夏の日差しも届かぬ生い茂った木々の中、カマキリを人型にしたような姿の存在が、その鎌を操り宝石のようなものを地に置いた。
するとカマキリが腕を一振りし、一陣の風と共にグラビティ・チェインが宝石に流れ込み、宝石はバッタのような人型の姿へと変貌した。
『ハァハァ……渇く、足りん……もっとだ、もっとグラビティ・チェインを!』
バッタは四つん這いのまま息も絶え絶えにカマキリを見上げ、跳び掛かろうとする。だがいつの間にか周囲を囲んでいたカマキリの部下達に取り押さえられた。
「グラビティ・チェインが欲しければ、自分で略奪してくるのだ」
カマキリは冷たく言い放ち、部下に拘束を解かせる。そしてこの場にこれ以上留まるならばと、その凶刃を振り上げた。
『クッ……』
口惜しそうに呻くと、力を振り絞って木々を見下ろすほど大きく跳躍し、バッタは森の外を目指す。
「お前が奪ったグラビティ・チェインは、全て、太陽神アポロンに捧げられるだろう」
破滅に向かうその後ろ姿を見送り、カマキリのローカストは呟いた。
「ローカストの太陽神アポロンが新たな作戦を行おうとしているようです」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がケルベロス達に新たな事件の説明を始める。
「不退転侵略部隊の侵攻を皆さんが防いだことで、グラビティ・チェインを得る事に失敗した為、新たなグラビティ・チェインの収奪を画策しているようなのです」
まだ敵はグラビティ・チェインを諦めてはいない。ケルベロス達は気を引き締める。
「新たな敵の作戦は、コギトエルゴスム化しているローカストに、最小限のグラビティ・チェインを与えて復活させ、そのローカストに人間を襲わせてグラビティ・チェインを奪うというものです」
復活させられるローカストは、戦闘力が高いがグラビティ・チェインの消費が激しいという理由でコギトエルゴスム化させられたもので、最小限のグラビティ・チェインしか持たないといっても、侮れない戦闘力を持っている。
更には、飢餓感から、人間を襲撃する事しか考えられなくなっている為、反逆の心配もする必要も無く、撃破されても最小限のグラビティ・チェインしか使用していない為、損害も低いという、非道な作戦だった。
「この作戦は、特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いる、イェフーダーというローカストが行っているという話です。ですがまずは、復活させられたローカストを倒し、人々を守らなくては、多くの犠牲が出る事になってしまいます」
セリカの言葉に頷き、まずは目の前の事件から解決する事に集中する。
「敵は山梨県の富士の樹海に現われ、そこから近くのゴルフ場に向かい、プレイ中の人々を襲うようです」
場所とおおよその時間も分かっているので、待ち構えて迎え撃つ事ができる。
「ローカストはバッタを人のように2足歩行にさせた姿をしているようです。大きさは成人男性ほど、バッタの姿の通り、強力な脚力を持ち跳躍と蹴りを得意としているようです」
見た目は赤い目に緑のボディ、緑と黒の混じった手足をしている。
「餓えによって操られている存在ですが、このままでは人々が犠牲になってしまいます。救う方法も無い以上、皆さんの力で倒すしかありません。どうかよろしくお願いします」
セリカが説明を終えると、ケルベロス達も戦う意思を固め、現場に向かうためヘリオンへと乗り込んだ。
参加者 | |
---|---|
シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374) |
リノ・ツァイディン(旅の魔法蹴士・e00833) |
月海・汐音(紅心サクシード・e01276) |
須々木・輪夏(翳刃・e04836) |
シーレン・ネー(玄刃之風・e13079) |
篁・鷹兵(大空羽ばたく紅の翼・e22045) |
三廻部・螢(掃除屋・e24245) |
フィオナ・オブライエン(アガートラーム・e27935) |
●ゴルフ場
「一般人もケルベロスも見境無しか。卑劣なデウスエクスどもめ!」
シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)は敵の卑劣な手口に憤慨する。
「……餓えた蝗、か。群を成していないだけマシだな」
だが一体であっても油断はしないと篁・鷹兵(大空羽ばたく紅の翼・e22045)は気を引き締める。
「アナウンスはリノ君に任せて、僕は足で稼ぎに行こうかな」
フィオナ・オブライエン(アガートラーム・e27935)はまだプレイ中の人のところへ向かって駆け出した。
「勝手な理由で自我を保てない状態で起こされて手駒扱いなんてあんまりだよ……だけど、被害を出すわけにはいかないからここで倒さないと……」
悲惨な扱いを受けている敵の事を思い、リノ・ツァイディン(旅の魔法蹴士・e00833)は心を痛める。だがそれでも人々を守らなくてはいけないと、事情を説明する為にゴルフ場の係員に話しかけた。
『ゴルフ場にデウスエクスの出現が予知されました。プレイ中の皆様は落ち着いてすぐに避難してください。繰り返します――』
設置されているスピーカーから、リノの指示通りに避難勧告が行われる。
「利用してる人の名簿とかある? 全員いるか確認してくれると嬉しい」
その間に須々木・輪夏(翳刃・e04836)がもう一人居る受付の女性に指示を出し、逃げ遅れのないように確認作業を頼む。
「……アポロンの思惑通りに事を運ばせるわけにはいかない。奴らの作戦が罪のない人間の命を奪うことに繋がるのなら、必ず阻止するわ」
アナウンスが流れる中、月海・汐音(紅心サクシード・e01276)はゴルフ場に居る一般人に避難を呼びかけた。
「まったく酷い作戦だね。相手はそれだけなりふり構っていられないという事かな?」
味方の犠牲を前提にした作戦に、シーレン・ネー(玄刃之風・e13079)はそれだけ敵が切羽詰っているのかと想定する。
「捨て駒な敵だけど被害が出る前に倒すよ。本当に可哀相だけどね」
やりきれないものを感じながらも、シーレンは守る為に戦う覚悟を決め、逃げ遅れが居ないかを探す。
「飢えた獣には、言って聞かせても仕方ない。……ってことですよね、まあ、掃除すれば全て物言わぬ銅像と同じです」
三廻部・螢(掃除屋・e24245)は敵の脅威を綺麗に掃除してしまおうと決めて動き出す。
「掃除中は立ち入り禁止にしませんとね」
螢は入り口にキープアウトテープを張って人が入って来れないように目印をつけた。
●飢え
避難を終えて集まった頃、遠目に木々の頭上を越えるような大きな跳躍をする影が見えた。
「現われたみたいだよ!」
フィオナが指差し、ケルベロス達はその迎撃に向かう。
「ハァ……ハァ……うぅ、渇く、グラビティ・チェインは何処だ!」
ゴルフ場に着地したのは、バッタを二足歩行の人型にしたような姿をしたローカストだった。既に息が切れ身体が不調なのが見て取れた。
「太陽の騎士シヴィル・カジャス、ここに見参!」
名乗りながら赤い革鎧を纏ったシヴィルが正面に立ち塞がる。そして手にしたショートソードをバッタの脇腹に突き入れる。
「クッ!」
切っ先が刺さった所で、バッタは後ろに下がって難を逃れる。
「ネギ、シソ戦闘モードON――! それじゃ、オロシいくよ」
リノはボクスドラゴンのオロシに声をかけ、2本のロッドを手にする。ロッドはフェレットとスピックスコノハズクに姿を変え、2匹の幻影と共に動物達の可愛らしいラインダンスで仲間を応援し始めた。
「僕も援護するね!」
フィオナが手にしたスイッチを押す。するとカラフルな爆発が起こり、煙が仲間を包み込み敵の視界を遮った。
「なん……だ」
突然の事態にバッタは後ろに下がる。
「わたしたちが、あなたを狩る、よ」
煙から飛び出た輪夏が一気に間合いを詰めると、すれ違い様に刀を抜き打つ。刃は地面の影を斬り裂き、影が欠けた。すると縫い付けられたようにバッタの足が止まる。
「さて、お掃除開始です」
螢が手にしたデッキブラシで掃除を始める。大きく踏み込みながらデッキブラシを振り抜く、すると光、火、氷、雷と、様々な魔術が巻き起こりバッタを吹き飛ばした。
「バッタ! 貴様を討滅する!」
そこへ鷹兵がガントレットの指先を向ける。
「受けよ!時空凍結弾ッ!!」
指から弾丸が連続で放たれ、バッタの体を時間ごと凍結させた、と思った瞬間、バッタの身体は頭上へと舞っていた。
「グラビティ・チェイン……グラビティ・チェインを寄越せぇ!」
木を蹴って流星の如く鷹兵に向かって飛び蹴りを放つ。その一撃を割り込んだオロシが空中で受け、吹き飛ばされて地面を転がった。
「グラビティチェインが欲しいなら、ボクたちを倒してからにするんだね」
離れた位置からシーレンが腕を振るう。すると一陣の吹雪が吹き抜け、バッタの体を着地する前に凍らせていく。
「あなたがグラビティチェインを得る事は無いわ。何故なら、私達があなたを倒すからよ」
汐音の手にする大鎌に焔が宿る。踏み込むと同時に横一閃。蒼い焔の残像が宙に浮かび、刃はバッタの胸を斬り裂いていた。
「……早く、寄越せぇ!」
バッタは素早く跳躍を繰り返し、ケルベロス達を翻弄して跳び込む。回転するように回し蹴りを放ち、風圧がケルベロス達は薙ぎ倒す。
「一人でも強い、ね。でも、皆と一緒の方が強い」
気配を消した輪夏は背後から忍び寄ると、仲間の刻んだ傷口に刃を沿わせて斬りつけた。
「回復は僕に任せて! みんなは全力で戦って!」
後ろから仲間の状態を見ていたフィオナはもう一度スイッチを押し、仲間を色鮮やかな爆発を起こす。その音と煙は仲間を活性化させ、傷を癒した。
「君は蹴りが得意なんだね、僕もなんだ。蹴り勝負と行こうよ」
挑発的にリノが獣化した脚で回し蹴りを放つ。それに合わせて敵も回し蹴りを放ちぶつかり合う。衝撃に負けて下がったのはリノの方だった。バッタは追撃するように跳躍して頭上を取ると、割り込んだシヴィルが蹴りを小剣で受け止める。
「貴様に言っても意味のないことだが、バッタどもが仲間を使い捨ての道具扱いにするのは相変わずだな。そのような忠義なき蹴りが私たちに通用するとでも思っているのか?」
そしてシヴィルは小剣を振るい足に斬りつけた。
「グラビティ・チェインを!」
バッタは木を蹴り、弾丸のように跳んでシヴィルの胸を蹴り飛ばした。
「グラビティチェインを手に入れても、その渇きは潤わないわ」
背後から汐音は振り上げた大鎌に死の力を纏わせ、バッタの首筋目掛けて振り下ろした。敵は咄嗟に腕を差込み犠牲にして防いだ。
「ハァハァ……」
息を荒くしながら、真っ赤な目が振り向く。そして後ろ蹴りで汐音の身体を宙に飛ばした。バッタは屈むと力を溜めて跳ぶ。汐音に追い討ちを掛けようと蹴りの姿勢に入る。
「弱っていても強敵みたいだからね、絡め手でいかせてもらうよ」
敵を指差したシーレンが影の弾丸を撃ち出す。狙い通りにバッタの腹に当たり、黒く染め内部へ侵食していくと、敵はバランスを崩した。
「切り裂けッ! レイザァァァウィングッ! ハァァァァケェェェェェンッ!!」
そこへ飛翔した鷹兵が自らの体を弾丸のように回転させて突っ込み、その紅翼で敵を幾重にも斬り裂いた。
「グゥォオオ!」
空中で姿勢を整えてバッタは着地しようとする。
「……まず、片付けるにはバラす必要がありますね。掃除は徹底的に、塵も残さずが信条です」
待ち構えていた螢がデッキブラシで脚を弾くと、回転させて柄で殴り地面に背中から叩き付けた。
「キミが人に害を与えるなら、僕はキミを止めるよ!」
リノは降魔の力を込めてバッタの身体をボールのように蹴りを上げる。
「グ、グラビティ……グラビティ・チェインを……」
バッタは木に着地すると跳んで戻ってくる。その前にオロシが割り込みぶつかって撥ね飛ばされながらも勢いを弱めた。
「ゲートを破壊された時点で、貴様らバッタの敗北はすでに決まっている。潔く自害していれば良いものを……」
怒りを込めてシヴィルが大鎌を下から振り抜く。刃が胸の肉を抉り、傷口から生命力を吸い上げた。
「もうまともな思考もできないみたいだね」
その間にフィオナが桃色の霧を放ち、オロシを包み込んで傷を癒す。
姿勢を崩しバッタは四つん這いで着地して立ち上がる。
「動き速い……。わたしたちの働き重要、ね」
踏み込んだ輪夏が振るう刀は一歩間合いに足りずに空を斬る。だが強い日差しに伸びる影には届いていた。地面の影が片足を失う。
同時に足を失ったかのようにバッタの体がよろめいた。
「飢えは思考すらも失わせるのね」
背後から汐音が大鎌を振り抜き、背中に大きな傷口を刻んだ。
「キミの嫌いなものは何かな?」
続けて敵の視界に入る場所からシーレンはナイフを抜き放つ。その煌く刀身にカマキリの異形の姿が映り、幻となってバッタを鎌で斬り裂いた。
「グァアアアア!!」
バッタは跳んで自らの間合いを作ろうとする。
「とんだ粗大ゴミです、後で片付けるこっちの身にもなって下さい」
愚痴りながらも螢がデッキブラシを槍投げのように投擲すると、魔力によって誘導されバッタの背中に当たり撃ち落とした。
「素早さが武器のようだが、その動き、封じてやる!」
落下してきたところへ鷹兵はガントレットの人差し指でバッタの胸を突く。すると肉体に巡る気脈を断ち、動きを鈍らせた。
●跳躍
「ア、アアァ!」
真っ赤な目をケルベロス達に向け、バッタは跳躍すると蹴りを放つ。
「人々の健やかな休日を邪魔した報い、その身で受けるが良い!」
シヴィルが小剣で受け止め、そして逆に押し返して足裏を斬り裂く。だがバッタは離れ際に反対の脚を振り抜き、シヴィルの側頭部を打ち抜いた。
「そんなに苦しいのなら、楽にしてあげる」
汐音が大鎌を横に薙ぎ払う。切っ先を引っ掛けるようにしてバッタを捕え、そのまま木に叩き付けた。
「コギト・エルゴ・スムのままで居ればよかったのだがな! 貴様との正義は対立している……故に、討滅させて貰う!」
鷹兵がガントレットから弾丸を撃ち込む。木ごとバッタの動きを凍りつかせた。
「動きが鈍ってきた、ね」
その隙に踏み込んだ輪夏が刀を振るう。深く斬られながらもバッタは力を振り絞って木をへし折る程の強さで蹴り、もう一度空に舞う。
「跳んでる間は自由に動けないよね」
そこをシーレンが狙い撃ち、影の弾丸がバッタの顔を撃ち抜いた。
「グルァアア!!」
満身創痍でありながらも、獣のように吠えてバッタが頭上に迫る。
「やらせないよ!」
リノが掌に集めたオーラの塊を撃ち出してバッタにぶつけ、バッタの軌道をずらした。それでも敵は宙を蹴るようにして姿勢を戻し襲い来る。
「ゴミはゴミらしく、大人しく掃除されればいいんです」
それを迎撃する螢がデッキブラシを薙ぎ払うように振り抜く。足とブラシがぶつかり合い、衝撃に両者が後ろに吹き飛ぶ。先に動いたのはバッタだった。
「グアァ!!」
木を蹴り螢に飛び蹴りを浴びせる。車に衝突したような衝撃に撥ね飛び、ぶつかった木をへし折って地面を転がる。
「酷い怪我、すぐに治療するからね」
準備していたフィオナは、癒しの霧を放出して螢を包み込む。
「グラァ!」
バッタはもう一度空へ跳躍する。
「追いついたよ!」
木を軽快に駆け登ったシーレンが跳躍し、空中で回転して加速すると炎を纏わせた回し蹴りを浴びせた。
「アホロンやイェフーダーの思い通りにはさせてやらないんだよ」
更に獣の脚で駆けたリノが木を蹴り登り、上空でバッタを蹴り落とした。
地上では汐音が焔を纏った大鎌を振り上げる。だがバッタも蹴りで迎撃し、大鎌を弾き飛ばした。
「……此処で、燃え尽きなさいッ!」
汐音は大鎌を手放し、蒼い焔に燃える拳をバッタの鳩尾に打ち込んだ。
「がはっ」
口から液体を吐きながらバッタは地面に落ちる。
「これで終わりだ。カジャス流奥義、サン・ブラスト!」
背中の翼を羽ばたかせ、頭から体当たりするように突っ込んだシヴィルが小剣を突き刺した。刃が胸に埋まり背中から切っ先が飛び出る。
「最後に誰かに伝えたい言葉とかある?」
「う、ぅうがあああぁ!」
刀を構えた輪夏がそう尋ねる。だが傷つき飢えたバッタは唸り声を上げて襲い掛かって来るだけだった。
「残念、ね」
横へするりと移動した輪夏は、闘牛をいなすようにすれ違いながら刃を走らせ、その背中を斬り裂いた。
「君に理性が残っていたのなら、或いは話し合う事も出来たのかもしれないけれど。こうなった以上は、倒すしかない……よね」
フィオナは右腕のガントレットから炎を溢れさせ、まるで剣のように振り抜きバッタを袈裟に斬り裂いた。
「貴様もまた辛苦の時代を齎す者……消え去れ!」
地面を蹴った鷹兵が翼を羽ばたかせ紅の弾丸なる。刃のように翼がバッタの脚を切断した。
「さて、綺麗に綺麗に、しましょうね」
螢の腕から翠の光がデッキブラシに伝わる。汚れを取るようにバッタの身体に当てると、綺麗に胸を抉り取った。
「グラビ……」
うわ言のように呟き、バッタは力尽きて伏した。
●開放
「ネギ、シソ戦闘モードOFF――!」
リノはロッドを動物の姿に戻し、朽ち果てたバッタの為に黙祷した。
「事件が解決したってゴルフ場の人にも報せないとね」
そう言ってリノは避難している係員を呼びに向かった。
「誰も被害者が出なくて良かったわ」
上手く行って良かったと汐音は力を抜く。
「飢えてさえいなければ、もっと強かっただろうにな」
人を襲うのは許せることではないが、騎士としては堂々と戦いたかったと、シヴィルは残念そうに息を吐いた。
「……捨て駒か。大を生かすために小を切り捨てるのとは違う。今回は真逆だな」
まともな状態で戦えばもっと苦戦する敵手であったろうにと、鷹兵は敵の愚かな作戦を唾棄する。
「万全だったらもっと強かったのだろうなぁ。理性的に来られたらもっと大変だったろうね」
そんな戦士を使い捨てにする敵に対し、シーレンは憤りを覚えた。
「どのように使われているかわからないんだよね。きっと覚悟も何もない。それが最悪だよ。生まれ変わったら自分の生き死には選択できると良いね」
そう言ってシーレンは倒れた敵の冥福を祈る。
「敵は倒した、もう大丈夫」
安心するように輪夏が戻ってきた係員に声を掛ける。
「ありがとうございました!」
ケルベロスに向け係員達が深々と頭を下げた。
「ふぅ、綺麗になりました。これでお掃除終了ですね」
螢が汗を拭い満足そうに周囲を見渡した。ゴルフ場に人が戻り始めている。
「もっと別の道があったのかも知れないけれど、それは今言える事じゃあない、か」
ローカストの企みを阻止する為に倒すしかないのだ。フィオナは手を胸に当て安らかに眠れと言葉を紡いだ。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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