●太陽神アポロン
「朕の臣民共よ、奮励せよ、邁進せよ! 黙示録騎蝗による勝利を、朕に捧げるのだ!」
ローカストを支配する、太陽神アポロンの叫びが、山の空気に虚しく響く。
周囲に集うローカストの重鎮達は、ローカスト達の窮状を訴え、黙示録騎蝗の中断を願い出るが、神である『太陽神アポロン』は聞く耳を持たなかった。
既にグラビティ・チェインの枯渇で限界を迎えたローカストの中には、理性も知性も失い、黙示録騎蝗の軍勢から脱落していくものも出始めている。
このままでは、ローカストという種族すら滅びかねないだろう……。
だが、それでも、太陽神アポロンの権威は、ローカスト達を縛りつけ続ける。
「朕を崇めよ、ローカストを救う事ができるのは、黙示録騎蝗と太陽神アポロンのみであるのだ」
この呪縛は、太陽神アポロンが黙示録騎蝗の中断を命じるか、或いは死ぬまで続くだろう……。
或いは、グラビティ・チェインの枯渇によって理性を失うその時まで……。
●飢餓の限界を超え
周囲を山と森に囲まれた自然豊かな小さな村。
その日も、いつもと変わらぬ、穏やかな日々が過ぎていく筈だった。
彼等が現れるまでは……。
「グギャーー!! グラビティ・チェイン!!」
「グ! グ! グラビティ・チェインー!」
「グガガガッ! チェイン! チェイン!」
6体のトンボ型ローカストは、無意味な言葉を繰り返しながら、村人達を次々と、生きたまま貪り喰った。
村人たちが叫び、逃げても、執拗にローカスト達は人々の命を、グラビティ・チェインを求め続けた。
日が赤く染まる頃には、長閑な村に人々の声は無く、真っ赤な鮮血と喰い散らかされた村人達の躯がこの村の終焉を告げていた……。
●防がなければならない惨劇
「『阿修羅クワガタさんと気のいい仲間達』との戦い、お疲れ様だったな。勝利してくれてありがとう」
ヘリポートに集まったケルベロス達に大淀・雄大(太陽の花のヘリオライダー・en0056)は、まずそう言った。
「戦い辛い相手だったと思うけど、それぞれの為に、戦うしか無かったんだよな……。広島でのイェフーダーの企みを防ぎ、ローカストを支えていた阿修羅クワガタさん達を撃破したことで、現在、ローカスト残党の勢力は著しく低下している」
既に戦闘力に特化した不退転ローカストの部隊も殲滅しているので、アポロンを守る戦力は殆どいないと言うのが現状だろう。
「だけど、ローカストのグラビティ・チェインの枯渇で、惨劇も生まれようとしている。グラビティ・チェインの枯渇により理性を失ったローカスト達が、人々の暮らす山村等を襲撃する事が予知された。みんなには、岡山県の山間部にある村に急行してもらい、これを防いでもらいたい」
ローカストのグラビティ・チェインの枯渇は末期であり、理性を手放した者は、ただひたすらにグラビティ・チェインを求め、人々を喰い漁るだろうとのことだ。
「村を襲撃する、ローカストはトンボタイプのローカストが6体。攻撃手段は、長い翅での斬撃。その他にキックやパンチといった単純な攻撃しか出来ない状態だ。強さ的には兵隊クラスだし、グラビティ・チェインの枯渇により飛行する事も出来ないけど、飢餓状態で特攻して来るから、予想以上の力を発揮する可能性がある」
作戦や駆け引きなどは、一切存在しない血に飢えた獣との戦いと言っていいだろう。
「今回、ローカストを村で迎撃するか、村に向かって来る途中のローカストを発見し迎撃するかを決める必要がある。村で迎撃する場合、飢餓状態のローカスト達は、ケルベロスとの戦闘よりも村人を貪り食ってグラビティ・チェインを得ることを優先する危険性があり、そちらに十分な注意をする必要がある。村に向かってくる途中のローカストと戦う場合、彼らは一直線に村へと向かってくるので、発見は比較的簡単だけど、発見に失敗して村を襲撃されてしまった場合、大きな被害が出る事になるから、確実に発見し村に潜入させない事が前提になる」
どちらも一長一短の作戦である。
「作戦は、どちらかに決めて、それを確実にこなせるようにして欲しい。チームを分け戦力の分割をして、警戒迎撃って言うのは、戦力的に無理だ。中途半端な作戦を取れば、各個撃破されて、みんなが全滅するだけじゃなく、村の人々も全員犠牲になると思っていい」
ハッキリと重い口調で、雄大はそう言う。
「脱落していくローカストが出て来たという事は、アポロン側の戦力の底が見えてきた証拠だ。『黙示録騎蝗』の終焉も近いのかもしれない。だけど、その結果、飢えたローカストが何の統率も取れていない状態で野に放たれてしまった。このままだと多くの人々が、殺戮されてしまう事になる。それだけは、確実に防いで欲しい。頼んだぜ、みんな!」
力強く言うと、雄大は拳を前に勢い良く突き出した。
参加者 | |
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燦射院・亞狼(日輪の魔壊機士・e02184) |
月隠・三日月(黄昏斬り裂く月灯・e03347) |
七星・さくら(桜花の理・e04235) |
アリエット・カノン(鎧装空挺猟兵・e04501) |
円谷・円(デッドリバイバル・e07301) |
四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129) |
西院・織櫻(白刃演舞・e18663) |
ガラティン・シュミット(遺志苛まれし医師・e24979) |
●空からの索敵
岡山県山間部上空を低空でヘリオンは飛んでいた。
「流石にこの音では、ローカストが現れても気付く事は出来ないな」
双眼鏡で眼下を注視しながら、月隠・三日月(黄昏斬り裂く月灯・e03347)が呟く。
グラビティ・チェインに飢えたローカストが惨劇が起こすと言われた村に侵入させない為に、ケルベロス達は上空からローカストを捕捉し、村への侵入前にローカストに立ち塞がると言う方針を固めていた。
その為、雄大に低空飛行を頼み、双眼鏡を手にそれぞれ索敵をしている。
だが、誤算だったのは、ローカストが現れる際の物音も索敵のヒントになるかと思っていたのだが、ヘリオンはプロペラでの飛行であり、ヘリオンから乗り出して探せば、それだけで耳にはヘリオンの駆動音と巻き起こる風の音が入って来る為、聴覚での索敵はほぼ無理だったと言うことだ。
こちらが索敵する側である以上、ハイパーステルスも意味を成さない。
ヘリオン内に居る仲間達の声は聞こえても、眼下の物音までは耳に入って来ない。
「村にお住まいの皆さん。私達はケルベロスです。周辺にデウスエクスが現れる事が分かりました。下手に外に逃げ回らず、頑丈な建物内か家屋に身を隠す様にして下さい。心配はありません、デウスエクスは、私達ケルベロスが必ず倒します。繰り返します……」
拡声器の音量をフルボリュームにして村へと呼びかけているのは、西院・織櫻(白刃演舞・e18663)。
村人を下手に刺激し不安にする事は出来ないが、屋内に避難さえしてもらえれば、もしもの時に被害を最小限に抑えられると考えてのことだ。
「周辺地図を確認する限り、ローカストがいきなり現れる様な方向は幾つかに絞れるんだ、よね。意識してそちら側を探せばいいと思うんだ、よ」
そう言って、相棒のウイングキャット『蓬莱』と、地図を覗き込んでいるのは、円谷・円(デッドリバイバル・e07301)だ。
索敵開始から数分経った時、ガラティン・シュミット(遺志苛まれし医師・e24979)が声をあげる。
「ローカスト、敵影6体発見です! このまま真っ直ぐ行けば、村と遮断する形でローカストの前に降り立てます!」
スナイパースコープから目を離さず、ガラティンが早口で言う。
「ちょっと待って。ローカストの現れた方角を記録しておくね。無事に事件が解決出来たら、後日調べられるかもしれないから」
言いながら、七星・さくら(桜花の理・e04235)は、6体の敵影が見えた方角を記録していく。
今すぐ、調べに行く事は出来ないが、事が終わった後なら可能になるかもしれない。
「それじゃ行くぜ! Attack!」
燦射院・亞狼(日輪の魔壊機士・e02184)の掛け声と共に次々と、ケルベロス達はヘリオンから飛び降りて行く。
「6体全員確認です。可能な限り、村を背にした形で包囲陣形をしきましょう」
縦ロールの金髪を靡かせながら、アリエット・カノン(鎧装空挺猟兵・e04501)が降下する仲間達に言う。
「私が敵正面を一時的に取る……」
他の者より、優雅に宙を舞いながら、四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129)が短く呟く。
(「それにしても……理性を失う、その時まで……無謀な進軍を繰り返す……とは言え、失った後もやること自体はそう変わらないね……アポロン……ローカストにとってのニーベルングの指環といった所だろうか……」)
眼下に見える、狂ったローカスト達を見ながら、千里はそんな事を考える。
大地が近付くと、千里は気流を利用し、飢えた獣の様なローカスト達の数メートル前に着地し、日本刀『千鬼』を抜くと、正眼に構える。
「グギャーー!! グラビティ・チェイン!!」
ローカスト達の獣の様な叫びが千里には、何故か嘆きの様に聞こえた……。
●狂えるローカスト
「死出に咲くるは死人花……その身体に刻んであげる―――千鬼流……奥義」
千里は呟くと高度な重力操作により刀身の速度を加速させると、一度の剣閃で四十二度、ローカストを斬りつける。
「……死葬絶華」
ローカストの身体から彼岸の花が開く様に、グラビティ・チェインが舞う。
「おぅヤローども、Assemble!」
着地した瞬間、一気に大地を蹴ると亞狼は一気にグラビティ・チェインを高め、背に黒い日輪を浮かべる。
「ぁ? 文句あんのかよ」
亞狼の黒い日輪が放つ熱波は、ローカスト達に不可解な怒りをもたらす。
理由の分からない衝動にかられた、3体のローカストは一斉に亞狼に向かって、駆けて来る。
だが、その駆ける時間の隙間に、さくらは黒鎖の陣をケルベロス達の周囲に敷く。
「わたしの役目は守る事。仲間も、村の人達も傷つけさせないよ」
「窮鼠猫を噛むと言います。窮鼠がデウスエクスであれば尚の事……油断なく狩りましょう」
『瑠璃丸』と『櫻鬼』二振りの刀を振るい衝撃波を放ちながら、織櫻が言う。
(「飢餓状態で理性を失うって言うと、一般的には『可哀そう』な奴らになるんだろうが、どんな状態でも敵は敵だ……定命の者の危険は、全力で排除するのみだよ。一般の方を犠牲にするわけにはいかないからな……」)
心の中で呟きながら、三日月はグラビティ・チェインによって自らの肉体駆動を極限まで強化する。
「立ち止まっているつもりはない! 一秒でも、刹那でも、ただの一歩も止まらず奔る!」
誰の目にも留まらぬスピードで、ローカストの間を三日月が駆け抜ければ、風の刃がローカストをズタズタに引き裂く。
「この調子で一気に削ぐぞ!」
得物のゲシュタルトグレイブを手にすると、三日月が仲間達の士気を上げる様に言う。
「皆さん、回復支援はお任せ下さい」
そう言うと、ガラティンは雷の障壁を形成していく。
(「ここまで理性を喪う餓えの衝動……事態はかなり深刻ですね」)
眼前のローカストは、自分達がケルベロスだと言う事も理解していないだろう……。
いくらダメージを与えても、前進して来るのみだ。
(「もう彼等は、生きながらにして……」)
そんな事をガラティンが考えていた時、戦場に亞狼の声が響く。
「一匹抜けた!」
トンボローカストの1体がグラビティ・チェインを貪ろうと前衛の間を抜け、三日月目掛けて駆ける……だが。
「蓬莱!」
ローカストの攻撃を代わりに受けたのは、円の相棒『蓬莱』だった。
「ポジションの概念が無い……理性が無ければ、ポジションを考えて動く事は出来ないと言う事ですか……」
両手のバスターライフルから、巨大な魔力の奔流を放ちながらアリエットが呟く。
(「いつか、離反してくるローカストが出てくるとは思っていましたが……このような形とは想像していませんでした……」)
アリエットは思考を巡らすが、このローカスト達は離反した訳ではないのだ……身体が飢餓に耐えられず狂ってしまっただけなのだ。
(「これ程まで追いつめられた状況は、同情を禁じ得ませんが……一般の方々を襲うとなれば容赦は致しません」)
金の瞳をスッと細めると、アリエットは次の攻撃の為のグラビティ・チェインを高めて行く。
「あなた達を可哀想だとは、思う……だけど、ここから先には行かせない、よ」
おっとりと、だがその言葉の中にケルベロスとしての強い意志を込めて、円がローカスト達に言う。
(「こんな形でしか、母星を思い出させる事の出来ない私を……恨んでもいい、よ」)
纏うオウガメタルに呼びかけ、彼等の故郷『惑星レギオンレイド』を照らす『黒太陽』を具現化すると、円はローカスト達に絶望の暗光を照射する。
その光を浴び、てローカスト達は一歩引こうとするが、すぐに目の前のケルベロス、そして眼前にある筈の食糧庫……いや、人々の村に意識を戻し、ただ勢いよく前進して来る。
「もう、自分達が何を求めていたかも分からないのね……」
さくらは悲しげに呟くと、アームドフォートを哀れなローカスト達に向けた。
●おやすみなさい
「その翅は邪魔ですね。斬り落とします」
そう口にすると、織櫻はローカストの長いトンボの翅を空すらも断ずる斬撃で斬り落とす。
「よぅ、こっちも付き合えよ」
亞狼の声が戦場に響くと、ローカストの身体を黒鎖が牙を剥いて襲う。
「おらっ、チェーンが欲しいんだろ? いや、チェインだったか……ま、どっちでもいいけどな」
亞狼の黒鎖が締めあげればローカストは、グラビティ・チェインが枯れ果て、物言わぬ躯となる。
「残り2体だ、ね。……飢えた、あなた達のグラビティ・チェインを奪いたい訳じゃないけど、駄目な、の」
攻性植物にローカストを喰らわせながら、辛そうに円が言う。
戦闘は終始、ケルベロス有利に進んでいた。
狂ったローカスト達に戦略は無く、目の前に居るケルベロスを無差別に攻撃するだけ……そして、隙があれば戦闘さえ放棄して、村の方へと駆けて行く。
だが、戦闘を離脱しそうなローカストは、すぐに後衛の者が攻撃する事で足を止め、ケルベロスチェインや攻性植物で捕縛し、戦闘からの離脱を遮っていた。
そして、ローカストの離脱にもう一つ大きく貢献していたのは、亞狼の黒い日輪だった。
その熱波を浴びれば、ローカスト達は本能で亞狼が敵だと認識され、無視する事が出来なくなっていた。
襲いかかって来るのであれば撃退すればいい……その分、亞狼の負傷率は上がっていたが、ガラティンの献身的なヒールがそれを補っていた。
「自然治癒の底力、嘗めて貰っては困る……『核再生』!」
ガラティンの核魔法は、生命の『核』その物に干渉する力。
『核』に直接魔力を流し込むことで、回復力を増大させる。
ガラティンが研究して来た魔法の究極の形……ガラティン自身には辿りつけなかったが、ガラティンの娘達なら『核』に干渉して破壊する事も可能だろう。
「邪魔……傷をそのままなぞるだけ……ほら簡単……無貌の刃……おまえには見切れない……腱……筋……頚……ほら、動けない……」
一度に幾本もの太刀筋をローカストに残しながら、千里が静かに呟く。
千里にとって、このローカスト達は害虫でしか無い……どんなに哀れでも。
この世界は生きる者の為に有り、その世界を護るのが過去の事件で唯一人生き残った……自分の役割なのだから。
魔力を秘めた瞳でローカストを凝視し、ローカストの意識を混濁させたアリエットは、目の前で起こる凄惨な状況を見ながら……後悔、嫌悪、罪悪感、それらが綯い交ぜになった気持ちになっていた。
「既に理性はないと聞いていたので、もし……ほんの少しきっかけがあれば近くの襲い易い存在に気付くと思いましたが……これ程とは……」
アリエットが驚愕するのも無理は無い。
彼女の前で起こっているのは、傷ついたローカスト同士の貪り合い……『共食い』なのだから……。
同士討ち等と言う生温いものでは無い…………同族喰いである。
「見るに耐えない……。もう終わりにしてやろう……」
そう言うと、三日月は手にしたゲシュタルトグレイブで高速の回転斬撃を繰り出すと、2体のローカストを薙ぎ払う。
薙ぎ払われる2体のローカスト……だが、1体は死なずにまだ生への執着で前へと歩もうとしている。
「ぴぃぴぃ、ぴりり、ちぃちぃ、ころり……」
戦場に童歌が響く……。
「……もう、おやすみなさい。次、生まれる時は、アポロンの様な存在の元に生まれない事を祈っているよ。……おいで、おいで、雷雛遊戯」
さくらの歌に呼び寄せられた、まぁるい雷を纏った雛鳥達は、餌を啄む様にローカストに群がると、ローカストの僅かに残ったグラビティ・チェインの最後の一滴まで容赦なく啄む。
死肉に群がる烏だったのなら、ローカストは救われたかもしれない……無惨に可哀想に見えたかもしれない。
無垢な雛鳥が餌を啄む姿は、逆にローカストと言う種の悲哀を誘った。
雛鳥達が食事を終え、空へ飛び立った後には……ローカスト達、彼等が居た痕跡は何も残っていなかった……。
●『黙示録騎蝗』を終わらせる為にすべき事……
「んじゃ後は任せたぜ」
そう言うと、亞狼はこの場にもう何も用は無いと、仲間達を残して去って行く。
「わたしは、村の方々に脅威は無くなった事を知らせて来ます」
拡声器を手に、織櫻は護り抜いた村へと足早に駆ける。
「亡骸は残りませんでしたか……それでも」
そう言うと、ガラティンは死したローカストが安らかに眠れる様に、ヒールの力を放って行く。
「同士討ちで死んでくれれば、コギトエルコズムに戻ることもあったかもしれませんが、そう上手くはいきませんね」
アリエットが静かに呟く。
「アポロン……民を省みぬ王に、明日はないですが……どれ程犠牲を出すのでしょう……」
未だ終わらぬ『黙示録騎蝗』……ここまでの状況になってもなおアポロンが進軍を止めない事に、アリエットはあの浅はかな王への怒りを感じる。
「……犠牲を増やすだけの、悲しい戦いなんて、早く終わらせたいわね……」
靡く髪を抑えながら、さくらも切なげに言う。
ここまでの状況になってしまえば、ローカストが地球側を討ち取れる作戦など残っていないだろう……。
ローカストが望まぬ戦いを繰り返しているのは、『太陽神アポロン』と言う存在が、鎖となっているからに他ならない。
「蓬莱……私は、アポロンが嫌い、だよ。だけど、他のローカストは救われてもいいんじゃないか、な……」
相棒の背を撫でながら円が憂いの瞳で呟く。
「彼らへ祈りは捧げた。私達もヘリオンに戻ろう」
ローカスト達に黙祷を捧げていた三日月が暗い雰囲気を打ち払う様に、仲間達に言う。
その言葉で、ケルベロス達はヘリオンへと足を向ける。
(「ローカストの進軍方向から太陽神の潜伏先を割り出す事が出来るかもしれない……。アポロンの居所さえ突き止められれば、この戦いは終わるかもしれない……。全ては私達のこれからの行動次第か……」)
先行く仲間達を見ながら、千里はそう考えを纏めた。
ケルベロス達は守り抜いた村を背に、ローカストとのこれからを考える時期が来ているのだと考えるのだった……。
作者:陸野蛍 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年10月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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