昨年の稲の節を刻んで、御寺の境内中へ大量にまきちらされていた。
浴衣姿の子供に混じって何人かの大人が群がり、わいのわいのとバラバラにしている。
「ママー、なにかはいってるー。これよんでー」
「これはね、笛のラムネがもらえますって書いてあるの」
子供の一人が白い紙をフシの中から取り出すと、母親に読んで貰ってから、丸い形をしたラムネを貰った。
「あははピーピー♪ こんどは綿あめがいいなあ」
ピープー笛ラムネを拭いて宝探ししていると、ごっちーんと誰かにぶつかった。
『ぼく~、ボクにぶつかるなんて良い度胸じゃない? ぼくのことをポカポカしたら、花火をあげちゃおうね? ぼっかーん、どっかーんって綺麗だと思わない?』
「いたい、いたい。やめでよほねえじゃん、あづいあづいー!」
そこに居たのは、マグロの被りモノをした変な奴だった。
タールの翼に濁ったお目め、大人達があぜんとしている間に、子供からラムネを奪うと、顔面を掴み炎で焼き焦がしたのである。
だが、最初に殺され、恐怖を感じなかったのはまだ運が良かったかもしれない。
母親をはじめとして、その場にいた人々は無残に殺されていったからである。
●
「エインヘリアルに従う妖精8種族の一つ、シャイターンが行動を開始したようですね。今回動き出したのは、マグロの被り物をしたシャイターンの部隊で、日本各地の祭り会場を襲撃し、一般人を殺害してグラビティ・チェインを得ようとしているらしいですえ」
ユエ・シャンティエが地図と、古びた稲を持って説明を始めた。
「場所はとある御寺で行われる、収穫祈願祭です。人々が集まる場所を狙って、効率よくグラビティ・チェインを収奪する作戦である可能性が高いですね」
ユエは稲穂を軽く振って、榊のように扱って見せた。
収穫祭は地域によって秋の前にあるものと、後にあるものがあるが、その場所では秋の前に行う用だ。
そこでシャイターンが現われる会場に先回りし、倒して欲しいと言う事だろう。
事前に周囲の下見をしたり、祭りに混じって遊んでおくことで紛れるのも良いだろう。
「敵は一体で、配下などはいません。戦闘力はともかく、祭りを中止すると他へ行ってしまう為、事前の避難が出せないのが問題でしょうか」
グラビティを効率良くあつめようという都合上、確かに人が居なければ来ない可能性が高いだろう。
配下がいないのはありがたいが、住民たちを守りながらと言うのはきつそうである。
「ただ、敵もケルベロスに背中をさらしてまで収穫を優先しようとは思わないでしょう。先に邪魔者を排除しようとこちらに襲いかかろうとするでしょうから、挑発しながら人の居ない場所へ誘い出すと良いかもしれません」
ユエはそういうと、居並ぶ仲間のうちから、ナイフを持った仲間を指差す。
「敵の能力は、主にナイフ使いです。これを炎や幻覚の嵐で補助するよぅですが、基本的にはナイフで接近戦を挑むのが好きなようですね」
ユエはそう言って、シャイターンの能力を知らぬ者の為に、メモを脇に置いた。
「マグロガールの戦闘力は、あまり高くありませんが、阻止に失敗すれば祭り会場が惨劇の場になってしまうので、敗北は許されません。ですが……そうですね、せっかく祭りの会場に行くのです。撃破した後は、お祭りを楽しむのも良いでしょう」
最後にそう付け加えて、ユエは稲の節の端を千切った。
そこには小さな紙が入れられており、稲荷ずしと交換と書かれている。
きっと祭りの会場にいけば、同じ様な宝探しがまっているのだろう。
参加者 | |
---|---|
付喪神・愛畄(白を洗う熊・e00370) |
天谷・砂太郎(は自分の根源を見失っている・e00661) |
露木・睡蓮(ブルーロータス・e01406) |
若命・モユル(ケルベロスいちねんせい・e02816) |
アストラ・デュアプリズム(グッドナイト・e05909) |
ユーカリプタス・グランディス(神宮寺家毒舌戦闘侍女・e06876) |
八雲・要(英雄志望のドラゴニアン・e14465) |
片桐・宗次郎(星を追う者・e17244) |
●
「宝探しみたいなお祭り! 面白そうだな」
ピッピ♪ ドンドン!
祭り太鼓に笛の音、若命・モユル(ケルベロスいちねんせい・e02816)は嬉しそうに階段を駆け上がった。
山中の神社から零れる食べ物の匂いをクンクンと嗅ぎながら、お腹をグーっと鳴らす。
「早く早く急がねえと『お客さん』が来ちまうぜ」
「俺たちは『道』の段取りしとくから……。本当はつくもちゃんも連れて行きたいんだけどね。お面でも買ってあげるからさ」
腕をブンブンと振るモユルに応えながら、付喪神・愛畄(白を洗う熊・e00370)は握っていた細い指を離す。
浴衣姿のその少女に足は無く……一般人を不安にさせない為にも、直接連れて行けないのが残念だった。
「ともあれ、この線路沿いで戦うとして、神社の裏手から避難してもらうのが良いかな?」
愛畄は仲間たちを振り返りながら、つくも不満そうに口をとがらせるのを、一時退散するまで撫でておく。
視線の先には廃線になった線路を調べる、ケルベロス達の姿。
廃路を戦場に、避難路もそこと言えば危険そうだが、長くあちこちに接地しているという点に置いて元線路は優れた避難路だ。
「ああ。ここらで戦うのがいいだろうね。となると避難路の繋ぎは段々畑か……収穫前の畑に人を入れるのは気にいらないが、被害が出るよりはよっぽどマシさ」
八雲・要(英雄志望のドラゴニアン・e14465)は土薫るこの景色に人々の生活を思い浮かべ、可能な限り……いや絶対に守ろうと誓う。
しかし全てを守り切るには確証はなく、少なくとも仲間達の分厚い支援が必要だ。
「その辺も含めて封鎖しておいた方がいいかもー?」
露木・睡蓮(ブルーロータス・e01406)は少しだけ首を傾げると、封鎖用のテープを取り出す。
「逃げる途中に踏み荒らされると大変だし、近道されても流れ矢から守りきれないっぽい」
「その辺頼むわ。嵐の夜であろうと、畑を見守ろうとするのは爺さん達の習性の様な物だからな……」
睡蓮が畑の方にもテープを張って行くと、要は頷いて災害の報道の度に見回る老人達の事を思い出していた。
そんな感じで避難経路を確認していくと、仲間からの連絡を受けて報告が入った。
「若命様から『標的』は既にと連絡が在りました。こちらも赴き釣り出すとしましょう」
「「了解」」
ユーカリプタス・グランディス(神宮寺家毒舌戦闘侍女・e06876)が片目を閉じながら通達すると、ケルベロス達は足早に神社へ向かった
階段を登りきると、神社は二段になって下側がテラス状になっていた。
その下側には小さな旧式の屋台がいくつか並び、子供たちがワイワイ籤を拾っている。
「楽しいお祭りを変なかぶり物のシャイターンなんかに邪魔させてたまるもんか! って兄ちゃん、いつまで息抜きしてるんだよ」
「急に切りあげたら気がついてくださいと言わんばかりっす。……よってこれは偽装であって楽しんだりはしていない」
モユルが連絡を終えると、片桐・宗次郎(星を追う者・e17244)は手にしたベビーカステラをモグモグしながら、キリリとした顔で言い訳。
「皆が到着次第に、結界をお願いするっすよ。……皆楽しんでるんだ、邪魔なんかさせられないよな」
宗次郎は耳の無いタヌキの形をしたカステラを全て胃の中に放り込むと、猫だと自己主張する紙袋をクシャリと潰す。
そして魔女っ子のビニール袋を開けながら、綿菓子を口に入れ、自分を『標的』と祭り客の間へと滑りこませていたが……。
駆け付けた仲間達も含め、その表情は別の地味で苦々しい。
「(夏祭りを楽しむためにも屋台に被害は……うえー。浴衣にあれはないのです)」
「(あれがマグロガール……ですか。何というかまあ、見た感じはアホですね。話に聞く限り残虐この上ありませんし、我々の対処もいつもと変わる訳ではありませんが)」
小声でセンスの酷さを訴えながら、表情こそ変えないものの、睡蓮とユーカリは苦笑するしかなかった。
頭は明る色したマグロの被り物をして、服装は浴衣なのである。
これが二歳児三歳児なら微笑ましい所だが、見たところハイティーンの娘っ子とか、笑い話にもならない。
●
「全員配置に付きました」
「おっけー。……そういやシャイターンと戦うのは初めてだが、今まで聴いてたのとはまた違った感じの……なんていうんだ。愉快犯? なんともやりにくそうな相手な事で」
仲間からの連絡を受け、天谷・砂太郎(は自分の根源を見失っている・e00661)はストレートに喧嘩を売りに行った。
スレ違いざまに斜めに横切り、ワザとぶつかってイチャモンを付ける。
「いっちょ俺らといい事(殺し合い)しようぜ? それに俺は一般人より脂がのってるぜ。据え膳食わぬはなんとやら、じゃないのかぃ?」
少女の形をしたナニカの耳元で、砂太郎はボソリと啖呵を切る。
その姿、まさにチンピラ!
だが、これで良いのだ!!
砂太郎は最初から囮として、役目を買って出たのである。
『なあにお兄さん。ボクに(グラビティを)絞られて、足腰立たなくなりたいの? 別にいいけどねえ』
少女の形をしたナニカは、ドロリと濁った目で歪んだ微笑みを浮かべる。
言葉こそ真夏のアバンチュールだが、実際にはスプラッタな意味に違いない。
「(うわっ。煽り耐性ひくっ……。話じゃ直ぐに絶賛DIE炎上するらしいから、ボクらの方に引き付けないとだね……)」
アストラ・デュアプリズム(グッドナイト・e05909)はその様子を眺めながら、自らのミミックにも被り物を着せていた。
これは一般人にサーバントの存在を悟られない為のカバーであり、同時に、このシャイターンを挑発する為の物でもある!
「そのおかしな被り物が自慢みたいだけど……。マグロさ加減で言えば、このマグロボックスには敵わないよね」
「そうそう。こっちだこっち、ナシ付けたきゃついてきなっ! あんよは上手ってよ」
アストラはサーバントを前面に押し出しつつ、徐々に後退を開始した砂太郎と共に戦線を構築する。
見れば仲間達が殺意による人払いや、気力を抑えて誘導を開始していた。
「おや、不細工な魚が居ますね。金魚すくいの水槽に戻ったら如何でしょうか? ま、貴女のようなのは誰も掬わないし救われないでしょうが」
同時進行でユーカリもゴミ箱に偽装していた(?)ミミックを呼び出しつつ、声を掛けながら囮をこなしていく。
『ああん? お嬢ちゃんも火遊びしたいんでちゅか?』
「おおっと! そんな趣味の悪い被り物なんてして、オシャレのつもりかなにかかい? お前が参加する祭りの会場はこっちさ。存分に楽しんでいくと良いよ!」
シャイターンによるチンピラ返し!
そこへ飛びこんだ要が危ういうところで抑え込んだ。
線路まで追い掛けながら、ナイフのエッジを立ててハラワタを抉る刺突!
彼女自身のお腹と、握り込んだ刃元から血が滲むが、そのまま一般人や仲間を刺されるよりマシだ。
このシャイターンは強そうには見えないが、祭りの中にい入り込んで居るのが問題である。
あと少し、後少し時間を稼いで、引き付けないと。
『これで決めるよ!一斉攻撃だ!』
そしてその時はやって来た!
最後の一人が畑の向こうに消えたことで、要は声を張り上げて、仲間達を鼓舞する。
傷口自体は箱竜の廻に任せつつ、自身は仲間を振り立たせる為に凛と声を張り上げた!
「おうよ! これでも喰らえ!」
線路まで下がり切った砂太郎は、返す刀で竜牙を振りあげた。
声を掛けた一番槍に続いて、攻勢に置いても一番槍を掛けたのである。
燃えるような激しい勢いで、巨大な鉄剣をぶつけいった。
「神宮寺家筆頭戦闘侍女、ユーカリ参ります。さあ、行きますよ。トラッシュボックス」
スカートの裾を摘み、ドレープを見せながら折り目正しく一礼。
そして籠手に刻まれた撫子の花を翻しながら、ミミックと共にユーカリは掌底で『隙だらけですよ!』とシャイターンの頬を張ったのである。
『やりやがったな! てめえ!』
「あーもう『弾幕薄いよ、なにやってんの!』って、誘導か。でもそれもそろそろ帰って来るってさ」
アストラは少しだけ焦りながらも、面倒くさいので動かない事にした。
きっとボックスウナイトやトラッシュボックス達がなんとかしてくれるはず!
と自分を勇気付け、こっちにこないでねーとミミック軍団を回復していく。
それはまるで、往年の落ちゲーとか対空シューティングを思い浮かべるほどの携帯タップであった。
●
『うっとおしい! 燃えちまいな! 体の端から燃えてく感想はどうでしゅかー?』
シャイターンの放つ炎は簡単には消えたりしない。
爪が、骨が燃えるような痛みが体の芯からしてくる。
「痛てえっすよ……でもな『――だから、どうしたッ!』俺らの後ろで、誰かが笑ってる、誰かと誰かが笑い合ってる!」
宗次郎が望むことはそんなに多くない、ただ人々の笑顔。
ただそれだけの理由があれば、痛みをこらえて拳を振り抜ける。
「そんな場所を、お前の悪意なんかで邪魔させるもんかよ!」
ただ熱いだけの心を、宗次郎は己が憧れた蒼く気高き理想を載せて、天を揺らす魂の咆哮に変えた。
目指すは一つ、この村を、日常に回帰させる為に!
宗次郎はその為だけに、己の命を掛ける!
『ウゼエウゼエ、そのウザさが鼻につき……』
「やい、マグロガール! お前たちの好きにはさせないぜ! 絶対街の人たちを守ってやる!」
熱い心が気に食わないのか、チンプラ臭を隠そうともしなくなったシイターンに、モユルが横合いから襲いかかった。
モユルは初手で四肢の関節部から地獄の炎が強く吹き上がらせると、流星の様な蹴りで踊りかかる!
「よし、なんとか消せそうだよ。もうちょっとだけ保たせて」
「よっし! だいたいそのかぶり物……なんか意味あんのか? どっちにしたってこの鉄塊剣で、全力かけてぶっつぶす!」
愛畄が傷を撫でると、火で出来た稲荷狐が天を掛けた。
撫でながら炎の勢いを解消しビハインドのつくもや、モユルに声をかけると、少年は鉄塊のような剣を二本も構えて見栄を切る。
「あっちだけに良い恰好はさせられないかもー。『蒼の魔弾は氷の魔弾。氷の華で骸を飾る。』これが後々効いてくるはずっぽい!」
そして誘導を終えた睡蓮は、親指で植物の種を弾き、指弾に変える!
普通の種なら撃ち込んでも直ぐに生えたりはしないが、詠唱によって、グラビティで作られた蔦が生え、その先から花が咲き誇るではないか。
「俺が皆を守るからさ! 行くよ兄弟! こっから後ろには一歩たりとも進ませない!」
要はパチンと指を鳴らし、線路の一部から色とりどりの煙を挙げさせた。
次々始める花火は、彼女が予め手埋め込んでおいた物だ。
そして戦いが進むたびに、1つ判ったことが在る。
違和感なく(?)祭りに融け込めたのは脅威だが、巨大ダモクレスやドラゴンの様な脅威は感じないのだ。
「こいつ潜りこみのプロつーか、スデゴロは程ほどなんかね? まあいいやあ、ここで一気に行きたいんだけど、足止めとかできる?」
「かしこまりました、飛び蹴りはメイドの嗜み」
砂太郎が引き抜きざまに速射を掛けると、ユーカリは弾を追い掛けるかの如き速度で飛び蹴りを掛けた。
口笛吹きつつ、砂太郎は拳を握り込む。
『マッサージなんて比じゃないぜ、弾けて爆ぜろ!!』
らあ!
パチパチと静電気がグラビティによって掌の中に圧縮されると、まるで雷神が降りたかと言うほどの光が凝縮される。
ゆっくりと指を固めて、砂太郎は殴りかかった。
「砂太郎ちゃんナンテスゴインダー。いっけー!」
『ムギギギ……殺すコロスウ』
アストラはさりげなく仲間を持ちあげながら、ミミックにも怪我した仲間の治療をさせるなど、自分達はそっと気配を消す事にした。
なんだかなーという気がするが、これでいいのだ。
なんたって仲間はやる気だし、マグロガールもドラゴンみたいに強くはないしね?
『さあ、蠍の毒に痺れなさい!』
「うおおお!」
ユーカリが蠍座を示す星剣の力を解放し、舞い踊るような斬撃に載せて解き放った。
その着弾と同時に宗次郎は駆けだし、流体金属を隆起させると拳に変えて叩き込んだのである。
●
「終わった……みたいだな。村の人呼んできてもいいぜ」
「お持ち帰りして色々聴き出したかったんだがなあ。まあ、あおの性格じゃ暴れて村人襲いかねないし……祭りでも愉しむとするか」
宗次郎がトドメを確認すると、砂太郎は肩をすくめて神社の方にある太鼓を叩きに行った。
これが一番判り易い合図だろうと、漢二人で祭り太鼓を高らかに。
「安心してもらいたいし参加しよっか。駄菓子はいいね。日本の文化の結晶だよ……って、祭りには参加しないの?」
「あんま騒がしいのは苦手でね。眺めて愉しむ事にするさ」
アストラが投げてよこした駄菓子を受け取りながら、煙草型のチョコだけ加えて要は箱竜を膝の上に載せた。
流れる雲を眺めるように祭りを愉しむ人々を見つめておくことにする。
「結里花お嬢様はリンゴ飴、スノーお嬢様はなんか変わったガラクタで良いですかね。……おや、それは?」
「日本で最初のロボットアニメのお面かな? ちょっと、どうしたのつくもちゃん! なに怒ってるのさ」
ユーカリが主人たちへのお土産を物色していると、今は無いレア物を見つけたらしい愛畄は隠れる必要の無くなったビハインドに被せてあげていた。
「どうしたのかな。レプリカントの人と話してるからじゃなくて……輪投げか射的、あ! 金魚すくいにいこっか」
「僭越ながら……多分……ソレ男の子様だからでございます。女の子向きがよろしいかと」
朴念仁の少年に、できるメイドさんは的確なアドバイスをしてあげる。
「やったぜ、爆弾ケーキが当たった! ちべてー。ひとつやらあ」
「んー、この安っぽい味がたまらないかもー。今度あっちを食べよっ。モユルさんも何個か食べるといいっぽい」
モユルは風船に入ったカキ氷を齧ると、キーンと頭痛がしてきたので、余ったのを睡蓮に分けてあげた。
お返しにタコヤキをもらった睡蓮は、『今度は屋台の食べ物がいいな!』と叫ぶモユルの口の中に放り込んで、他の仲間達ともどもコンプリートを目指す事にした。
「洗剤とかは……かーちゃんにあげれば喜ぶかな? なんかマグロのお刺身が食いたくなってきちゃったぜ。明日の晩ごはんにでもかーちゃんに頼もうかな」
「カンベンシテヨー」
鼻をすすりあげて笑う少年に、誰かが小ネタを挟んで肩をすくめた。
その様子に仲間達は笑いだし、いつしか村人たちの笑顔に、融け込んでいったという。
「今回も……被害がないのは良い事だね」
それはケルベロスたちが見た、真夏の夜の夢かもしれない。
作者:baron |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年9月6日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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