壁ドンdeマッサージ

作者:吉北遥人

 暗く狭い店内。その壁に、突起が生え出ている。
 人の形に生えたその突起が全身のツボに合わせて配列されたものだと、はたして誰が気付けただろうか。
 その突起の前で、店主の男性は深く長いため息をついた。たくましい体を憂愁に震わせる。
「女はマッサージも壁ドンも好きなんじゃねーのかよ……」
 人型突起の頭部の真横にドンと手を突く。
 女性を逃がすまいとする、洗練された壁ドンである。
「このツボ押し、苦労して作ったのによ……無駄なことしたぜ」
「ふふ……」
 ふいに聞こえた囁きは女性のものだった。
 だが、その女は客ではなかった。直後、振り返った店主の胸を、女の手にした鍵が貫いている。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 第十の魔女・ゲリュオンがそう言い残したとき、倒れた店主の傍らで、具現化した『後悔』が立ち上がる。
 それは、全身にモザイクの突起を生やした異様な人型だった。


「お店が潰れた店長さんから、ドリームイーターが『後悔』を奪う事件が起こったようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が取り出したのは一枚のチラシだ。ポップな文体で『壁ドンdeマッサージ』とプリントされている。
「被害者はこのお店の店長さんです。なんでも、マッチョ店員に壁ドンされながら全身をツボ押しマッサージしてもらえる……? どういう状況かわかりにくいですけど、そんなキャッチフレーズで売り出していたそうですね。開店当初から客足は悪かったみたいです」
『背中が痛くて壁ドンどころじゃない』
『男が近すぎてマッサージどころじゃない』
『そもそも興味ない』
 など不評の嵐で、人通りの悪い立地もあって閉店待ったなしだったそうだ。
「『後悔』を奪ったドリームイーターは既にいません。ですが、その『後悔』を元に現実化したドリームイーターが、店内にいます。新たな被害が出る前に撃破してください」
 このドリームイーターを倒せば、店の奥で倒れている店主の意識も戻るだろう。
「お店は広くはありませんが、戦闘に支障が出るほどではありません。お店に乗り込んですぐに戦いを仕掛けることもできますが……」
 客として訪問し、受けたサービスを心から楽しむと、このドリームイーターは満足して戦闘力が減少する。
 この特性を利用すれば、状況を有利に運べるだろう。
 具体的には、壁ドンにときめいてみたり、ツボ押しを気持ちよく感じたり、だろうか。
「心から楽しむとなると難しそうですが、方法は皆さんにお任せします。気の進まないことを強いてしまうかもしれませんが……どうぞよろしくお願いします」
 そう言って、セリカはお辞儀した。


参加者
赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)
榊・凛那(神刀一閃・e00303)
ピアディーナ・ポスポリア(ポスポリアキッド・e01919)
永宮・栞(煌めく笑顔の道標・e07128)
月宮・京華(ドラゴニアンの降魔拳士・e11429)
ノエル・ディヴァイン(近接格闘系魔術師の元気娘・e15021)
西院・玉緒(深淵ノ緋・e15589)
レオーネ・パンタシア(赤にして鮮血・e24906)

■リプレイ

●いらっしゃいま……
「すみません、八人。予約してませんが大丈夫ですか?」
 月宮・京華(ドラゴニアンの降魔拳士・e11429)への返答はなかなか返って来なかった。
「……店主さん?」
『お、おう、もちろん大丈夫だ!』
 接客挨拶の途中で固まっていた店主――を模したドリームイーター――が親指を立てた。声が少しくぐもって聞こえるのは、全身の突起だけでなく声にもモザイクが作用しているからだろう。
 不審な態度ではあるが、閑古鳥の鳴いていた店に美女、美少女の団体客がいきなりやって来たとあっては無理もなかったかもしれない。西院・玉緒(深淵ノ緋・e15589)など豊満なボディが少ない布地からたゆんたゆん溢れそうになっている。偽店主の鼻の下が伸びるのもむべなるかな。
「壁ドンとマッサージ、期待しちょるけぇね」
『おう。後ろの嬢ちゃんも、怖がるこたぁねぇぜ』
 レオーネ・パンタシア(赤にして鮮血・e24906)に偽店主が白い歯を見せる。後半は、レオーネの背中に隠れる永宮・栞(煌めく笑顔の道標・e07128)に向けたものだ。
『甘く気持ちよくさせてやるぜ。俺のテクに酔……ん?』
「あの、私の身長でも大丈夫ですか……?」
 クイクイと偽店主のジーンズを引いたのは赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)だ。潤んだ瞳で偽店主を見上げる。
『こんなちっこいお嬢ちゃんまで!? うーん……』
 うんうん唸りながら偽店主が店の奥に消えていく。
「壁ドンでマッサージ……そこの壁のツボ押し突起に押し付けるのは分かったけど……」
 壁に生えた人型の突起群を眺めつつ、いちごのメイドの一人、榊・凛那(神刀一閃・e00303)は嘆息した。
「以前も『後悔』と戦ったけど、何でこんなコンセプト迷子ばっかり狙ってるのか……」
「流行を取り入れようとするのは、商売としてはいいことなんだけど……」
 その隣に立つメイド、ピアディーナ・ポスポリア(ポスポリアキッド・e01919)が苦笑した。大きな胸が揺れる。
「迷走してる感が否めないなぁ、うん……」
「そもそも一緒にする必要がないものを組み合わせているような……」
 誰が好き好んで、ときめいているときにツボを押してほしいなどと考えるだろうか――そう思ったところで、いちごが愛らしく首を傾ける。
「あと壁ドンってそんなにいいものなんですか?」
「そもそも壁ドンってなんなんだろう?」
 同じように首を傾げたのはメイドのノエル・ディヴァイン(近接格闘系魔術師の元気娘・e15021)だ。壁ドンを見たことがないノエルだが、初任務、それもお嬢様と一緒ということもあって、揺れる大きな胸の内側では並々ならぬ気合いの炎が点っている。
 もっとも、その想いはピアディーナと凛那も負けていない。
「それにしても、お嬢様はこの分だと不戦勝かな」
 揺れるほどの胸はない凛那が腕組みした。突起はいろんな背丈に合わせられていたが、いちごの身長に合うサイズは見当たら――。
『まさかこいつを引っ張り出すことになるとはな』
「あるのか……」
 ようやくバックルームから戻って来た偽店主が担いでいるのは、ツボ押し突起壁のポータブル版だ。
『作ったかいがあったぜ……と、まだちょっとサイズでかいか?』
 凛那がサッとお立ち台をセットした。
『お、ありがとよ。それじゃ始めるか。店員は俺だけだから順番になるが、そのへんは勘弁してくれ。さーて、トップバッターは……』
 偽店主が口でドラムロールを奏でる。
 最初に指名されたのは――。

●壁ドンタイム
「うちが一番手なんじゃねぇ」
『おうとも』
 レオーネの視界を塞ぐように偽店主が立つ。
『なんせ俺、ケモ耳っ娘が好きなんでな』
「そういう性癖事情はべつに聞きとうないんじゃが……」
『いいから動くな』
 偽店主の掌がレオーネの顔の横を通過、背後の壁をドンと突いた。衝撃に店の内装が震える。
『黙って俺のモンになれよ』
 偽店主の顔つきがキリッと締まっている。すでにそういうモードに入っているようだった。空いた手がレオーネを押しやり、突起が彼女の肌に食い込む。
 痛みや嫌悪感を軽減するため、八人は拷問耐性の特徴を有する防具を備えてきた。
 しかしツボ押しや壁ドンがいくら過酷でも、それは拷問とは別物だ。
 本当にそれが拷問であるか、または、着用者が本心でそれを拷問と認識しているか……そのくらいでなければ十全には機能しない――。
「おお~ええねぇ~」
 そもそも拷問ほど過酷ではない。
 一般人ならとうに泣き叫んでいるところだが、ケルベロスならまだ耐えられるレベルだ。
「武器が重いけぇ、あっちこっち凝ってるじゃろ? ちょうどよかったんじゃ」
 むしろ、けっこう気持ちよかった。
 二番手、栞。
「レ、レオーネさん、痛くなかった?」
「警戒するだけ損じゃったわ」
 けらけら笑う友に、栞はホッと息をついた。自分の身長に合った突起壁を背に立つ。
(「壁ドンって、正直、時代遅れな気もするけど……」)
 でも好きな人にされたとしたら、そんなのは関係なくなるのかも――そんな栞の思考を、偽店主の影が遮った。
『清楚ぶってねぇで、俺のこと好きって認めろよ』
 壁ドン。
 風圧が頬を撫で、直後、栞の腰に痛みが走った。
「っ……」
 反射的にこぼれかけた「痛い」を呑み込む。痛いけれど、なるほど、確かに耐えられないほどじゃない。
 栞の肩や腰を押し込んで器用にマッサージをする偽店主の近すぎる顔を、栞は見つめた。
 その顔がだんだん、金髪に白磁の肌の若きオラトリオのそれに変わっていく。
(「これは彼氏、これは彼氏……」)
 愛しの彼に重ね合わせたとたん、すべての雑音が甘美なメロディに一変した。痛みは快楽の彼方へ消え、胸の鼓動が軽快なタップを刻む。
『イイ反応じゃねぇか』
 照れ隠しに目を逸らした栞を偽店主が笑うが、それすら恋人の囁きに聞こえる。
 クリアするまで、いやクリア後もしばらく、栞の表情は恋する少女のままだった。
 三番手、京華。
「壁ドンって初めてだから楽しみだったんです」
『じゃあ俺も気合い入れなきゃな』
 偽店主が壁を突いた。圧迫感が京華を襲う。
『俺の女になれよ』
「あ、あの……」
『うん?』
 朱に染まる顔を両手で覆い、京華は偽店主を見上げた。
「顎クイって、オプションで付けられますか?」
『当然だろ』
 上目遣いに燃えるものでも感じたか、偽店主は嬉しげに笑い、京華の顎をそっとつまんだ。
『サービスにしとくぜ、子猫ちゃん。こういうのは遠慮なく注文しな』
「わぁ、嬉しいです。あ、ところで首のあたりが痛いんですけど、ここのツボは何に効くんですか?」
『そこは天柱っていってな。頭痛や肩凝りなんかに――』
 気を良くした偽店主の存外と丁寧なレクチャーに、京華が興味津々に頷く。
 すべて偽店主の心をくすぐるための、京華の工夫と計算だったが、壁グイまでして近づいた二人は、傍からだととても親密そうに見えた。
「あんなに上手くできるかな……とりあえず、マスターや皆の前で無様なところは見せないようにしなきゃ……」
 四番手のピアディーナが突起壁の前でグッと拳を固める。
 偽店主がスタンバった。その姿に、ふと、とある探偵の姿を思い起こす。
(「これがあの人だったら……んぐっ!」)
 激痛に、ピアディーナの意識から探偵の虚像が霧散した。
 壁ドンからのツボ押し。突起がピアディーナの柔肌に沈み、肩井と呼ばれる肩のツボに食いついている。
 両肩から頭にかけて、針が通るような刺激が走る。痛いなんてものじゃない、これは、これは……。
「すごく……きもちいい……」
 ジャストアタック。肩回りから痛みとともに満ちてくる多幸感に、は、ふ……と温かな吐息がこぼれた。ピアディーナが体を揺するたび、胸の豊かな膨らみがぷるぷる震える。
「実は肩凝り、ずっと、悩まされてて……ありがと……」
『あ、ああ……』
 とろんと瞳を潤ませたピアディーナの艶めかしい一言に、胸に視線釘付けになっていた偽店主はしどろもどろ返した。
 五番手のノエルが緊張に体を強張らせる。
 肩凝りは他人事ではない。痛いのはあまり好きじゃないが、少しでも良くしたい想いはノエルにもある。
「でも、見た目が男の人にされるのはやだなぁ……」
 ここまでで壁ドンがどういうものかはわかってきたが、ぷち男性恐怖症の自分にどれだけ耐えられるか――そのときノエルは誰かの視線に気づいた。
「お嬢様……」
 応援しながらも気遣うような、いちごの眼差し。それに微笑み返し、ノエルはツボ押し壁という戦場に立った。
(「見ててください、お嬢様」)
 そして壁ドンを皮切りに、突起が彼女のツボに突き刺さる。
「あっ……あ、これ、いいかも♪」
 ピアディーナ同様に肩凝りのツボを刺激され、ノエルの口から意識せず歓喜が漏れた。
 全身を余すことなく指圧されてるかのようだ。稀に感じる悦楽が頭頂から足先まで行き渡る。
「ひゃんっ、そこ……んぅ、はぅ……」
 膝がガクガク震え、そのたびにメイド服に押し込められた豊満バストがゆっさゆっさ暴れる。もう目の前の男を気にしてる場合じゃない。
 それでも、いちごの視線だけは気になった。
(「お嬢様が見てる……こんなところ、恥ずかしい……」)
 複雑な心境のままノエルが喘ぎ続ける。
 一方で偽店主もダメージを受けていた。眼前で美少女たちの巨乳がおいでおいでとばかりに揺れるのは、もはや性の暴力だ。お触りしていないのは、ひとえに鋼の職業倫理の賜物である。
 だがそれも決壊寸前だった。六番手の玉緒の108センチの爆発級バストが、まだ揺れてないのに偽店主を手招きしている。
『さっきの子たちのときも気をつけてたが、胸とかに当たらないよう注意するからな』
「あら、そんなことを気にしていたの?」
 眼鏡の奥で玉緒の瞳が蠱惑的に瞬いた。すいと伸びた指先が偽店主の胸筋をつつつとなぞる。
「ほかの子たちと同じようにお願い。わたしも、凝ってるから」
『お、おう、それじゃあ……俺について来いよ』
 壁を突いた腕が玉緒の行き場を制限する。続いて首から、肩から、腰から、いくつもの刺激が玉緒を蹂躙する。
「……以外といいかも」
 やがて、甘く熱い囁きがこぼれた。偽店主の腕をどけて、玉緒がしなだれかかる。
「このシチュ、きゅんってしちゃうじゃない。それに体がほぐれて、心も開放的になる感じ……」
 艶っぽく囁く玉緒のたゆんは、偽店主の筋肉の上で柔らかく形を変えていた。
 偽店主の顔面が興奮ボルテージマックスってなくらいに紅潮の極みに達している。このまま戦闘するまでもなく倒れるんじゃないかとも思われたが、偽店主は興奮に耐えきった。七番手の凛那を見て、安堵の息を吐く。
「待った。何、今の息」
『そりゃ三連続で山場だったからな。平原に着いたら一息も吐くだろ』
「誰が平原だ」
『ツンツンしてねぇで、俺のモンになれよ』
 唐突に壁ドン。間を置かず凛那の背中が突起壁に押しつけられる。
(「あれは蘭華姉、蘭華姉……」)
 痛みは耐えられる。あとは、マッチョに壁ドンされてるこのアレな状況を乗り切るだけ……。
(「あ、あれ……?」)
 偽店主の外見を恋人のものへ脳内変換するのは完璧だった。嫌悪感が一気に軽減される。違和感を覚えたのは背中の方だ。
「は、はふぅ……これ意外と……」
 なまじ痛みに強いせいでマッサージの効能がダイレクトに伝わってきた。疲れた上腕の筋細胞が刺激を歓迎している。
「いい……」
 洪水のように訪れた癒しに、凛那が突起壁にぐったり寄りかかる。朱の差したその横顔は、まるでときめく乙女のようだった。
『最後はお嬢ちゃんだな……本当にやるのか?』
「はい。よ、よろしくお願いします……」
 ポータブルツボ押し壁の前で、八番手のいちごは偽店主を見上げた――後悔を晴らすためにも退く気はない。
『いい覚悟だ。真っ直ぐな子、俺は好きだぜ』
 屈んだ偽店主が、殺し文句とともに壁ドン。ポータブル版は普通の壁より脆く、より強い衝撃がいちごを襲う。小さな肩がびくぅっと跳ねるが――いちごの笑みは揺らがない。
 幼くとも芸能人、どんな状況でも笑顔を浮かべるなどお手の物だ。ツボを押されたってそれは同じ――。
「んっ……」
 かすかに声が漏れた。腕や脚に痛みが走ると同時に、芸能生活で疲弊した体にじわりと沁みていく感覚もある。
 そのすべての感覚を、いちごは笑顔で表現した。
『気持ちいいか?』
 偽店主が尋ねた。
「はい……とても」
『ありがとよ』
 ここに、全員のクリアは成った。

●お支払い
 脚の刺激が抜けていない。ふらつきながらもお立ち台を降りて、いちごがメイドたちの元へ向かう。
「気持ちよかったですけど、身体から力抜け……」
「お嬢様……だいじょう、ぶっ?」
 よろめくいちごを凛那が受け止めるが、ふらついているのは彼女も同じ。二人して倒れこんだ先で、まだ足元がおぼつかないノエルを巻き込む。
「マスター、皆大丈夫……ってうわ、危ない!?」
 さらにピアディーナも巻き添えに抱き合うように転がった。
「ひゃぅんっ!」
「ご、ごめんなさい……っ」
 ピアディーナの胸からいちごが頭を抜いた拍子、ノエルの胸を掴む手に力が入り、ノエルが喘ぐ。
「あの、お嬢様……ここでは、その……」
 別の場所なら……と真っ赤な顔でごにょごにょ言う隣、凛那は同僚たちとの胸部格差に涙を呑んでいた。
「お会計いくらです?」
 いちごたちが凛那にバストサイズのフォローをしてる一方、京華が偽店主に尋ねる。
『嬢ちゃんたちの気持ちが最高の報酬だ。何も取る気はねぇよ』
「それはダメ。受け取ってもらわなきゃ」
 直後、偽店主が吹っ飛んだ。刺突を浴びせた玉緒がくいっと眼鏡をあげる。
「あなた、なんでそんなに筋肉質なのよ。細マッチョなイケメンならまだ需要もあったでしょうに。リサーチとかちゃんとやったの?」
『な、な……』
 豹変した玉緒をはじめ全員が武器を構えていることで、偽店主は状況を理解したようだった。全身のモザイク突起を発射する。
 だがそれらは栞とピアディーナが正確に撃ち落とし、誰にも届かない。
「壁ドンはイケメンに限る。それか、フィクションだからいいのかもね」
 京華が告げた直後、全員のグラビティが偽店主に殺到。
 著しく弱体化していたドリームイーターは、そう長く戦うこともなく消滅した。

●普通がいい
「疲れてる今なら壁ドンマッサージも気持ちよく思えるかなぁ?」
 口にしてから、栞は首を横に振った。やっぱり普通がいい。
「今度はちゃんとした整体を受けたいねぇ」
 店を出ながら笑うレオーネの後ろで、いちごがメイドたちを見上げた。
「三人とも良く効いてたみたいですし、私もマッサージを覚えて、皆さんにしてあげられればいいですか……?」
「お、お嬢様が!?」
 施される光景を想像し、興奮したノエルが鼻血を噴いて倒れた。

作者:吉北遥人 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年10月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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