使われなくなって久しい廃校舎の一室にその夜は珍しく、ぼんやりとした明かりが灯っていた。
しかし鬱蒼とした木々に囲まれるその建物の些細な変化に気づくものは一人たりともいなかった。
そんな廃校舎の一室で、蝋燭の明かりだけを頼りにもくもくと作業をこなす一人の少女がいた。
机も椅子もない広々とした教室の床に白いチョークで描かれた奇妙な紋章。
その端々に一つずつ蝋燭を置いた少女は額に浮いた汗を拭う。
「これでいいはず……」
息を呑み、震える手で少女は古い手帳を開く。
何度も読み返され、癖がついているのか目的のページを一瞬で開いた少女はそこに記された言葉を確かめるように読み上げる。
「廃校舎の怪談、ミミズク様は一つだけどんな願いも叶えてくれる。呼び出すには廃校舎の教室に陣を描き、名前を三度呼び、どうぞおいでくださいと続け頭を下げること。そうして現れたミミズク様の出す質問に正しい答えを返すこと……」
読み終えると手帳を閉じ少女は目を閉じて深呼吸を三回、カラカラに乾いたのどを唾を飲み湿らせ、ゆっくりと口を開こうとした瞬間、彼女しかいないはずの部屋に、足音が響いた。
慌てて少女が目を開いた時には、もう遅かった。少女の瞳に映るのは自分の胸から生えた大きな鍵の先端だけ。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの興味にとても興味があります」
教室に響いたその声を聞く者は居らず、木製の床に少女の体が力なく横たわると、変わりに陣から立ち上がる人影が一つ。
それは少女を一瞥すると、すぅっと校舎の闇へと消えていった。
「皆さんには叶えたい願い事はありますか? どんなことをしてでも、どんな代償を払ってでも叶えたい切実な願いがあるでしょうか?」
生けるパーフェクトであるニアにはそんな願いはあり得ませんけれどもね、とニア・シャッテン(サキュバスのヘリオライダー・en0089)はクスクスと笑いながらケルベロス達を出迎える。
「先日はどうもお疲れ様でした、皆さんの息抜きにもなっていたなら幸いですよ。
さて、休む間もなくお仕事ということで申し訳ないのですけど、奪われた興味からドリームイーターが生み出される事件が起こっていまして、周辺に被害が出る前にこのドリームイーターを始末してきてほしい、というわけです」
ニアは申し訳なさそうな顔をしつつ、頭を下げ、両の手を合わせて上目遣いにケルベロス達の様子を伺う。
「む、いってくれますか、それはよかったです、ではでは早速詳しい説明に入りましょうか」
彼らがが何か言葉を返すよりも早くニアはそう切り出して、強引に話をすす始める。その様子にケルベロス達は苦笑しつつも彼女の言葉に耳を傾けた。
「今回敵が現れたのは、過疎地にある学校の旧校舎内部のです。あちらに到着するのは深夜ですし一般人が巻き込まれる心配はあまりしなくてもいいでしょう。ただ、犠牲者となった少女が校内で意識を失っているはずなので校舎を倒壊させるとかはやめましょうね?」
さすがにそんなことにはならないと思いますけどね? と笑いながらニアは続ける。
「で、今回実体化したドリームイーターは、この学校に伝わる七不思議、ミミズク様とやらを模しているようです」
ニアの説明によれば、ミミズク様は一定の手順を踏んで呼び出した後、ミミズク様の問いかけに正確な答えを返せれば願いを一つかなえ、間違った答えを返すと呼び出したものの命を奪ってしまうと、という内容の怪談らしい。
「問いかけに関しての詳しい内容は後でこちらから送っておきますね。戦闘能力に関してですが、風を操ったり不可視の力で攻撃を妨げる等、オカルトテイストな戦い方をしてくるようですね。中身自体はただのドリームイーターなのでその場の雰囲気に飲まれないよう気をつけてください」
端末を操作し、必要な情報をケルベロス達に送信したニアはいい事を思いついたとばかりにフフっと笑い、ケルベロス達に声をかける。
「よくある怪談の一つであれば笑い話ですみますが、実際に被害が出るとなれば話は別です。速やかに排除して変に廃校舎に人が寄らないようにしましょう。他に、本物が出てこられてもこまりますからねぇ?」
参加者 | |
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フェアラート・レブル(ベトレイヤー・e00405) |
橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125) |
八江・國綱(もののふ童子・e01696) |
池・千里子(総州十角流・e08609) |
四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129) |
御影・有理(書院管理人・e14635) |
ヒストリア・レーヴン(鳥籠の騎士・e24846) |
エルガー・シュルト(クルースニク・e30126) |
●
長年手入れのされていない古い木造の廃校舎は、強い風が吹けば今にも倒れてしまいそうな、頼りのない風貌であったが、反面その不気味さは真新しい建物のそれとは比較にならない。
電気も通っていない校舎内は薄暗く、夜ともなれば月の明かりも届かない。
何の変哲もない廊下ですら、静かで誰もいない、それだけのことで、普段とはまるで違う、異世界に紛れ込んでしまったかのような錯覚を覚えさせられる。
そんな異界のごとき廃校舎の一階、昔はさぞ大所帯であったことが伺える広い職員室内には点々と明かりが灯っていた。
「廃校舎の怪談ミミズク様、ですか……」
「なんでも、どんな願いでも叶えてくれると聴いた。まるで神様みたいな存在だな」
部屋の中を歩きながら、四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129)と御影・有理(書院管理人・e14635)の二人は、この廃校舎に伝わる一つの怪談について言葉を交わしながら、職員室から繋がる給湯室や校長室に続く扉を施錠していく。
「ほう、どんな願いでも? ……興味深い、ぜひお目にかかりたいものだ」
入り口から外を伺っていたエルガー・シュルト(クルースニク・e30126)は二人の言葉にそう返しながらもその表情に変化はなく、視線は真っ暗な廊下の奥へと向けられている。
元来、感情を表にだすのが苦手なのか、或いは本心では興味がないのか、伺い知れぬことではあったが、そんなエルガーの言葉を橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125)が拾った。
「願いを叶えるミミズク様、ね。大金持ちになりたいとか贅沢は言わないけど、クイズに答えたらハワイ旅行とか貰えたりしないかな」
ほんとうにいるならね、とでも続けたそうに芍薬は口の端を歪め、エルガーとは対照的に露骨に噂を小ばかにしたような笑みを浮かべた。
「ただし、呼び出したミミズク様の問いかけに正確な答えを返す必要があるのだがな。間違えば命がとられる、なんともハイリスクな賭けだ」
フェアラート・レブル(ベトレイヤー・e00405)は噂を補足しすると、ため息を一つ吐いてさらに続ける。
「死と知恵の象徴たるフクロウにかけたそれらしい怪談ではあるが……今の子供達でもこういったものを案外信じるのだな」
そういった話に縁のなかったフェアラートは噂の成り立ちや、それが今まで続いているという事実に少しだけ関心を見せつつ、ふと端末に目をやる。時刻はちょうど二時、草木も眠る丑三つ時だ。
「私が通う学校にもそういった怪談があるし、そこそこ認知はされているが……信じているかといわれると怪しいだろう。現実に会いたいと思うものもいないだろうしな」
「そういったうまい話には、大抵裏があるものだからな」
職員室内に放置されていた机や、椅子、棚や細かな備品を部屋の端や廊下へと運びつつ、池・千里子(総州十角流・e08609)と八江・國綱(もののふ童子・e01696)もやや懐疑的な口調で話しながらも、そのミミズク様を呼び出すための準備に余念はない。
「こんな時間に、こんな場所まできて怪しげな儀式までする必要があるんだ、願い事の一つくらい叶えてもらわないと割に合わない」
斜に構えたように喋りながら、ヒストリア・レーヴン(鳥籠の騎士・e24846)はスペースの開いた床へと不可思議な幾何学模様をチョークで描いていく。口調とは裏腹に、その顔には悪戯っぽい笑みを浮かべ、淀みなくチョークを滑らせていく。
「ざっと、こんなところか」
最後の線を書き足し、蝋燭に火を点すと薄暗い職員室の中に、生ぬるく重苦しい、嫌な空気が漂い始めたような、そんな錯覚をうける。
ケルベロス達はその陣からやや離れ、千里子が一人その正面に立つ。
「ミミズク様、ミミズク様、ミミズク様」
しんと静まり返る部屋の中ゆっくり、はっきりと紡がれる声だけが響き、風もないのに蝋燭の炎が不気味に揺らめく。
「どうぞおいでください」
千里子が頭を下げた瞬間、音もなく蝋燭の火が消えた。
●
その場にいた誰もが、その瞬間、肌があわ立つような感覚を覚える。急激に周囲の気温が下がったような、そんな感覚。
暗がりの中、それは音も気配もさせずに現れる。
「定命の身に余る力求め、この私を呼ぶはそなた等か」
ボロ布のような外套を被り、その奥から雑音の混じる、人らしからぬ声で喋るそれこそがおそらく、ミミズク様、その模倣のドリームイーター。
「ミミズクとは鳴き、聞きし者。故に私はそなた等に問い、願いを叶える」
ミミズク様の言葉に、ケルベロス達は揃い息を呑む。目の前のモノが普段から対峙するデウスエクスとなんら変わりないものだと判っていても、この廃校舎という場所と、時間帯、そして不気味な闇が、じわじわとその心を蝕む。
「私はあなたのもの。
しかし私はあなたによって作られたものではない。
そして私はあなたよりも、もっと他の多くの人に使われる。
私がいなくなれば世界はきっと混沌に満ちるだろう。
さて、私はだれだろう?」
淡々と読み上げられる問い。
最後の言葉が虚空へ消え、ミミズク様は視線を滑らすかのように首を軽く動かす。
しばしの間、ケルベロス達はただ黙し、互いに視線を交わす。
答えを間違えたところで相手は得体の知れない化け物ではなく、確実とはいえなくとも十分に戦って勝てる相手だと頭ではわかっていても、間違えれば死が待つという怪談が頭をチラつき、ほんの少しだけ息を呑む。
「答えを」
短く発せられた言葉が、タイムリミットを継げる。千里と芍薬、二人は視線を交わし、ゆっくりと頷くと同時に答えを口にする。
「名前」
ミミズク様は黙ったまま、動かない。息の詰まりそうな空気に、たまらず千里が口を開く。
「名前は自分のものだけど……自分でつくっていない……そして名前は自分より他人の方が使う……」
「そして名前がなければ、誰かを呼ぶことも、何かを伝えることもままならない、違うかしら?」
芍薬が千里の言葉を継ぐように言い終えると、ミミズク様はゆっくりと一歩前に進み出る。
「よかろう」
外套の下、鋭い嘴を閉じたままミミズク様は喋る。
「名とは言霊、そのモノを縛る。私は名づけられ縛られた、問い、聞くものとして。故に願いを聞き入れよう」
千里が振り返ると、芍薬は方を竦め首を振った。
願う権利を譲られた千里は、着物の裾をぎゅっと掴み、深く呼吸を繰り返す。
やがて、震える声で願いを告げる。
「おかあさんとおとうさんを生き返らせて……」
叶うわけがないと頭ではわかってまたも、もしもという、僅かな奇跡にすがる少女の願いを、それは聞き入れた。
「確かに聞き届けた」
闇になれた千里の視界を眩い光が焼いた。
●
教室の中央で突如千里が倒れる。
ケルベロス達の反応は早かった。
芍薬が千里の体を抱きとめ、ヒストリアの握る槍の穂先がミミズク様の首元に突きつけられる。
そして、千里を庇うように前に踏み出した千里子は寸止めなどということはせず、拳をミミズク様の体に直接叩きつける。
外套に包まれた体を力の限り殴りつけても不思議と手応えはなく、暖簾を掻き分けるかの様にぶわりと開かれた外套の奥には、不確かなモザイクがより固まった不可思議な胴があるだけで、拳はそれをあっさりと貫いていた。
うろ覚えの子供の落書きのようなそのドリームイーターにケルベロス達は一瞬眉を顰めるが、臨戦態勢を崩すことはない。
「千里に何をした?」
押し殺した声で有理が聞くと、ミミズク様は当然とでも言いたげに答えを返す。
「願いを叶えた。その者は今自らの望む世界、望む時、望む自分を夢の中で生きている、どんな願いでも叶う楽園にいる」
自らの力を誇るように語る彼に対し、ケルベロス達の反応は対極的に冷ややかだ。
「所詮紛い物だな」
呟き、エルガーは窓を背にするように立ち敵の退路を断つように包囲を固める。
入り口であり出口であるドアの前には國綱が立ち、もはやミミズク様に逃げ場はない、だが彼は慌てるそぶりも見せず、ただその場に佇んでいる。
だが、芍薬が千里の眠りを覚まそうとその手を伸ばしたところで、驚いたように声を上げる。
「その娘の夢を覚ますというのか?」
「当たり前でしょ、こんなしょうもないインチキ続けたって何の意味もないわ」
「望むモノ全てがある世界から引き戻すのか? それはあまりに酷というもの。夢と現、いかな違いがある? 覚めることのない眠りはその者にとって現実と変わることはない」
淡々と喋り続けるミミズク様の喉元に突きつけられていた穂先が、軽く沈む。
「では、残された者はどうする? この現実に残される者達も皆眠らせるなどという戯言を口にする気か?」
ただ一人の愛すべき者の事を思うヒストリアの問いかけに、ミミズク様は答えを返さない。
その間に、千里は芍薬の手により目を覚ます。
穏やかだったその顔は、目覚め全てが夢であったと気づくと、凍りつき涙すらも浮かぶことはない。
「愚かな者達だ……現実などという言霊に縛られる悲しき者達よ」
その様子に、心痛めるかの様な言葉を吐くミミズク様の言葉は、しかし、この場の誰にも届かない。
ゆらりと、立ち上がる千里の目は冷たく、彼女は誰にともなく呟く。
「叶えられないの……? やっぱり千鬼に頼まないとダメみたいだね……」
その手に握られる一振りの刀。
「……いいや……お前は、使えない……じゃあね……」
彼女は自らの背丈ほどもあるそれを振り上げ、躊躇いなく振り下ろす。
●
目深に被られたフードが切り裂かれ、その下から現れるのは嘴と羽角だけ。
胴体と同じく顔があるべき場所にあるのは奇怪なモザイクの塊だけだ。
少女の興味、想像の及ぶ部分だけを借りて作られたその不確かな存在には痛覚というものも存在しないのか、頭部と思しき場所を真っ二つに割られたところで意に介した様子もない。
ヒストリアの槍が胸を貫き、芍薬の振るう拳に体を打たれ様とも、その体からモザイクが剥がれ落ちるばかりで、声一つ上げることはない。
「拒むのなら何故人は私は名付けた。救われたい者がいるからこそ、私は作られたのだ」
彼を中心に、強烈な突風が吹き荒れる。
飛ばされそうになる千里の軽い体を千里子が受け止め、ヒストリアの体をリィクが支える。
「お前が本物なら、な」
風が止み、千里子は千里の体を下ろし、拳を構える。
「今宵、この場において、正しい答えはひとつだけだ。お前は不確かな噂同様に、すぐにこの世から消え失せる。
――それが私の望みだ」
突風により引き離された間合いが一瞬で縮む。踏み込み、軋む床板の音を置いて、彼女の拳が再びミミズク様の体を貫く。
やはりはっきりとした手応えはない。
だが傷口を塞ぐように周囲から寄り集まり穴を塞ぐモザイクの動きは確実に緩慢になっている。攻撃に効果がないわけではない、麻酔を打ったところで体が傷つくのとそう大差はないのだ。
「少なくとも私の願いを叶えるのに、お前の力は必要ない。安心して死の象徴となれ」
フェアラートの放つ無数の弾丸がミミズク様の体を突き抜け、古い校舎の床板を打ち抜く。
治癒する先から穴だらけにされ、足を止めたミミズク様が肘から先だけの鳥のような細い鍵爪を振るうと、無数の銃弾は彼の目の前で停止して、次々に地に落ちていく。
その死角から奇襲気味に有理の放った蹴りも同様、不可視の何かに受け止められる。ただ、そこに何かがあるとわかってしまえば、対処はそう難しくない。
フェアラートと有理の攻撃からその存在を見抜いた國綱が拳を振りぬく。
拳の先に何かが、当たる感覚。拳を押しとどめようとするそれを明確に意識し、國綱はもう一度拳を叩きつける。
陶器の割れるような音と共に、國綱の拳がミミズク様の体を捉える。
「エルガー殿」
有理に名を呼ばれ、その意図を察したエルガーは動く。
具現化された黒太陽から放たれる黒光は、微かな室内の明かりすらも飲み込み、闇の内へとミミズク様の姿を沈める。
「悟れ、己が望みを。飢えに血肉を、渇きに水を、獣に知恵を、人に生命を。喰らえ、さらば満たされん」
その闇ごと敵を喰らうべく、呼び出される幻影の竜。有理の操るそれが大きな口を開け、闇を一飲みにする。
晴れた闇の後に、大部分のモザイクを失ったミミズク様の体が現れる。胸元から腰までの殆どのモザイクを失い、浮くように存在するそれは、それでも意に介した様子はなく、使命にだけ縋りそこにある。
「私は、願いを、聞き届けねば」
言葉とともにその体を覆うモザイクが波打ち、そこに何かを映し出す。
直視したものの記憶の奥底、その根源に眠る願いを映し出す鏡。
見るだけでも辛いものもいるだろう、ましてや触れる事など考えくもないそれに対し、フェアラートは躊躇なく踏み込む。
「そんなもので止まるなどと思うな」
フェアラートが薄いオーラの膜越しにみるミミズク様の姿は、先程までと何も変わらない。
精神を具現化した一振りの刀を構えフェアラートは床を蹴る。
一瞬の交差、刃はミミズク様の頭部を貫き、ふっと掻き消える、それにあわせるかのように、かろうじて形を保っていたモザイクは溶ける様に消えていき、ボロボロの外套だけが音を立ててその場に残された。
●
戦いが終り、もしかすると来る前よりも綺麗になった廃校舎をケルベロス達は後にする。
國綱の背には被害者の少女が背負われ、穏やかな寝息を立てている。
意識が戻っていないというわけではない。
倒れていた三階の教室で千里子の治療によって少女は一度は目を覚ま、事情説明を聞き、ケルベロス達に迷惑をかけてしまったことを謝罪し、二度と廃校舎に近寄ることがないように誓った。
その後、戦闘場所となった職員室の片づけを待つ間に再び少女は眠ってしまっていたのだ。
遅い時間な上に、色々なことがあって疲れたのだろう、ケルベロス達は彼女を起こすことはせず、そのまま親元まで届けることにした
近くを流れる川には海までたどりつくことなく、岸にかかった灯篭が不気味に揺れている。
盆の終わり、死者を送るその日に少女が何を願おうとしたのか。
ケルベロス達は何も言わず、ただ、夜道をゆっくりと歩いていく。
生ぬるい風がただゆるゆると吹いていた。
作者:雨乃香 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 0
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