谷間の姫百合

作者:絲上ゆいこ

「――……」
「誰か、……呼んだ?」
 周りを見渡せど、広がるのはただの山。
 木の葉がさざめき、高い高い秋の空では雲が流れ行く。
「……誰か、いますか……?」
 低い山とは言え、山は山だ。
 迷ってしまったり、体調を崩してしまえば遭難をしてしまう事だって考えられる。
「……、……!」
 やはり、声が聞こえた気がした。
 助けてあげなきゃいけない、と思う。
 登山ルートを離れ、知らず獣道へと歩み出す足。
 枝葉が自らの肌を裂こうとも、被っていた帽子が落ちようとも。
 真っ直ぐに、真っ直ぐに。
「ああ、……やっぱり」
 肩より鞄を落としながら、彼女は呟いた。
 目の前で自分を待っていたのは、淡い桃色の髪に、鞠を抱きしめた幼子だ。
 人懐っこい笑みを浮かべた彼女が、今にもまろびそうな足取りで駆けてくる。
「――ねぇ、遊んで」
 彼女に絡みつく鈴生りの白い白い花が、ろんと揺れた。
 
●神楽鈴の花
 掌の上で展開された地図には、赤丸で山が示されている。
 レプス・リエヴルラパン(レプリカントのヘリオライダー・en0131)が指先で立体映像をなぞると、その山より矢印が伸びた。
「この山からこういうルートで攻性植物が降りてきて……、このままだとこの街が襲われちまう。そういう訳でお前たちには、撃退をお願いしたい訳だ」
 ケルベロスたちを見渡して、肩を竦めるレプス。
 次に切り替えられた画像は、鈴蘭の花と葉。そして蔓を引きずった1人の女性だ。
「この攻性植物の中には一般人だったモノが囚われている。……以前と同じく完全に配下にされてしまっているみたいでな、……説得はできないっつーヤツだ。囚われた人物は――登山が趣味で、山登りに行くと言い残して数日前の休日から連絡が取れなくなっていたOLと特徴が一致する。十中八九ソイツとみて間違い無いだろう」
 マスクに付いたスピーカーをこつりと叩き、レプスは眉を顰める。
 対話を行う事ができても会話は噛み合わず。もう人としての意識は失われた彼女は、攻性植物にその知能を全て奪われている。
「山を登っている所を攻性植物に囚われたのかもしれねぇが――、起こす事件のパターンも前と似ていて、ちぃっと気になるな」
 彼女はグラビティ・チェインを集めて宿主の攻性植物に渡す事。そして新しい犠牲者候補を連れ帰り宿主に渡す事。できれば街を占拠して宿主の拠点として提供する事。という優先順位で動くようだ。
 今回は彼女が、山から国道に降りてきたタイミングで叩いてほしいとレプスは言う。
「ここの道は交通量は少ないが、道は広い。……山の中で戦うよりはやりやすいだろう」
 一度言葉を切ったレプスは頭を小さく振り、ケルベロスたちの瞳を覗きこむように視線を交わす。
「このデカイ道とトンネルを抜けると、街へとヤツが辿り着いちまう。そうなりゃあ、ヤツは人々の虐殺を始めるだろう。場合によっちゃそのまま街を占拠しようとするかもしれないな。……そんな事を、囚われたヤツが望んでいた訳も無いだろうがなァ」
 交通量は少ないが車は通るかもしれないから気をつけてくれよなと付け足して、彼は資料を閉じる。
「今回も原因となる攻性植物の宿主が見つけられる事が出来なかった。……その場を探しても痕跡は見つけられないかも知れねぇ。――お前たちも何か気づいたり、思いついたりしたらこの事件の後にでも、ゆっくり聴かせてくれよな」
 彼は肩を再び竦めて。被害者を防ぐ事のできないこんな事件がずっと続いてほしくは無いからな、とケルベロスたちへと困った様に笑ってみせた。


参加者
北郷・千鶴(刀花・e00564)
ネロ・ダハーカ(マグメルの柩・e00662)
吉柳・泰明(青嵐・e01433)
狗上・士浪(天狼・e01564)
姫百合・ロビネッタ(自給自足型トラブルメーカー・e01974)
ソーヤ・ローナ(風惑・e03286)
八上・真介(徒花に実は生らぬ・e09128)
王生・雪(天花・e15842)

■リプレイ

●濁乱の山
 カラーコーンとキープアウトテープの巡らされた国道。
 先刻より秋風に混じる香りが、一層青く濃厚になったように感じた。
 純粋を意味する、白い花の香り。
 それは今回も参加している内の数人のケルベロスたちが、以前相手取った攻性植物の纏っていた香りと同じものだ。
 ソーヤ・ローナ(風惑・e03286)は山面を見上げ、小さく呟く。
「――鈴蘭の香り、再びですね」
「……可愛らしい花だが、毒だ」
 眠たげにも見える瞳で応えたのは、キープアウトテープを張り終え戻って来たばかりの八上・真介(徒花に実は生らぬ・e09128)だ。
 ――人格の死、か。趣味の悪い事を。
 ……彼女にも家族や友達がいるだろう。
 中身だけそっくりそのまま別のモノになってしまった彼女が。
 もし、街に降りてしまえば。
 もし、家族や友達の命を奪う事となってしまえば。
 彼女の尊厳も、命も、全て踏み躙るデウスエクスに内心で歯噛みした真介は、金の懐中時計を掌の中に収める。
「ねー。鈴蘭のお花畑って綺麗だけど……、全部毒なんだと思うとドキッとするよね!」
 姫百合・ロビネッタ(自給自足型トラブルメーカー・e01974)はシェリンフォード改に弾を籠めながら、頷いた。
「それに鈴蘭の別名って谷間の姫百合って言うんだって」
 ロビネッタの茶色いセミロングヘアには、その名の通り姫百合が咲き誇る。
「谷間の『姫百合』の攻性植物なら、あたしが汚名挽回しなくちゃね! 姫百合のオラトリオとしてねっ!」
 綺麗なお花でしょう、と。気合十分といった様子でロビネッタは跳ねた。
「……鈴蘭」
 ポツリと呟き、自らの腕を無意識に握りしめた王生・雪(天花・e15842)は視線を落す。
 彼女のウィングキャットの絹が、金色の瞳を揺らして足元に頭を摺り寄り添い。雪は少しだけ表情を緩めた。
 過去の記憶と、救えぬ歯痒さ。
 綯い交ぜになった胸中は、心に絡みついた茨の如くじくじくと痛む。
 そして苦々しい思いを抱えるのは、北郷・千鶴(刀花・e00564)も同じであった。
 雪とは同郷で姉妹のように育った千鶴。
 鈴蘭の香りは、その故郷での出来事を思い起こさせる。
「声も、救いの手も、届かぬか。……なんと遣る瀬無い」
 2人の様子に、寄り添い立った吉柳・泰明(青嵐・e01433)。
 ――過去の事は知らずとも。
 猫たちも含めて。彼女たちは同士で、そして友人だ。
 彼女たちの胸中の汲んで、彼は言葉を次ぎ。
「然れどなさねばならぬ務めがある以上、迷ってはいられないな」
 心の底に根付く苦味を堪え、細く息を吐いた千鶴。
「そうですね、……彼女をこのまま、彼の花の人形にしておく事など出来ません」
「この先にはまだ、救える命が在る……。ならば、成すべき事は一つ」
 泰明の言葉に刃の柄を握り直す、千鶴と雪。
「何としてでも、此処を譲る訳には行かぬ」
 ただ、――今は、集中を。
「にゃっ」
 その瞬間。
 ウィングキャットの鈴がハチワレ毛を逆立てて翼を広げ、短く鳴いた。
 濃厚な鈴蘭の香り。
 ケルベロスたちが一斉に構える。
「……足掻いても救えねぇなんてのはごまんとある。今回が偶々そうだっただけさ」
 銀の尾を噛み殺した思いに揺らし、狗上・士浪(天狼・e01564)が赤い双眸を上げた。
「戦う以上、そうとでも思わねぇとやってらんねぇさ。――来いよ、楽にしてやんよ」
 声を掛けられ、山より姿を現したのは登山服に身を包んだ、髪の長い女性。
「みつ、けた。あ、あな、たたち、も、行きましょ?」
 彼女を囚えるかのような形で葉を伸ばした鈴蘭が、鐘のような花をろんと揺らす。
 引き攣るような音を漏らした彼女、――攻性植物は笑みを作った。
「救えぬ、……救えぬか。ケルベロスの力を以てしても叶わぬか、……口惜しい事」
 壊れかけた玩具のような彼女の動き。
 予知の通り、彼女はもう救えないのであろうと悟ってしまったネロ・ダハーカ(マグメルの柩・e00662)は眉宇を曇らせて、低く低く構える。
 ――誰かを助ける為に差し伸べられたその手を掴み。無慈悲に煉獄に引き摺り込むか、デウスエクス。
「ならばせめて、貴方に永久の安寧を」
 踏み込みと共に龍の羽根が風を切り、煌く流星。
 ネロの放った重力を纏った鋭い蹴りが、戦端の幕を切って落とした。

●苦輪
「やあ、やめて……」
 蹴りあげられ、いとも簡単にバランスを崩した攻性植物は怯えたような音を出す。
 それは彼女に寄生した攻性植物が彼女の知性を使い、ケルベロスたちの攻撃の手を止めるのに最適な反応を選んだ結果だ。
 彼女を包む葉が彼女を護るように閉じられ、巻き付く蔦が大地へと潜り込み、蔦が地を割る。
 ネロが降り立とうとした大地が、大口を開いた。
「……! ネロ、下がれ!」
 鋭く叫んだ泰明が跳ねネロを受け止めると、そのまま攻性植物へと間合いを詰めんと駆けていた士浪へと放り投げた。
「――奔れ」
 大地に飲み込まれる泰明の声に応じて、獣の唸り声が低く響く。
「全く、手荒いぜ」
「……すまないね」
「良いから、もうちっとだけ捕まってな」
 うっそりと瞳を細めたネロを抱いたまま。
 地を蹴った士浪のエアシューズが、アスファルトを削り火花を散らす。
 疾風迅雷。
 駆ける黒狼の影と、士浪の蹴りが攻性植物へと喰らいつく!
 葉で受けるが衝撃は殺しきれず、壁へと叩きつけられた攻性植物。
 その前に待ち構えていたのは、2人の大和撫子だ。
「……その身が殺戮に染まる前に、散って頂きます」
 攻性植物の鼻先に刃を突付けた千鶴は、紫瞳に睫毛の影を落とし呟く。
 苦々しい感情は噛み殺した。
 ――心乱れては剣も乱れると。泰明の言葉に覚悟を誓ったのだ。
「更なる悲劇に至る前に、終わらせましょう」
 心強い友と、共に戦う事は心強い。
 雪も懸念は振り払った様子で、冴えを刃先に見せる刀に月の煌めきを宿した。
「貴方は――否、忌わしき植物は、覚めぬ夢路へお行きなさい」
 同時に放たれる、千鶴と雪の月光の一撃。
 2振りの刃が葉を蔦を押し切った。
 攻性植物に侵食された大地を器用に駆け、ケルベロスたちは攻性植物を逃すまいと布陣を取る。
「――逃走は許さん。お前はここで眠れ」
 真介の纏ったオウガメタルを光の粒子と化し、後衛へと加護を与えた。
「わっ、わ……っ!」
 ロビネッタも大地に足を取られ蹈鞴を踏むが、両足に力を籠めて踏ん張り。
 シェリンフォード改を構えて目にも留まらぬ速さで弾丸を吐き出した。
 ケルベロスたちの猛攻に蔦が千切れ、千切れる端から攻性植物より新しい蔦が吐き出される。
 女性の身体は葉に包まれ防御態勢のまま。姿勢を立て直そうと、一斉に蔦が地へと向かう。
「その間隙、貰いました」
 その蔦の流れの隙間へと、一瞬で間合いを詰めたソーヤが彼女を葉より引き剥がす様に拳を叩きつける。
「申し訳ないですが、ここで止めさせてもらいます」
「ひどい、……いや、どうして……」
 引きつった表情を浮かべる攻性植物の女が、怯えた声を漏らした。

●此土より断ち切る死火の慈悲
 幾度もバッドステータスを重ねられた攻性植物は、その足取りを重くし始めていた。
「たすけ、て」
 虚ろな瞳には血と涙がこびりつき、攻性植物は喘ぐように音を漏らす。
 瞬間、殺到する蔦を前に士浪は奥歯をギリと噛み締めた。
「全部守りきれるワケじゃねぇ。……んなこたぁ分かってんだ。分かってるつもりだ。……気に食わねぇがな」
 銀狼たる獣耳をぴんと張り、士浪は蔦自体を蹴り込んで果敢に飛び込んだ。
「……何時になるか分かんねぇけど。必ずあの世で詫び入れっからよ、――……荒れ狂え……!」
 その踏み込みは当に神速。
 絡みつく蔦を捉えた掴んだ士浪は思い切り引き絞り――、投げ飛ばす形で地に叩き付けて氣を纏った一撃を刳りこんだ。
「あの子が、ほしいって、いうのよ」
 ガリガリとアスファルトを削りながらも蔦で地面に齧りつき、何とか堪える攻性植物。
 虚ろな視線がぐるんと廻り、大きく葉を開く。
 一瞬で蓄えられた陽光が鈴蘭に満ち、ソーヤに鈴蘭の口が一斉に向いた。
 白い閃光が弾け、放たれる光線。
「にゃっ!」
 ガードをあげたソーヤに絹が体当たりをぶちかまし、ソーヤに向けられた光線を絹がその身に受ける。
 白い毛皮を焦がし壁へと叩きつけられた猫に、鈴が慌てて翼をはためかせ癒やしを重ねた。
「ありがとうございます、絹さん」
 短く礼を口に、両の手に構えたエクスカリバールを交わすソーヤは鋭く息を吐く。
 何よりも、早く倒す事が一番の礼になるだろう。……国道も塞いでいる事も脳裏を過るが。
「――は、あっ!」
 上体が撓るほど振り被ったエクスカリバールより雷光が爆ぜ、衝撃音が遅れて起こる。
 鈴蘭の花がその太い茎ごと断ち切られ、攻性植物がじりと後退する。
「逃さないよっ!」
 撤退動作の予感を感じ、時間を凍結させる弾丸を一瞬で生成したロビネッタは攻性植物の足元へと弾丸を叩き込む。
 同時に攻性植物の足元に咲き誇るのは、美しい桜の花。
「声なき命が憧憬する永久に祝福を、――無為に貪る傲慢さには喝采を、」
 白い指先をぴんと伸ばし、細く響かせる声音はネロのもの。
 絡みつく花は命を吸い、絡め取り、美しく色づいた桃色の花びらが舞う。
 ケルベロスの力を持ってしても、その指先から零れ落ちてしまう犠牲が有る。
 藍色の瞳を感情に揺らし、ネロはその瞳を細めた。
「――貴方の心を慰めるものにはならなかろうが、せめて、死出の旅路に慰みを」
「あ、の子が、あの子が呼んでいるの、……助けてあげな、きゃ、いけないのよ! つれて、いくの……」
 癇癪を起こした子供のように音を吐き出した攻性植物は、手折られた鈴蘭を片手にケルベロス達を睨め付ける。
「お前はもうどこにも行けないし、誰も連れて行けない。……もう、だれの声も聴く必要は無いんだ」
 真介が夕昏に番える矢は、破魔の力と魂の鎖を断つという意思が籠められている。
「……帰ろう、『あんた』が、『あんた』のことが好きな人のところに」
 彼女の身体と魂を弄ぶ敵の元になんて、帰る必要は無い。
 ――せめて綺麗なまま、帰らせてやりたかったが。
 真珠色の矢を穿つ真介。足元を絡め取られたままの攻性植物は、びくんと身体を震わせ身を捩る。
「やめろ、やめろ、やめろ、やめろ!」
 女性の物とは思えぬ声。蔦が彼女の身体から一気に生え萌えた。
 人の形を保っていたソレが、自らの内より吐き出される蔦によって肌を爆ぜさせる。
「泰明様、千鶴様、合わせて頂けますか」
 言うが早いか。駆けた雪に寄り添うように胡蝶が舞う。
 彼女がまだ、人の形を保っている内に。
 言うまでも無く。泰明と千鶴の答えは決まっている。
「はあっ!」
 怒涛の如く溢れた蔦を雷めいた泰明の一撃が穿き裂き、道を作る。
 葉を蹴り上げ。千鶴が一文字に刃を構えると、静かに踏み込んだ。
「静心なく――」
 千鶴の静かな踏み込みからの、恐ろしく疾く鋭い一太刀が彼女を護る葉を裂いた。
「……あ」
 攻性植物の、呆けたような声。
 彼女が、最後に見たものは、舞う蝶と、花弁。
 そして、雪の放った白刃の一撃だ。
「……良い、夢を」

●空華の救世
「あの子とは、……子供でしょうか、少なくとも見た目は」
「何を考えているのかな? ……仲間とか友達が欲しいなら、良くないけれど、まだいいんだけど」
「……このやり方は、自分が倒されないように、ケルベロスを警戒しているやり方に思えますね」
 国道のヒールを終え、封鎖を解いたケルベロス達。
 カラーコーンとテープを抱えたソーヤと、ロビネッタは並んで歩く。
「手下や道具として、このお姉さんが倒されても何とも思わないって事……かな?」
「ただ、手下や道具を作るにしても。山の中にわざわざ入る人間は少ないでしょうし、効率も悪いでしょう。……安全を取っている、そんな気がします」
「うー……、そうだとしたら許せないよ」
 ロビネッタが姫百合を揺らして、まだ見ぬ敵に眉を顰める。
「どちらにせよ、少し情報が欲しい所ですね。香りは、……もう風に溶けてしまったようですしね。……帰った後にでも、レプスさんに考えを話してみましょうか」
「そうだねー……」
 肩を竦めたソーヤは、事後にヘリオライダーに予知をしてもらうための材料を推理しはじめ。
 ロビネッタもうんうんと唸って一緒に考える。
 千切った蔦草を、士浪が山にする。
「その生命、繋いでやる事が出来んですまないね」
 草葉を出来るだけ除去した彼女の瞳を閉じさせたネロは、眉尻を下げた。
 その横で千鶴と泰明と共に冥福を祈っていた雪が、細く言葉を零す。
「またも救えぬ程に、絡め取られるとは。……あの子とは、一体、――誰が、裏にいるというのです」
「足取りすら掴めないというのは、歯痒いものだな」
 真介が山で手折ってきた野竜胆を手向ける姿に、何か一つ、と思いネロは足掻く、そして、皆に習って瞳を瞑った。
「――、」
 祈りを捧げる事はきっと、自己満足なのだろうけれど。
 それでも、祈る他に無いように思えた。
「無念晴らす為にも、悲劇の連鎖絶つ為にも……、黒幕を突き止めねばなりませんね」
「……一日も早く、禍根――あの子とやらを見つけねば」
 細く言葉を交わす千鶴と、雪。彼女たちに寄り添う翼猫たち。
 秋の香りは、深まりを見せている。
 昼過ぎだと言うのに、底冷えするような冷えた風がケルベロスたちの間を吹き抜けて行った。

作者:絲上ゆいこ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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