天野・桐はお外で遊んでいた。3時になって公園のベンチに座る。今日のおやつは大好きなマシュマロだ。特別な日じゃないけど、一人分にしては大量で袋一杯に詰め込まれている。
「♪」
自分しかいないから全部食べることもできちゃう!
その時、公園の出入り口付近にいる巨大な存在に気づいた。
「あれー?」
桐が見かけた存在は、サイズと長さが様々な円柱マシュマロをそのままくっ付けたような人型の集合体。絵心の無いものでも描けそうな程に、テキトー過ぎるシンプルな姿だと言えよう。
桐は状況を呑み込めなくて、とりあえずマシュマロを一個口に含んだ。
それを合図にしたように、マシュマロヒューマンがクラウチングスタートの体勢をとる。スタートの合図は待たないで桐がいるベンチの側まで走ってきた。
「?」
桐は好物で出来ているマシュマロヒューマンを見つめるだけで逃げない。
そんな警戒心の薄い桐を……マシュマロヒューマンが弾力のある手で抱き上げた。そして、少年の顔を胴体に埋めさせて内部へと引きずり込もうとする。
「わー!」
さすがにびっくりした桐は、とってもおかしな夢から覚めた。部屋が暗いから、まだ夜ということが解る。
次の瞬間、第三の魔女『ケリュネイア』が手に持つ鍵によって桐の小さな体にある心臓が穿たれた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
無傷で意識を失った桐がベッドに横たわり、その隣にドリームイーターが誕生していく。
ドリームイーターとしての『マシュマロヒューマン』も、夢の中と負けず劣らず大きかった。己が弾力を前にすれば窓を強引に通り抜けることなど造作ない。肉塊ではなかったことが幸いと思いたくなるような絵面で、外に駆り出していくのだった。
先に簡単な話を聞いた四方堂・幽梨(ジャージのシェフ剣鬼・e25168)が、何とも言えない表情で呟く。
「夏は過ぎているはずだけど、まだオバケが流行っているのかな……?」
「本当は怪談に旬など無いのかもしれないな」
会話が得意ではない幽梨のために、サーシャ・ライロット(黒魔のヘリオライダー・en0141)は無理に返事を求めないでくれた。ケルベロス達がやってきて説明に移る。
「第三の魔女『ケリュネイア』が驚く夢を見た子供を狙うという事件を起こしていることは知っているだろうか? 今回はその件についてだ」
ケリュネイアはケルベロス達が到着する頃には姿を消すものの、ドリームイーター『マシュマロヒューマン』を撃破しなければならない。
「ドリームイーターは全身のパーツがマシュマロで構成されているぞ。顔が無く、指も無い単純な姿で一見弱そうに感じられるかもしれないが……油断はするな。君たちが敵を倒せば、被害者の少年が目覚めることになるのだ」
マシュマロヒューマンは人を驚かせようと桐の家の近所をうろうろする。それなりに巨大で目立つため、さっさと戦いを挑み倒してしまえばいいだろう。
「ドリームイーターはヒールを使ってこないようだ」
それは全てのグラビティが攻撃ということを意味している。
「まず、接近される者は気をつけてもらいたい。敵に捕まると桐が夢で見たように取り込まれそうになる。実際に取り込まれることはないが……。中にモザイクが詰まっているのか、それがこびりついていると動きが鈍ってしまうぞ」
ちなみにチョコレート色で、中身がチョコと思われるマシュマロヒューマン。
「接近が不可能な位置にいる者には、撃ち出すようにマシュマロの手を飛ばしてくることができるらしい。その独特の弾力が痛手になることも多いはずだ」
ドリームイーターのマシュマロの威力は甘くない。
「さらに厄介なことに、粉を振り撒かれれば広範囲に粉塵爆発を起こされる」
見た目はふざけていようとも、その戦闘能力は侮るなかれ……。
「少年が今更マシュマロを嫌いになることはないはずだ。これからも思う存分食べられるようにしてやってくれ」
少し意地悪そうな笑みを浮かべたサーシャが、チョコの入った小箱を向けてくる。
「虫歯には注意してもらいたいが」
ケルベロス達はチョコを一粒もらってもいいし、何となく遠慮しても構わないのだった。
参加者 | |
---|---|
繰空・千歳(すずあめ・e00639) |
紅・桜牙(紅修羅と蒼影機・e02338) |
エンデ・シェーネヴェルト(飼い猫・e02668) |
ライゼル・ノアール(仮面ライダーチェイン・e04196) |
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423) |
津上・晶(錆びついた刃・e15908) |
四方堂・幽梨(ジャージのシェフ剣鬼・e25168) |
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685) |
●マシュマロードへ
ケルベロス達がヘリオンから街中に降り立ち、マシュマロヒューマンを撃破するために駆け出す。
改めて、ライゼル・ノアール(仮面ライダーチェイン・e04196)と津上・晶(錆びついた刃・e15908)はおかしな敵の姿を頭に思い浮かべた。
「敵は面白い姿なんだよね? マシュマロは好物ではあるんだけど」
「マシュマロはコーヒーに合いますね。まあ、敵の姿はさすがにいただけませんが」
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)がちょっと暗い表情。普通じゃないマシュマロにどう刃が通るか気がかりなのだ。自信を持って愛刀を振るうべく意気込む。
「……デウスエクスとあっては放っておけません!」
不安げなイリスを安心させようと、繰空・千歳(すずあめ・e00639)は優しく微笑んだ。
「きっちり退治して男の子を助け出すわよ、イリス」
「はい、千歳さん」
考え事をしていた紅・桜牙(紅修羅と蒼影機・e02338)が、それについては答えが出ないまま千歳たちに頷く。
「ほおっては、おけねえな。ちなみに、俺はどちらかと言えば和菓子が好きだ」
「マシュマロ好きにはたまらないドリームイーターのようだけれど。私もそこまで好きじゃあないのよね」
そんな会話の最中に、風に運ばれてきたチョコの香り。
発生源と思われる敵の捜索に際し、エンデ・シェーネヴェルト(飼い猫・e02668)が殺界を形成する。
「敵はこの先じゃねーの」
ライゼルは進行先に一般人が見当たらないことを確認してから、キープアウトテープで来た道を閉じた。
「さて、封鎖は終わった」
全員揃ってチョコの香りを辿っていき、イリスが桐の家のある付近で声を上げる。
「見つけましたよ!」
マシュマロヒューマンは驚かせる人を求め、他所様の家の庭先で窓を覗こうとしていた。ケルベロス達に気づくや否や、ブロック塀の大きな穴から這い出てくる。道路の奥にはモザイクが点々と零れていた。本当に……単なるチョコに過ぎなくて良かったと言えよう。
エンデは一帯を漂う濃厚なチョコの香りに眉根を寄せた。
「……めっちゃ甘い匂いする」
夏場に生み出されていれば、マシュマロヒューマンの体表に虫が蠢くという惨状の目撃者になっていたのか。
顔が無く感情をつかめない敵は、説明されていた通り3才児の粘土工作みたいな体格だ。心もとない足取りで巨体を支えながら、睨み合ってきて襲いかかってはこない。
巨大マシュマロの集合体との対峙に、四方堂・幽梨(ジャージのシェフ剣鬼・e25168)が思わず呟く。
「思ったよりでかいな。何食分だ、これ……」
1人だけでは食べ切れそうにないマシュマロヒューマンの頭部。それ以上に大きな胴体と、手足も単純な3つのパーツに分かれており、通常サイズ換算の総量は計り知れないものだった。
先程までひっそりとおしるこ缶を飲んでいた幽梨だが。妙な緊張感から口調がはっきりしてくる。
「わざわざ人型をとったなら、不定形よりはやり易いかもね」
大柄の白いマシュマロヒューマンは暗闇で目立つ。人払いできており、今更巻き込まれる一般人は現れないだろう。
「心置きなく戦えそうね」
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)は戦闘に集中できそうなことを確信してクールに告げた。
「鎖よ。ボクらに勝利を」
祈りの言葉を紡ぎ、ライゼルがフォームチェンジのためにライゼファクターへと鍵を差し込む。
「今日は遠距離から攻めようか。変身!」
イリスは目を閉じて軽く息を吸ってから、二振りの刀を構えた。
「銀天剣、イリス・フルーリア……参ります!」
●やわらかいヤツ
ケルベロス達の臨戦態勢に反応すると、マシュマロヒューマンが間近の幽梨に意外と機敏につかみかかってきた。マシュマロ特有の感触だけを言えば心地よい。取り込まれる実感を鈍らせながら、彼女を腕から引きずり込んでいく。
最終的に放り出されるため、幽梨はモザイクではないマシュマロの欠片を払った。
「食われる側が食おうとするんじゃない!」
「もっと甘い甘い世界へ連れていってあげましょう。飴の方が美味しいんだから」
飴屋経営者で冗談めかした前衛の千歳が、中衛の酒樽型ミミック『鈴』とマシュマロヒューマンを挟み込む。左の機械腕をガトリングガンに変形させ、呪力が帯びたカラフルな飴玉弾を連射した。
弾の貫通で空いた小さな穴に、敵背後から一升瓶の形をしたエクトプラズムの先端を差し込む鈴。大量に注ぎ込むは身体の硬直時に悪化も誘発する呪力だ。
「その無駄に柔らかい身体も、動けなくっちゃあ意味が無いわよね?」
イリスは千歳もいる前線に出ていた。守り手の役目が久々だからといって力んでしまってはいけない。分身とも言える二刀をゆったりと構えた。
「光よ、彼の敵を縛り断ち斬る刃と為せ!」
翼と刀に光を集め、刀が煌々と輝けばしっかりと握り締める。
「銀天剣・零の斬!」
マシュマロヒューマンを一閃して体の自由を数秒奪い、その隙に翼から光を溢れさせた。光は敵の動きを封じる刀となり、頭と胴を除いたそれぞれのパーツへと突き刺さっていく。
連続で体が揺れ、マシュマロヒューマンはあま~い匂いを迸らせてきた。
甘い物好きの血が騒いだマルレーネが、敵に何とも恐ろしいことを口走る。
「大きなカップに放り込んで……頭から熱々のミルクをかけて食べたい」
仮に遊園地のコーヒーカップくらい大きなものを用意できたとして、全部投入は叶わないはず。それはさておきケルベロスチェインを解き放ち、守護の魔法陣を描いた上で幽梨からモザイクを消し去った。
マシュマロヒューマンが体をはたいて前衛陣に白い粉を振り撒き、天を指差すように手を上げて着火。爆発が手元から順に発生しながら、五回目の爆発をくらったイリスの加護を無効化させてきた。
敵の生命力を吸収したエンデがツッコミする。
「粉塵爆発とか、何で変なところで現実的なの……」
ライゼルは己の背丈に合わせたライフル銃をマシュマロヒューマンに向けた。鎖に彩られた白と蒼の『シャルムゲイズ』の銃口から凍結光線を撃って敵の右腕に氷を張る。
マルレーネが前方にオウガ粒子を散布し、幽梨は急所に成り果てている穴を斬りつけた。
桜牙がアームドフォートの主砲を展開する。
「いくら柔らかくても、コイツはどうかな」
自分にとっては強敵のマシュマロヒューマンに、真っ向から攻撃を命中させることは少々難しい。だが狙撃ならば互角に渡り合えるだろう。
「……そこだな」
仲間たちの間を抜ける射線を見出せば、衝撃で身体が痺れる砲撃を敵に叩き込んだ。
晶が卓越した技で敵の左腕を全体的に氷結させる。
準備運動するように右腕を回したマシュマロヒューマンは、攻め手のエンデをロックオン。手のマシュマロを音も無く飛ばすと、彼の腕に触れた全面に圧縮で力を加えて骨を軋ませてくる。
何だか『食い物』で遊んでいる気分に陥り、猫の尻尾みたいなエンデの後ろ髪が弱々しく翻った。マシュマロヒューマンを蹴るとモザイクも飛び散ってきて、不快感この上なかった。
「ああもう、ベタベタする! つーか蹴り辛い!」
仕事に臨む時は感情の起伏が少ないはずだが、今宵に限っては標的の風貌のせいか。痛みや恐怖に強い耐性も、それに当てはまらなければ無意味なのだ。
地獄の炎でライゼルは自身の力を高めた。エンデの腕にマルレーネが霧を放出していく。
「響け、双刃よ」
晶は変則二刀流で状況に応じて振るっていた剣と刀を共鳴させた。
「波動ならばどうです?」
行動を封じる呪力を乗せた波動を、近距離からマシュマロヒューマンに撃ち込む。射程は極端に短いからこそ、ダメージを拡散させられそうな敵とて絶大な威力を誇る一撃が炸裂した。
周辺から念でブロックを集めたライゼルのビハインド『クサリサ』が、マシュマロヒューマンに硬い雨を降らせる。
敵が後方の広範囲に再び粉を散らしてきて、桜牙に代わり爆炎を浴びたクサリサ。マルレーネが後衛陣を回復して加護を付与する。
マシュマロヒューマンの挙動を見切ってやろうと、幽梨は敵の眼前へと一気に踏み込んだ。人型と高を括ってはいないが、敵の足は確かに地に着いている。牽制攻撃を繰り返しながら、一つ一つの所作に目を光らせた。
「あたしは誤魔化されないよ」
時折体のバランスを取ろうとしていることに気づき、隙を突いて関節部分に刀の峰を引っかける。
軟体のマシュマロヒューマンが倒れ込んでも、住宅街に大きな物音は響かなかった。
●ちょっと静かなる戦い
マシュマロヒューマンが無音で桜牙にマシュマロの右手を繰り出してくる。
敵の急所をエンデは蹴り貫き、傷ついた桜牙をマルレーネはヒールした。
「俺っちも一旦回復に回るぜ」
ビハインド『レインディ』と共にある桜牙が、余力を確保するために唱える。
「コード、竜瞳起動」
アームドフォートの紋章が桜牙の声に反応した。
『見渡すもの。射貫くもの。逃さぬ意思と必中の加護。コード、ドラゴンアイ起動します』
敵の行動パターンは大体解析できており、桜牙を援護する小型浮遊兵装が射出される。
レインディは心霊現象を起こしてマシュマロヒューマンに金縛りをかけた。
「さらに凍らせてみますか」
マシュマロヒューマンの足元に肉迫し、晶が剣を素早く振り切る。今度は足のマシュマロを凍らせてやったが。佇まいがしっかり……なんて事には当然ならない。回避力が上がったように感じられても、絶対に気のせい。
なお、冷凍マシュマロも通常と違った食感で美味しく楽しめるらしい。
敵に一度捕まった鈴は、エクトプラズムで想像上の桐のシルエットを作って惑わせてみた。
ケルベロス達が窮地に追い込まれることもないまま……攻防の時間が経過していく。敵に耐久力はあるからだ。
回復の要たるマルレーネに放たれたマシュマロヒューマンの拳を、レインディは両手で受け止めた。霧状の下半身で堪えてパンチの勢いを殺す。負荷をかけた腕の痙攣はすぐに治まるだろう。
レインディに千歳が回復を行い、前衛陣のヒールでマルレーネが再度イリスを守護する。
マシュマロヒューマンに幾度となく斬撃をくらわせているため、幽梨は刀の切れ味が気になってきた。とはいえ、瞬時にできるのは汚れを落とすこと以外にあるのか。
(「まぁ、気合でなんとかしてみよう」)
仕かける寸前に刃を手早く拭うと、変わらぬ鋭さの斬撃で冷たき呪いを強めた。
突如立ち尽くしてくるマシュマロヒューマン。最早両手では数え切れない程に掛けられた呪力の一つが、敵をその状態に至らせた。
期せずして舞い込んだ好機に千歳が仲間の士気を高め、敵の右腕を晶が斬る。
攻撃する術しか持たぬマシュマロヒューマンは、どれだけまぶされているのか不明の粉を前衛陣の元に飛来させてきた。
「思うようにはさせませんよ!」
イリスが幽梨の正面に迫った粉を浴びる。そして、段階を経て襲いかかってくる爆発に飲まれた。だが守りを固めた上でくらえば大打撃にはならない。
「私だけが倒れるわけにはいきません!」
回復は千歳に任せても良さそうであり、マルレーネが『御業』を召喚する。
「マシュマロだもの、よく効くよね」
『御業』は燃え盛る炎弾をマシュマロヒューマンの顔面に直撃させた。
敵の顔が焼けないで……少しばかり溶け出す。のっぺらぼうのようでなければ、モザイクのチョコが流れて遮られるべきところだったはず!
居合いで幽梨が斬り込み、止めを刺しに皆も畳みかけていく。
マシュマロヒューマンが満身創痍ながらもエンデに接近してくる。
「その身体に纏わりつかれるのは厄介だけど、エンデを取り込ませたりしないわよ」
エンデに敵の手が及ぶ直前、千歳は彼の代わりに引き寄せられていった。ただのマシュマロすら若干受け入れがたいものの、それは庇い出たからには耐えるしかないのだ。
マシュマロヒューマンから千歳が解放された瞬間、エンデが餞の言葉をかける。
「さようなら、美しい世界にお別れを」
猫を連想させるように武具へと仕込んでいた隠し爪に、あまりにも純粋な殺意を宿した。敵を容赦なく切り裂き、虫の息にさせる。敵が防御タイプゆえに渾身の攻撃でも仕留め切れなかったが。贈った言葉は続く二人が無駄にしないでくれるだろう。
刀に空の霊力を纏わせたイリスは、澄んだ青い瞳でマシュマロヒューマンを見据えた。無数の引っ掻き傷をなぞるように斬り広げる。
余計な一言は足さなくていい。
イリスと同様に黙し、ライゼルが地獄化した腕から鎖を出した。螺旋を描いて大砲を象ると、光が収束する。まずは一発目で体勢を崩させ、二度目の極光によってマシュマロヒューマンを跪かせた。
●甘い残り香
両手両足を地面につけて、マシュマロヒューマンが徐々に消滅していく。
ライゼルは最後に弾力をちょっとだけ味わわせてもらった。その弾力、ベッドにしてみたら初夢の代名詞が勢揃いしそうな代物だろうか。
(「好きなものはずっと好きでいたいものだよね、少年」)
そうして、跡形もなくなったマシュマロヒューマン。
一目散に離れていたエンデが、簡単に取れないマシュマロの欠片と睨めっこする。
「うっわ、やっぱりベタつく……」
駄目なものは仕方ないと、気持ちを切り替えて微苦笑した。
「とりあえず、桐は目覚めるだろ」
少年の名前を耳にして、人知れず憂い顔の晶。小さな子供を狙う事件に憤りながら、家族のことを思い出してしまって複雑な心境となっているのだ。
幽梨は眼鏡拭きとクリーナーを用いて、大切な眼鏡を熱心に手入れしていた。それが完了してから、後片づけや中身が残っているおしるこ缶の回収に向かう。
「しばらく甘いニオイは、いいかな……」
手際良くキープアウトテープを取っ払っていたマルレーネが、ふと手を止めた。
「夜だけどお腹すいた。甘い物食べて帰りたいな」
「マルレーネさん、マシュマロを食べますか?」
なんと、イリスはマシュマロを持参していたらしい。他に欲しい者も遠慮しないで構わないことを伝えて、マルレーネに沢山配る。
またちょっと……甘い香りが風に流されていくのだった。
作者:森高兼 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年10月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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