「村から人を浚う神隠しの伝承……天神参り、狒々、そして白羽の矢。さまざま名を持つこれらの伝承は良く似てる気がするなぁ」
学者というよりは、物書きめいた男がメモやラフスケッチを手に寒村でうろついていた。
そこは既に過疎化どころか、限界集落と化している。
「村は中世に置いて森の海に閉ざされた閉鎖社会だし、他者が侵入すれば目に付くはずなのに……」
男が足を留めたのは、車一台なら余裕でも二台無理な道、かつて村一番の通路であり動脈だ。
そして他所から来たモノが、荷を降ろす場所でもあった。
「盲点上がるとすれば、奉公の口を訊く行商人。もう一人は盲点というか、今では時代劇で当たり前の様に語られるようになった代官の横暴かな」
村で一番便利な道は、それゆえに面する建物が限られる。
まずは必要な施設、そして金や力を持つ者だ。
男は周囲の建物を眺めた後、『比較的に』立派な建物は数件だけなことに感謝した。
この周囲が目的地である事に間違いは無いし、山里とあって、調べなければならない立派な場所が限られていたからである。
流石に学者でも探偵でもない彼が、調べるには限界があるからだ。
「何か目立つ物はないかなー。証拠なんて無理だろうけど、ネタになるようなのがあれば、面白いんだけど」
男は建物から手近な一件を選ぶと、頭をかきながら歩いて行った。
「お、よしよし! ここから入れ……」
『私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります』
興奮した男が朽ちた土間から入ろうとしたところで、バッタリと崩れ落ちた。
その後ろには、鍵を持った女と、巨大な赤猿が佇んでいたのである。
●
「知っている方もおられると思いますが、興味の感情を奪いそれを核にした怪物型ドリームイーターを暴れさせる事件が起こりました。黒幕たるは『興味』を奪う魔女の様です」
ゆえに倒して欲しいとヘリオライダーの一人、ユエ・シャンティエ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0231)が簡単に解説を始めた。
これまでの判例を巻き物に書き込んでおり、今回限りの地図と資料をメモにして並べていく。
「なお、黒幕は既に立ち去っており、これまでと同じく怪物型を倒せば被害者も元に戻る様です。流石に衰弱したままでしょうが、十分に治療可能な範囲ですね」
ユエはそう告げて、資料と地図を手渡した。
資料には赤い猿が描かれており、どこか歌舞伎に出て来る悪訳か何かの様でもあり、猿と言うよりはむしろオランウータンめいている。
「敵は狒々……赤いオランウータンの姿を真似た、人型をしています。被害者は興味を持った民話を元に、『化け物のフリをした人間』という話を考えていた模様ですね」
ユエの描いた赤猿は、良く見れば猿面で顔を隠し、毛で保護した手甲を付けて居る軽鎧の人間である。
小太りな腹と、下卑た口元、そして随所に隠した小道具は、なるほど人間でなければありえまい。
「この猿は優美な女性や少年に『お前の家に白羽の矢は立ったか?』と聞いてくるので、『違う』と答えれば何もせずに立ち去る事もありますが、今回は意味が無いかもしれません。まあ、襲われる方を特定したいなら別ですが」
ユエはくすりと笑いながらそう言って、もしそのつもりなら、お気を付けてと添えた。
同じ浚うといってもオークなら取り返すチャンスはあるが、こいつはハラワタに食らいつくに違いない。
様式美なのでそれで妖力が増すとも思えないが、食われたら死んでしまうからだ。
「攻撃能力ですが、読心に見える予測力によって先回りしたり、大切なモノを食らったと心を乱してきます」
ユエの話を聞いていると、やはり妖怪じみたモノを感じる。
もしかしたら、被害者が強くそう思っていたからこそ、そんな仕草の能力なのかもしれない。
「いずれにせよ、人々から感情を奪い、作りだした化け物で人を襲うようなことはさせられません。妖怪退治ならぬドリームイーター退治、よろしくお願いしますえ」
ユエはそう言うと、地図や資料を手渡し、軽く頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
文野・丈太郎(ビージェイ・e00055) |
東名阪・綿菓子(怨憎会苦・e00417) |
朝霧・紗奈江(カフェテラスオーナー・e00950) |
ウォーレン・エルチェティン(砂塵の銃士・e03147) |
氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716) |
矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230) |
フェイト・テトラ(くくく騙されましたか僕は美少・e17946) |
リノン・パナケイア(狂気と後悔に苛まれ・e25486) |
●
「この村も終わりだな。いずれ森に飲まれる」
文野・丈太郎(ビージェイ・e00055)は事実を告げる。
山を登る道自体はまだ形を残しているが……殆どの棚田は放棄され、いまだ耕作されているのはホンの数枚だ。
「残ってる奴もいねえんだろう。不幸中の幸いというのもナンだがな」
どうでも良さそ気に呟く丈太郎の言葉に、僅かな陰りが落ちた。
耕作者には家族もおらず、体調を崩せばあっけなく終わりが来る。
そんな限界集落に彼は何を見たのだろうか。
「それでも念の為に封鎖しておきましょう。嵐の度にお年寄りは水路を見回るものですから」
「そうだな」
朝霧・紗奈江(カフェテラスオーナー・e00950)がテープを張って封鎖した後で、近くの樹に飛び乗って周囲を探ると、丈太郎は頷きを返す。
代わりに他の仲間が、紗奈江に声をかける。
「……どうだ、倉に隠れられそうな場所は在りそうか?」
「んー。あるとは思いますけど、敵に見つからずにそこまで行けるかというのは不安ですね。手前で妥協しておいた方が良いかもです」
リノン・パナケイア(狂気と後悔に苛まれ・e25486)が声を小さくして尋ねると、紗奈江はハンドサインを交えながら、幾つか潜める場所を示す。
倉は意外に小さいとはいえ、確かにリノンが希望するような場所はありそうなのだが、位置と時間的に厳しい。
「仕方あるまい。候補の中でフェイトの様子を確認できる場所に隠れるが、任せたぞ」
リノンは手早く判断を決めると、さっそく、仲間達と場所を振り分けながら移動を始める。
「が、頑張るです。いざとなったら僕にはアデルがいるから大丈夫です!」
囮役に志願したフェイト・テトラ(くくく騙されましたか僕は美少・e17946)は、か細く、儚げな笑顔を浮かべた。
とはいえ彼もケルベロス、むざとヤられて薄い本の材料になることもあるまい。
敵は村の主要路に面する、家というには少々大きく屋敷と言うには小さな場所に出るようだ。
村方三役か何かの家だろうと思いながら、めいめいに分散して隠れ始めた。
「しかしこんなところに日本のフォークロアかァ……。俺も興味はあっけれど。少なくとも被害者のその『興味』は、猫を殺すような好奇心って程でもねェ筈だ」
ウォーレン・エルチェティン(砂塵の銃士・e03147)は漆喰の壁に身を隠しながら、決して触らぬよう音を立てぬように心がけた。
彼の様な大人達が物陰に、小さい子達は囮を兼ねて庭から倉を目指す。
「フォークロアって、まあいいか。……変装に何の意味があるんだか分からないけれど、狒々を真似たのは失敗ね」
彼の使った単語へ咄嗟に反能できなかった東名阪・綿菓子(怨憎会苦・e00417)は、倉の扉を開けつつ適当に当たりを付けて話し始めた。
おそらく童話か昔話のことでしょと、知ったかぶり。
「古来より猿神は犬に喰い殺されるのがお決まりだもの、ケルベロスが相手じゃ分が悪いわ」
「しっかし……猿の化け物に扮した人間、ねェ……。ちょいとサトリとかいう化け物まで混ざってる気がすンなァ?」
綿菓子は今回の話の元ネタになった昔話について語り始めたが、さっそく痛い目にあった。
なんとウォーレンは隠れながらも、説によっては詳しく語られてない部分に疑問を覚えたのだ。
「まあ、わたがしが説明するのは簡単なんだけど……そうね、矢武崎さんならどう思う? 正解でなくてもいいわ」
綿菓子は出来るだけクールにふるまうと、咄嗟に他人へ振ることを思い付きました。
これは名案です、わたがしは偉ぶったり博識ぶったりするのが大好きですが、本当に知ってる訳ではありません。
ですが、怪談自体は大好きなので、他の人が迷ってる間に考え付けば良いと思ったのでした。
「未来のことを知ってて予習復習すごかったんだって。でもワンコにはその力が使えないって予習を聞かれてたから、ワンコを連れて来られて退治されちゃったの」
「ど、動物は予知能力があるというものね。でも、それを喋ってしまうのはいただけないわ」
しかし、なんということでしょう! 矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)はスラスラと、よーせいさんに力を借りて解説してしまいました。
綿菓子は内心グヌヌと思いつつも、淡々とお猿さんの評価を述べて誤魔化しました。
「今度はロバの耳かよ? っとそろそろ時間だ、配置に付け」
ウォーレンは女の子のやりとりに微笑みを浮かべながらも、小さな声で何者かが出てきた様子に注意を促した。
そして自身はその方向に意識を研ぎ澄ませつつ、いつでも飛び出せるよう爪先を立てる。
「(皆を困らせる悪者はタマと一緒にやっつけちゃうぞー! とーりゃんせとーりゃんせー!!)」
中庭に直接面した大きな部屋から、大猿が出て来たかのようにも見えます……。
声には出さないものの、莱恵はお猿さんに見えないようガッツポーズを決めて敵を確認するのでした。
●
『グフフ。うまそうな臭いがするわい、これほどの美貌。喰らえば寿命が十年は伸びそうじゃ。じゃが、気を付けようぞ。三つ首の犬どもには知られちゃならぬ、アヒャヒャヒャ』
「……」
大猿のような赤い姿は、踊るように広間から顕れた。
子供達を見つけた赤猿は、ギョロリと向き直る。
『めんこい子らじゃのう……。昨夜昨晩明けたこの朝に、おまえの家へ白羽の矢は立ったか?』
顔を眺め、仮面の下で満足そうに下卑た笑顔を浮かべると質問を発する。
ゆったりと構え直すのだが、最初は寄声を発し、恰好よさそうに振舞うのが滑稽であった。
「のーだ!」
「立ってないわよ(……伝承の真実への興味は魔女に合わなかったのかしら? 魔女のモザイクが晴れるような興味は気になるけど、ひとまず倒すことに集中ね)」
莱恵が断言し、氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)が答えると残念そうに顔をしかめる。
だが、まだまだ生贄らしきの子供達が居るので、我慢してそちらへ顔を向けた。
『それではそなたら、白羽の矢は立ったか?』
「わたがしの家には立っていないわね。あちらの高貴な出自と噂される見目麗しい方へお尋ねになってはどうかしら?」
慣れて来る度に不思議と威厳が増し、まるで代官のお忍び装束に見えて来る。
綿菓子は琵琶を鳴らして首を振るが、思わせぶりに目線を送って儚げな少年に目を向けた。
『白羽の矢は立ったか? 立ったなら可愛がってやろう、そうでないのならば、村に日照りを呼んでやろうぞ!』
「は、はい……そうなのです。一生懸命お勤めするです。だから優しくしてくださいね」
辛抱貯まらん! と言った風情の赤猿。
フェイトはシクシク……と体をよじって儚げなポーズを決めた。
全身で誘惑しつつ、心の中で舌を出しながら……。
堂に行ったその演技、まるで天性の……いやまあ、サッキュバスだから本当に天性なんだけどさ。
「ところで、僕はどっちだと思うのですか? 男の娘? それとも女の子?」
『どっちでも構わーん! 三日三晩可愛がった後に、骨までしゃぶりつくしてやろう!』
うわっ、変態と言う名の紳士だ。
フェイトは苦笑しながらハンドサインで、女神の力で癒しと潤いを増しつつ、隠れて居る大人組みを呼び寄せた。
グハハと迫る脂ギッシュなお猿さんに、エロイ目にあわされたくないもんね。
もっとも、ダンディやワイルドなオジサンだったら良いかと言うと、疑問なのですけれど。
『その言葉を待っていた!』
飛び出した丈太郎は、脳裏に人体の構造を思い浮かべると、意識的に軽鎧を無視した。
するとどうだろう、滑る彼の指が二条の傷痕を創り出し、決して縫合出来ぬ痛んだ傷痕を創り出す。
優れた医術は白にも黒にも転じるのである。
「エッチなのは、いけないとおもいますっ。私がしっかりとやっつけちゃいますので、覚悟してくださいにゃ!」
ここで紗奈江は茅葺の屋根を駆けると、一気に襲いかかった。
条例に違反するような事はさせられないと思ったとか、30以上は守備範囲と言う事に怒った訳でも無いんだからねっ。
十本の指全てから、炎弾を発して炎の花びらを形造りて焼き尽くす!
「やぱりお猿さんね」
「もう大丈夫だからね。変態は撲滅しましょう」
綿菓子は辛辣な表情を浮かべ、かぐらはそう言ってひんむかれたフェイトにコートを掛けつつ、共に紙の兵士でダミーを作り上げた。
見ようによってはちょっとしたハーレム、かえってエロイ気がするが、あまり気にしてはいけない。
●
「奇妙な奴だな。まるでオークだ」
「まあ、ターゲットを固定できるのは助かるがね」
リノンと丈太郎は肩を並べて軽口を言い合うと、頷きあって襲いかかった。
勢い付けたままリノンが回し蹴りを浴びせ、丈太郎は体勢を立て直してナイフを握りしめる。
だが、蹴りはともかく連続でくりだされる刃は巧みにかわされてしまうのだ。
猿の動きは早いと言うが、なかなかの体術。
「見える。見えるそお! その心は憎しみで一杯じゃ。仲間を守ると言うより、わしを殺す為におるのじゃろう? 恐ろしい、おそろしいわい。ゲハハ』
「だからどうした? 俺を知るやつなら当たり前に知ってる事を当てて、アンタは満足か?」
道化が踊るように、赤猿は丈太郎の周囲を踊る。
彼のナイフを避けながら、巧みに言葉の刃で切りつけて居るのだ。
「いっけない。あれ攻撃されてるんじゃない? タマー遊んでないで出番だよー!」
攻撃してた莱恵は、子竜のタマを肩車すると、とことこ走り出した。
実はその時、タマは仲間の治療中、担がれたところでみゃーみゃー抗議の泣き声を挙げる。
タマが遊んでいたのは燕の巣や珊瑚みたいなストラップ……などなど海に関わる長寿の逸話を示す、カグヤ由来の縁起物の力を借りて居たのかもしれない。
「丈太郎兄ちゃんを助けるんだ『行くよ、タマ!融合だぁ~!!』たまたまたまー!」
莱恵が武器を振りまわし、タマは仕方無いので大きな声で啼いて挑発するぞ!
見たか正義の必殺の技だ、怒ってないけど嵐になるぜ!
『おのーれ!』
「貶めることに夢中になるとは、言葉を覚えても所詮は、猿か。……その生命、私が狩り取ろう」
リノンは激昂する敵に対して苦笑すると、掌を天に向けた。
ふっと湧きあがる影が、視線を移した時には既に消え、鎌持つ悪魔と化して襲いかかる!
『おのれおどれらオノーレ、誰が三つ首どもに知らせたか!?』
「誰がも何も、俺が……、いや俺たちがケルベロスだ。ここが年貢の納め時だぜ」
ウォーレンは放っていた火焔を吹き消すと、今度は両手の間に重力を集めた。
ゆっくりと指先同士の間に、静電気ではなく、グラビティの紐が、次第に網と化し顕現する。
「代官相手に年貢の納め時は変か、観念しな、御縄につきやがれ」
「おお、ということはここは、わたしの出番ですかにゃ~♪」
ウォーレンがじゅうりょくで捕縛にかかると、紗奈江は銃を構えて古井戸を蹴って退路を断ちに掛った。
撃ち終わった銃を宙に放ると、片手でカスタマイズした手裏剣構えて追撃態勢に入る。
そして逆手で銃を掴み直す頃には、他の仲間達も包囲網を完成させていた。
「ここまでよ。どこにも逃げ場は無いわ」
かぐらは仲間達の周囲に、ドローンで十重二十重の防御結界を作り上げる。
進むも引くも叶わず攻めるも叶わず、悪徳代官のアヤカシと化した敵の末路やいかに?
それはただ一つである。
●
『こうなれば、貴様の命だけでもしゃぶりつくしてくれるわ!』
「くっ」
おおっと、こいつは往生際が悪い!
かぐらに対して飛びかかろうとした時、仲間達の中には、『くっ殺』を思い浮かべた者もいるかもしれない。
だがしかし、ここで綿菓子が一言!
「ちょっと待ってお猿さん。ここに無防備な男の娘が居るわ」
「そ、そうなのです。攻撃グラビティないのですよ? そっちの子はカラいぞ、こっちの子はあまいゾ、なのですよ……って、ふ、うにゃあ~」
綿菓子はべべべんと琵琶を鳴らしてフェイトの回復を行うとするのだが、突如モジモジ始めた男の娘の表情がとてもエロかった。
仲間のカバーに成功したはずだが、いかなる幻を魅せらているのか、興味が湧いて……来る訳ないでしょ!
と指で自分の目を塞ぎたくなった、塞がないんだけどさ。
「ドリームイーターも好みとかあるのかな? まあいいや、トドメを刺しましょう」
「えとねー。女の裏側知ってる女より、ラシイ演技ができるのは、男だけだって歌舞伎の偉い人が言ってたんだって」
ふーん。
かぐらはナパームを、莱恵は氷をぶつけることにした。
別に男の子に、色気で負けたのが問題ではないのだが、いつになく攻撃が苛烈である。
変態はゆるさない!
「だって、よ。どうする?」
「別にその辺はどうでもいいが、被害者も気になるし、伝統やこういった物語は少々興味深いものだ。さっさと倒してしまう事にしよう」
こういう伝承は嫁さんのが詳しいかねぇ……。と言いつつ、ウォーレンは頷いた。
リノンが放つ凍気に合わせて、雄たけびを挙げる。
『子供たちが理不尽に死ななくて済む世界を創る』ために…行くぜェ、野郎どもォッ!!』
かつて、共に理想を語り合った漢たちが居た。
夢だと判っちゃいるが、それでもなお理想に手を伸ばそうとあがいた漢たちだ。
男達の夢は世界の理不尽に対する逆転の一撃。
思い出は焼けついた砂漠の風と共に現われ、無数の銃声が砂塵の中に木霊する。
『桜の花のひとひら達は、風に舞う火の粉の様に舞い、やがて一つに集まり、そして、全てを焼き尽くさんとす…朝霧流螺旋忍術、桜花炎舞!』
紗奈江は再び火焔の桜花を呼び寄せた。
十の指より放つ炎が、孤を描いて赤猿に殺到する。
『わ、我ら結べば、世界も、その……手……、その為には一時裏切るも、仕方無いよのう?』
「要らねえよ。とっとと失せろ」
丈太郎は掛けられた言葉に、欠片の興味なく絶命させた。
大切なモノを蘇らせると大言壮語を吐けば考えたのか? いいや、そんな言葉は待っていない。
権力者らしい言葉をハナで笑い、何でもかんでも、てめェらの思い道理に行くと思うなよ? とだけ。
「しかし過去にこの村で何があったのか、私もとっても気になりますにゃ~? 少し調べてみようかにゃ?」
「……まァ、犯人の痕跡とかが偶然見付かったら儲けモンだな」
紗奈江の言葉にウォーレンが頷いて、周囲を捜索。
「じゃあこっちで介抱しとくわ。お礼をねだるのもなんだけど、これから書こうとしている小説のお話を聞きたいわ」
「聞けるものなら拝聴しよう。話が聞ければよし、聞けなくても仕方がないだろう」
綿菓子たちが周辺の修復を終えて被害者を捜索すると、リノン達もそれに続く。
中世にもケルベロスのような、マレビト達が織り成す浪漫があったのではと、ワイワイ言いながら愉しい話を聞きに向かった。
作者:baron |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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