●夢の終わりに
薄暗い室内には、髭を生やした蝶ネクタイの男がテーブルに両手を着いたままうな垂れている。男の前には古いレコードプレーヤーがあり、棚には大量のレコード盤が並ぶ。
「もはやこれまでか。ジャズにスナックを食べるサクサクを加えて楽しむ。新しい音楽の境地を拓く、良いコンセプトだと思ったのだが……」
男は流れる音楽に耳を傾けながら寂しそうに呟くと、口いっぱいに菓子を詰め込んで盛大に頬張った。
ガレージをリフォームして作られた店内はひと昔前のジャズ喫茶そのものであった。
アンティークな風合いの調度品や古びたポスターが貼られていて、天井に目を移せば、プロペラのような扇風機のファンがゆっくりと回っている。
音楽に混じる菓子を噛むサクサク音は不思議な魅力を持つリズムにも聞こえる。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
「後悔? ははは、これが後悔か、夢とは儚いものだな」
男は自嘲的に呟き、声の主――――第十の魔女・ゲリュオンの方を向くのと同時に、魔女の突き出した鍵が男の胸を貫く。
次の瞬間、男は倒れ伏して、動かなくなり、その脇に黒いチョッキに蝶ネクタイ姿のドリームイーターが出現した。
●依頼
自分の店を持つのは男の浪漫だ、夢だと、言われる。
一国一城の主となり、全て取り仕切れるのは快感だ。
だが夢の実現は絶対王者になることを意味しない。利益確保の変化が出来ない者を淘汰する弱肉強食の戦いの世界に足を踏み入れたことを意味している。
「せっかく夢を叶えたのに、店を潰してしまうのは、悲しいことだよね。そんな後悔に暮れる人がドリームイーターに襲われ『後悔』を奪われる事件が起こっている。急ぎの対応をお願いできるかな?」
ケンジ・サルヴァトーレ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0076)は、話を聞いてくれそうなケルベロスたちに駆け寄ると丁寧に頭を下げて、ひとりひとりの顔をジーッと見つめてから話を続ける。
「第十の魔女・ゲリュオン――『後悔』を奪ったドリームイーターは、既に姿を消していて接触は出来ない。だけど、奪われた『後悔』を元に生み出されたドリームイーターを撃滅して欲しい」
生み出されたドリームイーターは1体。
戦場となるのは愛媛県松山市にある寂しい雰囲気のお店の中で、時間は17時頃。
恐るべきことに、ドリームイーターは訪ねて来たお客を店の中に引き入れて、無理矢理大量の菓子を食べさせながら大音量のジャズを聞かせて殺す事件を起こそうとしている。
「ジャズ喫茶ってずいぶん昔に流行ったらしいけど、今は殆ど残っていないよね」
昔の良い思い出を復活させるビジネスは間違いでは無い。
新たな試みを加えるのも正しい。
ただそれがサクサクを音を立てて菓子を食べる音を音楽に混ぜるだけというのは違うような気がする。
「実はお客としてサービスを心の底から楽しんであげると、それに満足するのかドリームイーターの戦闘力が減少する。そしてドリームイーター撃破に成功した場合、意識を取り戻す被害者にもよい影響もある」
ドリームイーターが企てるサービスは過激であり、嫌な思いもさせられると予測されるので、サービスを受けてあげようという場合は、ひどい目に遭っても大らかな心で受け止める心優しさが必要だ。
「当然店に乗り込んですぐに戦いを仕掛けることも可能だよ。ドリームイータの攻撃手段は巨大な鍵を繰り出して心を抉る。様々な形状に変化するモザイクを飛ばす。鋭利な円盤を投げ飛ばして来る。だよ。サービスを楽しんであげなかった場合は、万全の戦闘力を保持したドリームイーターとの対決となるから、損害を顧みないぐらいの覚悟が必要になるかもしれない」
『後悔』を奪われ、被害者となった店主の男は部屋の隅の方で、意識を失った状態で倒れ伏している。
「ドリームイーターが倒されて、男が目を醒ました時に、新たな一歩を踏み出せる気分になれればハッピーだよね」
成功ばかり人生では無い。失敗の痛みを知り苦境の中で一筋の光明を見つけ出すことにも意味はあるかもしれない。ケンジはそう締めくくると、最後まで話を聞いてくれたケルベロスたちの顔を再度見つめ直して、丁寧に頭を下げた。
参加者 | |
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リナリア・リーヴィス(クラウンウィッチ・e01958) |
ルシッド・カタフニア(真空に奏でる・e01981) |
エリース・シナピロス(少女の嚆矢は尽きること無く・e02649) |
東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771) |
夜陣・碧人(陽炎と月の影・e05022) |
大原・大地(元守兵のずんぐり型竜派男子・e12427) |
箱島・キサラ(チェイサー・e15354) |
ケーシィ・リガルジィ(黒の造形絵師・e15521) |
●入店
「私は遠慮させてもらうね」
そう告げると、リナリア・リーヴィス(クラウンウィッチ・e01958)は、現場となるジャズ喫茶に入って行く6人に手を振った。
「俺たちが食べている間に、新たに誰か引き込まれたりしたら、厄介だしな」
「そうなの。実は私も同じことを考えていたのよ」
殺界を形成する気を放つ、ルシッド・カタフニア(真空に奏でる・e01981)の言葉に、相槌を打ちつつ、リナリアは椅子と名付けた、ミミックの上に腰を下ろし、持っていた本を取り出す。
「まあ、こうして入り口の前に張っていれば、間違いは無いだろ。念のため連絡くれるように頼んでおいたからな」
頼んだとは言っても一方的に電話番号を告げただけなので、誰も連絡してくれない可能性が高い。とはいえ、連絡が無くとも戦いの気配ぐらいはすぐに分かるはずだから何とかなるだろう。
カランカラーンと、扉に付けられた呼び鈴が鳴ると同時に、モザイクに頭部が覆われた、黒いチョッキに蝶ネクタイ姿のドリームイーターが反応する。
「いらっしゃ……」
「変わった喫茶店なんだねー。ジャズにお菓子を食べる音を混ぜるっていうのはどんな感じなのかなっ。珍しいよねっ!」
発しかけた挨拶を遮るように、東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771)が喋りながら、店の中に飛び込んで来る。間髪を入れずに、感想やジャズ喫茶への思いを、喋り出すケルベロスたちに、一度に相手を出来る人数の限界を超えてしまったように、ドリームイーターが困り果てた顔をして呆然とした感じで固まってしまった。
「ここがジャズ喫茶かあ。興味はあったんですよね。コーヒー1杯で一日中でも音楽聴き放題でしたっけ?」
「サクサクジャズにゃし、おかしの持ち込みオッケーかにゃ?」
「あら、雰囲気はなかなか良い感じですわ」
「大量の食べ物はいいんだけど、飲み物が欲しいなあ……」
「ちょっと、音が高すぎる、かしら? そう、ミミちゃんは、音量なんて気にしてないのね。……楽しい?」
しかし誰もドリームイーターの都合など考えていなかったし、考える必要も無かった。容赦なく、赴くまま、好き勝手に続ける。
「あーん」
「はははっ、こいつめ、いい音で食べるなあ」
フレアと名付けた、ボクスドラゴンの口に向かって、夜陣・碧人(陽炎と月の影・e05022)は菓子を差し出し、大原・大地(元守兵のずんぐり型竜派男子・e12427)もまた、注文を聞かれる前に、自分で持ってきたクッキーをボクスドラゴンのジンと共にサクサクやっている。
「……すごい音、耳が痛くなりそう、ね。……あ、好きなんだ、良かった、ね」
隅っこのほうの席に陣取った、エリース・シナピロス(少女の嚆矢は尽きること無く・e02649)も、ミミックに向かって話しかけながら、店内の様子を観察している。
「お菓子をサクサク食べても怒られないジャズなお店、素敵ですにゃ!」
「あ、ありがとうございます」
ケーシィ・リガルジィ(黒の造形絵師・e15521)に、モザイクで覆われた頭部を掻きながら照れくさそうにドリームイーターは返す。 いま現在、2人と2匹が持って来たお菓子を食べるのを止めたり、常軌を逸したサービス提供で、誰かを血祭りに上げたりするような、余裕など無くなってしまっているようだ。
「にゃんで潰れちゃったのかにゃ、面白いにゃーって思うのに、にゃー」
「そ、それは……」
ドリームイーターのモザイクの見た目が急速にどんよりしてくる。
曲は偶然にも短調が支配的となり、悲しげなメロディを奏で出す。
「人生って、ジャズなのにゃ!」
「なら、これも召し上がって下さいな!!」
直後、ドヤ顔で言い放ったケーシィの口に、大量のとんがった帽子型のスナックが大量に投入され、猫の悲鳴にも似た咀嚼音が店内にこだまする。
「音が足りないみたいだね。このお菓子も、いい音がしそうだから、試してみるよー」
たまたまそこにあった、ハバネロをふんだんに使用したポテトチップの袋をバリバリ音と共に開くのは、苺。
「ジャズを聴きながらスナック菓子をひたすら食べる……、みなさん、シュール過ぎる光景ですわよ……」
大音量のジャズが鳴り響く中、無茶苦茶、やりたい放題の仲間たちとドリームイーターの様子は、真正面から受けて立つつもりだった、箱島・キサラ(チェイサー・e15354)にとって、どこか物足りなく感じるものだった。
「マスター! 何してるんですの、わたくしのスナックが、まだですわよ!」
「しぇぇー! ただいま、お持ちします、お客さま!!」
「メロディに合わせて、サクサク食べれば良いのですのね? よろしくてよ、わたくしにかかれば簡単なことですわ」
そう言って、キサラは刹那、山盛りのポテトチップスと汗のようなモザイクを散らすドリームイーターを見比べるようにジーッと見つめた。
「挑まれた勝負、から逃げるわけには行かない、それがわたくし!」
「……へ?」
「あなたが満足するのが先かわたくしが倒れるのが先か! これはそういう戦いなのですわ!」
「ひええええ! 素晴らしいでございます。お客さま、わたくしは幸せもの、もう大満足でございます!!」
悲鳴にも似た、ドリームイーターの歓喜に満ちた声が店内に響き渡った。
次の瞬間、サクサク音が一斉に、ピタリと止まる。
「満足って、言ったにゃ?」
大音量のジャズだけが流れる中、ケーシィの声がやたら際だった音で聞こえた。
「えーっ、マスターくん、もう満足しちゃったんだね? 早すぎだよっ!」
「……確かに、言ったね」
「さて、……食べすぎて動けない、なんて方はいないですよね……?」
「だいじょうぶだいじょうぶ、お腹も膨れたし、身体を動かしてダイエットの時間かな」
「相当なカロリーオーバーですわ。マスターさん、お覚悟はよろしくて?」
●戦い
ボクスドラゴンの唇を拭ったハンカチをしまうと、碧人は太古の言語で綴られた呪文を口ずさむ。発生した淡い光は詠唱が進むにつれて、急速に勢いを増し魔法の光線となってドリームイーターを覆う。機を同じくして、宙に飛び上がったボクスドラゴンのフレアが己の名の通りの加護を発動する。
「む、むひょおおお~」
悲鳴ともあえぎともつかないドリームイーターの奇妙な咆吼がこだまする中、呼び鈴のカランカラーンの音と共に、ズバアッとドアが開け放たれ、リナリアとルシッドが突入してくる。
「うん、やっぱりこうなるか」
「はじまってるのね……、まあそういうこともあるよね」
細身の剣を指揮棒のように突き出して、スターサンクチュアリを発動するルシッドに、呟きで応じながら、リナリアは取り出した伊達メガネを掛ける。それは彼女にとって見える世界を切り替える儀式のようなもの。瞬間、リナリアは人が変わったかのような機敏な身のこなしで駆けて、間合いを詰め、目にも止まらぬ速さで振り上げた、二本の杖を振り下ろす。
「はあっ!」
次の瞬間、打撃音と共に閃光が爆ぜる。飛び散るスパークが店内のそこかしこで爆ぜて、照明が割れ、アンプが火を噴く。暗くなり、合成樹脂が焦げる不快な臭いが漂う中、ミミックのばらまいた偽りの黄金が甲高い金属音を立てながらそこかしこでキラキラと輝く。
直後、ドリームイーターは長く巨大な鍵の一本で、その届く範囲全てを薙ぎ払う。
その動きは精彩を欠いていたが、前列として立つ者たちのうち、大地だけが、かわそうとせずに大盾を構えたが、鍵は盾をすり抜けるようにして大地の身体に届いた。
「……?!」
肋骨の周りをこすられるような鈍い音がして、激痛が走る。同時に視界が赤く染まり、脳細胞の奥底に封じていたはずの忌々しい記憶が、迫真の幻覚となって目の前によみがえる。
幻覚が誇張されているかは分からないが、たとえ事実であったとしてもいま此処にいるのは、それを乗り越えられたからのはず。盾を裏返しにして地面に置くと、素早く上に乗り、床面を蹴る。
「行っけえーーー!」
叫びと共にドリームイーターに肉薄し、そのモザイクで覆われた頭部を渾身のパンチで打ち据える。次の瞬間、床面から僅かに浮遊する盾の動きで後退する大地の後方で、ドリームイーターが壁に激突する衝撃音が響いた。
「やっぱり、人生って、ジャズなのにゃ!」
言葉と共に、大きく振りかぶる動作をして、ケーシィはミミックを投げ放ちながら、傷ついたように見える、大地に向けてジョブレスオーラ――真に自由なる者のオーラで包み込み、癒しの時間を提供する。ほぼ同じくらいのタイミングでミミックは態勢を戻すと、弧を描くような軌道で動きながら偽りの金貨をばらまいた。
「……確実に、当てる」
偽りの財宝の輝きが満ちる中、エリースの召喚した吹雪を思わせる精霊が凍気を解き放つ。それは凍気から身を守ろうとドリームイーターが翳したテーブルクロスの揺らめく動きのままに凍らせて、全身を氷の中に閉ざす。そしてエクトプラズムで作り出した無骨な細身の剣を振り上げ、振り下ろす動作を繰り返すミック。甲高い音と共に固まったテーブルクロスがバラバラに砕けて床に落ちる。
直後、爆発と共にドリームイーターを覆っていた氷が四散する。苺が小さな胸の前で爆破スイッチを押していた。
爆ぜ広がる炎が店内を埋め尽くし、扉と締め切られた窓を打ち破って外へと抜けて行く。
夕焼けの色を帯びた外光が差し込む中、マカロンと名付けられたボクスドラゴンは、そつのない身のこなしで封印箱に入ると、ドリームイーターに体当った。
ドリームイーターは、瀕死と言える状態で、頭部だけでは無く、身体のあちこちからブロック形状のノイズを散らしている。
「この程度の戦闘では、ダイエットにもなりませんわ。ですが、容赦しませんわ」
突進。そしてドリームイーターの左側の床をざんっと踏み込んだキサラは、床を踏み込んだ反動に乗って更に敵の懐深くに飛び込む。
「やられる前に、叩き潰してしまえば、どうということはありませんわ」
抉られた床板の焦げる臭いが立つ中、無駄の無い動作から生み出された圧倒的な手数の斬撃が瀕死のドリームイーターに襲いかかる。
時間がゆっくりと流れるように感じる長い刹那の後、ぼろ雑巾のようになったドリームイーターの身体に光を放つ剣が突き立っていた。
モザイクを散らしながら崩れ始めるドリームイーターの姿を見て、エリースは戦いが終わったと確信した。
「ミミちゃん、終わった、よ……」
●戦い終わって
「うわー、派手に壊しちゃったよね。だいじょうぶなのかな?」
「余ったクッキーは、しっかり頂きますにゃ!」
「いや、お菓子のことじゃなくって」
苺とケーシィが漫才のような会話を繰り広げる中、粛々と大地がヒールを掛けて店内を修復してゆく。多少もととは違った感じもあるが、多分大丈夫だろう。
ヒールによる修復が終わってから、程なくして店主の男は大地の胸の中で意識を取り戻した。
「店主さん、大丈夫ですか?」
「おや? 私はいったいどうしていたのですか? それにあなた方は?」
そのタイミングで、リナリアが修復されたレコードプレーヤーを作動させ、その盤面に針を乗せる。
「あなた方が、最後のお客さんなわけだ。思う存分楽しんでいっておくれ」
常識的な音量で曲が響く中、店主だった男は、身体に問題はないと頷きで返すと、続けてぼそりと言った。
「結論を急がないで。雰囲気だけはすごく良いお店なのだから」
お菓子で本が汚れるのは困ると付け加えつつ、リナリアは店主を励ますように告げると、
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。覆水盆にかえらず。犬も歩けば棒に当たる。一度の失敗くらいでめげてたら、生きて行けないよっ。わたしはお菓子大好きだよ。さあさあ、みんなも言いたいことあったら、しっかり意見出していこー」
59歳、来年の元旦には還暦を迎えるとは、絶対に見えない容姿の苺が平坦な胸を張ると、次々と意見が飛び出してくる。
「自分も、ジャズは店の雰囲気に合っていて、スナックも美味しかったです。ただ、万人受けは難しいから、他の飲食品もメニューに加えたらどうですか?」
やや緊張気味に大地が話し終えると、エリースがためらいがちに挙手をする。
「はい、エリースちゃんどうぞっ!」
「気軽にジャズを楽しめる喫茶……で、スナックが売りだけど、強制はやめて。もっと、……マイルドにしたら、入りやすい……かも」
ゆっくりと、だが言わずにはおれなかったという様子でエリースはゆっくりと言葉を紡ぎ、その後も様々な意見が続く。そんな発言の一つ一つを、キサラが店にあったホワイトボードに箇条書きにする。
「意見はこれくらいのようですわね」
さりげなく、カレーと書き加えつつキサラがまとめ、そして応援は惜しまないからと力強く告げた。
「この円盤の凹凸が音の形ですのね。本当に不思議ですわね」
「実際の形がそこにある。それがアナログというものです。ですから、人間は夢なんてみない方が良いのかもしれません」
「また、極端な言い方ですわね」
含みのある言葉に、別の真意を直感した、キサラが即座につっこみをいれる。
「夢なんて持っていたら、夢を実現するまでの時間が大変になってしまいますからね」
「まったくですわね」
キサラは相槌を打って笑う。美しくなる為に努力するのではない。美しくある行為もまた楽しいことなのだ。ジャズもきっとそうなのだろう。好きで面白いからやる。夢があって音楽をするわけじゃ無い。
別に夢があることを否定するわけでは無い。あっても無くても、ただそれがジャズなのかジャズではないかの差だけなのだから。
「……夢中、この瞬間を熱く生きる? 分からないわね」
取りあえずミミックを椅子にして、リナリアもとりとめのない会話に混ざる。
「どれだけ食べるのですか?」
そして碧人はボクスドラゴンにお菓子を与え続けている。お店にはまだまだ大量のお菓子がストックされていた。
かくして数人のケルベロスだけを残して、サクサクと音がするジャズ喫茶の最後の夜は更けて行くのだった。
作者:ほむらもやし |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年10月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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