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人里から遥か離れた山中。その森の奥深くにローカストの集落が存在していた。
戦闘力の低い彼らは、積極的に人間と交戦する事はなく、ひっそりと身を潜めるように生活をしていた――が。
「邪魔をするぞ。貴様らの持つグラビティ・チェインを次の作戦に使用する。これは確定事項であり貴様らに拒否権は無い。連れて行け!」
突如現れたのは引き締まった体格をした、コオロギを模したようなローカストだった。
彼の後に押し入ってきたローカストによって抵抗する者は殴り倒され、集落の者達は力尽くで連行されてしまう。
――その後、彼らが連れて行かれたのは、とある施設であった。
施設の中から絶え間なく続くのは、地獄のような光景を髣髴とさせる阿鼻叫喚の悲鳴ばかり。
最早、ローカストたちに後など残されてはいなかった。
●
「……いい加減、ローカストもしぶといものだな」
調査によって判明したローカストの作戦に、フレデリック・ロックス(蒼森のヘリオライダー・en0057)は呆れるようにため息を零す。
「ノーザンライトくんがローカストの次なる作戦を調査してくれた。前回同様ローカストの特殊部隊である『ストリックラー・キラー』が中心となって行動しているようだ」
ただ、追い詰められているとは言え敵も馬鹿ではない。前回とは異なり、今回は指揮官であるイェフーダーを含めた総力戦を展開しているようだ。
作戦の概要としてはグラビティ・チェインが枯渇した状態のローカストと共に下水道より広島市へと侵入。そこから人間を虐殺する事で得られるグラビティ・チェインを使い、更に戦力を増強していく……と言うものらしい。
「随分と強引な作戦だが……当然、放置するわけにはいかない。そこで、キミたちにもこの作戦の阻止に向かってもらいたい」
幸いなのは、既にこの作戦が下水道を基軸に行われるのがわかっている点だ。
つまり、下水道内にて敵群を迎え撃つ事ができる、と言う事である。
「迎撃するのはストリックラー・キラー所属のローカストが1体と、枯渇状態のローカストの合計2体だ。連中にはもう後が無い、劣勢に陥ろうと撤退する事は有り得ないだろうな」
そして、それは下水道の中心点に控える指揮官のイェフーダーとて同じである。
「今回は複数のケルベロスのチームで行われるが、速やかに敵を迎撃できたチームは可能ならイェフーダーの元へ向かって欲しい」
多方面からイェフーダーを包囲し撃破できれば、ただでさえ戦力の足りないローカストたちには相当な痛手となる筈である。
「そのためにはまず迎撃を成功させなくてはならない、よく聞いてくれ」
ケルベロスたちに言い聞かせるように、フレデリックはこれから戦う敵の情報について話し始める。
このチームが相手をするストリックラー・キラーのローカストはしっかりした体格のコオロギ型である。
体術に優れ、的確な動きから鋭い一撃を繰り出してくる。
そしてもう1体、枯渇状態のローカストは大型の甲虫タイプだが、グラビティ・チェインの枯渇により思考能力はほぼ無いと見てよい。
だが、それ故にその馬鹿力は暴力的なまでに発揮される。油断してかかると痛恨の反撃を受ける事になるだろう。
どちらも一発一発の威力が高く、中途半端に守りに入ればそのまま押し切られる可能性も高い。戦略は慎重に練った方が良いだろう。
「そろそろケルベロス諸君もローカストの急場凌ぎな作戦にはうんざりだろう。引導を渡してやるといい」
参加者 | |
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メラン・ナツバヤシ(ハニカムシンドローム・e00271) |
白神・楓(魔術狩猟者・e01132) |
ノーグ・ルーシェ(二つ牙の狼剣士・e17068) |
千代田・梅子(一輪・e20201) |
ブラック・パール(豪腕一刀・e20680) |
卜部・サナ(仔兎剣士・e25183) |
ルチアナ・ヴェントホーテ(波止場の歌姫・e26658) |
ゴルディエル・グランナッゾ(銀眼王ゴルディエル・e29079) |
●
「足元から攻める案は悪くは無かったわね。ここが通れないって事を除けばだけど」
最低限の明かりが確保されている中、ローカストの前に立ちはだかるのは8人のケルベロスと1匹の小さな黒竜。
するりと小気味の良い音を立て引き抜かれる白刃を向け、ブラック・パール(豪腕一刀・e20680)は冷ややかな笑みをローカストへ送る。
「どこにでも沸いて出るのだな、ケルベロスとは。貴様らに構っている暇は無い、速やかに押し通らせてもらうぞ」
表情こそ読み辛いが、見下すような視線を返しローカストは拳を構えた。
その隣には、蟋蟀ローカストの倍はあるかと言う体躯の甲虫ローカストが満ち溢れる敵意に当てられたように、息を荒くしていた。
「どこにでも出てくるのはあんたたちの方だろ、こんなところにまで出てきやがって」
辟易しながらも先手を取ったのは白神・楓(魔術狩猟者・e01132)。砲撃形態へと変形させた大型のハンマーが下水道内を眩しい程に照らす竜砲弾を放つ。
「お主らが人々を襲うならば、わしらがそれを守る! それがケルベロスじゃ!」
「元より一人も逃すつもりはない、イェフーダーごと叩き潰させてもらうぞ」
砲弾の爆炎に紛れ、千代田・梅子(一輪・e20201)とゴルディエル・グランナッゾ(銀眼王ゴルディエル・e29079)が甲虫型ローカストへと迫る。
連日の雨で下水道の水かさは増しているが、戦う分には問題は無いだろう。
鋼鉄のような装甲に阻まれながらもまずは一撃。だが、ローカストも黙ってはいない。
「暇が無いと言った筈だ。消えろ」
音も無く気配も無く、気付けば蟋蟀ローカストは壁を使って楓の頭上を取っていた。
繰り出される強靭な蹴撃。だが、それをノーグ・ルーシェ(二つ牙の狼剣士・e17068)が代わりに受ける。
「チィっ! 地球人如きが、大人しく我々の糧となればよいものを!」
「随分と好き勝手言ってくれるな……地球はお前らの餌場じゃねぇぞ!」
ノーグは痛みを自ら纏う白い炎で焼き払い、蟋蟀ローカストを跳ね除ける。
「まずはあなたから――斬るわ」
「ここで決着を付ける……そのためにも! 力を貸して!」
ノーグが蟋蟀ローカストの相手をしている間に、今度はブラックとルチアナ・ヴェントホーテ(波止場の歌姫・e26658)が甲虫ローカストへ攻撃を向ける。
白く研ぎ澄まされた剣先は明かりを反射し、疾く走る剣閃を描く。その狙いはローカストの装甲の隙間。思わぬ一撃にローカストは自重に圧され体勢を崩した。
そこに襲いかかるのは、ルチアナが呼び出した鷲獅子の爪。霧がかった朧気な姿見とは裏腹にその一撃は鋭く、重い。
「何をノロノロとやっているか! 貴様の馬鹿力を見せてみろ!」
怒鳴り散らす蟋蟀ローカストの言葉に、甲虫ローカストは全身の筋肉を震わせ、低い唸り声を上げる。
「来るよ! みんな気を付けて!」
お互い声を掛け合いながら、卜部・サナ(仔兎剣士・e25183)は腕輪にしていたオウガメタルを解き放つ。
オウガメタルがその粒子を輝かせるのと、甲虫ローカストが怒号を共に太い腕を地面に叩き付けるのは、同時だった。
ただ力任せに殴り付けたわけではない。グラビティの影響をもろに受けた地面は局地的な地震を引き起こし、崩れる瓦礫がケルベロスたちを襲う。
「脆弱な地球人など、我々の敵ではない。このままトドメを――」
「あなた、一々うるさいわね」
蟋蟀ローカストの言葉をメラン・ナツバヤシ(ハニカムシンドローム・e00271)の声と、甲虫ローカストを貫く針の山が遮る。
慈悲も容赦も欠片一つ無く突き立つ漆黒の針は、薄く伸びる彼女の影から伸びていた。
「暇が無いのはこっちも同じなの、悪いけど速やかに押し通らせてもらうわ」
●
サナが即座にオウガメタルの力を使い、梅子たちも身を守りつつ仲間を庇ったお陰で何とか被害は抑えられたが、凄まじい威力である。
やはり、当初の予定通り真っ先に倒すべきはあの甲虫ローカストだ。顔を見合わせ、ケルベロスたちは作戦を再認識する。
「こっちで攻撃を引き付ける! その間に叩き潰せ!」
「わしらに任せるのじゃ!」
凄まじい勢いで突っ込んでくる甲虫ローカストを全身で受け止め、ノーグと梅子が叫ぶ。
「ロキ、二人のカバーをお願い!」
メランの声に、わかっていると言わんばかりにボクスドラゴンのロキが飛び出す。
「この、トカゲモドキめ……私の邪魔をするか!」
繰り出される拳闘を受けるロキ。そして、その間にケルベロスたちは一気に反撃に転じる。
「ルチアナ、頑張ってね! ファイト!」
友人であるサナの声援に、ルチアナは敵を強く見据えたまま少しだけ表情を緩めた。
この2体のローカストだけでも過酷だと言うのに、この後にはイェフーダーとの戦いも控えているかもしれない。
だが、こうして大切な友人が背中を守ってくれている限り、この地下水道に多くの仲間がいる限りは――。
「負けません!」
サナから満月型のエネルギー球を受け取り、ルチアナは甲虫ローカストを鎖で絞め上げる。
そして、鎖から逃れるようにしてローカストは狙いをブラックへと変え、鋭い牙を剥き出しにする……が。
「遅いわ」
牙はギリギリのところでブラックに届かず、逆にその頭部に白刃が突き刺さる。
一見すると、分厚い装甲はケルベロスたちの攻撃をほとんど弾き返しているかのように見えたが、そうではなかった。
積み重ねるように繰り出された一撃一撃は、確実にその身体へダメージを蓄積させていたのだ。
「さぁ、そのまま咲き散りなさい……!」
振り上げられた斬撃に遅れ、分厚い装甲の内側からグラビティが爆ぜる。
「な……グラビティ・チェインを枯渇させていたとは言え、こうもあっさりと!?」
「余所見なんて余裕ね。次はあなたがああなるかもしれないのよ?」
驚愕する蟋蟀ローカストを、メランの戦斧が叩きのめす。
この瞬間を転機に、戦いは一気に流れを変える事になる。
一体となった蟋蟀ローカストはケルベロスたちの攻撃を前に為す術はなかった。
「お、おのれ……地球人、ごときがっ!」
ローカストの必死の反撃に、仲間を庇ったボクスドラゴンのロキが力を失い消滅してしまう。
だが、それが限界。
ローカストの首筋に不意に走る悪寒。ずるりと背中から這い上がるのは、黒い手だった。
「あんたはその『ごとき』に負けるんだ。さぁ、前座は退場の時間だよ!」
それは、楓が解き放った失敗作の一つ。よく見れば、首の無い女性の上半身に近しい輪郭をしているのがわかる。
触れる指先は見る見る内に体温を奪い、無理やり引き剥がせば凍て付いた表皮が刮げ落ちる。
「や、やめろ……やめろぉぉぉ!」
「そう言ってきた者達に、貴様等はどう答えてきた?」
逃げ惑うローカストの前に、最後に立ちはだかったのはゴルディエルだった。
かつての憎しみは今も衰えることは無く、銀眼王の名の元に、炎は燃える。
「命ある事を後悔するが良い、苦痛に喘ぐが良い。――存分に、侵略者としての罪を償ってゆけ」
振り下ろされるは断罪の斧。
暴虐を尽くした者は、同じく無慈悲の元にその贖いを課せられたのだった。
●
「メラン、おぬしは大丈夫かの?」
「こんな事で引き返したら、それこそロキに呆れられるわ。……だから、大丈夫よ」
2体のローカストを撃破したケルベロスたちは、雨で増した水かさを利用してルチアナが見つけた小型のモーターボートで下水道を一気に突き進んでいた。
ダメージは決して少なくはないが、ここまで迅速に対処できたのはロキの犠牲があったからでもある。
心配する梅子の言葉に、メランはあくまでも気丈な振る舞いを返す。
「潜伏予想地点の近くね、徒歩に切り替えましょう」
「……他の班もまだイェフーダーを発見してないみたいだね、このまま一番乗りって可能性もあるかもよ」
地図を見ながらブラックが自分たちの現在位置を確認し、楓が簡易的に他の班へ状況を連絡する。
そして、モーターボートから降りて間もなく、ゴルディエルが足を止め声を潜めた。
「どうやらそのようだな、見ろ」
視線の先には、異形の人影が全部で5体。全てローカストだ、その中に探し求めていたイェフーダーの姿もあった。
「……あれは!」
「植体のディクトデア……」
ルチアナとサナが同時に呟く。
イェフーダーの他、残り3体はイェフーダーを一回り小さくしたような普通のローカストだ。だが、最後の1体は違った。
異形の中でも一際目立つ、攻性植物に覆われた腕。先のローカスト・ウォー開戦直後に金糸雀師団が戦った植体のディクトデアに間違いない。
「揃い踏みって感じだね、どうする? 他の班に連絡して応援を待つ?」
「……いや、このままストリックラー・キラーの劣勢を悟られれば奴らはまた逃げ、別の場所で新たな被害を生む……だったら」
ノーグの言葉に仲間たちは逡巡する事もなく、強く頷く。
真っ先に駆け付けた自分たちだからこそ、奴らをここで足止めできる筈。8人は物陰から飛び出し、イェフーダーの前へと姿を現すのだった。
●
「お前達は、ケルベロスか! 何故、ここに、まさか……」
ケルベロスの姿を見て、イェフーダーが驚きの入り混じった声を上げる。
この状況はイェフーダーにとっても想定外のようだ。ゴルディエルは威風堂々と言い放つ。
「貴様等の作戦は既に瓦解した。どうやら、こちらの戦力を見誤ったようだな」
「イェフーダー……ようやく追い詰めた。戦争から続く戦いも、今日で終わりよ」
ルチアナもそれに続き、ケルベロスたちは武器を構えた。まるで本当にこちらが王手をかけているかのように。
実際のところ、仲間が後どれくらいで駆けつけるのかわからない今、状況はお互い綱渡りであると考えるべきだろう。
「やむを得まい、都市各地で事件を起こしてから、この私自らが中心部を制圧する予定であったが。作戦の最終段階に進ませてもらおう。GURRRRR!」
それでも、今はやり通すしかないのだ。
イェフーダーの合図を皮切りにローカスト3体とディクトデアがケルベロスたちに襲いかかる。
「イェフーダーが攻めて来ない……?」
ディクトデアを含めた4体のローカストの後方でイェフーダーは『何か』を準備しているように見える。
サナの指摘に他の仲間たちも気付くが、今は目の前の4体を相手にするしかないだろう。
「みんな、わかってるね! 何としても持ちこたえるよ!」
先の戦闘同様に楓の砲弾が先陣を切る。――だが。
「くっ!?」
舞い上がった土埃を何かが切り裂き、衝撃がケルベロスたちに叩き付けられた。
それは3体のローカストが一斉に放った音波の波だ。
1発1発の威力はそれほどでも無いが、連戦である事が堪えている。その上……。
「とうやら手負いノようだナ。ここまで来た事は褒めてやるガ、そんな状態で我々に勝てると思っているノカ?」
音の波に合わせてディクトデアが踏み込んでくる。右腕を包む攻性植物がルチアナに襲いかかった。
「させぬわッ!」
「ウメコさん!」
喰らい付く攻性植物の前に梅子が飛び出す。
すぐにルチアナの鷲獅子がディクトデアを追い返すが、深々と突き刺さった牙は梅子の肉を抉り取っていく。
「こいつヲ維持するのも楽じゃなくてナ。お前たちにハ糧となってもらうゾ」
「流石に……大将の護衛となると気が抜けないね!」
「ッ、もうヒールが間に合わない……!」
ディクトデアが前衛を担い、その強力な攻撃を3体のローカストがサポートする。
「無駄な抵抗はヨセ、お前たちニ勝ち目はナイ」
楓の言葉通り、先程のローカストよりも遥かに強敵だ。万全の状態であっても、容易い相手では無かっただろう。
加えて先程の戦いでダメージが残り、サナのヒールも焼け石に水と言った状態。戦線を維持するのは最早不可能だ。
「だからって……諦めるつもりなんて欠片も無いわよ!」
「当然よ。生憎だけど勝ち目が無い、なんて一度も思ったことがないわ」
接近してきた3体のローカストを一度に相手にしながらも、メランとブラックは強気な姿勢を崩さない。
しかし梅子に続き、2人もローカストの集中攻撃に遂に力尽きてしまう。
「無駄ダ、と言っているのガわからんか。ならばこのまま――」
「ごちゃごちゃと、うるせぇ!」
ディクトデアの声を遮り、ノーグの振るう剣閃が走る。
「何でもかんでもお前らの思い通りになると思ったら大間違いだぞ、蟲共が!」
「断言してやろう。愚かな王に従う貴様等に未来は無い、ここで朽ちていくがいい」
ノーグに気を取られた瞬間を狙って、ゴルディエルの重力を纒った蹴撃が突き刺さる。
そして、地球人としての矜持と魂の込め、ノーグは斬霊刀・弧狼丸を一閃。その刃は致命傷にこそ届かなかったが、ディクトデアの右腕の蔓が数本、宙を舞った。
「まだこれほどの力ヲ秘めていたか……だが!」
ディクトデアの反撃にノーグはその場に辛うじて押し留まるも、既に半数が力尽き敵は未だ健在。撤退するにも誰かが時間を稼ぐ必要がある。
ノーグの脳裏に力を暴走させる最後の手段が過った――その瞬間だった。
「ようやく会えたわね、イェフーダー!」
不意に別方向から響く、女性の声。見れば、こちらとは別の方角からオラトリオの女性がイェフーダーへ大鎚を振りかざしていた。
「追い詰められた悪党の悪あがきが、実を結んだ試しなし! 覚悟!」
「イェフーダー! 今更アポロンに従ってももう詰んでいることぐらい分かっているでしょうに、何があなたをそこまでつき動かすのです!」
続いて、金髪のレプリカントと桃髪のサキュバスが更に別方向から砲撃と御業を繰り出す。
「な……増援ダト!? これ程の数がこの早さデ……!」
しがみつき、ボロボロになり、それでもようやく、血と痛みを犠牲にした戦いは実を結んだのだ。
「は、はは……ほら、行かなくていいの? あんたらの大将、取られちゃうよ?」
最後の最後まで強気を保ち、楓は傷付いた仲間たちを後方へ退き下げる。
いくら手負いの獲物が目の前にいようと、頭を取られては終わりだ。ディクトデアは憎々しげな視線をケルベロスたちに向け、イェフーダーの支援へと駆け戻るのだった。
「退くぞ。取り巻きを引き付ける時間稼ぎは十分に成った。後は駆け付けた者達に任せるのじゃ」
ゴルディエルの言葉に立っているケルベロスたちは頷き、傷付いた仲間を背負い撤退を開始する。
「気を付けて! イェフーダーが何かの準備をしてたみたいなの!」
最後にサナは駆け付けた仲間たちに言葉を投げかける。
自分たちの役目は十分に果たした。後は、彼らがイェフーダーを討つことを願い、戦線を後にするのだった。
作者:深淵どっと |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年9月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 8/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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