『栄光無き鋼』。そんな物々しい看板が吊り下げられた路地裏の店舗は、夜であるにもかかわらず、一切の明かりをともしていなかった。そんな薄暗い室内で、迷彩服を身に着けたこれまた厳めしい表情の店主が一人うなだれていた。
「どうして、誰も買ってくれないのだ……これはこれで味があるものだろう?」
肩を落とす店主の周りには、本格的なミリタリーアイテムが所狭しと並べられている。ただ一点気になる個所があるとすれば、それらは余り見たことがない、ややもすれば珍妙な品ばかりであることだ。
「シング対空火炎放射器、鉄帽内臓式小銃ガンヘルメット、円形戦艦ノヴゴロド……どれも浪漫あ溢るる逸品ばかりだろうに」
消防車のように頭上めがけて炎を放つ機械、撃ったら確実に首を痛めそうな小銃のくっ付いた鉄帽、ハスの葉のような丸い船体にちょこんと砲が載せられている船……素人目から見ても『これは本当に使えるのか?』と思わせられる兵器達の写真や模型、実物の部品などが、室内に所狭しと並べられている。何を隠そう、この店は脚光を浴びなかった珍兵器を専門に扱ったミリタリショップであったのだ。
「客は来た。が、何故誰も買わない!?」
木霊する店主の嘆き。珍兵器は確かに物珍しさで耳目を集めるものの、実際に買ってくれるかどうかは別問題。熱狂的なファンも少数居るにはいたが、それで食っていける事は出来ず……こうして閉店を余儀なくされていた。
「商売でも失敗作か……うう、良いじゃないかよ、こういう形でも脚光を浴びせてやってもよぉ」
そうして後悔に沈むがゆえに、店主は背後に現れた女と、彼女の振りかぶる鍵を察知することが出来なかった。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
鍵に貫かれ、崩れ落ちる店主。それを見下ろすドリームイーターの真横では、新たなデウスエクスが誕生しようとしていた……。
●
「自分の店を持つのって、浪漫っすよね。一国一城の主みたいで……だからこそ、それが潰れた時のショックは大きいっす」
集まったケルベロスたちへ、オラトリオのヘリオライダー・ダンテがそう口火を切った。
「そんな人をドリームイーターが襲って、抱いていた『後悔』を奪う時間が起きているっす」
奪われた感情から、既に新たなドリームイーターが生まれてしまっている。更なる被害が出てしまう前に、このデウスエクスを討伐してほしいというのが、今回の依頼だ。
「こいつを倒せば、被害者も目を覚ますはずっす!」
ドリームイーターが姿を見せるのは、東京は神保町にある潰れたミリタリショップ『栄光無き鋼』。その店内で店主として振る舞っているようだ。
「ドリームイーターは迷彩服に身を包んだ、屈強な男の姿をしているっす。体の各所にはモザイクに包まれた兵器が備え付けられているみたいっすッす」
威力は然程ではないものの動きを封じてくる頭部内臓式小銃、広範囲を焼き尽くす長射程火炎放射、そして独楽のように胴体へ取り付けられた船体からの砲撃、この三つを主体に攻撃してくる。
「強力なドリームイーターっすけど、攻略法もある見たいっす」
それは『客として店を楽しむこと』。ドリームイーターが勧めてくるサービスを受け、心から楽しんであげると満足して弱体化するらしい。この場合は商品に興味を持つことだろうか。また、戦闘後に目を覚ました被害者も、心なしか前向きになるかもしれないとのことだ。
「戦闘だけじゃなく、予めそういった知識を仕入れておくのも一手かもしれないっすね」
流行らず潰れてしまったとはいえ、そこにかける想いは本物で、だからこその後悔であるはずだ。それを愚弄することは許されない。
「どうか店主さんが再出発するためにも、よろしくお願いするっす!」
かくして、ダンテはケルベロスたちを送り出すのであった。
参加者 | |
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ジャミラ・ロサ(癒し系ソルジャーメイド・e00725) |
アリシア・メイデンフェルト(マグダレーネ・e01432) |
白森・陽(元野生児のエルフ侍・e14913) |
ルルド・コルホル(良く居る記憶喪失者・e20511) |
小花衣・雅(星謐・e22451) |
グレイシア・ヴァーミリオン(夜闇の音色・e24932) |
ハートレス・ゼロ(復讐の炎・e29646) |
サラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019) |
●念願叶った千客万来
古書の街として有名な土地、神保町。そこにひしめく古書店に隠れるように、ひっそりと路地裏に開かれていたミリタリショップ『栄光無き鋼』。その独特さから敢え無く潰れてしまったはずの小さな店舗に、今日は八人もの客が訪れていた。
「噂によると、ここはとっても珍しい兵器を売っているのね。詳しくは知らないから、見ているととっても興味を惹かれるんだけれど……」
「こういう兵器って中々目にする機会が無いのですよねー。浪漫があってとても良いと思うのですけど」
「どうぞどうぞ、興味を持ってくれるだけでも結構だ。浪漫を感じてくれればいう事なし。ここはその為の店だからな」
棚に並べられた商品をしげしげと眺める小花衣・雅(星謐・e22451)とサラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019)の横では、体にモザイクを張り付けた厳つい男……ドリームイーターが嬉しげに解説を行っている。ここにいる客は全員がケルベロス。彼らは店主を気取るドリームイーターを弱体化させる為でありつつも、ケルベロス達はこの店を楽しもうとしていた。
「例えば、このロシアの円形戦艦ノヴゴロド。丸い形ならば水上で安定するし、重い大砲を載せやすいと考えて作られたんだ」
「それだけ聞くと、理にかなったように思えますけど……」
雅の感想に、店主は苦笑しながら肩をすくめる。
「ところがどっこい、砲を撃ったら反動で船がくるくる回ってしまってな。船員は酷い有様だったらしい」
「船員さんには悪いですけれど、発想も結果もなんだかおもしろいですねー。工夫すれば使える……のですかねー?」
クスリと笑みを漏らすサラキア。珍兵器の多くは往々にして失敗作だ。そのヘンテコさを笑うのもこの店の楽しみ方だと、店主は笑みを浮かべている。
「確かに、なかなか珍しいものがあるな。あそこに飾られている兵器についても聞かせてくれ。そもそもあの兵器にはどんなコンセプトと強みがある?」
室内を眺めていたハートレス・ゼロ(復讐の炎・e29646)。彼の示す先には、砲が後ろ向きについた自走砲の模型が展示されていた。
「ああ、あれは英国のアーチャー自走砲。本来は前を向くべき砲が後ろ向きについているという奇妙な姿だが、撃った後はそのまま全速力で逃げられるという利点があってな。元は新兵器が出来るまでの間に合わせだったんだが、待ち伏せ兵器として結構活躍したんだ」
「珍兵器といえども、必ずしも性能に劣る訳ではないのか……」
ふむふむと頷くハートレス。またその横では、単に興味を持つだけでなく本当に商品を購入すると決めた者も居たようだ。
「このパンジャンドラムなんて特にチョベリグでありますよ……って、こ、これは……伝説のアサルトライフル『L85A1』ではありませんか! なんとマブいフォルム、ぜひとも欲しいであります!」
「イギリスからの輸入品で、無可動とはいえ実銃だ。衝動買いするには値は張るぞ?」
「言い値で、言い値で買うであります! 故人曰く『チャンスは貯蓄出来ない』であります」
壁に掛けられた重い、壊れやすい、使いづらいという負の三拍子が揃ったアサルトライフルに目を輝かせるジャミラ・ロサ(癒し系ソルジャーメイド・e00725)。ゼロがいくつも踊る値札であろうとも、浪漫の前では些細なことのようだ。
「うん、オレこのフランス軍ヴィンテージ2ポケットレザーポーチっての結構好きかもぉ。ブーツも結構カッコイイの多いねぇ……」
「久々のお客さんだしな。一緒に買ってくれれば、値段もそれなりに勉強しよう。どれ、似合いそうなものを選んであげようか」
実際に兵士が使ったとされる皮のポーチやブーツを、店主に勧められて手に取るグレイシア・ヴァーミリオン(夜闇の音色・e24932)も、購入を決めたようである。グレイシアはおまけをつけてもらえて、店主は客に商品を存分に勧めるが出来、両者ともに上機嫌であった。
更に、この店に揃えられているのは銃や兵器ばかりではない。ナイフやサーベル、奇妙な仕込み武器も多種多様に揃えられていた。和風な品物の前では、白森・陽(元野生児のエルフ侍・e14913)が眉を顰めながらあれやこれやと品定めしている。
「日本刀チェーンソー……日本刀の良さ消してはござらんか? 手裏剣内蔵籠手……ゴテゴテで動きづらそう、でござるな……うむ」
「浪漫を追求した結果、よく分からないものになってしまう……珍兵器の悲しさだな。その悲喜交々も味の一つさ」
「やっぱり使い物にならなかったでござるか……」
よく分からないものと言えば、ルルド・コルホル(良く居る記憶喪失者・e20511)の目の前にある商品も負けてはいなかった。
「なんだこれは……ナイフと拳銃とメリケンサックの合いの子か?」
「そいつはアパッチと言って、百三十年以上前の護身武器さ。中途半端と言えばそれまでだが、なかなかそそられるだろう?」
「それって、かなりの年代物じゃないか……よく集めたものだな」
「この品揃え、本機、思わず常連になってしまいそうであります。」
ルルドやジャミラの興奮する様子に、ドリームイーターは厳めしい顔に満足げそうな笑みを浮かべる。そんな店主の姿に、アリシア・メイデンフェルト(マグダレーネ・e01432)は目を細めて感心する。
「栄光無き物であろうと、そこには歴史があるもの。無謬なるお気持ちでその歴史を救い上げようとするこのお志、ご立派と思いますわ」
「誰しも初めから失敗作を作ろうとしたのではない。情熱があり、理念があった……ただちょっと方向性がアレなだけでな。そこに光を当てたい、ただそれだけだったんだ……」
投げかけられた言葉に、どこか遠い眼差しでそう語る店主。そこには確かに穏やかな満足が現れていた。しかし、それも一瞬。突然、店主の体が糸の切れたかのようにガクリと崩れ落ちた。
「……だからこそ、こんな夢からは覚めるべきですわ」
相手の雰囲気の変化を敏感に感じ取ったケルベロスたちは、それまでの和気あいあいとした雰囲気を消し、隠していた武器を取出し構えた。それと同時に、店主の姿が変化する。体の各所に兵器を備えた、禍々しい外見へと。
「サぁ、ここからハ、実際に珍兵器ノ実演をスルとしようカ!」
かくして、平和な時間は終わり、闘争の瞬間が訪れるのであった。
●脚光求むる鉄風砲火
「さァ、まずはシング対空火炎放射器ノ威力を体感シて貰おうか!」
先手を打ったのはドリームイーターであった。ガシャリとノズルが展開されると、その先から勢いよく火焔が噴き出し始めた。火そのものではなく可燃性の液体を噴射するそれは、対空の名にふさわしい射程で周囲を焼き払ってゆく。
「おいおい、これじゃあ店の商品まで燃やしちまうぜ?」
轟々と燃え盛る炎の壁を突き破って姿を見せたのはルルドとオルトロスだった。持ち前の素早い身のこなしで炎との接触を最小限に留めると、サーヴァントの剣閃による援護を受けつつ、流星の煌めきを纏わせた蹴撃を叩き込む。ドリームイーターは両腕でそれを防ぐも、それにより行動がワンテンポ遅れてしまう。
「商品を良いなと思っていたのは本当。だからその分、こうなっちゃったのは残念だよぉ。でも……手は抜かないからね」
その隙を、グレイシアは決して見逃さなかった。光の翼を羽ばたかせ、全身を光の粒子へと変じさせた突撃はまさしく電光石火。弾丸もかくやという速度で突き出された槍が、ドリームイーターのモザイクを串刺しにはぎ取っていった。
「中々の威力。デは、お次はこレを御覧頂こウ!」
素早さに劣るドリームイーター自身はその動きに追従出来ない。だが、胴体に取り付けられた砲台は別である。ぐるりと砲塔を回転させるや、背後へと駆け抜けていったグレイシアヘと攻撃を叩き込んだ。
「円形の船体にハ多大なデメリットの他ニ、このような利点もアルのだ!」
「誇るべきか否か、判断に困る台詞だな……治療は任せても良いか?」
「ええ、そちらに合わせますわ。『死よ、全ての征服者よ。我は汝より逃れ出でる者。我はこの言祝ぎを以て、汝を征服する者なり』」
室内を縦横無尽に駆け抜けるライドキャリバーで相手の目を眩ませながら、ハートレスが相手へと肉薄してゆく。そのすぐ傍ではアリシアがルーンの魔力から宝剣を生み出し、背後からの砲撃で吹き飛ばされていたグレイシアの傷を癒していた。
「オレの地獄に付き合ってもらうぞ。己が奪った夢に沈め、ドリームイーター」
「おお、これデは砲も火焔放射モ使えナイ! だが、そンな時は……」
大柄なドリームイーターの懐へと潜り込んだハートレスは、バスターライフルを水平に構えた零距離射撃を狙う。だが、ドリームイーターもヘルメットに内蔵された小銃によって、それを阻止せんとする……が。
「護りなさい、シグ!」
両者の間にある僅かな空間。そこへ身をねじ込ませたのはアリシアのボクスドラゴンであった。放たれた銃弾をその身で受け止めた事により、攻撃の準備が整う。凍てつく極大の魔力光線は、瞬く間にドリームイーターの全身を凍り付かせてゆく。
「コノ程度の冷気で、稼働出来ナく、なるなど……珍兵器どころカ、欠陥でアる!」
白い息を吐きながら、ドリームイーターは頭上へ向けて火炎放射器のノズルを向ける。そこから撒き散らされる炎はケルベロスだけでなく、己自身も攻撃範囲に含んでいた。熱で氷を溶かそうという算段なのだろう。
「フハハハハ、焦土戦術モまた、立派ナ選択肢で……なにぃ!?」
自身も炎にまみれながらも、気にすることなく笑い声を上げるドリームイーターだが、炎の先にある光景に目を剥いた。そこには多少の火傷を負っているものの、身体を覆う光のベールによって攻撃を耐えきったケルベロスの姿があったからである。
「碌々役に立たなかったからこその珍兵器、それを楽しむのも醍醐味……でしたっけねー? こんな時まで実演しなくてもよろしいですのに」
それはサラキアの手によるものであった。相手を攻めるどころか、ただ悪戯に体力を消耗しただけ。僅かに届いた火の粉も、雅のウィングキャットが翼をはためかせるたびに消滅してゆく。彼女の毒混じりの言葉と光景に、さしものドリームイーターも二の句が継げないようであった。
「焦土戦術、ね。そんなに燃やす事が好きなら、これなんてどうかしら……熱く、燃え滾れ」
火焔放射の炎とはまた違う、密度の高い劫火。雅の全身より溢れ出た灼熱は剣へと形を変え、ドリームイーターを可燃液ごと塗りつぶしてゆく。全身を炎に包まれながらも、辛うじて踏みとどまるドリームイーターである、が。
「この一閃には火が宿るでござる……火に火を重ねて即ち炎、耐えきれるでござるか!」
「むぅ、早イっ……!」
ゆらめく陽炎を縫って、石火の居合いが放たれる。瞬き一つの間に眼前へと踏み込んできた陽に、ドリームイーターは頭部の小銃を放つ間もなかった。緋色の軌跡を残す斬撃は、相手のモザイクの大半を斬り飛ばしている。
「が、早いダけなラバ……!」
「また砲撃戦でありますか? なら一つ、勝負といくでありますよ、Sir……対象を認識、全兵装のリミッターを解除……照準を固定」
「っ!?」
先程と同じように背後へと砲塔を向けるようとするドリームイーター。しかし、視界の端に手持ちの火器全てを展開するジャミラの姿を認め、慌てて正面へと照準を合わせる。
「曲がりナリにも戦艦の砲撃、撃チ負けるハずが」
「鎮圧、開始。無限の硝煙と弾幕の流れの中で溺れてください」
轟音と共に放たれる、無数の砲弾と銃弾。戦場を蹂躙し尽くす弾幕を放ち終わると、店内は濛々と硝煙が立ちこめる。その白い覆いが晴れた、その場所にあったのは。
「やはり、失敗ハ、しっパ、い……」
全身を穿たれたドリームイーターが、消滅しゆく姿であった。
●失敗を成功へ
「う、私は……」
「おお、目覚めたでありますか。身体に何処か異常はありますでしょうか?」
「あ、ああ。問題はないが……君たちは?」
戦闘後、店内を点検していたケルベロス達は、店の片隅で意識を失っていた店主を見つけていた。程なくして目を覚ました店主へ、介抱していたジャミラが事情を説明してゆく。
「そんな、事が……迷惑を掛けてしまったな。だが、不思議だ。なんだか言い表せない満足感のようなものがある。おっと、これは不謹慎だったか」
「いいえ、悪いのは全てデウスエクスですもの。気落ちなされるよりよっぽど宜しいと思いますわ」
どこか憑きものの落ちたような店主が罰の悪そうに顔を顰めるのを、アリシアが首を振って否定する。店主がそうなったのも、ドリームイーターを満足させたが故なのだろう。だが、店内の様子を見て、主人は寂しげな表情を浮かべた。
「しかし……随分と、荒らしてしまったな」
「建物自体はヒールで直せますから……と言っても、慰めにはなりませんか?」
「これは私の気持ちの問題さ、済まないね」
室内をヒールしていた雅の言葉に、力なく笑う店主。自らの手で己の白である店を壊してしまった事、そもそもこの店自体既に潰れている事。再認識したそれらの事実が彼の胸にのし掛かっていた。そんな店主へ。
「あ、これとこれは無事ですね。どうかお一つ下さいなー?」
「あそこに飾られている兵器について聞かせてくれ。貴方にはまだ教えて欲しい事があるんだ」
声を掛けたのは、サラキアとハートレスであった。サラキアは辛うじて残っていた商品を手に取り、ハートレスは戦闘前とはまた違った商品の解説を求めてきた。
「え、あ、それは……」
「確かに、このお店は流行らなかったかもしれないけどさぁ。だからといって、魅力が全く無いって訳じゃないと思うんだよねぇ」
店を訪れた客として振る舞う二人の姿に目を白黒させる店主へ、グレイシアがそう告げる。彼の腰には、戦闘前に購入したレザーポーチがあった。
「ふぅむ、人がたくさん集まるなら普通の武器もおいておけばそれが売れて採算とれたのではござらんか? 色々見れて楽しかったでござるし、復活期待してるでござるよ!」
「不安とかがあるなら、愚痴くらいには付き合うぜ。再スタート記念に一杯驕るしさ」
「君たち……」
慰めだけではなく、ルルドと陽の再開を願う言葉の数々に呆けていたのも一瞬だけ。店主は年甲斐もなく、感極まったように涙をこぼす。
「ありがとう、本当にありがとう……また、頑張ってみようと言う気が湧いてきたよ」
店主の店が繁盛するかどうか、ケルベロス達には分からない。しかし、心配は無用だろう。珍兵器は確かに失敗作かも知れないが、決して無駄ではない。その失敗から改善点を学び、人は傑作を作り上げてゆくのだから。
店主からの感謝の言葉を背に、ケルベロス達はミリタリショップ『栄光無き鋼』を後にするのであった。
作者:月見月 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年9月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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