寄生型攻性植物の誘引

作者:質種剰


 夜の闇が垂れ込めた森の中。
「はぁ……」
 真夜中だというのに、独りの女が部屋着姿のまま、枝や草を踏みしめて歩いている。
 どうやら近隣住民の1人のようだが、30そこそこの年でありながら両手に何も持っていない——財布すら携帯してないだろう様子が、異様であった。
 髪はボサボサ、化粧気の無いすっぴん。
 女は、澱んだ瞳を宙へ彷徨わせ、虚ろな表情で森の奥へ奥へと歩みを進めた。
 すると、やたらと華やかな見た目で咲き乱れる花々が、女の目に飛び込んできた。
 ゼラニウムだろうか、赤く鮮やかな花が幾つも密集して生える土台は、濃い緑の葉や蔦がまるで人の形にそそり立っていた。
 腕のように枝分かれしている繁りの先には、これも薄紫のゼラニウムが大輪の花を咲かせて、花弁が手指のように地面へ垂れ下がっていた。
 寄せ植えのようなこの攻性植物、名をフレッド・ネグローニという。
「やあ、来てくれたんだね」
 フレッドが短く声をかけると、女も口を開く。
「変な人ね、私に話しかけるなんて……私、誰にも必要とされてないのに」
「そんな事無いさ」
 フレッドは優しげな声を出し、女の肩を叩く。
「僕には君が必要なんだ」
 その言葉は、どこか上滑りで、人間らしい情が微塵も篭っていない。
「……ほんと?」
 だが、それに気づかない女は、フレッドをひたと見据えて涙を零した。
「ああ」
 すると、ゆるゆる持ち上げた右腕を翳して、紫の花から光る花粉のようなものを放射するフレッド。
 ふわふわした光は女の体へ降り注いだかと思うと、すぐさま緑の葉を茂らせて女を包み込んだ。
 この急速に成長を遂げる枝葉も攻性植物である。女へ寄生して取り込んだのだ。
「…………」
 女を呑み込んだ攻性植物は、彼女が森へ来た目的も忘れて、今はただグラビティ・チェインを奪う為に、街へと戻っていく。


「宇治市の市街地に、攻性植物が現れるでありますよ」
 小檻・かけら(貝作るヘリオライダー・en0031)が、集まったケルベロス達を前に語り始める。
「攻性植物は、近隣の森から、グラビティ・チェインを求めて降りてきたらしく、人々を襲撃するつもりのようであります」
 それ故、ケルベロスである皆さんには、攻性植物が市街地へ入る前に、撃退をお願いしたいのであります。
 ぺこりと頭を下げるかけらだ。
「この事件を起こす攻性植物は、中に人間が捕らわれてるのでありますが、どうやら何者かの配下となっているみたいで、説得での救出は不可能であります」
 捕らわれた人間は、この付近で最近行方不明になっていた人物と特徴が一致している。
「運悪く、お1人で森に入ったところを、攻性植物に捕らえられたのだとは思いますけれど、少し気になるでありますね」
 かけらは首を傾げた。
「今回皆さんに戦って頂く攻性植物は、その頑健さを活かして『光花形態』に変形し、破壊光線を撃ってくるであります。射程の長い単体攻撃な上、光線の熱で火傷しますのでご注意を」
 また、『捕食形態』や『蔓触手形態』に変じて、隣接した敵を狙って喰らいついたり、触手で締め上げたりもしてくる。
「前者は体内へ毒を注がれる、後者は蔓に絡みつかれて捕縛される可能性があります。お気をつけくださいね」
 そこまで説明を終えて、かけらは微かに表情を曇らせる。
「……攻性植物に寄生されてしまった人を救う事はできません。これは、その人を攻性植物にした何者かの影響でありましょうね……」
 それでもケルベロス達を懸命に激励する。
「そうそう、今回は原因となる敵の発見は不可能でありましょうけど、警戒活動を続ければ敵の足取りを掴むことももしかしたらできるかもしれません。焦り過ぎず頑張ってくださいね」


参加者
日柳・蒼眞(蒼穹を翔る風・e00793)
バーヴェン・ルース(復讐者・e00819)
エステル・ティエスト(紅い太陽のガーネット・e01557)
レイリス・スカーレット(空想科学魔導師・e03163)
ニルス・カムブラン(暫定メイドさん・e10666)
ジャック・スプモーニ(死に損ないのジャック・e13073)
フレック・ヴィクター(武器を鳴らす者・e24378)
ミカ・ミソギ(未祓・e24420)

■リプレイ


 夜の帳が下りた宇治市の市街地。
 ケルベロス達は森の奥より現れる南天攻性植物を迎え撃つ為に、その森と程近い市街地の周縁目掛けて、続々ヘリオンから飛び降りていく。
「—ム、寄生タイプの攻性植物……か」
 バーヴェン・ルース(復讐者・e00819)は、危なげなく足で地面を踏みしめ着地してから、癖なのかコツコツとこめかみを叩いた。
 どうやら考え事をする時の癖らしい。
「犠牲者が出たそうだが……なぜ我々はいつもこう遅いのか……」
 そう忸怩たる思いで呟く彼は、灰色の髪と赤い瞳がクールなイメージのドラゴニアンで、人と竜どちらの姿も年齢以上の落ち着きを漂わせ、バーヴェンの真面目な内面がよく表れていた。
 真面目が行き過ぎてギャグになる事もしばしばらしいが、普段はストイックなイメージを与えるバーヴェン、右目の地獄が紫に燃えるブレイズキャリバーでもある。
 今は日頃のノリの良さを封印、武人らしい気骨稜々と、南天攻性植物を待ち構えた。
「攻性植物……危険だな。いずれ地上の全てを食らい尽くす悪夢になるかもしれん。文字通り、芽を摘んでおく必要があるだろう」
 次いで降り立ったレイリス・スカーレット(空想科学魔導師・e03163)も、鋭い視線に憂慮を滲ませて言う。
 鶯色のウィザードハットと紫の髪に咲いた白いブローディアが可愛らしいオラトリオの少女だ。
「攻性植物……この性質、覚める事の無い悪夢に酷似している……気になっていたのだ。徹底的に調べさせてもらうぞ」
 今回の南天攻性植物から何か情報が得られまいかと望みをかけているレイリス。
 自ら開発したという対竜殲滅用神双槍杖 神威弐式を携えて、まずは市民を守るべく戦いに望む。
「やれることをやろう。出来れば状態をなるべく保ったうえでサンプルが取れればいいけれどそこまで都合よくいくとも限らないし」
 己へ言い聞かせるように諭すのは、ミカ・ミソギ(未祓・e24420)。
 短く整えた黒髪と透き通るような翠の眼が爽やかなヴァルキュリアの少年で、無表情ながら性格はマイペース。
 ミカもまたレイリス同様に寄生型攻性植物を調査しようと、まずは検体を確保する方法をあれこれ思い巡らせている。
 一方。
「攻性植物は、ある意味あたしらにとっても恐るべき脅威だった。でも今エインヘリアルは奴らとも繋がっている……」
 フレック・ヴィクター(武器を鳴らす者・e24378)は、同じ人型攻性植物という事で、オーズの種を植えられた人やオーズ兵器について、事前に調べて来たようだ。
「つまり交渉が出来るのかそれとも捕まえて利用しているのかしら?」
 とはいえ、かすみがうら事変については判明していない事柄もあり、オーズの種回収に動いていた星霊戦隊アルカンシェルにしても、攻性植物側の明確な意図は不明である。
「まあ、ある意味エインヘリアルとしては正しい行動かも知れないけどね……あたしらもそうだったし」
 デウスエクスの頃の自分を思い返して、自嘲気味に洩らすフレック。
 ともあれ、森から市街地へ降りてくる『何者かに操られた』南天攻性植物の侵攻ルートが森と市街地の最短距離であるよう、彼女は願った。
「依頼を受けて攻性植物さんと戦うのは初めてです。過去に寄生された一般人の方は救出する事が出来たと伺ってましたが……残念ながらそれも叶わないのですね」
 と、悲しそうな声になるのはニルス・カムブラン(暫定メイドさん・e10666)。
「寄生された方は他者に害をなす存在になる事を受け入れたのでしょうか?」
 心優しいニルスは常々、デウスエクス相手でさえも『戦う以外の道があるのでは』と模索している。
「その真意は図れませんが、被害者が出る前に止めなければなりません……」
 なればこそ、今回のように被害者を助けられないと判っていながら戦いに赴く心境は殊更複雑であろう。
 ブロロロロ……。
 南天攻性植物を待ち受けるニルスの下、ライドキャリバーのトライザヴォーガーが出す排気音も、彼女の胸の内を察してか慰めているような響きだ。
 他方。
「虫どもが騒いだとおもったら次は雑草。たとえキリがなかろうと、すべて刈り取るのみです」
 エステル・ティエスト(紅い太陽のガーネット・e01557)は、ローカストを虫、攻性植物を草と断じて、南天攻性植物の打倒を彼女らしい言い回しで誓っていた。
 極度のデウスエクス嫌いであるからか、その声音には嫌悪の色を隠そうともしない。それだけデウスエクスを憎む理由がエステルにはあるのだろう。
 そんなエステルは、普段ならば明るい表情も見せる北欧出身の留学生。
 短くすっきり整えた金髪と赤い瞳が可愛い、兎のウェアライダーである。
 この日も携帯音楽プレイヤーを手放さず、好きなトランスを降下寸前まで聴いていたようだ。
 さて、仲間が自らヘリオンから降下する中。
 ドサッ!
 日柳・蒼眞(蒼穹を翔る風・e00793)だけは、相変わらず小檻に蹴り落とされていた。
 攻性植物を取り込まれた被害者女性ごと始末する——無関係だった筈の女性の命を見捨てなければいけない事へ、ずっと割り切れない思いでいた蒼眞。
 とはいえ、それを機内で口にしたり小檻へぶつけたりするのは無意味かつ卑怯だと考えてか、敢えていつも通り振る舞うと決めた。
 だからこそ意識的に普段と同じ態度で小檻へおっぱいダイブしたのだが、果たして彼の屈託が手指に全く出なかったかどうかは、不明である。
「…………」
 地面に墜落した身体を起こす蒼眞の背中に、ブルーファイアランプの光が煌々と差し添う。
 ジャック・スプモーニ(死に損ないのジャック・e13073)が、夜間の戦闘ならば要るだろうと考えて用意した光源だ。
「もう助からないというのなら楽にしてあげましょう、これも仕事の一環です」
 そう冷静に諭すジャックの表情は、南瓜のマスクが被さっていて見えない。
 何せ、火事で負った顔の火傷を隠す為に南瓜のマスクを愛用し、常々ジャック・オ・ランタンに扮しているジャックなのだ。
「しかし……僅かにでも相手に意識があるなら、その何者かについて訊きたいですね」
 ただ、漠然とではあるものの、今回現れた個体は今までの攻性植物と違う——何かしら自分に関係のある事かもしれない——不思議と勘が働くのを無視できず、ジャック自身思案は尽きないようだ。


 被害女性を異常生育した幹に呑み込んだ南天攻性植物は、8人の前に現れるなり、光花形態へと変化した。
「グラビティ・チェインを……」
 低い呻きに女性の意思は微塵も感じられない。
 チュイン!
 甲高い音を立てて白い光芒が走る。
「そうはさせませんよ」
 すかさずジャックがミカを庇って、破壊光線を我が身に受けた。
「すまない」
 ミカは礼を言いつつ、光の翼を広げてふわりと浮き上がる。
(「反応が無ければ、つまりはそういうことだろ」)
 攻性植物に囚われた女性が死に瀕するか否か確かめたかったのだろうが、例え身体や意識を攻性植物に利用されていても、特に負傷がなく体力も充分ある為、光の翼は何も察知せずに終わった。
「……何故かしらね。少しだけこの人を勇者として生かせてあげたいと思う。もうできない事だけど、ね」
 フレックはヴァルキュリア独特の感慨を覚えながら、南天攻性植物へ肉薄。
 けれども、雷の霊力帯びし魔剣「空亡」より繰り出す神速の突きに、迷いは微塵も感じられない。
 巨大化した南天の、蓑のように分厚く互いに絡み合って膨らんだ枝葉を、ドスッと貫いた。
「自分の意志で俺を殺そうとする相手なら兎も角、ただ巻き込まれただけの女性を殺すってのは……」
 やはり逡巡を抱えたままの蒼眞が放つは、もはや達人の域に到達した一撃。
 卓越した技量で斬りつけた斬霊刀の刃が、南天の実が沢山なった枝をスパッと落として、痛みの収まらぬ切り傷を刻みつけた。
「せめてこれ以上の犠牲者が出ないうちに……ケリをつけよう」
 静かに宣言するバーヴェンは全身を地獄の炎で覆い尽くすや、己の戦闘能力を大幅に増幅。
「それがオレたちにできる唯一の供養だろう……」
 特に、敵へ与えるダメージの増加を期待出来そうな気概である。
「今晩は、お嬢さん。私たち以外に誰かと会いませんでしたか?」
 己が操る攻性植物を黄金の果実宿した『収穫形態』に変形させるのはジャック。
 その聖なる光で前衛陣の異常耐性を高めた。
「あれが……捕まった女性なのですね」
 エステルはじっと南天攻性植物を見つめ、太い幹の上方、繊維がひび割れた隙間から顔が覗けないかと目を凝らす。
 分厚い樹皮に覆われた内側の顔を視認するのは困難だったが、それでも彼女のシルエットだけでも忘れまいと胸に刻み込むエステル。
 彼女を救えない事実、事前に止められなかった事実。
 言葉にならずとも心に振り積もる歪みを、全部デウスエクスに対する怒りへと変える為に。
(「奴らを一匹残らず叩き潰し、消滅させたいと思う気持ちを、エネルギーに……」)
 そして、エステルは身の内からふつふつと沸き起こる強い憤りを魔力と共に咆哮へ込めて、
「覚悟しろデウスエクス、今すぐくたばれ!!」
 空気震わす大音声を発し、南天攻性植物の動きを鈍らせた。
(「さて……こいつに意志はあるのか? 社会性は? それとも取り込んだものから反応を引き出して再現しているだけか?」)
 南天攻性植物の行動を具に観察して、独自の分析を試みるのはミカ。
「……グラビティ・チェインを集めるには……人を殺さないと……」
 繰り返すグラビティ・チェインへの執着は、やはり女性本人の意思と思えない。
「社会性のある言葉だとは思えんな……」
 それを確かめる傍ら、精神を集中して溜めたオーラを放出、ジャックの怪我を塞ぐ事も忘れない。
「……意識を何者かに操られているとは、どのような感じなのでしょうか?」
 ニルスは辛そうな面持ちになって南天攻性植物を眺めるも、決して攻撃を躊躇わぬ芯の強さも見せる。
 実と茎が繭のように固まっている木の中心目掛けてアームドフォートの主砲を一斉発射、南天の枝葉を次々着弾する砲撃で打ち払い、全身に痺れを残した。
「神威なら、こういう芸当も出来る。跳躍雷撃壁、展開」
 と、対竜殲滅用神双槍杖 神威弐式を掲げて、雷の壁を構築するのはレイリス。
 最前列に張り巡らされたライトニングウォールが、その内側へ立つケルベロス達の異常耐性を急激に高めた。


 南天攻性植物は、依然被害女性を呑み込んだまま、長い蔓触手を伸ばしてケルベロス達を縛ろうと襲いかかってくる。
「ザヴォちゃん!」
 ニルスを庇い、蔦でぐるぐる巻きにされたトライザヴォーガーが痛々しい。
「なぁ……あんたはそれでいいの?」
 フレックは愛刀の魔剣「空亡」とグラビティを共鳴させながら、南天攻性植物——その中に囚われた女性へと呼び掛ける。
「必要とされるのは大事だろう。でも……あんたは誰かを必要だと強く願った事はあったか?」
 言いながら放つは、相手に切られた事さえ認識させないと言われる、鋼の戦乙女が極めし秘儀。
「……若しも来世があるなら……もっと求める事を楽しむといい」
 相手の時空間『ごと』切り裂く一撃が、南天攻性植物の幹をばさりと溶断した。
「ランディの意志と力を今ここに!」
 とある冒険者の意志と能力の一端を借り受けて、己の身に宿すのは蒼眞。
「全てを斬れ……雷光烈斬牙……!」
 かの理不尽な終焉を破壊できる青年のように、蒼眞は稲妻の闘気を篭めた斬霊刀を閃かせ、南天攻性植物の枝や実を容赦なく斬り裂いた。
 エステルはダッシュで南天攻性植物に距離を詰めるや、ダイブするかのように飛び掛かる。
「見える? この……赤が」
 南天の賑やかに広がった枝先を鷲掴む寸前、エステルの瞳が強い光を帯びて輝いた。
 ——ドスンッ!!
 そのまま勢いよく南天を引き込んでは太ももから地を蹴って跳ね上がり、自分の頭越しに後方へ向かって投げ落とした。
「遮るものなどありはしない。那由多の彼方へ己を放て」
 生来持っている能力を発露させて、実体の持たぬ光翼を身体に纏うのはミカ。
 本来は戦闘器官だというその翼と概念的に結合、同調した上で高出力化もこなし、効率的な運用の為魔術的に高速化した動作と精密化した制御を誇る収束光粒子撃を、南天攻性植物へ叩き込んだ。
「あなたを討つ以外に救う手段がない事を、どうかお許し下さい……」
 打ち沈んだ声音で許しを乞うニルスは、バスターライフルを構えて狙いを定める。
 太く長い銃身より放たれた巨大なエネルギー光弾が、南天攻性植物へダメージを与えて、更に体内のグラビティを中和し弱体化させた。
「異相次元限定解除、通常空間との限定接続を実行……タイプブラック。もう、引き返せない……私も、お前もな」
 異相次元に格納している次元空母から、大量の小型攻撃機型使い魔を召還するレイリス。
 ズドドドドド……!
 使い魔達は全方位から高出力ビームを集中照射。量産型な各機が一発ずつビームを撃って、南天攻性植物の刀傷の痛みを倍加させた。
「お前は……犬の肉(エサ)だ」
 ジャックは、ブラックスライムを英国の伝承に登場する黒犬そっくりに変形させる。
 そのまま南天攻性植物へとけしかけ、太い幹に鋭い牙を立てガブリと喰らいつかせる事で、決して少なくない苦痛を齎した。
「せめて祈ろう。汝の魂に幸いあれ……」
 バーヴェンは、グラビティを集結させた高速の抜刀術を見舞う。
 積み重ねた修練が全て集約されしその一撃は、南天攻性植物の太い幹もそこから生え広がる枝の数々も一気に打ち払い、まさに一刀両断。
 ついに南天攻性植物の命を奪った。
 それは、囚われた女性もろとも死に至らしめたという事。
「せめて彼女の魂が安らかに眠れることを祈ろうか……本当は永遠の戦場へと送りたいけど……彼女はそんなことしたくないわよね……」
 フレックが跪いて冥福を祈る。
「何とか、この方が目撃された箇所を調査して、事件の元凶を突き止められないでしょうか」
 と、攻性植物の遺骸を検めて、被害女性の遺品が無いか探すのはニルス。
「どうにもこの女性の襲われた状況が不審だ。女性が一人で何も持たずに出歩く……ありえない。これが攻性植物の性質なのか……」
 頷いて、レイリスは持参した容器に南天の実を入れる。
「捕獲できれば拷問するのだがな。残念ながら無理なようだ」
 ミカは、戦闘中に武器の攻性植物が噛みちぎった南天の枝先や実を取り出そうとしたが、口腔には何も残っていない。
 蒼眞も断末魔の瞳で遺骸を見たが、攻性植物相手に得る物は無かった。
「少しでも何かがわかればいいのだが……」
「周辺に……森まで足を伸ばさねば無いですかね」
 バーヴェンとジャックは、戦闘の痕跡をヒールで修復しつつ、手掛かりを探している。
 そうする間にも、遺骸は灰の如く頽れていった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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