが可愛らしく小首を傾げた。この場合において、どうやら彼女にとっての興味はドリームイーターの芸であるようだ。どこか異常な雰囲気の漂う少女であった。
 するとデンドロビウムが顔をそむけた。そしてつぶやいた。
「ピエロが好きなんて、どうかしている。あんまり好きじゃないわ。不気味」
 と、別の男もまた首を傾げた。十歳ほどの少年だ。黒猫の耳と尻尾を持っているところからみてウェアライダーであろう。名をアクセル・グリーンウィンド(緑旋風の強奪者・e02049)というその少年はいった。
「うーん、似たようなの前にいたの? 誰かがそういう噂を流しているのかなぁ?」
「かも、しれん。が、まあ深く考えても仕方あるまい」
 冷たく、その若者はこたえた。夜が凍結したような雰囲気をもった若者である。
 若者――伊上・流(虚構・e03819)は自身に言い聞かせるかのように独語した。
「俺がやることはひとつ。普段通り、日常に害為す異端なる存在は狩り屠るのみだ」
「さて、では行こうか。期待してるよ?」
 ひょう、と。やや冷たさの増した風に黒のトレンチコートの裾を鴉の羽根のように翻らせ、その銀色の髪の若者――レオン・ヴァーミリオン(リッパーリーパー・e19411)は黄昏の中に足を踏み出した。


「……殺人ピエロかいるらしい」
 二十歳ほどの若者が口を開いた。すると同じ年頃の娘が瞳を輝かせた。
「殺人ピエロ?」
「ああ、すてき!」
 紅髪の少女が嬉しそうに手をたたいた。
「黄昏グランギニョルのはじまりね どきどきしちゃう。本当にいるなら是非お目にかかりたいわ。生首ジャグリング? 黒焦げ火の輪くぐり? ダイナマイト玉乗り? どんな愉快な芸を見せてくれるか楽しみ」
「殺人ピエロと言う程だし、ジャグリングからの投擲以外の曲芸的な殺人技巧が出来たりするのだろうか?」
 黒髪黒瞳の若者がいった。その時だ。
 水の一点が吹きつけられたような気がして、彼らは足をとめた。
 その眼前。濃くなりつつある黄昏の中に異形の姿はあった。
 派手な衣装をまとっている。顔にはべったりと濃い化粧が笑みの形に施されていた。手には鞭が握られている。――道化師だ。
「出よったな!」
 無明丸がニヤリとした。
「仔細は問わぬ! 問答も無用! いざ尋常に勝負いたせ!」
 道化師はこたえなかった。ただ笑みを陰惨に深くしただけ。
 次の瞬間である。突如、道化師の手の鞭がしなった。
 咄嗟に無明丸は跳び退ったが、遅い。彼女の想像を超す迅さで疾った鞭は毒蛇のように無明丸の胴をうった。
「ぬっ」
 無明丸が呻いた。その脇腹は断ち切られ、血を噴いている。恐るべきことに鞭は刃の鋭さを秘めていたのだった。
「うーにゃー。怖い道化師さんだー」
 アクセルの手から漆黒の鎖がするするとのびた。それは独自の意思あるがごときにはしり、地に魔法陣を描いた。守護の魔法陣を。
 同時にデンドロビウムもグラビティを発動させた。その身から凄愴の殺気を放つ。
「行くよ、チェネレントラ」
 デンドロビウムが声をかけると、彼女の背後の空にうかぶボクスドラゴンが静かにうなずいた。彼女は、孤独なデンドロビウムにとっては唯一の友であり、同時に姉妹のような存在だ。
「芸にちょっと品がないわね」
 ふん、とメアリベルは鼻を鳴らした。
「大体人を怖がらせて泣かせるなんてナンセンス。ピエロには喜劇がお似合い。悲劇や惨劇はお呼びじゃなくてよ。だからメアリが本当のグランギニョルを見せてあげる! さあミスタ一緒に踊りましょ。極上のエンターテイメントよ」
 メアリベルは楽しそうに、可愛らしく、残酷に笑った。そして、馳せた。道化師めがけて。
 反射的に道化師は鞭をふるった。が、あたらない。跳ね、あるいは回転し、さらには彼女がママと呼ぶサーヴァントの援護をうけ、まるで舞うように鞭を躱してメアリベルは道化師に肉薄した。
「ピエロの本質は人を楽しませる事。怖がらせるなんてエレガントじゃなくってよ」
 メアリベルは手を振り下ろした。いつの間にかその手には彼女の背丈を超すほどに巨大な斧が握られていた。
 ルーンアックス。力あるルーン文字が刻まれた、アスガルドの偉大なる斧だ。
 鉄槌のごとき破壊力をひめたルーンアックスをメアリベルは道化師に叩きつけた。いかなドリームイーターといえばこれほどの一撃をくらえばただではすまない。
「あっ」
 悲鳴に似た叫びは、しかしメアリベルの口から発せられた。
 ルールアックスの一撃は防ぎとめられていた。道化師のもう一方の手がふるった鞭によって。さらには他方の鞭が翻り、メアリベルをうったのである。
 爆発的な衝撃にメアリベルの小さな身体ははね飛ばされた。近くの家屋に叩きつけられ、壁をぶち抜き、さらに遠くに飛ばされた。その身体がとまったのは五軒めの家屋の壁にめりこんだ時である。
「お前!」
 地異の目が赤光を放った。
「子供の笑顔を奪うな。もう見たくないんだ」
 地異の身体に固定された砲台が動いた。道化師を照準。撃つ。
 発射されたのは三メートルほどのミサイルだ。その上に地異は飛び乗った。
「正義の一発、いっくぜぇーッ!!」
 サーフィンのごとくにミサイルを操り、地異は道化師に迫った。次の瞬間――。
 爆発が空を灼き、地を揺るがした。爆炎の中に二つのふたつの影が浮かび上がっている。と――
 一方の影から紐のようなものがのびた。もう一方の影が跳び退り、がくりと膝を折った。
「うっ」
 呻きは膝を折った影――地異の口からもれた。その肩が割られている。鞭の仕業だ。
「躱されたかよ」
 地異が目を上げた。その視線の先、ニンマリと笑う道化師がゆるりと頭を下げた。


「ほお!」
 無明丸がニヤリとした。戦いを前にした血の疼きを抑えかねるかのように。
「なかなかやりよる! 道化師風情にしては上等じゃ! じゃがの!」
 すう、と。
 無明丸は腰をおとし、足をひいた。その足元で風が旋回する。彼女の内でたわめられた殺気の仕業だ。
 次の瞬間、無明丸は地を蹴った。爆発的な脚力のために地が吹き飛ぶ。一瞬で無明丸は間合いを詰めた。
「ぬぁああああああああああーーーーーッ!!!」
 あまりに高圧のグラビティのために小太陽と化した拳を無明丸は道化師に叩き込んだ。
 咄嗟に道化師は鞭で防いだ。が、防ぎきれない。衝撃はじきとばされた。地を十数メートルも足で削り、ようやくとまる。
「まだじゃ」
 蹴りを放つべく無明丸が再びダッシュした。が、風が吼えた。鞭の一閃だ。
 無明丸は脚ではじいた。が、もう一閃は避け得なかった。鞭で脚をへし折られ、無明丸は倒れた。
 道化師の笑みが深くなった。その手が消失する。そうとしか思えぬ迅速の動きで道化師は鞭をふるった。怒涛の打擲が無明丸を襲う。獣の躾を行ってでもいるつもりなのだろう。が――。
 ピシリッ。
 突如、鞭がとまった。弾丸にはじかれて。
 ぎろりと目をむけた道化師はみた。硝煙のたちのぼるリボルバー拳銃を手にした七七式の姿を。
「対象、ドリームイーター。全データ取得。アナタの動キハ全テ、見切リマシタ」
 告げて、にこりと七七式は微笑んだ。

 振り向き、アクセルは駆け出した。獣並みの疾走速度で。駆け寄ったのはメアリベルのもとだ。怪我の治療を行うには距離がありすぎたのである。
 アクセルに気づき、瓦礫の中に横たわったメアリベルは薄く笑った。それだけが渾身の業だ。
 全身の骨が砕けていた。指一本動かすことはかなわない。
「結構痛そうだね、今治すから」
 掲げたアクセルの掌に満月のような白銀の光が現出した。


 七七式の何が気に障ったのか。道化師の笑みに邪悪で陰惨なものがまじった。
 刹那である。道化師がするすると動いた。その手の鞭が視認不可能な速度で疾る。
 その悉くを七七式は弾丸ではじいた。疾風の鞭を撃つのは迅雷の銃弾。が、超高速で舞う鞭の動きを読み、的確に狙撃する七七式の銃撃術をなんと評してよいか。
 いや――。
 七七式の目に狼狽の光がゆれた。
「鞭の速度上昇。データ再取得。演算開始」
 だめだ。処理が追いつかない。弾丸がそれ、二本の鞭が刃と化して七七式を襲った。
 ギンッ。
 鋼と鋼の相博つ音が響いた。
 二本の鞭。それはとまっていた。七七式の眼前で。
 とめたのは、何か。それは鎖であった。それはレオンの影からのびていた。
 悪性因子・無限縛鎖。『僕はお前が羨ましい』、『だから其処で永遠に止まっていろ』、というレオンの身勝手な願いを具現化した簒奪術式であった。
「僕が嫌いなものを教えてやろう」
 レオンは指をひとつ立てた。
「自分を過小評価して何も成せないと思い込むやつ」
 さらにレオンはもう一本指を立てた。
「理不尽を返される覚悟もなく誰かに理不尽を押し付けるやつ。そして」
 レオンは三本めの指を立てた。
「格段に嫌いな最後の一つ。上から目線で命令してくるやつ。故に、お前の全てを否定する。三流道化師」
「狩り屠る」
 黒き死神が疾った。平凡な、しかし安らかで幸せな日常を彼――流から奪った者たちと同族を滅するために。その身がふるうは残された手記にあった異端なる存在を狩り屠る業!
 リングからのびた光の剣を流は道化師に向かって力の限り振り下ろした。道化師の身に斜めに亀裂が走る。
 顔にひび割れた笑みをはりつけたまま道化師は跳び退った。
 刹那である。凄まじい蹴りが道化師の背に叩きつけられた。たまらず道化師の身が前方に泳ぎ、その口から黒血がしぶく。
「どうじゃ、わしの蹴りは。一味違うじゃろが」
 無明丸は血まみれの顔で凄絶に笑った。
 と、道化師の動きがとまった。その首に黒い粘塊がからみついている。粘塊は流の手からのびていた。


 流は告げた。
「逃がさん」
「きいぃぃぃぃ」
 はじめて道化師は声を発した。耳を塞ぎたくほどの不気味な声だ。
 道化師の手に現れた別の鞭が疾った。粘塊を切り裂く。同時に唸った別の鞭が流をうち、肋骨ごと内蔵をミンチにした。
「月のカード。惑い、幻、狂気……囚われないでよ。頼むから」
 崩れかけた流の膝があがった。その身に月光のごとき銀光が撃ち込まれたからだ。急速に流の傷が癒えていく。アクセルだ。
「じっとしていろ。もうおどける必要はない」
 地異の姿が消失した。そのように皆の目には映じた。恐るべきことにドリームイーターにとってもまた。
 一気に接敵した地異は道化師に拳を叩き込んだ。さしものドリームイーターも防ぐことは不可能だ。一撃の衝撃に道化師が身を折った。いや――。
 鞭が翻った。別の意思でもるように。地異と流を切り裂き――はじかれた。七七式の弾丸によって。
「データ修正、完了シマシタ」
 七七式が微笑んだ。
 その瞬間だ。道化師がゆらりと動いた。七七式に襲いかかる。
 反射的に七七式は撃った。が、全ての弾丸は振り回される鞭ではじかれた。
「ぬっ」
 道化師の足がとまった。魔物の足に巻きついているものがある。黒い鎖だ。
「調子に乗るなよ、三流道化師。お前はいまだ俺の間合いの内なんだよ」
「今度はメアリと踊ってもらうわよ」
 空に舞う小さな影が叫んだ。メアリベルだ。
 はじかれたように見上げた道化師の手から鞭がとんだ。その一本をメアリベルが躱す。が、残る一本は躱せない。
 いや、はじかれた。チェネレントラによって。
「リジー・ボーデン斧を振り上げお母さんを40回滅多打ち! メアリは41回滅多打ち!」
 楽しそうに歌いながらメアリベルは斧をうちおろした。とてつもなく巨大で、とてつもなく不気味な形状をした斧を。
 空間すら裂きつつ、斧が道化師を切り下げた。切断された道化師の腕が黒血とともに空にとぶ。勢いをそのままに斧が地を穿った。刃風が土をまいあげる。
「もう」
 しかしメアリベルは頬を膨らませた。彼女は完全に道化師を両断したと思ったのだ。が、道化師はわずかに躱してのけていた。
「もう終わりだ」
 すう、と。まるで狙撃すめかのようにデンドロビウムは指をのばした。その手に急速に、そして膨大な熱量が集約、凝縮されていく。
「断罪する」
 デンドロビウムの指から気の塊が撃ち出された。それは大口径の機関砲に匹敵する威力を秘めている。
 なんでたまろうか。気の弾丸に撃ち抜かれた道化師の頭蓋は微塵に粉砕された。

 倒れていた若者が身を起こした。怪訝そうに辺りを見回す。すると流が手を差し出した。
「ま、こんな時間は変な事が起きたり起こそうとする輩が現れたりするからね。早めに帰った方が良いよ」
 流は告げた。
 ややあって無明丸が振り向いた。すでに闇は降りたそこは先程まで戦場であったところだ。
「やれやれ、最近のピエロというのは凶暴じゃのお」
「殺人ピエロのグランギニョルはこれにて閉幕。ジ・エンドよ。アンコールはいらないわ。ああ楽しかった」
 踊るような足取りでメアリベルは闇の中に消えていった。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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