人魚伝説を追え!

作者:baron

「ここは違うな。少し拓かれ過ぎておる」
 学者ぜんとした老人が、とある遺跡の近くで首を振った。
 手には周辺の地図が二枚、最近のものと中世の旧図だ。
 比較的、綺麗に残った神社を発見したと言うのにヤレヤレと首を振っているのが奇妙ではある。
「……いや、まてよ。ここは入り江に直接行けるな。ということは表と仮定して……あった。ならば期待できると言う物」
 老学者は目に強い輝きを持ち、切り立った岩場に慎重に乗り出した。
 視線の先は、波が侵食して作られた洞穴の類である。
「隠された先には神社ではなく寺か……これでマリア観音であれば興ざめだが。待って居れよ人魚よ……」
 脚が濡れるのにも構わず海蝕洞穴を進むと、途中からそれなりに乾いた地面と、明らかに人造の道が作られいた。
 こんな不便な場所に誰が……という者もいようが、老学者はこれこそを求めていたのだ。
 不便だろうが構わず作った隠し寺、そこにナニカ……いや、人魚伝説の鍵を追い求めて!
 だが、その思いが果たされる事は無かった。
『ここを作った方は何を隠そうとし、貴方は何を追い求めようとしたのでしょうね。私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります』
「にん……八百比丘尼?」
 そこに居たのは、鍵を手に持つ女だった。
 老学者が駆け寄ろうとすると、言葉を遮って鍵で突き刺す。
 それでもなお尋ねようとする狂的な視線に、首を振りながら冷たい目で見つめていた。
 彼と、その傍らに生まれた人魚を。
 

「最近ちまたを騒がせる、感情を奪うドリームイーターの事件です。今回は『興味』を奪う魔女の様ですね」
 ヘリオライダーの一人、ユエ・シャンティエ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0231)が簡単に解説を始めた。
「知っている方もおられると思いますが、興味の感情を奪いそれを核にした怪物型ドリームイーターを暴れさせると言うタイプになります。ああ、そうですね。怪物型を倒せば感情を抜かれた方も元に戻るとか」
 ゆえに倒して欲しいと言外に告げつつ、地図と資料を取り出して行った。
「今回の被害者は人魚伝説に興味があったとか。ゆえに人魚の形をした敵が一体、配下や黒幕の魔女も居ません」
 ユエはそう告げると、観光資料にある地図に赤い線を引き始めた。
 遺跡のある場所では無く、近くの海岸である。
「ここに海蝕洞穴があるのですが、そこから出て町に向かおうとします。陸地で待ち構える事もできますが、洞穴から出た所で待ち構えれば間違いは無いでしょう。少々濡れることもありますが、ケルベロスの体力とバランス力なら問題のあるレベルではありあせん」
 むしろ涼しいくらいでしょうねと、冗談ともつかぬ言葉を添える。
「私が失ったモノはと問うてくるので、答え方によっては見逃すこともあるそうですが……この地の伝承では、御家再興の為に力を蓄えた豪族がいたそうです」
 人魚は大抵、力と引き換えになにかを失っている。
 ソレを答えればと、ユエは簡潔に付けたした。
「なるホド。人魚姫なら声、尼さんなら寿命だしナ。ということは、ここの場合は家族なり名家ってやつダ」
「その通りです。もっとも……人々を襲うモノを放置できませんのでその場を過ごしてもあまり意味は無いのですが。よろしくお願いしますね」
 ヴェルセア・エイムハーツ(無法使い・e03134)がポムっと手を打つと、ユエは頷いた後、軽く頭を下げた。


参加者
ラーナ・ユイロトス(蓮上の雨蛙・e02112)
サクラ・チェリーフィールド(四季天の春・e04412)
皇・ラセン(地を抱く太陽の腕・e13390)
エドワウ・ユールルウェン(夢路の此方・e22765)
弥生・春花(手裏剣大好き・e23829)
ルト・ファルーク(千一夜の紡ぎ手・e28924)
デルテロシエル・ルルアルテリエ(生へのロマネスク・e29163)
サラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019)

■リプレイ


「つめたっ。泳ぐにはもう遅いけど、涼むにはいいですね」
 サラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019)は打ち寄せる波の冷たさに足を留めた。
 三十度半ばの日々が続けば無理もない。
 目指す海蝕洞窟はもうすぐだ、逃がす心配も無いし急ぐ事も無いだろう。
「こんな洞窟に隠された伝説……あは、人魚だなんてロマンチックですねー」
「まー。童話の人魚なら綺麗でしょうけれど、ここ、日本ですからねぇ」
 サラキアは少しだけ首を傾げる。
 残念そうな顔で、ラーナ・ユイロトス(蓮上の雨蛙・e02112)が頬に手を当て溜息をついた。
「和風の人魚て、どうして微妙位置なんでしょうねえ。御寺で供養された人魚のミイラを見た事ありますが、あれはかなり小さかったです」
 ラーナはそういうと、中には偽物と鑑定された物もあると続けた。
「それはそれとして、隠し財宝とか聞くと別のロマンがあるけど……人魚とか関係なしでね」
「御家再興の為に残した財宝を探す主人公とヒロイン、それを付け狙う分家筋……とかいいですよね」
 皇・ラセン(地を抱く太陽の腕・e13390)は特に人魚伝説を気にせず、適当は話を切り出した。
 彼女の軽いノリの話題に乗って、サラキアは少女漫画にでも出てきそうな話をつけ加える。
「別にヒロインとかどうでもいんだけどが、財宝とか隠すなら当然、それを防ぐ罠とか地元勢力の可能性もあるわけ。真実に近づこうとして手痛いしっぺ返しを食らっちゃったかな?」
 あんまり危険を顧みないと本当に大変なことになるんだねぇ……。
 ラセンは思わず肩をすくめる。
「ま、ドリームイーターが悪いんだけどさ……危ないことは控えてもらわないと。さて、さっさと助けてやらなくちゃね。後でしっかり叱って戒めてあげるんだから!」
 ラセンは拳を掌に撃ちつけると、洞穴目指してザブザブと歩き始めた。

 仲間達も頷き一斉に行動を開始する。
「ふん、くだらん。……財宝など当てにする時間があれば、どんな労力でも払えよう。……念の為に余計な連中が来ないか確認してから行く」
 人魚伝説を一蹴すると、デルテロシエル・ルルアルテリエ(生へのロマネスク・e29163)は近くにある浜辺へ繋がる道を確認してから、戦いに赴くことにした。
 たいした手間が掛る訳でなし、少しの努力で済むなら、誰かが傷つくよりはマシということだろう。
「じゃあ、相手の話に合わせて物語りで引き付けるとするかな。……そっちはどうする?」
「むずかしいこと、よくわからないです」
 ルト・ファルーク(千一夜の紡ぎ手・e28924)が私案をまとめながら呟くと、エドワウ・ユールルウェン(夢路の此方・e22765)は首を傾げながらスルー。
 実際良く判らないし、童話や伝説にモデル……が居るかもしれない。
 それを考え始めるとキリはない。
 もちろん、戦いになったら……という前提なら至極簡単である。
「さてさて『興味』を奪うとは恐ろしいドリームイーターが現れましたね」
 弥生・春花(手裏剣大好き・e23829)は皆の話を聞きながら、手に持つ手裏剣を眺めた。
「もし私が手裏剣に対する興味をなくしたと考えると……そんなことのないように、倒してしまいましょう」
 物騒なことを呟きながら、春花は周囲に散らばる岩を確認。
 腰に下げたランプで怪しい光を灯し、丹念に隠れれる場所や、足場にできるかヌメリ気を確かめていく。
 こうしてケルベロス達は人魚を模したドリームイーター倒す為、洞窟の入口へと向かって行った。


『教えてください。私はあれほど大切にしたナニカ、それはなんだったのでしょうか?』
 海蝕洞窟を睨むと、波は徐々に水路に置き換わり、奥の方へ人口の通路が見えた。
 そこに至るまでに、奥へ行かせまいとしたのか、若い尼が待ち構えている。
 奇妙なのは通路に……ではなく、水路と化した洞穴の中央に座したままだ。
「(可愛そうな人魚姫。貴方は何を求めて、何を失ってしまったんでしょうね)」
 眼前で沈黙しながら、サクラ・チェリーフィールド(四季天の春・e04412)は、その悲しそうな姿に物憂げな視線を送った。
 尼の下半身は魚のようでもあり……とても長いへその緒によって、赤ん坊と繋がっている様にも見えた。
「(失くしたものを取り戻すために神にでも縋る……それすら歪められたら、悲しいですもんね。でも、今は何も告げるつもりは在りません)」
 同情するのは容易いが、それでは解決すまい。
 易い涙を流すのではなく、サクラは事態の解決の為に沈黙する。

 問うて答えたものに様々な対応を返す人魚。
 彼女に対してサクラは囮役として沈黙を選び……もう一人の囮役が雄弁に答えて違う形の答えを出す。
「昔、この辺りで力を得る代わりに家族を失った豪族がいたって話を聞いた事がある。……権力争いであるような、娘を政略結婚に出せば済む話では済まなかったんだ」
 ルトは土地の伝承に加えて、調べて居た男の話を元にある種の仮説を打ち立てた。
 伝承によれば、豪族たちの争いで一つの家が滅亡に追い込まれ、僅かに嫁いだ姫だけが生き伸びたのだ。
 それでも血筋には違いあるまい、姫さえ無事なら御家再興は成ると説得されたらしい。
「守るために散って行った家来を、生まれたばかりの子を失って……御家再興の為とはいえ、代償として家族を失うってのは一体どんな気持ちなんだろうな」
『……』
 その後に逃げ延びたのか、単に政略結婚で嫁いだ後なのかは判らない。
 はっきりしているのは、少なくとも最初に居た豪族の『名』は絶えたことと、その時にこの尼以外はみな死んだと言う悲しい事実である。
 一説によれば、寵愛によって権力を得たと言うが、気分の良いものではなかったろう。
「失った物は返してやれないけれど、デウスエクスとなったお前には、オレが――オレたちケルベロスが、代わりに『死』を与えてやる。だから、遠慮せずにかかってこい!」
 あえて怒らせる為に、ルトは悪い意味での模範解答を紡いだ。
 人魚が告げられたら、一番いやなことを、あえて口に出したのである。
 何かが動き出した音と共に、腰の短剣が星のように輝く!
『あ……吾子を……カエセ! モドセエエエ!!』
「ファルークさん!」
 バシャバシャと音を立てて、人魚が動き出す。
 洞穴を出て襲いかかろうとした処へ、サクラが飛び込んで蹴りで引きはがした。
 それは仲間を助けようとしたとも、あるいは、悲しい物語を止めようとしたようにも見える。
「なぜ啼く? 貴様が失ったモノ、それは貴様にとてどうでもいいものだろう。大切なものならばわざわざきくこともなかろう」
 敵が洞窟から出て来た処で、春花は語気を強め周囲に流体金属を散布。
 先ほどまでの麗らかな言葉とは打って変わり、一意専心、敵を葬る為の意識に切り替える。
 それは戦いの始まりを明示しているかのようでもあった。


『からだのなかの、ちからを……ここに。』
 指を動かせば、ゾワリと血管が脈動する不可思議な感覚。
 エドワウは掌を上に、そのまま手を空に伸ばすように掲げた。まるで星を掴むように、あるいは星を撫でるように。
 少年が抱いた違和感に、天が共感し脈動させる。それは空に星を降らせるキッカケとなった。
 天の川が、ここに降り注ぐ。
「そして……。みなさんのからだに眠るちからを、ここに」
 全てはグラビティのなせる一面的な光景に過ぎない。
 だがそれは、血管の脈動と天の川を重ね合わせる共感魔術を、見て居る者にも共感させるパノラマだ。
 少年の脈動は、天の川を介して全員の脈動となって、鼓動を高鳴らせる!
「その身体に大穴空けてやるからさ……避けるんじゃないよ!! 我は、天と地を貫くただ一柱の楔」
 ドクンと高鳴る鼓動を、ラセンは力に替えた。
 心臓から肺を経て全身を駆け廻り、徐々に下り、下半身、足へと脈動が震える。
 大地を打ったリズムは、そのまま地勢を吸い上げ背筋へ、肩へ輪転。
 そして掌に集めて燃え上がらせる!
『天を鳴らすは右の剣。地を裂くは左の槍。天地を震わし穿ちゆくは我が双極。散逸した力を束ね、重ねて、重ねて、重ね――解き放つッ!!』
 ラセンは全身を震わせる、ただの鼓動の塊となった。
 輪転する、輪転する。
 ル-プする力が、出口を求めて弾け出す。砕け散れ、砕け散れ!
 自ら砕け兼ねないほどの力が、地獄とかした腕を媒介に双つの掌底を介して世界を震わせるのだ!
「あ、カウンター決まりましたねー。ちょっと大変でしょうかー」
「んー。ギリギリ間に合ったんじゃないです? まあ、いずれにせよ治療必要だし、私達も介入した方が良いとは思いますけれど」
 サラキアは星の守りと癒しの光、どちらを使うか一瞬だけ悩んだ。
 だがラーナが見極めた所、一瞬早く、盾役の仲間がカバーに間にあったらしい。

 そこで踏ん切りをつけて、星の剣を掲げて祈りを捧げる。
 仲間が傷つきながら戦うと言うのならば、それを助けるのが筋だろう。
「星に眠りし、太陽の加護を」
 サラキアは貸与の守護者たる、黄道十二星座の力を借りて守りの結界を拡げていく。
 その光は優しく、白すぎる肌を持つ彼女の実を傷つけることは無い。
「ではこちらは遠慮なくいきますよ」
 対してラーナは援護に回り、杖を棒か何かを扱うように軽快に振りまわし、針の様に小さな杖を取り出した。
 体を軸に回転させた杖へ、針を突き立てる。サイズが異なることながら、グラビティ持つ杖同士の接触は破裂するような音を立てる。
 そして音は雷鳴と成って周囲に降り注いだのだ!
 それはますます激しくなる戦いを、明示しているかのようであった。


『春眠は心地よいものだが……貴様には悪夢が似合いだ!』
 先ほど色とりどりの花火を投げつけた春花は、その色に紛れて手裏剣を飛ばしておいた。
 手裏剣は扇風機のようにクルクルと舞い、そこを始点に風を起こし始める。
 風に乗って紫の花びらが舞うのだが、これに触れたが最後ザックリと肉であろうが岩であろうが切り刻むのだ。
 そして自身は派手な身振りで浜に降り立ち波を踏み潰して水飛沫に姿を隠した。
『あのくたら、さんみゃくさんぼだい。あのくたらさんみゃくさんぼだい……』
「あら、それは確か……」
 心を静める御経が、尼形の人魚より放たれる。
 ラーナは影響を受けたと言うよりも、仏説に経を覚えてつつ、大きく飛びずさった。
 だが、空間に満ちる法力はそれを許さない、そこへ飛び込んで来る者がいなければ危なかっただろう。
「狙うならこっちだろ? ……家族と引き換えに得た力なんて、オレが全て奪い取ってやる!」
 仲間を庇ったルトは、読経による強制解脱に、怒りを持って耐える。
 無上の光を求めて害意も殺意も消え失せそうになるが、業なかりせば人あらず。
 かつて、失われそうになった故郷の為に彼は立ちあがった。いま、その思い出を武器に再び戦意を取り戻す。
『――お前を裁くのは、オレじゃない』
 腰の短剣を構えるのではなく、まっすぐ伸ばしてナニカに突き刺した。
 クルリと回転させる姿は、まるで扉を開けるかのよう。
 そうするとどうだろう、音も無く扉が現われ、影の様なシャイターンの手のような別のナニカが人魚に向かって伸び始めたではないか!
「足を……足無いですけど、留めてますので、お願いしますね」
「うん……。おれたちで、かいふく。たすけるひとは、いっしょだよ」
 サラキアが飛び蹴り入れて人魚の動きを留めると、エドワウはふかふかのヌイグルミを持ちあげた。
 ティディベアの着ぐるみをきた箱竜のメルと一緒に、傷ついたルトを一気に癒す。
 カバーに回った為に連続で攻撃を受けたはずの彼も、エドワウとルトの二人掛りなら安心である。
 勇気を与え、障壁を作り上げて守るのだ。
「今度は私とエクレールで壁役を担当しますね」
「一気にケリをここで付けるから! ウチにお任せあれ!」
 同じ壁役の仲間が治療されている間、サクラはサーバントともども大きく飛び出して敵の注意を引き付けた。
 ラセンはそのチャンスを活かし、『刈り殺す!』と再び回し蹴りを放ったのである。
「例え狂的な興味だとしても、こんな使われ方をさせるわけにはいきません。願われたのは再興、断じて奪う事ではなかったはずです。それを……思い出して!」
 サクラは雲のようにふわふわ飛ぶエクレールを迂回しながら、斧を振りあげた。
 仲間への攻撃を少しでも止めると同時に、振り降ろす斧からの輝きで敵を牽制する為だ。
 切り裂くのは刃にあらず、ルーンの輝きこそが心の闇を焼いて行く。
「油断大敵、『足元注意、ですよ?』さっきも言いましたけど、足があるとか、関係ないですから」
 サラキアはくすりと笑い、海の中で水の鎌を作り上げた。
 動と静の差の中で眠る、水の権能そのものは何にでもなれる。
 水の中の水、逆回転の渦が作り上げる暴力は、刃と成って人魚の動きを静かに縫い止めたのである。
「家族を無くし、悟りなくして心を静めれないのは悲しいですね。ここで終わっていただくとしましょうか。……無くしたのは家族ですが、もっとも私の命は地獄の炎ですから、命もまた違いないのでしょうね」
 ラーナはさきほど御経を思い出しながら、いつもと変わらぬ表情を浮かべた。
 全ては過ぎ去りし過去の思い出、ならばケリを付けましょうと飛び込んで行く。
 首を狩るように、胴を薙ぐように、そして心臓を穿つようにまさしく、蹴りを付けた。

 ようやく騒動が過ぎ去った時、もそもそと少年が通路に上った。
「おとしですから、むりをしてはだめですよ」
「そういえば言いたい事があるんだった! はぁ、あのねぇ……別にそういう探求とかはいいと思うんだけどさ……危険を顧みなかったり、自分を大事にしないのは感心しないよ? 健全にそういうことは楽しみなさい!」
 学者のおじいさんにヒールを掛けようとエドワウが洞窟に向かったところで、ラセンも続いてウチらも万能じゃないんだからね! と怒鳴り込む。
「日焼けする間もなかったですねー私たちもいきます?」
 サラキアが尋ねると、他の仲間達は少し首を傾げた。
「中に御寺があるんでしたっけ……。怪しい伝説は怪しいままでもいいのかもしれませんね。結果が出ないのも困りものですが、探っている間が面白いと思うのですが」
「まあまあ良いじゃありませんか。卍マークは手裏剣みたいでいいですしね」
 ラーナが眺めて居ると、口調を戻した春花はおっとりと微笑んだ。
 悲劇も遠い過去、人魚の脅威も彼岸へと旅立ったことだし、いまはこれで良しとしておこう。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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