
●法律の穴を埋めるのだ!
冷たい風が吹き抜ける、秋も深まりし夕刻頃。町外れの廃墟は賑わっていた。
否、賑わっていると呼ぶにはあまりにも下劣な笑い声、周囲に住まう者たちを気にせぬ大声、奇声、爆音。
全て、この廃墟を根城とする不良たちが奏でる音。
不良たちの憩いの場と化している廃墟に、制服姿の少年が足を踏み入れた。
「あ?」
「……」
少年は眼鏡を光らせながら、不良たちを眺めていく。
小さなため息を吐いた後、口を開いた。
「不法侵入、騒音、迷惑防止条例……君たちは、様々な法律に違反している。早々に立ち去るがいい」
「ああ?」
不良たちは立ち上がり、少年との距離を詰めていく。
ギラギラした瞳で、少年を睨みつけていく。
「舐めたこと言ってんじゃねーぞこの優等生さんがよぉ」
「てめぇこそ、痛い目見ないうちに」
「……消去」
不良の言葉が途中で途切れたのは、轟音にかき消されたから。
否、貫かれたから。
少年の持つガトリング、その銃口から放たれた弾丸に。
命を奪う塊に……。
「……」
血の海へと変わった廃墟を見つめる中、襟元から一匹のネズミ型機械が……ダモクレスが顔を出す。
ダモクレスがグラビティ・チェインを回収していく中、少年は虚ろな瞳で呟いていく。
「消去しなければ。法で裁けぬ悪を。法の穴を僕が埋めるんだ……」
●ダモクレス討伐作戦
足を運んできたケルベロスたちと挨拶を交わしていたザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)。メンバーが揃ったことを確認した上で、改めて挨拶を投げかけていく。
「集まってくれて、感謝する。早速、今回の説明を始めよう」
埼玉県のとある街で、新たなアンドロイドの動きを察知した。そのアンドロイドは街中を見回り、ルールや規則を破る人を発見すると、その人を制裁と称して殺してしまい、小動物型ダモクレスを通じてグラビティ・チェインを奪取しているようだ。
「アンドロイドとなっている少年の名は、ヨシマサ。ネズミ型ダモクレスによって、脳にチップを埋め込まれたことでダモクレスになりかけているようだな」
アンドロイドはルールを破る人間に強く反応するため、アンドロイドが見回っている場所で派手なルール違反を起こせばおびき出すことができるはず。
「このアンドロイドの凶行を止め、可能であれば救出してきて欲しい」
続いて……と、ザイフリート王子は地図を取り出した。
「ヨシマサが行動質得るのはこの街。ヨシマサの巡回範囲はこの周辺……住宅地の外れ、空き家も多い区域だな。この辺りで騒ぎを起こせば、向こうから近寄ってくるだろう」
そこを迎え討つ形になる。
ヨシマサはガトリングガンを携えており、それを用いた破壊を行ってくる。技は追撃のガトリング連射、炎のブレイジングバースト、複数人を威圧するバレットストーム。
「そして……先程も言ったが、ヨシマサは完全なダモクレスになったわけではない。ヨシマサが規則を破った人を許せるように力強い説得を行うことができれば、埋め込まれた回路をショートさせて、人間に戻すことができるだろう」
その後は、ショートした回路の代わりにネズミ型ダモクレスが無理矢理合体して戦闘を継続する。これを撃破すればネズミ型ダモクレスのみを撃破し、ヨシマサを救うことが可能となる。
一方、説得に失敗した場合は救出が不可能となり、ネズミ型ダモクレスはヨシマサに後を任せて撤退してしまう。また、ネズミ型ダモクレスを先に撃破した場合は埋め込まれた回路が暴走してしまい、戦わざるを得なくなり救出は不可能となるだろう。
「最後に、ヨシマサの人となりをわかっている範囲で伝えておこう」
ヨシマサ。埼玉の中学校に通う十四歳の少年。真面目な優等生で正義感が強く、だからこそいじめと称される暴力や窃盗、あるいは交通違反といった悪がたびたび見逃されることに、やきもきしていた。時に解決しようとしても大人の助力が得られない、被害者も諦めてしまう……などと言ったことがあったからなおさらだ。
「故にか、夢は警察官か裁判官を目指していたらしい」
その辺りを考慮し、説得を行うと良いだろう。
以上で説明は終了だと、ザイフリート王子は資料を纏めながら締めくくる。
「ダモクレスの戦力拡充は阻止しなければならない。アンドロイドにされてしまうヨシマサも救えるのならば救いたい。色々と行うことが多い案件となるが……どうか、よろしく頼む」
参加者 | |
---|---|
![]() ミシェル・マールブランシュ(白翼と雛鳥の護り人・e00865) |
![]() 機理原・真理(フォートレスガール・e08508) |
![]() ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756) |
![]() 灰縞・沙慈(小さな光・e24024) |
![]() ユーディアリア・ローズナイト(ヴァルキュリアのブレイズキャリバー・e24651) |
![]() 鞘柄・奏過(曜変天目の光翼・e29532) |
![]() 鳴上・智親(花鎮の贄・e29860) |
![]() 花宵・一夜(アフターダーク・e32995) |
●正義のカタチ
空を染めし茜色の炎を消すために、風が冷たく吹きすさぶ秋の夕。家一軒分ほどの距離を隔てても聞こえる馬鹿騒ぎの大本……元は何かの店か集会所だったと思しき廃墟を見つめながら、ミシェル・マールブランシュ(白翼と雛鳥の護り人・e00865)は小さく目を細めていく。
「情状酌量の余地もなくいきなり死刑執行とは如何なものでしょうかね」
「若さゆえの情熱と盲目、その姿が悲しくて辛いです……」
胸に手を当てながら、鳴上・智親(花鎮の贄・e29860)は悲しげに目を伏せていく。
視線の先、灰色の地面の中、名も知らぬ小さな花が震えるように揺れていて……。
ケルベロスたちはためらうことなく廃墟の中へと乗り込んだ。馬鹿騒ぎの原因たる不良たちはケルベロスたちの到来を知るなり、表情を歪めて睨みつけてくる。
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)は力を用い、不良たちの表情を姿勢を正させた。眼圧で暴力や反論も封じながら、お説教を始めていく。
五分ほどの時を経てお説教が終わった後、不良たちは頷き廃墟から立ち去っていった。
背中を見送った後、ケルベロスたちは改めてダモクレスに支配された少年・ヨシマサをおびき寄せるための空き家へと移動する。
周辺住民の了解を取り付けた上で、作戦を開始した。
がらんどうのリビングで、ユーディアリア・ローズナイト(ヴァルキュリアのブレイズキャリバー・e24651)は箒をぶんぶん振り回す。
ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756)は音楽プレイヤーをスイッチオン。激しい音楽を大音量で鳴らしながら、床を激しくされど丁寧に履き始めた。
囮役を努める者たちが大騒ぎを展開していく中、花宵・一夜(アフターダーク・e32995)は部屋の片隅に埃を集めていく。
間もなくやってくるだろうヨシマサを救うことができるよう、ぎゅっと拳を握りしめる。
各々が決意と共に、役目を果たしている一軒家。
真理は大音量のリズムに乗りながら、きゅっきゅきゅっきゅと窓を拭いていた。
「これが終わったら、雑巾がけの勝負をしませんか!」
「わかりました、やりましょう!」
鞘柄・奏過(曜変天目の光翼・e29532)が頷いて、窓拭きが終わった真理との雑巾がけ勝負を行っていく。
何もないリビングを、真ん中から隅っこまで。
気合溢れる大声を上げながら。
先に到達したのは奏過の方。
真理は小さく肩を落とし……。
「……来たですね」
小さく呟きながら、入り口の方角へと視線を向ける。
同様にケルベロスたちが視線を向ける先、背中にガトリングガンを携え肩にネズミ型のダモクレスを載せている少年が……ヨシマサが立っていた。
ヨシマサは眉根を寄せたまま、眼鏡を軽く持ち上げて……。
「君たち、ここは空き家のはずだが……何をしている? また、大音量で音楽を流すなど、周囲の迷惑を考えているのか?」
「……」
「すみません、許可を取っているとは騒がしくしてしまって。一生懸命掃除していたので、つい……」
奏過が、真摯に頭を下げていく。
瞳を細めたヨシマサを前に、告げてしまった以上……とユーディアリアが切り込んだ。
「そう、ボクたちはお掃除のためにきましたですよ、キミは誰の許可でここに来たですか?」
音楽プレイヤーを止めながら、疑わしそうに目を細めていくヨシマサを見つめていく。
しばしの後、ヨシマサは首を横に振った。
「罪は償わなければならない。許可を取っているかも、そこで判断できるだろう」
視線を向けた先は、小さな交番がある方角。
このまま交番へと向かったなら、きっと今宵は何も起きない。しかし、それではヨシマサを救うことはできないから、片隅に集めた埃を袋に詰めていた灰縞・沙慈(小さな光・e24024)が両手を祈る形に組み合わせながら歩み寄っていく。
真っ直ぐに瞳を見つめ、語りかけていく。
「ん……言ってる事はとっても正しい、よ。私も窃盗とか……不法侵入とか……絶対にダメ、だと思う。悪いこと、絶対にダメ。私もそう思う」
「……」
「でもね、貴方が今、その手を赤く染める必要はないんだよ?」
「っ!」
ヨシマサが軽く、身構えた。
構わず沙慈は続けていく。
「罪を償わせる方法はもっといっぱい、あるよ。捕まえる警察の人、法律で裁く裁判の人。ルール、守れないのもダメ、だよ。今…手を赤く染めてしまったら貴方が許せない人と同じになっちゃう」
背中に担ぐガトリングは、ルールを破った者を消すための……殺めるためのもの。
本来、ヨシマサが持つべきではない代物。
ヨシマサは身構えたまま、沙慈の瞳を見つめてく。
瞳を瞑り、ゆっくりと首を振って行く。
「法は時に無力だ。君たちのように素直に従ってくれるのならば正常に働くのだろうが……学校のような閉鎖された空間では介入を許されない事も多く、被害を受けた者が心の傷を癒やす間もないままに積極的に動かなければ、法を執行することすら許されない事もある……」
「それでも……!」
半ばにて智親が割り込んだ。
視線を向けられながら、臆することなく思いを伝えていく。
「悪いことは許せない、その気持ちはわかります。でも、殺してしまって良かったのでしょうか? 殺すことで殺された方の心、魂が良い方向に向かったのでしょうか?」
死んでしまえばもう、反省することはない。心を入れ替えることもない。
「生きていれば反省ができる。反省の素晴らしいところは、自分自身の力で気付けるということです。生きていてこそです。チャンスを奪ってまで消していい命などありません。自分の力で心を美しくしていく人生、それそのものが美しいのではありませんか?」
真っ直ぐに見つめる中、ヨシマサは深い溜め息を吐き出した。
「反省は、その場を逃れるための一時しのぎ。反省の余地もなく罪を繰り返す者もいる。……長い間付き合いを重ねてもなお、な」
それは経験か。
紡がれゆく言葉には、強い怒りが込められていて……。
風が窓を叩く音が響く静寂に抱かれた、久方ぶりに熱を抱き始めた一軒家。血がにじみ出るほどに拳を握りしめているヨシマサを見つめ、一夜は小さなため息を吐き出した。
「相手が悪人でも、命を奪えばそれ以上の悪よ。悪を減らして悪が増えたら、元の木阿弥」
悪を許さぬがゆえに殺人という悪行を犯す、矛盾。
今のヨシマサが抱えている、覆しようのない矛盾。
「……」
ヨシマサは唇を噛み締め、俯いた。
返事はまだないだろうと、一夜は続けていく
「許せないほど悪い人がいるなら、彼らを正しく裁ける大人になりなさい。その為なら……私でよければ、いつでも力になるわ」
「……」
言葉を終えても、ヨシマサからの言葉はない。
知っているからこそ苦しいのか、知ったからこそ苦しいのか。
いずれにせよ変わらない。少しずつ、ヨシマサが変わろうとしている事に違いはない。
背中を押すため、ミシェルが落ち着いた調子で切り出した。
「悲しいかな、貴方はまだ子供だ。大人は子供の話を聞こうとしない。大人は子供を支配できると思っているから」
「……だが、しかい……」
ヨシマサは語る。
暴力、窃盗、器物破損……様々な犯罪をいじめというベールで覆い隠し、内々に全てを解決しようとする大人たち。それによって良い方向へ向かう事柄と現状維持、悪い方向へ向かう事柄、果たしてどれが多いのだろうか……と。
「そして……それを覆すには途方のない時間が、労力がかかる。子供の身ならば余計に……」
「くやしいですよね。見返してやりたいと、こんな大人にはなりたくないと、自分でどうにかできるようになりたいと、願いますよね」
諭すように問いかければ、ヨシマサは小さく頷いてくれた。
ミシェルは優しく、微笑みかける。
「なら、どうかその気持ちを忘れず、いい大人になってくださいませ。同じように、大人たちに見下されている子供達の目標になれるような大人に」
「……」
俯いたまま、ヨシマサは瞳を瞑っていく。
ゆっくりと首を横に振り……。
「ッ!」
させぬとばかりに、今まで静かだったネズミ型のダモクレスがヨシマサの首筋へと飛び込んだ。
ダモクレスがヨシマサを支配しはじめていくさまを前に、ケルベロスたちは身構えていく。
全てはヨシマサを救うため。さあ、ダモクレスを破壊するための戦いを始めよう!
●正義の心を奪うダモクレス
「鋼鉄殲機として、僕は君を破壊する。――懺悔の時間だ」
声音は冷たく、けれど瞳の奥には炎に似た光を宿し、ウェインは竜の幻影を解き放つ。
力強きアギトに飲み込まれたヨシマサが、熱き炎に抱かれた。
輝く火の粉の影に隠れる形で、真理は背後へと回り込んでいく。
「その人を返して貰うですよ!」
後ろの首筋に食い込んでいるネズミ型ダモクレスを狙い、チェーンソー剣を突き出した。
体を捻り避けた先、炎を纏いしライドキャリバー、プライド・ワンが体当たりをかましていく。
押し返されてきたヨシマサを迎え撃つために、放出する力を体内へと逆転させたユーディアリアが身構えていく。
「ガンガン戦ってしっかり取り戻そう!」
鼓動を紡ぐ間に懐へと張り込み、拳で体の中心を打ち据えた。
かげろうのよな揺らめきとともに離脱した直後、ヨシマサの体が壁際まで吹っ飛んでいく。
表情を変えることなく、変えることもできずに、ヨシマサは真理にガトリングガンを突きつけた。
吐き出された弾丸の群れが真理を襲った直後、奏過が落ち着いた足取りで歩み寄っていく。
「問題ありません、確実に治療します」
冷静に、真理の治療を開始した。
真理を奏過に任せケルベロスたちが攻撃を継続する中、ミシェルが床に素早く魔法陣を描いていく。
コーヒー豆をばら撒けば、巨大な影が浮かび上がってきた。
「人生には小休止も必要で御座います」
告げると共にヨシマサを指し示したなら、巨大な影は牽制の弾丸を物ともせずにヨシマサへと近づいていく。
背中に隠れる形で、沙慈もまた距離を詰めた。
巨大な影がヨシマサに殴りかかったタイミングで飛び出して、竜の爪を突き出していく。
「まだ戻れるよ、頑張って」
ヨシマサ救出の願いを込め、決して負けぬとの決意を秘め、ケルベロスたちは攻撃し続けた。
みるみるうちに、ヨシマサの動きが鈍っていく。
治療が的確だったからだろう。ケルベロスの側に、大きく消耗している者はいない。
ヨシマサの体が再び壁に叩きつけられた時、智親が穏やか歌声を響かせた。
「Lotus flori deschise in zori. Maine, credem ca vine lumina」
それは、遠い世界、異国の歌。
想いと魔力を乗せた歌声は、ヨシマサの体を震わせる。
重ねてきた呪縛も襲ったか、ヨシマサが完全に動きを止めた。
畳み掛ける好機を前に、奏過は薬液をばらまいていく。
「さあ、一気に終わらせて下さい」
自分勝手な考えで他者を裁くというのは同意できないけれど、ヨシマサが目指したのはもっと優しい気持ちだったはず。だからこそ、助け出したい。
薬液に託された思いを受け取り、一夜は無手で踏み込んだ。
腕にオーラを走らせて、首筋に……ダモクレスに手刀を叩き込んでいく。
「今、助ける。貴方を……!」
動くことのできないヨシマサが、膝をつく形で倒れていく。
ダモクレスは未だ健在だったから、ユーディアリアが正面へと歩み寄った。
正直な話をしてしまえば、色々な事情からまだこの世界のルールを覚えているわけではない。
でも、人を殺すことはやってはいけないと知っている。定命化する前ならば肯定したかもしれないけれど……。
「今、助けますからね!」
悪いことを注意するために悪いことをするのは悪いこと。だから悪いことができないように止めるのだと、ダモクレスへと拳を振るう。
完全に地面へと突っ伏したヨシマサを、火花を上げ始めたダモクレスを見つめ、ウェインは拳を握りしめた。
「痛い――いや、それさえも理解できない、か」
ダモクレスを見下ろしながら、起動する。
「Overcharge」
全身に蓄積した魔力を暴走させ、跳躍。
光の粒子へと変わり、突っ伏したヨシマサとすれ違い――。
「その魂に、誇り高き結末を――――」
雨霰と降り注ぐ輝きが、ダモクレスだけを破壊した。
残されたヨシマサは瞳を閉ざす。
構えを解き、ケルベロスたちは耳を済ませていく。
風が窓を叩く音に混じり、安らかな寝息が聞こえてきた。
救えた証だと安堵の息を吐き出しながら、事後処理へと移行する……。
●試練の道へ
治療や修復が行われていく中、奏過は懐から取り出したスキットルに口をつけた。
「……ふぅ」
喉を潤し衝動を沈め、改めて作業協力へと移行する。
ウェインは地面に置かれたダモクレスの残骸を見つめ、呟いていく。
「……君たちは人間を使わず、自分たちで動いたらどうかな。ヒトは君たちの部品じゃないよ」
もはや意味のない問いかけだけれどと付け加えながら、わずかに瞳を細めていく。
そうして全ての作業が終わる頃、ヨシマサは目覚めた。
ケルベロスたちを瞳に写し、全てを理解したのだろう。起き上がり、ヨシマサは頭を下げた。
迷惑をかけたと。助けてくれてありがとう、と。
受け止め、真理は伝えていく。
「あなたの想いは、とっても凄いものなのです。これからも忘れずに居て……でもやりすぎないように、して下さいですよ?」
「あとね、あとね。もし将来的に困ったことになったら助けて欲しいなって。ケルベロスにもどうしようもないこと、あると思うから。お願いできるかな?」
正義を忘れぬよう、沙慈はヨシマサの手を握っていく。
暖かな手のひらに、折鶴を一つ乗せていく。
「絶対に約束だよ。夢は叶うよ」
「……はい」
瞳を伏せながら、けれども力強い光を宿しながら、ヨシマサは頷いた。
これから先、きっと沢山の試練が待っている。それでも、今日経験した事があったなら……不幸中の幸いにもダモクレスによって見つめ直すことのできた今があるのなら、道を誤ることなく乗り越えることができるだろう。
希望を照らすかのように、窓枠からは月明かりが差し込んでいた。星々もまた、眩いほどに輝いていた。
作者:飛翔優 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年10月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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