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そこは鬱蒼たる森の中であった。暗く、静かだ。
そんな森の中に、人ならざる者が佇んでいた。
巨大昆虫の体躯をもつ異形。地球外種族、ローカストだ。そして、異形の中心にいるのは特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いるイェフーダーであった。
イェフーダーが手を上げた。その手中にあるのは宝石に似た玉である。ややあってイェフーダーは玉にグラビティ・チェインを注ぎ込み始めた。すると――。
宝石が生き物のように脈動した。のみならず、徐々にではあるが形状を変えていき――。
やがて、それは一体の生物と化した。蟷螂の姿をもつローカストに。
ぎらり、とローカストの複眼が光った。刹那である。蟷螂ローカストがイェフーダーを襲った。互いの右手――鎌と鎌がかみ合い、衝撃波が空間を軋ませた。
「スタマティス」
イェフーダーが蟷螂ローカストをじろりと睨めつけた。するとイェフーダーの部下がスタマティスと呼ばれた蟷螂ローカストに飛びかかった。力任せに押さえ込む。
「飢えているのだろう?」
イェフーダーはいった。彼は意図的にスタマティスに復活する最低限のグラビティ・チェインしか与えておらず、故にスタマティスは飢えに苦しみ暴れているのだった。
「グラビティ・チェインが欲しければ、自分で略奪してくるのだ。スタマティスよ。お前ならば容易だろう?」
慰撫するようにイェーダーはいった。するとスタマティスは押さえつけていたイェフーダーの部下をはねとばすと、立ち上がった。飛び立つ。見る間にその姿は蒼空の一点と化した。
「お前が奪ったグラビティ・チェインは、全て、太陽神アポロンに捧げられるだろう」
ふふん、と。イェフーダーは冷酷に嗤った。
●
「ローカストの太陽神アポロンが新たな作戦を行おうとしているようです」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がいった。不退転侵略部隊の侵攻をケルベロスが防いだことで、大量のグラビティ・チェインを得る事ができなかった為、新たなグラビティ・チェインの収奪を画策しているらしい。
「その作戦はコギトエルゴスム化しているローカストに最小限のコギトエルゴスムを与えて復活させ、そのローカストに人間を襲わせてグラビティ・チェインを奪うというものです」
そのローカストは、戦闘力は高いがグラビティ・チェインの消費が激しいという理由でコギトエルゴスム化させられたものであった。最小限のグラビティ・チェインしか持たないといっても侮れない戦闘力を持つ。さらに、グラビティ・チェインの枯渇による飢餓感から、人間を襲撃する事しか考えられなくなっている為、反逆の心配も無いのだった。
「仮にケルベロスに撃破されたとしても、最小限のグラビティ・チェインしか与えてない為、損害も最小限となると考えているようです」
なんという非道な作戦だろう。セリカは言葉を途切れさせた。
「この作戦を行っているのは、特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いる、イェフーダーというローカストのようです。いずれイェフーダーと直接対決する必要があるでしょうが、今はともかく復活させられたローカストを迎撃する必要があります」
ローカストが現れる場所は奈良県山間部のとある村だ。人口は少ないが、家屋は密集している。急がなければ住民は皆殺しとなってしまうだろう。
「ローカストの名はスタマティス。鋭い鎌と化した両腕が武器です。その威力は絶大」
けれど、とセリカは続けた。
「太陽神アポロンの卑劣な作戦は阻止しなければなりません」
参加者 | |
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三和・悠仁(憎悪の種・e00349) |
アリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426) |
戦場ヶ原・将(ビートダウン・e00743) |
アリア・ウルストンクラフト(絢爛狂言・e05672) |
ミリム・ウィアテスト(ブラストトルーパー・e07815) |
上里・もも(ケルベロスよ大志を抱け・e08616) |
海東・雫(疫病神に憑かれた人形の復讐者・e10591) |
クルーアル・フローラル(其の掌は何を攫む・e25724) |
●
燃える太陽が蒼空を焦がしていた。世界は白く染まっている。
その白く熱い大地をケルベロスたちは駆けていた。辺りはのどかな田園風景だ。
「同族を捨て駒に人を襲わせるなんて卑劣なローカストだ!」
十七歳ほどの少女が怒りを込めて吐き捨てた。強くまっすぐな眼差しをもつ少女である。
名はミリム・ウィアテスト(ブラストトルーパー・e07815)。ケルベロスであった。
ミリムのいう卑劣なローカストとは、特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いるイェフーダーのことである。彼は図的にスタマティスなるローカストに復活する最低限のグラビティ・チェインしか与えず、虐殺を促したのであった。何たる冷酷。何たる残虐さか。
「飢えて……どうしようもなくなっているローカストさんを……まるで、道具みたいに……」
十歳にも満たぬ少女が唇を噛み締めた。
輝く金髪。深い蒼の瞳。可憐な美少女だ。名をアリス・ティアラハート(ケルベロスの国のアリス・e00426)という。
「けど……一般の方を殺させる訳にも、いかないです……」
哀しげに、しかし決然とアリスはいった。
人々を助けるためにはスタマティスをとめる必要がある。が、飢えに苦しむスタマティスがとまることはあるまい。ならば斃さなければならないだろう。
「なら、やるだけだよ」
しなやかな肢体の少女がうなずいた。
年齢はミリムと同じほど。輝くような美少女である。
少女――上里・もも(ケルベロスよ大志を抱け・e08616)は思うのだ。いかなる理由があろうと非道は許さないと。
その桃の熾烈な正義感が生み出したといっていいオルトロス――スサノオは桃の傍らを疾りつつ、ちらと目をむけた。然り、とその目はいっている。
「真っ向勝負になるな、こりゃあ」
ニヤリ、と笑んだのはももの傍らを疾る若者であった。
戦場ヶ原・将(ビートダウン・e00743)。赤光を放つ瞳には戦いを望む獰猛さと、同時に冷徹ともいえる理智の輝きがあった。
「敵は目前。小細工仕掛ける時間もない。とはいえ敵は飯のことで頭がいっぱい。注意力に欠けてるはずだ。付け入る隙がありゃ先手を打って仕掛けさせてもらうぜ!」
将の笑みが深くなった。
●
「……あれか」
砂塵を散らし、男が足をとめた。
二十歳ほどの若者だ。顔は端正といってもいい。が――。
彼の顔を見た者は思わず顔をそむけてしまうだろう。それほど、その若者――三和・悠仁(憎悪の種・e00349)の相貌は異様であった。いや、顔というより右目が。
青黒い光の尾をひくそれは、すなわち虚無。そう――悠仁は右目を地獄化しているのであった。
その悠仁の目が捉えたもの。長閑な農村の畑の只中に立つソレもまた異様なモノであった。
巨大な蟷螂人間といえばよいか。複眼をもつソレの両腕は鋸状の刃をもつ鎌であった。
無論、人間ではない。ローカスト。昆虫人間型のデウスエクスであった。名はスタマティス。
その時――。
ごおぉぉぉぉぉるぅぅぅぅぅ。
スタマティスがひしり上げるように吼えた。
狂乱の咆哮。飢えているのだ。とてつもなく。
「お腹すいてる時って機嫌悪いよねぇ。ボクもそうだけど。……だからって、見逃してあげる選択肢はない」
夜天の色をもつ髪をゆらし、その浅黒い肌の娘は陽気に笑った。名はアリア・ウルストンクラフト(絢爛狂言・e05672)。ドラゴニアンの娘であった。
「いってください。ここは私たちが」
男がアリスと桃を促した。いやに非人間的な男であった。それは、まるで人形を思わせる整った容貌のせいかもしれなかったが。
男――海東・雫(疫病神に憑かれた人形の復讐者・e10591)がいけというのは村人のところへという意味であった。近くには村人たちの住まいがある。被害が及ばぬよう避難させる必要があった。
「そうですわね」
いって、その十歳ほどの少女はクスリと笑った。
恐い笑みだ。どこか狂的なものを感じさせる。
クルーアル・フローラル(其の掌は何を攫む・e25724)。涙を流し尽くしたケルベロスであった。
「ライド、とりあえず突っ込みますよ。後のことは他の人が何とかしてくれるでしょう」
淡々と告げると、雫はライドキャリバー――鋼の魂が具現化した、一輪バイク型のサーヴァントを走らせた。土を蹴立ててライドキャリバーがスタマティスに迫る。と――
気配に気づいたか、スタマティスが振り向いた。無造作とも思える仕草で右腕を薙ぎ上げる。
瞬間、スタマティスの腕が消えた。そうとしか思えぬ迅速の斬撃。真っ二つにされたライドキャリバーが消滅した。
が、雫の面に動揺の色は微塵もない。むしろ冷静に彼は身体中に格納されたミサイルポッドを全開にした。撃つ。
紅蓮の爆炎にスタマティスが飲み込まれた。爆風に辺りの草木が揺れる。
次の瞬間、爆炎が割れた。疾ったのは不可視の衝撃である。さすがに躱しきれず雫が吹き飛ばされた。
「くっ」
地に叩きつけられた雫が身を起こそうとし、再び身を横たえた。内部機構が破壊されている。恐るべき威力であった。
「はい、そこでストップだよ?」
陽炎に揺れるスタマティスの身体にむかってミリムが馳せた。
「苦しいのならせめてもの手向けだ、介錯してあげるよ!」
肉薄した瞬間、ミリムの脚がはねあがった。刃の鋭さを秘めた蹴り。
戞然。
鋼同士が相博ったとしか思えぬ響きを発してミリムの脚がとまった。スタマティスの鎌によって。いや――。
呻く声はミリムの口からもれた。その背の毛が戦慄で逆だっている。
跳び退った彼女は脚の異変を感得していた。骨が砕けている。あまりにも重いスタマティスの一撃であった。
しかし、この攻撃でスタマティスの足が止まった。光を宿さない目がケルベロスたちを見据えている。
「ただ飢えを満たすためだけの存在、ですか」
見返すクルーアルがニタリと笑った。
「私も似たようなものですわね。決して満たされる事なく戦い続ける。 どちらの執念が上回るか。力比べと参りましょう」
クルーアルが一歩前に進み出た。足を止めたスタマティスは、しかしそれ以上の追撃に移らないケルベロスたちを無視して、再び歩き始めた。本能でより効率よく飢えを満たす方を選んだのである。
「待てよ」
悠仁が呼びとめた。抑えた声音だ。が、何を覚えたか、スタマティスは振り向いた。
「飢えているんだろう? なら、こっちに来い」
悠仁が指で差し招いた。
「そして、出来るものなら喰らってみろ。――喰らい返してやる」
金光を散らして村を駆け抜ける少女の姿があった。いうまでもなくアリスである。その前、幾人もの村人が呆然として足をとめた。
「皆さん、私達はケルベロスです……! ここは危険です、お早くあちらの安全な場所まで、避難して下さい……!」
アリスが叫んだ。同時に強烈な思念波を放射。すると村人たちは恐慌に陥った。恐怖にかられた目をアリスにむける。
うなずくとアリスは村の一点を指し示した。そこにはももの姿があった。
「みんな、こっちだよ!」
ももが呼んだ。する村人たちがももめがけて走り出した。それは火に飛び込む蛾の熱狂を思わせる熱烈さである。
フェスティバルオーラ。ももは周囲の一般人を熱狂的にするオーラを放つことができるのだった。
●
吐き出される息は焼けつくほど熱く、乾ききった肺と喉を焦がしていく。夏の陽光の中の戦いは、ひたすら灼熱の色をおびている。
悠仁に誘われるようにスタマティスは動いた。砲弾のように空を飛び、悠仁に迫る。
「……使い捨ての駒か。同情は、しない。追い詰められているとはいえ、虐殺を手段として選んだ貴様は……ただの、敵だ」
悠仁が放った抜き打ちの一手。とてつもない鉄塊のごとき剛剣の名は 凝血剣ザレンという。
ギンッ。
地獄の黒炎をまとわせた鉄剣とスタマティスの鎌が噛み合った。ぴきりとスタマティスの腕に亀裂がはしる。同時に悠仁の腕の骨にも。
スタマティスの左腕が空を薙いだ。咄嗟に悠仁は跳び退ったが、間に合わない。空に鮮血がしぶいた。悠仁の――いや、クルーアルの。
満面を朱に染め、それでもクルーアルは楽しげに嗤った。
「クスクスクス……その程度ですか? まだ私は生きていますわよ」
その時だ。白銀の光がクルーアルの身体を撃った。
それは本来破壊をのみ指向する魔術的オーラである。が、ベクトルを変換することにより、分子レベルでの治癒を可能とするのだった。
「そっちが切羽詰まってるのはわかるけど、みんなの安全を見捨てる気はまったくないんでな」
撃ち抜くように人差し指を突き出した姿勢でももが告げた。
「ぐうぅぅぅぅぅるぅぅぅぅぅ」
スタマティスの腕が地を擦り、土をひっかく音が立つ。相対する時間を惜しみ、将が突進した。
「さァ、熱いバトルを始めようぜ。オープン・ザ・ゲート! フューチャライズ!」
将が跳んだ。飛鳥とかしてスタマティスを襲う。
あまりにも鋭く重い蹴撃。そのつま先は光の尾をひいてスタマティスに突き刺さった。
スタマティスが咄嗟に右腕で将の蹴りを防いだのはさすがであった。が、将は手応えを感得している。スタマティスの腕は破壊されつつあった。が――。
「ごおおおおお」
スタマティスが吼えた。収束された破壊音波が弾丸のように、槍の刺突のように空を貫き、そして将の胸を貫いた。
「がふっ」
口と胸から鮮血を噴き、将が空にはねとばされた。地に落ちた時、彼の意識は半ば消失している。
心臓が破壊されていた。このままでは死亡もありうる。
止めを刺すべくスタマティスは将に躍りかかった。首を刎ねんと鎌が翻り――。
空でとまった。
「いいかげんにしてよね」
告げたのはアリア。鎌をとめたのは大鎌。アリアの手の大鎌――簒奪者の鎌が陽光をぎらりとはね返した。
刹那である。煉獄の炎をまとわせた槍が疾った。アリスである。
「スタマティスさん! ……苦しくて……とっても……辛かったでしょう……これ以上苦しまれない様……せめて!」
怒りよりもむしろ憐憫を込めた絶叫。アリスの刺突にスタマティスは身を仰け反らせた。その隙をついてアリアは大鎌を手放し、魔術的治療を将に施した。不可視のメスがおどり、将の傷を修復していく。
と、スタマティスの腕が恐ろしい唸り声をあげた。が、その一閃は届かない。
引き抜いた槍についた血のりを見て、アリスは一瞬動揺した。彼女はやはり心優しき少女なのである。
しかし、スタマティスは気遣いつつ戦えるほど甘い相手ではなかった。さらなるスタマティスの一閃に、アリスの腕は深くえぐられている。
間合いを取ろうとするスタマティスの横手よりミリムが踏み込んだ。
「もう正気にはならないようだね……ならら無様な姿をこれ以上晒さない様にボクなりの慈悲を与えてあげるのだ」
大気を裂く駆動式の鋸状の刃でミリムは縦横に切り払った。防ごうと掲げたスタマティスの腕を的確に刻んでいく。
「もう正気にはならない…本当に最期までそうなのなら無様な姿をこれ以上晒さない様にボクなりの慈悲を与えてあげるのだ。
内部機構を自ら修復した雫は無表情のままスタマティスをレーザーサイトでロックオンした。
エネルギー解放。無数の熱線がスタマティスを射抜いた。
「クスクスクス……さあ、いらっしゃいな。存分に貴方の鎌を私に振るいなさい」
クルーアルが招いた。それは死と狂気の誘いだ。
飢えに満ちたスタマティスは誘いにのった。鎌を打ち込み――クルーアルは超硬度のバトルガントレットで受け止めた。のみならずスタマティスの腕に彼女の手をからませる。
「壊して差し上げましょう」
優しく微笑みかけると、クルーアルは手を捻った。びちりっと何かが切断される不気味な音が響く。
次の瞬間、スタマティスの右腕がねじ切られた。数度ケルベロスたちの攻撃をうけ、彼の腕は脆くなっていたのだ。
「ぐおおおおおん」
さすがにたまらずスタマティスが苦悶した。その隙をついて襲いかかったものがある。スサノオだ。
白光一閃。スサノオが口にくわえた神剣がスタマティスを薙いだ。さらに――。
スサノオと交差する影一つ。疾る光流は一条。ももだ。
ももの蹴りが炸裂した。そして、今度はスタマティスの左腕に亀裂がはしった。
●
日が傾いた。やや翳りをおびた陽光の只中で将はスタマティスに呼びかけた。
「アンタ、自分が強いと思ってたんだろ」
スタマティスはこたえない。ただ殺意と飢餓の権化として佇んでいる。かまわず将は続けた。
「自分はいつも『喰う』側だと思ってたんだろ。が、な。今は、違う。アンタは俺達が――ケルベロスが、噛み砕く!」
願いと祈りを心に宿し! 未来の扉を今開け! ……ライズアップ!
将は叫んだ。それはトリガーとなる叫びだ。
空間にカードが現出した。描かれたドラゴンと将が同一化する。
「イルミナルセイバー……ドラゴン!」
将が馳せた。なんの策もない正面堂々の一撃だ。竜の牙と蟷螂の鎌が噛み合った。折れとんだのは――おお、スタマティスの鎌だ。
悠仁の瞳からさらに黒炎が噴いた。
眼前にあるは敵。ただ破壊と憎悪の対象だ。それ以上でも以下でもない。
「殺してやろう。そして、待て。俺が骸となる、その日まで」
悠仁が迫った。翔ぶように地を駆け、瞬く間に肉薄。悠仁は吼えた。
「牙を剥け、我が内より来たる憎悪の声、叫び、慟哭。潰えた夢の更に彼方、最早訪れる事無き希望を噛み殺せ」
憎悪を刻め我が枝よ!
悠仁は魔術を発動させた。彼の身から獄炎に包まれた無数の枝が生える。それは彼の身に宿した地獄を触媒として錬成した黒き枝であった。
刹那、枝が疾った。スタマティスが放った超音波が幾本かの枝を粉砕したが、それまでだ。のこった枝がスタマティスに絡みつき、切り裂き、その傷口から地獄の炎を流し込んだ。
スタマティスが燃える。悠仁の憎悪に灼かれて。そこはまさに地獄と化していた。
●
「……終わりましたか」
黒炎の残滓を見つめつつ、ほとりとクルーアルは呟いた。
ローカストは斃した。が、八人のケルベロスでやっとだ。彼女一人であったならどうなっていたか。
これではまだ足りない。両親の仇をとるためにはもっと強くならなくては。
クルーアルは背を返した。その目は破壊された跡を修復しているミリムの姿をとらえている。彼女は真の強さをもつ者であった。そして、真の優しさを持つ者も八人の中にはいた。それは――。
「スタマティスさん……。私達は……こんな風でしか……貴方を救えませんでしたけど……。せめて……安らかに……」
アリスは静かに瞑目した。
作者:紫村雪乃 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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