●阿修羅クワガタさん事件
深い森の道なき道。エクスガンナーの捜索隊が探し求めているのは阿修羅クワガタさん、そして奪われた中枢コアとグラビティタンクである。
丁寧に、というよりは執拗に、痕跡を探す捜索隊を率いているのはエクスガンナー・イオータ。黒髪の、まだ若い風貌を印象付けるのは、表情の希薄な紅い瞳か。
「……襲撃者?」
急を告げる連絡に、部隊の先頭を歩んでいたイオータの足が止まる。
「詳細を流してくれドクター。戻りながら聞く」
表情を変えぬままイオータは指先を動かし、捜索部隊から4体ほどの実験機エクスガンナー・ゼータを呼び寄せた。本拠地グランネロスの異変は捨ておけない。様子を見るべく踵を返す。
「追跡続行。痕跡と思しきものはすべて持ち帰れ」
抑揚のない低い声がそう命じると、場に残ったゼータたちはプログラムされた通りに敬礼で答えた。
●グランネロス攻略作戦
「ダモクレスの移動拠点『グランネロス』が襲撃された。襲撃者は阿修羅クワガタさんと気のいい仲間達。ローカスト・ウォーを生き延びたローカスト達だよ」
ヘリオライダー、安齋・光弦が至って真面目な顔で説明を始めた。
モニターに映し出されているのが、襲撃されたグランネロスだった。この移動拠点の正体は、全長50mの巨大ダモクレスである。
「このダもクレスの内部を拠点としているのは『エクスガンナーシリーズ』って呼ばれてるダモクレスたちらしい。阿修羅クワガタさんは彼らが蓄えていたグラビティ・チェインを狙ってグランネロスを強襲、中枢コアとグラビティタンクを奪って逃走した」
自分たちより弱い存在である人間を襲うのではなく、同じデウスエクスであるダモクレスを襲うあたりがナイスガイである。
が、当然エクスガンナーたちが指をくわえてそれを見過ごすわけがない。
拠点には最低限の戦力のみを残し、全軍をあげて阿修羅クワガタさんたちの追撃に出た。
「つまり今、グランネロスは非常に手薄になっているわけだ。絶好の突入チャンスなんだよ」
ここに、ケルベロスによるグランネロス攻略作戦が立案されたのである。
「メインの襲撃部隊は30人のケルベロスで構成される予定だけど、グランネロスに突入したことが伝わってしまえば、阿修羅クワガタさんの追撃に出ている主力エクスガンナーたちが戻ってきてしまう。君たちには彼らの足止めをして、主力部隊がグランネロスを陥落させるまでの時間を稼いで貰いたいんだ」
グランネロス制圧までの時間を稼ぐことが出来れば、この作戦を確実に成功させることが出来るだろう。
●エクスガンナー・イオータ
「君たちが相手にするのは、精鋭のエクスガンナーに加えてその配下数体で構成された部隊だ。とにかくまずは、彼らをグランネロスに向かわせないことを念頭に置いて欲しい」
無理な撃破を狙い、万が一にも敗北すれば、部隊はそのままグランネロスの護りとして合流する。当然敵戦力が増え、突入部隊のケルベロスたちが不利になってしまう。
「君たちが相手をするのは『エクスガンナー・イオータ』と、その配下のエクスガンナーゼータが4体。イオータは収集したデータを元に実践的な戦い方をするタイプらしい。冷静に君たちの戦力を分析し、最も効率的な攻撃を仕掛けてくるだろう」
戦いは、グランネロス襲撃から10分ほど経過した時点で開始されると予測されている。
「7分、これが最低ライン。グランネロスの攻略が順調にいけば、の話だけどね。とにかくまずはイオータを7分以上足止めできれば、君たちの役割は果たせる。グランネロス陥落まで足止めできれば理想だけど、戦況によっては無理をせずに撤退を。そのへんの線引きは任せるよ」
目的は敵の個別撃破ではなく、戦力分断のための足止めであることをもう一度強調した上で、光弦が付け足した。
「これはまだ未確認の情報なんだけど、移動拠点グランネロスは戦闘形態に変形する可能性がある、っていうんだ。状況によっては、君たちにもグランネロス攻略部隊の支援に向かってもらうことになるかも知れない。難しい任務だけど、決して無理をせずに作戦を遂行出来るように頑張ってね」
参加者 | |
---|---|
秋草・零斗(螺旋執事・e00439) |
サフィーナ・ファイアワークス(菊牡丹の双華・e00913) |
オーフェ・クフェロン(人類好きの人形・e02657) |
フォルトゥナ・コリス(運命の輪・e07602) |
リリーナ・モーガン(グリッター家令嬢お世話役・e08841) |
レイン・プラング(解析屋・e23893) |
オランジェット・カズラヴァ(黎明の戦乙女・e24607) |
島・笠元二(悪役勉強中・e26410) |
●エクスガンナー・イオータ
『……続けてくれドクター。一体何者がグランネロスを襲った?』
何事か連絡を取り合いながら移動するダモクレスたちの姿を認めても、ケルベロスたちは駆ける足を止めなかった。
目的はまず、敵の足止めである。万が一にも擦り抜けさせるわけにはいかない。中央で会話を続ける若い男性型が、エクスガンナー・イオータであろう。ということは、その周囲を取り巻く4体同じ機体が、エクスガンナーゼータである。
「とにかく、まずは……」
菊花と牡丹を散らした漆黒の髪を揺らして走るサフィーナ・ファイアワークス(菊牡丹の双華・e00913)が片腕を伸ばして敵に狙いを定める。そのサフィーナには瓜二つの影、ビハインドのカミヒメが添う。
「急ぎ足のお兄さん達にガツンとやって、こちらを振り向かせて差し上げましょうということですね!」
心得たとばかり輝く巨大な鎌を振りかぶるのは、フォルトゥナ・コリス(運命の輪・e07602)。彼女たちが狙うのは、もっとも攻撃的な位置で周囲を警戒し来る敵を叩く役目を担っているのだろうゼータである。
「承知しました、支援致します。サフィーナ様、フォルトゥナ様」
秋草・零斗(螺旋執事・e00439)の見立てでは、攻撃特化の位置に布陣するのは、2体。ならば己は、よりイオータの近くに布陣する2体を絡めとろうと、サフィーナ達とは逆位置に跳んで縛霊手を構える。3人がほぼ同時に攻撃を開始するとドウッと光弾と衝撃が走り、イオータたちの一団を押し包んだ。
『……!? 人間? いや……』
移動の足を止め、咄嗟に両腕でガードを固めたイオータの赤い目が素早く『敵』を見定める。
『……番犬、か』
「おーっほっほっほ! そんなに急いでどちらへ行くのかしら? この私がお邪魔して差し上げてよ! お勉強で学んだ悪役道、見せてあげるわよ!」
島・笠元二(悪役勉強中・e26410)が高らかに笑う隣で、オーフェ・クフェロン(人類好きの人形・e02657)が前に出る。
「初手ではございますが、奥の手をお出ししますわ」
そう言ってオーフェが右腕に纏うのは、無骨なまでに巨大な大砲。
「障壁を展開」
彼女の身の丈を越えるほどのそれを完璧に制御し、エネルギー障壁を撃ち出して仲間の守りを固めていく。
『前に出ている奴らを叩け。お前たちは後続の足止めを』
先制攻撃にもイオータには動じた様子は見えなかった。あるいは、そういう風に制御されているだけなのかも知れない。砲を構えた2体のゼータは指示に従い最前へ出、残る2体はその後ろへついた。イオータ自身は最後衛に下がり、様子を見るつもりなのかじっと目を凝らしている。
「私たちと布陣が似ている……まともに構えてくれるなら、逃げられる心配はなくなりますね」
相手の位置取りとイオータの様子に気を配りつつ、レイン・プラング(解析屋・e23893)が状況解析に努める。最前の2体は攻撃特化、その後ろは自分と同じく妨害型なのではと分析した上で、身構える。そのレインより更に引いた位置からリリーナ・モーガン(グリッター家令嬢お世話役・e08841)が戦場を見渡した。イオータはリリーナとほぼ同じくらいに引いて奥に位置どっているが。
「……まさか、配下ロボを回復しながら戦う? そんな戦術とは思えませんわね。こちらを狙い撃って来る気なのでしょう?」
「恐らく、そうなのですね……こちらも、一歩も引きませんとも……撃ち合いなら望むところです……!」
どこか挑発的とも思えるリリーナの言葉に、オランジェット・カズラヴァ(黎明の戦乙女・e24607)がそう応じたのとほぼ同時、最奥からエネルギー光弾が発射された。イオータの攻撃、それを追うように、前線の2体が一斉にガトリングを放ち始める。
「カタナ!」
「防御を!」
ケルベロスたちの固い防御陣が展開される。イオータたちを逃がさないよう、細かく距離を分けて動きを抑えつつ、今回の作戦では守りに重きを置いている。直撃を避け、仲間への被弾をさせまいとサーヴァントたちが身を呈して躍る。
『第二射、放て』
弾幕の落ち着くより先にイオータの指示が飛び、今度は爆炎の弾丸がケルベロスたちに降り注ぐ。その連射を立て続けに叩き落とすサフィーナ。
「っ、流石精鋭なだけはあるね……! ……危ない!」
自身を顧みずサフィーナが後ろに逸れた一発の行方を視線で追えば、禍々しい色の爆炎は笠元二を取り巻いた!
「きゃあぁッ!」
「島様っ!」
リリーナが思わず叫ぶ。駆け寄りたい気持ちを抑え、レインはあくまでも冷静に戦況を解析し、仲間たちにそれを伝えていく。
「射程はかなり広い、連射の精度もかなりのものです―――データリンクします」
オーフェの撒いた障壁のおかげで直撃は回避できた笠元二が、痛みに耐えて必死に前を向く。
「この、この私のお邪魔をしようだなんて……っ、ただでは済まさないわよ!」
強がり半分でも屈さない姿勢が、仲間たちを安堵させる。即座にリリーナが笠元二の治療に当たった。
「癒せ、邪竜を喰らう薬師蛇。その身を賭して、杯に生命を満たせ……!」
圧縮転換されたグラビティ・チェインが、炎に焼かれた箇所を鎮火する。
「おーっほっほっ、復活よ! 悪役は何度でも蘇るもの!」
元気いっぱい、と言うわけでは決してないが、それ以上に元気に見せるのは、笠元二の才能と言えよう。
『そう簡単ではない、か……だが番犬ども、何を狙う』
軽くひと当たりしただけで、ケルベロス部隊がどうやら本気で食いついて来ているのだと覚ったらしいイオータは即座に思考を巡らせる。
その間を与えまいとオランジェットが構えた。鮮やかな、燃える夕焼けの色の髪に華やかな戦乙女の装束を纏い、先の言葉の通りに真っ向からイオータを狙い撃つつもりである。
「ジャイアントキリング・ブリューナク!」
オランジェットの伝承合一術式に合わせ、ゲシュタルトグレイブから放たれた一撃はイオータの眼前で分裂し、突き刺さる。攻撃を受けても苦痛の様子はその表情からは伺い知れない。
『……いずれにせよ、倒さねば動けないか。いいだろう。マキナクロスに弓引く者は誰であろうと容赦はしない』
「いいですよ、こっちだって引く気はない!」
言うやフォルトゥナが翻した鎌を引き寄せる。革命的に輝く黄金の鎌と鎚を胸に抱き、幽界から召喚されるは大聖翼賛隊。
「起てよ、起て、誓約の騎士よ!」
戦いは接近戦と遠隔射撃、双方が交錯する乱戦へと様相を変えていく。
イオータは正確そのものの狙いで、ケルベロスたちに積極的に攻撃を仕掛けてきた。しかし、望むほどの損壊を与えられていないことにすぐさま気づく。
『……こちらのデータをある程度、事前に掴んでいたのか』
オーフェは巧みに冷凍光線の接触面を減らし、ダメージを軽減する。
「エクスガンナー……興味があります。あなた方の統率と、戦闘思想に」
笑みさえ浮かべてオーフェが煽るが、イオータは相変わらず表情を変えない。
作戦は首尾よく運んでいると言えたが、敵の火力は決して侮れるものではなかった。
爆炎弾の連射の中で、零斗のライドキャリバー・カタナが直撃を受け続け、土煙を一度上げて抵抗しつつその姿を消した。一瞬それに気を取られた零斗もまた標的とされるも、仲間の壁となる位置に穴を開けるわけにはいかぬと、涼しい顔をして言い放つ。
「なかなか派手にやってくれますねえ。こう来られると、遣り甲斐も有るものです」
『……、……』
オルトロスのアーサーが入れ替わりに防御の布陣で走り回る間に、主であるリリーナが零斗を癒す。
「私の全霊をもって、皆さんをお守りします」
こう見えて、焦れているのかも知れない。イオータは顎先でゼータたちを示してこんなことを言った。
『受けてヒールの繰り返し、いつまで続ける気だ。今のままではこいつらは削れても、俺は倒せないぞ』
その通りだ。だがそれでいい、とレインが内心に思う。欲しいのは時間だ。イオータさえここに釘付けにしておければ。魂胆は読まれているのだろうが、イオータがこうして対峙している時点で、足止め作戦は半ば成功している。
『ならば、数を撃って弱いところを探るまで』
イオータが両手にバスターライフルを構える。ここからは、根競べだった。
「その攻撃は通さないよ!」
サフィーナが叫び、オーフェ、零斗も身を投げ出して仲間を守る。
膠着状態をまず破ったのは、フォルトゥナの鎌のひと振り。最前衛でケルベロスたちの体力を削ろうと熱を発し狂ったように連射を繰り返していたゼータの頭部が、ゴトリと地に落ちた。
「とった! 次!」
「残念ですが……貴方達はここまでです……!」
次いでオランジェットの古代魔法が発した光線が、たて続けにゼータを崩した。しかし前衛が消えたからとて、敵戦線はすぐには崩壊しなかった。中衛に位置していた2体は布陣を変えず、黙々と連射を続ける。
『回復する時を与えるな、撃ち続けろ』
冷酷、と言うより、現状で至れる最良の結果への最短距離を常に探るようなイオータの戦いぶり。アーサーが消され、しかしそれと引き換えたかの如く3体目のゼータはオーフェに撃ち抜かれた。残るゼータは1体。
「7分はもう過ぎています、既に私達の作戦は成功です!」
そのレインの言葉が終わるか終わらないかのうちに、イオータのアイズフォンが、無機質な通信を受信する。
『グランネロスより最終通告。グランネロスの失陥は避けられない。各エクスガンナーは、即時撤退の上、エクスガンナー計画推進に必要と思われる行動をせよ』
片目でまばたきをひとつして、イオータは己の立つ戦場を見、ケルベロスたちを見た。
●グランネロス崩壊
『……引っかかった、ということか』
ケルベロスたちの目的が足止めであると気づいてはいたものの、まさか大本営グランネロスを失うまでの強襲だったとは。予測を超える事態の発生に、イオータは無言で踵を返す。
『時間を稼げ。エクスガンナー計画はまだ終わらん』
残るゼータににそう言い残すと、イオータの姿は砂煙の向こうへ消えていく。
「あなたも逃げたってかまわないわよ! 追わないわ! ほっほっほ」
高らかに笑いながら笠元二がそう告げても、残されたゼータは黙々と弾丸をリロードするばかりだった。雷光が閃き、4体目のゼータが沈黙した時には既にイオータの姿は肉眼では追えなくなっていた。
『こちらレイン・プラング。報告のみ、エクスガンナー・イオータの足止めには成功、イオータ本体は撤退、そちらへ向かう模様。至急私達も支援に……、……』
「……十分時間は稼ぎましたが、もう一頑張りですね、気合を入れて参りますか」
零斗が戦闘で乱れた前髪をかき上げて言った。
レインがグランネロス突入部隊と連絡を取りつつ得た情報によれば、やはりグランネロスは超大型ダモクレスへと変形し、最期の猛攻だと荒れ狂っている。怒りの咆哮が、今サフィーナ達が走っている地面をも揺るがした。
「見えた、あれ!」
フォルトゥナが指差した先は、遠目にはまるで星が弾けるような、花火にも似た砲火の軌跡。よく見れば、地上からも遠距離攻撃がダモクレスめがけて飛んでいた。同じ足止め班として任務に就いた仲間達が、いち早く駆けつけて攻撃支援に当たっているのだ。
「もう少し早く片をつけられれば、間に合ったのですが」
レインが残念そうに言えば、オランジェットが肩にそっと手を添える。
「作戦は、成功です……プラングさんの的確な解析のおかげですよ……」
その時、双眸を眇めて成り行きを見守っていた零斗が、細かな変化を見てとった。
「一斉回避……?」
総力攻撃に当たっていたと思われるケルベロスたちが、一斉に散り、グランネロスから離れるのが見えた。
ただならぬ気配に、大地が揺れる。肌にびりっとくるほどの緊張感。
「みんな、伏せて!」
「来ますわ!」
サフィーナとリリーナが叫んだと同時、光、轟音。反射的に、全員がその場で地に伏せていた。暴風が逆巻いて、嵐のように小石や砂はおろか、生えていた木々さえもすさまじい勢いで運んでくる。グランネロスは、大爆発したのだ。
自分たちが今いるこの地点でさえ、この衝撃だ。より近くにいる仲間たちは果たして無事でいるのだろうか。
「な、何て光景なの……」
笠元二が身を起こし、高鳴る胸を押さえて思わずそう呟いた。当然、すこし震える声に、いつもの悪役っぽさはない。
「墜ちましたわね、グランネロス……」
オーフェが半ば虚ろな、ほんの微か夢を見るような口調で言った。
不安から、皆次々に顔を上げた。最も危険な任に自ら就いた仲間たちに万が一のことでもあればと思えば、じっとしてはいられなかった。
●ひとつの終焉
撤退してきた仲間たちの様子が、グランネロス内での激戦を物語る。そして何より、グランネロスが立っていたのだろう場所に残る、抉られたような丸い痕跡。戦いの熱がまだ冷めぬまま渦巻いている現場へと、全員揃って駆けつけることが出来た。
「皆様、お疲れ様でした」
「手伝いますわ、深手ですか?」
オーフェとリリーナが手当てに奔走し、レインもまた救護を手伝いつつ状況報告にと忙しい。
「おーっほっほっほ、さあ並びなさい! 私は悪役だから、傷がひどくなるかも知れなくてよ覚悟なさい!」
と言いつつ、笠元二もしっかりメディカルレインを使っている。
「作戦は成功、あと気になるのはイオータの行方、でしょうか」
零斗がヒールの手を止め戦場跡を見渡しつつそう言えば、オランジェットがぽつりと呟く。
「イオータ……もはやこれまでと、一緒にこの残骸に……などということはないでしょうか……?」
「ないんじゃないかしら。なんとなく、だけど」
勘、と言ってしまえばそれまでだが、戦場で肌で感じた何かが、フォルトゥナにそう言わしめる。
「また会っちゃうのかも。負けないけどね! さて、私ももうひとがんばり」
サフィーナが明るくそう言って、まだ混沌の残る現場へ紛れていく。
ローカストの残党が穿った穴を、ケルベロスが狙い撃つ作戦は無事、成功を治めた。だが同時にこれは、いつ何時勢力のバランスが崩れるともわからない、緊迫した現状を物語っている事件だとも言えるだろう。
残骸すら残らないグランネロス跡を、ただ砂塵だけが浚っていく。荒涼とした風景はしかし、次の戦いへとケルベロスたちをいざなうのだった。
そう、戦いの日々は、まだ続く。
作者:林雪 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年9月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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