魔法少女まじかる☆どりーむ

作者:天枷由良


 男の住む町は、このご時世にも関わらず大層平和であった。
 そして、男はその答えを、風の便りに聞くことが出来た。
「魔法少女だ、魔法少女! 町の平和を密かに守る魔法少女!」
 何処が出どころなのか定かではない噂。
 しかし男の興味を駆り立てるに、それは十分な役目を果たしてしまった。
「この町で魔法少女やってそうな14歳くらいの女の子なんて……妹の同級生の三上・翠玉(エメラルド)ちゃんしか居ねぇ! 名前からして絶対魔法少女じゃん!」
 真実が――もちろん男の中だけの真実だが――判明したのなら、善は急げ。
 実際に変身する所を、この目で確かめなければならない。
 男はエメラルドちゃん宅に近い公園に張り込み。
 夜も更けたところで、胸を一突きにされる。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 鍵は姿を現した第五の魔女・アウゲイアスが刺したものだ。
 倒れる男。すぐ側に現れたのは――。
「まじかるりりかるふぁんたすてぃっく! 魔法少女まじかる☆どりーむ、ここに推参!」
 フリフリの衣装に杖を構える、魔法少女だった。

「魔法少女って……なに……?」
「ごめんなさい。私にも分からないわ」
 リーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540)の質問に答えるための知識を、ミィル・ケントニス(ウェアライダーのヘリオライダー・en0134)は持ち合わせていなかった。
 致し方ない。そのまま、依頼の説明が始まっていく。
「不思議な物事に強い『興味』を抱き、調査しようとした人がドリームイーターに狙われる事件よ」
 今回の被害者は、町の平和を密かに守る魔法少女という噂に興味を持っていた。
 被害者は現場となる住宅地内の公園に倒れたままで、興味を奪ったドリームイーターは既に姿を消している。
 しかし奪われた『興味』を元にした怪物型――今回は魔法少女型のドリームイーターが、新たな事件を起こそうとしているようなのだ。
「この魔法少女ドリームイーターを倒してほしいの」
 無事に倒すことが出来れば、興味を奪われた男も……まぁ、目を覚ますことだろう。
「魔法少女は白と翠を貴重にした可愛らしいドレスに、ビビットなカラーリングの杖を持っているわ」
 ケルベロスたちが公園にやってきて屯していれば、向こうから姿を現すはず。
「なにせ『平和を守る魔法少女』だから……夜だし、多分みんなが、何か悪いことをしてると思って来るんでしょうね」
 その後は自身が何者か問うような言動をして、望む答えを返すと見逃してくれるらしい。
 しかし、それは一般人ならともかく、ケルベロスたちには然程重要なことでないだろう。
「存在を信じていたり噂している人が居ると、その人に引き寄せられる性質もあるみたいなの。上手く利用したら、誘き出して有利な状況を作れたりするかしらね」
 そして攻撃方法。これは全て魔法……のようなグラビティ。
「爆発魔法、光線魔法、水流魔法の3つよ」
 どれも、本当に魔法っぽいもののようだ。
「魔法って、言葉自体はロマン溢れるものよね。それとも、超常のものとも言える戦いに身を置いているケルベロスの皆には、大した魅力もなかったりするのかしら」
 そんなことを言いながら、ミィルはヘリオンに向かっていった。


参加者
岬守・響(シトゥンペカムイ・e00012)
山田・太郎(が眠たそうにこちらを見ている・e10100)
南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)
リーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540)
弓曳・天鵞絨(イミテイションオートマタ・e20370)
柚野・霞(魔法少女まじかるかすみん・e21406)
ホルン・ミースィア(見た目は巨神っ頭脳は子供・e26914)
結真・みこと(ょぅじょゎっょぃ・e27275)

■リプレイ


 夜更けとはいえ、その公園が住宅地の中にあるとは思えぬほど静まり返っている理由。
 それは、リーナ・スノーライト(マギアアサシン・e16540)にあった。
 半径300m。リーナが放つ殺気は範囲内から人々を遠ざけて、空間を作り出している。
 そこに留まることを許されたのは、8人のケルベロスと2匹のウイングキャット。
 あとは茂みで倒れたままの、ドリームイーターに興味を奪われた男が1人。
「えーっと。おじさん、生きてるよね?」
 朝焼け色の光翼をはためかせて、お供にルナを連れたホルン・ミースィア(見た目は巨神っ頭脳は子供・e26914)が男の様子を伺う。
 声にも、そして光の翼にも反応は無い。
 しかしこの……魔法少女に並々ならぬ興味を持ったという、見方によっては寝かせておいたままの方が良さそうな男を目覚めさせるためには、男の興味から生み出された魔法少女型ドリームイーターを倒さねばならない。
 ケルベロスたちは粛々と、戦支度を整え始めた。
「ねぇ太郎さん。私、悪の戦闘員に見えるかな?」
 出るところは出て、締まるところは締まったスタイル抜群の身体。
 それを所々に赤白のアクセントが加えられた黒っぽいボディスーツに押し込める岬守・響(シトゥンペカムイ・e00012)が、山田・太郎(が眠たそうにこちらを見ている・e10100)に尋ねる。
「うきぃー!」
 下っ端じみた声を返す太郎もまた、黒色に染まるオウガメタル『液状全身タイツ』に身を包んでいた。
 心通わせた者を鎧のごとく覆う武装生命体が、今の太郎や自身の扱われ方をどう思っているのかは知る由もない。
「山田さん、最近の魔法少女ものにそのようなモブ敵は……そうそう居ないのですけれど」
「知るか。そもそも、敵味方含め男が俺だけとはどういうことだ」
 呟いた南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)に、太郎は問いかける。
「昨今のアニメは登場人物が女ばかりと聞いたが、その影響か? 俺がいなかったら単なる魔法少女大戦になっていたぞ」
「まぁ、百合百合したのが見たい層も一定数居ますから……」
「何を言う。敵役に男は不可欠だ。俺が格好良く決めて、その必要性を示してやろう」
 全身タイツでドヤられてもと、夢姫は湧き上がるものを言葉にせず置いた。
 代わって弓曳・天鵞絨(イミテイションオートマタ・e20370)が、夢姫に疑問を投げる。
「あの、魔法を使う18歳の天鵞絨は、魔法少女なのでございましょうか……?」
「25歳子持ちでも魔法少女は魔法少女ですので……いや、あれは魔王……魔砲少女ですけれど」
 相手が悪かったようだ。夢姫の言葉を何一つ理解できずに、天鵞絨は首を捻った。
 そして困り顔を見せているのは、天鵞絨だけでない。
「魔術師のわたしが、魔法少女の真似事をする事になるとは……」
 眉尻を下げた柚野・霞(魔法少女まじかるかすみん・e21406)の吐息が、闇に溶けていく。
「霞さん……ありがとう……」
「今回だけ、ですからね?」
 ぼんやりと礼を述べるリーナに、答える霞の装いは黒いフードの付いたローブと大鎌。
 確かに魔術師と呼ぶほうが相応しい格好だが、彼女たちとホルンの3人――『魔法少女の秘密基地』なる旅団に属する諸氏がどんな『真似事』をするのかは、敵が出てきてからのお楽しみ。
「それじゃ、そろそろ始めよっか!」
 ねことを連れ立った結真・みこと(ょぅじょゎっょぃ・e27275)が、にこりと笑って作戦開始を告げる。
 その手に握られているのは、なんとも不穏な爆破スイッチであった。


「いあ、いあ、ふんぐるい……みょんみょん」
「うきぃー! うきぃー!」
 何やら呪文を唱えつつ魔法陣を地面に描く天鵞絨と、飛び跳ねる全身タイツマン太郎。
 対面には此方も怪しげな黒光を放つ魔法陣を敷いた霞、それを護衛するように佇む悪の女戦闘員、響。
 無人でなければ通報待ったなしの4人。
 彼女らを尻目に、リーナが一般人に扮して公園を歩く。
 そこに響いてくるのは幼い声、そしてガチャガチャと巨大甲冑の擦れる音。
「ふっふっふー! ボクは悪いロボットだぞー!」
「きゃー……」
 台詞の割に然程悪そうでもないホルンが、些か迫力に欠ける悲鳴を上げたリーナを追いかけて公園内をぐるぐると回り出す。
 そのまま何周かすると突如、方々で爆発が起きてカラフルな煙が立ち昇った。
「ふっふっふー! わるい魔法少女、まじかる☆みこにゃんだよ!」
 早めのテコ入れにも関わらず台詞をやや被らせてきた新キャラみこと――もとい、まじかる☆みこにゃんは、ぽちぽちぽちと遠慮なくスイッチを押す。
 その度に、あちこちで爆発が折り重なって、色とりどりの煙を背景にケルベロスたちの悪行はエスカレート。
「悪いロボットだから無辜の市民を襲うぞー! このままだと大変なことになっちゃうぞー! まぁてぇーっ♪」
「わぁー……助けてー……」
 光翼を広げて指先をわしゃわしゃ動かすホルンに、逃げ回るリーナ。
「これは……只のキャッキャウフフですね」
 誘き出しを仲間に任せた夢姫が、鎧と少女のじゃれ合いを眺めて独りごちる。
「くふあやく、ぶるぐとむ……みょんみょん」
 謎の儀式も佳境に入ったのか、天鵞絨は謎の踊りを披露し、太郎の跳躍も一段と激しく。
 鎌振る霞の魔法陣も更に輝き、響はこれ見よがしに悪そうな微笑みを浮かべていた。
「ねーこも一緒に! せーの……どーん!」
 賑やかしとばかりに、みことが起こす爆発も止まない。
 秩序という単語を辞書で引き、マーキングしつつ音読して欲しくなるような光景。
 それを見かねたのか、本来なら混沌をもたらすはずのものが正義ぶってやってくる。
「――やめなさい!」
 制止する声は、追いかけっこと爆破と闇の儀式とジャンピングタイツの、どれに対して言われたものか。
 いずれにせよ、ケルベロスたちが声のする方を見上げれば、公園で一番大きな木の上に小さな人影が浮かんでいた。
 スカート姿も気にせず高々と飛んで、着地したそれは杖を振り回しながら続ける。
「まじかるりりかるふぁんたすてぃっく! 魔法少女まじかる☆どりーむ、ここに推参!」
「で、でたな! ……えーっと! 緑の!」
「いま名乗ったばっかでしょーが!」
 早速、惚けたホルンに出鼻を挫かれる、まじかる某。
 ひな壇芸人みたいにすっ転んでから身体を震わせて立ち上がると、某はポーズを決めなおして叫ぶ。
「町の平和はわたしが守る! さぁ、かかってらっしゃい!」
「……ほ、本物です。本物の魔法少女です……!」
 液晶から飛び出してきたような敵の姿に、夢姫はぐぐっと前のめり。
 しかしまじかる某に向かって、響がくすりと笑った。
「飛んで火に入る魔法少女……これが君をおびき寄せる罠とも知らずに、ね」
「っ……なんですって……!?」
 2、3歩ほど後ずさる、まじかる某。
 それを見据え、頷きあうリーナとホルン、そして霞の身体が謎の光に包まれた。
「彷徨う旅人に安寧を、闇夜に満ちよ命の輝き」
 ホルンによるセルフナレーションのもと、360度何処から覗いても覗けない光の中で、3人の纏う衣装が変化していく。
 仲間たちもまじかる某も、その光景をじっと見守っていた。
「輝く鎧装騎兵とは世を忍ぶ仮の姿! しかしてその実態は……!」
 いの一番で飛び出したホルンが、ハートのステッキをかざして決めポーズ。
「魔法少女マギカレイド・ホルン! 月光結止め華麗に参上っ♪」
 待ってましたとばかりにまじかる☆みこにゃんがスイッチを押して、淡黄色のドレスを着たマギカレイド・ホルンが鮮やかな爆煙で飾られる。
 続いて聞こえたのは、恥じらいを封じた魔術師の声。
「御機嫌よう、偽魔法少女さん。……このわたし、魔法少女まじかる☆かすみんが相手になりましょう」
 蒼を基調とした衣装に真鍮製の片手杖を持って、まじかる☆かすみんは無心で真打ちの登場を待つ。
 そして最後の1人。杖の代わりに小太刀を掲げて、リーナが袖の無い外套を翻した。
「……マギアアサシン☆リーナ、参上だよ……」
「さ、3人一緒に変身しておいて……なんて統一性のない……」
 てんでばらばらの変身を遂げた魔法少女たちに、まじかる某の顔は引きつる。


「まぁ良いわ! 人を騙すなんて卑怯な奴らは、まじかる☆どりーむがお仕置きよ!」
「そうはさせないよ! 覚悟しろっ! ……緑の!」
「だから名乗ってるじゃないのよぉ!」
 頑なに名前を呼んでくれないマギカレイド・ホルンに向かって、まじかる某が駄々をこねるように杖を振る。
 生み出された巨大な火球は一直線で飛び――。
「マジカル☆稲妻突き♪」
 ホルンが繰り出した超高速の槍撃によって、風船を割ったように弾けて消えた。
 マジカルとは名ばかりの物理攻撃で相殺され、口をあんぐりと開いて立ち尽くすまじかる某を他所に、ホルンはヒールドローンを展開。
 続いて響がオウガ粒子を振りまくことで、公園の空気はキラキラと輝いて少しばかりの神秘さを取り戻すが……後が続かない。
「うきぃー!」
 太郎が全身タイツに禍々しい紋様を浮かばせて、モブというにはちょっと凶悪な姿でまじかる某の前に立ちはだかった。
 ……アンタ、何?
 そう言いたげに見えるまじかる某に、太郎もまた、言葉でなく表情で『分かれ』と返す。
 不毛な見つめ合いは暫し続いて、それを断ち切ったのはまじかる☆かすみんの一声。
「『小さき鍵』の名の下に、増幅の円陣よ――開け!」
 今日一番に魔法少女らしい詠唱で、霞がマギアアサシン☆リーナの足元に青白く光る魔法陣を構築する。
「いくよ……まじかる☆どりーむ……!」
 力を高めたリーナは小太刀をしっかりと握ったまま地を蹴って、まじかる某の元へ肉薄。
 どう見ても魔法でなく暗殺術の類であろう刺突を、敵の胸へと叩きつけた。
「狙って狙って! いっくよー!」
 続いて、まじかる☆みこにゃんが優しい風を巻き起こし、それを受けた夢姫は片腕を突き出す。
「夢と憧れが相手でもやむなし……全てを灼き払いなさい!」
 一振りで喚び出された蒼き獄炎は不死鳥を象って、生命を得たように羽ばたきながら敵の元へ。
 華麗だが可憐ではない一撃を喰らい、吹き飛ばされたまじかる某は無様に転がっていく。
「いたた……何よ、どいつもこいつも可愛げのない!」
「申し訳ございません」
 言葉では畏まった謝罪を示しつつも、高速演算で弾き出した敵の構造的弱点に手痛い一撃を撃ち込む天鵞絨。
 まじかる某は歯を食いしばりながら耐え、天鵞絨に向かって杖を振り回す。
 すると大地が揺れ、天鵞絨の足元がひび割れた。
「喰らいなさい! まじかる☆水鉄砲!」
 言い終わるが早いか、間欠泉のように吹き出す水。
 しかし。
「――冷たい☆うきー!」
 いつの間にやら天鵞絨を押しやって、水柱の天辺に打ち上げられていたのは太郎だった。


「まじかる☆れーざー!」
「まぶしい☆うきー!」
「あぁぁもう! 何なのよアンタ!」
 げしげしと地団駄を踏む、まじかる某。
 魔法を繰り出せど繰り出せど、黒タイツは何処へでも割り込んでくる。
「うきぃ! うきぃ!」
「ふえぇ……山田さんちょっと怖い……!」
 もしや脳髄を賦活しすぎて、世界の向こう側に行ってしまったのだろうか。
 とはいえ攻撃を喰らい続けている太郎を治癒しないわけにもいかず、まじかる☆みこにゃんは魔術書から禁断の断章を紐解いて唱える。
 ルナとねことも癒やしの羽ばたきを送って、俄然元気になった太郎は反復横跳びみたいな動きで、まじかる某の行く手を遮った。
 そこに伸びるのは、夢姫の攻性植物。
 蔓草の如き蔦触手が絡みついて、まじかる某は日曜の朝だと登場できないような姿に。
(「……魔法少女って、一体……」)
 敵を見ても仲間を見ても模範解答が見つけられず、響は釈然としないまま、オウガメタルで覆った拳を叩きつける。
 図ったように蔦触手が解けて、地面を跳ねるまじかる某に、マジカレイド・ホルンが狙い定めて叫んだ。
「マジカル☆フォートレスキャノン!」
 それはどうみてもアームドフォートによる主砲一斉射で、魔法というより破壊の力。
 しかしまじかる某は、反論する余地もなく砲撃に飲み込まれる。
「私が魔法……いえ、本物の魔術をお見せしましょう」
 今度はまじかる☆かすみんが言って、杖を一振り。
 解き放たれた燃え盛る竜の幻影が、まじかる某の身体を焼き払う。
 そして火だるまの頭上を天鵞絨が指差せば、そこにはいったい何処から集められたのか、ガラクタの寄り固まった巨大な鉄塊が。
「天鵞絨の魔法も、可愛らしいモノではございませんが」
 ぺこりとお辞儀をしてから、天鵞絨は呟く。
「圧し潰せ」
 ぐしゃり。
 全くもって慈悲の欠片もない一撃を浴びせられ、それでもまじかる某は、崩れたガラクタの山から這い出てきた。
「正義の、魔法少女は、負け、ない……」
「……よく言ったね……まじかる☆どりーむ……」
 仲間たちを制して、リーナは敵に立ち上がるよう促す。
「でも、魔法少女の夢を利用されるのは許せない……勝負だよ、まじかるどりーむ……! 貴方の全力、わたしが撃ち破ってあげる……!」
「いいわ、よ。……そこの、黒タイツ! 邪魔するんじゃ、ないわよ!」
 ここは魔法少女同士、雌雄を決する時だ。
 じっと口を結び、太郎も固唾を呑んで見守る。
「集え力……。わたしの全てを以て討ち滅ぼす……!」
「まじかるりりかる……ふぁんたすてぃっく!」
 リーナが小太刀を突き出し、まじかる☆どりーむは杖を振りかざして同時に叫ぶ。
「滅せよ……黒滅の閃光!!」「まじかる☆ばぁーすと!!」
 小太刀の先に開いた魔法陣から放たれる一束の魔力と、撃ち出された超極大の炎塊。
 せめぎ合う力は、すぐに均衡が崩れた。
「さらばだ、魔法少女まじかる☆どりーむ」
 太郎が呟く。
 炎すら飲み干した光に包まれて、消え行くまじかる☆どりーむは、しかし何処か満足気に見えた。

「お片付けしまーす!」
 みことが、公園中に柔らかな風を巻き起こす。
 煽られた男が目を開くと、そこには諸々の始末を終えた天鵞絨の顔があった。
「どうも、魔法少女でございます」
「魔法少女!?」
 声を掛けるなり、男はちょっと引く勢いで跳ね起きる。
「……冗談でございます、天鵞絨達はケルベロスでございます」
「何!? ケルベロスは魔法少女だったのか!?」
「そういうことじゃなくてね……」
 顔をしかめる響。
 リーナは何か恐ろしいものを感じたのかホルンの後ろに隠れて、その側では霞が小さく蹲り、背中で羞恥を語っている。
「密かに平和を守る魔法少女なんだから、あんまり正体を暴くような事したらダメですよ?」
 微笑みながらも夢姫が窘めるが、男は聞いているのかいないのか。
 目を爛々と輝かせて、ケルベロスたちを見つめていた。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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