食べられたかと思った……!

作者:なちゅい

●びっくりしただけでは終わらず……
「わぁい、楽しいな!」
 その少年、黒川・祐一はとても楽しそうに、動物達と野山を駆け回る。
 時には、くるくると走り回り、丘を飛び越え、沢山の花が咲く野山へとダイブする。とにかく精一杯はしゃいでいるのがとても楽しい。
 だが、突然、動物達が何かに怯えて、少年の周りから逃げ出してしまう。
「あ、ちょっと待って!」
 祐一はそれを追いかけようとするが、突然身体が動かなくなってしまう。
 すると、彼の頭上から、とてつもなく大きな影が覆い被さる。何か巨大な獣が祐一に向けて大きな口を開いている!
「うわわわっ!!」
 驚きの声を上げる祐一は次の瞬間、獣に飲み込まれてしまって……。
 彼はそこで、夢から覚めて現実に還る。あまりにびっくりした彼は今なお身震いしてしまって。
(「食べられたかと思った……!」)
 そんなことを祐一が考えていると。突然背後からウェアライダーの姿をした少女が手に持った鍵で、彼の心臓を貫く。彼は意識を失い、ベッドの上へとばったりと倒れてしまった。
 そいつは、白い鹿のような生物に跨っていて。少女の胸部、そして、跨る鹿の生物はうっすらとモザイクに包まれている。
 第三の魔女・ケリュネイア。それがこの魔女の名だ。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 倒れている祐一は心臓を貫かれたはずだが、その体には傷すらついてはいない。
 その隣には、新たなドリームイーターが姿を成す。それは、祐一が夢で見た巨大な何か。外見は狼のような姿をしている。
「アオオオォォォン!」
 そいつは頭上に向けて、高い声で雄叫びを上げたのだった。
 
 とあるビルの屋上にやってきたケルベロス。
 そこにいる他のケルベロス達は、何やら話し合っている。どうやら、子供の頃に見た夢の話で盛り上がっているらしい。
 ケルベロスの中にはまだ子供のメンバーもおり、実際にリアルタイムで驚く夢を見ることもあるらしい。
「本当、驚く夢を見ることがあるんだよね」
 そんなケルベロス達の見た夢を、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は楽しそうに耳にしていたが、とあるメンバーの登場で表情を引き締めていたようだ。
「自分が殺される夢の『驚き』を食べられちゃう男の子がいるって、聞いたんだけれど」
 やってきたシャルロッテ・ルーマン(深淵の咎・e17871)がそんな話を切り出すと、リーゼリットはこくりと頷く。
「うん、とある少年がドリームイーターに襲われて、その『驚き』を奪われてしまう事件が起こってしまうよ」
 『驚き』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようだが、奪われた『驚き』を元にして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしている。
「現れたドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破してほしいんだよ」
 このドリームイーターを倒す事ができれば、『驚き』を奪われてしまった少年も、目を覚ますはずだ。うまく事件が解決したならば、自室ベッドで眠る少年へフォローを行うとよいだろう。
 現れるドリームイーターは1体。体長4メートル近くもある灰色の狼だが、喉元と腹がモザイクに包まれている。
「見つけた相手を丸呑みするようだね。他にも、太い腕で前方の相手を薙ぎ払ったり、モザイクを吹きかけてきたりしてくるようだよ」
 ドリームイーターが現れるのは、島根県の住宅地。時間は夜、現場は、被害者となる黒川・祐一少年の家の近所だ。
「『驚き』の感情から生み出されたドリームイーターということもあって、相手を驚かせたくて仕方ないようだね」
 この為、現場付近を歩いているだけで、向こうからやってきてケルベロスを驚かせてくるはずだ。
「あと、ドリームイーターは驚かない相手を優先的に狙う習性があるようだよ」
 これを踏まえておくと、作戦が立てやすくなるかもしれないので、活用するとよいだろう。
 一通り、事件について説明を聞いたケルベロス達。
「なんとも悪趣味だな。子供の夢を奪ってドリームイーターを作るなどと……」
 雛形・リュエン(流しのオラトリオ・en0041)がこう呟く。
「うん、少年がまた目を覚ますよう、ドリームイーターを撃破して欲しい」
 リーゼリットは事件の解決を、ケルベロス達へと託すのだった。


参加者
風空・未来(けもけもベースボール・e00276)
ルリナ・アルファーン(駆け出しアイドル・e00350)
源・那岐(疾風の舞剣士・e01215)
涼風・輝(クラウディハート・e02904)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
テトラ・カルテット(碧いあめだま・e17772)
藤林・シェーラ(詐欺師・e20440)
シャウラ・メシエ(誰が為の聖歌・e24495)

■リプレイ

●驚きと巨大狼
 島根県に向かうケルベロス一行。
 ヘリオンの中で待機するメンバー達は、今回現れるドリームイーターについて語り合う。
「夢の中では何でもアリ。時々、こんなのも出ちゃうんだよねえ」
 テトラ・カルテット(碧いあめだま・e17772)が言うのは、少年の『驚き』から生み出された夢喰い。体長4メートルもある巨体な狼が住宅地を徘徊しているという。
「生まれ育った森は猛獣が沢山いましたが、さすがに4メートルの狼はいませんでしたね」
 仲間の話を聞いていた源・那岐(疾風の舞剣士・e01215)。霊地である森を守護し、技を伝承してきた一族の次期族長である彼女は、義弟の源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)と一緒に参加している。
「祐一君の体調も気かがりですし、頑張って倒そうね、瑠璃」
「うん、僕、頑張るよ、姉さん」
 自身を拾ってくれた源の一族の恩返しという意味もある。次期族長である那岐を支えたい。瑠璃はそう考えて彼女に同行している。
「……にしても、驚きという感情が一切なくなったりしたら、残りの人生ほとんど消化するだけになる気がするよな」
 涼風・輝(クラウディハート・e02904)は、地獄化した自らの炎で点した煙草を吸いながら考える。
「今回の依頼、ルリナは少し不安です」
 普段から感情の起伏のないルリナ・アルファーン(駆け出しアイドル・e00350)は表情を変えることはないが、それでも、自身に驚くような素振りができるか疑問を抱く。
 まして、ドラゴンの存在はすでに認知しているし、巨大ダモクレスなどという相手と交戦している。今更、4メートル程度の狼で驚くことができるのだろうか。
「まぁ、これもアイドルとしての演技力の訓練と思い、頑張りましょう」
 ルリナはそれでも、前向きに依頼へと当たるようだ。
 他の仲間達も、リラックスした態度で現場への到着を待っている。
「羊が狼を倒したら、下克上になるのかな?」
 羊のウェアライダーの藤林・シェーラ(詐欺師・e20440)は、そんなことを考える。ジャイアントキリングなどとなれば、さぞ痛快だろう。
「まるのみされたら、うたうこともできません、ね」
 まだ幼いシャウラ・メシエ(誰が為の聖歌・e24495)。自由に歌いたいと考える彼女は、それが嫌なようで小さく首を振る。
「おどろきのこえをあげるより、みんなぶじでよかったっていえるといいですよ、ね」
「そうだな。その為に私達はやってきたのだからな」
 小さく笑むシャウラは仲間を気遣う。雛形・リュエン(流しのオラトリオ・en0041)がそう告げると、シャウラは思わず、すみませんと謝ってしまう。
「ま、若い内は驚いてナンボだ、まだ先の長い少年の為に一肌脱ぐとするか」
 輝は煙を燻ぶらせつつ、近づく現地を見下ろすのだった。

●夢喰い狼のサプライズ……?
 現地到着時には、日付が変わる時刻となっていた。
 ヘリオンから降下し、着地したメンバー達。テトラはヘッドライトを装着して手すきの状態になるようにし、固まる仲間の前方を歩く。
 こちらは輝。彼は相変わらず煙草をくわえたまま、敵が出現する予測地点をふらふらと徘徊する。一応、周辺の気配や曲がりなどの予測などして、驚かされないようにと心構えはしていたようだ。
 同じく、適当に歩くシェーラは、暴れても被害が出なさそうな場所を探す。
「敵は向こうから寄ってくるみたいだし、探す必要はないかな?」
 駐車場の周りを歩いていた一行。瑠璃が戦場として想定するこの駐車場をキープアウトテープで封鎖していると、程なく、そいつは頭上から現れた。
「アオオオォォォン!」
 大きく口を開けて現れた大きな狼。そいつは腹の辺りがモザイクに包まれている。紛れもなくドリームイーターだ。
「え、なにこのでっかい狼?!」
「きゃわーっ!? 食べないで! 美少女のあたしは美味しそうだけど、美味しくないのよ!」
 シェーラもテトラも、その出現には全く驚いていなかったのだが。2人とも驚く振りをする。シェーラなどは羊のウェアライダーという自らの容姿を活かし、やや大げさに身を震わせて真に迫った演技を試みる。
「び、びっくり、しました……」
 近場では、こちらも大げさに驚くシャウラが足を竦ませたように身体を丸ませる。
「わあ、こんな大きな狼、さすがに森にはいなかったよね」
「大きいなあ。僕、ぱっくりと食べられそう」
 こちらは、那岐、瑠璃姉弟。2人は心から驚いたように振る舞う。
「瑠璃、下がっていて。ぱっくり行かれないように。私が護ってあげるからね」
「うん、食べられないように、後ろに下ってる」
「私はいくらか身体が頑丈だから、このまま前にいるね」
 姉に言われ、瑠璃は回復役となるべく後方に下がる。那岐は攻撃役として前衛に立つようだ。
 後方にはリュエンも仲間に合わせて、怯える素振りをしている。隣にいたルリナは無表情だったのだが。突然、「きゃー」と声を上げる。ある意味、狼の登場よりもこちらの方にメンバー達は驚いていた。
「え? 今のは、驚くところではないのですか??」
 間違ってはいないが、そのタイミングが微妙にズレていると感じる仲間達である。
 一方で、狐の獣人形態で依頼に参加していた風空・未来(けもけもベースボール・e00276)は、狼の登場に全く驚く素振りを見せない。
「なんだ、そんなに驚くような事はないや。なんせ慣れてるし」
 実際、この程度の相手に驚くことはないのは、未来も一緒。彼女の場合、対する敵以上に、自身の使うそのグラビティによるところがあり、にやにやと笑う。
 そこで、突然、狼へと発砲する影。
「よう、くそったれ。驚いて頂けたかな?」
 煙草をくわえた輝が敵の正面に躍り出る。弾丸に撃ち貫かれた狼は跳びずさった後すぐに着地し、輝や未来を威嚇してくる。
「怖い夢はもうおしまい! あたしたちが目覚めスッキリにしたげる!」
「それじゃあ、始めようか!」
 怖がる素振りをしていたテトラやシェーラが構えを取り、敵へと攻め込む。狼もまた、自身に怯えぬケルベロス目掛けて食らいついてきたのだった。

●夢喰い狼の悪夢を打ち消せ!
 ドリームイーター……狼はその大きな体躯に似合わず素早いが、ケルベロス達も負けてはいない。
 凛とした態度で戦いに臨む那岐は、霊刀「菖蒲」を握り締める。
「異常攻撃主体で攻めてくる敵ですので、早めに決着を付けたいですね」
 舞うように敵へと躍りかかる彼女は刀で緩やかな弧を描き、狼の脚の腱を狙う。
「ガルルル……」
 脚を裂かれ、そこからモザイクがどろりと流れ出す狼。そいつは目を光らせてこちらを威嚇してくる。
 その敵が怯む隙に、仲間達の足元へ瑠璃がケルベロスチェインを展開し、仲間を守護する魔方陣を描く。
 体勢を立て直した狼はすぐに、相手を丸呑みしようと大きく口を開いてくる。その狙いはシェーラだ。
「仲間は傷つけさせないよ! 絶対にボクが守る!」
 そこへ飛び込み、身を挺する未来は確かに身体を飲み込まれるように食らいつかれる。刹那呑まれた感覚を味わった未来は何とか脱したものの、彼女の身体はモザイクによって拘束されていた。
「さ、楽しもっか!」
 だが、さほど意に介してはいない未来は、取り出した白い狐型のカードを上から下へと振る。
 それによって、カードが大きな白い狐に姿を変える。狼の半分ほどの大きさではあるが、狐は果敢に狼の身体へと背中からかぶりついていく。
「まさか自分が、それも痛い形で食べられるとは思わないよね」
 こんな光景を普段から見ている未来には、狼に丸呑みされるなど、恐れる行為ですらないのだ。
「危なかったっ?! ありがと!」
 助けられたシェーラは、盾役のメンバーが敵を抑えてくれる間に、バトルオーラと地獄の炎を纏わせた拳で、真横から狼の腹を殴りつける。
 さらに、敵の正面へとウイングキャットのオライオンが飛び出る。狼に恐れることなく敵を引っかくその姿にシャウラは頼もしさを覚えつつも、自身はオウガメタルの力で黒太陽を具現化し、狼へと絶望の黒光を照射していく。
「クールに行こうぜ」
 普段以上に冷静さを保つ輝。敵がいかに驚かしてこようとしても、こちらのペースで相手を挑発する。伊達に心が地獄化しているわけではないのだ。
「さてお客様、そろそろ終点の冥界門だ。丁重なご案内はここで終いだぜ」
 盾となりながらも、彼は敵へと言い放ち、掌へと地獄の炎弾を作り出す。
「要約すると“くたばれ”って事さ」
 言葉と共に輝は炎弾を飛ばし、命中させた狼の背中を燃え上がらせた。
 そこへ、黙したルリナが攻め入る。マインドリングから作り出した光の剣で、淡々と狼の身体に斬り傷を増やしていく。
(「あまり相性が良くない相手ですからね」)
 驚かない相手を狙うという夢喰い。感情を外に出すのが苦手なルリナにとっては天敵と言えるかもしれないが。
「わっ」
 それでも彼女は時に驚く振りをし、敵の攻撃の対象にならぬようにと心がけていた。
 徐々に身体に傷を増やす狼は、鋭い爪で前列のケルベロスを薙ぎ払っていく。その一撃は、一瞬で着ている服すら破いてしまいかねない威力だ。
 それに少しでも耐えられるようにと、リュエンは光の壁を前列メンバー手前へと構築していく。
「いでよ、美少女親衛隊! みんな紙なのはご愛敬!」
 テトラは紙兵を撒き散らし、それらに仲間の護衛へと当たらせる。
 しばし、紙兵を撒いていた彼女は、ある程度それが行き渡ったと判断すると、猫のようにぴょんぴょんと狼の周りを跳びまわり始めた。
「見惚れちゃってもいいのじゃよん☆」
 ――番犬として正義の味方として、そして何より、美少女として!
 そんな言葉と共に、テトラは日本刀「風来」で敵の右後ろ足を切り裂くと、狼は忌々しいと言わんばかりにケルベロスを睨みつけてきた。

 口からモザイクを撒き散らしてくるドリームイーターの狼。
 子供にとっては、巨大な狼は畏怖の対象となりうるだろうが。ケルベロスにとってはそれだけでは恐れを抱かせるには足りない。夢喰いとしての威圧を合わせてなお、それに耐えるメンバー達は敵の殲滅に全力を尽くす。
 狼の攻撃を受け止め続ける未来。その上で白い狐を召喚し続けるのだが、いかんせん、それが続けば敵に見切られる結果となる。
 同じく、盾として狼を抑える輝。彼は回復よりのグラビティをメインに所持していたこともあり、敵の攻撃によって身体に異常が生じた仲間の回復へと図っていた。
「どんな時でも、撃鉄の音を聞けば冷静になれるものさ」
 乾いた金属音。その音は死神の足音を連想させる。それを振り切る為に、音を耳にしたメンバーは冷静さを取り戻す。輝は冷静になることで、死神の足音から逃れることができると誰からか教わっていたのだ。
 回復役として動くメンバーもまた、前線を支える。
 リュエンは癒しの雨を降らして傷を癒し、瑠璃も雷の壁やオーロラの光と、忙しなく動いて援護をはかっていた。
 援護という立ち位置は、瑠璃が望むべきポジションだ。一緒に森を駆け巡り、仲睦まじく育った那岐を支える為に、彼は精進を続ける。
 前線が持たせてくれている間に、シャウラはファミリアロッドを小動物に戻して飛ばし、あるいは、エクスカリバールで殴りかかり、狼の動きをより抑えつけて行く。
「……っ!」
 時にシャウラは狼の姿に驚く振りをして、敵の攻撃対象から外れようと試みていた様だ。
「……あっ」
 こちらも驚く振りをするルリナ。それは若干ぎこちない所作ではあったが、少年から生まれたドリームイーターであることが功を奏する形となったのか、ルリナには目もくれず、狼は前衛メンバーを丸呑みしようと襲い掛かっていたようだ。
 そこで、レプリカントのルリナは胸部に出現させた発射口からエネルギー光線を撃ち放ち、狼の身体を貫通させる。
 早期決着というにはやや戦いは長引いた感があるが、那岐は踊るようなステップを踏みながら、空の霊力を纏わせた刃を、非物質化させた刃を、夢喰いへと浴びせかける。
「さて、披露するのは我が戦舞の一つ。必殺の銀色の剣閃!!」
 ここぞと那岐が舞い踊ると、銀色の風を巻き起こしながら無数の剣閃が煌き、狼の身体を切り裂いていく。
「やはーっ! 美少女の邪眼がうずくぜなのよ!」
 続いて、身軽さで敵を翻弄していたテトラが敵を凝視する。
「あたしの眼が怖い? ねえ怖い? ほーら動けなくなっちゃうよん♪」
 浮かび上がるテトラの瞳の紋様が碧く光る。それに囚われた狼は身体に刻まれた傷による苦痛に身悶えた。
「そろそろ幕を引こうじゃないか!」
 抵抗を続ける夢喰い狼にトドメを刺すべくシェーラは言葉を紡ぐ。
「貴女の御前に傅く私が、偉大なる御身を讃えることをお許しください。貴女は例えば氷、茨、棺。極寒の冬に一輪咲く、気高く麗しい白の花」
 シェーラの言葉に応じ、刹那降臨した夜叉の女王が狼を一瞥する。その魔眼に貫かれた狼はついにグラビティ・チェインが尽き、姿を崩してモザイクと成り果てる。それもすぐに霧散し、完全になくなってしまったのだった。

●目覚めた少年に……
 夢喰いの討伐を完了したケルベロス達は、戦場となった駐車場へとヒールを施す。
 シェーラは気力を撃ち出し、リュエンも癒しの雨を降らし、めくれ上がったアスファルトを幻想で埋めていく。
 同じく、溜めたオーラを発していた輝。ある程度区切りをつけた地点で、メンバー達は被害者となった少年、黒川・祐一の家を訪ね、彼を見舞うことにする。家族への状況説明には、輝がケルベロスカードの提示と共に当たっていたようだ。
「やはーっ! おはよう少年! いい目覚めだね!」
 明るい声で祐一の部屋へと真っ先に飛び込んだのはテトラだ。
「こわーい怪物はあたしたちが倒しちゃったよん☆ この! 美少女の! あたしがねっ!」
 決めポーズと共にテトラが言い放つと、きょとんとする祐一の頭を瑠璃が優しく撫でる。
「悪い奴はやっつけたよ」
「羊だって狼倒せるんだから、どうってことないって!」
 ふんわりとした印象のシェーラも、自身ありげに叫ぶ。うんと頷く祐一。夜も遅い時間ということもあって眠そうに欠伸をするが、どうやら眠りたくない様子だ。
「こわいゆめでも見たんですか? もう、だいじょうぶですよ」
「大丈夫、ただの悪い夢です」
 ほぼ同年代のシャウラも祐一を介抱する。続いて話しかけるルリナの顔には本心からの笑みが浮かんでいた。
「ほら、ここにはおおきいもうじゅうなんていません。オライオンみたいなちっちゃいどうぶつだけ、ですから」
 ウイングキャットのオライオンを見せるシャウラ。そんな幻想的な彼女の姿に祐一は頬を赤らめてしまう。
 さらに、那岐が悪夢から守ってくれるという首飾り、ドリームキャッチャーを祐一に手渡す。
「大丈夫、だよ」
 那岐はそうして、少年の身体を抱きしめると、祐一は完全に顔を真っ赤にして固まっていたようだ。
 未来は動物変身で接触することも考えたが、普通にケルベロスカードを渡し、話すことにする。
「ねえねえ、色々お話聞かせて?」
 好きな動物は何と話を切り出す未来。彼女は祐一が再び眠るまでの間、話し相手になるのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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