栃木県日光市。
世界有数の観光地「日光」を擁する日光市には、観光客目当ての店舗が数多く存在する。中には老舗といわれるほど歴史を重ね、繁盛し続けている店もあるが、一方で、登場して半年もたたないうちに経営が続かず消えていく店もある。その店「ニンジャハウス」も、その一つだった。
「なぜ……客が来なかったんだろう」
明かりが消えた店舗の中、「ニンジャハウス」経営者兼店長……いや、今は元経営者兼元店長というべきだろう……の青年が、沈んだ声で呟く。
「日光で忍者……決して間違ってはいなかったと思うんだが、やっぱり、伊賀や甲賀で開店すべきだったのだろうか? でも、それだと競合きついしなぁ……」
青年は哀しげな表情で、店内に置かれた忍者グッズの数々を見回す。黒い忍者装束、手裏剣、水蜘蛛、節を抜いた竹筒、兵糧丸……水に溶ける忍者メモとか、合図の印を描く忍者発光ペンなどという子供用玩具まで含め、数多くの忍者グッズを揃えた。しかし、売れなかった。
「やはり、僕が忍者ではなかったのがいけなかったんだろうか。店長の僕が、忍術の一つも使って見せれば、きっと客も喜んで……うっ!」
呟いていた青年の心臓を、不意に背後から椅子の背越しに、一本の鍵が貫く。そこに佇むのは、12人のドリームイーターの魔女の集団「パッチワーク」の魔女の一人、第十の魔女・ゲリュオンであった。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
どこか視線の定まらない表情で呟くと、ゲリュオンは青年の心臓から鍵を引き抜く。青年は意識を失い椅子の中に崩れ落ち、その傍らに、黒い忍者装束に身を包んだドリームイーターが現れる。
間違いのないように言っておくが、螺旋忍者ではない。忍者の姿をしているが、普通なら忍者装束から露出する目のあたりをモザイクで覆われたドリームイーターである。
「ようこそ、ニンジャハウスへ! 歓迎するぞ! 私は店長のミスター・ニンジャである!」
くぐもった声で言いながら、忍者型ドリームイーターは店内を歩き回る。そこには既に、ゲリュオンの姿はなかった。
「栃木県日光市で、新たなドリームイーターの出現が予知されました。最近頻発している、潰れた店舗の持ち主が『後悔』を奪われて発生したドリームイーターのようです」
ヘリオライダーの高御倉・康が緊張した表情で告げる。
「ドリームイーターは潰れた店舗の中で、店長然としてふるまっていますが、うっかり足を踏み入れた人は、サービスと称する攻撃を受けて殺されてしまいます。犠牲者が出る前に急行して、ドリームイーターを撃破してください。『後悔』を奪われた人は、店舗の中で意識を失っていますが、ドリームイーターを撃破しない限り、目を覚ましません」
そう言うと、康はプロジェクターに地図と画像を出した。
「ドリームイーターがいる店舗は、ここです。店の名は、ニンジャハウス。その名の通り、忍者に関するグッズなどを置いている観光客用の店だったそうです。ドリームイーターは忍者装束に身を包んで、ミスター・ニンジャと名乗っていますが、あくまでドリームイーターです。螺旋忍者の能力などは使いません。客として訪れると、ドリームイーターは自分は本物の忍者だと主張して、忍術を使って見せますが、それがドリームイーター能力を使った攻撃となるわけです」
そう言って、康は軽く肩をすくめる。
「店に入ってすぐ戦闘を仕掛けることも、ドリームイーターが忍術を使ったところで、攻撃してきたことを咎めて戦闘することもできます。ただ、ドリームイーターを『本物の忍者』その技を『本物の忍術』と認めてやると、ドリームイーターは喜んで、少し弱くなるようです。そしてドリームイーターを喜ばせてから倒すと、『後悔』を奪われた被害者も『後悔の気持ちが薄れて、前向きに頑張ろうという気持ちになれる』ようです。もちろん、その余裕があればですが……試して損はないかと思います」
そう言うと、康は一同を見回して告げた。
「商売がうまくいくかどうかは、運、不運の要素が大きいと思います。ですが、後悔を引きずって、更にドリームイーターの餌食にされてしまっては、本当に浮かばれません。どうか、よろしく対処お願いします」
参加者 | |
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マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399) |
真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809) |
仁宮・誠(ヴァンガード・e00924) |
アルベルト・アリスメンディ(ソウルスクレイパー・e06154) |
セット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228) |
日月・降夜(アキレス俊足・e18747) |
ジャスティン・ロー(水色水玉・e23362) |
シャウラ・メシエ(誰が為の聖歌・e24495) |
●ニンジャハウス突入!
「きいたことがあります。ニホンのひとは、ほんとはみんなニンジャだけど、いつもはカンペキにかくしてるんですって。すごいですね」
シャウラ・メシエ(誰が為の聖歌・e24495)が真顔で告げ、ジャスティン・ロー(水色水玉・e23362)が小首をかしげて応じる。
「んー、日本人が全員ニンジャってことはないと思う。サムライも、スモー・リキシも、イタマエ・スシマスターもいるしね。そもそもニンジャになるには、厳しいシュギョウとメンキョ・カイデンが必要だから、誰でもなれるわけじゃないはずだよ」
そう言うと、ジャスティンは明るく笑って続けた。
「でも、確かにニンジャは日本のロマンだよね! 僕はアメリカ人だし憧れてたんだー。おにーさん助けて語り合わないとね!」
「そうだね、ジャパニーズニンジャ! って何かニホンの文化って感じでときめくよね!」
アルベルト・アリスメンディ(ソウルスクレイパー・e06154)が金色の瞳を輝かせてうなずき、竜派ドラゴニアンのセット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228)も、興味津津の声を出す。
「自分も、ニンジャは憧れっすね。ニンジャ、サムライ、スモー、スシ、テンプラ、テリヤキ……日本文化、奥が深いっすよ」
「……うーむ」
ま、いいけどさ、と、小さく苦笑し、日月・降夜(アキレス俊足・e18747)は周囲を見回す。
「しかしまあ……見事なまでに何もないな」
道路に車が通行していないのは、地元警察に道路封鎖を頼んだせいだろうが、通行人はもとより、周囲に商店や建物がほとんど見当たらない。
「まあ、どんなもんであれ、経営者ってのは大変だろうがね。ちゃんと調査とか色々やったのかね? これ?」
「さあ、どうかな」
この立地じゃ、よっぽど宣伝打たん限りは人は来ねぇな、と、仁宮・誠(ヴァンガード・e00924)が苦笑で応じる。
「ま、その辺の事情は置いといて。俺達は、俺達の仕事をするとしよう」
「そうね。観光業に向かない立地ってあるとは思うけど、次の成功の為に、この『後悔』を持ち去られるわけにはいかない」
マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)が応じ、現場……潰れた観光客用店舗「ニンジャハウス」の前に立つ。
「キープアウトテープは正面と……裏口もあるのかな」
ドリームイーターが店から逃げることはないらしいが、万一にも誰か外から入ってきたらコトだ、と、降夜が素早く走り回る。
「よし、表裏テープ貼ったぜ」
「了解だ。行くぞ」
告げる降夜にマイが応じ、ディフェンダー役のジャスティン、セット、ジャスティンのサーヴァントでボクスドラゴンの『ピロー』が店内に入ろうとしたが。
「すみません……ちょっと、待って……今、変身しますので」
いきなり真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)がぼそぼそと告げ、女の子の絵が描かれた大きな袋……抱き枕カバーを取り出し、被る。
「これで……究極寝具マクライダーに……なります」
「はぁ……」
一同が呆然として見守る中、抱は抱き枕カバーをすっぽりと被り、勢いよく喋り出す。
「究極寝具(アルティメットシング)マクライダーとは! 『抱き枕カバー』で上半身を覆い、『三対の魔眼』を『抱き枕カバー』の表裏に描かれている美少女イラストで発動することにより、死角を持たぬ究極の戦闘寝具になるのだ! 普段はブツブツとしか喋らない抱も、この姿の時はハキハキと言葉を喋るぞ!」
「ええと、あのかたも、ニンジャなのですか?」
シャウラに尋ねられ、アルベルトが首をかしげて応じる。
「どーなのかな。どっちかっていうと、仮面(マスクド)ヒーローの一種?」
「違う。俺はヒーローになれなかった、ただのピローだ」
抱……究極寝具マクライダーが、ハードボイルドっぽい口調で言う。この姿になるまでには、彼なりの辛い経験と重い苦悩、厳しい葛藤があったようなのだが、その経緯と事情を知らない者には、単に女の子の絵が描かれた袋を被った変態としか見えないのが、辛いところではある。
すると、自分の名前を呼ばれたと思ったのか、ボクスドラゴンの『ピロー』が、つぶらな瞳でマクライダーを見やる。
「がう?」
「あ、この子の名前、ピローっていうんだよ。偶然だけど、よろしくね!」
ジャスティンがフォローし、マクライダーはもふもふふわふわのボクスドラゴンへ丁寧に一礼する。
「こちらこそ、よろしく」
「……がうがう」
姿は怪しいけど悪い人ではないみたいだ、と『ピロー』は穏やかに応じる。
「それじゃあ、更に変身したいとか、突入前に何かしたいという人はいないかな? いないなら、改めて行くぞ!」
まったく、急いで割り込んで凶行を阻止するとか、逃走する相手を全速追撃するような依頼でなくてよかったよ、と、内心苦笑しながら、マイは一同を促す。
ジャスティン、セット、そして『ピロー』を先頭に、一同は改めて「ニンジャハウス」に踏み込んだ。
●ニンジャ・ドリームイーターVSニンジャ・ケルベロス
「ようこそ、ニンジャハウスへ! 歓迎するぞ! 私は店長のミスター・ニンジャである!」
店内に入ってきた者たちに向かって、全身を漆黒の忍者装束で覆った人物が言い放つ。
「わあ! ニンジャだ! 本物のニンジャだ!」
ジャスティンが歓声をあげ、ミスター・ニンジャと称する男に駆け寄る。
「凄いね! これ、みんな本物のニンジャが使うグッズだよね?」
「もちろんだとも!」
とても嬉しそうな声を出し、ミスター・ニンジャは大きくうなずく。
「本物のニンジャの私が言うのだから間違いない! この店のグッズは、すべて本物である!」
「凄いっすね!」
セットも目をきらきらさせて、店内に並ぶニンジャグッズを眺める。
と、そこまでは非常に和やかだったのだが。
「おい、君、店の中にバイクを持ちこまれては困るな。外に置いてきてくれ」
ディフェンダー三人に続けて、前衛クラッシャー三人、マクライダーこと抱、誠、抱のサーヴァントでライドキャリバーの『黒雷』が店内に入っると、ミスター・ニンジャが『黒雷』を見咎めて苦情を言う。
しかしマクライダーは、決然として言い放った。
「『黒雷』は、我が唯一無二の友。俺の行くところ、必ずともに行く。外に置いておくことなど、できぬ!」
「むむむ、それは、私に対する挑戦だな? このミスター・ニンジャ、無益な闘いは好まぬが、店内でルールを守らぬ者には容赦はないぞ!」
そう言うと、ミスター・ニンジャは大きな鍵を取り出して身構える。
「平成新忍者刀『闇鍵』の威力、その身で味わうがいい」
「こ、これは……忍者は常に時代の最先端技術を手に入れながら進化していたといわれている。手裏剣とか忍者刀というありきたりなイメージは、すでに真の忍者には古臭いものなのだ……これが新たな忍者の姿なのかもしれない……!」
妙に解説じみた口調で、マクライダーが口走った時。ミスター・ニンジャは遠慮会釈なく踏み込んで、鍵を振るう。
「変化抜刀、霞斬り!」
「ぐあっ!」
ずばっと脇腹のあたりを薙ぎ斬られ、マクライダーが呻く。もっとも、抱き枕カバー越しなので、その下の傷がどの程度かは分かりにくい。
「うわ、ちょっとちょっと! ニンジャは非情だって言うけど、バイク乗り入れたぐらいでお客さん斬っちゃダメだよ! そんなアブないニンジャは、成敗だよ!」
抗議しながら、ジャスティンは秘技『鷹の目(ホーク・アイ)』をマクライダーを含む前衛にかけ、癒しと命中率アップを図る。
「忍法、鷹の目! ……千里を見透す眼となって!」
「む、お主も忍法を使うか!」
ミスター・ニンジャが叫ぶと、ジャスティンは小さく笑う。
「僕は、ほんの駆け出しだけどね。本当のプロフェッショナルニンジャは、こちらのマイお姉さまさ!」
さささ、やっちゃってください、と、ジャスティンはマイを炊きつける。その間に『ピロー』は、属性インストールでマクライダーを癒やす。
「ふむ……個人的には、ミスター・ニンジャとやら、お主のようなタイプはあながち嫌いじゃないのだけどな」
微苦笑を浮かべ、マイは日本刀を抜き放つ。
「しかし、闘いとなれば非情に徹するのが、我らニンジャというもの……ゆくぞ!」
刀で斬るかと思いきや、マイは胸元から攻撃ビームを放つ。ミスター・ニンジャは躱そうとしたが躱しきれず、太腿あたりをずばっと裂かれる。
「くっ!」
「刀を構えて刀で斬らぬはニンジャの常……しかし、直撃を躱したのはさすがだな」
悠然と応じ、マイは仲間たちに告げる。
「油断するな。私には及ばずといえども、恐るべき手練れのニンジャだ」
一方、マイのサーヴァント、テレビウムの『てぃー坊』は、マクライダーに応援動画を送り、傷を癒やすと同時に、取りついたトラウマを消す。
「……ありがたい、助かった」
どうやら、かなり酷いトラウマに苛まれていたらしく、マクライダーは引き攣った表情で礼を言う。
「さすが忍者の攻撃、何ともえげつない……的確に、こちらの弱みを容赦なく抉ってくる。間違っても、一対一では闘いたくない相手だ」
呻くと、マクライダーは秘術『三対の魔眼(サーベラス・アイ)』を使う。
「汝、輝かぬ瞳よ、我に従え。三つ首の魔犬に光を捧げよ」
呪言とともに、マクライダーが身にまとう抱き枕に描かれた美少女の両眼が、胸側、背中側、それぞれできらりと光る。この秘術により、マクライダーは合計三対六眼から視覚情報を得、空間を的確に把握し、敵の攻撃を躱すことができるようになるのだ!
一方、はからずも敵の攻撃契機となってしまった『黒雷』は、炎をまとってミスター・ニンジャに突撃する。
「うぬっ、これは自動戦闘用ニンジャバイクか! さては、お主ら、客というのは偽りで、最初から私を討つ気で来た刺客だな!」
ミスター・ニンジャが歯噛みすると、素早く事務室のドアを閉めてきたセットが、秘術『リードデバイス』で後衛の命中率をあげながら応じる。
「申し訳ないっす……ニンジャに興味あるのは偽りない事実なんすけど、あんたは放置しておくには、あまりにも危険すぎる存在なんっす! スーパーニンジャのデウスエクス! ヤバいっす! ヤバすぎるっす!」
「そ、そうか。それほどまでに、私は恐れられているのか……」
呟くミスター・ニンジャに、降夜が淡々と告げる。
「ニンジャは、サムライと違って忠義の心を持たない。だから強力なニンジャは、必然的に誰からも恐れられる。まあ、宿命だな」
「そうか……強力なニンジャの、宿命か……」
噛みしめるように呟くミスター・ニンジャに、降夜は新武器『ドラゴニックハンマー』を向ける。
「いかに研究熱心なニンジャでも、これは見切れまい! くらえ、轟竜砲!」
「うおおおおっ!」
竜砲弾の直撃を受けて、ミスター・ニンジャの忍者装束が一部裂け、モザイクが飛び散る。
「ジャパニーズ・ニンジャは、最高の暗殺者。強くて、非情で、しぶとい。本当に、聞いていた通りだね!」
アルベルトが、金色の瞳をきらきらと輝かせて告げる。
「本物のニンジャ相手に闘えるなんて、光栄だよ! さあ、命のやりとりをしよう!」
楽しげに言い放つと、アルベルトは必殺技『Soulscraper(ソウルスクレイパー)』を発動させる。
「ぬあっ!」
猛烈な勢いで連射される銃弾の嵐を、ミスター・ニンジャは素早く躱し受けるが、それでもいくつもの弾丸が身体に喰い込む。そこへ、シャウラのサーヴァント、ウィングキャットの『オライオン』が飛び込み、爪を振るう。
そしてシャウラ自身は、敵に重力蹴りを見舞おうとしたが、はっとして構え直す。
(「まあいが……とおい!」)
これがニンジャのじゅつですか、と、シャウラは唸ったが、相手がニンジャでなくても、後衛から後衛への近距離攻撃は届かない。
(「では、これで」)
素早く武器をファミリアロッドに持ち替え、シャウラはマジックミサイルを撃つ。魔法の矢を撃ち込まれたミスター・ニンジャは、多少揺らぐが倒れない。
「……さすが、しぶといです、ね」
「ならば、こいつで!」
誠が、問答無用の鉄拳をミスター・ニンジャへと叩き込む。ぐはっ、と呻いて敵は身を折ったが、その忍者装束の目のあたりから大量のモザイクが出現、ダメージの大きそうな部位に貼りついて癒す。
「……補填自在の術」
「回復の術!? さすがジャパニーズニンジャ……! 手ごわいなあ!」
アルベルトが讃嘆の声をあげ、ジャスティンが『ドラゴニックハンマー』を振り上げて突進する。
「あったれーっ!」
「ぬおっ!」
間一髪、ミスター・ニンジャはハンマーの一撃を避け、空振りしたジャスティンはくるくる回りながら叫ぶ。
「す、素早い身のこなし……さすがニンジャ!」
「ならば、これはどうだ!」
マイが全身から超高温の炎を放ち、そのままミスター・ニンジャに組みつく。
「心魂機関フルドライブ! ……3,2,1,爆閃!!」
「うわーっ!」
一瞬、両者ともに爆散し倒れたかと思いきや、マイは軽々と飛びのき、ミスター・ニンジャもかろうじて踏み止まる。 これぞ、マイの必殺忍法『超忍閃光・改(スーパーシノビダイナマイトカイ)』本来は命がけの自爆技であるが、マイの改型は爆発の瞬間に分身と入れ替わることで若干の威力低下と引き換えに反動による負傷をなくし、戦闘継続と術の連続使用を可能としている。
「さすがだな。分身の爆破では倒しきれぬか」
「いや、手痛くやられた……どうやら、同じニンジャでも、お主の方が一枚も二枚も上らしい」
呻く相手に、マイは真摯な口調で告げる。
「私は仲間と組んでおり、お主は単身だ。いかなる手を使ってでも有利な状況を作って闘うのがニンジャの鉄則だが……一対一だったらどうなったか分からん」
「真の忍者に敬意を表し、我が全力を尽くす! 受けよ、達人の一撃!」
マクライダーが宣言し、バトルガントレットの手刀を打ち込む。セリフと動作は格好いいが、姿が抱き枕カバー被りなのが、残念としか言いようがない。
「ぐふっ!」
躱しきれずに、ミスター・ニンジャはモザイクを散らしながらよろめく。そして誠が、満を持して必殺技『牙龍閃脚(ガリュウセンキャク)』を繰り出す。
「……喰い、穿くッ!!」
気合一閃、グラビティ・チェインと龍の幻影を凝縮した闘気を纏う強烈な蹴り技が、ミスター・ニンジャを両断する。
「こ、これまでかっ……」
しかし、全力を尽くした、悔いはない、と呟き、ミスター・ニンジャは無数のモザイクと化し、宙に溶けるように消える。
「後悔から生まれたドリームイーターが、悔いはないと言って消えるか……これならば、元店主氏の後悔も昇華していることだろう」
反省すれども後悔せず、それが再起の秘訣だ、と、マイが微笑して呟いた。
作者:秋津透 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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