『実り地蔵祭り』。
そこは、首都圏から若干離れた場所にある町の、小さな商店街内の小さな寺の祭り。
かつてこの周辺には、秋に何も実らなかったが、現れた僧侶が地蔵と化したために、木の実や作物が実る様になり、飢えから解放された……という言い伝えがある。
そして、今年の『実り地蔵祭り』が開始した。ささやかだが、様々な屋台が商店街と参道に並び、食べ物の良い匂いと、祭りの喧騒が。祭り囃や太鼓の音も鳴り響き、小さいながらも賑やか。
祭りを楽しむ人々も、多くも無く少なすぎもなく、それぞれ楽しんでいる。
あちらでは綿アメ、こちらでは焼きそばやお好み焼き、別の場所では射的や輪投げ、駄玩具のくじなど。出ている屋台のどれもが、楽し気な空気を産み出していた。
「……なる程。ココでも祭りガ、行われていますカ」
そのような中。少女が、そこに姿を現した。
浴衣に身を包み、物珍しそうにあちこちの屋台へと目を向けている。だが、周囲の人々も彼女へと目を向けていた。
「なんだ? コスプレか?」
「見てみて、変なのー」
「でもあの子、かわいくない? あのマグロはどうかと思うけど」
周囲から、そんな言葉が聞こえてくる。
浴衣を着たその少女は、顔出しした着ぐるみのように、マグロを被っていたのだ。そして、背中からは翼が。
「皆、楽しそうでなによりですナ。思わず……」
何気なく、少女はその場でくるりと一回転すると……。
「……燃やしたクなりまス!」
そう言い放った。
次の瞬間。彼女の右手から炎が。炎は帯となり、周囲を焼き払う。
彼女の周囲にいた人間たちは、火炎を受けて悲鳴を上げ逃げ回った。阿鼻叫喚の炎熱地獄と化した中、
「……うむうむ、より祭りらしクなりましタ。コれクらい派手な方ガ、ワタシとしては好みでス」
……少女は薄ら笑いとともに、参道を歩き回っていた。
「って、お祭りにかこつけて、こんなひでーコトをする奴が現れたッス」
君たちへと、事の次第を説明するのは、ダンテ。
「どうもこいつは、シャイターン……エインヘリアルに従う妖精8種族の一つッスが、その部隊の一つ、マグロの被り物をしてる奴っスね。この外見から、このシャイターンは『マグロガール』と呼ばれる奴らの一体かと思われるッス」
なぜ祭りの、それもこんな小さな祭りの会場に現れたのか。君たちからの質問に、
「こいつの目的は、日本各地のお祭りの会場を襲っては、一般人を殺害してグラビティ・チェインを手に入れる事らしいッス。なんで祭り会場をわざわざ狙うかまでは分からないッスが……おそらく『祭り』って『人間が集まる場』を利用する事で、グラビティ・チェインを効率よく奪えるから……ってとこじゃあないかと」
今回の依頼は、この『マグロガール』が出現するお祭り会場に先回りし、殺戮を未然に防ぐ事。
「んで、見たところ敵の数は、この『マグロガール』一体のみのようッス。掌から火炎を放つ様子は見えましたが、他にも武器を持ってる可能性があるので、まずそこんとこに注意が必要ッス」
そして……と、ダンテは付け加える。
「祭り会場の人たちを、事前に避難させる……ってのは出来ないッス。おそらく奴の目的は『人が居る祭りの会場』に来ることッスから、それをやっちまうと、別の場所に行ってしまうおそれがあるッス」
しかし、ケルベロスが現れると、話は別になってくる、という。
「やっこさん、ケルベロスが現れると、最初に邪魔者を排除しようとするので、それを利用して挑発でもしたら、人気のない開けた場所へ誘導させる事が可能ッス。そこで戦って倒せれば、周囲への被害は最小限度で済ませられるかと」
もっとも、そのためには戦闘可能な場所や、そこに至るまでの道筋の確認、そして祭りに来ている人たちの避難方法なども考えておかなければならないが。
「少し離れた場所ッスが、大型ショッピングセンターの駐車場があるので、そこに誘導するのがいいかもしれないッスね。ともかく……」
言葉を切り、ダンテは続けた。
「この『マグロガール』ってなふざけた奴は、戦闘力はそれほど高いわけじゃあなさそうッスが、このまま放っておいたら、お祭りが惨劇の場所になっちまいます。皆さん、どうかこいつをぶっ潰して、祭りと人々とを守って下さいッス」
こいつをやっつけた後で、お祭りを楽しむのもいいかもしれないッスよ。……と、ダンテは最後に付け加えた。
参加者 | |
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燈家・陽葉(光響凍て・e02459) |
ローザマリア・クライツァール(双裁劒姫・e02948) |
逢沢・巡(壊れている者・e04809) |
八崎・伶(放浪酒人・e06365) |
狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283) |
ショー・ドッコイ(穴掘り系いけじじい・e09556) |
タカ・スアーマ(はらぺこ守護騎士・e14830) |
天原・俊輝(レプリカントの刀剣士・e28879) |
●リンゴ飴を一個、求める少女。
「リンゴ飴一つ、下さいッス!」
狐村・楓(闊達自在な螺旋演舞・e07283)は購入したそれを舐めつつ周囲へと目を向ける。
「誘導先への誘導は……っと」
彼女が今現在いるのは、『実里寺』の参道で、十数メートルほどの石畳が続く路地。
参道を出ると、そこは商店街の真ん中。そして、商店街の両端には、それぞれケルベロスが一人づつ立っていた。
「現在、異常は無しか」
その片方に立つタカ・スアーマ(はらぺこ守護騎士・e14830)、強面のドラゴニアン。
「こちらも、異常は無し、と」
もう片方、タカとは逆の位置に立つは、メガネをかけた青年。穏やかな雰囲気の彼の背後には、ビハインド『美雨』が立っている。
タバコを吸いながら、彼……天原・俊輝(レプリカントの刀剣士・e28879)は、数刻前の打ち合わせの事を思い出していた。
「この角を曲がり進んだところに、ショッピングモールはあります」
会議室にて。会場の警備担当者は、地図を前にケルベロスたちへ説明していた。
「……祭り会場と、モールの最短距離は……こうなるわけね?」
ローザマリア・クライツァール(双裁劒姫・e02948)の指摘に、住職たちは頷いた。
「最短距離では、狭い路地を行かねばならぬ、か。ちと骨じゃのう」
ボクスドラゴンのヨッコイとともに地図を見ていたドワーフ、ショー・ドッコイ(穴掘り系いけじじい・e09556)は呟いた。
「この、大通り沿いに進んだ方が良いんじゃねーか?」
精悍な身体つきの、レプリカントの男が、地図を指さす。彼もボクスドラゴン・焔を連れていた。その名は八崎・伶(放浪酒人・e06365)。
合計八名のケルベロスは、誘導ルートを話合い……そして、決定を下した。
●いつもの二倍、楽しもうとする少女。
「……いつもの二倍ハ、楽しむとしましょうカ」
ふと、特徴的な口調が聞こえ……俊輝は我に返る。
タカも同様だった。その声は……参道の方から聞こえて来たのだ。
そして……参道を正面に臨む場所。建物の隙間から這い出てくるように……『マグロを被った少女』が、その姿を現した。
「「「!!」」」
間違いない、奴だ。まるで頭部だけの着ぐるみ……または被り物を着用しているかのように、大きな『マグロ』を被っている。
着用しているのは、浴衣。背中には歪んだ鉄骨めいた翼。
「皆、楽しそうでなによりですナ……」
少女がそこまで口にした途端。
「ン? なんですカ、あなたハ」
「……マグロガールだかなんだか知りませんが、逢沢さんの初めてのお祭りに騒ぎ起こそうとしてるのは……おや、意外と可愛い」
色白の痩せたシャドウエルフの少女が、マグロの少女へと近づいた。
長い黒髪と漆黒の瞳を持つが、身にまとう雰囲気と眼差しは、どこか陰鬱。着ている服もまた、黒と漆黒のそれ。
「とにかく、逢沢・巡(壊れている者・e04809)さんのお祭りを邪魔しようとするのは……許すまじ……」
シャドウエルフの彼女……巡の、毒気めいた雰囲気にのまれたのか、マグロガールと呼ばれた少女は、怪訝そうな顔をして見つめ返した。
「誰ですカいな、あなたハ。許されようガ許されまいガ、ワタシの祭り遊びの邪魔は……モガっ!」
マグロガールの最後の『モガっ』は、誰かが投げつけたリンゴ飴の直撃を顔面に受けたため。
「命中! わっはー! 楓さん参上っす!」
それは、楓が先刻に購入したもの。金髪と赤い瞳の美少女が『してやったり』と、笑顔と共に現れた。
「……相も変わらず」
そして、もう一人。
「……お祭りばかり狙ってるんだから!」
白き髪と、陽光がごとき金の瞳の美少女が、マグロガールの前に立ちはだかった。
彼女の名は、燈家・陽葉(光響凍て・e02459)。
だが、マグロガールは、
「……ゴちそうさまでしタ、まあまあの味でしたヨ」
顔面に受けたリンゴ飴を、そのまま大きく顎を開いて噛りつき、割り箸ごと噛み砕き、飲み込んで……にたり、と笑みを浮かべていた。
「リンゴ飴のお礼でス、皆様に火祭りをお目にカけましょウ!」
次の瞬間。マグロガールは、かざした右手から強烈な炎を放つ!
炎の先には屋台が、そして少女と母親の姿があった。
「!?」
その強烈な火炎を浴び、母娘は焼き殺され……。
「危ないっ!」
「危ないッす!」
……る寸前。陽葉と楓がすんでのところで駆けつけ、炎から離す。
火炎は二人をかすめ、後ろのクレープ屋台を直撃。プロパンガスに引火し……。
爆発を引き起こした。
「な、なんだっ!?」
「ちょっと、事故!?」
その炎と爆発に、祭り客たちがざわつき、浮足立ち……。
悲鳴が上がった。
●誘導は、三丁目へ。
「皆さん、こちらに、三丁目の方へ避難を!」
だが、悲鳴がパニックを起こす直前。ローザマリアとタカの声が、周囲の人々の耳に響いた。
『屋台のプロパンガスボンベのいくつかが爆発する恐れがあるとわかりました。処理しますので避難してください』
ローザマリアの落ち着いた声が、野次馬たちの注意を引き、
『避難場所は、三丁目方面です。皆さんの協力をお願いします!』
タカの低く渋い、しかし腹の底から響く声が、有無を言わせず皆を移動させる。
まるで波が引いていくかのように、人ごみがその場から去っていった。陽葉と楓が助けた母娘も、その中に混じり避難していく。
「おやおヤ、皆さん火遊びはおキらいですカ? もう少し遊びましょうヨ!」
再び炎を放つマグロガール。それに対し、巡は携えていた消火器から噴霧させ、その炎とぶつける。
が、
「……ですよねー」
消しきれない火炎が、巡を襲い、その服と、皮膚とを焼く結果に終わった。
すぐさま、伶が巡を助け出す。
「熱くなってんじゃねえよ、お嬢ちゃん。折角の浴衣が台無しってやつじゃあねーのか」
彼の言葉を受け、マグロガールの顔がゆがんだ。
「……ワタシの遊びを邪魔するとハ、殺されたいバカ認定よろしいでしょうカ」
炎を背にするマグロガールに……。
六名のケルベロス達は一斉に、逃げ出した。
「ついてくれば? 君の相手は、僕たちだよ」
マグロガールへ挑むように、陽葉が言葉を投げつける。
「待ちやガりなさイ! コのダボどもガ! 全員殺してやりまス!」
マグロガールの罵倒を背中に聞きつつ、ケルベロスたちは先刻の打ち合わせ通り、近くのショッピングモールへと疾走。
「こんな狭いとこで暴れるより、楓さんと向こうで楽しく戦うッスよー」
楓がさらに、からかうような口調でマグロガールを煽っていく。
「ええと、道はこっち……だったっけか?」
「違いますよ、こっちです!」
間違えかけた伶を、陽葉が止め、更に走る。
「来たぞい! 皆さん、ご苦労さまじゃ!」
ショー・ドッコイが、行く道々に待機していた協力者たち……誘導の協力を申し出てくれた人たちに、礼を述べていった。
上空を行くは、二体のボクスドラゴン……ヨッコイと焔。
大通りを曲がり、更に数分走ると……。
目的の場所、ショッピングモールの駐車場が、見えて来た。
●四輪駆動車が泊まっている駐車場。
「あの四輪駆動のジープが止まってる場所、じゃな!」
ショー・ドッコイたちは、ヨッコイと焔に導かれつつ……目的の場所に到着した。
そこは、かなり広い駐車場。戦うには申し分ない。
戦うべき場所、闘技場めいた広い場所に来た事から、ケルベロス達は振り返り、マグロガールと対峙する。
「ほウ、ココで遊んでクれるというワケですカ」
醜い笑みを浮かべ……マグロガールはケルベロスたちに向き合う。彼女の手に握られているのは、奇妙な刃の惨殺ナイフ。
ショー・ドッコイはその場から離れ、ヨッコイとともに駐車場の周囲へとキープアウトテープを張り始める。彼を除く五人が、魚の少女一人を取り巻いた。
前衛に巡と楓、伶。
中衛に陽葉。
そして後方に俊輝。彼はアイズフォンで連絡を入れていた。
「こちらは予定通り追い詰めました。タカさんの方は?」
『こっちも問題ない。避難完了したら、すぐにローザマリアとそちらに向かう!』
阿具仁弓を構えた陽葉が、その様子を聞いて満足げに微笑む。
「どうやら、避難の方も上手く行っているようですね」
「ええ。あとは目前の敵を、やっつけるだけです」
その目前の敵には、伶と楓、そして巡が迫っている。
「……クレープ屋台、焼いてくれましたね。逢沢さんおこですよ、激おこのガチムカですよ。マグロ臭いから殺していいですか? ああ、答え聞いてません。同じ妖精、耳が長いよしみで楽に殺してあげますよ。逢沢さん優しいですね、自分でもそう思いますよ」
そんな事をぶつぶつ口にしつつ……巡は両手に斬霊刀を握る。
「ここなら、思いっきり楽しく戦えるっすよ! っていうか、楓さんもその被り物欲しい! もらったーっすよ!」
楓が、明るい口調でマグロガールに言い放つ。彼女の手に握られているのは、巨大なドラゴニックハンマー。
「あー楓さん、すぐにそのお願い叶いますよ。逢沢さんとっととマグロを解体しますからね」
暗い口調で……巡がマグロガールに襲い掛かった。
斬霊刀の二刀流が、マグロガールの惨殺ナイフと切り結ぶ。だが、巡の怒涛の切り込みを隙をついて、マグロガールの刃が彼女の二の腕を切り裂いた。
だが、その怪我に全く堪えた様子を見せず、巡は更に切り込む。それにたじろぎ、マグロガールに……一瞬、隙ができた。
「楓さん、いくよーっ!『ドラゴニックスマッシュ』!」
その隙を突き、楓のハンマーがマグロガールへと叩きこまれる。が、その一撃をマグロガールは回避すると……。
「焼ケてしネ! コのボケナスガ!」
そのままゲヘナフレイムを見舞った。
「危ねえ! 下がれ!」
直撃を受けかけた巡を、伶が庇い炎の射線から離す。
「ったく、マグロは焼かれる側だろうが。冷凍マグロにしちまうぞ!」
叫びつつ、天津風で巡を治癒する伶。
「やれるものなラ、やってみやガレ!」
が、嘲笑するマグロガールのマグロ部分、そして本体の二の腕部分に、放たれた矢が突き刺さった。
「!?」
「本当変な被り物だよね。恥ずかしくないのかなー?」
弓で放った矢とともに、言葉の矢を放つは陽葉。
「その服装だって、派手ってほどじゃないよね。正直……中途半端だよ」
彼女は自身の矢筒から、新たな矢をつがえ放つ。が、今度はかわされた。
「その程度のちょろい攻撃なド! 何度でも避ケてやル!」
マグロガールのその言葉に、
「避けられるなら……ッ!」
挑むような、楓の言葉がほとばしる。見ると、既に彼女の姿は『影』となり、あちこちの『影』へと伸びていた。
「な、なんダ? コれは一体なんなんダッ!?」
マグロガールが、戸惑いと疑問を叫ぶ。
「……避けるというなら! 当たるまで、降り注げ!」
その場に無数の『影』が生成され、立ち上がり、マグロガールの周囲を完全に取り囲んだ。
「……これぞ、『孤村流忍術・月影彩花』っす!」
楓の無数の影、そこから放たれし無数の『影の弾丸』が……マグロガールを強襲した。
それはあたかも、月下にて、月光が作りし影により……彩られた花のよう。
ただしその花は、血しぶきと血煙という、戦いの場に咲く死の花。
「ガはアッ!」
苦痛と苦悶のうめき声が、死の花の中心にいる魚少女を更に彩っていく。
敵のその姿に、ケルベロス達は勝利を確信した。
「て……てめえラ……ただじゃあおカねえゾ……すグに殺してやル……!」
膝を付いて崩れ落ちたマグロガールだが……膝をがくがくさせつつ、立ち上がった。
そして……自分の体を回転させつつ、ゲヘナフレイムを放つ。
強烈で巨大な炎の壁が、僅かな時間、その場に出現した。
「何っ!?」
伶は、ケルベロス達は、一瞬だけ怯んだ。
そして、それは陽動だと気付いた時。マグロガールは駐車場を飛び出し、狭い路地裏を駆けていた。
「やつが逃げるぞい!」ヨッコイとともに、ショー・ドッコイが叫び、
「路地から逃げる気だ! 逃がすな!」伶もまた、焔とともに追いかける。
が、追いかけた先。通行人だろうか、一人の少女がマグロガールの逃走経路前に立っている。逃げる様子はなく、逃げられないようにも見えた。
「ちょうどイイ! 人質にしてやるゾ!」
ケルベロス達が駆けつけようとしたが、間に合わない。
マグロガールが、その少女へ襲い掛かった、次の瞬間。
「……月下に舞散れ、花吹雪よ!『高速劒「紊雪月花・風華散舞」』」
その少女が放ったのは、万物を切り裂く、鋭き刃の無数の斬撃。真空波をも生ずる劒閃は、無慈悲に……マグロガールの全身を切り刻む。
断末魔の悲鳴すら、上げることすら許されぬ必殺の剣さばき。その白刃の乱舞は、……まるで花吹雪。
「……そのマグロは無いわね。やっぱ、マグロ被ってるような奴は駄目だわ」
敵が倒れた事を確認し、ローザマリアは己の斬霊刀を……鞘に納めた。
「どうやら、決着はついたようだな」
彼女の隣りに立つタカの言葉が、状況終了した事を皆に実感させた。
●五番目のメニューが、一番うまそうです。
「ええと、メニューは五番のこれですね?」
「そうです親父さん。五番のチョコバナナクレープ、チョコ少なめバナナ多めで、おくれ」
「楓は十二番の、チーズケーキ入りブルーベリークレープ、クリーム多めバニラアイス入りを下さいっす!」
屋台の一つにて、巡と楓はクレープを注文。その横では、金魚が入った袋を手にしたタカが、型抜きに挑戦している。
「よっ……と、こいつは中々難しいな」
マグロガールを掃討後。祭り会場をヒールで修復した後に、ケルベロスたちは祭りを楽しんでいく事に。
「おっ、焔。お前もお好み焼きが気に入ったか? 俺はこちらの、広島焼きを食うとするか」
「それもうまそうですなあ。ヨッコイ、お主はこの大判焼きを食べるかの?」
ビール片手の伶は、ショー・ドッコイとボクスドラゴンたちとともに、購入した粉物に舌鼓を打っていた。
「ふう、やれやれだ。ようやくのんびりできるぜ」
俊輝もまた、リラックスして祭りの雰囲気を楽しんでいる。
「かわいい浴衣ね、アタシも用意しておけばよかったかなあ」
綿あめを手にしつつ、ローザマリアは陽葉の浴衣を羨ましそうに見つめていた。
「有難う。僕もこれは、ちょっとお気に入りなんだ」
陽葉が着ているのは、蓮の花柄で白と水色のグラデーション模様。いかにも夏らしく、彼女に似合っていた。
「……でも、このお祭り。守れてよかった」
手にしたラムネの瓶から、甘い炭酸水を一口飲みつつ、陽葉は実感し、そして誓った。
この祭りの空間のような、人々の生活の場。それを今後も守り続けようと。
作者:塩田多弾砲 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年10月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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