鉄壁の武装

作者:深淵どっと


「はぁ……」
 鉄特有の臭いの充満するその店は、設備からしてどうやら鍛冶屋のようだ。
 店主らしき青年は鉄を打つ金床の前に腰掛け、深く暗いため息を零した。
「はぁ……まだ俺には自分の店は早かったのかなぁ……画期的だと思うんだけどな、俺の武器鎧」
 青年の視線の先には、奇妙な鎧が何点も転がっていた。
 鋭い棘が無数に生えた全身甲冑。砦のような砲塔らしき物が聳え立つ重甲冑。どれも青年の言葉通り、武器の組み合わさった鎧のようだ。
 しかし、若干センスが奇抜過ぎる。ケルベロスならまだしも、一般的にはとても実用的とは思えない。
「一からやり直しか……はぁ……残念だな」
「ならその『後悔』、私がいただきましょう」
 青年が三度目となるため息を吐いた瞬間、その胸元を大きな鍵が貫いた。
 それは、いつの間にか彼の背後に姿を表していた、夢喰いの魔女の一撃。
「私のモザイクは晴れないけれど……この『後悔』、存分に利用させていただきます」
 倒れた青年の胸からは血の一滴も零れてはいない。
 意識を失った彼の代わりにゆっくりと立ち上がったのは、見る者を圧倒する鋼の塊――武器を宿した鎧の巨人だった。


「それで……鍛冶屋の主人が作っていたのは防具なのか? それとも武器なのか?」
「……その判断は、各々に任せたいと思っている。……とにかく、今は出現したドリームイーターに対処してもらいたい」
 真面目な顔で思案するトレイシス・トレイズ(未明の徒・e00027)に同じく悩ましげに眉間に皺を寄せつつ、フレデリック・ロックス(蒼森のヘリオライダー・en0057)は集まったケルベロスたちを見渡す。
「トレイシスくんの調査により、『後悔』を元に作られたドリームイーターの出現を確認する事ができた」
 後悔を奪われたのは、ある街の路地裏にひっそりと店を構えていた鍛冶屋の主人。
 若くして自分の店を持つに至ったが、その奇抜なセンスのお陰で店が栄える事は無く、結果として閉店する事になってしまったらしい。
「生み出されたのは鎧姿のドリームイーター……だが、どうやら主人の趣味……いや、店の傾向と言った方がいいか、正確には武器鎧のドリームイーターだ」
「だから、それは武器でいいのか? それとも鎧なのか?」
 すかさずトレイシスが口を挟む。確かにややこしい。
「その質問に答えるなら『両方』だ。鎧としての防御性、そして仕込んだ武器による攻撃性、その両方を備えたのが彼の作る武器鎧だ」
 が、先にも述べたようにそのセンスはどこかズレている。
 着るどころか触れる事すら困難な棘鎧。着たが最後、一歩すら動けない超重量級の砲撃鎧。申し訳ないが、潰れるのも頷ける。
 しかしそれがドリームイーターとなった、と言うと話は別だ。
「正に攻防一体。いかにキミたちと言えど、正面からぶつかり合えばこちらが押し負ける可能性が高いだろう」
 無論、やりようが全く無いわけではない。
 フレデリックは人差し指を立て、話を続ける。
「今回のドリームイーターは飽くまでも店主の後悔を具現化したような存在だ。故に、店に入ってきた者へする事は一つ……サービスだ」
「……客として持て成す、と言う事か?」
 トレイシスの言葉にフレデリックは無言で頷く。
 ドリームイーターは武器の性能をお客様自身で味わってもらおうと、搭載された装備を浴びせかけてくるだろう。
「危険だが、反撃せずにそれをしっかりと受け止めてやれば、後悔の念を和らげ力を失わせる事ができるかもしれない」
 どの程度攻撃を受ければ満足するのかまではわからない。だが、試してみる価値はあるかもしれない。
 無論、こちらからいきなり戦闘を仕掛ける事もできる。どう戦うかはケルベロスたち次第となるだろう。
「奮わなかったとは言え、鍛冶屋の主人とて人のために始めた仕事の筈だ。それをドリームイーターに利用されるなど、許してはならない。何としても撃破を頼むぞ」


参加者
天雲・戒(ブレイブハート・e00766)
天尊・日仙丸(通販忍者・e00955)
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)
アウィス・ノクテ(月恋夜謳・e03311)
トゥリー・アイルイヘアド(紅蓮ノ騎士・e03323)
武器・商人(闇之雲・e04806)
ウィリアム・シャーウッド(君の青い鳥・e17596)
君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)

■リプレイ


「他に類を見ない武器鎧、防御は最大の攻撃であり、攻撃は最大の防御、今なら世界で一つのオーダーメイドを――」
「……何だか凄い歓迎ムードだねぇ」
 件の鍛冶屋を訪れたケルベロスたちを出迎えたのは、やたら賑やかだがどこか抑揚の無い、店内アナウンスだった。
 それは、明かりも少なくどこか薄暗い作業場の中央に鎮座する無骨な鎧から響いているものだ。
「あれが噂の武器鎧……ドリームイーターか」
「ま、俺たちで最後のお客様になるんだ、たっぷりサービスしてもらいましょうかね」
 軽く呆気に取られるファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)とトゥリー・アイルイヘアド(紅蓮ノ騎士・e03323)に続き、ウィリアム・シャーウッド(君の青い鳥・e17596)が軽口を叩きながらモザイクのかかった鎧を見据える。
 そして、相変わらずどこか機械的な音声を垂れ流す鎧の前へ、天雲・戒(ブレイブハート・e00766)とボクスドラゴンのダルタニアンが歩み出た。
「ここに凄い武具があるって聞いてきた。その性能、確かめさせてもらうぜ」
 言い終わるやいなや、作業場がしん、と静まり返る。
 そして、微かに武器鎧にかかったモザイクが揺れ動いた。
「……来る」
 アウィス・ノクテ(月恋夜謳・e03311)の静かな呟きを、無機質な音の波が飲み込んだ。
 まるで待っていましたと言わんばかりにモザイクが人間の脚のような器官を形作り、武器鎧が立ち上がる。
 見た目は普通だった鎧も、さながら変形ロボットのごとくその内部に隠された武装の数々をさらけ出していく。
「これが武器鎧の真の姿でござるか……う、うぅむ、やはりニッチな感じは否めないでござるが……」
 随所から飛び出た鋭い棘、獲物を探すかのように揺れ動く砲塔。
 大凡の鎧とはかけ離れたフォルムに思案を交えた声を零すのは、漆黒の全身鎧に身を包んだ天尊・日仙丸(通販忍者・e00955)。
「ご覧入れましょう! 攻防一体のその性能! その堅牢さ、破壊力、お試しください鉄壁の武装!」
「ヒヒヒヒ……! まぁ商売熱心な鎧だねぇ、感心感心」
 半トーンほど上がった鎧の声色。間もなく始まる実演販売を前に、武器・商人(闇之雲・e04806)は顔色一つ変えずに、妖しげに笑む。
 半分程は『武器』に分類されたこの珍妙な商品を、彼はどう見定めるだろうか。
「では実演!」
「だが、その熱意ハ元々ここの店主のものダ。ドリームイーターに利用など、させなイ」
 重厚な要塞のように立ちそびえる武器鎧を前に、君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)がビハインドのキリノと共に立ち塞がる。
 開戦の合図は、鎧の背部に取り付けられた2門の砲口が放つ、眩い閃光であった。


 砲口に収束する魔力の光が、鋭い轟音と共に弾け飛んだ。
 凝縮された魔弾が凄まじい弾幕を形成し、鍛冶屋の作業場は一瞬にして熾烈な戦場へと化してしまう。
「ダルタニアン、お前の力を貸してくれ。みんなを頼むぜ!」
「さぁて、それじゃあたっぷりサービスしてもらおうかな?」
 ケルベロスたちを襲う魔弾の雨。
 真っ先に受け止めたのは、戒のボクスドラゴンであるダルタニアンとファルケだった。
「砲身の内側には高名な魔術師による魔法陣が描かれ、素材にも一部魔法の力を最大限活かすために純度の高い宝石を贅沢に使用! その威力はかのドラゴンの鱗をも穿ち、粉砕いたします!」
 立て続けに響く砲音と、宣伝文句が飛び交う。
「……なるほど、確かに大した威力だね……宣伝に偽りなしだね。でも、近付かれたらどうするんだい?」
 爆風の直撃を避け、帽子が飛ばないよう手で抑えながらファルケが率直な感想と疑問をぶつける。
「ご安心ください! 近づく敵はこの超硬度の針の山で串刺しに! かのダモクレスの装甲すら貫いてみせましょう!」
 砲撃が止み、舞い上がった煙を裂いてドリームイーターが飛び出す。
 その全身からは鈍くギラつく剣山に包まれていた。
 規格外の重さもドリームイーターには関係無い。まるで物理法則を無視したかのような超機動で武器鎧が一直線に襲いかかった。
「ダモクレスは貫けてモ、ワタシは貫けなイか?」
 今度はその突撃を眸が受ける。
 まるでトラックが正面からぶつかり合ったかと思うような凄まじい衝突音。
 しかし、剣山は眸の鋼鉄で覆われた盾としての矜持を貫くには至らなかった。
「ご安心ください! 武器鎧は最強の盾にして最強の矛! 受けれぬ攻撃は無く、壊せぬ敵はございません!」
 武器鎧のサービスを称した猛攻はまだまだ続く。
 一方のケルベロスたちは、そのサービスを受け切るために今は防戦に徹していた。
「ゲテモノ武器……いや、防具だったか。確かに、性能だけ見れば侮れないようだな」
「面白いと言えば面白い……いや、珍妙、って言うべきかねぇ……?」
 受けたダメージはすぐに仲間たちでヒールを行って補う。
 トゥリーの放ったドローンは回復だけでなく敵の攻撃を警戒し守りを固め、その隙に商人が溜めたオーラによって治療を行う。
「で、いつまでサービスさせてあげればいいんですかね!? 押し切られちゃ意味ないぜ?」
「ギリギリまで耐えるでござる……! さぁ、これを使えば披露も一瞬で吹き飛ぶでござるよ」
 脇から伸びる隠し腕に仕込まれた刃を今度はウィリアムが受ける。
 すかさず日仙丸は自慢の癒やすグッズで一時の安らぎ空間を作り出し、傷を癒やすと同時に調子を整え、反撃の時に備える。
 一体、後いくつの武器が仕込まれているのか、ドリームイーターの攻撃によってケルベロスたちはじわじわと追い込まれていく。
「でも、あの鎧。少し楽しそう、かも?」
 抑揚の無い、いかにもビジネスライクな音声だが、仕込まれた武器の数々を披露する様はアウィスの言う通り、まるで自分の成果を見せびらかす子供のような無邪気さも感じられる気がする。
 見てもらえなかった、認めてもらえなかった、そんな無念をこうして晴らしているのかもしれない。
 ー―その時だった。
「いかがでしょうか、他に類を見ない武器鎧、防御は最大の攻撃であり、攻撃は最大の防御、今なら世界で一つのオーダーメイドをご用意いたしますー―」
 ドリームイーターがケルベロスたちから間合いを取る。先ほどまでの勢いも明らかになくなっているようだ。
「ヒヒ……どうやら、ご満足いただけたみたいだねぇ」
「それって普通、客側の台詞だと思うけどな……まぁ、とにかく反撃開始だ!」
 商人の言葉通り、ようやくサービスは終わったらしい。
 それに合わせて戒の身体から溢れた白い輝きが怪我を負った仲間を包み込み、傷を癒していく。
「オッケー、それじゃあここからは防具としての性能を見させてもらいましょうかね!」
 ヒールを受けたウィリアムを始めとし、ケルベロスたちは素早く陣形を組み直していく。防戦一方だった今までとは打って変わって、一気に攻撃主体の陣形だ。
 本当の戦いはここからである。


 自分の持つ武装の全てを使い、その威力をしっかりと披露し切ったドリームイーターは存在の根幹である『後悔』が少し晴れたのか、力が弱っているようだった。
 だが、ここに漕ぎ付けるまでにケルベロスたちが負ったダメージも少なくはない。
「ここからは一気に叩き込むぞ! 回復は俺たちに任せてくれ!」
「しっかり守るから、安心して攻撃に回ってね」
 ダルタニアンにも攻撃の指示を出し、戒は引き続き仲間の回復に注力する。
 同時に、ファルケは怪我の状況を見つつ、鎖により守護の魔法陣を作り出した。
「あぁ、そっちは任せた! 私は……ぶっ潰す!」
 描かれた魔法陣による守護を使い、トゥリーは魔弾の雨を掻い潜り敵の懐へと一気に間合いを詰める。
 手にした戦斧が一閃、金属のぶつかり合う鈍い音が火花と共に弾けた。
「ッ、なんつぅ硬さと重さだよ! 生身じゃ扱えないわけだ!」
「それでも、眠ってもらう」
 トゥリーの一撃を踏みとどまったドリームイーターに、アウィスの大鎌が迫る。
 あらゆるものを喰らい尽くす刃が、一筋の傷痕から生命力を奪っていく。
「ついでにこいつも貰っていきな!」
 畳み掛けるように、ウィリアムの飛び蹴りが鎧の胸板に突き刺さる。
 3人の連携による猛攻で、ようやく弾き飛ばされたドリームイーターだったが、この程度では倒れる様子はない。
「マジで硬ぇわ、足の裏痛ってぇ……むしろ鎧としては完璧じゃん」
 サービスを受け、力を奪っていなければこの堅牢さは更に増していただろう。ダメージを受けてでも試した甲斐はあったようだ。
 だが、後悔を削いでも、まだデウスエクスとしての活動は止まらない。
 地面を砕く程の跳躍から、無数の隠し腕が日仙丸を襲うー―が、その直前で攻撃に眸が滑り込む。
「いっそコノ技術をレプリカントに活かしタ方が意義が有りそうダな……だが、今ハ貫かせはしなイ」
 繰り出したオウガメタルに覆われた拳は隠し腕によって防がれてしまうも、その隙をビハインドのキリノが念力によって狙い撃つ。
「その腕、頂戴するでござるよ!」
 念力によって飛ばされた瓦礫や他の鎧はドリームイーターの動きをその場に縛り付ける。
 そこに、眸の背後から飛び出した日仙丸が闘気と技量によって洗練された手刀を繰り出し、隠し腕の幾つかを叩き潰した。
「ヒヒ……それじゃあ、これにも耐えられるか確かめさせてもらおうかねぇ」
 言葉は緩やかに怪しげなまま、前髪に隠れた商人の眼光が敵を捉える。
 まず、放たれた閃光が作業場を包む。そして遅れて鳴り響くは、轟雷の咆哮と激しい衝撃。
「……なるほど確かに。鎧としては大した出来だねぇ……ヒヒヒ!」
 商人の放った雷撃に直撃したドリームイーターは真っ黒な煤に塗れながらも立っていた。


 一瞬で勝負を決するほどの破壊力こそ無いが、堅牢な外装とぶつかりあえば、自然と戦いは持久戦となる。
 それでも、徐々に勝負の行方はケルベロスたちへと傾き始めていた。
「店主には悪いが、一点突破させてもらうぜ!」
 急を要するほどの回復は不要と判断し、戒の白刃が鎧の一点を穿つ鋭い刺突を放つ。
 このケルベロスたちの優勢は、序盤の防戦時にしっかりと後半に向けてグラビティによる支援を備えた結果と言えるだろう。
「今度ハこちらの番ダ、反撃させてもらウぞ……!」
 燃え上がる地獄の炎に反応するように、眸の体の局所に碧のラインが輝き始める。
 コートの上からでもわかるその輝きは、コアエネルギーの呼応だ。
 リングから顕現させた剣に地獄の炎を纏わせ、言葉通りの一撃がドリームイーターを襲った。
 最早、鎧からは言葉が発せられる事も無く、それは封じ込められた無念の解放を望んでいるようにも見えた。
「十分、満足したみたいだな……なら、お望み通り眠らせてやるよ!」
 最後の仕上げ、その一番槍を切って出たのはトゥリーだった。
 先ほどのドリームイーターよりも更に高々と跳び上がり、振りかぶった戦斧を全力で叩き付ける。
「倒し切らずとも……重心さえ崩せりゃあ……!」
 落下速度に武器の重さを上乗せし、ドリームイーターの上半身を凄まじい衝撃が波のように押し寄せる。
 あぶれて行き場を見失った衝撃が突風のように吹き荒れる中、尚もしぶとく、残った隠し腕がトゥリーを引き剥がそうと動きだす。
 が、寸でのところで、その腕を弾いたのは、ファルケの銃弾だった。
「おっと、威力や派手さなら砲に劣るけど、速度だったら負けるつもりはないよ」
 隠し腕を撃ち抜かれ、堅牢な鎧の耐久も限界に等しい。
 半壊まで追い込まれたドリームイーターに最早勝機は無いと言っていいだろう。しかし、その身が動く限り、戦いは終わらない。
「どうやら、ここまでみたいだねぇ……」
 辛うじて機能している魔導キャノンを再度チャージし始めた瞬間、商人の翼から放たれた光がモザイクに覆われた脚を撃ち抜いた。
 猛攻に晒されていたドリームイーターの巨躯が、遂に音を立て、地面に崩れた。
「今度こそ、終わりにしてやるよ」
 刹那、揺れ動く紫炎が小さく灯る。
 ウィリアムの手の平を離れた炎は瞬く間に広がっていき、ドリームイーターを包み込む。
 作り出された人口の火とも、地獄と呼ばれる憤怒の炎とも異なるそれは、暖かなる冬の火。
「ま、大人しく持ち主のとこに帰るんだな」
 収束する炎が消えた後には、モザイクの欠片も残ってはいなかった。
 長い戦いは、無事ケルベロスたちの勝利で幕を下ろしたのだった。
「はぁー、やっと倒せたか! みんなお疲れさん。お前もよくやった、相棒」
「……時に、店主はどうなったのでござろうか?」
 戒は盛大な溜息を吐きつつ、仲間とダルタニアンを労う。その言葉にケルベロスたちもようやく肩の力を抜くのだった。
 その一方で、日仙丸と共に店主を探していたアウィスは、作業場の奥で倒れていた店主を発見する。
「う……うぅ……どうやら、俺の鎧がとんでもない迷惑をかけたみたいだな……」
「確かに……強靭な鎧でござった。しかし、逆に言えばデウスエクスを相手にしても引けを取らぬ鎧と言う事でござろう」
 日仙丸の言葉に、店主は項垂れていた顔をハッと上げる。
「いっそ、ケルベロス専用装備として改めて開発してみるのはどうでござるか?」
「仕込む武器が入り用なら……我(アタシ)の商品なんてどうかねぇ……ヒヒヒ!」
 店内のヒールが終わったのか、いつの間にか現れていた商人が胡散臭く笑う。
「店主、店主。アウィスは、足用の武器兼防具も見てみたい」
 奇抜で、奇妙で、珍妙で、それでも優秀な防具で武器だったのは確かだ。戦った本人たちが言うのだから間違いないだろう。
「……そう、だな。まだまだ俺の武器鎧が輝ける場所はきっとあるよな……!」
 前に進むためには、時には後悔も必要なのだろう。ドリームイーターとなった後悔をケルベロスたちが晴らしてあげた影響もあるのかもしれない。
 頷き、立ち上がった店主の表情は晴れやかだった。
「あ、店主。自爆装置搭載はロマンだって、聞いた」
「……その手があったか」
 ――ただし、大成するためにも、時には衝動を抑える必要はあるかもしれない。

作者:深淵どっと 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年9月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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