探せ僕らの七不思議!

作者:baron

「ここが七不思議のある高校か……本当にあるのか確かめなきゃ……」
 とある少年がゴクリと喉を鳴らして、子供が夏休み中の学校へ入り込んだ。山中にあり登ってくるだけでも面倒だったが気にした様子も無い。
 予め調べた通り、門をはじめとして幾つかの扉は、入学者の下見や、部活連の為に開けてあるようだった。
 他に人影は見えないようだが、少年はキョロキョロと探してから息を突く。
「パンフも用意したし、あとは見つかるまで調べるだけなんだけど……まずはどこから行くかなぁ」
 少年は高校のパンフを拡げると、どきどきしながら地図を開く。
 夏の肝試しは定番だし、この学校は七不思議があると彼の中学では有名だった。
 幸いにも、部活の者も、管理の人も、今は此処に居ないようだ。
 少し歩きまわった後の事……。
「えーと、夜にしか出ないのは後回しにして……誰? 僕はここに入学……」
 少年は、幾つか目かの七不思議を見ようとして、足音に気がついて振り返った。
 もしかして、学校の関係者かもしれないと、考えておいた言い訳を口にしようとした時!
『私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります』
 そこには見た事も無く、当然、聞いている七不思議と関係なさそうな女が居た。
 そして手にした鍵を少年の胸に突き刺すと、隣に奇妙な化け物を呼びだしたのだ。
 七つの頭を持つ、奇妙な奴である。
 それが何かを考えるより前に、少年は昏倒した。


「不思議な物事に強い『興味』をもって、実際に自分で調査を行おうとしている人が、ドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こってしまったようです」
 『興味』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようですが……。
 ユエ・シャンティエが、とある高校のパンフと制服を持って説明を始めた。
 着るにはトウが立っているので、コスプレ用ではないだろう。
「ここで問題を助長するのは、奪われた『興味』を元にして現実化した怪物型のドリームイーターにより、事件を起きてしまうことです。怪物型のドリームイーターによる被害が出る前に、撃破をお願いしますえ」
 このドリームイーターを倒す事ができれば、『興味』を奪われてしまった被害者も、目を覚ましてくれるでしょう。
 そう告げながら、ユエは男女の制服をヒラヒラさせ始めた。
 ニッコリと笑う姿に、一部のメンツが着せかえはイヤだーと言い始める。
 誰もこれを着て下さないなんて、言って無いのにね。
  
「その時間帯は周囲に人はいませんので、基本的には問題なく戦えます。もし気になさる方が居られれば、こちらの制服をどうぞ」
 やっぱりかー! ともだえる者も居れば、別に必須では無いことで胸を撫で下ろす者も居た。
 何故か女子の服から目を反らせる男子が居たり、男子の服から目を反らせるイケメン女子が居るが気にすまい。
「ドリームイーターは一体のみで、頭が七つあるものの、特に複数の能力を持っている訳ではありません。どうやら七不思議という漠然としたイメージが固まって無かったことで、こうなっただけでしょう」
 そう告げた後で、ユエは一言付け加えた。
「最終的に退治が必要なので、意味が無いかもしれませんが、最初に『俺はナンダ?』と口にしたとき、答えた方は見逃してくれる事もあるそうです。もし、何か思い付かれましたら、この情報をご利用ください」
 そういってユエは、良くある七不思議の情報を並べたメモをくれる。
 何の役に立つのか知らないが、最初に狙われないだけでもありがたいのかもしれない。
「そうですね。最初に狙われる囮役だけは答えなかったり、逆に狙われたくない方が答えるのはいいかもしれませんね」
「その辺りの作戦はお任せします。いずれにせよ、奪った興味を使って人を襲うような事は放置できません、よろしくお願いしますえ」
 サクラ・チェリーフィールド(四季天の春・e04412)がそう言いながら、制服を眺めて友人達を見て居ると、ユエはニッコリ笑って頭を下げた。


参加者
シーネ・シュメルツェ(白夜の息吹・e00889)
ヴェルセア・エイムハーツ(無法使い・e03134)
丹羽・秀久(水が如し・e04266)
サクラ・チェリーフィールド(四季天の春・e04412)
御剣・冬汰(愛し君へ・e05515)
遠野・葛葉(ウェアライダーの降魔拳士・e15429)
シェリー・シュヴァイツァー(湖畔の禁術師・e20977)
鍔鳴・奏(モフリスト・e25076)

■リプレイ


「制服なァ……」
 プシューっとバスの扉が開けば、噎せ返るほどの暑さにエリ元のカラーを緩める。
「シシシッ……今更になってこんなモン着ることになるとは思わなかったゼ。結構にあってんじゃねぇノ?」
 ヴェルセア・エイムハーツ(無法使い・e03134)はノリの効いた既製服を窮屈そうにしながらも、満更ではない気分だ。
 賞金首だった彼には学生生活に馴染みないが、読書自体は好きなので、雲の上の話だった。
「怖いのは得意じゃないですが、ここまでごっちゃだと……ちょっと面白い、かも? ともあれ悪さをする前に退治退治、です!」
 シーネ・シュメルツェ(白夜の息吹・e00889)は余り気味の裾を捻りつつ、バスの最後尾から立ち上がった。
 前が見えない……。先頭に立つヴェルセアの髪が、髪型の分を合わせてなんとか見えるくらいである。
「だねだね。狐だけに、おっさきー。学校! 制服! 七不思議! 楽しそうなものいっぱいあるな! さっさと倒して色々見て回らなくちゃ!」
 そうこうしてると学生らしい快活さで、遠野・葛葉(ウェアライダーの降魔拳士・e15429)がバスから一気に下りていく。
 古来より怪異と現実の境目を案内する先触れは狐の役目である。
 今やらずして、いつ主張するべきなのか? だから今でしょ(ニヤリング)。
「気を取り直して、高校の女子制服を着て潜入! です! ……卒業したの二年前ですし。まだ無理はないはずですし。みなさーん、準備はいいですかー」
 出がけから身長の問題に気が付いたシーネは、負けず嫌いに火を付けて、まるで委員長のような口調で頑張った。
 というか小学生ではないですし。

 というのが本人の弁であるが、七人と一箱と二匹の反応は、どんなものだろう?
「まだ大丈夫……」
「まだ大丈夫……だったらいいなぁ」
 注目してみると、乙女心がほぼ同時に呪文を唱えた。
 サクラ・チェリーフィールド(四季天の春・e04412)とシェリー・シュヴァイツァー(湖畔の禁術師・e20977)は顔を見合せながら、お互いの言葉を聞かなかった事にした。
 それでも不安なシェリーは、コッソリ防具にグラビティを注ぎ込み、十八歳と何カ月に変身。
「あ、れ今、キュっと……気のせい気のせい。怪談でも、ミイラ取りがミイラになるなんて笑えない話だし、助けに行かないと……」
 食事の秋で油断したかな。
 シェリーは少し引き締まった気のするボディラインに汗をかきながら、急に話を今回の依頼に向ける。
「夏休みの思い出、こんな風に終わってしまうのは寂しいですからね、助けに行きましょう……。って何か言いませんでした?」
「ゴホン。タイが曲がって居ますよ……なんちゃって、です♪」
 サクラはシェリーの誤魔化しには気がつかず、タイを直してもらい少し恥ずかしげ。
「なんだかちょっと恥ずかしいですね。……って、シーネさんどうされました?」
「わー、二人とも似合うのです……おとな……」
 恥ずかしげなサクラに対し、シーネは憧れの目で見つめていた。
 そして、よせば良いのに彼女達の胸と身長、そして我がことを比べて見てしまった。
「……おとな……」
「ど、どうしたんですか。シーネさんも似合ってらっしゃるじゃないですか!?」
「シーネが大人ーって言ってるけど、あなたの方が似合ってると思うんだけどなぁ」
 こんな風に、じょしこおせえ達のゴーストハントが始まるのですって。


「へいへい、年齢がアレなのは端から判ってたことだろ?」
「「「はーい」」」
 鍔鳴・奏(モフリスト・e25076)がパンパンと手を叩いて目を覚まさせると、元女子高生たちは当初の目的に立ちもどった。
 とはいえ、話を打ち切らせた彼とて気にしていない訳ではない。
「やべぇ……一番年長者だ……」
 と軽く落ち込みつつ、ミミックのアマリリスや箱竜のモラ達をモフって落ち付くことにした。
 素数、いやモフ数を数えるんだ、一、二、三、四……ふう。
「いや……まあ、気にしてたらケルベロスなんてやっていけないか。揃ってるな? 準備の方はいいか?」
「人払いの結界も、準備よしです」
 奏先生が確認すると、いいんちょが皆の準備を確認してくれました。
 かくして、七人と一箱と三匹の冒険が幕を開ける!

 とはいえ、そう話すことがある訳でも無い。
 制服の事が終われば、地域、そして七不思議である。
「随分、山の上まで上がって来たけど、まだまだ暑いね。……それにしても、みんなの制服姿すごくお似合いだよ? 恥ずかしがるほどじゃないさ」
 この中で唯一の現役男子校生である御剣・冬汰(愛し君へ・e05515)は気楽に語る。
 仮に数年後に気兼ねするとしても、彼にとっては御褒美だ。
「それでも。やはり少し恥ずかしいな……。この辺は戦国武将も居ないくらい辺鄙なところって聞きましたけど、こんな場所で七不思議を調べるってのも奇妙なものですね」
 だが丹羽・秀久(水が如し・e04266)には、まだ制服が少しくすぐったい。
 七不思議か、自分も子供の頃に調べたことがあったな……。とか言いつつ、来るまでに調べたメモを見返して行く。
 人の交流も少なく、武将が持つ領地の端っこであったことから、ろくな合戦すら無かった程だという。
「それが何か変なの?」
 M型人間である冬汰にとって、自体は流されるもの、困っている仲間を不思議がる。
「(七不思議の謎というか頭脳系は、苦手な分野なんだけどなー……まあま、例え間違っていたとしても皆がなんとかしてくれるでしょ)」
 冬汰はそう思いながら、仲間の言葉を待った。
 どこにも行くあてはなく、生きている甲斐さえない頃に比べたら、世界はこんなにも明るいと思える彼は、悲観論者から反転した徹底的な楽観論者でもある。
 どんな答えであれ、どんな結末であれ愉しめばいい。
「噂と言うのは本来、人の交流でしか生まれません。なのに……」
 暮れゆく夕日の中で、秀久は言葉を切った。

 そして、指を折りながら七不思議候補の数を数える。
「人が少ない故に、この学校の七不思議は増える事無く、七つまでで固定されました。ですが人口増加の時期に増築改築の施されたこの学校は、新し過ぎる」
 この学校における数は七、そう七つだ。
 七つも不思議が在る?
 いいや、七つしか七不思議が無いのである!
「よォ、お待たセ。……ン? ハン、そういう事カ。この学校は事情通から見れば、明る過ぎるって事だなァ」
「知って居るのですかヴェルセアさん? というか、何処から出て来たの?」
 クツクツと喉を鳴らして、ヴェルセアは笑って仲間の問いに返した。
「まぁ野暮用ダ。ちょっと一足先に『リカシツ』ってやつにナ。ターゲットが7つしかないなラ、全部調べられるよなァ」
「……まあ、そういう事で、1つ1つ当たる事も出来るわけです」
 彼がまとめる結論に、秀久が頷いて推理の導入した。
 増え続ける学園七不思議は調べきれないが、この学校の不思議はちゃんと調べることが可能なのだ。
「なるほどな。被害者が調べようと思った対象を絞れるから、残り半分ってとこか」
「そっかー。戦国武将やデウスエクスの戦もないから兵士は居ないですし、新古の校舎で階段は違って当たり前……夜のピアノはそもそも対象外。です」
 奏が話をまとめると、シーネは指を七本立てて、少年が調べ無いだろう三つを減らした。
「となると話は決まりじゃ。ささっと退治してくれよう」
「あ、あーもうちょっと」
「モフモフしたかったです」
 狐化して付いて来た葛葉が変身を解くと、モフラー達はがっかりした表情。
 だが仕方あるまい、いよいよドリームイーターとの戦いだ!


『だーれーだ! お前は、オレは私はあああナンダ!』
 霧のような、肉団子のような、あるいはモザイクのような……。
 七つの首を浮かべた敵は、中庭に訪れたケルベロス達に正体を問うてきた。
「少年が調べようとしたモノ。それは……以前から存在していた開かずの間かもしれません」
 秀久はドローンを展開しつつ、1つめの解を口にした。
 そして蹴り飛ばす為に準備しながら、仲間に道を譲る。
「あるいは幽霊の映る鏡。エレベーターの鏡の様に、誰かの姿や視線を反射し、屈折を用いて怪我防止する鏡かもしれないね。違うのなら君でボクを満たしてよ、心で、息で、手で、染めて傷つけて……」
 冬汰は自らの肉を抉り取るように、グラビティを己の内に射し入れた。
 その瞬間に、足元に拡がる魔法陣。
 影が無数の手となって、襲いか掛って行く。その内の一つは剣のようなバールを抱えている。
「骨格標本。理由は回り易いよな、悪戯し易いんだから。見て来たんだろ?」
「ばれテーラ。剥き出しなラ誰でもできるよな。つーわけデ、テメェの正体……俺の予想も『移動する骨格標本』ダ!」
 奏は周囲に重力の鎖で結界を張り、槍を構えて目線を向ける。
 頭をかきながらヴェルセアは、飛び蹴りを食らわせまがら、反動で離れた位置に着地。
 刀を低く構えて影の中に潜んで、機会を窺う。
「私の答えも、翌日になると移動する骨格標本よ。調べるならまず……というか、学生時代に少しくらい考える事よね」
「そ、そうですか? 私はちょっと怖くて……。ふやー皆さん考えますねー。……は、ハナコさん? えっと、心肺停止とか、最近のトイレは非常時に外からも開けられるって」
 シェリーが重力で作った網で縛りつけると、シーネはオウガメタルに丸投げして考える時間を稼ぎながら、流体金属を周囲に散布。
 実際にここがそうかは別として、ケルベロス達は、少年が本物か調べていそうな物を挙げて行った。

 シーネら治療を予備で受け持つ者達は、特に答えず攻撃を引き付ける数人を、いつでも治療できるように身構える。
 敵がとうとう、動き出したからだ。
『誰れええだあ! 悪戯するやつはああ~』
 鏡と鏡の三面鏡で増やされたような、無数の骨格標本が襲ってくる。
 影にしか過ぎず、実体など無いはずなのに、グラビティによる暴力が感じられる。
「それは我だと狐が言った! 来るっ。抜かるでないぞ」
「今回は……がいますからね。誰であろうと、やらせはしません」
 葛葉は手を広げながら、周囲に重力の鎖を引いて結界を張る。
 彼女がそのまま回し蹴りの態勢に入ったので、サクラは沈黙したまま前に躍り出た。
 右手には紙の札、投げれば無数のサクラが、本物に代わって抱きすくめられながら消えて行く。
 そして左手の斧を構え直し、敵を粉砕する為に舞いあがった。
 まだ他にも誰か居るような気味悪さを乗り越えて、ケルベロス達は敵を迎え撃ったのである。


「んー。校舎の古い部分の屋鳴りと考えれば、やっぱり鏡だよねえ。そ-れっと」
 既に何度目かの攻防。
 冬汰は影の手に投げたバールを取って来させながら、時々、激しい勢いで殴りつけた。
 やはり見慣れて来ると物足りないというか、幽霊の正体見れば、こんなものだろうか?
 彼にはちょっとばかり、不満であったかもしれない。
「まあ新旧の混ざった建物なんざ、アラが合って当然だよな。開かずの間もその辺じゃねえのか?」
「ソレを言うと身も蓋も……。見えない……でも足音が聞こえますね。そこっ!」
 奏が突き刺していた剣を抜くと、敵は一時的に姿を隠す。
 だが戦い慣れて来たこともあり、秀久は地面にこすれあうほど低くスライディングを掛けた。
 炎すら伴い、最初は戸惑った敵の位置へ正確に当て始める。
「潮時ダ。金の音がチャリンと響けば救われル? ありゃあ嘘ダ金貸しには通じねエ『急ゲ、急ゲ、急いで返セ――その身が未だ動くうチ』女神が取り立てない内になア!」
 真に恐ろしいのはケルベロス様だってことを教えてやるゼ。とヴェルセアは呟き、金貨の眼をした女神を呼び寄せた。
 それは三つの姿に分裂し、三面鏡全てに居る骸骨へと口吻を与えた。
 痛みの対価は生命力。攻撃と見れば正しい様な、親愛としてみれば不条理な一撃が見舞われる。
「あ痛たたた。まだか? 折角、七不思議とかいう面白そうな物があるんだし、検証するぞ! その為印は疾く倒してしまわねば」
「もうちょっとだけ待ってください。……何本に見えます? 私の手が届く範囲はー……誰も倒れさせないのです、よ」
 眼をチカチカさせてる葛葉に、シーネは一度掌で目を塞いだ後、少しずつ離しながら精神力の障壁で彼女を覆った。
 葛葉も在る程度は抵抗した事もあり、その力によって蝕むトラウマは消え去っていく。
「カメラでバシャバシャ映すとは……お菓子をよこさねば未来永劫許さぬであろう!」
 随分とゲンキンな未来永劫もあったものだが、葛葉は流体金属で作り上げた鉄拳で襲いかかる。
 化け狐敵にもカメラが大敵なのかもしれない。

 そして、戦いにも終わりの時がやって来た。
「ここでトドメと行きましょう。終わったら……どこの学校にもこういうのありますよね。残りは、見てきますか?」
「それフラグじゃない? でも、護ってくれるなら……、その前に倒してしまっても良いわよね」
 サクラは翼を広げてシェリーを覆い隠すと、そのままの態勢で再び斧を構え、今度は横薙ぎに振るった。
 その間にシェリーは詠唱を開始。更なるフラグで親友が経てたフラグを……、そして世界を自らの心象風景を反転させると、塗り直していった。
「さあ、あなたの物語りはここでおしまい『……翻りし万象は、冷たき氷の花の如く』怪談の元になった話なんてあるかも……探しにいこっか」
 閉ざされていく氷の世界を自ら砕き、氷花は風に舞って儚く消えて行った。
 ただ、手を取り合った指先だけが、ほんのりと温かい。
「よーし、このまま残りを確認して帰るぞー! このままみんな制服姿でカラオケとか行ったら面白そうだなーっ。制服がどうのと言ってたし、記念に写真でも撮るか」
「いいね。授業したり探検したり」
「ふや……怖くなってきたので、夜中の授業は勘弁してくださいです」
 ここで奏は悪戯っぽく笑うと、冬汰は楽しそうだが逆にシーネはおっかなビックリ。
「授業ネ。ま、いいんじゃネーノ?」
「それはともかく、記念写真はいいですね」
 いつになく楽しそうなヴェルセアを見ながら、秀久はカメラを取り出し笑ってみせた。

 そして……。
「きゃー!?」
「髑髏が、髑髏が」
「良く見てこれ作りものよ」
「誰が一体こんなことを……まさか新しい七不思議」
「見て来たんですよね? さっきはどうでした?」
「俺が見た時は無事だったゼ? あえて言うなら狐が居たくらいデ」
「ということは……お前か」
 ばーれーたーかー(テテペロ)。
「七不思議とは脅かして見せる遊びでは無いのか? 元の七不思議も全部狐のせいだったかものう」
 問い詰められた葛葉はカカカと笑って一目散に逃げ出した。
 それを追い掛け、あるいは標本を修理しながら一同の夜は、賑やかに更けて行ったという事です。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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