戦慄! まじかるバニージジイ現る!?

作者:雷紋寺音弥

●魔術師の館?
 深夜、街外れの古びた屋敷の前。誰も訪れることのなくなった場所に、今宵に限り来客が一人。
「なるほど、ここが噂の洋館か。思ったよりも、朽ち果てていないんだな」
 懐中電灯を片手に、屋敷を訪れた少年が鉄製の門を開けて中へと足を踏み入れる。その日に限って空は曇り、月どころか星の明かりさえ届かない。
「噂が本当なら、この館にイカれたマジシャンの霊が出るって話だな。もし、証拠の写真の一枚でも撮れれば、俺も明日から学校では有名人になれるってか?」
 そう言って、少年が屋敷の裏手に回ったところで、その胸元を唐突に巨大な鍵が貫いた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 漆黒のローブを羽織ったドリームイーターが呟くと、少年はその場に力無く崩れ落ちる。そして……倒れた彼の傍らには、何故かバニーガールの衣装に身を包んだ焦点の定まらない瞳の爺さんが、巨大なチェーンソーを持って佇んでいた。

●戦慄のバニー
「召集に応じてくれ、感謝する。カティア・エイルノート(ヴァルキュリアのミュージックファイター・e25831)の懸念していた通り、色々と酷い格好をした爺さんのドリームイーターが出現したようだ」
 そう言ってクロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)が集まったケルベロス達に告げたのは、不思議な物事に強い『興味』を持った人間が、ドリームイーターに襲われるとの報。
「被害者の『興味』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているが、奪われた『興味』を元に現実化した怪物型のドリームイーターが、新たに事件を起こそうとしているようだ」
 この怪物型ドリームイーターこそが、酷い格好をした爺さんである。これを倒し、被害者の目を覚まさせるのが今回の目的なのだが、問題なのは、やはりというか敵の姿。心臓の弱い人間や小さな子供は、色々な意味でトラウマになる可能性もあるものだとクロートは告げた。
「事件の起こる現場は、廃墟となった屋敷の中だ。襲われたのは、地元の高校に通う男子高生。なんでも、その屋敷の元の持ち主は有名なマジシャンだったらしく、死んだ後も幽霊になって、イカれたマジックショーを続けているという噂が立っていたようだな」
 そういうわけで、敵はバニーガールの衣装に身を包み、奇声を発しながらチェーンソーを振り回す爺さんだ。そう、真面目な顔で伝えるクロートだったが、しかし聞いている方からすればドン引きである。
「敵のドリームイーターは、人間を見つけると『自分が何者であるか』を問いかけ、それに正しく対応できなければ殺してしまう。戦闘の際はチェーンソー剣に似たグラビティを使う他、モザイクのバニー服を肥大化させて相手を飲み込む、モザイクのシルクハットから無数の小さな自分を発射して相手を襲わせるといった攻撃を仕掛けてくるみたいだな」
 そんな攻撃を、焦点の合わない目をした爺さんが、バニー服を身に纏った状態で奇声を発しながら繰り出してくるという。どう考えても、これはヤバい。ある意味では、下手なホラー映画よりも恐ろしい……無論、色々な意味で。
 ちなみに、ドリームイーターは自分の事を信じていたり噂していたりする人が居ると、その人の方に引き寄せられる性質がある。これを上手く利用すれば、戦闘に有利な場所に誘い出せるかもしれない。
「生前の館の持ち主がどんな人物だったかは知らないが……少なくとも、このドリームイーターよりはマシな格好をしていたはずだ」
 被害者を救い、今は亡き爺さんの名誉を守るためにも、早急に敵を退治して欲しい。最後の方は少しだけ歯切れが悪くなりつつも、クロートは改めてケルベロス達に依頼した。


参加者
アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)
森光・緋織(薄明の星・e05336)
レイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)
ワーブ・シートン(とんでも田舎系灰色熊・e14774)
ノイアール・クロックス(魂魄千切・e15199)
ラティエル・シュルツ(星詠みの蒼きリコリス・e15745)
富士野・白亜(白猫遊戯・e18883)
ルビー・グレイディ(曇り空・e27831)

■リプレイ

●変態の館
 館の中へ一歩足を踏み入れると、埃臭い空気がケルベロス達の鼻腔を刺激した。
 どこからどう見ても、お化け屋敷にしか見えない廃屋。しかし、そこに待っているであろう敵は、ある意味では幽霊以上に危険で恐ろしい存在なわけでして。
「使われていない古い洋館ってだけでも足が向かないのに、バニーガールの格好をしたお爺さんまで出てくるとは……」
 なんとも言えぬカビ臭さに顔を顰めつつ、ルビー・グレイディ(曇り空・e27831)は溜息を吐いた。
 本物の妖怪や幽霊が出ないのはマシだが、しかし代わりに現れるのはバニーガール姿のジジイ。こんなものが人生初依頼の相手になろうとは、のっけから踵を返して帰りたい気分でいっぱいだ。
「また変なおじいさんとの戦いかぁ。……前回の海パンに比べれば、ましだと思いたい。……たい」
 同じく、薄暗い館の中を進む、ラティエル・シュルツ(星詠みの蒼きリコリス・e15745)の足取りもまた重かった。濡れた海パンを投げて来る爺さんも酷いが、バニー服のジジイも相当なものである。
「しかし……よりにもよって、まじかるバニージジイ……とは……」
「なんでバニーのジジイなんだよ……! せめて可愛い女の子にしろよチクショウ!」
 森光・緋織(薄明の星・e05336)とレイ・ジョーカー(魔弾魔狼・e05510)の二人に至っては、既に一抹の恐怖に似た何かを覚えつつあった。バニー服のジジイとか、もはや別の意味で怪談だ。
「無責任な噂って、やばい化け物を作っちまうんすね」
「っていうか、どっからバニーは出てきたんだ? 横のコンパニオンのお姉さんのイメージか?」
 ノイアール・クロックス(魂魄千切・e15199)の言葉に、アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)が今更ながら突っ込みを入れる。だが、どう考えてもまともな理由が思い浮かばず、早くも頭が痛くなってきた。
「ここにマジシャンが出るとか、出ないとかっていうな……。ところでマジシャンってなんだ?」
「うん、確か、このあたりに出てくるって話だったと思うんですけどねぇ」
 それでも、ここで敵を放置して逃げるわけにはいかないと、富士野・白亜(白猫遊戯・e18883)とワーブ・シートン(とんでも田舎系灰色熊・e14774)が、これみよがしに噂話を始める。他の者も同調し、あれこれと好き勝手に話し出したところで……耳をつんざくようなモーター音と共に、目の前の壁が巨大なチェーンソーで裏から真っ二つに破壊された。
「ウヒャ~ッハッハッハァッ! イッツ、ショ~タ~イム!!」
 壁を切裂き、ケルベロス達の前に現れたバニージジイ。予想はしていたが、これは想像以上だ。ウェアライダーでもないのに兎の耳と尻尾まで装着し、ご丁寧に、なんかポヨポヨした白い物体まで手足に着けている。
「HEY! ユー達、ワシの名前を知ってるかぁい?」
 なにやらノリノリで、ジジイがケルベロス達に尋ねて来る。だが、焦点の定まらない目でハイテンションに尋ねられても、急に合わせられるわけでもなく。
「出やがったな、変質者め!」
 兎の付け耳を片手で直し、何の躊躇いもなく変質者扱いするアルメイア。案の定、そんな彼女の言葉を皮切りに、ジジイに浴びせられる罵倒の数々。
「自分が何者かって? こっちが聞きたいよ!」
「うん……おいら的にはねぇ……。見た感じ、しょーもないおじさんですよぅ」
 ヤケクソになって逆ギレ質問で返す緋織に続き、ワーブが少しばかり言葉を濁らせつつ答える。が、それでは納得しなかったのか、ジジイは額に青筋を立てながら、再びケルベロス達に尋ねてきた。
「誰が変質者だぁっ! もう一度、聞くよぉ! ワシの名前、知ってるか~い!?」
「……危険人物」
「そうでなければ変態……それ以外あるか?」
 何ら包み隠すことなく、ルビーと白亜が言ってのけた。一度ならず、二度までも。さすがのジジイも、これには我慢できずにブチ切れた。
「FUCK! ユー達、全員ブッ殺してやるよぉ! 覚悟するがいい! ヒャ~ハッハッハァッ!!」
 白眼を剥いて、口から涎を垂らしながら、完全にラリッた顔をしたジジイがチェーンソーを豪快に振り回し始めた。

●加齢なる臭い
 頭のネジが吹っ飛んだような口調で、チェーンソーを武器に迫り来るバニーガール姿のジジイ。色々な意味でトラウマになりそうな光景に、ラティエルは早くも背中に冷たいものが走るのを感じていた。
(「ダメージに強いディフェンダーさんか、かわしやすいキャスター……って、これは何が何でもよけなくちゃ!」)
 相棒のシャティエルを盾にしつつ、後は自分の回避力に賭けるのみ。だが、あんなフザけた格好をしてはいるものの、敵は腐ってもデウスエクス。
「ホッホ~ウ! まずはワシの得意技、人体消失マジックを見せてやるよぉ!」
 モザイク状のバニー服を肥大化させながら、ラティエルに迫る変態ジジイ。なんとか避けようとするが、単純な地力では相手の方が上なわけでして。
「ちょっ……! な、なんで、こっちに来るのよ!」
 哀れ、そのまま敵の衣服の中に飲み込まれ、ジジイの肌とバニー服の狭間に取り込まれてしまった。
「んぐぅっ! 何、これぇっ!? く、臭っ! 気持ち悪ぃぃぃ!!」
 服の中に漂う加齢臭に、ラティエルは早くも目と鼻を抑えて悶絶した。
 海パンジジイよりマシだと思っていたが、そんなことは全然なかった。むしろ、全身を加齢臭に包まれている分、顔面に海パンを投げつけられるよりも酷いことになっている。
「迷い出たっつーか、血迷い出た感が半端ねーな。ってか、絶対どこかに面白半分でバニーを足した奴がいるよな」
 いったい、どうしてこうなった。半ば呆れながらも研ぎ澄まされた一撃を叩き込むアルメイアだったが、しかしジジイはラティエルのことを離さない。ならば、今度は遠距離から撃ち抜いててやろうと、魔銃を抜き放ちレイが仕掛けた。
「さて……今宵は魔弾魔狼によるマジックショーを見せてやるよ。演目は弾丸遊戯だ……!」
 目にも止まらぬ早業で、文字通り変態ジジイをハチの巣に。おまけに、ライドキャリバーのファントムを突撃させて牽制するが、それでも獲物を離さない辺り、このジジイのしつこさは、かなりのものだ。
「もう嫌こんな変態! 早く離して! ここから出して!」
 シャティエルに属性をインストールしてもらったことで、惨殺ナイフを振り回し、辛うじて拘束から脱出するラティエル。しかし、浴びた返り血を吸収した際に汚れた不純物まで取り込んでしまった気がして、その瞳は完全に死んでいた。
 それは言うなれば、老人色の液体を強引に注入されたに等しい状況。いったい、なんで自分ばかりこんな目に遭うのかと、本運命の女神を呪いたい気持ちでいっぱいだ。
「何? マジこれ何? 本当に、攻撃して大丈夫なの!?」
「し、知らないっすよ! ただ、自分はアレに直接触りたくないっす!」
 あまりに酷い攻撃方法を前にして、緋織とノイアールは完全にドン引きしながら叫んでいた。
 それでも、あんな変態を放置しているわけにも行かないので、とりあえず退治しなければなるまい。まずはノイアールがジジイに矢を放ち、ミミックのミミ蔵が貧相な尻に齧り付く。続けて、悲鳴を上げたジジイの身体を、緋織が緩やかな弧を描く斬撃で斬り裂いた……のだが。
「OH! そこはだめなのぉ! タネが見えちゃう!」
 勢い余ってジジイの胸元を斬り裂いてしまい、見てはならない禁断の胸元が豪快にポロリ!
 これはキモい。果てしなくキモい。胸元を押さえながら飛び回るバニージジイとか、もう誰得な存在だよと言いたくなるレベル。
「とりあえず、いきなりだけど、これ行くですよぅ!!」
 もう、一分でも早く始末してしまいたいと、ワーブが早々に切り札を繰り出した。
「……ごふぅっ!? も、悶絶ぅぅぅっ!!」
 野生の力を乗せた純粋なパワーによる一撃が、ジジイの脇腹を容赦なく砕く。気色悪い動きが止まったところで、白亜とルビーの二人が一斉攻撃! ミミックのダンボールちゃんも加わり、情け容赦ない攻撃でフルボッコ!
「残念だが、変質者に情けをかけるつもりはない」
「こ、こっちに来ないでよね! 来たら、吹き飛ばすから!」
 鈍器の先でバニー服を破られ、尻を齧られた挙句に爆破され。散々な目に遭わされた結果、早くもバニージジイはボロボロに。
 もっとも、そんな酷い見た目になっても、ジジイは諦めてなどいなかった。元より、マイナス10点だった見た目が、マイナス30点になったところで変わりはない。
「モケケケケェェェッ!!」
 寄生を発しながら、辺り構わずチェーンソーを振り回す変態ジジイ。横薙ぎに繰り出された攻撃がケルベロス達の頭上を掠め、部屋の片隅に置いてある、動かなくなった柱時計を真っ二つに斬り捨てた。

●分裂マジック!
 深夜の廃屋で繰り広げられる、変態……もとい、ドリームイーターとケルベロス達の戦い。チェーンソーを凶器として振り回すバニージジイとの交戦で、気が付けば部屋の中は滅茶苦茶になっていた。
 床も壁も、チェーンソーで斬り裂かれた跡があちこちに残っている。元より、古びた屋敷なのだ。このまま暴れ続ければ、それこそ屋敷が崩壊し兼ねないレベルである。
 だが、そんなことを気にしていては、今に変態ジジイの餌食になってしまうかもしれない。今は自分の貞操を守る方が先であると、ラティエルは容赦なくジジイを炎弾で焼き捨てる。
「変態の国へ帰ってください!」
 シャティエルのブレス攻撃も重ね、瞬く間に火達磨になるバニージジイ。しかし、全身を炎に包まれているにも関わらず、ジジイの勢いは止まらない。
「ファイヤーマジックかなぁ? ユー、なかなか素質があるよぉ!」
 完全に手品対決だと思っているのか、むしろノリノリで腰を振りながら迫って来る。攻撃すればするほど不気味になって襲って来るとか、もう色々と勘弁して欲しい。
「アレにぶつけるのは、正直申し訳ない気もするんだけど……」
「でも、殴れないならぶっ飛ばすまでっすよ!」
 及び腰になりつつも、緋織が魔力を込めた小動物を、ノイアールが気の塊をバニージジイに叩き付けた。近づいたら最後、何をされるか解らない。そんな恐怖と戦い続けなければならないのもまた、一種の拷問なわけでして。
「ミミ蔵、行くっす!」
「もう、これ以上は見たくないですよぅ!」
 ミミ蔵の繰り出した武器の数々が敵を四方八方から滅多打ちにし、更にはワーブの一撃が壁際まで殴り飛ばしたところで、他の面々も一斉攻撃!
 ダンボールちゃんが食らい付いたのを皮切りに、白亜の蹴りが炎を呼び、ルビーの放った光の弾が直撃する。衝撃で壁と周囲の家具までが吹き飛んで、舞い上がる埃が視界を奪って行く。
「や、やったか……って、まだ生きてんのかよ!?」
 だが、煙の中から姿を現したバニージジイが未だ健在だったことで、アルメイアは思わず言葉を失った。
 薄気味悪い笑みを浮かべ、ジジイの手にしたシルクハットから無数のミニジジイが召喚される。隊列を組んで向かって来る、SD化したジジイの群れ。可愛い妖精さんならまだしも、こんな物体など視界に収めるだけで目が腐りそうだ。
「うわっ、割ときめえ! 寄んな!?」
「ミョホホホホ~ゥッ!」
 得体の知れない叫び声を上げながら、ジジイ達が一斉にアルメイアへと迫る。間髪入れず、ワーブが間に割って入ったが、今度はジジイの群れが彼自身へと襲い掛かることになり。
「くっ……! そうそう好きにはさせま……うわー、やっぱり無理だー! くるなきもいーっ!!」
 全身に纏わりついて来るミニジジイを振り落とそうと、ワーブは懸命に手を振って暴れ回った。が、どれだけ暴れてもジジイ達は離れようとせず、それぞれが気色悪い動きをしながら、だんだんと精神を侵食して来た。
「黄金郷よ! 輝けッッ!! 何度崩れ落ちようと蘇る、黄金の都よ!!」
 さすがに、このまま放っておくのも申し訳ないと、アルメイアはギターの調べで黄金の輝きを呼ぶ。舞い踊る光の粒子がミニジジイ達を包み込み、半ば強制的に、空へと昇天させ消えて行く。
 これ以上は、長引かせる意味もないだろう。早々に決着をつけねば精神的に害悪でしかないと、ついにレイが切り札を解き放つ。
「魔弾魔狼の演目、これでフィナーレだ……。全てを撃ち抜け! ブリューナクッ!!」
 分裂する高密度のエネルギー弾。あらゆる方向から敵を追尾する魔弾は、狙った獲物を逃がさない。
「グホォッ! な、ならば……これが、最終最後の消失マジックだぁ! 本当に……種も仕掛けもないんだよぉ!」
 四方八方から身体を貫かれ、意味深な言葉を吐きながら爆発するバニージジイ。種も仕掛けもない消失マジック。その言葉通り、消滅した彼が戻って来ることは、二度と再び在り得なかった。

●マジックショーの残滓
 戦いの終わった屋敷の中。再び静寂に包まれた廃屋にて、ラティエルは力無く崩れ落ちた。
「あぁ、今回も変態だった……もう嫌だよ……」
 全身をバニー服に取り込まれた際のことが、未だに脳裏にこびりついて離れない。それこそ、ジジイの加齢臭が自分の身体に染み着いてしまったのではないかという恐怖に、考えているだけで背筋が寒くなる。
「なんていうか、誰か知らないけど、変なのは勘弁願いたいですよぅ」
 腕や肩に残るミニジジイの感触を払いつつ、同じくワーブも大きな溜息を一つ。
 館の破損個所に緋織が簡単なヒールを施したところで、最後にケルベロス達は、意識を回復したであろう少年の下へ介抱に向かった。
「うぅ……。ここは……」
「大丈夫か? まぁ、実際の幽霊より酷いと思うし、あれは見なくて正解だったと思うぞ」
 開口一番、無謀な真似をした少年に釘を刺す白亜。対する少年の方は、未だ状況が飲み込めていなかったようではあるが。
「興味を持つのはいいっすけど、直に冒険しちゃうと、こうやって襲われたりしちゃうっすから……。現実の資料からあたるのがおすすめっす」
「君のその行動力があれば、こんな危ないことをしなくても有名人になれるはずだよ。頑張って」
 とりあえず、二度と廃墟探検などしないよう、ノイアールとルビーの二人も少年を諭しておいた。
「成仏しろよ、ってなモンでもないか」
「まあな……。だけど、バニージジイがいたとは思わねぇが、そんなマジシャンがいたのかは知りたいトコだな……」
 そんな中、なにやら天を仰ぎつつ言葉を交わすアルメイアとレイ。本当にあんなマジシャンがいるのだとすれば、格好は奇抜でも、せめて中身はまともであって欲しいものだと。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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