秋の妖怪退治と参りましょう

作者:ハル


「……ここ、か」
 青年は、地図に目を通しながら呟いた。
 そして、とある九州の暗い山の中をヘッドライトでゆっくりと照らす。
「山童を見たという噂を聞いてやってきたはいいが、さてどこにいる?」
 青年の胸には、『妖怪愛好会』と名が打たれたピンバッチ。青年は嬉々と言った様子で、妖怪『山童(やまわろ)』を探し回る。
「情報としては、一つ目に十歳くらいの体格、褐色の長い頭髪、全身を覆う細かい毛、短い胴に二本足で人の言葉を操るらしいが……」
 噂は山童の特徴と合致している。青年は、妖怪と接触する人間第一号となる野望に燃えているようだが――。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 ブスリと、唐突に青年の胸から鍵が生えた。
「……え?」
 青年は、信じられない思いで胸を呆然と眺め、やがて崩れ落ちる。
 鍵を手に、クスクスと笑う第五の魔女・アウゲイアス。
「カニ、喰いたい」
 そして、毛むくじゃらの河童のような姿をした妖怪山童のドリームイータがいた。


「……妖怪は日本では有名ですが、山童とはまたマニアックですね……」 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は、不思議そうに首を傾げながら言った。
「ジェミ・ニア(星喰・e23256)さんの懸念通り、不思議な物事に強い『興味』をもって、実際に自分で調査を行おうとしている人が、ドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こってしまったようです」
 元凶となるドリームイーターは姿を消しているが、妖怪山童の噂を元に生み出されたドリームイーターは健在だ。
 山童といえば、決して悪名高い妖怪ではない。日本に本当に妖怪がいるならば、きっとドリームイーターには迷惑しているはず。
「どうか被害が出る前に、このドリームイーターを撃破して下さい! また、ドリームイーターを倒す事ができれば、『興味』を奪われてしまった被害者も、目を覚ましてくれるはずです!」
 セリカは資料を捲り、
「ドリームイーターは悪臭や鋭い体毛をモザイクに込めて飛ばしたり、時に回復を行うようです。また、ドリームイーターは人間を見つけると『自分が何者であるかを問う』ような行為をして、正しく対応できなければ殺してしまうという性質を持っているようです」
 正しい解答を示せば見逃してもらえるが、正しい解答を示せなかった場合は、より積極的に襲ってくる。だがどちらにせよ、倒す以外に道はない。
「山童は、人間の手伝いをする変わりに、報酬を受け取るといいます。仮に報酬や約束を違えれば、酷く怒り出すそうです。ドリームイーターの『自分が何者であるかを問う』ような行動も、そんな山童の習性にも起因しているのかもしれませんね」
 悪臭攻撃があるように、山童はとても臭い。お風呂に入れば、湯に大量の汚れた脂が浮く程だという。
 セリカは鼻を摘まむような仕草を見せながら、続けた。
「それに加え、ドリームイーターは自分の事を信じていたり噂している人が居ると、その人の方に引き寄せられる性質があります」
 山童について、いろいろと想像を働かせるのも面白いかもしれない。
 山の中ゆえに、足場がいいとはいえない。ただ、周囲に棘があったり人体に影響を及ぼす植物はないので、その点は安心だ。
「山童……聞けば聞く程、なんだか妖怪らしくない妖怪のようですね。九州ではそれなりに知られているようなので、できれば悪名が広がらないようにしてあげたいものです」


参加者
楚・思江(楽都在爾生中・e01131)
ヴェスパー・セブンスター(宵の明星・e01802)
灰野・余白(空白・e02087)
幽川・彗星(剣禅一如・e13276)
篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)
ジェミ・ニア(星喰・e23256)
クローネ・ラヴクラフト(月風の魔法使い・e26671)
高円寺・杏(ヴァルキュリアのミュージックファイター・e28520)

■リプレイ


 山中を登山靴を履いた足が闊歩し、暗い道をハンズフリーライトの灯りが照らしている。
「俺の生まれた国にも山に住む“さんそう”だの“山精”だのってのがいるが、どこにでも同じようなのがいるもんだな」
 被害者の青年を安全な場所に移動させた後、その周囲の木の枝にLEDランタンを吊り下げながら、楚・思江(楽都在爾生中・e01131)は言った。
 こうしておけば、青年が目覚めた時の混乱も少なく、またいい目印にもなるだろう。
「日本には八百万の神様がいると聞いたけれど、妖怪もたくさんいるんだね。お手伝いをしてくれるみたいだし、悪い妖怪じゃないのなら会ってみたいな」
 クローネ・ラヴクラフト(月風の魔法使い・e26671)は興味津々な様子で山童の姿を想像していた。
「喋れるみたいだけど、どんな声なんだろう? 案外、可愛らしい声だったりしてね!」
 真偽については、いずれ分かるだろう。お師匠のような可愛さがあればいいな、などとクローネが妄想を膨らませていると、
「それにしても、足場はあまりよくないのう」
 白のチャイナドレスを身に纏い、煙管から紫煙を吐き出しながら灰野・余白(空白・e02087)は地面を踏みしめ、苦々しく言った。
「(山童のう。実際の所、おるんじゃろうか? なんにせよ、所謂風評被害というやつじゅのう)」
 下手をすれば、足元をとられてしまいそうだ。女性としては長身の余白にすれば、なおさら懸念材料となる。
「……確かに、足場は心配だね」
 そう長い距離を歩いた訳でもないのに、篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)の履く登山靴の靴底には、びっしりと土が付着していた。
「まぁ、戦闘時は自重で安定すると思うけど……それ以上に、今回は俺のお仲間というか、なんというか、似たような輩が相手なんで、気合い入れないとね」
 物に宿った魂を力の源泉とする佐久弥にとっては、そこはかとなく親近感に似た感情を覚える相手だ。
「少しネットで調べてみましたが、川に住む河童が山に移住すると山童になる、といった説もあるみたいでありますな」 
「ああ、それ僕も調べていた所です。冬は山童、春は川辺で河童として暮らすとか」
 アイズフォンで検索していたらしいヴェスパー・セブンスター(宵の明星・e01802)が告げると、ジェミ・ニア(星喰・e23256)も同意を示す。
 河童と同一だと仮定するならば、途端に山童が身近な存在に思えてくるのが不思議だった。
 ――と、一同は幽川・彗星(剣禅一如・e13276)が不快そうに表情を歪めているのに気付く。
 その理由を尋ねてみると、彗星は口を開いた。
「だって山童って臭いうえに汚いらしいじゃないですか。料理人として、そういう不衛生なの、ほんと生理的に無理なので……」
 という事らしい。
 それには、同じく飲食店を構える思江も同じ気持ちなのか「……ああ」と苦笑する。
「山童が不潔って話題の時に悪いのだけれど、山童はカニが好きなの?」
 方向性はほぼ180度違えど、食事に関する話題が出たことで高円寺・杏(ヴァルキュリアのミュージックファイター・e28520)はずっと気になっていた事を聞いてみることにする。
「どうも、エビやカニを食べて暮らしてるそうですね」
 ジェミがそう答えると、杏は「痛風になりそうね?」と軽く笑った。
 そして、その時――。
「……っ!?」
 肌寒い風に乗ってやっきた匂いに、彗星が鼻を押さえる。
「匂いセンサーにすごい反応が出ているでありますな」
 彗星の反応を裏付るように、ヴェスパーの冷静な言葉。ヴェスパーは至って平然としているが、他の者はそうもいかない。
「猿はもちろん、カバとかゾウもお風呂に入ったり、水浴びをするでしょうに……」
 呆れたような杏の声。実際は寄生虫対策などだろうが、漂ってくる悪臭は強烈で、呼吸することすら苦痛に感じる程であった。
 その臭いは弱まるどころか次第に強くなっていき、河童に似た妖怪『山童』がその姿をケルベロス達の前に現れた時に、最高潮に達するのであった。


「カニ、喰いたい」
 山童……いや、ドリームイーターが好物の名を呟く。もしかしたら、ケルベロス達に要求しているのかもしれないが、彼らにそんな余裕はなかった。
 ジェミとクローネは、ドリームイーターの退路を塞ぐような位置取りをとろうとするが、その際に、風下に立つ事を避けるための、無言のポジショニング争いを繰り広げている。
「オレ、何者?」
 そんな滑稽な争いを尻目に、ドリームイーターが問いかける。
 問いに答えるのは――。
「ゴブリンみたいね」
 クールな笑みを浮かべた杏だ。
「……ゴブ、リン……?」
 山童のドリームイーターは、邪悪かつエッチな方面でよく活躍しているゴブリンと間違われたことに、一瞬呆然とし、すぐに怒りで顔を真っ赤にした。
「ゴブリン、違う!」
「まぁ、そうよね。だって、正直ゴブリンもここまでは匂わないだろうし」
 激昂するドリームイーターを、杏は冷笑で受け流す。
 すると、ゴブリンは途端に杏に向かって飛びかかるのだった。

「ひっ!?」
 ヌルリ。それが、迫るドリームイーターを受け止めた時に、杏が感じた感触であった。
 手元を見れば、そこにはドロドロの垢が大量に付着していて……。
 思わず気の遠くなる杏を垢の魔の手から救え出すべく、思江の指一本での突きがドリームイーターの気脈を断つべく突き刺さる。
 それにより、ドリームイーターは一旦後退するものの、置き土産とばかりに思江の指、爪の中までが垢に汚染されていた。
「最悪の相手だ。やっぱ殴りたくねえなぁ、こいつぁよ! 料理人の指をこんなにしやがって!」
 思江は、悪臭を放つ指にうんざりしながら悪態をつく。
「脳漿ぶちまけろ」
 そんな思江の様子を横目に見ながら、彗星は加速したドラゴニックハンマーでドリームイーターを穿つ。武器があるからと彗星が油断したのも束の間、衝撃に垢が飛び散って彗星の服に付着し、殺意を漲らせた。
「ちょっと外見変わるっすけどまぁ気にしないでね」
 繰り広げられる地獄絵図に、佐久弥は鼓舞するように祝詞を唱える。
「俺は捨てられたモノども率いる敗者達の王。さぁさ、とくとご覧あれ我が威容、ヒーローはここに在る。――へん……ッ シンッッ!!!」
 溢れんばかりの地獄化の炎と自己冷却能力を暴走させ、佐久弥は人型を放棄する。変わりに佐久弥の身を覆うのは、傘の骨、冷蔵庫、扇風機、そして地獄の炎。腰に燦然と輝く変身ベルトは、己が名を高らかに、誇らしげに唱えた。
『変神・百鬼夜行!!!』
 その巨体に、ドリームイーターが一瞬だけ怯む。
「妖怪を自称するつもりなら、もっと『らしく』してください。まずは交渉、それから契約でしょう!? 全然なっていませんね」
 ジェミの流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りがドリームイーターを吹き飛ばす。
「イ、痛イ……」
 吹き飛ばされ、うぐぐ……と呻きながら立ち上がったドリームイーターは、一同が最も恐れていた行動を取り始める。モザイクに溢れんばかりの悪臭を込め、放出したのだ。
 すると、即座にお師匠とテレビウムが前に出る。しかし、庇おうとした両者の僅か横をすり抜けるようにして、モザイクがクローネに直撃した。
「な、なんなの、この匂い!?」
 クローネは、悶絶する。まさに、鼻の曲がりそうな匂い。
「う、うぅ……春の訪れを告げる、豊穣の風。穏やかで優しい西風の王よ。我等に、花と虹の祝福を授けたまえ」
 それでも、涙目になりながらも優しい花の香りを舞わせて前衛の補助に徹する辺りは、さすがの芯の強さか。
 杏は、庇いに入るのが間に合わなかったのを申し訳なく思いつつ、
「激しい熱、暴力に酔って思うがままに殺戮、血潮と肉が生命の証――」
 杏の逃走と破壊を肯定するメッセージに加え、テレビウムの応援動画がクローネを癒やし、お師匠の神器の瞳による一睨みがドリームイーターを炎上させた。
「いずれヴェスパーも、皆様のように匂いに右往左往する時が来るのでありますか?」
 その日が待ち遠しいような、そうでもないような、不思議な心境。無表情の裏に隠された、心の波を感じながら、ヴェスパーの痛烈な一撃が、ドリームイーターの弱点に打ち込まれる。
「遅れてはいられん。さぁ、うちもいこうかのう」
 煙管を手の中でクルリと弄びながら、余白は卓越した技量からなる一撃を繰り出した。


「ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおあああっっ!!!」
 強烈な大音声と衝撃。天地を劈く思江の雄叫びが、ドリームイーターの神経をも震わせる。
 全身に纏わり付く悪臭と垢に、思江は続けて叫んだ。
「どうせなら温泉好きの妖怪でも探してくれりゃあいいのによ!」
 その叫びは仲間の共感を深強く生んだのか、一同はうんざりした顔でうんうんと頷き会う。
「まったくだね。そういう平和的なのは、大歓迎なんだけど。とっ、頼んだ、体現装悟」
 三メートルを超える巨体でドリームイーターを抑え込みながら、佐久弥は体現装悟の名を呼んだ。すると、体現装悟は百鬼夜行の仲間の姿を形作ったオウガ粒子を放出する。
「ヨクモ、やったナ!!」
 ドリームイーターが、今度は体毛をモザイクに込めて射出した。匂いは先の攻撃よりは遙かにマシだが、こちらは不潔極まりない体毛が突き刺さることになり、不快度では大差がない。
「死ネ、死ネ、裂ケロ糞神ィ!!」
 それを真っ向から受けたのは、彗星であった。
 だが、代わりにドリームイーターの後の先を完全なタイミングでとってもいた。尋常ならざる力は周囲の因果すら歪曲させ、技の威力の底上げも伴って、ドリームイーターの世界を破壊していく。
 まるで天災のような力の奔流に押し込まれたドリームイーターの身体が裂け、鮮血を吹き出上げる。
「ウ、ウウウ!」
 ドリームイーターは、たまらずに傷をモザイクで補修しようとするが――。
 そんなものは焼け石に水とばかりに、杏の「鋼の鬼」と化した拳が、ドリームイーターの腹部を突き破る。
「日本の妖怪さんのために!」
 なんとかこの場を逃れようと傷口を押さえて後退するドリームイーターの背には、ピッタリとジェミとクローネの姿があった。
 なんだかんだと悪臭に耐え、退路を塞いでいた甲斐があるというもの。
 ジェミのエスカリバールの先端がドリームイーターの頭部を強かに捉え、クローネの古代語詠唱のための時間を稼ぐ。
「逃がさないよ!」
 詠唱を終えたクローネは、魔法の光線を放って、ドリームイーターの動きを鈍重なものに変えてしまう。もうこれで、逃げることは叶わない。
 クローネが命中率の底上げの役割をこなしてくれた佐久弥にグッと親指を立てると、佐久弥もそれに応じて微笑を返す。
 最早逃げられないと悟ったドリームイーターは反転して悪臭攻撃を放った。
 余白の元へ迫るモザイクの前に、今度こそはと、お師匠とテレビウムが立ち塞がって攻撃を受け止めた。
「……不憫ですね」
 ヴェスパーは、断罪の力を集めながら、思わずそんな事をポツリと呟いていた。意識した訳ではない。『興味』というたった一つ感情を元に生み出されたドリームイーターに、そして奪われてしまった青年を思い起こして、ヴェスパーの口から自然と出てきた言葉だ。
「(これが、感情を理解するということなのでありますか?)」
 ヴェスパーは感情を理解したい。それでも、できるならばもっと明るい感情を知りたいと思うことは、贅沢なのだろうか。ヴェスパーは満面の笑みを浮かべる自身を想像して、首を軽く横に振った。
「貴殿の行いは大罪に値するであります。 その悪徳ごと断罪します。七星断罪剣、セットアップ。Set……Ready……GO」
 今は任務を遂行する事が先決だ。
 充分に集まった力を剣に集め、ヴェスパーは上段からドリームイーターを両断する。
「ガッ……ガッ!」
「おっと!」
 痙攣し、虚空を見つめるドリームイーターの二分された胴体を繋ぎ合わせるようにして、残酷な笑みを浮かべた余白が顔を寄せる。
「逆に聞いたる。うちは何者や?」
 きっとドリームイーターが何かを答えられたのなら、余白の酷薄な瞳を指して魔女だと答えただろう。
 敵を見る余白の瞳には、それに相応しいだけの嗜虐心が宿っていた。
 交錯するドリームイーターの瞳の奥に、余白は何かを感じ取ったのか、笑みをさらに深くしてパチンと指を鳴らす。
 すると、どこからともなく照準を合わせた超超超長距離砲撃が、ドリームイーターを爆撃の渦に飲み込み、跡形もなく消し去るのだった。


 乱れた森にヒールを施した後に残ったのは、鼻にいつまでもこびり付くような悪臭だけだった。
 ともかく、被害者の青年の安否も確認しなければならないが、そちらへ向かった時の青年の反応は、予想通り悲惨なものであった。
「う、うう……」
 青年の嘔吐きが収まったのを見計らって、ジェミが言う。
「大丈夫ですか? 未知なる、そしてどこか愛嬌がある妖怪さん達への好奇心、僕も分かります。でも冒険の際はお気を付けて」
「そうだよ。デウスエクスが妖怪の正体ってこともあるんだ。噂を確かめる時は、一度落ち着いて判断してね――いつでも助けられるとは限らないんだから」
 もちろん、助けを呼ばれたなら、いつでもどこにでも駆けつけるけどねと、佐久弥は続けた。
 青年も反省しているようで、神妙な表情で「はい」と頷いてくれる。
「おう、さっさとひと風呂浴びようや! 臭くてたまんねえぜぇ……」
 青年が無事と分かるや、堪らず思江が言う。
「……うぅ、酷い匂い……」
 垢や汚れや匂いの染みついた衣服を一刻も早く脱いで、お湯を浴びたいようだ。
 クローネは『クリーニング』を使用してみるが、汚れが肌に触れた感触までは消せない。それは、ゴキブリを素足で踏みつぶしてしまった時の絶望的な心境に少し似ていた。
「温泉に寄るの? いいわね、ついていっても良いかしら?」
 杏も乗り気なようで、どことなく声がはずんでいる。最も、お風呂以外にも、お酒も期待しているのかもしれないが、今日くらいは別に構わないだろう。
 だが、どこの温泉に? と一同が途方に暮れていると、
「それならもう予約してるよ」
「良い所を見つけておいたであります」
 佐久弥とヴェスパーが自信満々に言う。どうやら、ヴェスパーがネットで見繕い、佐久弥が細かい手配をしたようだ。
 ケルベロス達はほっと胸を撫で下ろし、温泉へ向かう。
「ああ、そうじゃった」
 しかし、ふいに余白は振り返ると、青年に向けて告げた。
「あんな、お前さんを助けたんは、うちらだけじゃないんよ。なんか河童みたいな子からお前さんがここにいるから助けたってって言われて来たんよ」
「……え?」
 それだけ言って、余白は温泉へ向かう仲間の合流するのだった。
 願わくば、山童が素敵な妖怪でありますように……。

 

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年11月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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