学園ラブコメがハッピーエンドとは限らない!

作者:ハル


「学園ラブコメ! 学園ラブコメができる程のモテ期を俺にもっ!」
 山間部のとある廃校舎にて、一人の少年の姿があった。
「俺にも美少女を! なにとぞ美少女を!」
 その廃校舎にまつわる、とある噂。
 ……それは、以前この廃校舎がまだ使用されていた頃の話。
 あまりにも女の子にモテすぎて、その結果女の子を一人に絞れずに、プレッシャーに負けて自殺してしまった少年がいたという。
 その少年の死は、妬み嫉みからか、周囲の誰にも共感される事はなかった。
 そこで少年の霊は、自分と同じ気持ち、プレッシャーを周囲にも味合わせるため、午前零時ちょうどに三年三組の教室を訪れた者に、苦痛を伴う程のモテ期へと誘う……というものらしい。
「……ほんとかよ?」 
 訪れた少年も、正直噂の真偽については半信半疑。それでも、年頃の少年として、興味を引かれずにはいられない!
 少年は時計を確認する。時刻は十一時五十九分。
「10……9……8……」
 カウントダウン。そして、時計が午前零時を示すと同時に、少年は三年三組の教室に入った。
「……これで俺も明日から美少女に囲まれて学園ラブコメの主人公……なんて、な」
 呟く少年の、その背に――――。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があるわ」
 そんな声と共に、少年の心臓は鍵で穿たれた。
 クスクスと笑う第五の魔女・アウゲイアスの隣には、いつの間にか曖昧な笑顔を浮かべ、女の子の気持ちにちょっと鈍い正統派イケメンが佇んでいるのだった。


「モテすぎるのも良い事ばかりとは限らない……という事なのでしょうか? それでも、結局人はモテる事を望むのでしょうね」 
 深く溜息をつきながら、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はケルベロス達に言う。
「片白・芙蓉(兎頂天・e02798)さんの懸念通り、不思議な物事に強い『興味』をもって、実際に自分で調査を行おうとしている人が、ドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こってしまったようです」
 元凶となるドリームイーターは姿を消しているが、モテすぎたせいで悲しい最後を辿ったという少年の幽霊の噂に引き寄せられる『興味』を元に生まれたドリームイーターは健在である。
「どうか被害が出る前に、このドリームイーターを撃破して下さい! また、ドリームイーターを倒す事ができれば、『興味』を奪われてしまった被害者も、目を覚ましてくれるはずです!」
 セリカは資料を捲り、
「ドリームイーターは人間を見つけると『自分が何者であるかを問う』ような行為をして、正しく対応できなければ殺してしまうという性質を持っているようです」
 正しい解答を示せば見逃してもらえるが、そう上手くいくものでもないだろう。解答を示せなかった場合は、より積極的に襲ってくるが、どちらにせよ結果は同じで倒すしかない。
「それに加え、ドリームイーターは自分の事を信じていたり噂している人が居ると、その人の方に引き寄せられる性質があります」
 出現した、モテすぎたせいで悲劇の最期を遂げた少年ドリームイーターについて、想像を膨らませるといいかもしれない。上手くいけば、狭い廊下や少年のいる三年三組の教室ではなく、空き教室に誘き寄せる事ができるだろう。
「モテたいという少年の気持ちは理解できます。その興味を利用して化け物を生み出すなんて、許される事ではありません!」


参加者
ミライ・トリカラード(三鎖三彩の未来・e00193)
エイン・メア(ライトメア・e01402)
千手・明子(雷の天稟・e02471)
片白・芙蓉(兎頂天・e02798)
ゼフト・ルーヴェンス(影に遊ぶ勝負師・e04499)
神薙・灯(正々堂々真正面からの不意打ち・e05369)
歳桃・和(薄氷・e15137)
羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)

■リプレイ


「ん、こんなものですわね?」
 廃校舎というだけあって、そこはとても清潔とは呼べない空間であった。千手・明子(雷の天稟・e02471)は、廃校舎内で見つけた空き教室を少しでも居心地良くしようと片付け、呟いた。
「イケメンならきっと、真っ白で素晴らしき歯並びの持ち主なのですーぅ」
 教室の奥から適当な椅子を運び出し、その上にハンカチを引いてから、エイン・メア(ライトメア・e01402)は座る。恋愛話が好きなエインにとって、件のモテ死にイケメンは格好の話題のタネだ。
「そしてスマイルに伴って、きらりーぃん☆って歯が光るのですーぅ! 顔面偏差値70超えは間違いないですーぅ!」
 どんどんとエインの脳内にて肥大、脚色されていくイケメン像。果ては、白馬にでも乗って現れるのでは? といった勢いだ。
「そうねぇ、でも彼、少なくとも悪い子ではなかったんじゃないかしら? だって、刺されたんじゃなくて耐えられなくなって……なんでしょ?」
 言いながら、片白・芙蓉(兎頂天・e02798)がエインの膝の上に軽く腰掛けた。エインが芙蓉を後ろからぎゅ~と抱きしめると、小柄な二人の身体が重なる。
「あんまりいい印象じゃないなぁ。誰も選べないって、誰も好きじゃないってことだよね」
 だが、モテ死にくんに対して、いい印象を抱かない者もいるようだ。ミライ・トリカラード(三鎖三彩の未来・e00193)は納得いかないように、頰を膨らませている。
「だってさ、告白されたら嬉しいけど、自分から告白するほどじゃないってことでしょ? キープした挙句に逃げ出すなんて、女の子たちに失礼だよ!」
「彼なりにいろいろと考えはあったのかもしれませんが……いろいろと耐えられなかったのでしょうね」
 ミライに続いて、羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)が静かに言った。
 肯定するにせよ、否定するにせよ、体力を使うもの。ただ、『まずは実行、それから熟考』という座右の銘を持つ紺には、あまり共感できる話ではない。
「そもそも、モテすぎたせいで悲劇の最期を遂げるって、なんなんだろうね……そんなことになるくらいなら、モテなくていいやってボク思うんだけど……男の子はそんなことないものなのかな……?」
 歳桃・和(薄氷・e15137)は言って、ゼフト・ルーヴェンス(影に遊ぶ勝負師・e04499)と神薙・灯(正々堂々真正面からの不意打ち・e05369)の男性二人の顔を見上げる。
「それはとても気になるわね!」
「どうですの?」
 やはり男と女では感性が違う。かといって、そうそう異性の『本音』での恋愛観は聞けるものではない。
 いつの間にか明子の膝の上に移動していた芙蓉と、それを抱きしめる明子がグイッとゼフトと灯に顔を寄せた。
「モテすぎるラブコメ主人公か……漫画とかだと面白いが現実にいると苦労しそうだし、嫌われそうでもあるな」
 まず、ゼフトの口から出たのは、当たり障りのない言葉。それをゼフトは教室の外まで聞こえるように、わざと大きな声量で言った。
 だが、それで満足するような女性陣ではない。
「それだけ?」
「もっとーぉ……本音が聞きたいですーぅ!!」
 なんだかんだと楽しみに耳をそばだてているミライとエインから、不満の声が漏れる。
 それに対し、ゼフトは「まぁ、待て」とニヤリと笑って見せる。そして、ゼフトは掌の中でトランプを弄びつつ、続けた。
「そもそも、何もせずにモテるわけがない。まずは好みの女性を見つけたら声をかけるなり、バーで奢るなりして会話のきっかけを作り、そこから――――」
 長々と展開されるゼフトの持論。それを最初こそ興味津々で聞いていた女性陣ではあったが、女心と秋の空。バーで奢った後に、女性をいかにしてホテルに誘うかという段階に話が差し掛かった頃には、女性陣の興味は灯の方へと移っていた。ゼフトもそういった女性の対応には慣れているのか、軽く肩を竦める。
 そして、注目されてしまった灯と言えば、
「人に好かれるのに耐えられなくて自殺、ってメンタル弱すぎません? その人」
 一言、端的に辛辣に切り捨てた。
 それは、自分のやっている事をすべて偽善と言い切る灯には、理解もできない事。よかれとやった事が、誰にとってもいい結末を与えていない。自己犠牲にすらなっていないのだから。
 ――――「何にせよ」明子がそう前置きをして言う。
「モテ死に少年がどういう思いを抱いていたかはともかく、モテてモテて死ぬなんて、贅沢な。そのご自慢のお顔、ぜひとも拝んでみたいものだわ」
 そこについては、全員が同じ気持ちだった。
「わたくし、年下男子には興味がないけど、そのわたくしをオトせるなら大したものよ……」
 もうハードルは上がりきっている。グラビティなど関係なく、ただ単純に生まれた時からキラキラと光の粒子を纏っているぐらいでないと許されないだろう。
「仕方ないわ、可愛い私がイイ感じに愛情を注いで! そして勢いでお祓いしてあげないとダメねこれ! はよカモーンっ!」
 紺の膝の上で抱きしめられながら、芙蓉は自信満々に言った。
 すると――――。
「やぁ!」
 ガラリと教室のドアが開き、一人の少年……モテ死にドリームイーターは、白馬に乗っている訳でもなく、光の粒子を振りまく訳でもなく、極々普通に姿を現すのだった。


「僕が『何者』か。皆はちゃんと覚えていてくれてるよね?」
 遭遇早々、ドリームイーターは朗らかな笑みを見せた。なるほど、その顔は確かに整っている。清潔に整えられた髪、中性的で柔らかい相貌。いかにも正統派といった風貌だ。
「いまさら聞くなんて水臭いじゃないっ、私のダーリン!」
 芙蓉はドリームイーターの問いかけに、間髪入れず返答した。そして、両手に構えた、黄金の雷を宿すエクスカリバールをXを描くように振り下ろす。
「そんなに暴れると、君によく似合ってる服が汚れてしまうよ?」
 芙蓉の攻撃をドリームイーターは困ったような表情を浮かべ避ける。だが、もちろん避けられる事も想定済みだ。
「行くわよあきらちゃん! 今日は私とあきらちゃんでダブルクラッシャーよ!」
「ええ、分かってるわ!」
 呼びかけに応じ、芙蓉の背後から明子が現れる。明子はドリームイーターに、目一杯の哀れみを込めて、腹の底から叫んだ。
「モテてモテて死んだ男の子……ではなくてモテなくてモテなくて今死ぬドリームイーターです! というわけで、死になさい」
 明子の卓越した技量からなる一撃は、芙蓉の攻撃を回避して油断していたドリームイーターに深々と突き刺さり、背後の椅子を蹴散らしていく。
「お前はモテモテで皆に好かれ、尊敬され、他人のことを第一に考える優しい存在だ……なんて言うとでも思ったか? お前は何人もの女性を誑かしたあげく、責任も取れず、いつまもけじめがつけられなくて逃げてばかりの卑怯者だ……! ふっ、ラブコメ主人公を悪く言えばこうだろう?」
 その隙に、ゼフトが聖なる光で味方の進化を促し、
「学園ラブコメが重圧になった、哀れな方です」
 紺が地面に描いた守護星座を前衛に展開させる。
 芙蓉が「みなぎってきたー!」とピョンピョン跳びはね、戦闘中だというのに紺の頰が緩む。
 そして――――。
「あー、そのーぉ……ケルベロスの皆さんの方が大概イケメンですのでーぇ、何というか……あ! あなたにはフツメンという言葉が相応しいですーぅ!!」
 そのエインの一言がドリームイーターの逆鱗に触れてしまう。
「フ、フツメン……? ぼ、僕が?」
 そんな事は生まれて初めて言われたとばかりに呆然とするドリームイーター。
「マッドプライズ『ザ・ダモクレス』~ぅ♪」
 エインは、双翼を鋼鉄の多脚機装に換装し、自律駆動で運用することで得た快楽エネルギーを循環させつつ、「はいーぃ!」と煽るように頷く。
「そ、そんな訳……!」
「優柔不断クンは爆発するべきだと思うよ!」
 首を狂ったように振るドリームイーターをミライがドカーンと見えない爆弾で吹き飛ばす。
 ドリームイーターは、吹き飛びながらミライにモザイクを飛ばして言う。
「短い髪がよく似合って可愛いよ」
 ミライはボッと赤くなって、
「そ、そんな台詞でボクがどうにかなると思ったら大間違いなんだからねっ!」
 モザイクに囚われる苦痛も忘れ、羞恥からすぐにドリームイーターから顔を背ける。
 そして、ドリムームイーターはミライに言うのだ。
「――――僕は、イケメンだよね? 好きだよね? なら君もそう言ってくれよ」
 と。
「一見幸福に見える人が不幸な末路を辿ったということで、いろいろと噂の種にされてしまったんでしょうけど、そもそも選べなかったからといって自殺する必要なんてないでしょう? 結局彼やあなたは、誰かを悲しませたくないと言って、自分を含めた全員を悲しませてる。……それって最悪の選択じゃないですか」
 そんなドリームイーターをヒールドローンの群れを指揮する灯が断罪する。
 要するに、灯が何を言いたいかと言うと、
「あなたは、ただの自己中……あ、自分が特別だとか勘違いした厨二病とかも併発してそうですね」
 その一言に尽きた。
「自分で美少年とかイケメンとか思ってるんなら結構イタイメンだとボクは思うんだけど」
 さらに、トドメとばかりに和の言葉の暴力と、挨拶代わりの炎を纏った物理がドリームイーターの僅か横を掠める。
 その瞬間……。
「こ、この……僕の魅力を理解できないゴミどもがっ!」
 ドリームイーターはそれまでの穏やかな仮面を脱ぎ捨て、修羅の如く変貌した。手始めとばかりに、ドリームイーターは、最も気に入らない事を言ったエインに、モテすぎソードで斬りかかる。
「あー、もしかしてーぇ、言っちゃいけない事でしたかーぁ?」
 それに対し、エインはモテすぎソードと交差させるように、ドリームイーターの気脈を指一本で突き、カウンターを浴びせる。
「所詮はラブコメ主人公以下だったって訳か」
 エインの攻撃を受け、少し距離ができた所で、ゼフトが魔法光線でドリームイーターをさらに吹き飛ばした。
「フフフ、アモーレッッ! ダーリンオラァ!」
「やっぱり、年下男子は趣味じゃないわね」
 そこへ襲いかかるのは、芙蓉と明子の攻撃手二人。
 芙蓉の獣化した手脚がドリームイーターの身体を浮き上がらせ、明子の緩やかな弧を描く斬撃が、浮き上がった無防備なドリームイーターを容易く切り裂く。
「ぐぁっ!」
 呻くドリームイーター。だが、見た目と違って諦めだけは悪いらしく、紺に甘く囁きかけた。
「本好きなんだって? そういう知的な女の子、僕好きだよ」
「あ、あんまり浮わついたことばかり言ってると、地中深くに沈めるぞっ!?」
 たとえ好意がなくとも、そんな事を言われたら照れるのが人情だ。思わず荒っぽい言葉使いになる紺に、モザイクが迫る。
「ボクが守る!」
 モザイクの前に、和が庇いに入る。紺を守りながら、和の考えることはただ一つ。
「(ああ、敢然と紺を攻撃から庇うボクってカッコE!! って、おっと、いけない!)」
 自己陶酔し、緩み駆けた心を引き締めるため、和はゾディアックソードを振り下ろし、重い斬撃を放った。
「偽物は早々に退散してください!」
 目の前のドリームイーターは、噂を元に生まれた紛い物でしかない。ならば、その存在はいたかもしれない『本物』を穢すもの。その結末が不幸なものならば、なおさらだ。
「守りを切り裂く」
 ビルシャナの魂から生み出された降魔刀・明王が、ドリームイーターの防具、防御もろとも切り裂いた。
「僕はイケメン! そうあるべくして生まれたんだ!」 
 血を噴き上げながら、ドリームイーターは一番近くにいた芙蓉へとモテすぎソードで襲いかかる。
 だが――――。
「ありがと! エインメアマジ天使、カリバー!」
「ふーちゃんのためならーぁ、火の中水の中ですーぅ!」
 モテすぎソードは、芙蓉に届くことなく、エインによって完璧に防がれた。
「エインさん、回復します!」
 怪我人は複数いるが、その中でもエインの負傷が最も重い。そう判断した紺は、エインに魔法の木の葉を纏わせる。
「さっきはよくも恥ずかしい台詞を言ってくれたね、あれ禁止だから!」
 ミライは、未だ赤らみの残る顔で怒りつつ、
「ヘルズゲート、アンロック! コール、トリカラード!」
 異界から巨大な三本の鎖を召還した。色、黄、青の炎を纏う鎖は、逃げ惑うドリームイーターをどこまでも執念深く追いかける。やがて、追い詰められたドリームイーターは、鎖に絡め取られ、魔法陣の向こう側へと引きずり込まれていく。
「おっと、モテモテだね! ……今度はちゃんとハッキリさせようね!」
 ミライの言葉を背に、空き教室に断末魔の叫びが響き渡るのだった。


「私ったら、ほんとに癒やし系でごめんなさい!」
 三年三組の教室にて、まだ意識のない少年の顔の上に乗って、もふもふサービスをする兎に変身した芙蓉の姿があった。
「(兎芙蓉かわいい……は、いけないいけない……ビークール)」
「相変わらず可愛くって許さない……」
 その様子を脳内で数多の葛藤を繰り広げながら和が見つめ、明子が自分なりの芙蓉の可愛さアピールに対する返事を呟いている。
「……ん」
 ふと、少年の身体がモゾリと動いた。芙蓉が慌てて退散し、変わりにミライが少年の顔をのぞき込む。
「あ、起きた? 大丈夫、ケガはないかな?」
「は、はい」
 やがて目覚めた少年は、キスできそうな程近くにあるミライの顔に顔を赤らめる。
「まだ若いのでこれからファイトですーぅ! このエインメアお姉さんのお墨付きあげちゃいますのでーぇ♪」
「良いこと? 男はハートよ!! モテるために手段選ばない感じ、あなたガッツあってちょっと面白いわ!! 危ないことはやめて、でも路線変更はせずに頑張りなさい!!」
「余計なお世話だが……楽してモテようなんて無理な話だぞ。チャンスは待っていては訪れん。池の鯉のように口を開けて待ってるだけでは餌にありつけず餓死するか、口に余計な物が突っ込まれて窒息死するかの二択だ。自ら行動することが必要なのさ」
「好きでもない人に好かれても困るだけだと思うんだよね……。本気で好かれたい! って思った相手にだけ、好きになってもらえるよう努力したらいいんじゃないかな」
「怪しい噂に頼らなくても、いずれはあなたを見てくれる方が現れるはずですよ」
 硬直する少年に、エイン、明子、ゼフト、和、紺……それぞれの言葉がかけられた。自分のモテたいという欲求を知られた少年は、顔を押さえて身悶える。……どうやら、奇しくも後押しの言葉がいい薬になったようだ。
 少年の無事を確かめ、廃校舎を後にしたケルベロス。その時の和の胸には、芙蓉が抱かれ、和の表情は見たこともない程蕩けていたという……そんな、噂があった。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 10
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