黙示録騎蝗~連刃

作者:藤宮忍

●Warning
 深い森の中。
 原始的な住処で息をひそめて暮らすローカストの集落に、突如押し入って来るモノ。
 特殊部隊『ストリックラー・キラー』のローカストだ。
 集落で身を潜めていたローカストはグラビティ・チェインが枯渇している状態で、押し入ってきたストリックラー・キラーのローカストからの暴行を受ける。
 殴りつけられ、蹴り飛ばされて、ぼろぼろになったローカストを侵入者は掴み上げた。
「お前達のグラビティ・チェインが必要なのだ。作戦の為……黙示録騎煌の為に捧げよ」
 抵抗する力など残されていないローカストは、ずるり、ずるりと引き摺られていく。
 やがて、連れ出された施設では、グラビティ・チェインを搾り取られる更なる苦痛が待ち受けている。
 
●『予知』
「ノーザンライト・ゴーストセイン(のら魔女・e05320)様の調査によって、ローカスト達が下水道から侵入して広島市を制圧する作戦を行おうとしていることが判明いたしました」
 凌霄・イサク(花篝のヘリオライダー・en0186)は告げる。
 この作戦は、グラビティ・チェインを枯渇させたローカストを使って事件を起こした、特殊部隊『ストリックラー・キラー』が行うようだ。
 個別の襲撃ではケルベロスに阻止される事を学習したのだろう、今回の作戦では、指揮官であるイェフーダーも含めて、ストリックラー・キラーの総力を結集しているようだ。
「ストリックラー・キラーのローカストはコギトエルゴズムを多数所持しているようです」
 彼等は枯渇状態のローカストと共に下水道から市街地へと侵入し、人間を虐殺してグラビティ・チェインを奪取。そのグラビティ・チェインを利用して、コギトエルゴズムを新たな枯渇状態のローカストに変えて、戦力を雪だるま式に増やし、広島市全域を制圧、数十万人の虐殺を行おうとしている。

「この作戦が実行されてば、都市制圧までに掛かる時間は24時間以内と想定されます」
 今回は事前に事件を察知することが出来たため、下水道内で敵を迎え撃つことができる。
 敵は市内全域を同時に襲撃するために分散して行動するので、各チームは『ストリックラー・キラー』のローカストと枯渇状態のローカストの2体構成となるだろう。
 『ストリックラー・キラー』のローカストは相当の覚悟を持って作戦に挑んでいるので、ケルベロスが待ち構えていたとしても、逃げることなく、最後まで戦い続けるようだ。
「ケルベロス様達は2体のローカストと同時に戦闘して頂くことになりますが、もし万が一敗北してしまえば、広島市民に多大な犠牲が出ることになりますので、ここは最善を尽くして頂きたいと思います」
 イサクは貴方たちを見渡しすと、神妙に話を続けた。
「2体のローカストを可及的速やかに撃破することが出来たチームは、その後可能であれば指揮官であるイェフーダーの元へ向かって欲しいのです」
 イェフーダーは下水道の中心点で作戦のなりゆきを伺っているようだ。
 多方向から包囲するように攻め寄せれば、退路を断って撃破することが出来るだろう。
 イェフーダーを撃破できれば、今回のような作戦を行う駒が居なくなるため、ローカストの動きを制限する事になる筈だ。
「皆様に受け持って頂きたいローカストですが」
 イサクは2体のローカストについて説明する。
 まず『ストリックラー・キラー』の方は、漆黒の強靱な身体を持っており、腕から展開する巨大な鎌による切り裂きを中心に強い攻撃を放ってくるだろう。
 一方の枯渇状態のローカストは、見た目は派手な斑模様の大きな身体をしているが、グラビティ・チェインの枯渇によりまともな思考が出来ない状態だ。戦闘中はストリックラー・キラーのローカストの動きに合わせて行動、あるいはまともな思考ならばしないような動きをしてくる可能性もある。
「戦闘場所については待ち構えることが出来ますので、敵が通過する下水道のなかで少し広い戦いやすい場所をピックアップしておきました。そちらで迎え撃って下さいませ」
 一通りの説明を終えると、イサクは下水道の簡易図を広げて迎撃地点を伝える。
「敗北すれば、広島市民に大きな被害が出てしまいます。ここは必ずや撃破お願いいたします。――それでは、ご案内致しましょう」
 イサクは一礼すると、貴方達をヘリポートへと導く。


参加者
真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)
朝倉・ほのか(びゅっふぇ・e01107)
一式・要(狂咬突破・e01362)
大神・凛(剣客・e01645)
天野・夕衣(ルミノックス・e02749)
御影・有理(書院管理人・e14635)
天羽・煤里(クレイジーハッピー・e23088)
クロエ・フォルバッハ(ヴァンデラー・e29053)

■リプレイ

●下水道
 細い通路をしばらく歩くと、広い空間に出た。
 下水道の分岐点に辿り着いたようだ。
 湿った空気の場所だが、整備された水路の一画は薄明るく充分な広さがある。
 一式・要(狂咬突破・e01362)は移動用の携帯ライトを下ろして辺りを見渡した。
「子供の頃でも、虫捕りに下水道までは来なかったかな……」
 コンクリートの壁には小さな虫がくっついているようだが、捕りに来たのはもっと大きな虫、ローカストである。
 虫捕り、という言葉に反応して天野・夕衣(ルミノックス・e02749)が笑う。
「さてさて、昆虫採集のお時間ですね」
 手にした下水道の図を折りたたんでポケットに仕舞うと、注意深く下水道の奥を見遣る。
 水の流れる音が途切れることなく続いている。
「下水道内に潜伏、か……害虫には、ぴったりの居場所」
 山羊の頭骨で素顔を覆い隠したクロエ・フォルバッハ(ヴァンデラー・e29053)が無表情に呟く。寡黙だが、敗北の許されない戦いを前にして、いつも以上の気合いを入れていた。
「ここで待ち伏せですか……」
 真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)が口ごもりながら言うと、仲間達が頷く。
「こそこそ謀ねぇ。ま、尻尾を掴めば引きずり出すのみ」
 天羽・煤里(クレイジーハッピー・e23088)の声を合図に、ケルベロス達は待ち伏せを開始する。下水道を流れる水音に紛れて動く音や気配を警戒し、息をひそめた。

 やがて、ガサガサとした羽音のようなものが近づいてくる。
 ケルベロス達が迎撃のために待機している分岐地点を通って別の区画に進もうとしていたローカストが2体。先を急ごうとする漆黒のローカストと、それに従う斑模様のローカスト。後者は些か足取り重く身体を引き摺っているようでもある。
(「同胞すらも苦しめるなんて」)
 御影・有理(書院管理人・e14635)は僅かに眉をひそめて、傍のボクスドラゴン『リム』を撫でる。
「イェフーダーの……アポロンの好きにはさせない。奴らの目論見、止めてみせる」
 リムは有理を見上げて、同調するように軽く跳ねた。
「ふん? 邪魔だ。そこを退け」
 漆黒のローカストが声をあげる。ブブブブ……と昆虫の羽根を震わせ威嚇めいた仕草だ。
「やふ~、どうもです。ここから先は通行止めですよ?」
 夕衣がいつも通りの笑顔で応じれば、敵は不遜な表情で嘲笑う。
「ならば斬り捨ててゆくまでだ!」
「投降して下さいと言っても無駄ですよね? ――戦いを始めます」
 朝倉・ほのか(びゅっふぇ・e01107)の冷静沈着な声が戦闘開始となる。
 ほのかのバリケードクラッシュ。桐一葉の先端が斑模様の装甲を斬撃と共に突き破った。
 煤里は、炎宿す左手にはめた皮手袋を外した。

●迎撃作戦
「おやすみからおはようまで、人々の安眠を守る究極寝具マクライダー!」
 究極寝具(アルティメットシング)マクライダーとは、『抱き枕カバー』で上半身を覆い、『三対の魔眼』を『抱き枕カバー』の表裏に描かれている美少女イラストで発動することにより死角を持たぬ究極の戦闘寝具になるのだ。
 普段はブツブツとしか喋らない抱も、この姿の時はハキハキと言葉を喋る。
「汝、輝かぬ瞳よ、我に従え。三つ首の魔犬に光を捧げよ」
 抱の三対の魔眼(サーベラス・アイ)が発動する。
 装備品に存在する『瞳を模した物や絵』から視覚情報を得ることで常人を超えた空間把握能力を手に入れ、防御能力が向上する。
 漆黒のローカストもアルミニウム鎧化で装甲を強化する。
「さあ、やれ! 黙示録騎煌の為に!」
 漆黒のローカストが嗾けるように命じれば、斑模様のローカストがのそりと動く。長い触覚をゆらめかせ、薄汚れた羽を立てて異音を奏で出す。
 ブブブブ……と羽の擦れる不快な音が、破壊音波となってケルベロス達を襲った。
 有理、煤里、クロエ達に、鼓膜を劈くような音波が襲う。
 要が達人の一撃で斑模様のローカストの装甲に斬りつけた。
 音が止む。
 初っ端からの催眠に視界がぶれる。耳の奥に残る不快な音を振り払い、有理は浄化術式を発動した。
「“虹色”の個、“白色”の全。絆の下に、守護を誓わん。剣に非ずとも、盾に非ずとも、我が意志の赴くまま」
 自身の魂に記録された「他者との絆」。それを魔術回路に見立て、グラビティ・チェインを流し魔力へと変換する。
 そして、守護の誓いを乗せた波動として、放つ。
 浄化術式『虹色の叫び』(アイリス・シャウト)。
 「守りたい」という術者の意志は、剣でも盾でもなく、痛みや苦しみを癒す術として形を成した。
 リムが属性インストールで有理に耐性を付与する。
「動きを止めよ!」
 大神・凛(剣客・e01645)の声が水路に響き渡る。
 神龍の咆哮(シンリュウノホウコウ)。
 ドラゴニアンの力を宿した声が、反響しながらローカスト達を襲う。斑模様のローカストはビリビリと痺れを食らって触覚を震わせた。
「虫さんですから、こういったところがお好きなんですか?」
 夕衣は漆黒のローカストを見据えた。
「ふん。好きとか嫌いという問題ではないのだ」
 漆黒のローカストは不機嫌そうに腕を振り上げる。
 そうですか、と夕衣は口元で笑った。
「Aliis si licet, tibi non licet.」
 夕衣の右目が真紅に染まる。その瞳が漆黒のローカストを見つめた。
 赤の罪(アカノツミ)――敵の中に沈み込んだ心の傷。それがどのようなモノなのか知る由も無い、ただ、ローカストは表情を険しくして静かに苦しみだした。
「戦乙女の槍術、その身に教えてあげるよ」
 クロエの稲妻を帯びた超高速の突きが、斑模様のローカストを捉えた。その槍術は、貫いた敵の神経回路をも麻痺させる。
「作戦の為か。残念だったな……観念して楽しませてもらおーか」
 煤里のデスサイズシュート。回転させながら投げつけた鎌は、漆黒のローカストの装甲を傷つけてから手元へと戻る。
「そうだ。黙示録騎煌の為……お前達も此処で刈り取ってくれようぞ」
 ギロリ、漆黒のローカストが睨んだ。
 だが怯むどころか、煤里は口角を上げる。
「飢えてんだろ? はは、俺もだ」
 力量的には、敵の強さは煤里より格上だろう。
 だが、高揚する気分は、如何とも隠せない。鎌を力強く握りしめた。

●レギオンレイド
「広島市民を虐殺などさせません。作戦は失敗するのです」
 ほのかは古代語魔法を詠唱する。
 詠唱と共に放たれた無数の光線は流星に似て、敵の「罪」を直接攻撃する。
「滅びという名の救済を」
 失われた楽園(パラダイス・ロスト)の光線が斑模様のローカストを撃つ。まばゆい光が広がって、敵を包み込み周囲を照らした。
 ほのかの物静かな瞳がそれを見守る。
「グガァ……!」
 敵は大きく身体を震わせて仰け反る。悲鳴は水路に轟いた。
 続けて抱が達人の一撃で、ローカストの装甲の一部を凍らせる。
「チッ……ぐずぐずするな! さっさと殺せ!」
 苛立ちを見せた漆黒のローカストは腕を振り上げた。両腕が巨大な鎌となる。
 黒く光る蟷螂のような漆黒の連刃は、抱を狙って斬り下ろされる。
 身構えた抱だが、斬撃はライドキャリバー『黒雷』が身代わりになって受け止めていた。
「黒雷!」
 黒雷はダメージを負いながらデットヒートドライブを放つが、敵はこれを足で防いだ。
 斑模様のローカストはその隙にアルミニウム鎧化で自己修復と装甲の強化をする。
「少し時間がかかりそうです……。ですが」
 ほのかは落ち着いて状況を考える。
 ローカストは各所で広島市民の虐殺を目指し、下水道を進んでいるのだろう。
 時間に余裕は無いのだ。
 夕衣は修復したばかりの斑模様のローカストへと、竜語魔法ドラゴニックミラージュを放った。手のひらから放たれたドラゴンの幻影が敵を焼く。
「確実な方から狙っていきましょう」
 夕衣の声に、ほのかは頷いた。
 要が斑模様のローカストにバリケードクラッシュを放つと、続けて凛の雷刃突が神速の突きを繰り出して装甲を突き破る。
 ライドキャリバー『ライト』もガトリング掃射で攻撃を援護した。
 有理は祝福の矢で、煤里に破剣の力を付与する。
「助かる」
 煤里は仲間の攻撃とあわせて、畳みかけるように攻撃を繰り出す。
 惨劇の鏡像が斑模様のローカストを捉えた。ナイフの刀身に映し出された過去のトラウマが具現化して、敵は一瞬動きを止めて絶叫する。
「ガアアァァア!!」
 苦しみもがき、のたうち回って下水路の壁に何度もぶつかる。
 まるでグラビティ・チェインを搾り取られているかのような拒絶反応だ。ストリックラー・キラーのローカストによって受けた仕打ちが、まざまざと蘇ったのだろう。
 その様子に有理は眉を寄せた。
 クロエのドラゴニックミラージュ。掌から放たれる大きなドラゴンの幻影。
 抑えることのできない火力、破壊の炎がゆらりと包み、斑模様の装甲を焼いた。

●黙示録騎蝗
 ケルベロスとローカストとの戦闘が続く。
 枯渇状態の斑模様ローカストを優先的に狙って攻撃を重ねるケルベロス達。
 敵はアルミニウム鎧化を用いて装甲を修復するため粘っていたが、数分でダメージが蓄積始めた。
 枯渇状態のローカストがケルベロス達の攻撃に耐える間も、ストリックラー・キラーのローカストの攻撃が続く。しかしディフェンダーがうまく立ち回り、回復を行うことで、ケルベロス達は途切れる事無く攻撃を続けていた。
「ガアアァァ……ッ!」
 斑模様のローカストは、攻撃を受けて斬り裂かれ焼けた羽を震わせて立ち上がる。
「来る……!」
 抱が警戒の声を発した。
「ガァァァ………!」
 ローカストのうなり声と共に発する耳障りな異音、破壊音波が放たれた。
「ったく……しぶといわね」
 魔力によるダメージは防ぎきれない。だが、揺らぐ視界に意識を確りと保ち、要は敵の催眠を振り払った。
「くっ……まだまだ」
 凛は心眼覚醒でダメージの回復と破剣の力を得る。
 要が鮫の姿をした水の塊を形成して蹴り飛ばす。水塊には数本の隠しナイフ。
「切り刻めっ!」
 青の凶騒(ディープ・ブルー)――水の鮫が敵陣へと突っ込むと、斬り裂き押しつぶしていく。2体のローカストを刃が刻んだ。
「グッ……この程度で……」
 怯みかけた斑模様を再び嗾ける漆黒のローカストへ、夕衣のスターゲイザーが炸裂する。
「こっちですよ?」
 流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りが、敵の機動力を奪って足止めする。
 舌打ちするローカスト。その間にも有理が気力溜めで要を回復する。
「向こうも必死だ、消耗は避けられない」
 漆黒のローカストは抱へと飛び掛かり、漆黒の牙で肩に食らい付く。
「く……!」
 煤里の竜爪撃。超硬化した左手が漆黒の硬い装甲を貫き、強化を破った。
「ひはは、つえーなぁお前」
 貫く腕をぐるりと回して、爪が破壊した箇所を抉る。その感覚に煤里は口角を上げた。
 敵はボタボタと血を滴らせ、怒りに戦慄きながら後ずさる。
 ズルリと突き込んでいた腕が抜ける。
「あーあ、惜しいね……」
 許さぬ、と低く呻きながら睨む漆黒のローカスト。
 体勢を立て直そうとする斑模様のローカスト。
 クロエは死霊魔法を紡ぎ上げる。
「我が立ちしは“永遠の交差点”、我が招くは怨毒の腕――贄とあそべ、我が刃翻りし時まで」
 不死の神々に斃された者達の怨念や憎悪を、己の魔術回路で過剰に増幅し、地より這い出す数多の腕として具現化する。
 Baroness Cimetiere(バロネス・シミテール)――その腕は、決して掴んだ獲物を離さない。
 肉が引き千切れれば骨を、骨が砕ければ魂を。黒き戦乙女が鎌を振るう時、その永遠に等しい責め苦は漸く終焉を迎えるだろう。
 数多の腕が、斑模様のローカストを捕まえた。
 装甲を砕いて身体を引き裂く。
「死ねば、グラビティチェインの束縛からも解放されるよ」
 ブブブ……と音を立てながら羽が千切れる。続いて腕が、胴が裂けた。
 斑模様のローカストを討ち取ったクロエは、術式行使の代償として、肉体的、精神的な負担も相当な物となる。
 だが、これで敵はあと1体。
「ゆくぞ!」
 抱のハウリングフィスト。音速を超える拳が漆黒のローカストを壁まで吹き飛ばした。
 敵は叩き付けられた水路の壁から、ゆらりと起き上がる。
「私たちも一緒にゆくぞライト!」
 凛が相棒を呼ぶ。ライドキャリバー『ライト』がそれに応じた。
 二刀流の斬霊刀、白楼丸と黒楼丸を左右に構えると、凛は絶空斬を放った。仄かにピンク色をした刃が空の霊力を帯びて、敵を切り刻む。
 ライトもキャリバースピンで、息の合った攻撃を繰り出した。
「グァァ……ッ!」
 漆黒のローカストは斬霊刀に刻まれながら、巨大な鎌を凛へと振り下ろす。
 ライトが凛を庇うように前に出た。
 鎌が深々とライトを斬り付けた。
「隙あり、なのです」
 攻撃を繰り出す敵の鎌の下を潜り、夕衣の稲妻突きが漆黒の腹部を貫く。
「――これで終わりです」
 ほのかの声が敵に告げる。
 古代語魔法の詠唱、放たれるのは流星に似たたくさんの光線。撃つものは罪。
 発動した失われた楽園の光が、漆黒のローカストを貫く。
 光に包まれた敵は絶叫して、ゆっくりと倒れた。

「今日斃れしローカスト達が、安らかに眠れますよう……さて、行くかい?」
 有理は小さくそう呟いてから、顔を上げ仲間達を見る。
「そうだな。少々出遅れたかもしれんが」
 クロエがそう言って、仲間達は頷く。
「いずれにしろ、様子は見に行くか」
 煤里は倒れたローカスト達を一瞥すると、下水道を歩き出した。
 要がライドキャリバーのライトを背負う。怪力無双で楽々担いでいる。
「ったくシュールな画だわ。普通逆でしょ!」
 凛が回復を、と言うが、そのまま駆けだした。
「後で後で!」
 ケルベロス達は足早に下水道を進む。その先、イェフーダーの元へと辿り着くのはちょうど敵が撃破された所だ。
 一同はストリックラー・キラーのローカストを撃破し、広島市民の虐殺を防いだ。

作者:藤宮忍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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