エクスガンナー・ニュー~不機嫌な少女

作者:雨音瑛

●襲撃
 工業地帯の一角にある、機械部品の製造工場。加工を終えた製品が、工場内の一角に積まれている。
 そこに立ち入るのは、胸元の赤いリボンが目立つ少女が一人と機械の体をした男たちが12人。よく見ると、少女も機械の体をしている。
 少女——エクスガンナー・ニューは製造された部品を手に取り、うなずいた。次いで、機械の体をした男——ダモクレスたちを見渡す。
「半分は部品の運搬をお願い。もう半分は私と一緒に周囲の警戒に当たって」
 ダモクレスたちは了承し、素早く仕事に取りかかる。
「エクスガンナー計画再始動……まずは機械部品を集めないことには……」
 ニューは歯噛みし、製造された部品の山をちらりと見る。そうして、すぐに周辺へと目を光らせるのだった。
 
●ヘリポートにて
 ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が、訪れたケルベロスたちを出迎える。
「ダモクレスの移動拠点『グランネロス』の撃破後、姿をくらましていたエクスガンナーたちが動き出したようだ」
 エクスガンナーたちは、グランネロス撃破により中断されたエクスガンナー計画を再始動するために必要な機械部品を略奪しようとしているらしい。
 行動としては、工場を襲撃した後、配下の半数を機械部品の運搬に。残りの配下の半数とエクスガンナー本人が周辺の警戒に当たる。
「エクスガンナーさえ倒すことができれば、敵の計画は潰える。君たちには、エクスガンナーの撃破をお願いしたいのだ」
 とはいえ、とウィズは眉間にしわを寄せる。
「配下のダモクレスが多い間は、撃破は難しい。そこで、まずは配下であるダモクレスの数を減らすことを優先するという作戦も有効かもしれない」
 襲撃される工場にいた一般人は避難済みだ、とウィズは付け足す。
「作戦としては、エクスガンナーの襲撃後、半数の量産型ダモクレスが機械部品を運び出し始めた後に攻撃を仕掛けるようにして欲しい。そうすれば、敵戦力の半分を戦闘から除外することができる」
 この状態ならば、エクスガンナーと残りのダモクレスは、機械部品を運搬するダモクレスが無事に撤退するための時間を稼ごうとする。
「そのため、エクスガンナーと残りのダモクレスは10分の間戦闘をし、その後は撤退しようとするようだ」
 今回戦って欲しいのは「エクスガンナー・ニュー」とその配下であると、ウィズが掌にニューの立体映像を出す。
「エクスガンナー・ニューは能力こそ高いものの、それ以上に感情表現の豊かさと交渉能力に重点を置かれている機体だ。攻撃方法はグランネロス襲撃時と同じ。腕に装備された銃で接射するグラビティ、頭上にエネルギー球体を発生させてレーザーを発射するグラビティ、腰部から生えたスタビライザーに冷気を纏わせて回転しながら斬りつけるグラビティだ」
 また、配下として銃器の扱いに長けた「ガンドロイド」というダモクレスが12体。半分がバスターライフルのグラビティを、もう半分がガトリングガンのグラビティを扱う。
「襲撃タイミングについて補足情報だが……タイミングを早めた場合、機械部品の運搬は開始されない状態での戦闘となる。しかし敵の全戦力が迎撃に回るため、戦闘力は増えてしまう。タイミングを遅くした場合は、足止めの時間が少なくて済むほか、敵の撤退までの時間が少なくなる」
 運搬するダモクレスを攻撃した場合は、運搬を阻止することができるが、敵全員と戦うことになるそうだ。
「グランネロス襲撃時に撃破できなかったエクスガンナー・ニューと再戦するまたとない機会だ。敵の数が多いため、一度で撃破するのは難しいかもしれないが……健闘を祈る」
 ウィズは帽子を軽く上げ、ケルベロスたちに一礼した。


参加者
キャスパー・ピースフル(壊れたままの人間模倣・e00098)
イリヤ・ファエル(欠翼独理のエクシア・e03858)
ステイン・カツオ(御乱心アラフォードワーフ・e04948)
ラリー・グリッター(古霊アルビオンの騎士・e05288)
天音・迅(無銘の拳士・e11143)
秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735)
エリオット・アガートラム(若枝の騎士・e22850)
アルノー・シュヴァイガー(アッシェ・e27270)

■リプレイ

●再戦
 エクスガンナー・ニューは、無機質な工場内を黙って歩いてゆく。引き連れた12体の部下も同じだ。銃器を手に、彼女に付き従ってゆく。
 やがて開けた場所に出る。加工を終えた機械部品が積まれている部屋だ。
 ニューはガンドロイドたちに指示を出し、周囲を見遣る。
「半分は部品の運搬をお願い。もう半分は私と一緒に——」
 そこまで言ってニューは止まる。眉間にしわを寄せ、今にも舌打ちをしかねない表情で。
 不快の理由は、視線の先に現れたケルベロスたちだ。
「再びまみえましたね! 今回もあなたの企み、阻止させてもらいます!」
 そう告げるのは、グランネロス襲撃時にニューと刃を交えたラリー・グリッター(古霊アルビオンの騎士・e05288)。早期強襲によって部品の運搬を阻止しようと、強い意思を青い双眸に秘め、真っ直ぐにニューを見る。
「さて、随分とご機嫌斜めなご様子で。感情表現は豊か……なれど、レプリカントには成り得ませんか」
 アルノー・シュヴァイガー(アッシェ・e27270)も、煽るように言い放つ。
「元同志諸君のおでましか。丁寧に壊してやるから待ってろよ!」
 とは、キャスパー・ピースフル(壊れたままの人間模倣・e00098)の言葉。運搬を開始しようとしていたガンドロイドを見て、不適な笑みを浮かべた。
「察知して邪魔しに来たってわけね。いいわ、相手してあげる」
 ニューが言い終わるが早いか、ガンドロイドたちはそれぞれが手にした銃器を構える。彼らが引き金を引くより早く、ニューは腰部のスタビライザーに冷気を纏わせた。そのまま突進し、ラリーへ向かう。しかし、そこへ秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735)がすんでの所で割り込んだ。ゾディアックソードを真正面に掲げ、ニューを弾き返さんばかりの気概で睨む。体に刻まれる傷の痛みをこらえつつ、体勢を立て直す。
「思い通りになんてさせない、絶対に阻止してみせる……!」
 ガンドロイドたちは、弾丸やビームをケルベロスたち目がけて炸裂させる。キャスパーのミミック「ホコロビ」と彼方のライドキャリバー「ヤタガラス」も、味方を庇うべく立ち回っていた。
「時間の計測は私に任せてください」
 腕時計「Limit.」をつけた腕をひらりとさせ、アルノーは涼しい顔で仲間を見遣った。
 とはいえ、と、キャスパーはアームドフォートを操作する。
「野放しにもできないぜ?」
 狙いは後方に控えるニュー。砲撃は見事、命中。立ち上る煙が収まるのを待たず、ホコロビがエクトプラズムで作り出した武器でガンドロイドを斬りつける。
 続くラリーの一撃は、ガンドロイドに向かう。狙ったのとは異なるガンドロイドが立ち塞がりダメージを喰らうが、それもまた計算のうちだ。
 エリオット・アガートラム(若枝の騎士・e22850)がファミリアロッドを掲げる。放たれる炎が敵前衛に広がると、爆風がエリオットの金髪を揺らした。
 ガンドロイドたちのボディは、熱に続けて冷気に晒されることとなる。彼らに纏わり付く氷は、天音・迅(無銘の拳士・e11143)の精霊魔法によるものだ。
 うち1体のボディは、アルノーの放った弾丸に貫かれる。さらにヤタガラスが炎を纏って突撃すれば、派手に後方へと吹き飛んでいく。
 彼方がゾディアックソードで描いた守護星座が明滅すると、ステイン・カツオ(御乱心アラフォードワーフ・e04948)が「防衛」と書かれた書状を前衛に投げつけた。
「皆様方、ガンバガンバ」
 書状が溶けるように浸透したところで、イリヤ・ファエル(欠翼独理のエクシア・e03858)が紙兵を散布した。

●各個撃破
 ニューとガンドロイドたちの攻撃は、容赦ない。弾丸やレーザーが交錯する中を、彼方とヤタガラス、キャスパーとホコロビが駆け回ってダメージを肩代わりする。
 癒やし手は2人。ステインとイリヤそれぞれが声を掛け合いながら、回復相手を適切に割り振ってゆく。
「ステインさん、こっちは任せて!」
「では私はこちらを。自身の体力にもお気をつけくださいね」
 時には視線だけで意図を汲み取り、2人は戦線の維持に務めていた。おかげで、全員が無事のままにガンドロイド2体を撃破できている。
 しかし、敵の攻撃は相当のもの。盾役を担う1人である彼方は、特に大きく体力が削がれていた。
「思い通りになんて絶対にさせないよ! ブレイブスター! セットオン!」
 彼方の左手に装着されたガントレット、その赤い宝石が強く光る。彼方の全身を覆う鎧が具現化するまで、そう時間はかからなかった。
 主に負けじと、ヤタガラスは前衛のガンドロイドたちに激しいスピンを見舞った。
「それじゃあ僕も。『殺戮モード起動、セーフティーを解除します』 ―――……一切合切、手加減無しのとっておきだ。流れ弾には注意しろよ!」
 途端、キャスパーの左手が禍々しい鋼鉄に覆われる。そこから形成されるのは、主砲だ。限界まで展開されたそれは、真上に向けて撃ち出される。降り注ぐ幾千幾万の弾丸は、さながら驟雨。「散弾論法」は、中衛のガンドロイドたちのボディを次々と抉ったのだった。ホコロビが前衛のガンドロイドに噛みつくと、その歯形の跡をラリーが宝剣「God save the Queen」でなぞるように切り裂く。
「エリオットさん!」
「心得てます!」
 ラリーが立ち位置をエリオットに譲る。同郷出身、そして同じ旅団に所属する友人同士である二人は、息を合わせた攻撃を繰り出す。
「天空に輝く明け星よ。赫々と燃える西方の焔よ。邪心と絶望に穢れし牙を打ち砕き、我らを導く光となれ!!」
 掲げた聖剣に、平和への祈りと人々を守護する意思を込める。切っ先から放たれた光芒は、ガンドロイドを正中線で斬るかのごとく両断した。
 これで、盾役の半数が無様な破片へと変貌したのだった。
「この調子で行きましょう」
 ステインが攻性植物に黄金の果実を宿し、後衛を照らす。イリヤもブレイブマインで前衛を鼓舞し、うなずいた。
「まだまだこれからだからね。……とはいえ、可愛い女の子とはあまり争いたくないのだけれどね」
 気障ったらしく髪を掻き上げながら、イリヤはずっと不機嫌な顔をしていたニューを横目で見遣る。
「可愛い女の子、ですって? この状況でそんなことが言えるなんて、見上げたものね」
 しかし悪い気はしなかったのだろう。ニューはどことなく得意げな笑みを浮かべた。
「おっと隙あり、なんてな」
 迅のアイスエイジが、再びガンドロイドたちを氷漬けにする。再びニューは不機嫌顔に戻った。
「残念ですが、敵たる以上は上機嫌を覚えられても困ります。貴方には部品の代わりに、更なる不愉快を差し上げましょう」
 彼女の前に展開するガンドロイドの1体を目がけて、アルノーがガトリングガンを連射した。ガンドロイドの手にしていたガトリングガンが、一瞬だけ手を離れる。
 射撃は、アルノーにとって得意分野。譲れないものを覚えながら、連なる弾倉を、そして腕時計を見た。
 3分が、経過しようとしていた。

●盾
 ライドキャリバーが、弾けた。彼方の目が見開かれ、消失する相棒へと手を伸ばす。床に残るのは、ガンドロイドの放ったレーザーの焦げ跡のみ。
「彼方君、今すぐ下がってください」
 アルノーの冷静な声が彼方の耳に届く。急ぎ数歩下がると、ヤタガラスを灼いた攻撃が数センチ前で床を焦がした。一度だけ深く呼吸して、彼方はヒールドローンを展開する。
「ここで……やられて……たまるかー!」
「その意気だぜ。ここで部品の運搬を阻止できれば、後々の為になるってもんだ。断固、阻止しようぜ」
 血の滲む自身のパンクな服を気にも留めず、迅は自信に満ちた笑みを浮かべる。
 迅とて、その体に受けたダメージは相当のもの。だが、必死に戦う仲間を鼓舞しようと余裕を見せている。

 ケルベロスたちは既に5体のガンドロイドを撃破していた。それでも戦況が楽にはならないのは、敵はまだ半数以上も残っているからだろう。
 彼方はいっそう、仲間を庇おうと駆け回った。様々な傷を全身に刻みつけられて、動きは鈍ってゆくばかり。
「無様ね」
 ニューが彼方の横をすり抜ける。まずい、と思うと同時に腕が伸びた。追随する体を動かすのは思考ではなく、強い思い。
 ニューの腕に装着された銃がラリーに向かう。一瞬の銃撃は、彼方の中心を穿った。
「彼方くんっ!」
 ラリーの叫びが、急速に意識を失う彼方の中で響く。
「そんな体で、よくやるわね。でも残念、まだよ」
 ニューの声に続き、ガンドロイドのバスターライフル、その銃口が熱を帯び始める。狙いは再びラリー。銃口の温度がさらに上がる。そこで躊躇なく動いたのは、ホコロビだった。
「待てホコロビ、僕が——!」
 キャスパーの方をちらりと見たホコロビは、そのまま熱線の中に消えていった。
 キャスパーは歯噛みしつつ、動きを止めない。ファミリアシュートがガンドロイドを吹き飛ばし、ラリーがそれを迎撃するように剣を構える。目尻に涙を浮かべたラリーは、もう何度放ったと知れない絶空斬でガンドロイドの胴体を切り裂いた。彼方が護ってくれたからこそ、撃破できた1体。ラリーは短く剣を掲げ、祈るように感謝を捧げた。そしてニューへと剣の切っ先を向ける。
「さぁ、あなたを守る盾は砕きました! 前回の様に逃走するも良いでしょう!」
 ラリーの大声が、工場内に響き渡る。
「ですが、わたし達は必ずあなたの企みを何度でも阻止し続けます! 選びなさい! いたちごっこを続けて擦り切れるか、わたし達を打ち破ってみせるかを!」
 しばしの静寂ののち、ニューは応える。不機嫌な顔には、いっそう眉間にしわを刻まれていた。
「まだよ。まだ、半分残っているわ」
 ニューの答えにステインはため息をつき、首を振る。
「しかしまぁ、こういうロボみたいなのは殴りたくなりますね。派手に壊れてくれるとなお良いでございます。……イリヤ様、続けてお願いいたします」
 ステインのヒールに重ねて、イリヤも溜めた気力をキャスパーへと放つ。
 敵の盾は全て撃破した。少しでも多くのガンドロイドを減らしておきたいというエリオットをはじめとしたケルベロスたちの作戦は、ひとまず成功したといえる。
「しかし、ここで終わるわけにはいきませんからね。次の段階に進むとしましょう」
 オウガメタルを鋼の鬼に変化させ、エリオットは中衛のガンドロイドへと肉薄した。次いで、拳を叩きつける。ガンドロイドの装甲が砕ける衝撃が、拳に伝わる。
「ああ、こっちだってまだ終わらないぜ?」
 迅の凍てつく弾丸が、ガンドロイドを貫通する。そこでアルノーが爆破スイッチを押せば、ガンドロイドはパーツをばらまきながらその身を散らした。
「7分経過、ですか」
 進む針は、止まらない。たとえ敵が、そして味方がどれほど倒れようとも。アルノーの髪に咲く花の花弁が1枚、静かに散った。

●戦果
 ニューとガンドロイドは、後衛にも攻撃の手を伸ばし始めた。ニューが手を掲げれば、ガンドロイドたちは一斉に後衛を狙う。
「させるか!」
 機敏に動くキャスパーが、盾となるべく後衛へと向かう。後衛の面々も、彼の負担を減らそうと可能な限り回避をする。
 ニューの頭上に、エネルギー球体が輝き始めた。凶悪な目つきで、彼女はイリヤを睨む。
「そこの回復役、鬱陶しいのよ」
「え、ボク!? ふ、ふふ……可愛い女の子に気に掛けてもらえるなんて光栄の極み」
 言い切るが早いか。エネルギー球体は凄まじい速度でレーザーを発射した。強がったものの、イリヤは身構える。回避は不可能、であればせめて少しでもダメージを抑えられれば。
「イリヤの旦那!」
 キャスパーが目をつむるイリヤを突き飛ばし、身代わりとなってレーザーの衝撃を受け止める。
「——間に合った、みたいだな」
 キャスパーは安堵し、息を吐く。
(「若旦那に謝らなくて済んで、何よりだ」)
 目に映る赤青のコードが、ぼやけ始める。キャスパーはゆっくりと目を閉じ、意識が遠のくに任せた。
 これでケルベロス側の盾もゼロ。
 盾役を失ったケルベロスたちは、何とか踏み止まりながら戦線を維持し続けた。それでも自身や他者の回復に手番を割くため、なかなか効率的にダメージを与えられない。
 ガンドロイドが放つ光線が、迅とラリーの足を灼く。思わぬダメージに、ラリーが剣を取り落としそうになる。柄を握る手に、力が入らない。
「す、すみません、これ以上は……!」
「しまった、ラリーさん!」
 エリオットが目を見開き、戦闘不能となった友人に声をかける。何体ものガンドロイドを屠った剣が、彼女の手に握られたままとなっている。
(「純粋な攻め手3人は落ちてしまいましたが、どこまで保たせられるか……」)
 ステインが、エリオットを中心に防衛指令を巡らせる。
 残るは中衛と後衛のみ。エリオットが厳しい顔つきでガンドロイドの傷を抉れば、迅が衝撃波の嵐を撃ち出した。
「さあ、どう捌くんだい?」
 それはまるで、拳に纏った闘気を打ち出すがごとく。隙の無い掌打から紡がれる演舞の連撃は、ガンドロイドの逃げ場を奪う。
「掠れば燃えるよ……ボクの剣は」
 片翼の地獄から炎を生み出すのはイリヤ。剣に纏わせた炎はガンドロイドを切り裂く。焦がれ妬む獄炎に照らされるニューの顔には、焦りが浮かんでいるように見えた。
 アルノーが裂帛の叫びと共に自身を癒やし、時計を見る。
「——10分経過、です。これ以上は戦線崩壊の危険があるため、撤退を提案します」
 ケルベロスたちは視線を交わした。
「了解でございます。……怪力無双があればまとめて抱えることができましたが……どなたか、手伝ってくださいませ」
 ステインをはじめとし、ケルベロスたちは戦闘不能となった者をそれぞれ抱え始める。
「私たちも退くわよ」
「資材はどうします?」
「また次があるわ。こちらも立て直さないと……覚えてなさい、ケルベロス」
 ニューの鋭い視線を、アルノーが受け止める。
「次こそは、決着を」
「……ふん」
 不機嫌そうな表情でひと睨みし、ニューたちは工場を後にした。続けて、ケルベロスたちも。

 ステインとイリヤのヒールで意識を取り戻した前衛のケルベロスは、状況を聞いて安堵した。
「ひとまずは成功、ってとこだ。おつかれさん! いいチームだったな。またな!」
 迅が笑顔で声をかけ、その場から去る。
 そう、成功だ。運搬の阻止、そしてガンドロイド数体の撃破は達成できた。
 そして、次こそはエクスガンナー・ニューを。未だ強い意志を秘めたケルベロスたちは、強く頷きあった。
 残るはニューと、ガンドロイド5体だ。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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