迷子のもちうさ

作者:彩取

●もちもちぺったん
 月の綺麗なとある夜。
 少女が一人、町外れの森の中を歩き続けていた。
 懐中電灯を片手に歩く彼女には目的の場所があるのか、その足取りからは迷いらしきものを感じない。やがて少女が足を止めたのは、森の中にある大きな銀杏の木の元だった。
「……ここじゃないのかな、もちうさちゃん」
 噂だと、丁度今頃が持ちつきうさぎの現れる時期なのに。
 そう呟きながら、少女は諦めずに再び森を歩き始めた。
「おいしいお団子があるから、おつきみしたいのになぁ……」
 しかし、少女が銀杏の木から離れて、暫く経った時である。ふと後ろを振り返ると、そこには大きな鍵を持った不思議な人物が立っており、少女が驚くと同時にこう告げた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 瞬間、少女は第五の魔女アウゲイアスの鍵で身体を貫かれ、奪われた興味から、一体のドリームイーターが現れた。つるんとした身体に、木製の杵を持った白い兎。それは少女の探していた餅つき兎の姿となって、ぴょんぴょんと森の中を進んでいったのである。

●迷子のもちうさ
 不思議な物事に対する強い興味が奪われ、ドリームイーターになる事件。
 興味を奪われた人を目覚めさせる為、またこれ以上の被害を出さない為にも、この個体を撃破して欲しい。ジルダ・ゼニス(青彩のヘリオライダー・en0029)はそう言って、
「今回は、杵を持った兎です」
「……杵を持った、うさぎ?」
「はい、子供達の間では迷子のもちうさと呼ばれているそうで」
 淡々と訊ねるアリス・ヒエラクス(未だ小さな羽ばたき・e00143)に、これまた淡々と答えて、名付けられた兎の愛称を口にした。このドリームイーターは、とある少女の持つ興味から生まれたものであり、本物の兎というよりは、ちょっとデフォルメされたまるっとした感じの白兎の姿をしている。これも今までの個体と同様に、自分の事を信じていたり、自分の噂話をしている人に引き寄せられる性質があるので、まずは誘い出して欲しい。
 すると、ジルダは誘い出しに関して、こんな事を提案した。

「噂話によると、この兎はお団子や餅が大好きらしいので」
 折角なので噂話の際に、お団子を持ち寄っては如何だろう。
 勿論、なくても噂話だけすれば誘い出しは出来るが、綺麗な月夜なので、こちらも噂話に準えた行動を取ってみるのも悪くはない。串にさしたお団子や、お供え用に積み上げられた月見団子、餅も好きという話なので、大福などを用意するのもいいかもしれない。
「戦場は、少女が立ち寄った銀杏の木の辺りが広々としているようですね」
 銀杏の葉が色付くには少々早いが、代わりに綺麗な月が浮かんでいる。
 そこでドリームイーターを誘い出して、どうか少女の興味を取り戻して欲しい。
 月夜に美味しいお団子を食べながら、もちうさの噂話に花を咲かせる。
 そうすれば、森の中を彷徨っているもちつきうさぎも、姿を見せる筈だから。


参加者
アリス・ヒエラクス(未だ小さな羽ばたき・e00143)
天羽・舞音(力を求める騎士・e09469)
神山・太一(かたる狼少年・e18779)
祝・真珠(縁結び・e25133)
デンドロビウム・トート(黒骸メランコリー・e26676)
百鬼・神酒(一花心・e29368)
涼風・茜姫(虹色散歩道・e30076)
ヨハネ・メルキオール(マギ・e31816)

■リプレイ

●月見頃
 森の中にある、一際大きな銀杏の木。
 空に煌々と輝く見頃の月と、黄葉する前の扇形の葉を仰ぎ見た後、百鬼・神酒(一花心・e29368)は鬼面から覗かせた視線の先を、銀杏から仲間達の元へと移した。
「ほお、随分と賑やかになったものじゃのう」
「種類もたくさんになりました。あ、お茶もあるのでどうぞ」
 その声に、お茶を配りながら笑む神山・太一(かたる狼少年・e18779)。
 ケルベロス達の前には、各々が持参した餅や団子がずらりと並べられていた。
 祝・真珠(縁結び・e25133)はきな粉と黒蜜掛けの白玉、ヨハネ・メルキオール(マギ・e31816)はあんこの団子で、隣には神酒の並べたみたらし団子。その中央にデンドロビウム・トート(黒骸メランコリー・e26676)は月見団子を置き、夜空を見上げた。
「さて、これで月から兎が降りてきてくれればいいが」
 木製のお盆の上にあるのは、三段に積まれた白い団子が十五個。
 てっぺんにある団子だけは、月のような黄色をしている。
 すると、涼風・茜姫(虹色散歩道・e30076)は呟いた。
「……もちうさちゃんは、光っておいしそうなお団子、好きかな」
「僕も気になります。みたらし、ごま、草団子、色々あるけど……」
 ボクスドラゴンの崑崙を隣に座らせ、お茶を手に語る茜姫。
 その言葉に頷きながら、太一が少し首を傾げていると、
「もちうさ……とても、興味深い。さぞ可愛らしいのでしょう」
「ああ、もちうさって名前からして可愛いよな……」
 団子を味わう天羽・舞音(力を求める騎士・e09469)の言葉に、ヨハネもファミリアのヨルに団子をあげながら、白い兎の姿を想像していた。舞音とヨハネが思うのは、未だ見ぬもちうさの触り心地。そこに、真珠も表情をきりりと引き締めつつ言った。
「ウサギさん来たら、がんばってたたかうの。可愛さに負けない……た、たぶん」
 でも、やはり多少気になるのか、真珠の語尾はちょっと控えめ。
 そうして時が流れる中、ヨハネが改めて月を眺め呟くと、
「月見という文化はよく知らなかったが、中々乙なもんだ」
「……嘗ては豊作の祈願や、収穫への感謝を示す為の風習だった、と聞く。もぐ」
 月見を始めてから今し方まで、団子を黙々と味わっていたアリス・ヒエラクス(未だ小さな羽ばたき・e00143)が話に加わった。とはいえ、アリスの手は止まらない。
「自然の恵みへの感謝を忘れない為にも、こういう文化は残されるべきね。もぐ」
 そういいつつ、ごく自然に合間を縫って、
「こんなに月が綺麗な夜だから……」
 ペースを乱さずもぐもぐ、もぐもぐ。
「もちうさが迷子になってでも跳び出したくなるのも、無理はないわね」
 そんなアリスにもう一杯お茶を差し出すと、太一も楽しげに話の輪に。
「どれも美味しそうだし、本当にもちうささんがいるなら、一緒に食べたかったけど」
「確かに。一緒に食べれば楽しいだろうに。な、チェネレントラ」
 しかし、デンドロビウムが友であるボクスドラゴンを見て、語りかけた時である。
 舞音と真珠、そして太一やテレビウムが耳を澄ませると、遠くから奇妙な音が。
 ぺたぺた。ぺたぺた。ぺっ、たん。
「……これは、足音かしら」
「ましろもそう思う。きっと――あ!」
「てっくん! てっくんも見て、あっち!」
 瞬間、茂みの中から現れたのは、身体より大きな杵を持った白兎。
「おっとお出ましか。へぇ噂通り可愛いじゃないか」
「崑崙。あれが、もちうさちゃんかな。大きさ、崑崙と同じくらい、かな」
 ヨハネや茜姫の言う通り、迷子のもちうさの姿のドリームイーター、なのだが――、
「…………かわいいな。――っ!?」
 もちうさを見て、呟くと同時に絶句するデンドロビウム。
 その足元、チェネレントラは彼女の脛をベシッと叩き、何か言いたげ。
「な、チェネレントラ、怒るな。お前は友達だから……!」
 それを察したデンドロビウムは、そっぽを向く友に訴えた。
「お前は友達だから、もふりたいという気持ちとは、違う!」
 熱い声が森にこだまする中、一同をじっと見つめるもちうさ。
 ただ、アリスが遠くからお団子を差し出しても、警戒は解かれない。
「……流石に、食べるとはいかないみたいね」
 あくまでも、眼前の兎は敵という事らしい。
 一方で、表情を変えずに神酒が静かに眺めていると、
(「この兎、焼いて喰うてまうのはダメなんかのう……」)
 形の良い唇が薄く笑みを引いた瞬間、もちうさはぴゃっと杵を構えてみせた。

●迷子のもちうさ
 ぴょんぴょん跳ねるもちうさに対峙し、陣形を作る一同。
 開幕初撃は、ドミネイトドライバーのバックルに舞音がドレスキーを装填し、戦闘態勢を整えた直後。ぺたたたたたっと足音が響いた瞬間、もちうさは杵を振りかぶり跳躍した。
「可愛い顔して、やりにくいったらありゃしないな……!」
 衝撃の瞬間、周囲に跳ね飛ぶデフォルメ調の星や月。
 対し強気な口調に変わって言い放つと、舞音は足に流星の煌めきを宿して跳躍した。
 互いにディフェンダー同士、舞音の反撃に赤い瞳をキリッと強気に細めるもちうさ。
 そこにアリスがオウガ粒子を放出して前列の精度を高める一方、守護星座の輝きによって呪縛耐性を強化した茜姫は前方で跳ねる兎を見つめ、変わらぬ調子で呟いた。
「ちいさいのに、おっきな杵もって、力持ちなんだね!」
 力の源は、やっぱりお餅やお団子なのかも。
 そう言って、何処か楽しげな茜姫。
「もちもち、ちからもち!」
 片や真珠は、緩む口元をきゅっと引き締め戒め中だ。
「……ま、ましろは、立派なまじょ様になるんだもん!」
 立派な魔女はもふもふもちもちな兎がぴょんと跳ねても、
「さ、さわりたいけど……ガマンして戦う、よ」
 丸くなって仲間の攻撃を受ける姿が可愛くても、瞳をきらきらさせたりしていないし、肩が震えるのは所謂武者震いのようなもの――と自分に言い聞かせ、地を揺るがす十字斬りを繰り出す真白。ところで、相棒であり友であるてっくんに盾役を託した太一はというと、
「うさぎさんってさ、もっちりと、ふわっとしてて、たまに大福みたいに……」
 そこまで言いかけた所で、てっくんは豆鉄砲を喰らった鳩のような顔を表示。
「……そんなきょとんとした顔しないでよー。こっちは真面目に言ってるのに」
 その反応にもうと呟きつつ、気を研ぎ澄ませて敵の足元を爆破させた太一。するとデンドロビウムも瞬時にリボルバー銃を撃ち放ったのだが、
「な。見ただろう? わかってくれチェネレントラ」
 直撃に吹っ飛び、ぽよんと跳ねたもちうさを見て、彼女は友に訴えた。
「チェネレントラも可愛いけれど、もちうさは別の可愛さがあるんだ……」
 白雪のような友がつやかわ系なら、もちうさはふわもこ系。そうして最前線に立つデンドロビウム達の後方では、ヨハネが颯爽と駆け出していた。電光石火の蹴りで狙うのは、ぴょこぴょこ跳ねる餅つき兎。直後、直撃した足を最後まで振り切り、ヨハネは言った。
「確かに可愛いが、だが俺様のヨルも負けず劣らず可愛いぞ!」
 その一声に、うちのこも! そう共感した者は多いだろう。
 とはいえ、やはり実際動くもちうさの姿は愛らしい。
 だからこそか、神酒は嘯くようにこう告げた。
「案外えげつない攻撃じゃのう。実はお前さん、見目に反し中身は真っ黒兎じゃな」
 本来の噂話は、昔ながらの風情溢れる御伽噺のようなもの。だが、このまま童などが誑かされようものなら、兎の力は幼き者達を傷付ける。
「よってな。悪戯が過ぎるモンは、はよ倒して仕切り直ししよか」
 そう語り、滑らかな刃を棘のように変形させて斬り込む神酒。
 しかし、もちうさも好き勝手にはやられない。
 それを示すように、兎が杵を頭上で旋回させていくと――、
「――崑崙、見て。ちいさなもちうさちゃん、いっぱいだよ!」
 茜姫達の眼前、前列を覆うように無数の小さな兎が飛び跳ねた。その力の前に、まるごと飲み込まれる前衛の面々。どこもかしこももふもふだらけ。すると、勢いを増して飛んできたちびうさぎの直撃を顔面で喰らった瞬間、
「……漸く、目が覚めたわ」
 流石に今のは効いたのか、静かに構え直したアリス。
 というか、今まで半ば夢心地だったのか。という真偽はさておき、アリスは再びオウガメタルの力を借りて、光り輝く粒子を中列へと降り注いだ。その最中、アリスは密かに思いを馳せた。ここは物語の世界ではない、故に白兎を逃がすつもりは勿論、
「あの子の興味は、返してもらうわ」
 追いかけっこをするつもりも、ないのだと。

●月夜の決着
 スイングしてキックして、もふもふ爆弾を撃ち放つ迷子のもちうさ。
 そのもふもふ爆弾が、やがて後列にも放たれたのだが、
「もちもち……! 可愛いって、とても、強い、ね?」
 威力は別だが、ちいさな兎のふわふわ加減に思わず笑む茜姫。
 一方、もふもふにときめいていた太一の視界が晴れていくと、
「てっくん、今日はなんだかすっごく元気だね……?」
 前方では、もちうさに対抗して三割増しでぴょんぴょん跳ねるてっくんが。
 そんな相棒を見てにこりと笑むと、太一は指を口へと近づけた。
「もふもふだったらこっちだって負けないよ! 皆、出番だよ!」
 兎に張り合う気持ちは太一も同じ。瞬間、指笛を高らかに響かせると、現れたのはもふもふの犬や猫、そして狐や狼達だった。彼らの柔らかな毛並みに、痺れを拭いさられた後列の面々。すると茜姫も、両手を斜め上にピンと伸ばし、ハイブイのポーズを決めてみせた。
「ほら、できた、よ? 疲れも不調も、飛んでって?」
 思い込みと信じる心が実現させた、自宅警備術。
 けれど一番大切なのは、皆を応援したい気持ちがある事。
 そうしてネットで見たチアリーディングの動画を真似て、前列の傷を癒す茜姫。
 しかし皆の連撃を受けても攻撃あるのみとばかりにもちうさも跳躍し、真珠めがけてらびっときっくを繰り出した。強烈だけど、やっぱりふわっともふっとしている。
「ましろと同じ、真っ白なもちうささん……同じだけど、悪いコトはダメだ、よっ!」
 その感触を跳ねのけて、内なる魔力を高める真珠。やがて純白の少女の瞳に映されたのは、兎の身体に絡み付く無数の――不可視の糸だった。
 悪行に比例して、締め付ける強さを増す縁の糸。
 その締め付けを僅かばかりの償いとして与えると、
「――わるい、ご縁は切らなきゃ、ね」
 真珠は鋏と共に手を伸ばし、プツリとその糸を断ち切った。
 やがて目に見える形で現れたのは、疲弊した様子の白兎。
 しかし、どれ程有利な状況でも、舞音は気を緩めない。
「どれだけ可愛くても、手心は加えられんのでな」
 実に惜しいと思うのも嘘ではないし、触れた瞬間の触り心地が、手に残っているのも本当だろう。それでも防げる攻撃は逃さないし、好機と取れば刃を構えるのは当然だ。
「譲るつもりも逃がすつもりもない。勿論、外すつもりもな」
 そう断じ、火花散るチェーンソー剣の刃を構えて、傷口を更に広げる舞音。
 彼が剣を振り切り視線を向けると、そこにはもちうさを指差して、口を開こうとしていたデンドロビウムの姿があった。
「――断罪する」
 零れたのは、短い詠唱。
 瞬間、指先から放たれた気功弾が標的を撃ち抜いた。
 まるで弾速を加速させたかのように、伸びやかに翔けて罪を貫くconvict(コンヴィクト)。しかし、直撃の痛みに飛び跳ねたもちうさから響いたのは、ぺたぺたっという可愛い足音。その姿を見た瞬間、デンドロビウムがチェネレントラの様子を窺うと、
「……分かってくれたか、チェネレントラ」
 遂に共感したのか、頷くように首を沈める白雪の竜。
 直後静かに構えたのは、同じ姿をした二人の人物だった。
 誰の目にも、それは二人のアリスに見えただろう。しかし一方は、触れれば散る泡沫の夢も同然に作り出されたアリスの幻影。ただし、幻影は術者の意志に忠実だ。
「……楽しい夢だったわ。でも、夢と酔いは何れ醒めるもの」
「だから今日は、もうおしまい。在るべき居場所へ、お帰り」
 言の葉を紡ぎ、敵へと迫る二人のアリス。
 やがて兎に触れた一人は霧散し、本物は一撃を繰り出し囁いた。
「此の様な形で遊ぶのは、貴方も本望じゃないでしょう」
 彼女の言葉に、威嚇の視線を向けるもちうさ。
 しかし、視線を注いでいるのは白い兎だけではなかった。花が咲き誇る内側に、ちらりと炎を覗かせた衣を羽織って、一振りの刀を手に駆けた神酒。人を惑わし揶揄ゆる性を持つ男が、この瞬間に何を思って笑んでいるのか、その奥底までは分からない。
「帰り道がわからんようなら、教えてやらんこともないぞ」
 だが、鬼面に覆われていない唇が紡ぐ言葉が、如何に戯言じみていても、
「まあ、なんにせよ。見送りは入口までじゃがのう」
 描かれた月弧の斬撃、その鋭さだけは確かなもの。
 その時である。神酒の言葉に、言葉を重ねる者がいた。
「心配せずとも、ちゃんと月に帰してやるさ。それが、お前の運命だ」
 それは手にした杖を、指揮棒を振るうコンダクターのように構えたヨハネである。
 魔法と音を奏でる事は、同義と位置付けるヨハネ。
 やがて魔力と感情込め、詠唱が歌のように響いていくと、
「――凶れ、受け入れろ、」
 瞬間、魔力の鎖が白兎へと襲いかかった。
 抗う対象を遊びに誘い込むように、否応なく迫る鎖の力。
 まるで逃げ道を塞ぐように差し向けられた黙示の魔術は、神が掌で運命を転がすかのように容易く、疲弊した白兎を捕えて包み込んだ。そうして、敵の力は尽きたのだろう。鎖に絡め取られながら、目を回したドリームイーターである迷子のもちうさ。それは皆が見つめる中で淡い光を放ち、夜に溶けるように消えていったのである。

●秋の夜長に
 周囲の傷を癒し、身なりを整える一同。
 すると改めて、デンドロビウムは兎の姿を思い呟いた。
「可愛かったな……倒してしまうには惜しい存在だった……」
 戦いを通してその思いを理解した為、デンドロビウムの言葉にしみじみと頷くチェネレントラ。程なく舞音が歩き出す直前、神酒はこう提案をした。
「口直しに、月見を仕切り直す。――ってのはどうやろか?」
 神酒の誘いに太一や茜姫が頷けば、再び始まる月見のひととき。
 すると再び腰を下ろす前、真珠とヨハネは空に浮かぶ月を見上げた。よりくっきり見える月の輪郭。その中に、先程は見えなかった兎の影が見えた気がして、ヨルと目を合わせるヨハネ。そうして月を仰ぐ中、アリスは何処かにいるもちうさへと語りかけた。
「――また、何時か。今度は、」
 魔女の力ではなく、本当に出会えた時。
 その時こそは、一緒にお月見を楽しみたいのだと。

作者:彩取 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 1
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