黙示録騎蝗~多彩のジュエル

作者:なちゅい

●復活はすれど……
 森の奥深く。
 特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いるイェフーダーが、用意したコギトエルゴスムへとグラビティ・チェインを与えていく……。
 程なく、ローカストが人型をとって復活する。全身、玉虫色をしたカラフルな姿をしたローカストだった。
「く……」
 折角復活したというのに。グラビティ・チェインの枯渇により、独特な体色をしたローカストは苦しみ始める。そのまま、そいつはイェフーダーへと飛び掛った。
「我に、グラビティ・チェインを…………!」
 しかし、イェフーダーと、その部下がすぐにそのローカストを取り押さえてしまった。イェフーダーはゆっくりと歩み寄り、地面に抑えつけられたローカストを見下ろす。
「『多彩のジュエル』……グラビティ・チェインが欲しければ、自分で略奪してくるのだ」
 イェフーダーはそう告げ、ジュエルと呼んだローカストを森から追い立ててしまう。
 苦しそうにしながらも去り行くそのローカストの背中に、イェフーダーがこんな言葉をかけた。
「お前が奪ったグラビティ・チェインは、全て、太陽神アポロンに捧げられるだろう」
 
 ビルの屋上にやってきたケルベロス達。そこでは、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が胸元を押さえてニコニコと笑っている。
「皆、ようこそ」
 彼女の胸元のリボンの中心。そのアクセサリーが玉虫色に輝いている。
「とっても綺麗な色だよね」
 ケルベロスへと笑顔で話すリーゼリットだったが。ある程度人が集まると、彼女は顔を引き締めて説明モードへと入る。今回も深刻な事件が予知されたのだろう。
「ローカストの太陽神アポロンが、新たな作戦を行おうとしているようだよ」
 不退転侵略部隊の侵攻をケルベロスが防いだことで、ローカスト達は大量のグラビティ・チェインを得る事ができなかった。この為、彼らは新たなグラビティ・チェインの収奪を画策しているらしい。
「コギトエルゴスム化しているローカストに最小限のコギトエルゴスムだけを与えて復活させ、そのローカストに人間を襲わせてグラビティ・チェインを奪うという作戦だね」
 復活させられるローカストは戦闘力は高いが、グラビティ・チェインの消費が激しいという理由でコギトエルゴスム化させられたものだ。最小限のグラビティ・チェインしか持たないといっても、侮れない戦闘力を持つ。
 さらに、グラビティ・チェインの枯渇による飢餓感から、人間を襲撃する事しか考えられなくなっている為、反逆の心配もする必要も無いと考えているようだ。
 そして、仮に、ケルベロスに撃破されたとしても、最小限のグラビティ・チェインしか与えてないこともあって損害も最小限となるという、効率的だが非道な作戦だ。
「この作戦を行っているのは、特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いる、イェフーダーというローカストのようだね」
 まずは、復活させられたローカストを迎撃する必要があるが、いずれは、イェフーダーと直接対決する必要があるだろう。
 復活したローカストは、単体で市街地へと移動してくるようだ。
「場所は、群馬県桐生市。山の方からローカストはやってくるようだね」
 絹織物の産地として知られる場所。合併により東西に分割している地だが、ローカストは東側、吾妻山から桐生市役所のある付近へと降り立ってくる。
「玉虫をベースとしたローカストで、その体色を生かして攻撃してくるよ」
 『多彩のジュエル』という2つ名を持つこのローカストは、玉虫色の光を纏った蹴り、または、眩い光を撃ち出すことで足止めをしてくる。さらに、玉虫色に光る羽根を煌かして相手を惑わすこともあるようだ。
「グラビティ・チェインが枯渇していることで、なりふり構わず目に付いた人間へと攻撃を仕掛けてくるから、くれぐれも注意してほしい」
 相手は怪しげな玉虫色の光を使いこなし、高い戦闘力を持つ。油断せずに対処したい。
 説明を終えたリーゼリットは、最後にこうケルベロス達へと告げる。
「太陽神アポロン……許してはおけないね」
 こいつは部下を単なる手駒としか考えていない。直接アポロンを撃破したいが、一般人が危険にさらされている。『多彩のジュエル』には同情すら覚えたくなるが、倒す他ない。
「……よろしく頼むよ」
 リーゼリットは改めて、ケルベロス達へと人々の救出と、ローカストの撃破を願うのだった。


参加者
ディバイド・エッジ(金剛破斬・e01263)
小鳥遊・優雨(優しい雨・e01598)
ライゼル・ノアール(仮面ライダーチェイン・e04196)
揚・藍月(青龍・e04638)
ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
先行量産型・六号(陰ト陽ノ二重奏・e13290)

■リプレイ

●ローカストがこの街に……
 群馬県桐生市。
 ヘリオンから降り立つケルベロス達は、即座に作戦を開始する。
 この地へと直に、ローカストが現れる。現地の人々に現状を伝える為、メンバーの中で翼飛行ができる3人が先行して行く。
「皆指示に従って避難してくれ。大丈夫だ、護りぬいて見せる」
 揚・藍月(青龍・e04638)は人々へと事情を説明し、そして、避難誘導を願う。ここに来るまでの間に、敵の出現位置と人々の避難先、その経路を調べていた彼は、丁寧に指示を行う。
「きゅあきゅあっ、きゅあー!」
 ボクスドラゴンの紅龍も兄上と慕う藍月の頭上に乗り、可愛い声を上げていた。その鳴き声は、本当に深い意志があるように思えてしまう。
 同じく、ボクスドラゴンのイチイは、ぽやぽやしつつも小鳥遊・優雨(優しい雨・e01598)に寄り添う。
 スタイリッシュに変身してみせた優雨は、ローカストが現れると恐怖し怯える人々を励ます。最短ルートをたどり避難先に定めた市役所まで、優雨はその人々を手早く誘導する。
「みな、市役所へ! 走れ! デウスエクスだ!」
 小さな体で堂々と叫ぶのは、メルカダンテ・ステンテレッロ(茨の王・e02283)だ。
「男は弱きを助けよ! 見捨てることは許さん!」
 どことなく気品が漂い、それでいて淡々としたメルカダンテの声は、割り込みヴォイスでよく街中へと通っていた。
 飛行できぬメンバーもすぐに駆けつけ、避難誘導に当たる。
「金剛破斬、見参! 拙者らが来たからにはもう安心で御座るよ」
 全身が白く、無骨な姿のレプリカントのディバイド・エッジ(金剛破斬・e01263)。その姿に驚く人々も、彼が重武装モードを発動させれば、ケルベロスの登場だと知って頼もしさを感じていたようだ。
「すぐに終わらせるゆえ、市役所で待っておるといい」
 不安を払拭した人々は大きく頷き、市役所へと走ってゆく。
 先行量産型・六号(陰ト陽ノ二重奏・e13290)も現地民に市役所へ避難するよう促していた。ほぼいなかったが、若干愚痴り気味な者に対しては剣気を解放し、市役所を指差して簡単に指示していたようだ。
「ったく……、先の月華衆共にしかり……。なんだって仲間を捨てる様な策を」
 その最中、六号は独りごちる。戦の常かもしれないが、現実の戦を将棋やチェスのように考えるローカストの将。六号にとって、納得できるものではない。
 それ以外のメンバーは、山からやってくるローカストに備える。
 着地してそう経たないうち、玉虫色の、いや、まさに玉虫のローカストが姿を現す。
「足りぬ、全く足りぬ……!」
 鮮やかな体色をした、『多彩』のジュエル。そいつは目を血走らせ、よだれを垂らして獲物を捜し求める。
「デ、デウスエクスだー!」
「逃げろおおっ!!」
 そんなデウスエクスの姿に、街中に悲鳴が上がる。とはいえ、ケルベロスがすでに街へと現れていることもあり、パニックにならずに避難を行っていたようだ。
 だが、そんな人々目掛け、羽ばたいてくるローカスト。
「ッ護る、今度こそ……!」
 メルカダンテの脳裏に過ぎる過去の思い出。全てを喪ったあの日のこと。白くなった髪、黒くなった髪の花。それほどの哀しみを繰り返しはしない。
 だが、彼女よりも速く、敵へと飛び込むケルベロス達がいた。
「多彩のジュエル! 例え理性はなくとも、この紫水晶の輝き、貴方に無視できますか!」
 玉虫色の相手へ、フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)が言い放つ。そして、彼女は所持するアメジスト・シールドと、アメジスト・ドローン達の小型シールドから、紫色の強烈な光を交互にローカストへと浴びせかけた。
「うおおおおっ!」
 ジュエルもすぐに反撃を繰り出してくる。高々と跳躍したジュエルは、日の光を受けて全身に玉虫色の光を纏った。
「そう、貴方の光、こちらへ向けなさい!」
 敵は自身に怒りを覚えている。そう確信したフローネは声を荒げると、ジュエルはそのまま落下し、フローネに強烈な蹴りを食らわせてきた。彼女はアメジスト・シールドで防ごうとするが、予想以上の威力に盾が悲鳴を上げる。
「これでも喰ってろ!」
 そこで、迸る光が宙を駆け抜けてきて、ジュエルの体を焼き焦がす。その発射元には、ライトニングロッドを振りかざした体勢で止まったククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)の姿があった。
「同情はするが、腹減ったからってスナック感覚で人襲うんじゃねえよッ!」
 ちらりと赤い瞳を向けてくるジュエル。ククロイは目を背けることなく毅然と言い放つ。
「俺達が迷えば誰かが死ぬ! だから、今はただ殺すだけの機械となるッ!!」
 仲間達が近隣の人々を避難させるまでは。ククロイもできるだけ敵の注意を引きつけようとしていたのだ。
 さらに、敵の背後へとゆらりと現れる影。ライゼル・ノアール(仮面ライダーチェイン・e04196)は敵を睨み付け、腰のライゼファクターに鍵を差し込む。
「……変身!」
 ライゼルは燃え上がる炎に包まれて変身する。紫焔フォームに包まれた彼は、敵へと飛び込んでいく。相手が明確に自分達を邪魔だと感じるように。
「……変身! 余計な前口上は無しだ……! やらせるか!」
 槍の形状をした『ハヴォックライゼ』。ライゼルの叫びに応じて稲妻を帯びたその切っ先がジュエルの体を貫き、神経回路に痺れを走らせる。
「その多彩、我が金剛破斬剣で断ち切る!」
 ジュエルへと声を荒げるディバイド。彼は抜刀の構えの体勢から、剣気を放つ。それを浴びた者は、刃で斬られたと錯覚すらさせられる。
「く……」
 ディバイドにも注意を向けるジュエルは、ただでさえ尽きかけたグラビティ・チェインを失い、苦しそうに息をする。
「ここから先は、一歩も通さぬ」
 いつの間にか、ジュエルの眼前に迫っていたディバイドが立ち塞がる。
「飢えは辛い物だ。だが、貴殿をいかせる訳にはいかない」
「餓えさせられて、かわいそうに。けれども、抗う権利は我々にもありますからね。――さあ戦おう、虫ケラ」
 藍月、メルカダンテも同じくジュエルの前へと立つ。無論、人々を守る為だ。
「おのれ、ケルベロス……!」
 グラビティ・チェイン奪取を邪魔するケルベロスに、ジュエルは苛立ちを隠し切れずにいた。

●害なす虫に情けなど……
 ケルベロス達による避難は進む。
 どうやら、大きな被害は出ていない様子。多彩のジュエルを、別のケルベロス達がうまく抑えていたのだ。
 主に盾となるのは、フローネ、ディバイド、ライゼル、そして、藍月と紅龍。互いに声を掛け合いながら、敵を包囲して攻め込む。
「食らえ……」
 煌く自身の装甲から発する変幻自在の光。それは、このローカストの二つ名ともなっている、鮮やかに変色する玉虫色の光だ。
「変色光、来るよ!」
 鋭利な形状をした斬新なサングラスを通し、敵の挙動を見ていたククロイが仲間達へと注意を促す。
 次の瞬間、多彩な光が前列メンバーの視界へと飛び込んでくる。目が眩んだ紅龍が自身の炎属性を前列メンバーへと注入し、次なる光に備えていた。
「我招くは生命生まれし原初にして、今を生きる者の来訪を拒みし暗闇……深淵招来! 急急如律令!」
 こちらも目が眩んだ藍月だが、構うことなく自らとローカストを結界で包み込んでいく。それは、光すら届かぬ深海の奥深くで発生する水圧の水球だ。
 その中で、敵に刃が振り下ろされる。弾け飛ぶ水。藍月は平然としているのに、ローカストだけは刃によって傷を負い、体液を流す。
 もがく敵の頭上から、フローネが強襲する。
「不退転侵略部隊では、犠牲者を出すことを止めることができませんでした。これ以上、人々への被害を広げるわけにはいきません!」
 犠牲者が出てしまったあの戦い。それを繰り返すわけには行かない。力強くローカストの体を蹴りつけた。
 生きようとするローカスト。ククロイはもうその姿に戸惑いは見せない。
「震えて揺れな!」
 ククロイは自身に記録されたドワーフのデータへと一時的にアクセスし、握り締めたライトニングロッドを敵の腹へと叩き込む。打撃と共に発生した振動がジュエルの体を揺れ動かす。
「仕掛ける! 行くぞ!」
 ディバイドも胸部から発射口を出現させ、エネルギー光線を撃ち放つ。高エネルギーを浴びたジュエルへ、ビハインドのクサリサが近場に転がる小石を投げ飛ばすと、白と黒のライフル銃から魔法光線が放たれる。
 その銃を手にしていたライゼルは、ドライな考えをしていた。
(「理性は乏しく捨て駒にされている事など、どうでも良いだろう」)
 余計な被害は出したくない。彼はそう考え、再度ライフル銃の照準を敵に合わせる。
 そうして、盾役のメンバーがジュエルを抑えている間に、徐々に避難を済ませたメンバーが駆けつけてくる。ようやく、警官隊が駆けつけてきたのだ。
 仲間の合流を確認したメルカダンテ。彼女はオウガメタルを纏った一撃を入れた後、この場から離脱していく。逃げ遅れた一般人のフォローと考えていたのだ。
 入れ替わりで、滑空して戦場へと飛び込む優雨。
 玉虫色に輝くジュエルの羽に惑わされるメンバーへ、優雨は地面に描いた守護星座を光り輝かせて仲間を正気へと戻す。ボクスドラゴンのイチイも植物の属性を注入してくれていた。
「黒狼……お前の能力、真似るぞ……」
 次に駆けつけた六号。部下を切り捨てるような策に出たローカスト達に不快な感情を抱く彼は、神楽笛を己の胸に突き立てる。
「イメージしろ、黒陰……。闇に溺れたどうしようもねぇ孤高の狼の姿を……。影狼噛砕……二度と離すな、噛んで来い!」
 自らの悪しき感情を狼の姿として具現化し、六号は解き放つ。黒い悪意の塊は一直線にローカストの体に食らいつき、牙を深くまで食い込ませた。
「費えるわけには……いかぬ」
 それでも、ジュエルが倒れないのは、生きるという本能が体を突き動かしているからだろう。
 『多彩』な光を操り、ケルベロスを足止めし、惑わすジュエル。
 対して、ケルベロス達は盾がかなり厚い布陣で戦う。藍月が敵の光に負けじとカラフルな爆発を起こし、仲間達を奮起していた。
「きゅあー!」
 紅龍もやる気を出し、ジュエルの前へと率先して飛び出す。
 とにかく、一般人に被害が及ばぬように。フローネは飛ぶ光に耐え、牡牛座を宿した2本の長剣を操り、十字に斬撃を叩き込む。
「覚悟せい!」
 怯む敵に、ディバイドは電光石火の蹴りを立て続けに叩き込む。
 仲間の攻撃と連携し、六号も次なる攻撃をとバスターライフルに武器を持ち変える。
 敵に十分足止めとなるグラビティを与えたと判断した六号は、顔を顰めつつ凍結光線を発射した。相手に痛々しさを覚えながら。そして、そうさせた別のローカストに対して、不愉快さを感じながら。
「砕けろ! ローカストッ!!」
 ククロイは武器を敵に突き刺し、玉虫色の装甲を砕いていく。自慢の『多彩』に、陰りが見えてくる。
「黙示録騎蝗! 最後まで付き合ってやんぜ!!」
 ククロイはサングラスの下から、その姿をしっかりと見続ける。相手はもう体力に余裕などないはずだ。
 だからこそ、死に物狂いで攻めてくるローカスト。どんなにケルベロスが盾を張ろうとも、光を纏った蹴りで打ち砕くジュエル。怒りを覚えさせたディバイド、フローネを執拗に狙うそいつの攻撃をライゼルが盾となり受け止める。
「守護の鎖よ。ここに!」
 ライゼルは地獄化した腕から伸ばす頑強な鎖で、自らを包んでゆく。
 辛そうにしているのは敵だけではない。強力な一撃に苦しむ仲間の負担を和らげようと、優雨は気力を撃ち出す。戦場を舞い踊りながら、優雨は臨機応変に、イチイと協力して仲間の傷を癒す。
 そして、暴走する相手の動きを封じる為に。クサリサが心霊現象でジュエルの体を縛りつける。
「く……」
 羽ばたこうと羽を動かす敵。ケルベロスを突破し一般人を狙うのか、それとも、全力でケルベロスを屠ろうとしているのか。
「飛ぶな、虫。目障りです」
 もう限界が近いことを感じさせる相手へ、避難を十分に済ませて再度戦場に戻ってきていた、メルカダンテが冷たく言い放つ。
「おまえも餓えは苦しかろう、引導をくれてやる」
 自分達の役目、それは、多彩のジュエルを仕留めること。だから、メルカダンテは再びこの場へと戻ってきたのだ。
 メルカダンテは竜の幻影を放ち、炎を浴びせかけた。すると、ジュエルの羽が燃え始める。
 炎は玉虫色の体にも燃え広がって。ついに、その色を、命を燃やし尽くしてしまう。
「ここ、まで、か……」
 幕切れはあっけなく。重い音を立てて崩れ落ちるジュエル。その姿に、ケルベロス達は感傷に浸るのだった。

●一時の休息も……
 ローカストを倒した後。
 戦場となった桐生の街を、ケルベロス達は修復へと当たる。
 ライゼルはグラビティによって破壊した道路に、オーラを撃ち出す。
 ククロイも同じく、気力で破壊箇所を元の形に戻していく。彼は周辺で怪我を負った者がいないかと確認もしていたようだ。
「きゅあー!」
 紅龍は炎の力を分け与え、路側帯を修繕する。燃え上がる炎はやや熱くあったろうが、それもグラビティ・チェインあってこそ。力をもらい幻想を纏って、再び人々が通れる道となって機能する。
「これにて、一件落着で御座るな」
 ディバイドは、冷たい茶でも飲みたいと声高らかに笑う。ケルベロス達は涼をとるべく、近場の喫茶店にでも入ることにした。
 メンバー達はオーダーを頼む中、藍月は考える。
「後は……、敵の出現位置と……復活させられた位置の特定と黒幕の本拠想定、だな」
「同胞を、使い捨てに……。イェフーダー、そしてアポロン。倒さねば、なりませんね」
 まだ、ローカストは出現し続けるだろう。何より、倒さねばならぬ敵が残っていることをフローネが口にし、再確認させる。
「不退転部隊は強い信念があったが……、このやり方は彼ら自身の首を何時か絞める事になるかもしれないね」
 ローカスト達の仲間意識について、藍月は頼んだ飲み物を口にしつつ、仲間達へと告げたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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