男性店主の見つめる先には一振りの日本刀が飾られている。
分厚いガラスケースの中でライトアップされた刀身は美しく、断続的に浮かび上がる映りに店主は目を奪われていた。
「この美しさが、どうして伝わらないんだろうか」
力なくつぶやいた男性は大きく息を吐きながらソファーに腰掛ける。冷めたお茶を一気に流し込み、うつろな目で店内を見回した。
銘刀ミュージアムカフェの看板を掲げた店内には数多くの刀が展示されている。刀身だけではなく手入れ道具や拵、歴史的資料、書籍など、様々である。変わったところでは蝦夷拵のアイヌ刀も並べられていた。
生気のない表情の店主が座っているのはカフェスペースである。湯漬けに焼き味噌、こねつけ餅、兵糧丸など、メニューの表紙には時代を感じさせる食べ物の写真が掲載されている。
「日本の歴史を感じながら刀の魅力に浸れる、素晴らしい店になるはずだったのに」
腰を上げた男性は未練がましくガラスケースに両手と額を押し付けた。
「俺の努力が、足りなかったせいで――」
今にも泣き出しそうな声を上げる男性の背中に大きな鍵が突き刺さる。
「貴方の後悔、私がいただいていきましょう」
何処からか現れた女性は鍵を引き抜き、姿を消した。
店主が意識を失って倒れた後には、着流しを着たサムライのような出で立ちの人物が残されていた。
「日本刀といえば、ケルベロスのみなさんにとっても馴染み深い武器っすよね。一般には美術品としての位置づけになると思うっすが」
黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は国宝や重要文化財に指定されている日本刀の名をいくつか上げる。
そのどれもがゲームや漫画でも頻繁に登場する銘刀であった。
「つい先日カンナさんに教えてもらったっすが、その日本刀を展示するミュージアムがあったみたいっす。最近になって潰れてしまったっすが」
「時間があったらおねーさまといっしょに行ってみたいと思ってたんだ。アイヌ刀もいくつか展示してあるって聞いてたから」
姉と慕う女性の存在もあり、夢見・カンナ(北の大地の雷・e28700)はミュージアムに強い関心を抱いていた。
「でも機会のないうちに潰れちゃったみたいで。似たような状況でドリームイーターが現れる事件が何度も起きてるから、念の為に頼んでみたんだ」
話を聞いたダンテが調べてみると、嫌な予感は的中していた。
「刀工の祖父を持つ店主が日本刀の将来を憂い、普及活動の一環として始めたお店だったみたいっす。現代刀を中心に年代物の刀も数多く展示されてるっすが、文化財になるような銘刀を集めることは難しかったみたいっすね。ただ、なまくらであっても存在するだけで価値があると本人は強い信念を持ってるっす」
訪ねてくる客の大多数が求めていたのは文化財としての評価や歴史上の人物が所持していたなどのエピソードである。価値観の違いを最後まで埋めることができず、店を畳むことになってしまった。
「この後悔の感情をドリームイーターに狙われたっす。閉店した店に偽の店主が居座り、営業を再開してしまったっす」
ドリームイーターは店に訪れた客を強引に連れ込み、最後には刀でめった刺しにして殺してしまう。
被害者が出る前にドリームイーターを退治することが今回の依頼となる。
敵はドリームイーターが一体のみで、ケルベロス以外の客はいない。店主は倉庫に押し込められているため、戦いに巻き込まれることもない。
戦闘になると偽の主人は最もお気に入りの古刀を自らの武器とする。デウスエクスの力を得た刀は雷を帯びた妖刀へと姿を変える。
パラライズ状態に陥らせる電撃を飛ばし、雷を取り込んで傷を癒やし、自らを突き刺すことでその傷を他者に移して催眠状態に陥らせるなど、不可思議な攻撃を次々と繰り出してくる。
「店に乗り込んですぐに戦いを挑むこともできるっすが、店主のふりをしたドリームイーターを満足させることで敵のパワーダウンを狙えるっす。今回だと、ミュージアムカフェを楽しむことと、刀への熱い想いを共有することっすね」
満足させられれば撃破後に店主の気持ちを和らげる効果も期待できる。どうか考えてみて欲しいとダンテは頭を下げた。
「一度や二度、躓いたくらいで夢は終わらないっす。また新しい気持ちでやり直してもらうためにも、みなさんの力を貸してくださいっす!」
参加者 | |
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フィーベ・トゥキヤ(地球人のガンスリンガー・e00035) |
シェラーナ・エーベルージュ(剣の舞姫・e00147) |
リリキス・ロイヤラスト(幸運のメイド様・e01008) |
左文字・紗綾(仏血義理蹴流兵炉守・e22096) |
水限・千咲(それでも私は生きている・e22183) |
マーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659) |
夢見・カンナ(北の大地の雷・e28700) |
リョウ・カリン(蓮華・e29534) |
●銘刀ミュージアムカフェ
ミュージアムの外観は、一見しただけでは民家と見間違う和風建築であった。
縦長の表札に墨で書かれた銘刀ミュージアムの文字を確認したリリキス・ロイヤラスト(幸運のメイド様・e01008)が門を開くと、待っていたかのように一人の男性が飛び出してくる。
偽の店主は八人の団体客を前に深々と頭を下げた。
「こちら、刀剣を眺めながらティータイムを楽しめるお店と伺ったのですが」
「ようこそお越しくださいました。ささ、どうぞこちらへ。お靴のままでお上がりください」
着流し姿の男性にうながされて玄関を上がる。琴と和太鼓で奏でられる落ち着いた音楽がケルベロス達を優しく迎え入れた。
「大勢でお越しいただいてありがとうございます。失礼ですが、ご旅行でいらしたのでしょうか」
「発案は彼女です。どうしても見てみたいものがあるとかで」
水を向けられた夢見・カンナ(北の大地の雷・e28700)は満面の笑顔を浮かべて店主の前に出た。
「ここ、アイヌ刀も置いてあるんだよね! こう、すごく変わった拵の!」
「一振りだけですが展示していますよ。現存しているものがごくわずかですので、ご満足いただけると思います」
「やっぱり珍しいものなんだ。みんなを誘ってよかった!」
入館手続きを済ませたケルベロス達は案内を受けて展示フロアに移動する。
ミュージアムに飾られた日本刀はどれも無名で歴史に名を残すような銘刀は存在しない。しかし数だけは何処の美術館にも負けず、古刀から現代刀に至るまで余すところなく取り揃えられている。
「こっちにも刀、あっちにも刀! まさしくここは天国にござる……理想郷でありまする……」
最初に足を踏み入れたマーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)は数々の展示品を前にして、感動のあまり嬉しい悲鳴を上げた。
「わぁ、綺麗な波紋。これは真っ直ぐで、これは波打ってて」
古刀をガラス越しに眺めるリョウ・カリン(蓮華・e29534)が素直な感想を漏らす。
「こんなに種類があるなんて思わなかったな。どういう違いがあるの?」
「試行錯誤の結果もあれば流行り廃りで移り変わっていったものもあります。自分の特徴を出すための印だったりもするそうですね」
「歴史を感じさせるわね。昔の人はどんな想いで打ち出して、振るったんだろう」
「それはもちろん、自らの技術を極めていくためではないでしょうか!」
店主に代わって熱弁を振るったのは水限・千咲(それでも私は生きている・e22183)だった。
「斬ることだけに突き詰めている、だからこそブレがない。迷わずにただ真っ直ぐ前だけを向いて情熱を傾けることができる。そういった魅力に引きこまれたのではないかと。そう、この私のように……!」
興奮気味に話す千咲の言葉は留まることを知らず、あらん限りの言葉を尽くしてその魅力を表現する。
リョウはついていくことができずに苦笑いを浮かべる。一方の店主はその熱意に共感し、何度も相槌を打って千咲を気分よく語らせることに努めた。
「その結晶がここにある刀だとしたら、こうして未来の人達の目を楽しませてることで、幸せを感じてもらえてるのかな」
「少なくとも私は、日本刀を生み出し、育て、今の時代に残してくださった方々には尊敬の念を抱いています。素晴らしいとしか言いようがありません……!」
千咲と店主はすっかり意気投合し、互いに目を合わせて深く頷き合った。
三人より順路の先を進んでいたマーシャは新刀時代の作に目を奪われて足を止めた。
説明書きを熱心に読みふけっていたところを店主に呼び掛けられ、向き直る。
「そちら、お気に召しましたか」
「拙者、鬼神丸国重殿の作が大好きなのでありまする! この時代の代表的な刀工として名前が書かれてるのを見つけましたゆえ」
「斎藤一の持つ刀が彼の作だと言われていますからね」
まさに頭に浮かんでいた名前を言い当てられ、マーシャは興奮気味に身を乗り出した。
「やはり店主殿には気づかれてしまいまするか」
「その装いを見ては間違えようもないでしょう」
全体が浅葱色で袖口は白く、背中には白抜きで誠の一文字。マーシャの羽織は明らかに新撰組をイメージしたものであった。
「刀工の話なら私も混ぜてもらえるかしら。ちょうど水心子正秀の話を聞きたいと思ってたの」
新々刀時代の刀を眺めていたシェラーナ・エーベルージュ(剣の舞姫・e00147)も二人の会話に加わる。一人、また一人と増え、気が付けば店主を中心にして大きな輪が広がっていた。
「日本刀の歴史を語る上では欠かせない人物ですね。彼は衰退の一途をたどっていた日本刀の未来を繋いだ偉人と言えるでしょう」
「自分の技術を書物として残したことは大きな功績よね。門外不出の時代だったでしょうに」
「先のお二人のような刀工の作品が展示できれば、もっとお客様に喜んでいただけるのでしょうが」
「いいんじゃねぇの。あたしは最初から有名な刀とかは興味ねーし」
自虐気味に笑う店主を気遣うように左文字・紗綾(仏血義理蹴流兵炉守・e22096)が口を挟む。
「美術館にあるような刀って、綺麗なのはいいけど価値がありすぎて使えねぇじゃん。やっぱ武器は使えてなんぼだ」
「刀は飾りじゃないものね。強くあってこその美しさよ」
シェラーナもすかさず同意した。
「それに店主さん、こちらのガラスケースに収められた刀、とても素敵に見えるのですが、特別な品ではないのですか」
「拙者も気になっていたでありまする。何やら神秘的なオーラを発する刀剣にござるが、これはもしや!」
畳み掛ける千咲とマーシャの言葉に、店主は気分を直してガラスケースに歩み寄った。
「これは実家の蔵に眠っていた刀でして、所在不明となっている銘刀ではないかと睨んでいるのです」
まさかの名前に店内がどよめく。特に目を見張ったフィーベ・トゥキヤ(地球人のガンスリンガー・e00035)はガラスケースに顔を近づけ、じっくりとその刀身を眺めた。
「それが本当なら歴史的発見やな。このミュージアムの評判も格段に上がるで」
フィーベはさらに詳しい説明を求めるが、確たる証拠は示せていないとの曖昧な返事しか得られなかった。
それでも偽店主の機嫌を損なわないよう、そう思うに至った経緯を興味深く聞き入った。
「こんだけ立派な建物で展示品も金がかかっとるもんなぁ。全国に名が知られるまでもうひと頑張りってところやな」
和やかな雰囲気の中、すっかり気を良くした店主は是非召し上がっていただきたいとケルベロス達をカフェに誘った。
カフェスペースは入り口から最も離れた一角に小上がりの形でつくられていた。
丸いテーブルを囲んで畳に腰を下ろすと、ガラス戸一枚を挟んだ向こうには枯山水が広がる。ケルベロス達は温かい宇治茶を飲みながらしばし歓談に花を咲かせた。
程なくして料理が配膳される。メニューは湯漬けに香の物、冷奴、焼き味噌と質素だったが、現代人の口にあうよう調理されているため、十分に楽しめるものであった。
「地味やけど味はまあまあやな。めったに食えん料理やから観光のついでに食うなら悪くなさそうや」
店主のいない隙を見計らってフィーベがつぶやく。
材料費がかかっていない分、価格も安く、入館料と合わせてもお手頃と見込んでいた。
「まさにこんなお店を待っていたくらいなんだけど、なんで振るわなかったのかしらね」
「結局のところマネジメントの問題やろなぁ。もったいないもったいない」
シェラーナの問い掛けに、ただただ首を振るばかりであった。
食事を終えるとデザートが運ばれてくる。大福餅にあん団子と、こちらも素朴なお菓子が並んだ。
何気なく大福餅に口をつけた紗綾の表情が険しくなる。新しく用意されたお茶をすすり、二口目を頬張った。
(「こっちを前面に押し出せば、もっと人を呼べたのになぁ」)
好みに合うお菓子に思わず気が緩んでしまったことを気づかれないよう、顔の筋肉を強張らせて大福餅を睨み付けた。
「あったかいお茶に甘いお菓子が最高だよぉ。ね、紗綾さんもそう思わない?」
「あ、ああ。悪くはねぇな。うん、食える」
そうとは気づかないカンナは幸せ一杯の笑顔を浮かべてお菓子を完食した。
人心地ついた頃を見計らって店主が顔を覗かせる。大勢の来客を迎え、ミュージアムに肯定的に受け止められたことでことで偽の店主はすっかり満足しきっている様子だった。
「皆様、今日はありがとうございました。お楽しみいただけましたか」
「堪能させていただきました。お料理も細部に手が込んでいて、とても余所では味わうことはできない逸品でした」
折り目正しく頭を下げたリリキスが皆を代表して感想を述べた。
「女性の方にまでそう言っていただけて、ありがたいことです」
「あまり詳しいわけではございませんが、武器という枠組みだけではおさまらない美しさが魅力的だと再確認できました」
見た目からリリキスを女性と判断した店主の勘違いは訂正せずに受け流した。
「ここに来てホントに良かったです! こういうお店がずっと続いてくれるといいですね!」
「そのためには、さらなる魅力を伝えることが不可欠です」
カンナに不敵な笑みを返した偽店主がケルベロス達に背を向ける。
不審に思って追いかけると、ケルベロス達の見ている前でガラスケースを叩き割り、愛刀を握り締めた。
「真に刀の価値を伝えるためには、その切れ味も知っておく必要がある。そうは思いませんか」
刀身のみの存在であった刀はドリームイーターの力を受け、雷を纏う妖刀へと変貌していた。
「それがどんなに価値のある刀でも、つまらない理由で人を斬ってしまえばただの人斬り包丁だよね」
リョウの言葉ももはや耳には入らない様子で下卑た笑い声を上げた。
戦闘開始を悟った紗綾は七天罰刀を頭上に放り投げる。
顔の前で受け止め、刀の鯉口を切った。
「売られた喧嘩は買ってやんよ。あたし等の刃とてめぇの刃、どっちが斬れるか真っ向勝負と行こうじゃねぇか!」
●轟く雷鳴
気勢を上げた紗綾が、いの一番に斬り込んでいく。
真正面から繰り出される神速の突きを偽店主は無抵抗のまま受け止めた。
「あたしの刀を受けても怯まねぇとは、やるじゃねぇか」
「刀傷はむしろ勲章。誇るべきものです」
胸に突き刺さる刀を伝って電撃が流れ込む。
全身を駆け巡る痺れと苦痛に紗綾は床を蹴って飛び退いた。
「次は、私の刀を味わっていただきましょう!」
後を追う偽店主の足に銃弾が撃ち込まれる。視線を向けたドリームイーターにフィーベはあざけるような笑いを浮かべた。
「よそ見しとったらあかんで。もっとも、銃を相手にやりあう覚悟はないかもしれんけどなぁ」
「ふっ、ならばこういうのはどうですか」
笑みを返したドリームイーターが妖刀で自分の胸を貫く。
襲いかかる痛みにフィーベは胸元を押さえる。開いた傷口からは止めどなく血が流れ出ていた。
「店主さんの大事な刀、これ以上、悪いことには使わせないよ!」
一瞬のうちに飛び出したカンナは紗綾に負けず劣らずの速突きで相手の腕を狙い、刀を打ち落とした。
「自分自身を突き刺して無事とは……まさしく妖刀のなせる業……!」
平然とたたずむデウスエクスを他所に千咲は守護星座を描き、二人の傷を癒やした。
緊迫した戦場に突如として鮮やかな華が咲き乱れる。リョウの身体を補う地獄は華へと変化し、魔力を帯びた蝶を呼び寄せた。
「華咲き誇り、蝶舞い踊る、風香り、月が照らす」
蝶はゆらゆらと揺れ動きながらケルベロス達の元に舞い降りる。羽に触れた瞬間、月の光が全身を包み込んだ。
刀を拾い上げた偽店主は再び刀身に雷を集める。雷撃と共に繰り出される袈裟斬りをマーシャは愛刀の苺大福でもって受け止めた。
「三度、刀を振るっても誰一人斬り殺せぬとは。銘刀の名が泣きますね」
「意思なき刀に力は宿らぬでござるよ。ここがお主の往生際でありまする!」
鍔迫り合いを保ったまま、マーシャの身体を覆うオウガメタルが鋼の鬼へと姿を変える。
身動きの出来ないドリームイーターは為す術もなく殴りつけられて横転した。
片手をついて立ち上がろうとする偽店主の前にリリキスが立ちはだかる。両手に握り締めた破壊魔剣は紫色の焔に包まれていた。
それまで見せていた穏やかな表情からは一変し、厳しい目で悪しき敵を見下ろす。
「一方的に奪う立場にあると思わないことですね。奪われる側の苦しみを、この斬撃とともに味わいなさい!」
振り下ろされた鉄塊が妖刀ごと右腕を押しつぶす。
偽の店主は絶叫を上げる。痛み以上に、目の前の光景を受け入れられずにただ叫んでいた。
店主の愛した妖刀は、見るも無残にへし折れていた。酷く取り乱したドリームイーターは半分になった刀身を振り回し、周囲に雷を撒き散らした。
「あなたには泣く資格なんてないのよ。人の心を借り物にして、大切な想いを汚すドリームイーターなんかには」
敵を取り押さえたシェラーナは迷うことなくモザイクを一突きする。狙い澄ました突きは一撃のもとにデウスエクスを葬り去り、その存在を否定した。
後には一振りの刀が残される。傷一つなく元通りに戻った店主の愛刀を見て、リリキスはほっと安堵のため息を付いた。
●同好の士
「そうでしたか。皆さんも、刀がお好きで」
助け出された男性店主は自分の後悔がドリームイーターに利用されていたことに驚いていた。
しかしそれ以上に、刀を愛し、デウスエクスを倒すために役立てているケルベロス達の存在に感激していた。
「刀が潰えるなど、まずもってありえないことです……だって、今もこうして、あなたをお救いする役目を果たしたところなのですからっ!」
力強く断言する千咲の言葉に店主は涙ながらにうなずいた。
「本当に素晴らしいミュージアムでした。ただ、愛好家の方を待つだけでは、経営は難しいのかもしれませんね……」
「みんなと想いを供給できたらもっと素敵なお店になるはずです。わたしも応援しますから、いっしょに考えていきましょう!」
「最初はカフェで人集めするのもいいんじゃねーの。その中からめぼしい相手を引き込んでいけば、まあなんとかなるって」
リリキスの不安に対し、カンナと紗綾が次々と提案を行う。
熱意を受け取った店主は、いつか必ず再建してみせると固く誓った。
「拙者達が最初のお客になるでござるよ! その日を夢見て、もっと刀剣について語り合いましょうぞ!」
「さっきまでの話はドリームイーターが相手だったものね。今度はあなたの口から直接話を聞きたいわ」
店を失い、財産を失った店主だったが、思う存分に語り合える同行の士を得たことで日本刀への想いはむしろ強まっていた。
作者:稀之 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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