人食い蒸気機関車G29000

作者:荒雲ニンザ

 もう使われていないトンネルに、1本だけ線路が続いている。
 ここ最近、撮り鉄に有名らしい噂が流れており、それを確かめに訪れた、やっぱり撮り鉄の男が息を切らせて山道を歩いていた。
「鉄道マニアで都市伝説好きの俺としては、巨大な蒸気機関車の顔を持つオバケの噂なんぞを耳に入れたら、確かめねばならないだろう! 人を食うだか何だか言われたとしても、そんなレア電が走ってるなら、写真に収めないとダメだろ!」
 三脚を良い角度に立てようと美しく伸びたススキの束を踏み荒らし、ファインダー越しにトンネルと線路を構える。
 すると突然、カメラの前に第五の魔女・アウゲイアスが現れた。
「うおっ!! 何だよ、お前も撮り鉄か!?」
 女性は次の瞬間、手に持った鍵で男の心臓を一突き。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 意識を失った男は崩れ落ち、その横に……G29000と書かれた、顔だけ巨大な蒸気機関車ドリームイーターが現れた。

 言之葉・万寿(オラトリオのヘリオライダー・en0207)が、アイラノレ・ビスッチカ(飛行船乗りの蒸気医師・e00770)と共に急ぎ足で現れる。
「大変ですぞ! 『巨大な蒸気機関車の顔を持つ人食いオバケ』なるものに、強い『興味』を持った撮り鉄の男性が、それを探している途中にドリームーイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こってしまいました!」
 現在、『興味』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようだが、奪われた『興味』を元に現実化した怪物型のドリームイーターが、駅で電車を写真に撮ろうと集まっている撮り鉄達を襲おうとしているらしい。
「怪物型のドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破して頂きたいというのが、今回の依頼でございます」
 このドリームイーターを倒す事ができれば、『興味』を奪われてしまった被害者も目を覚ましてくれるだろう。

 敵のドリームイーターは1体のみで、配下などはいない。
 ドリームイーターは、自分の事を信じていたり、噂をしている人が居ると、その人の方に引き寄せられる性質がある。それを利用し、うまく誘き出せば有利に戦えるだろう。
「あと、気を付けて頂きたいのですが、『巨大な蒸気機関車の顔を持つ人食いオバケ』は、人間を見つけると『オイラの愛称な~んだ』と問うてくるようです。そこでこちらが正しい対応をせず、気にくわない返答をすると怒り出し、殺そうとしてくるらしいのです」
 万寿の説明にアイラノレが加えてやる。
「答えられなかったり、見当違いな対応をしてしまうと、怒りだすみたいです。例えば『機関車オバケ』とか、『ドリームイーター』とか、そういうことじゃないみたいですね。うまい事考えて、切り抜けて下さい」
「この方は困った撮り鉄のようですが、マナーを守る鉄道ファンも大勢おります。良い薬にできるよう、ぜひとも助けてお説教ですな」
 万寿の怒りにアイラノレもニッコリ笑って同意し、革の手袋を恐ろしいまでの気合いでギュッとはめこんだ。


参加者
十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)
叢雲・蓮(無常迅速・e00144)
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)
アクセル・グリーンウィンド(緑旋風の強奪者・e02049)
久瀬・彰人(地球人のガンスリンガー・e04430)
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)
天野・司(不灯走馬燈・e11511)
御ヵ啼・文(花色ヴァンガード・e33000)

■リプレイ

●薄暗い獣道
 パリパリと小枝を踏みならし、事故現場の周囲を散策しているケルベロスご一行。
 目をキラキラさせている天野・司(不灯走馬燈・e11511)が、今回のドリームイーターを探し回っていた。
「奇妙な都市伝説もあるもんだ、人の世に謎は絶えないな」
 アクセル・グリーンウィンド(緑旋風の強奪者・e02049)が話に乗る。
「ふにゅー。すこーし厄介かな。おばけ機関車かー」
「おばけはいない」
 間髪入れずソッコーで断言したのは、ガチガチの御ヵ啼・文(花色ヴァンガード・e33000)だ。
「今回の機関車はおばけじゃなくて化け物、実態がある」
 ピリピリしながら周囲を警戒し、若干退け腰のまま皆の中央にいる。おばけは苦手だが好奇心に負けて来たんだなと子供でも分かる様子だが、みんな優しいので口に出さない。
 その後ろからついてきていた叢雲・蓮(無常迅速・e00144)が、えー! と声を出す。
「おばけ電車じゃないのー? でも、顔の付いた機関車なのだよー!!」
「お、おばけじゃないっ」
 頑なに霊体を否定する文を余所に、鉄道にワクワクなお年頃のちびっ子である蓮は、年の近い仲間にジェスチャーをしてみせる。
「ドリームイーターじゃなかったら乗りたかったの。ボク、トンネルに入りそうになったら、てやーって窓を閉めるのだよ♪」
 それを受け、同じような年代のウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)が、鼻のつけひげをつまみながら唸った。
「何だかミステリーの予感をさせるのう。人喰い蒸気機関車殺人事件というとまるで多くの人が謎の死を遂げる曰く付きの機関車という感じでのう」
 年相応の素振りをしていないのは、威厳と知性に憧れているからのようだ。
「まあ、こやつは本当に人を喰らう化け物機関車をモデルに作られたドリームイーターじゃからのう。ミステリーというよりはオカルトじゃな。」
「いないっ、オバケなどいないっ……」
 ぶつぶつと念仏のような声を発する某氏を宥め、十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)が靴のかかとを3回こつんと慣らして言ってやる。
「無事に帰れますように、大切な靴で、大切なおまじない」
 そんな会話をしていると、後ろからかなり遅れて水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)と久瀬・彰人(地球人のガンスリンガー・e04430)がやってきた。
「最寄り駅に通報してきた。でも、被害者が見あたらないんだよなあ。どこに寝てんだか」
 鬼人の後に、彰人も詳細を告げる。
「他の撮り鉄や観光客がいたから、戦闘場所付近に近づかないように忠告してきた。後は駅員がバス会社と連携して、うまくやってくれるだろう」
 人数が増えた上に現実的な話に流れ、やっと文が例の言葉以外を話した。
「マナー悪いのは自業自得だよね……っとまぁこれで懲りてくれれば頑張れるけど!」
 確かに。
 苦労して助けても、全く懲りてなかったら、もう一度オバケの口の中に放り込みたくもなろう。
 彰人も頷く。
「パッチワークが引き寄せられるほど、このマナー違反の撮り鉄に興味があるのか疑問なところだが、実際に起こっているところを見るに、そういう事なんだろうな」
「どちらにしても、蒸気機関車とは一度見てみたいのう。写真等でしか見たことがないからのう」
 楽しみじゃのう、と続けたウィゼの言葉の後、泉が頷く。
「顔を持った蒸気機関車が、食事を求めて徘徊しているようですが、気になりますね。気になりませんか。え? 食べられてみたい?」
 何故かチラリと水無月を優しい笑顔で確認し、見られた本人はエッ何で俺!? と身構える。
「しっかし、大きな顔ってどのぐらい大きいのかなー」
 アクセルが何気なく右を向いた時だ、視界いっぱいにニッコリ笑った口が目に入り、顔だけやたらと巨大な機関車が現れたのを見ると、驚いて飛び退き、文の背後に走り込む。
「うわ、流石にオバケとあって気味悪ぃ!」
 先までウキウキしていた司も大げさにドン引きしていたが、逆に文はオバケではないのを目にしてシャキーン! と胸を張った。
 そして例の如く、人食い蒸気機関車G29000は問いかけてきた。

●なぁんだ?
「オイラの愛称な~んだ」
 人食い蒸気機関車G29000の問いかけに、一同時が止まる。
「愛称……?」
 妙な投げかけをされ、咄嗟に言葉が出ない。
 シュッ、シュッ、と蒸気が漏れ始め、G29000の笑った口元が徐々に下がっていく。
 アクセルはちょっと考え、とりあえず思った1つを口に出す。
「ゲニックオースリーかな~?」
 Gと29と000をバラしたものだろう。
 G29000が汽笛を鳴らして怒り始めた。
「違あぅぅぅ!!」
 慌ててアクセルが両手を前に出して止める。
「まってまってまって! 8人いるんだから、みんなのも聞いてからにしてよーっ!」
「ふむ」
 G29000は単純らしい。落ち着いたようだったので、今度は文がチャレンジに向かう。
「機関車ってかっこいいよね! ボク大好き! しかもそれが動いて人を食べちゃうっていう噂だから、すっごくわくわくする。オバケじゃないデショ、化け物でしょ? 実際に食べてるところを見たいなー」
 チラッ、と何故か鬼人を見る。
「機関車ぽっぽさんだー!」
 再び汽笛が。違ったようだ。耳を押さえて蓮の後ろに回り込む。
 てんで検討がつかない蓮は、とりあえずタゲを向かせるためにも、間違えたら襲ってくる性質を利用して、ダメ元で答えてみた。
「ん~っと……『シュッポ』とか!!」
 汽笛。これも違うようだ。
 泉が前へ出た。
「名も知れぬ誰かの見た夢の蒸気機関車。ドリームスチームさん、略してどむさんなど如何です?」
 至近距離からの汽笛と共に、細いラインの身体が若干宙に浮く。
 続いてウィゼが、うーんと唸った後に、ぽつりと答えた。
「G29000じゃから、ギガ肉専かのう? 人肉ならGではなくZじゃしのう、ここはギガと読んでみたのじゃ。29は肉で000は千じゃから専門の専で、ギガ肉専なのじゃ」
 G29000がハッとする。
「惜しい!」
「ぬっ!? 惜しい!?」
 そこまで聞いていて、文がモヤモヤし始めた。
(「29000って……ニクっていう語呂合わせかな……」)
 ウィゼが惜しいのならと、彼女はニッチな鉄道愛称法則を思いだし……思い切り叫んだ。
「それじゃあ機関車Gニック―!」
「アタリィィ!!!」
 嬉しそうな声と共に、ファシャーーー!!! と蒸気が一気に周囲に漏れる。
「オイラの愛称はジンニク! みんなを食べてエネルギーに変えて走るヨ!!」
「物騒だなーーー!」
「Zだと、Z29で、パッと見がゼイニクになっちゃう! 鉄道は、カッコよくなきゃダメ! オイラのボディには、肉とロマンがつまってるから!」
「喧しい! この珍走機関車エセクレプレスめ!」
 ムチャクチャな謎かけに鬼人が怒り出す。
 因みに『エセクレプレス』は『似非ダモクレスエクスプレス』の略。
「ジンニクだって言っただろ! デゴイチとか、ハチロクとか……!!」
「愛称なんて解るわけないだろ馬鹿、初対面なのに!」
 司の一言に汽笛が鳴らされる。
「お前らの暴言、許すまじ! エネルギーにしてやるぅぅ!!」
 当たろうが外れようが、どの道襲ってくるのだ。
 司は自分に進路を向けて走り出したG29000から全力で逃げると、写メを撮っている鬼人を見つけて叫んだ。
「オーーーイ!! 何してんだ!!」
「や、マナー違反の撮り鉄が、ただで言うこと聞かなかった時のためにと思って、記念撮影を……」
「後でにしろーー!!」
 パチリ。
「よし、お待たせ」
 鬼人は逃げる司の背後に飛び込み、真っ向からG29000の巨顔を受け止める。
 周囲の木々がバキバキと倒れ、ファシャーーー!! と蒸気が渦を巻く。
 戦闘開始だ。

●エネルギー問題
 鬼人がG29000の巨顔を抑えている隙に、キュッと踵を返した司の腕に覆われていたオウガメタルが、鋭く鋼の鬼に変化し、拳で敵の装甲を砕いた。
 戦術超鋼拳を食らったG29000は背後に車輪を回し、顔を跳ね上げる。
 間髪入れず泉がその頭上から惨殺ナイフを振り下ろし、血襖斬りで大きくダメージを重ねた。
 手応えは堅い。
「ディフェンダーか……?」
 泉の着地を見てから、鬼人は敵の顔を放し、そのまま絶空斬を放って距離を取る。
「だったら、こうだ!」
 彰人がデスサイズシュートを放つと、敵の防御が緩んだようだ。
 確実にしとめるべくバッドステータスを多く重ねたいが、メンバーにジャマーがいない。しかし敵の攻撃は特にこれといった特徴もない。地道に火力で削れば多少時間はかかるだろうが安易に倒せるだろう。
 ウィゼは長期戦に構えるべく、戦言葉を使用。
「ポッポーなのじゃ!」
「マネするな!! ポポポポポポッポ~!」
 怒ってウィゼに走り始めるG29000を避け、蓮がその横っ面に斬霊斬を突き立てるように引き絞った。
 止まらぬ勢いに対し、アクセルがペトリフィケイションで足回りを破壊していく。
「まあまあ、そんなに慌てちゃだめだめだよー」
 体当たりを予想して踏ん張ったウィゼであったが、G29000は寸前で顔から後ろを滑らせるように回転すると、そのまま進路を大きく逸れ、大口を開けながら再突撃を開始し、鬼人にタゲをあわせてきた。
「お?」
「何で俺!?」
 ディフェンダーにタゲが向いているのであれば、問題はあるまい。
 文がライトニングロッドを握りしめ、目の前を通り過ぎるG29000を見送った後、期待を外さない男がその大口の中に吸い込まれた。
 その場にいた若干何名かが、wの大草原を心の中のSNSに投稿したことだろう。
 G29000の口から下半身だけを出し、バタバタもがく鬼人に対し、司が慌てて間合いに飛び込んだ。
「今行くからな!」
 ザッと土煙をあげ、オウガメタルが彼の意思で滑り始めると、ピカッと周囲が光る。
「……その前にちょいと一枚」
 パシャリとシャッター音が聞こえ、メンバーがG29000に食われた鬼人の下半身と記念撮影。彰人が呆れて肩をすくめていた。
 口の中から大いに意義を訴えているだろう、もがき声が。
 蓮が『うんしょ』とその彼を引っ張り出してやると、再び戦闘開始だ。
「消せよ!? 絶っっ対消せよ!?」
「鬼人君、敵! 敵! 向こう!」
 笑う司に詰め寄る鬼人をとめている泉を見ながら、文が爆笑しつつエレキブーストをかけている。
 そうこうして攻撃を重ねているうち、バッドステータスがようやく効いてきた頃に敵の疲労が見えてきた。火力押しで随分余裕のある戦闘だったが、大分時間を取ってしまった。
「そろそろかなー。ちうたーん」
 アクセルが放ったファミリアシュートのネズミのちうたんが、機関車内部に入り込み、かろうじて動いていた動力に留めを刺した時だ。
 アクセルはファミリアロッドを一度大きく回転し、背後にG29000を構えると、もう片方の手を天に向かって突き出した。
 ぐしゃっ、と音を立ててつぶれた機関車は、ズンと沈むと、二度と動くことはなかった。

●おしおき
 それからしばらく周囲を捜索、ウィゼが被害者の撮り鉄をみつけた。
「おったぞー」
 それから全員で取り囲み、頬を叩く。
「ほれ、起きろ、撮り鉄」
「ハッ!? あ、アイタタタ……」
 撮り鉄は気がついた瞬間、打ち付けた後頭部を押さえてうずくまる。それに文がヒールを施しつつ言った。
「ダメでしょおじさん! ここに来る間も、ススキ踏みつけてたのおじさんかな。マナーは正しく、そうしないと々趣味を持つ皆がそういう目でみられるんだよ」
「な、何のことだ。俺は知らん」
 ススキのベッドの上に寝転んでいた人間の口から、そんなデマが。
 頭を打ち付けて無事でいたのは、このススキのクッションのおかげだというに、恩すら感じないらしい。
 鬼人が戦闘中に撮っておいたG29000の写メを見せてやる。
「同じルール内で競い合ってこその趣味だと思うし、二度とこんな事起されたらたまったもんじゃないからな。全く、よ」
「アッ! そ、それは……レア電!? く、くれ!! その写真、くれ!!」
「オメーがドリームイーターになってたんだよ……!」
 全く反省していない撮り鉄に、蓮がゲンコツを上げて怒った。
「写真のために迷惑掛けちゃダメなの!! 皆の電車なのだよ!!」
「おじさんも楽しく撮り鉄すること!」
 文も続いたが、お子様に言われても、フンと鼻で笑って聞く耳を持たない様子。
「俺たちがいるから、お前等はいい角度の写真見れてるんだろ」
 どうしようもないヤツだと一同ムカついていると、泉が静かに言った。
「マナーは大事ですよ? そして、好奇心は抑えきれないと人を傷つける事にもなりますから、気を付けてくださいね?」
 それでも言い返そうとした撮り鉄に、鬼人が写メをチラつかせる。確かに、こんなものが世の中に出回っては、二度と写真がとれなくなってしまいそうだ。
「う、ぐぐぐ……。今回は、礼を言ってやる」
 立ち上がる撮り鉄に手を貸そうとした文の腕を払いのけ、三脚と割れたレンズのカメラを持ち上げると、フラフラと男は山道に向かって歩き始める。
「その写真、流したら、ただじゃすまねーぞ! 覚えとけよ!」
 感謝の言葉に心はこもっておらず、そのまま撮り鉄が見えなくなると、鬼人は写メのデータを削除した。
 ばかばかしい。こうなることを予想していたから写真に収めただけで、始めから流すつもりもなく、ただ言い聞かせるための1枚にしただけなのに。
 後味の悪い依頼になってしまったなと思った時、遠くから汽笛が聞こえて来た。
「あれ? 蒸気機関車? 何で?」
 アクセルが驚くと、ウィゼが教えてやる。
「観光の一環で、機関車が定期的に通る駅じゃから、その時間帯になったのじゃろう。ちゃんとした機関車でも、見て帰ろうかの」
 蓮がその提案に大喜びして賛同し、幼少チームが走り出す。
「私たちも行きましょう」
 泉が言い、大人達も駅に向かって歩を進める。
 少し遅れて、鬼人が言った。
「ゴホン。いいかみんな。恋人には、くれぐれも秘密で!」
「何を?」
 司がシラを切ると、歯を食いしばりながら鬼人が両手を合わせてきた。
「泉が言ってただろお、好奇心は抑えきれないと、人を傷つける事にもなるから、気を付けろってぇ……」
 司は『どうしようかな~』と笑っていたが、皆の目の前に携帯を取り出すと、G29000に頭から食われている下半身だけの鬼人の写真を、ピッと削除した。
 まあ、どうやっても、あの光景は、彼らの頭の中からは削除できないのであるが。
 仲間のためにマナーを守ってやるのも、ケルベロスのお仕事……というか、人の当たり前の姿だろうと思う。
 遠くから山に木霊す機関車の汽笛は、喜んだように澄んだ音色を響かせた。

作者:荒雲ニンザ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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