フィギュア造形師の業を盗め!

作者:なちゅい

●巧みな造形の業を
 そこは、とある建物の中。
 電気も敷かれていない場所なのか、それとも、電気系統が壊れてしまっているのか、光がほとんど入らず薄暗い。
 そんな場所で、道化師風の姿をした螺旋忍軍の女が、同じく道化師衣装を纏った女性配下を従えている。
「あなた達に使命を与えます」
 指示する女の名は、ミス・バタフライ。彼女は指令を出すのだが、これがなんとも珍妙なものだった。
「この町に、フィギュア造形師という、フィギュアの原型を作る仕事をメインとして活動する人間が居るようです。その人間と接触し、その仕事内容を確認。可能ならば習得した後、殺害しなさい」
 また、ミス・バタフライは、グラビティ・チェインは略奪してもしなくても構わないと配下に告げる。
 それを聞いた女性配下は口元に笑みを湛えて立ち上がった。
「了解しました、ミス・バタフライ。一見、意味の無いこの事件も、巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのでしょう」
 そうして、配下は艶やかに手にするカードで口元を隠しつつ、線の細い男性を従えてその場から去っていくのだった。
 
 とあるビルの屋上にて。
「ミス・バタフライが萌フィギュアプロモデラーを狙うんだって?」
 ケルベロス達が集まる中、クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)がそう話を切り出す。
「うん、そうみたいなのだけれど……」
 リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が自らの予知の話を語るにあたり、困った顔をする。
「フィギュアって人形のことだよね。原型師なんて職種の人がいるんだ」
 その辺りがよく分からないリーゼリットはフィギュアに詳しいケルベロスのアシストを受けながら、依頼の説明を始める。
「ミス・バタフライという螺旋忍軍が動き出したようだよ」
 この敵が計画する事件は、直接的には大した事は無い。だが、巡り巡って大きな影響が出るかもしれないという厄介な事件だ。
 今回は、美少女フィギュアの原型師という比較的珍しい職業を営む一般人の所に、螺旋忍軍の配下を送り込む。そして、その配下に原型師の仕事情報を得させた後、殺させるのだという。
「この事件を阻止しないと……、そうだね。『風が吹けば桶屋が儲かる』って言葉があるよね。ああいった具合に、ケルベロスに不利な状況が生まれる可能性が高いんだ」
 直接的な関係がない事柄であっても、何がどこで繋がって影響を及ぼすかは分からない。螺旋忍軍の動きは、可能な限り止めておきたい。
 何より、デウスエクスに狙われる一般人がいるのだ。これを見過ごすわけにはいかない。
「皆には、一般人の保護と、ミス・バタフライ配下の螺旋忍軍の撃破を頼みたいんだ」
 敵は、原型師の自宅へと現れる。
 ごく普通の一軒屋であり、アトリエのような場所を設けてはいるが、さすがに10人前後で戦う広さはない。戦いを想定するなら、彼の自宅の正面の道路などを想定して戦うべきだろう。
「今回は、敵の出現まで3日の猶予があるよ」
 とはいえ、この原型師を事前に避難させるなどすれば、別の原型師を狙う可能性が高い。
 この為、対策を行うのであれば、狙われた原型師と接触し、事情を話してフィギュアの原型を作る業を教えてもらうと良い。そうすれば、螺旋忍軍の狙いを自分達に変えさせることができるかもしれない。
「自分達が囮となる為には、見習い程度の力量をプロに認めてもらう必要があるよ」
 ただ、フィギュアを美しく作るには、それなりのセンスが求められる。
 有志のケルベロスの情報提供によれば、フィギュアの原型は石粉粘土と呼ばれるもので作る方法が初心者にお勧めだという。
 ある程度、原案となるモデルの構想を固めた後で製作開始。針金で作った人型に粘土を貼り付けていき、ナイフを使って細かい部分の修正を行う。最後に着色して完成といった具合だ。
「へえ……」
 聞き手に回っていたリーゼリットが改めて説明に戻る。
 螺旋忍軍とその取り巻きと戦う状況となれば、道化師の姿をした配下は手にするカードを行使して攻撃を行い、取り巻きの男性は惨殺ナイフを振るって攻撃を仕掛けてくる。
「場所は、神奈川県の住宅地だね」
 簡単な立地については先に説明した通り。基本的には原型師を護りながら戦うことになるだろうが、囮となれる状況であれば、螺旋忍軍に技術を教える修行と称して、有利な状態で戦闘を始める事が可能となる。
「上手くいけば、2体の螺旋忍軍を分断、一方的に先制攻撃ができるかもしれないよ」
 囮となるのが難しければ、予め原型師を護る作戦を行う方が無難かもしれないので、仲間内と上手く作戦を詰めておきたい。
 一通り説明を終えたリーゼリットは、フィギュア製作についてフォローしてくれたケルベロスに礼を言いつつ、最後にこう締めくくる。
「バタフライ効果……、今回指揮をとるミス・バタフライはちょっとした変化によって、大きな効果を狙っているようだね」
 とはいえ、相手がどうあれ、ケルベロスとしてやることは変わらない。
「被害者となる原型師を守る為にも、そして、螺旋忍軍の利となる状況を避ける為にも……よろしく頼んだよ」


参加者
村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)
クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)
気持川・塁(罪な男・e03221)
プルミエ・ミセルコルディア(フォーマットバグ・e18010)
薬師・怜奈(薬と魔法と呪符が融合・e23154)
アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)
カスタード・シュー(甘党剣士・e27793)
弐番堂・むささき(紫電の歯車・e31876)

■リプレイ

●造形師と事前準備
 神奈川県の住宅地。
 ケルベロス達は、とあるフィギュア造形師の家を目指す。
「噂の萌フィギュア系のプロモデラーさんですかあ」
 今回の依頼を持ちかける形となった、クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)は考える。一口にフィギュアと言っても、色々ジャンルも存在する。メーカーが力を入れているのか、食品玩具やプライズものも品質は高い。
「負けないイイシゴトしませう」
「同人活動で作る事は慣れっ子ですから。ここはチャンスとして利用しちゃいましょ」
 村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)は造形の業を吸収しようと頑張るつもりだ。
「一片の蝶の羽ばたきが世界の均衡を崩す……。バタフライエフェクトとはよく言ったものだね」
 それにしてもと、気持川・塁(罪な男・e03221)は考える。
「面倒くさい事を考える方が現れましたわね……」
「だが、このカッコイイボクが守るこの世界、崩させるわけにはいかないな」
 嘆息する薬師・怜奈(薬と魔法と呪符が融合・e23154)に、塁は己に酔いしれるように呟き続けていた。
「フィギュアの原型造りを学べば、世界を支配できるじゃと!? 螺旋忍軍の考えることはようわからのぅ」
「芸術を体現する貴重な存在を、失うわけにはいかんでござるな」
 アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)も呆れてはいたが、造形師が命を狙われているのは事実。全力で護ろうと、弐番堂・むささき(紫電の歯車・e31876)は意気込みを見せるのだった。

 原型師、大田・敦宅を訪問するケルベロス達。
 まずは怜奈が大田へと事情説明をする。ただ、事前に避難を行わせると、敵は別の造形師を狙うという話もあったので、仲間が合いの手を入れてこの場にいてもらうよう忠告する。
 その後、アデレードがケルベロスであると説明の上、フィギュア製作の業を教えてほしいと頼む。
「あと、うまくいったら、たう殿のフィギュアを作って欲しいでござる」
 むささきは、自分を拾ってくれた、いわばご主人様とも言える存在である女性の写真を見せ、大田へと依頼していた。
「それでは、すぐに特訓開始です!」
 ベルはぐっと両手を握るのに、大田はううんと唸りつつも、フィギュア作りのイロハを教えるのである。
 その間、特にフィギュアに興味を持たぬメンバーは、3日後にやってくるという螺旋忍軍に備える。
 プルミエ・ミセルコルディア(フォーマットバグ・e18010)は戦うことができそうなアトリエがないかと大田に尋ねる。どうやら、倉庫代わりになっているプレハブ小屋が少し歩いた場所にあるというので、彼女はそちらの物を運び出してアトリエに仕立てることにし、内部を観葉植物マシマシに装飾していたようだ。
 クリームヒルデはモデル役として、あれこれと用意していた。囮役としての技術を磨く為、フィギュアを作る仲間のモデルとなり、ポージングについて大田に聞いていたらしい。
「この世界には、魔に魅入られし……魔乳造形師と言う暗黒面に闇堕ちした者達が居るそうな」
 クリームヒルデが聞いたところでは、恐るべき魔改造技術を駆使し、禁呪「キャストオフ」までも用いる事すらあるとか。
「ところで、キャストオフってなんですかー?」
 ……良い子は大人になってから、ということで。
「ボクほどカッコイイモデルはこの世に二人とない。さあ、ミスター大田。このカッコよさを象るといいよ!」
 こちらもモデルとして自薦する、自分大好きな塁。作戦として囮になる予定はないが、自らポージングして売り込んでいくのはさすがである。それで、彼の思惑通り、創作意欲がかき立てられるかと言われれば、激しく疑問であるが。
 そして、囮造形師となるのは、ベルとアデレードだ。
 彼女達はきっちりとその技術を身につけようと、大田に付きっ切りで3日間を過ごし、素体から肉付け、色塗りまで教わっていた。可愛らしい2人の容姿を目にし、大田は目のやりどころに困っていたようである。
 そんな仲間の傍らで、カスタード・シュー(甘党剣士・e27793)は偽記者に扮する為にと、偽雑誌の見本や偽名刺、そして、偽ホームページまで作成していた。
 瞬く間に3日は過ぎ去り、メンバー達は万全の体制で螺旋忍軍来訪予定の時刻を迎えたのだった。

●戦力分断作戦!
 2人の螺旋忍軍は、堂々と玄関のチャイムを押してやってきた。
 同人即売会で売れそうなレベルには達した囮造形師役2人が螺旋忍軍、ミス・バタフライ配下のクラリスと、その取り巻きアドルフを迎え入れる。ちなみに、大田は怜奈が安全な場所へ避難させていた。
「月刊ホビークラブのカスタードと申します! 今日は取材宜しくお願いします!」
 そこでインターホンが鳴り、雑誌記者に扮したカスタードが現れる。彼は後の戦いに備え、戦闘服の上からスーツを羽織る。手にする取材用カメラもそれなりに高い物を購入して依頼に臨む。
「お一人ずつ、軽いインタビューと制作工程の写真を数枚撮らせて頂きます! お手間は取りませんので」
 すでに、仲間内で幾度かシミュレーションもしており、カスタードはさほど不自然なく演技する。
 そうして、ベルがカスタードとモデル役のプルミエと共に、造形師宅を後にしていく。
 その場には、アデレードが造形師、クリームヒルデがモデル役として、取り巻きの男アドルフを足止めする。
「よいか! フィギュアの原型とは、量産しやすい形状とかゲートの位置だとか面倒くさいことがあるが、大事なのは己の魂や拘りとか、いかにカタチにならんものをカタチにするかじゃ!」
 とにかく、いかに時間を稼ぐかが彼女達の使命だ。
「さあ、おねーさんのせくしーさを立体化してもいいですよ!」
 クリームヒルデは体操服とブルマ姿の他、スクール水着やセーラー服、ナース服にメイド服とあれこれ着替え、ちらりと見えそうで見えない胸や局部の仕草に拘ってポージングする。
「このクリームヒルデ殿の美とか優しさとか、抽象的なものを如何に具体的なカタチにするかが大事なのじゃ!!」
「君のモデラー魂をみせてみなさい!」
 クリームヒルデ、アデレードに言われ、アドルフは唸りながら素体を作っていた。

 一方、連れ出し班。
「アトリエの方での作業の絵も頂けたら嬉しいです! 早速向かって行きましょう」
「実物を作る現場の方がいいですからね」
 カスタードの依頼もあり、プルミエが主に用意したプレハブのアトリエへと向かう一行。
 到着すると、早速水着姿となってモデル役に徹するプルミエ。造形の際に複雑な衣服があると難しいからという理由によるチョイスである。
「まずは、モデルをスケッチすることからです!」
 ベルはそう告げ、クラリスにプルミエのスケッチをさせる。それはもう、えっちくえっちく。
「情熱が足りません!」
「成る程!」
 淡々とした作業をするクラリスに、ベルは手取り足取り熱血指導を行う。カスタードはうんうんと相槌を打ちつつ、熱心にメモを取っていた。
 粘土をこねこねして素体を作り、ナイフで……その間も不真面目な態度があったら、ベルが本気の指導を行う。
 このままフィギュア製作をしたいのは山々だが、ここにいるのは螺旋忍軍、倒すべき敵である。
「適度な息抜きと景色との融和をイメージするのも必要ですからね」
 ある程度進んだところで、作業の手を止めた一行は公園に向かう。
 その公園に待機していたむささき、塁、怜奈が人払いを行い、事前準備をしっかりと行っていた。
「貴方達の親方の思い通りにはさせませんわ」
「邪魔をするか……!」
 そう告げる怜奈が構えを取るのに、警戒するクラリス。しかし、ここまで一緒にいたケルベロスもまた敵意をむき出して、武器を手にする。
「図ったな……!」
 クラリスは何か合図を行った後、懐から取り出したカードをケルベロスへと投げつけてきたのだった。

●造形をなめるな!
 一方、アドルフも開戦を察し、その場から移動しようとする。
 この為、そいつが家から出たタイミングで、さらなる足止めの為にアデレードは全身を光に変えて突撃する。
 クリームヒルデも鎖で縛りつけ、敵の体を縛り付ける。アドルフは苦々しい顔をして、惨殺ナイフを2人へと振るってきた。

 クラリスは敵意を露わにしたケルベロスに対し、周囲へとカードを撒き散らしてきた。鋭いエッジのカードはメンバーの身体に突き刺さり、その動きを制してくる。
 出来る限り、仲間の盾となるようにと立ち塞がるカスタードは、柔剣・真祀麿で地面に守護星座を描き、仲間の守護に当たる。
 同じく、盾役のベルも数枚のカードによってその身を斬られ、あるいは突き刺されていて。
「同好の士を倒さねばならないのは、非常に残念です」
 先ほどまで一緒に創作に励んでいた相手。だが、敵であることは重々承知している彼女は、癒しの雨を降らして仲間の回復に当たる。
「貴方から……殲滅ですわ」
 怜奈はブラックオニキスから封じられた力を引き出そうとするが、どうやら活性化するグラビティが違っていたらしい。
「仕方ありません……」
 怜奈は半透明の御業をその身に降ろし、炎弾を発して応戦を開始する。
 続くプルミエは表情こそ変えぬが、クラリスへと怒りを覚えていた。
 プロ級のことを要求するクラリスは、螺旋忍軍の尖兵、戦闘のプロであるはず。だが、彼女はカードを直接使用するのがメインで、召喚をほぼ行わない。それが、召喚術を攻撃の主軸としているプルミエには許せない。
「トランプじゃないんですから、投げて武器にするとか本当にありえないんで」
 彼女はカードから氷結の槍騎兵を呼び出し、クラリスの身体に斬撃を与えた上でその箇所を凍らせる。
 奇襲をかけるべく仕掛けるむささき。いつの間にかクラリスに貼り付けた見えない爆弾を爆破し、相手を圧倒する。
「愛なく業を奪えると思ったら、大間違いでござる!」
 愛のない造形などただのゴミ。芸術品にはならないと宣言しながらも、むささきはその後、オウガ粒子を放出して仲間の強化に当たった。
「美しい作品は崇高な目的の為にある……。だが、君達は崇高な目的も美しさも欠片も持っていないようだね」
 塁は皮肉たっぷりにクラリスを挑発する。一生懸命仕事をしている職人を安易に殺そうとしている相手へ、彼は静かに怒りを覚えていたのだ。
 それを顔に出すことなく、塁はさらに敵を煽り立てる。
「なら、人に害を成す以上、君達はここにいてはいけない存在なんだよね」
 塁は斬霊刀を振るい、時に避けられながらもクラリスの身体、その霊体を切りつける。
 ケルベロスの攻撃によって、徐々に追い込まれるクラリス。カードから騎士を呼び出してこちらを圧倒しようとした。
「召喚機構同期開始。No.021。【ティアー】召喚します。『ブレイズ・ルーン』実行命令」
 しかし、プルミエが呼び出すクール系のドワーフ女性がクラリスの所作を許さない。騎士が攻撃を繰り出す前に紋章を発動して騎士を解体し、さらにクラリスの身体にその紋章を刻み込む。
「次回の生があれば、先に召喚術を盗んだ方が良いですよ」
 だが、その声は届かず。その女忍者は地面へと沈んでいった。
「命運尽きましたわね」
 怜奈は武器を収め、螺旋忍軍の男を抑える仲間の下へと急ぐ。

 道のど真ん中で、クリームヒルデとアデレードがアドルフを抑えていた。
 敵はジャグリングさせながらナイフを操り、2人に斬撃痕を増やしていた。アデレードは盾になりつつも、回復を考えていたが、どうやらグラビティの活性に難があったらしい。アデレードはそのままバールを投げつけるなどして攻撃を繰り返す。
 そのアドレードをクリームヒルデが支える。彼女はネットに心温まるエピソードの投稿を行い、それをきっかけとしてアデレードの傷を癒す。
 アドルフは気を良くして刃をジグザグに振るうが、そこにクラリスを撃破したメンバーが駆けつけた。
 カスタードが新たな壁となり、むささきがウイングキャットのぐんじょうと傷つく2人の回復に当たる。むささきはオウガ粒子を飛ばすことで、仲間の感覚を覚醒させていたようだ。
 塁が起こす爆発を堪えるアドルフ。すでに従うクラリスの反応がないことに、彼は愕然としていた。
「逃がしませんわ」
 怜奈がその背後に立ち、ナイフを振るって仲間の付けた傷をジグザグと斬り広げる。プルミエは冷めた顔で氷の騎士を再度呼び出し、苦痛に顔を歪めるアドルフの身体を凍りつかせる。
「拘束制御術式三種・二種・一種、発動。状況D『ワイズマン』発動の承認申請、『敵機の完全沈黙まで』の能力使用送信―限定使用受理を確認」
 ベルが解放した「拘束制御術式」。身体の周囲に発動したいくつもの魔方陣から霊鎖が伸び、敵の体に喰らいつく。
 そして、鎖を通じてベルが放出した雷。それがトドメとなり、アドルフは黒煙を噴き出して崩れ落ちたのだった。

●創作タイム再び!
 螺旋忍軍の討伐に成功したケルベロス達。
 怜奈が別所に避難している造形師へと連絡する間、それぞれ戦場となった場所に、クリームヒルデはネットからときめきを感じるスレッドタイトルを探し出して読み上げることで、破壊された箇所に力を与えて修復していく。
「それじゃ、創作続行!」
「ならば、ボクが本職の方のモデルになろうじゃないか」
 クリームヒルデが片手を振り上げるところで、塁がまたもポージングしてモデルを自薦するも、皆は完全スルーである。
 そんな中、ベルは先ほど造りかけていた可愛らしくえっちぃ女の子のフィギュアを完成させ、満面の笑みを浮かべる。自身のイラストを立体で再現し、満足いった表情を見せていた。
 造形師大田が自分を護ってくれた礼にと造っていたのは、2体のフィギュアだ。
 1体はモデルとなっていたクリームヒルデを象ったものだ。ジャージでぐーたらしている彼女を見事に再現している。
 もう1体はむささき依頼のたう殿のフィギュア。美しい髪色が特徴的で、白バラの似合う彼女を可愛らしく象っていた。
「皆、可愛いでござる! 可愛いでござるよ! ぜひ、ぜひ、たう殿もこの列に加えたいでござる!」
 プロの業によって完成したそのフィギュアに、むささきは興奮していたようだ。
 ――ところで。
「なに、ボランティアさ。カッコよく生まれたものの宿命だよ」
 皆が作業を終えてもなお、塁は1人でポージングを続けていたのだった……。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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