ナースアイドル? ふざけんじゃないわよ!

作者:秋津透

「沙織……あんたは前から、へっぽこナースだったわね。あんたのおかげで、一緒に働いていたあたしたちが、どれだけ迷惑をこうむったか」
 埼玉県所沢市郊外の、山の中に建つ西洋館。その一室で、ピンクナース服姿の女性が猿轡を噛まされ、拘束されている。そして、なぜかナースキャップをかぶった鳥人間ビルシャナが、低い女性の声で何やら恨み事らしきものを綿々と告げている。
「そしてあんたは、血が怖くなったとか言っていきなり仕事を辞めた。猫の手も借りたいほど忙しい時期だったから、本当に参ったわよ。それでもまあ、向かない仕事に固執して、周り中に迷惑かけ続けるよりはマシかな、と思ってたけど……ナース辞めて始めた仕事が、ナースアイドルですって? ふざけんじゃないわよ! ナース失格のあんたが、ナースの格好でちゃらちゃら歌って踊って、ファンにもてはやされる……そんなふざけた話、許せるわけないでしょう!」
 ぎいっ、と、耳障りな叫びをあげると、ビルシャナはメスを手に取った。
「あんたは血が怖いんだってね。じゃあ、その血をたっぷり見せてやるわ。あんた自身の血をね!」
 言いながら、ビルシャナは拘束した女性の肌にメスを滑らせる。ごく浅い傷だが、皮膚が破れ、さあっと血が流れ出る。
(「ひいいっ……」)
 声にならない悲鳴をあげ、拘束された女性……ナースアイドルのSAORIはぎゅっと目を閉じる。
(「助けて、助けて、ケルベロス様……あたしを、そして優先輩を助けて……」)


「埼玉県所沢市で、デウスエクス・ガンダーラことビルシャナを召喚した女性が、事件を起こそうとしています」
 ヘリオライダーの高御倉・康が、難しい表情で告げる。
「彼女の名は中津川・優。看護師です。以前同僚だった看護師が、看護師を辞めた後、ナース姿のアイドルに転身したのを知って、憤慨のあまりビルシャナを召喚、ナースアイドルを誘拐して散々に罵りいたぶったあげくに殺そうとしています。誘拐されるのは、先日オークに目をつけられて誘拐されそうになった「TOKOROZAWAナース隊」のSAORIさんです」
 何というか、やっぱりデウスエクスの被害者になりやすい人っているんでしょうか、と、康は小さく溜息をつく。
「ビルシャナ召喚者は、自分の親戚が所有している西洋館に被害者を監禁、拘束しています。今から急行すれば、召喚者が被害者を傷つける前に、突入することができるでしょう」
 そう言いながら、康はプロジェクターに画像を出す。
「場所はここです。西洋館にいるのはビルシャナ召喚者と被害者だけで、誰かが訪ねてくるということもありません。攻撃して倒すこと自体は、それほど難しくはないと思います。ただ、ええと……被害者のSAORIさんは、前回の事件でケルベロスに全幅の信頼を抱いているので、拘束を解いて行動を指示すれば従ってくれるとは思いますが……ただ、何とかしてビルシャナ召喚者……先輩ナースの中津川・優さんを助けたいと熱望しているようです」
 そう言って、康は頭の横をぽりぽりと掻く。
「中津川さんは真面目なナースで、決して根っからの悪人ではないようですが……SAORIさんに対する怒りと嫉妬はかなり激しいようで、気持ちを解くのは相当に難しいと思います。ビルシャナと引き剥がして助けることができれば、それに越したことはありませんが、逆上したビルシャナ召喚者がSAORIさんをいきなり殺そうとする危険性も、小さくないと思います。そのあたりを考慮の上……よろしくご対応お願いします」


参加者
久遠・翔(銀の輪舞・e00222)
羽丘・結衣菜(マジシャンエルフ・e04954)
レイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)
チェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614)
山彦・ほしこ(山彦のメモリーズの黄色い方・e13592)
ドラーオ・ワシカナ(ジャストドゥーイット・e19926)
御ヵ啼・文(花色ヴァンガード・e33000)

■リプレイ

●突入、そして確保
「連絡来たわ。裏口班、潜入成功、被害者奪取準備完了」
 音声認識機能付インカム式小型携帯電話を身に付けた羽丘・結衣菜(マジシャンエルフ・e04954)が、御ヵ啼・文(花色ヴァンガード・e33000)からの連絡を受け、小声で囁く。
 それを受け、山彦・ほしこ(山彦のメモリーズの黄色い方・e13592)が表情を引き締めうなずく。
「よし、突入だべ!」
 派手にいくだよ、と、ほしこは『山彦のハンマリングマイク』と名付けた愛用のドラゴニックハンマーで、玄関扉を豪快にぶち破る。
「な、何っ!?」
「おらこそは、歌って踊って祈っちゃうノマドご当地アイドル『山彦のメモリーズ』の……もといっ、今日は『TOKOROZAWAナース隊』の臨時助っ人ナースアイドルHOSHIKO!」
 わざわざ黄色いナース服を着てきたほしこは、驚愕するビルシャナ召喚者へ堂々と宣告する。
「ナ、ナースアイドル!? じゃあ、沙織の仲間!?」
「ええ、そういうことになるのでしょうね」
 ほしこに続いて館に入ったチェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614)が、穏やかな口調で告げる。
「私はナースアイドルではありませんが、彼女たちと同じく、歌と音楽で人の心を癒そうと志す者です」
「人の心を癒す? ナースアイドル……沙織が?」
 いったい何の冗談よ、と、ビルシャナ召喚者は唸る。
「そりゃ、人を癒す音楽はあるわよ。でも、アイドルが、ちゃらちゃらと歌って踊って……まして、ナース失格の沙織がナースの格好して……そんなもの、腹が立ちこそすれ、何も癒されない……」
「気持ちは分かるわ。あなたは、沙織さんの行為を、自らが心血を捧げて従事する職業への侮辱だと感じてしまった」
 抑えた声で、結衣菜が告げる。
「でも、違うと思うんだ」
「何が違うの!」
 声を張り上げ、ビルシャナ召喚者は侵入者たちを睨み回す。
「あんたたちに、何がわかるっていうのよ!」
「全国の地下アイドルを知る身として言うな。ナース隊は、ただのコスプレじゃ断じてねぇ!」
 ほしこが、負けじと声を張る。
「ヨコシマな目やキワモノと詰る声に抗い、本気のア医ドルとして皆の心を癒してきた地道な努力! ナースの苦労に劣らねぇはず!」
「笑わせないで! へっぽこの沙織に、そんな苦労できるはずない!」
 ぎいっ、と、耳障りな声をあげ、ビルシャナ召喚者はほしこと睨みあう。
 その瞬間、奥側からレイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)ドラーオ・ワシカナ(ジャストドゥーイット・e19926) そして文の裏口班三人が飛び出し、ビルシャナ召喚者の注意が完全に離れた被害者……ナースアイドルSAORIを確保する。
「あっ!?」
 慌てて振り向いたビルシャナ召喚者の前に、レイのサーヴァント、ライドキャリバー『ファントム』が飛び込み第一の防壁となる。
 更にドラーオと文が立ち塞がり、SAORIをお姫様抱っこで抱えたレイが、大きく間合を取る。
「助けに来たぜ! って、俺の事覚えてるかな?」
 猿轡を外し、拘束を解きながらレイが尋ねると、SAORIの両目に涙が溢れる。
「覚えてます、もちろん! レイ様! ケルベロスのレイ様! きっときっと来て下さると、信じてました!」
 わあっと泣きながら、SAORIはレイの胸に縋りつく。
「ああ、待たせちまったが、無事で良かった」
「お、おのれ!」
 ぎいっ、と、またも耳障りな声をあげ、ビルシャナ召喚者はレイとSAORIを睨み据える。
「お前は、いったい、何? 沙織の……ナースアイドルのファン?」
「俺は、ケルベロスのレイ・ジョーカー。デウスエクスから地球を守る者だ」
 努めて冷静に、レイは告げる。
「自覚ないのか? あんた、デウスエクスの悪い力を召喚しちまって、姿も化物に変わりかけてる。このまま行ったら、あんた、侵略者の手先になって、地球人を殺しまくり、俺たちケルベロスに斃される以外なくなる。もちろん、ナースの職には戻れないぞ」
「……え? え? え?」
 当惑した声を出して、ビルシャナ召喚者は改めて自分の姿を見やる。おいおい本当に自覚ないのかよ、とレイは憮然とする。
(「この人、SAORIさんのことへっぽこ呼ばわりしてたけど……ビルシャナ召喚して、憑依変身して、誘拐監禁までやっちまったのに、その状況を自覚してないって……実は相当に、お間抜けさんじゃないか?」)
 さすがに口には出さなかったが、レイが小さく肩をすくめると、SAORIが泣くのを止め、ビルシャナ召喚者に向けて声を張る。
「だいじょぶです、優先輩! 私、友達から聞いてます! ビルシャナにとりつかれて、人を殺しかけても、我に返って、自分は人を殺したりしない、ビルシャナになんかならない、って強く強く念じれば、ケルベロスの人たちが助けてくれます!」
「ちょ、ちょっと、何、沙織……?」
 更に当惑した声を出し、ビルシャナ召喚者はSAORIを見やる。
「助けてくれるって……この連中、あたしに誘拐されたあんたを助けるために押しかけて来たんじゃないの?」
「それだけじゃないっす! 俺達は、あなたをビルシャナから解放させるために来たっすよ!」
 久遠・翔(銀の輪舞・e00222)が誠心誠意で告げ、シュリア・ハルツェンブッシュ(灰と骨・e01293)が悠然と言葉を添える。
「ああ、それがSAORIの望みでもある。ただしあたしらは、あくまで『手助け』役だ」
「沙織さんの望みは、あなたを助けること……では、優さん、あなたの望みは何なのですか?」
 チェレスタが穏やかに、しかし結構容赦なく尋ねる。
「看護という聖職を汚すように思える者を、怒りに任せて殺す……それが、あなたの本当の望みなのですか? 人の命を救う看護師が、人の命を奪うなんて、あまりにも悲しいではありませんか……」
「う……うう……」
 低く呻いて、ビルシャナ召喚者……中津川優は身を縮める。ふむ、よい兆候か、と、シュリアが呟いた。

●真相……そして
「あの、優先輩が怒るのも、無理ないんです……あたし、ナースの仕事してる時、ものすごく先輩にお世話になったんですけど……何も事情言わないで、いきなり辞めちゃいましたから」
 申し訳なさそうに、SAORIが話し始める。
「だから、今、ちゃんと事情話します。あたしがナースの仕事できなくなったのは、血を見るとパニック起こすから。どうしてそうなったのかは……その……家族が……あたしの……目の前で……」
「おい、無理するな!」
 ぶるぶると震えだしたSAORIを、レイは強く抱きしめる。
「思い出したくないことを、無理に思い出すな!」
「いえ……優先輩には……言わなくちゃ……事故で……トラックが突っ込んできて……家族はみんな、潰されて血まみれ……お父さんも、お母さんも、兄さんも……どうして、あたしだけが無傷……何もできない……ナースなのに……体が動かない……無傷なのに……」
 レイの腕の中で顔を伏せて震えながら、SAORIは途切れ途切れに言葉を継ぐ。
「……沙織」
 呆然として、ビルシャナ召喚者……優が呻く。
「知らなかった……そんな……酷いことがあったなんて……」
「貴公を非難するのではないが、ナースを目指しておった後輩が、いきなり『血が怖くなった』から仕事を辞めるとなると、何かトラウマになるような恐ろしい目に遭ったと想像して、しかるべきではないのう」
 ドラーオが、非難するのではないと言いながらも、やはり想像力の欠如を咎める語調で言う。
「忙しい中、余裕がなかったのじゃろうが、後輩に何があったのか、一度くらいは確かめに行っても、よかったのではないか?」
「いえ……もし来てもらっても、事故の後しばらくあたし、腑抜けて何もできず入院してましたから。……もうナースは続けられないというのは、納得してもらえたかもしれませんけど」 
 そう言ってSAORIは顔をあげ、レイを見やって吐息をつく。
「ありがとうございます。レイさんに縋らせてもらえたので、何とか言えました」
「……大丈夫か?」
 尋ねるレイに、SAORIは微笑する。
「だいじょぶです……MIHOも言ってました。家族のこと、忘れることなんかできないし、忘れてはいけない。辛いことも、思い出す必要がある時は、頑張って思い出して、その代わり、家族の笑顔、楽しかった記憶を、必ず重ねて思い出すようにしようって」
「MIHOって、TOKOROZAWAナース隊のMIHOさん?」
 ほしこが尋ねると、SAORIはうなずく。
「そうです。ナース失格のあたしと違って、MIHOは現役のナースで、お医者さんになる勉強もしてます。皆さんが優先輩に、ナースアイドルは頑張ってるって言ってくださいましたけど、本当に頑張ってるのは癒しの使徒MIHOと、本格ヒーリングミュージシャン志向のNAOMI。あたしは自分のトラウマ克服のため、リハビリさせてもらってるんです……私の家族は歌が好きでしたから」
 そう言ってSAORIは一瞬遠い目をしたが、すぐに笑顔で付け加える。 
「でもMIHOは、トラウマのあるSAORIでないと分からない、癒せない人もいるんだよ、って言ってくれます」
「……驚いたわ。何なの、そのミホって人。ちょっと、できすぎじゃない?」
 呟いた優が、次の瞬間、がくりと肩を落とす。
「……そうじゃないわね。ナースアイドルができすぎなんじゃなくて、あたしがダメすぎ。沙織が、心の傷から血を噴いてる患者さんだって気付きもしないで、腹立てるなんて……ああ、我ながらサイテー!」
「そんなことありません! 優先輩は立派なナースです! 技術の確かさは、あたしどころか、MIHOやNAOMIより上です!」
 SAORIが声を張り、ケルベロスたちも、当の優も目を見張る。
「ただ、忙しすぎて……あたしみたいに患者なのかどうか、はっきりしない相手にまで気を遣えなかった、それだけです!」
「ん、有能で真面目な人ほど、余裕なくなると辛い事態になるだよ」
 うなずいて、ほしこが優に告げる。
「だからYOU、やっちゃいなYOナース隊! 非番の日とかお試しで♪ MIHOならOKしてくれるだろっし、SAORIの気持ち、わかっから。いろいろ解消になること、間違いなしだよ!」
「ちょ、ちょっと、そういう話は無事にビルシャナを落としてから……」
 翔が驚いて口を入れると、ほしこは笑って応じる。
「翔もマジメだなぁ。ストレス溜まらんか? もう、ビルシャナなんぞ、落ちたも同然だべ?」
「そうだよ! 絶対、絶対、大丈夫! ね、中津川さん?」
 文に、きらきら光る瞳で見据えられ、優は不意に大声で笑った。
「やっだー! それ、当のあたしに訊く? あー、ごめんなさい! あたしがやらかしたこと、ナースにあるまじき愚行でした! 深く反省し……」
 と、そこまで言ったところで、くたっと鳥人間の身体が崩れ落ち、半透明のビルシャナが、その背からぼぅっと浮かび上がった。

●邪鳥去りて
「何ナンダ……コノ感情ノ揺レ幅ハ……憎ミ、妬ミ、一転シテ、同情シ、愛ス……正気の沙汰デハナイ」
 呻く半透明のビルシャナに、ほしこが怒鳴りつける。
「それが、人間らしいっちゅうことだべ! 暗い負の感情だけを固めようとする邪鳥は、とっとと消えるだ!」
 叫ぶと、ほしこはナース隊の曲をカバー、絶望しない魂を歌い上げ、ビルシャナに叩きつける。
「さぁて、出番だ」
 説得より戦闘が気楽だね、と嘯きながら、シュリアが二本のナイフを構えて殺到する。
「ハ、刃物ナドデ我ニ傷ヲ……ギエエエエエッ!」
 半透明の霊体に傷は残らないが、ダメージは着実に受けたらしく、ずたずたに切り刻まれたビルシャナが絶叫する。
「ふむ、心の弱みにつけこむビルシャナに、癒しのアイドルは天敵かもしれぬの」
 唸りながら、ドラーオが愛用の十文字槍『朽ちぬ紅葉(炎華)』を振るう。そしてレイと『ファントム』は、万一に備えてSAORIを護る体制を崩さず、レイが得意の射撃でビルシャナを撃つ。
(「『ファントム』の攻撃で、万一優さんの身体傷つけちまうととまずいし」)
 それに、バイクの体当たりや轢く攻撃は、SAORIさんのトラウマに良くないかもしれん、と、レイは気遣う。
 そして結衣菜は、不意に姿を消す。
「音も、光も、そして拍手も無いマジックショーの開幕よ」
 声だけが虚空に響き、ビルシャナは慌てて左右を見回すが、何も見当たらないまま、いきなり胴を両断される。
「ギアァ!」
「相手が霊体で血が出ないっていうの、今回は好都合かもね」
 必殺技『無明凶襲(インビジブルレイド)』を決め、元の位置に戻った結衣菜が呟く。
 するとビルシャナは、全身から光を発して、自分の傷を癒やす。
(「自分の命が惜しい? なら、地球人に手を出すべきではないでしょう?」)
 言葉には出さずに呟くと、チェレスタは防備の予定を変更、光剣を振るってビルシャナを斬る。続く翔も自己強化の予定を変更、敵を鉄塊剣で十字型に斬り、傷口を地獄化する。
「ギヤアアアアアアアッ!」
「なんか、手ごたえ薄いっすけど、効いてるようっすね!」
 自分を納得させるように翔が唸り、文はシュリアに破壊力強化の電撃を飛ばす。
「シュリアさん、やっちゃって!」
「応よ、まかしとき」
 にやりと笑って、シュリアはナイフでビルシャナを斬る……と見せかけ、竜の爪で頭部をぶち抜く。
「ガハッ!」
「ふん……早々に終わらせたかったけど、自己回復した分、苦しみが長引くか」
 自業自得ね、とシュリアは呟き、入れ替わりにほしこが『山彦のハンマリングマイク』を振るう。
「えいやっ!」
「グギ……ガ……ガ……」
 続けざまに猛攻を受け、半透明のビルシャナの姿が頼りなげに揺らぐ。
 そこへレイが、愛用の二丁拳銃『魔狼銃フェンリル【The Second】』と『冥淵銃アビス』を向ける。
「確実に仕留めるッ……・撃ち貫け! ブリューナク!!!」
「ギアアアアアアアッ!」
 二丁拳銃から放たれた高密度エネルギー弾が、全部で十の誘導弾に分裂、全方向から敵を撃ち抜く必殺技『光葬魔弾・ブリューナク(コウソウマダン・ブリューナク)』が発動。
 ビルシャナは全身に穴を穿たれ、欠落を埋められず、そして姿そのものが薄れて消える。
「やったか……」
「中津川さんは、気を失ってるけど息はある。ちゃんと人の姿に戻ってるよ!」
 いち早く走り寄った文が確認して告げ、SAORIが、ふーっと大きく吐息をつく。
「よかったぁ……よかったぁ。ありがとうございます、ケルベロスの皆様、本当に、本当に……」
「ああ、よかったな」
 涙声のSAORIに笑いかけ、レイは彼女を前に押しやる。
「さあ、先輩を介抱してやりな。血も出てないし、大丈夫だろ?」
「はいっ!」
 力強くうなずき、ナースアイドルSAORIは、先輩の傍らにひざまずいた。

 

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 3/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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